JP3764826B2 - 無機コーティング組成物、その製造方法および基材の汚染防止方法 - Google Patents

無機コーティング組成物、その製造方法および基材の汚染防止方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック成形体表面および自動車、車両、機械製品などの鉄または非鉄金属製品、木材製品、プラスチック製品などの塗装品の塗膜表面の汚染防止に好適であり、鉄または非鉄金属、ガラス又はセラミックス、繊維、木材などの基材表面の汚染防止に有効な、耐久性に優れた無機コーティング組成物、その製造方法および基材の汚染防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
光触媒作用を有する酸化チタンに、そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射すると伝導帯に電子が集積し、価電子帯に正孔が生じる。光励起によって生じた電子および正孔によって生じる強い酸化還元作用により有機物質が分解されることはよく知られている。
【0003】
この酸化チタンの光触媒作用を工業的に利用する試みが広く行われており、中でも防汚、抗菌、大気浄化、水質浄化の面での取り組みが盛んであり、光学特性を利用した取り組みも多くなされている。
【0004】
基材に酸化チタン微粒子を固定化する方法として、難分解性のバインダーと混合したコーティング組成物を塗布する方法が多く報告されている。但し、基材がプラスチック成形体または自動車の上塗り塗膜やプラスチック成形体に塗装された硬化塗膜などの有機樹脂からなるものとなると、熱分解、熱変形を避けるために150℃以下、好ましくは120℃以下の低温で硬化することが必要であり、密着性も考慮しなければならない。
【0005】
また、基材がプラスチックの場合、耐久性を維持するために酸化チタンの持つ光触媒作用が基材に及ばない工夫が必要となる。特に長期間の耐久性が要求される自動車外板用塗膜またはバンパーなどのプラスチック部品の塗膜上に適用する場合は、塗装系としての耐久性の確保が最大の課題となる。従って、酸化チタンを固定化するバインダーとしては、そのものが光分解される恐れのある有機樹脂は不適であり、多くの場合、難分解性の無機系バインダーが用いられる。
【0006】
更には、酸化チタンを含まない難分解性コーティング材で皮膜を形成させたものをバリヤー層として、その上に酸化チタンを含む皮膜を形成する方法も報告されている。
【0007】
例えば、バインダーとして、加水分解性の有機金属化合物の加水分解生成物を用いる方法(特開平4−174679、特開平8−141503、特開平8−164334、特開平9−40872、特開平9−248467、特許第2756474号公報参照)があるが、多くは有機金属化合物として有機シラン化合物もしくは有機チタン化合物を使用している。特に、基材がアクリルメラミン樹脂、ポリエステルメラミン樹脂などからなる硬化塗膜の場合、4官能性有機シラン化合物を用いたバインダーは密着性、耐溶剤性、耐摩耗性などに優れているが厚膜時に割れやすく、3官能性および2官能性有機シラン化合物の場合は密着性に乏しい。
【0008】
また有機シラン化合物を用いて、ゾル−ゲル法により皮膜を形成させる場合、皮膜形成温度が150℃以下の比較的低温域で形成された皮膜は粒構造もしくは蜂の巣状をなし、極めて多孔質であり、連続皮膜形成能が低い。それをバインダーとして、光触媒作用をもつ酸化チタンをプラスチック基材上に直接固定化する場合は勿論であるが、それをプライマーとしてプラスチック基材上に用い、その上に光触媒作用を持つ酸化チタン含有の無機コーティング材の皮膜を形成させた場合、光酸化作用が下層のプラスチック基材にまで及び、数カ月の屋外暴露で変色、チョーキングなどの異常が生じるため使用できない。即ち、プライマーとして用いてもバリヤー効果は乏しい。
【0009】
有機チタン化合物の場合は、多くはアルコキシドであるが、基材がアクリルメラミン樹脂、ポリエステルメラミン樹脂などからなる硬化塗膜の場合、形成された皮膜は密着性に乏しく、また屈折率が大きいことから、過度な光沢、干渉縞などの意匠上の問題が生じる。
【0010】
バインダーとして緻密な連続皮膜形成能に優れたポリオルガノシロキサンを用いて、シリコーン樹脂皮膜を形成させる方法(特開平7−171408号公報参照)もあるが、有機塗膜上では極めて密着性が悪く、また150℃以下の低温では硬化性に乏しいため、耐溶剤性、耐薬品性などに優れた皮膜を得ることは困難である。
【0011】
