JPH1190327A - 塗膜の形成方法 - Google Patents

塗膜の形成方法

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JPH1190327A
JPH1190327A JP9251834A JP25183497A JPH1190327A JP H1190327 A JPH1190327 A JP H1190327A JP 9251834 A JP9251834 A JP 9251834A JP 25183497 A JP25183497 A JP 25183497A JP H1190327 A JPH1190327 A JP H1190327A
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JP
Japan
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coating
parts
titanium oxide
hard coat
clear
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Application number
JP9251834A
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English (en)
Inventor
Shunsuke Nakayama
俊介 中山
Noriyuki Ishida
則之 石田
Mitsuhiro Matsuda
充弘 松田
Satoshi Fujii
聡 藤井
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Dai Nippon Toryo KK
Original Assignee
Dai Nippon Toryo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐擦り傷性、耐摩耗性、耐候性、特に耐汚染
性にすぐれた塗膜の形成方法を提供することにある。 【解決手段】 合成樹脂基材上に、ハードコート層を設
け、該層上に平均粒径0.05〜0.2μmの酸化チタ
ン微粒子、加水分解性珪素化合物又は該珪素化合物の加
水分解物及び/又は加水分解性珪素化合物の部分縮合物
並びに溶媒からなるクリア塗料を塗布することよりなる
塗膜の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐擦り傷性、耐摩耗
性、耐候性、特に耐汚染性に優れた塗膜の形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に合成樹脂と呼ばれる各種重合体又
は共重合体からなる樹脂は、種々の優れた性質を有し、
自動車部品、OA機器部品、建材等として広く日常生活
に活用されている。例えば、ポリカーボネート、ポリメ
チルメタクリレートに代表される透明合成樹脂は軽く、
機械的に比較的強靱であり加工性が良好であるため、広
汎な範囲で利用されているが、その反面、硬度不十分で
傷がつきやすい。光により劣化し着色するなどの欠点が
あり、遮音、防音材などの道路資材や屋外曝露用途など
への適用は制限されてきた。
【0003】これらの欠点を改良しようとする試みは数
多く提案されている。耐擦り傷性を向上させるため合成
樹脂基材の表面にポリオルガノシラン系ハードコート膜
を設ける方法(特開昭59−155437号)、ハード
コート膜にシリカ微粉末など無機微粒子を添加する方法
(特開昭59−78240号、特開昭59−89368
号)などの方法がとられている。
【0004】一方、耐候性を向上するためには、基材や
前述のハードコート膜に酸化防止剤や紫外線吸収剤など
の安定剤を添加する方法や、特定の酸化チタン粒子を入
れて紫外線を吸収させる方法(特公平7−64941
号)などが提示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の方法により耐擦
り傷性や耐候性が向上し、遮音、防音壁などの道路資材
用途に広く用いられるようになったが、自動車の排気ガ
スによる汚れの付着が著しく、数ヵ月で透明性が損なわ
れるため、除去清掃に多大の工程数と費用がかかってい
るのが現状であり、この作業の回数を減らすことが望ま
れている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材上にハー
ドコート層を設け、さらに光触媒作用を有する酸化チタ
ンを含有するクリア塗料を塗布することにより、自然光
