JP3980290B2 - 酸化チタン薄膜形成塗布液及びその製造方法 - Google Patents

酸化チタン薄膜形成塗布液及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化チタンの光触媒効果を利用し、NOなどの有害物質除去、脱臭、防汚、抗菌などに利用される酸化チタン薄膜形成塗布液及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタン光触媒は、紫外線を吸収しておこる化学反応によりNOなどの有害物質除去、脱臭、防汚、抗菌などの効果を示すことで知られている。ところで、光触媒効果を工業的に発現させるためには基材上に光触媒薄膜を担持させることが必要である。ガラス、金属、セラミクス、各種プラスチックなどの基材表面に酸化チタンを付与する方法として、酸化チタン前駆体であるチタンアルコキシド、有機酸チタン、塩化チタンなどのチタン塩などを塗布し、焼き付ける方法、チタニア粉体やゾルとバインダーの混合物を塗布する方法などがある。主に防汚目的の酸化チタン薄膜の場合は、表面に吸着する汚れ成分によって汚染度が左右されるため、膜の表面は平滑で表面積が小さな方が好ましい。
【0003】
ところが、脱臭などのより多くの物質を分解する効果を期待する場合は、膜の比表面積を大きくする必要があり、そのためには膜構造を多孔質化すると同時に膜を厚くする必要がある。それ故、主に脱臭などの有機物分解を目的とする酸化チタン薄膜は、比較的大きな酸化チタン粒子を使用した膜を形成させることが多い。粒子径の大きな酸化チタンからなる薄膜は膜厚も必然的に厚くなり、大きな粒子の充填構造には多くの隙間ができ、結果として多孔質構造となる。
ところで、それ自身に自己結着性のない大きな粒子径の酸化チタン粒子を、基材上に多孔質に担持固定化するためには、バインダー成分を添加して低温あるいは常温で硬化させて担持させることが必要となる。このとき、粒子の大きな酸化チタンからなる膜は表面が粗く、多孔質構造であるために、膜強度が低くなり、容易に脱落したり傷ついてしまうことが問題となっていた。膜強度を向上させる最も簡単な方法はバインダー量を増加させることであるが、この方法ではバインダー成分が酸化チタン粒子表面を覆ってしまい、膜強度が向上しても期待する触媒活性が減少してしまうことになる。
一方、酸化チタン粒子を小さくすれば表面が平滑になって膜の強度は向上するが、膜の収縮によるひび割れの発生等から、膜厚を薄くせざるを得ず、有効に利用される表面積が低下するので、やはりこの方法でも触媒活性は減少する。上如の様に、大きな触媒効果をねらって粒子径の大きな酸化チタンを基材上に担持固定化するためには、膜強度と触媒効果を両立させることが大きな課題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、塗布液中に粒子径の大きな酸化チタンと小さな酸化チタンを一定の比で混在させることにより、より少ないバインダー量で高い触媒活性と実用的な膜強度とを有する酸化チタン薄膜担持基材が得られることを見いだし、課題を解決するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は平均粒子径0.4〜1.5μm、比表面積50m/g以上の酸化チタン粒子(A)0.2〜15重量%と、平均粒子径200nm以下、比表面積200m/g以上の酸化チタン粒子(B)0.05〜10重量%、及びシリカ化合物(SiOとして)(C)0.1〜5重量%を含有し、且つ(B)/((A)+(B))×100=3〜25重量%、(C)/((A)+(B)+(C))=5〜30重量%である酸化チタン薄膜形成塗布液及びその製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用される酸化チタン粒子は二種類である。一種類は平均粒子径0.4μm〜1.5μmの酸化チタン粒子でアナターゼ型酸化チタンが好ましく利用される。