コーティング用組成物としてポリオルガノシロキサンと加水分解性の3官能性有機シラン化合物とを含む組成物(特開平5−140507号公報参照)が提案されているが、加水分解性の有機シラン化合物が3官能性有機シラン化合物のものだけでは、総じて密着性、硬化性に劣り、3官能性シラン化合物の中では特異的に密着性の良好なメルカプト基含有シラン化合物を用いた場合、硬化性に劣り、耐候性が極めて悪くなる。
【0012】
以上のように、基材がプラスチックの場合、光触媒作用を持つ酸化チタンを固定化する時は、先ずバインダーの選択が必要であり、長期耐久性を要する場合はプライマーの選択が重要となるが、基材との密着性、低温硬化性、長期耐久性の面で従来技術には課題が残されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、密着性、耐久性に優れた難分解性の無機コーティング組成物およびその製造方法を提供するものであり、併せて、該無機コーティング組成物をバインダーとして光触媒作用を持つ酸化チタンを基材上に固定化することを特徴とする基材の汚染防止方法、および、特にプラスチック基材において、該無機コーティング組成物をプライマーとして用い、上層に含まれる酸化チタンの光触媒作用からプラスチック基材を保護することを特徴とする耐久性に優れた基材の汚染防止方法、及びその汚染防止方法によって得られる物品を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
(A)一般式
aSiO(4-a)/2
(式中、Rは1価の置換または非置換の炭化水素基を示し、aは0.8〜1.8である。)
で表される繰り返し構造単位を有し、ケイ素原子に結合した水酸基を1重量%以上有するポリオルガノシロキサン、
(B)一般式
R´bSiX(4-b)
(式中、R´は同一または異種の1価の置換または非置換の炭素数1〜8の炭化水素基を示し、bは0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。)
で表される加水分解性の有機シラン化合物またはその加水分解物、
(C)親水性有機溶媒、
(D)水、及び
(E)金属キレート化合物及び/又は金属アルコレート
を含有することを特徴とする無機コーティング組成物が提供される。
【0015】
本発明によれば、また、基材表面に、上記無機コーティング組成物及び光触媒作用を持つ酸化チタンゾル(F)からなる無機コーティング層を形成することを特徴とする基材の汚染防止方法が提供される。
【0016】
本発明によれば、また、基材表面に、前記無機コーティング組成物をプライマーとして塗装し、そのプライマー表面に、上記光触媒作用を持つ酸化チタンゾル(F)を含有してなるコーティング層を形成することを特徴とする基材の汚染防止方法が提供される。
【0017】
本発明によれば、また、
密着性、耐久性に優れ、長期にわたって汚染防止が可能な方法を施された物品が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0019】
(A)成分のポリオルガノシロキサンは皮膜形成性の点から樹脂状であることが好ましく、ポリオルガノシロキサン中のRは、炭素数1〜8の有機基であり、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基;フェニルのようなアリール基;クロロメチルのようなハロアルキル基が好ましい。ポリオルガノシロキサン中のaは、0.8〜1.8、好ましくは1.0〜1.6であり、0.8未満では保存安定性が悪く、加熱処理する場合には増粘、ゲル化が起こりやすく、一方1.8を超えると硬化速度が遅いため、得られた皮膜の硬化性が悪く、十分な耐溶剤性を示さない。
【0020】
(A)成分のポリオルガノシロキサンは、数平均分子量が1,000〜30,000であり、水酸基を1重量%以上、好ましくは3重量%以上有するものである。1重量%未満であると硬化性が不十分となり、耐溶剤性を得ることができない。
【0021】
(B)成分の、一般式
R´bSiX(4-b)
で表される加水分解性の有機シラン化合物中のR´は炭素数1〜8の置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;フェニル基などのアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;その他にビニル基、クロロメチル基、γ一クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、メルカプトプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基、γ−アミノプロピル基などが挙げられる。
【0022】
加水分解性基Xとしては、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、アミノキシ基などが挙げられるが、入手のしやすさからアルコキシ基が好ましい。