(太陽光)により付着した汚れを分解、除去し、透明性
を保ち、かつ高い表面硬度、耐候性を有する塗膜が得ら
れることを見出した。本発明は、このような新規な知見
に基づいてなされたものである。
【0007】即ち、本発明の塗膜の形成方法は、合成樹
脂基材上に、ハードコート層を設け、ハードコート層上
に平均粒径0.05〜0.2μmの酸化チタン微粒子、
加水分解性珪素化合物又は該珪素化合物の加水分解物及
び/又は、加水分解性珪素化合物の部分縮合物並びに溶
媒からなるクリア塗料を塗布することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の塗膜の形成方法に
ついて詳細に説明する。
【0009】本発明で用いられる合成樹脂基材として
は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹
脂、ポリスチレン、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリビ
ニルアルコール、セルロース系樹脂、熱可塑性エラスト
マー等を挙げることができる。
【0010】本発明で用いられるハードコートとして
は、アルコキシシラン、金属アルコキシド及びシランカ
ップリング剤からなる組成物が挙げられる。
【0011】アルコキシシランとしては、Si(O
1 4 で表され、R1 は低級アルキル基(炭素数1〜
4)である。具体的には、Si(O−CH3 4 、Si
(O−C 2 5 4 等が用いられる。これらのアルコキ
シシランを混合して使用することも可能である。
【0012】金属アルコキシドとしては、ジルコニウム
アルコキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウム
アルコキシドなどが用いられる。
【0013】これらの金属アルコキシドは低級アルコキ
シ基を有する。例えば、ジルコニウムアルコキシドは、
Zr(OR2 4 で表され、R2 は低級アルキル基であ
る。具体的には、Zr(O−CH3 4 、Zr(O−C
2 5 4 、Zr(O−C37 4 、Zr(O−C2
9 4 等が用いられる。2種以上のこれらのジルコニ
ウムアルコキシドを混合して用いてもよい。ジルコニウ
ムアルコキシドは、上記アルコキシシラン100重量部
に対して10重量部以下の範囲で使用でき、好ましくは
約5重量部である。10重量部を上回ると、ハードコー
ト層中に形成される複合ポリマーはゲル化しやすく、脆
性が大きくなり、その結果該ハードコート膜が剥離しや
すくなる。
【0014】チタニウムアルコキシドは、Ti(O
3 4 で表され、R3 は低級アルキル基である。具体
的には、Ti(O−CH3 4 、Ti(O−C2 5
4 、Ti(O−C3 7 4 、Ti(O−C4 9 4
等が用いられ得る。2種以上のこれらのチタニウムアル
コキシドを混合して用いてもよい。チタニウムアルコキ
シドは、上記アルコキシシラン100重量部に対して3
0重量部以下の範囲で使用でき、好ましくは約20重量
部である。30重量部を上回ると、形成される該複合ポ
リマーの剛性および脆性が大きくなり、その結果該コー
ティング膜が剥離しやすくなる。
【0015】アルミニウムアルコキシドは、Al(OR
4 3 で表され、R4 は低級アルキル基である。具体的
には、Al(OCH3 3 、Al(OC2 5 3 、A
l(OC3 7 3 、Al(OC4 9 3 等が用いら
れ得る。2種以上のこれらのアルコキシドを混合して用
いてもよい。アルミニウムアルコキシドは、上記アルコ
キシシラン100重量部に対して50重量部以下の範囲
で使用でき、好ましくは約30重量部である。50重量
部を上回ると、形成される複合ポリマーの剛性および脆
性が大きくなり、その結果該コーティング膜が亀裂し、
あるいは剥離しやすくなる。
【0016】シランカップリング剤としては、既知の反
応性有機基を含有するオルガノアルコキシシランを包含
する。特に、エポキシ基を含有するオルガノアルコキシ
シランが好適である。具体的には、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどがある。こ
のようなシランカップリング剤の2種以上を混合して用
いてもよい。シランカップリング剤は、上記アルコキシ
シラン100重量部に対して10〜50重量部の範囲で
使用できる。50重量部を上回ると、形成される該複合
ポリマーの硬度が低下する。
【0017】本発明のハードコートは、アルコキシシラ
ン、金属アルコキシド及びシランカップリング剤からな