平均粒子径が0.4μmより小さい場合は膜の多孔質度が減少して触媒効果が低くなり、1.5μmより大きい場合は、膜の多孔質度が高くなり触媒効果は高くなるが、膜表面が粗になるため膜強度が著しく低下し、膜が脱落したり、チョーキングしたりすることから実用的には問題がある。実際には、触媒効果と膜強度を実用的に両立させるため0.6μm〜1.2μmの平均粒子径を有する酸化チタン粒子を選ぶことが好ましい。アナターゼ型結晶の結晶化度すなわち結晶子の大きさは特にこだわらないが、粉末X線回折に供した時にアナターゼ型の回折ピークが認められるものであればよい。このことから考えると結晶子径としては5nm程度以上となる。粉末X線回折チャート上で多少のルチル型酸化チタンが混入していても特に問題はない。
【0007】
酸化チタン粉末の比表面積は100℃乾燥後で50m/g以上である必要がある。これ以下では触媒効果を得るために多孔質構造にしても、大きな触媒効果は期待できない。これらの酸化チタンは市販のアナターゼ型酸化チタン粉末を利用しても、硫酸チタンや塩化チタンを熱分解あるいは中和分解して得られる含水酸化チタンを利用してもよい。
【0008】
粒子径の調製には中和分解法あるいは熱分解法で得られた含水酸化チタンゲルをゾル化する際に水熱処理などで粒子成長させても良いが、粉末の酸化チタン粒子を乾式または湿式で粉砕する方法が最も簡便である。この方法で得られた粒子はそれ自身が凝集体粒子であり、高い触媒効果を期待できる多孔質構造を形成しやすい。粉末として塗布液に添加すると、短時間に沈殿してしまうので、沈降性の少ないスラリーやゾルの状態に加工した状態で使用することが好ましい。必要な物性が満たされていれば市販の酸化チタンスラリーやゾルを利用しても良い。
【0009】
塗布液中では粒子の凝集による粒子径の変化および沈降を防ぐために、分散安定剤を共存させることができる。これらの分散安定剤は、粒子の調製時から共存させることもできるし、塗布液を調製する際に添加しても良い。
【0010】
分散安定剤としては特にこだわらず各種の薬剤が使用できるが、酸化チタンは中性付近では凝集しやすいので、酸性またはアルカリ性の分散安定剤が好ましく使用される。酸性の分散安定剤としては硝酸、塩酸等の鉱酸、カルボン酸、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸などの有機酸などが挙げられる。アルカリ性の分散安定剤としてはカルボン酸、ポリカルボン酸類のアルカリ金属塩やアンモニア、1〜4級のアミン類およびそれらにヒドロキシ基を付加したアルカノールアミン類から選ばれた一種類以上の化合物が好例として挙げられる。特に、有機酸を利用すると、後述する有機溶媒との混和性が良好である上に、pHが極端に低くならず且つ製造時に使用する設備を腐食しにくいので好ましい。有機酸としては酢酸、シュウ酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸などが好ましく利用でき、これらの中から選ばれた一種類以上の酸で分散安定化させることができる。
【0011】
また塗布液の粘度を上げるために水溶性高分子などの増粘剤等を添加することもできる。増粘剤としては多糖類やポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドなどが例示できる。塗布液中の酸化チタン量(TiO)は0.2〜15重量%である。塗布液中での酸化チタン量がこれより高きに過ぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎてハンドリング性が悪くなり、逆に低くきに過ぎる場合は、塗布液の粘度が低下するため、粒子径の大きな酸化チタンは沈降しやすくなる。塗布液の安定性を考慮すると酸化チタン量 としては2〜10重量%がより好ましい。
【0012】
一方、本発明で使用するもう一種類の酸化チタン粒子は、平均粒子径200nm以下で且つ比表面積200m/g以上の酸化チタン微粒子(以下、0.4μm〜1.5μmの酸化チタン粒子と区別するため酸化チタン微粒子と云う)である。これらの酸化チタン微粒子は多孔質な膜中において、粒子同士の接触点を増加させることにより、前述のより大きな粒子径を有する酸化チタン粒子による多孔質構造の形成を妨げることなく、酸化チタン薄膜全体の強度を向上させ、結果としてバインダー量が少なくても実用に耐える高強度な膜形成の役割を果たす。また、これら酸化チタン微粒子自身も触媒効果を示すため、前記酸化チタン粒子の触媒効果を低下させることはほとんどない。