【0023】
式中のbが0から3の整数である単官能、2官能、3官能、4官能の各官能性のアルコキシシラン類の具体例としては、b=0の場合、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどを挙げることができ、b=1の場合、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロビルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどを挙げることができる。また、b=2の場合、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロビルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。b=3の場合は、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソブチルメトキシシランなどを例示することができる。
【0024】
以上のアルコキシシラン類の中でも、入手のしやすさから、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどが好適である。これらのアルコキシシランは1種単独で用いることも、または2種以上を併用することもできる。
【0025】
尚、(B)成分の(A)成分に対する割合は、(A)成分のポリオルガノシロキサン中の水酸基1当量に対して、0.2〜10当量、好ましくは0.5〜8.0当量である。0.2当量未満では低温硬化性が悪く、密着性も低下する。10当量を超えると厚膜時に皮膜の割れが生じやすく、連続皮膜形成性が低下する。(C)成分の親水性有機溶媒の種類は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノイソブロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールターシヤルブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコール誘導体;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコール誘導体;その他ジエチレングリコール誘導体やジアセトンアルコールなどであり、これらから選ばれる1種もしくは2種以上のものを使用することができる。これらの親水性有機溶剤と併用して、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどを用いることができる。
【0026】
(C)成分の使用量は、(A)成分のポリオルガノシロキサンの固形分濃度が20〜50重量%、好ましくは30〜40重量%となる量である。50重量%を超えると溶液の保存安定性が悪く、20重量%未満では塗装時の希釈溶剤組成の自由度が狭くなり、塗装に支障をきたす場合がある。
【0027】
次に、(D)成分の水については、(B)成分の有機シラン化合物に含まれるアルコキシル基1当量に対して0.2〜2当量、好ましくは0.5〜1.5当量の使用割合で用いられる。2当量を超えると、反応組成物の保存安定性が悪くなり、0.2当量未満では、有機シラン化合物の加水分解が不十分となり、充分な硬化性が得られない。
【0028】
次に(E)成分の金属キレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムージーn−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソプロポキシド−モノメチルアセトアセテートなどのアルミニウムキレート化合物;チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネートなどのチタンキレート化合物;そのほかにクロムアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、錫アセチルアセトネート、鉄(III)アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネートなどが挙げられる。また、金属アルコレートとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウムなどが挙げられる。これらの金属キレート化合物および金属アルコレートは1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0029】