るが、必要に応じて、塩基触媒、鉱酸、水、及び有機溶
剤を添加することができる。
【0018】塩基触媒は、主としてハードコート層の形
成に際し構成成分の重縮合用触媒として作用し、水に実
質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶である第3アミ
ンを包含する。その例としては、N,N−ジメチルベン
ジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
トリペンチルアミンがあり、特にN,N−ジメチルベン
ジルアミンが好適である。塩基触媒は、該アルコキシシ
ラン、該金属アルコキシド及び該シランカップリング剤
の合計量100重量部あたり0.1〜1重量部であり、
好ましくは約0.3重量部である。
【0019】鉱酸は、アルコキシシランや金属アルコキ
シドの加水分解を進めるための酸触媒として作用すると
ともに、アルミニウムアルコキシドを溶解させる働きを
有する。その例としては、硫酸、塩酸、硝酸などがあ
る。鉱酸は、アルコキシシラン、金属アルコキシド及び
シランカップリング剤のアルコキシド部分(OR1 、O
2 、OR3 またはOR4 に相当する部分)100重量
部に対し1〜10重量部であり、好ましくは約5.0重
量部である。
【0020】本発明のハードコートは、アルコキシシラ
ン及び金属アルコキシドの合計100重量部に対して、
1〜30重量部の水が用いられる。水の量が30重量部
を上回ると、アルコキシシランや金属アルコキシドの加
水分解が過剰に進むため、該加水分解物が重縮合して得
られる複合ポリマーは、高度に架橋し、多孔質で密度の
低いポリマーとなる。その結果、基材の表面硬度を向上
させることが出来ない。水の量が1重量部未満の場合、
加水分解反応が進行しにくくなる。
【0021】本発明で用いられるハードコートに必要に
応じて添加される有機溶剤は、本発明の基材として使用
する合成樹脂基材の種類により、周知の溶剤から適宜選
択し、合成樹脂が侵されない種類の溶剤が用いられる。
溶剤は、150℃以下、好ましくは130℃以下で実質
的に蒸発するものが望ましい。
【0022】たとえば、ポリカーボネートは、ハロゲン
化炭化水素、環状エーテルなどに侵されやすく、ポリメ
チルメタクリレート、ポリスチレンは、エステル、ケト
ン、ハロゲン化炭化水素、有機酸などに、また塩化ビニ
ルは環状ケトン、環状エーテル、ハロゲン化炭化水素な
どに侵されやすい。
【0023】これらの点を考慮し、溶剤としては、アル
コール系のものを用いるのが好ましい。通常炭素数1〜
6、好ましくは2〜5のアルコールを用いる。具体的に
は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール、イソブタノール、第三級ブタノ
ール、アミルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブ等を挙げることができる。
勿論これらの溶剤を混合して使用することもできる。
【0024】また、合成樹脂基材が侵されない範囲内に
おいて、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、エ
チルエーテル、酢酸など他の溶剤を併用してもよい。
【0025】ハードコートは、前記アルコキシシラン、
前記金属アルコキシド及び前記シランカップリング剤と
からなり、適宜の塗装方法で使用し、塗装後は5〜10
分間室温で放置して乾燥する。かくして得られた塗膜
は、50〜150℃、好ましくは110〜130℃程度
の温度で30分〜10時間程度加熱(焼付)処理して、
三次元網状に硬化した被膜とすることもできる。この
際、加熱温度は、合成樹脂の軟化温度であることが望ま
しく、加熱温度が高ければ短時間、低ければ長時間の焼
付を行なえばよい。
【0026】被膜の厚さは、通常0.1〜20μ程度で
充分であり、好ましくは0.2〜10μである。前記範
囲よりも被膜が薄ければ、目的とする表面硬度の向上が
みられず、また前記範囲よりも被膜が厚ければ、成形加
工時に被膜の剥離が起こりやすく好ましくない。
【0027】また、本発明のハードコートに予め通常の
酸触媒、例えば、p−トルエンスルホン酸、リン酸、塩
酸、ホウ酸、蓚酸、酒石酸、無水マレイン酸などを添加
しておけば、低温かつ短時間で焼付を行なうことができ
る。
【0028】本発明のハードコートを合成樹脂基材に塗
布する前に周知の手段、例えば、洗剤、アルカリ、アル
コール、重クロム酸混液などで表面で前処理することも
でき、場合によってはハードコートを塗布する前にアク