【0013】
これらの酸化チタン微粒子は上述の様にいわゆるバインダー効果を併せ持つ必要があることから、粒子径が小さく、且つ比表面積が大きいことが必須である。粒子径が200nm以上ではバインディング効果が少なくなり、膜強度が低下するのでより好ましくは100nm以下である方が良い。また、比表面積も大きな方が好ましく、通常200m/g以上必要であり、特に膜強度を向上させたい場合は250m/g以上のものが利用される。これら酸化チタン微粒子の結晶化度には特にこだわらないが、粉末X線回折で全く回折ピークを示さないようなアモルファス構造では触媒効果への寄与が乏しいため良くない。従って少なくとも乾燥粉の粉末X線回折においてアナターゼ型酸化チタンの回折ピーク位置にピークが確認できる程度の結晶性があることが好ましい。
【0014】
これら酸化チタン微粒子の製造方法に関しては特に制約されるものではないが、乾式では製造が困難であるので、粉体の酸化チタンを分散剤または解こう剤の存在下で湿式で微粉砕するか、チタン塩を分解、解こうして得られるゾル状の酸化チタンを利用するのが適当である。これらの酸化チタン微粒子は前記の粒子径の大きな酸化チタン粒子と共に塗布液中に分散させる。基本的に200nm以下の粒子径を有するコロイドレベルの微粒子は沈殿しにくいが、塗布液中での粒子の沈降や凝集を起こさないために独自の分散安定化剤を使用することができるし、もう一方の酸化チタン粒子に用いている分散安定剤を共有することもできる。
【0015】
分散安定剤の種類は前述の酸化チタン粒子の分散に例示したものから選ぶことができる。混合時にゲル化したり、粒子が凝集したりする事を防ぐために、両者の安定化剤は酸性同士またはアルカリ性同士である方が好ましい。肝要なことはそれぞれの粒子が塗布液中で凝集沈殿などの変化を起こすことなく安定に存在することである。塗布液中における酸化チタン微粒子量(TiO)は0.05〜10重量%である。膜固形分全量に対する酸化チタン微粒子の割合は3〜20重量%、全酸化チタン量に対する酸化チタン微粒子の割合は3〜25重量%であることが好ましい。酸化チタン微粒子の割合が下限以下ではバインダー量を増加させなければ十分な密着性、膜強度が得られず、上限以上では膜構造の変化に伴い触媒効果が極端に減少したり、膜がひび割れたりしやすくなる。
【0016】
これらの酸化チタン粒子を基材に強固に密着させるためには酸化チタン微粒子のみでは不十分で、どうしてもバインダー成分が必要となる。本発明におけるバインダー成分として利用できるものはシリカ化合物である。
【0017】
シリカ化合物としては、4、3、2官能のアルコキシシラン、およびこれらアルコキシシラン類の縮合物、加水分解物、シリコーンワニス等が使用できる。3、2官能のアルコキシシランは、一般的にはシランカップリング剤と呼ばれることも多いが、本発明ではシリコン1分子に1つ以上のアルコキシ基が結合している化合物をアルコキシシランと称する。具体的に例示すると4官能アルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、3官能のアルコキシシランとしてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドプロポキシトリメトキシシラン、グリシロプロピルメチルジエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2官能のアルコキシシランとしてはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。縮合物としてはエチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51等の4官能アルコキシシランの縮合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0018】