(E)成分の使用量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部未満であると硬化性が低下して、耐溶剤性が得られない。10重量部を超えると、保存安定性および耐候性が低下し、皮膜が黄変するなどの着色が生じる場合がある。
【0030】
本発明の無機コーティング組成物を得るためには、(B)成分の有機シラン化合物を加水分解しておくことが必要であるが、この際、加水分解反応を促進させる目的で、塩酸、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マレイン酸などの無機酸および有機酸を触媒に用いることができる。加水分解の反応温度は常温、好ましくは40℃以上、更に好ましくは50〜80℃であり、反応時間は0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間である。
【0031】
(E)成分は、前記(A)〜(D)の各成分と一括配合して、必要に応じて上記加水分解触媒を加えて混合することができるが、好ましくは、予め、前記(A)〜(D)の各成分を混合して40℃以上で加熱処理を行ない、(B)成分の有機シラン化合物を加水分解した後に、(E)成分を加えて更に40℃以上で加熱処理をすることにより、(A)成分又は(B)成分の自己縮合を抑制し、皮膜のブツの発生の原因となるミクロゲルの生成を抑え、(A)成分の水酸基含有ポリオルガノシロキサンと(B)成分の有機シラン化合物との共縮合生成物を得ることができる。
【0032】
(A)成分の水酸基含有ポリオルガノシロキサンと(B)成分の有機シラン化合物とを共縮合させることにより、緻密な連続皮膜形成性の高いポリオルガノシロキサンに、有機シラン化合物のもつ緻密性及び低温硬化性を付与することが可能である。
【0033】
このようにして得られた本発明の無機コーティング組成物は、クラックが生じにくく、150℃以下の比較的低温で、硬化性、密着性、耐久性に優れた硬化皮膜を形成し、硬化の際に湿度の影響を殆ど受けることはない。
【0034】
この無機コーティング組成物を用いて基材表面の汚染を防止するためには、光触媒作用をもった酸化チタン微粒子の有機物分解能を利用することが効果的である。この場合、
(1)本発明の無機コーティング組成物に酸化チタン微粒子を混合したものを直接塗布するか、または
(2)特に基材がプラスチックの場合は、無機コーティング組成物の硬化皮膜をプライマーとし、その上に、無機コーティング組成物に酸化チタン微粒子を混合したものを上塗りとして塗布するか、または
(3)無機コーティング組成物の硬化皮膜をプライマーとし、その上に(B)成分の加水分解性有機シラン化合物の縮合物をバインダーとして、酸化チタン微粒子を混合してなるコーティング層を形成させる
などの種々の汚染防止方法が可能である。
【0035】
ここで、本発明の特徴とするところの前記コーティング層に配合されるルチル型酸化チタンゾルについて詳述する。
【0036】
酸化チタンの光触媒作用を利用する場合、通常アナターゼ型の酸化チタンが用いられるが、アナターゼ型の場合、光触媒作用が強い半面、特にプラスチック基材の場合、耐久性が問題となり、長期耐久性を要求される分野での実用化は極めて困難である。長期耐久性を確保するためには、無機バインダーの選択と併せて、酸化チタンの種類が重要である。
【0037】
本発明による無機コーティング組成物は酸化チタン微粒子を固定化するバインダーとして、または光触媒作用に対するバリヤー層としてのプライマー組成物を提供するものであり、請求項4記載の酸化チタンはルチル型の結晶形を持ち、アナターゼ型酸化チタンに比べて、はるかに耐久性に優れるものである。しかも光触媒作用はアナターゼ型のものよりもやや低いとはいえ、基材表面の汚染を防止するために充分な有機物分解能を有したものであり、酸化錫との複合コロイドのゾルの形で用いるものである。
【0038】
その製造方法は水和酸化チタンのゲルまたはゾルに過酸化水素を加えて水和酸化チタンを溶解し、次いで得られた溶液を、重量比で酸化チタン/酸化錫=1.5〜14の量の錫化合物の共存下で加熱して得られる。ここで水和酸化チタンのゲルは塩化チタン、硫酸チタンなどのチタン塩の水溶液にアルカリを加えて中和し、洗浄することによって得ることができ、水和酸化チタンのゾルはチタン塩の水溶液をイオン交換樹脂に通して陰イオンを除去するか、またはチタンアルコキシドを加水分解するなどの従来公知の方法によって得ることができる。
【0039】
また錫化合物としては、塩化錫、硝酸錫などの錫塩、錫酸カリウムなどの錫酸塩、その他錫の酸化物、水酸化物が用いられる。錫化合物の添加量は、酸化チタン/酸化錫=1.5〜14、好ましくは2〜10の範囲内である。1.5未満では結晶構造がルチル構造からずれて、アナターゼ型の酸化チタンになり、14を超えるとルチル型構造とは異なる結晶構造を示す。錫化合物を添加した溶液は60℃以上、好ましくは80℃以上の温度に加熱することによって加水分解され、目的のルチル型酸化チタンと酸化錫の複合コロイドのゾルを得ることができる。この際、チタン酸水溶液と錫化合物の混合水溶液に、さらにケイ素化合物を共存させて加熱、加水分解を行うことにより、得られるルチル型酸化チタンゾルの安定性を増すことができる。ケイ素化合物としては、アルカリ金属ケイ酸塩、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸液、またはシリカゲル、シリカゾルなどが用いられる。ケイ素化合物の添加量は、酸化チタンと酸化錫の合計100重量部に対して5〜20重量部である。
【0040】
このようにして得られるゾルは、ルチル型酸化チタン/酸化錫の複合コロイド、またはルチル型酸化チタン/酸化錫/酸化ケイ素の複合コロイドの平均粒径が5〜100nmの範囲内にある、極めて均一な粒子が分散したものである。尚、複合コロイドの表面が、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニアなどで被覆された構造のものも複合コロイドに含まれ、耐久性の面で極めて優れた酸化チタンゾルを得ることができる。
【0041】
酸化チタンを含有するコーティング剤において、塗膜形成成分と酸化チタンの混合割合は、固形分として、塗膜形成成分100重量部に対して20〜300重量部、好ましくは50〜200重量部である。20重量部未満であると、酸化チタンの光触媒作用が小さくなり、汚染防止機能の面で実用性に乏しくなる。300重量部を超えると、基材との接着強度が低下し、耐摩耗性が低下して脱落しやすくなる。
【0042】
次に、前記の基材の汚染防止方法において、本発明に従う無機コーティング組成物の硬化皮膜をプライマーとし、そのプライマー上に、前記の成分のうち、成分(B)〜(F)からなるコーティング層を設ける方法であるが、この場合の有機シラン化合物からなるバインダー組成物は、従来公知の方法で得ることができる。即ち、前記の(B)成分に(C)成分の親水性有機溶媒と(D)成分の水を加えて、有機シラン化合物の加水分解を行う。この時、塩酸、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マレイン酸などの無機酸または有機酸を触媒として用いることができる。この加水分解反応は、常温でもよいし、40℃以上に加熱して行ってもよい。加水分解の後に、常温の場合は12時間以上エージングした後に、(E)成分の金属キレート化合物を加えることによりバインダー組成物を得ることができ、これを塗布して加熱することによって有機シラン化合物の縮合生成物の皮膜を得ることができる。
【0043】
有機シラン化合物のみからなる縮合生成物を酸化チタンのバインダーとして用いる場合、皮膜の厚さはクラックの発生を防止するために1.0μm以下にすることが肝要であり、組成面からは、例えばテトラエトキシシランなどの4官能性シランを有機シラン化合物の当量数の70%を越える当量数で使用する場合には皮膜にクラックが生じやすくなるため注意が必要である。
【0044】
本発明に用いる塗膜形成組成物には、硬化皮膜をより低温で、より短時間で得るために、金属キレート化合物および金属アルコキシド以外に、必要に応じてアミン類、有機金属塩、有機酸またはその無水物、ルイス酸、ハロゲン化金属化合物などの硬化触媒の中で、塗膜形成組成物の保存安定性を損なわないものに限って、塗膜形成組成物と併用してもよい。さらには、意匠上の必要から着色顔料、体質顔料、光輝材、染料等を配合することができ、塗装上の必要から増粘剤、消泡剤、レベリング剤、ワキ防止剤なども配合でき、皮膜性能の向上を目的に紫外線吸収剤、光安定剤など、さらには保存安定剤、pH調整剤なども配合することができる。
【0045】
本発明における無機コーティング組成物、および酸化チタン配合のコーティング組成物は、通常の塗布方法で塗布することができ、たとえば刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬塗装、フローコート、ロールコートなど各種の塗布方法を採用することができる。また、必要に応じて有機溶剤で希釈することができ、希釈割合には特に制限はない。
【0046】
乾燥後の皮膜の厚みには特に制限はなく、たとえば0.01〜30μmであればよいが、皮膜の耐久性、耐摩耗性が良好で、艶びけ、干渉縞などの意匠上の不具合がなく、クラックが生じないためには、好ましくは0.05〜10μmになるようにするとよい。
【0047】
塗布後の乾燥温度については、50〜150℃であるが、好ましくは80〜120℃であれば、プラスチックの熱変形もなく、短時間で良好な硬化性を得ることができる。