また加水分解物としてはアルコキシシラン類を有機溶媒と水及び触媒を使用して加水分解させたものが使用できる。これらのシリカ化合物の内、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51およびそれらの加水分解生成物であるアルコール性シリカゾルは膜を強固に基材上に固定でき、且つ比較的安価であることから特に好適である。
【0019】
アルコール性シリカゾルの製造方法は特に限定されることはなく、塗布液内でアルコキシシランの加水分解反応を行っても良いし、アルコキシシランを加水分解または部分加水分解し、既にアルコール性シリカゾルとなったものを本発明酸化チタン液に添加しても良い。
【0020】
これらバインダー液は塗布液に混合して使用されるが、バインダーの混合に際し、バインダー液と水系の酸化チタン分散液を混和、安定化させるために溶媒を使用することができる。溶媒の種類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの一価低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類およびそれらのエステルであるセルソルブなどが好溶媒として利用できる。これら溶媒の量は塗布液全体に対して5〜90重量%である。
【0021】
シリカ化合物、即ちバインダーは、酸化チタン含有塗布液に予め混合して貯蔵しておいてもよいが、バインダー成分が通常の保存方法で劣化する場合は、使用直前に酸化チタン含有塗布液と混合し使用することもできる。バインダーの量は多過ぎると塗布液の安定性を阻害するだけでなく、酸化チタンの表面を覆ってしまい触媒効果を大幅に低下させるので、比表面積50m/g以上の酸化チタン粒子を(A)、酸化チタン微粒子を(B)、バインダーのシリカ混合物(SiO)を(C)とした場合(C)/((A)+(B)+(C))=5〜30重量%であることが好ましい。特に触媒効果を期待する場合は5〜20重量%であると更に良い。塗布液中でのバインダー濃度は塗布液の粘度や安定性に影響するのでSiOとして0.1〜5重量%がよい。塗布液にバインダーを添加してから長時間貯蔵する場合にはさらに低く2.5重量%以下であることがより好ましい。
【0022】
本発明塗布液を塗布した結果、実用的な密着性が得られれば、どのような基材にも塗布することもできるが、一般的な基材としては、タイルや瓦、ガラス等のセラミクス類、鉄、アルミ等の金属類、アクリル、PET、ポリカーボネート、塩ビ等のプラスチック類、各種の塗装表面やコンクリート、モルタル表面、布などに塗布することができる。
【0023】
基材形状は板状、フイルム状、成型体などいずれでも可能である。塗布液を基材上に塗布して酸化チタン薄膜を形成させる方法はいずれの方法でも良く、刷毛塗り、スプレー塗布、スピンコート、ディップコート、ロールコート、グラビアコート、バーコートなど各種の塗布方法が基材の形状を考慮して選択できる。塗布液の乾燥は基材の種類によって異なるが通常300℃以下で熱処理される。ガラスやセラミクスを基材とする場合は高い温度で処理する方が密着性が良くなるが、500℃以上では酸化チタンの焼結による比表面積の低下が著しく、触媒効果が低下する。
【0024】
また、基材が、アクリル、PET、ポリカーボネート、塩化ビニルなどのプラスチック類の場合は基材の耐熱性から熱処理温は150℃以下となる。酸化チタン薄膜の膜厚は厚い方が触媒効果を高められるが、3μm以上になると膜厚の増加と触媒効果の増加が比例しなくなるのでこれ以上の膜厚は一般的に不経済となる。また膜厚が厚いとひび割れの原因にもなるので実用的には0.2〜2μmが触媒効果と経済性を両立できる膜厚である。しかし基材の種類により異なるので、これに限定されるものではない。
【0025】