【0048】
基材としては、プラスチック、鉄または非鉄金属、ガラスまたはセラミックス、繊維、木材などが用いられるが、特にプラスチック基材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびその共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニール、ABS樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステルなどからなる各種プラスチック成形体、および自動車、車両、機械製品などの鉄または非鉄金属製品、木材製品およびプラスチック成形体などに塗装を施して形成され、ガラス転移温度が50〜130℃である硬化塗膜などが好適である。
【0049】
【発明の効果】
本発明の無機コーティング組成物、その製造方法および基材の汚染防止方法は、光触媒性酸化チタン粒子を基材上に固定化するための結合材または酸化チタンの光触媒作用から基材を保護するためのプライマー組成物を提供し、固定化するための方法および固定化された基材を提供するものである。
【0050】
本発明の汚染防止方法は、光触媒性酸化チタンのもつ有機物分解作用を利用した有害物質の除去、抗菌・防黴、悪臭の除去など、汚染防止以外の様々な環境対策の用途にも、安全性の高い方法として有用なものである。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を示し、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されることはない。記載中の「部」および「%」は重量基準である。
【0052】
無機コーティング組成物(A)の製造例
製造例1
還流冷却器、撹拌器、温度計、滴下ロートを装備した2リットルの4ツ口フラスコに、イソブタノール440部、イソプロピルアルコール230部、水酸基含有量が6%であり分子量が3,200であるジメチル型ポリオルガノシロキサン283部、テトラエトキシシラン42部及びγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン149部を加えて撹拌下に0.01規定の塩酸水溶液36部を滴下した後、60℃に液温を保持したまま1時間加熱し、次にアルミニウムアセチルアセトネート4部を加えて、さらに60℃で1時間加熱した。得られた無機コーティング組成物(A−1)の固形分濃度は32.8%であり、粘度は102cpsであった。尚、固形分濃度は、試料を120℃で30分間加熱し残量を測定して算出した。また、粘度はB型粘度計で回転数60rpmの時の値を示す。
【0053】
製造例2
還流冷却器、撹拌器、温度計、滴下ロー卜を装備した2リットルの4ツ口フラスコに、イソブタノール420部、イソプロピルアルコール250部、水酸基含有量が5%であり分子量が3,700であるジメチル型ポリオルガノシロキサン340部、テトラエトキシシラン42部及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン88部及びメチルトリエトキシシラン24部を加えて撹拌下に0.01規定塩酸水溶液36部を滴下した後、40℃に液温を保持したまま1時間加熱し、次にアルミニウムアセチルアセトネート4部を加えて、さらに60℃で1時間加熱した。得られた無機コーティング組成物(A−2)の固形分濃度は34.2%であり、粘度は140cpsであった。
【0054】
製造例3(比較用、ポリオルガノシロキサンのみの縮合生成物)
還流冷却器、撹拌器、温度計、滴下ロートを装備した2リットルの4ツ口フラスコに、イソブタノール284部、イソプロピルアルコール142部及び水酸基含有量が6%であり分子量が3,200であるジメチル型ポリオルガノシロキサン283部を加え、撹拌下にアルミニウムアセチルアセトネート1.4部を加えて、60℃で1時間加熱した。得られた無機コーティング組成物(A−3)の固形分濃度は37.3%であり、粘度は220cpsであった。
【0055】
製造例4(比較用、有機シラン化合物のみの加水分解・縮合生成物)
還流冷却器、撹拌器、温度計、滴下ロートを装備した2リツトルの4ツ口フラスコに、イソプロピルアルコール460部、テトラエトキシシラン186部及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン192部を加えて撹拌下に0.01規定塩酸水溶液108部を滴下した後、60℃に液温を保持したまま1時間加熱し、次にアルミニウムアセチルアセトネート7.5部を加えて、さらに60℃で1時間加熱した、得られた無機コーティング組成物(A−4)の固形分濃度は29.2%であり、粘度は75cpsであった。
【0056】
実施例1〜2および比較例1〜2
上記製造例1〜4で得られた無機コーティング組成物(A−1)〜(A−4)を、それぞれイソブタノールで希釈して、固形分濃度20%、10%及び1%のコーティング液を得た。厚さ0.7mmの冷延鋼板に化成処理、カチオン電着、中塗を施した塗装板にアクリルメラミン塗料(関西ペイント(株)製、商品名「マジクロン」、塗色:黒)を塗装して、140℃で30分焼付乾燥したものをプラスチック基材とし、その上に上記コーティング液をスプレー塗装して、120℃で25分乾燥した。性能試験結果を表1に示す。
【0057】
表1における性能試験の試験方法は次の通りである。
【0058】
塗面状態:得られた皮膜を目視観察により以下の基準で評価した。
【0059】
○:艶があり、外観上の異常が認められない。
【0060】
×:艶引け、クラックの発生などの異常が認められる。
【0061】
密着性:1mm方眼のゴバン目試験(セロテープ剥離)により以下の基準で評価した。
【0062】
○:剥離が全くない。
【0063】
△:100桝中、剥離が1/5以内。
【0064】
×:100桝中、剥離が1/3以上。
【0065】
耐溶剤性:ガーゼにイソプロパノールを含浸させ、指で強く20往復払拭して、塗面の状態を以下の基準で調べた。
【0066】
○:傷その他異常がない。
【0067】
△:傷、艶引けが認められる。
【0068】
×:皮膜が溶け落ち、脱落する。
【0069】
硬度:微小硬度計((株)フェーチュアテック製、微小硬度計FM)により測定した。値が大きい程、硬度が高いことを示す。
【0070】
【表1】
Figure 0003764826
【0071】
ルチル型酸化チタンゾル(B)の製造例
製造例5
硫酸チタニア溶液を純水で希釈して酸化チタンとして1%含有する水溶液を得た。この水溶液を10℃に保持して撹拌下に15%アンモニア水を添加して、pH9.5の白色懸濁液を得た。この懸濁液を濾過洗浄して固形分が10.2%である水和酸化チタンゲルのケーキを得た。このケーキ530部に35%過酸化水素水462部と純水358部とを加え、85℃で3時間加熱して酸化チタンとして4%のチタン酸水溶液1,350部を得た。次に、錫酸カリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリした酸化錫として1.6%の錫酸水溶液375部と、上記チタン酸水溶液1,350部と純水3,610部を混合した。さらに平均粒子径が7nmであり、シリカ濃度が15%であるシリカゾル57部を混合した後、150℃で18時間加熱してコロイド液を得た。このようにして得られたコロイド液を減圧濃縮して、固形分濃度20%の酸化チタンゾルを得た後、エタノールを加えながら限外慮過膜(「SIP−1013」、旭化成工業製、商品名)にて溶媒置換を行い、固形分濃度20%のエタノールを分散媒とする酸化チタンゾル(B−1)を得た。このゾルの分散粒子のX線回析装置による結晶構造はルチル型であり、比表面積は180m2/gであった。尚、X線回析は、ゾルの分散粒子を110℃で乾燥した後で、理学電機製LAD−IIC型、Cu管球、35kV、12.5mAの条件で測定した。また、比表面積は、ゾルの分散粒子を100℃で10時間乾燥した後で、比表面積測定装置(「マルチソープ12」、湯浅アイオニクス製、商品名)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。
酸化チタン含有コーティング液(C)の製造例
製造例6
製造例1で得た無機コーティング組成物(A一1)に製造例5で得たルチル型酸化チタンゾル(B−1)を混合した。混合割合は、固形分比で無機コーティング組成物100部に対して、酸化チタンゾル100部であった。混合液を、さらにイソブタノールで希釈して、固形分濃度1%の酸化チタン含有コーティング液(C−1)を得た。
【0072】
製造例7〜13
製造例6と同様な方法で、無機コーティング組成物および酸化チタンゾルの種類を変化させ、表2に示す配合量(固形分)にて、固形分濃度1%の酸化チタン含有コーティング液(C−2)〜(C−8)を得た。
【0073】
尚、表2の製造例12及び13の酸化チタンゾル「ST−K03」は、石原産業(株)製のアナターゼ型酸化チタンゾル(酸化チタン濃度:5%)の商品名である。
【0074】
【表2】
Figure 0003764826
【0075】
基材への施工実施例および比較例
実施例3
実施例1〜2および比較例1〜2で用いた塗装板(上塗り:アクリルメラミン塗料、塗色:黒)と上塗りの塗色が白である塗装板の2種類のものをプラスチック基材として、その上に、製造例6で得た酸化チタン含有コーティング液(C−1)をスプレー塗装して、120℃で25分乾燥した。皮膜厚は0.08〜1μmであった。黒塗色のものは、特に仕上がり外観試験用とし、白塗色のものは汚染度合いや暴露後の色差試験用として使用した。