薄膜形成にあたり上記のプラスチック類を基材とする場合は、基材と酸化チタン薄膜との密着性をより高めるために、基材と酸化チタン薄膜との間に樹脂を主成分とする接着層を設けることができる。接着層としては基材と酸化チタン薄膜組成の両方に親和性の高いものが好ましいが、アクリル樹脂を主成分とするものは、密着性の高い強靱な接着層を形成できるので最適である。密着性をさらに増加させたい場合はシリカゾルやシリコーン樹脂、アルコキシシランなどの有機シリコン化合物をアクリル樹脂に混合して使用することもできる。また、アクリル樹脂に代えてアクリル変性シリコン樹脂化合物、シリコン変性アクリル樹脂化合物も使用できる。接着層は一般的に上記樹脂化合物を含む溶液を塗布することにより形成する。溶液はトルエン、キシレン、ケトン、アルコールなどの溶媒に樹脂を分散させたものでも、水系のエマルションタイプでもよい。接着層の塗布形成方法は特に制限されず、酸化チタン薄膜と同様の方法で塗布し、接着層を形成することができる。接着層の膜厚は限定されないが、0.2μm程度以上であれば十分な密着性を付与できる。当然のことながら、基材表面が何らかの理由により既に上述樹脂で被覆されている場合には、これらの処理を省略することができる。
【0026】
【実施例】
以下にこれまで述べてきた発明の詳細を具体的に例を挙げて説明するが、本発明はそれらの実施例によって限定されるものではない。尚、特に断らない限り%は全て重量%を示す。
【0027】
(実施例1)
日本エアロジル(株)製酸化チタンP-25(比表面積50m/g)に分散剤としてクエン酸を加え(酸化チタンに対し0.1モル)、湿式粉砕して得た平均粒子径0.8μm(比表面積68m/g)のスラリー(A)と多木化学(株)製酸化チタンゾルM-6(比表面積280m/g、平均粒子径10nm)(B)、関東化学(株)製テトラエトキシシラン(C)をそれぞれ酸化物換算(TiO、SiO)で(B)/((A)+(B))×100=10%、(C)/((A)+(B)+(C))=20%の比となるように混合し、水及びエタノールで希釈し、酸化物換算(TiO、SiO)の総固形分濃度8%、エタノール50%の塗布液を得た。この塗布液を75mm×52mmのスライドガラスおよび多木化学(株)製シリコン含有アクリル樹脂塗料プライマーAを1μm厚でコートしたPET基板上に上記酸化チタン薄膜形成塗布液をスピンコートし、100℃で10min乾燥させた後、試料板とした。このときの基板状に塗布された塗布液の乾燥固形分は基板あたり0.003gとした。
【0028】
(実施例2)
多木化学(株)製酸化チタンA-100(比表面積295m/g)に分散剤としてしゅう酸を加え(酸化チタンに対し0.2モル)、湿式粉砕して得た平均粒子径0.6μm(比表面積300m/g)のスラリー(A)と同法により得た平均粒子径150nm比表面積325m/gのゾル(B)、信越化学工業(株)製テトラメトキシシラン(C)をそれぞれ酸化物換算で(B)/((A)+(B))×100=6%、(C)/((A)+(B)+(C))=20%の比となるように混合し、水及びイソプロピルアルコールで希釈し、酸化物換算の総固形分濃度10%、イソプロピルアルコール35%の塗布液を得た。この塗布液を75mm×52mmのスライドガラスおよび三洋化成工業(株)製アクリルシリコン樹脂エマルション塗料サンモールを5μm厚でコートしたアクリル基板上に上記上記酸化チタン薄膜形成塗布液をスピンコートし、100℃で10min乾燥させた後、試料板とした。このときの基板状に塗布された塗布液の乾燥固形分は基板あたり0.003gとした。
【0029】
(実施例3)
多木化学(株)製酸化チタンゾルA-6を105℃で乾燥させた後、これに分散剤としてリンゴ酸を加え(酸化チタンに対し0.1モル)、湿式粉砕して得たスラリー(平均粒子径0.65μm、比表面積140m/g)(A)と実施例2で用いたゾル(B)、多摩化学(株)製シリケ−ト40(C)をそれぞれ酸化物換算で(B)/((A)+(B))×100=18%、(C)/((A)+(B)+(C))=15%の比となるように混合し、水及びエタノールで希釈し、酸化物換算の総固形分濃度5%、エタノール40%の塗布液を得た。この塗布液を75mm×52mmのスライドガラスおよび大日本インキ化学工業製アクリル系特殊エマルション樹脂塗料ボンコートDV-759膜を5μm厚でコートしたPET基板上に上記酸化チタン薄膜形成塗布液をスピンコートし、100℃で10min乾燥させた後、試料板とした。このときの基板状に塗布された塗布液の乾燥固形分は基板あたり0.003gとした。
【0030】
(比較例1)
実施例1の多木化学(株)製酸化チタンゾルM-6(B)の固形分(TiO)全量を、日本エアロジル(株)製酸化チタンP-25の湿式粉砕スラリー(A)の固形分(TiO)に置き換え、酸化チタン成分を一種類にして実施例1と同じ方法により塗布液及び試料板を調製した。
【0031】
(比較例2)
実施例1の多木化学(株)製酸化チタンゾルM-6(B)の固形分(TiO)全量を、日本エアロジル(株)製酸化チタンP-25の湿式粉砕スラリー(A)の固形分(TiO)に置き換え、さらにテトラメトキシシラン(C)(SiO)量を(C)/((A)+(C))=35%となるように混合した以外は実施例1と同じ方法により塗布液及び試料板を調製した。
【0032】
(比較例3)
実施例1のテトラメトキシシラン(C)量(SiO)を(C)/((A)+(B)+(C))=50%となるように混合した以外は実施例1と同じ方法により塗布液及び試料板を調製した。
【0033】
(比較例4)
実施例1の多木化学(株)製酸化チタンゾルM-6(B)の固形分(TiO)を増加させ(B)/((A)+(B))×100=30%とした以外は実施例1と同じ方法により塗布液及び試料板を調製した。
【0034】
(膜強度試験)
上記実施例、比較例で作成したガラス基板サンプルに1kg/cmの加重をかけた市販のプラスチック消しゴムによる反復スクラッチにより評価し、200回のスクラッチで膜が消失していないものをAA、100〜200回のスクラッチで膜が消失したものをA、50〜100回で膜が消失したものをB、50回未満で膜が消失したものをCとした。
【0035】
(ガス分解活性試験)
上記実施例、比較例で作成したアクリル基板サンプル試料板1枚を、容積1.9Lのパイレックスガラス製セパラブルフラスコに設置し、アセトアルデヒドガスをボンベから導入して容器内を100ppmとし、密閉した。この後フラスコ外部より、市販のFLブラックライトを、試料表面の紫外線強度が1mW/cmとなるようにして120分間照射し、残存するアセトアルデヒド濃度を検知管で測定した。触媒効果は初期アルデヒド濃度に対する分解消失したアセトアルデヒド濃度の百分率で表した。その結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
(試験結果)
Figure 0003980290
【0037】
【発明の効果】
本発明酸化チタン薄膜形成塗布液は二種類の酸化チタンで構成されており、これを基材表面に塗布したときは両者が相互に作用して、高い触媒活性と実用的な膜強度を有する酸化チタン薄膜担持基材が得られる

Claims (3)

  1. 平均粒子径0.4〜1.5μm、比表面積50m/g以上の酸化チタン粒子(A)0.2〜15重量%と、平均粒子径200nm以下、比表面積200m/g以上の酸化チタン粒子(B)0.05〜10重量%、及びシリカ化合物(SiOとして)(C)0.1〜5重量%を含有し、且つ(B)/((A)+(B))×100=3〜25重量%、(C)/((A)+(B)+(C))=5〜30重量%である酸化チタン薄膜形成塗布液。
  2. シリカ化合物がアルコキシシランまたはその縮合物、加水分解物である請求項1記載の酸化チタン薄膜形成塗布液。
  3. 平均粒子径0.4〜1.5μm、比表面積50m/g以上の酸化チタン粒子(A)の濃度が0.2〜15重量%、平均粒子径200nm以下、比表面積200m/g以上の酸化チタン粒子(B)の濃度が0.05〜10重量%、シリカ化合物(SiO)(C)の濃度が0.1〜5重量%であって、且つ(B)/((A)+(B))×100=3〜25重量%、(C)/((A)+(B)+(C))=5〜30重量%となるように(A)、(B)及び(C)を混合することからなる酸化チタン薄膜形成塗布液の製造方法。
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