【0076】
実施例4
実施例3と同様な黒と白の2種類の塗色の基材に、製造例1で得た無機コーティング組成物(A−1)を固形分濃度7%に希釈してスプレー塗装して、120℃で25分乾燥してプライマーとし、さらにその上に、製造例6で得た酸化チタン含有コーティング液(C−1)をスプレー塗装して、120℃で25分乾燥した。プライマーの厚さは0.6〜1μm、酸化チタン含有皮膜の厚さは0.08〜0.11μmであった。
【0077】
実施例5〜8および比較例3〜9
実施例3と同様な黒と白の2種類の塗色の基材に、後記表3に示す種類のプライマーおよび酸化チタン含有コーティング液を使用して、実施例3および4と同様な方法で皮膜を形成させた。実施例5〜8および比較例3〜8の性能試験結果を表3にまとめて示す。
【0078】
実施例9〜12
基材として、厚さ0.7mmの冷延鋼板にりん酸亜鉛処理(日本パーカライジング(株)社製、商品名「PB−3020」)を施したもの、厚さ0.3mmのアルミニウム板(A−1050)にクロメート処理(日本パーカライジング(株)社製、商品名「アルクロム713」)を施したもの、さらにはガラス板(日本テストパネル工業(株)社製、商品名「JISR3202」(フロート硝子))に後記表3に示す種類のプライマー及び酸化チタン含有コーティング液を使用して実施例3及び4と同様の方法で皮膜を形成させた。実施例9〜12の性能試験結果を表3にまとめて示す。
【0079】
尚、表3の比較例8において使用したプライマー(A一5)は、市販のアクリルシリコーン系樹脂(「グラスカT8001」、日本合成ゴム(株)製、商品名)である。
【0080】
表3における性能試験の試験方法は次の通りである。
【0081】
塗面状態:得られた皮膜を目視観察により以下の基準で評価した。
【0082】
○:艶があり、外観上の異常が認められない。
【0083】
×:艶引け、クラックの発生などの異常が認められる。
【0084】
密着性:1mm方眼のゴバン目試験(セロテープ剥離)により以下の基準で評価した。
【0085】
○:剥離が全くない。
【0086】
△:100桝中、剥離が1/5以内。
【0087】
×:100桝中、剥離が1/3以上。
【0088】
光沢:入射角、反射角60度の時の鏡面光沢度をグロスメーターで測定した。
【0089】
汚染度合い:都市汚染の激しい東京都心部で1年間屋外暴露後の試験板(白塗色)を水洗することなく、初期板と比較してその汚染度合いを目視観察により以下の基準で評価した。
【0090】
○:暴露前と殆ど同じで汚染されていない。
【0091】
△:黒シミがやや目立つ。
【0092】
×:黒シミが目立ち、汚染がひどい。
【0093】
色差(△L値):都市汚染の激しい東京都心部で1年間屋外暴露後の試験板(白塗色)の非水洗部の初期板との色差を、「SMカラーコンピューターSM−4型」(スガ試験機(株)製)にて△L値(白味)を測定した。上記汚染度合いを数値化したものであり、マイナスの値が大きいほど白味が減退しており、汚染が進んでいることを示す。尚、実施例11及び12の値は、裏面に白紙を貼り付けて測定したものである。
【0094】
【表3】
Figure 0003764826
【0095】
【表4】
Figure 0003764826

Claims (1)

  1. [i](A)一般式RaSiO(4-a)/2(式中、Rは1価の置換もしくは非置換の炭化水素基を示し、aは0.8〜1.8である)で表される繰り返し構造単位を有し且つケイ素原子に結合した水酸基を1重量%以上有するポリオルガノシロキサン、(B)一般式R´bSiX(4-b)(式中、R´は同一もしくは異種の1価の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の炭化水素基を示し、bは0〜3の整数であり、Xは加水分解性基を示す)で表される加水分解性の有機シラン化合物またはその加水分解物、(C)親水性有機溶媒、(D)水及び(E)金属キレート化合物及び/又は金属アルコレートを含有する無機バインダー組成物と、
    [ii] 水和酸化チタンのゲルまたはゾルに過酸化水素を加えて水和酸化チタンを溶解し、次いで得られる溶液を重量比でTiO2/SnO2=1.5〜14の量の錫化合物の共存下で加熱して得られるルチル型酸化チタンと酸化錫の複合コロイドのゾル
    を含有し、その際、該複合コロイドのゾルを該複合コロイドのゾル中の酸化チタンが該無機バインダー組成物中の塗膜形成成分100重量部あたり20〜300重量部となるような割合で含有するコーティング組成物。
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