リル系樹脂プライマーなどを一層塗装すれば被膜の密着
性に好ましい効果を与える。
【0029】本発明で用いられるクリア塗料組成物は、
平均粒径0.05〜0.2μmの酸化チタン微粒子、加
水分解性珪素化合物又は該珪素化合物の加水分解物及び
/又は加水分解性珪素化合物の部分縮合物及び溶媒から
なる。
【0030】クリア塗料組成物で用いられる酸化チタン
とは、特定エネルギーを持つ光の照射で有機物の酸化還
元に対して触媒作用を示すものであり、純粋な酸化チタ
ンの他、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン
酸、オルトチタン酸、水酸化チタンと呼ばれているもの
を含む。二酸化チタンまたはこれより低次酸化状態にあ
るものが特に好ましく用いられる。二酸化チタンの結晶
型は、アナターゼ型、ルチル型、フルッカイト型のいず
れでも良く、またこれらの混合物でも良い。
【0031】これらの二酸化チタンは微粉末状であり、
その粒径は光触媒活性の強さから見て0.05〜0.2
μmのものが使用できる。この微粉末は乾燥状態の粉末
として用いてもよいが、後述の加水分解性珪素化合物か
ら誘導されるシリカバインダーと均一分散させるために
予め分散媒体中に分散させた状態としておく事が望まし
い。本発明において二酸化チタンが良好に分散されてい
るか否かは塗膜を形成したときの光触媒機能に大きく影
響してくる。
【0032】光触媒機能を更に向上させるために酸化チ
タン表面に白金、金、銀、銅、パラジウム、ロジウム、
ルテニウムなどの金属、酸化ルテニウム、酸化ニッケル
等の金属酸化物を被覆しても良い。
【0033】これらの酸化チタンは水などの溶媒に高度
に分散させて使用される。超微粒子となっている酸化チ
タンを二次凝集させずに水などの溶媒と均一分散させて
置くためには、酸性またはアルカリ性として保存して置
くことが好ましい。酸性下に置くときはpH0.5〜
4、特に1〜3.5とするのが好ましい。分散媒体とし
ては水の他、水とアルコールの混合物を用いても良い。
【0034】本発明で用いられる加水分解性珪素化合物
としては、アルキルシリケート、ハロゲン化珪素及びこ
れらの部分加水分解物である。アルキルシリケートとし
てはメチル、エチル、イソプロピルシリケートなどが用
いられる。これらのシリケートはいずれも単量体もしく
は部分加水分解によって生成するオリゴマーの形で用い
られ、オリゴマーとしては一般式SinOn-1 (OR)
2n+2(ただしnは2〜6、RはC1〜4のアルキル基)
で表わされるアルキルシリケート縮合物が特に好まし
い。これらオリゴマーは混合物でも用いられる。
【0035】部分加水分解するときの触媒としては、
酸、アルカリのいずれもが使用できる。酸化チタン分散
体が酸性のときは酸で加水分解したアルキルシリケート
が好ましい。加水分解液の分散溶媒は水または炭素数が
1〜4のアルコールが用いられる。酢酸エチルなどのエ
ステル類は、組成物液を不安定にするので好ましくな
い。本発明において用いられる珪素化合物及びその部分
加水分解物及び/又はその部分縮合物は、酸化チタンを
結合される目的で用いられるものであるので以下におい
てシリカバインダーと呼ぶ。
【0036】酸化チタンとシリカバインダーとの混合
は、適宜に出きるが、一例を示すと酸性下にある所定量
の二酸化チタン水性分散液を10〜50℃の液温に保持
し、これに秤量したアルキルシリケートもしくは部分加
水分解物を添加する際にこれの加水分解触媒を同時に加
えても良いし、二酸化チタン分散液中に存在する酸分を
利用して加水分解を進めても良い。分散媒体としてアル
コール系の媒体を用いる場合は、二酸化チタンの水/ア
ルコール混合媒体分散液と、アルコール媒体中でアルキ
ルシリケートもしくは部分加水分解物を50〜1500
%加水分解した液とを撹拌下に混合してクリア塗料組成
物を得ることもできる。
【0037】クリア塗料組成物中のチタンとシリカとの
割合は、各々二酸化チタンと二酸化珪素に換算した重量
比(TiO2 /SiO2 )で85/15〜30/70と
することが必要である。シリカの混合割合が15%未満
の場合、ハードコート層及び酸化チタン同志の接着強度
が充分でなく指触や振動で容易に脱落してしまい好まし
くない。逆に70%を超えた場合、酸化チタンの光触媒
機能が小さくなり、実用性に乏しくなる。これは酸化チ
タン粒子表面を覆うシリカの割合が大きくなり、酸化チ
タンと酸化分解されるべき物質との接触を妨害すること
になると思われる。好ましくは、(TiO2 /Si
2 )で80/20〜50/50の範囲内のものが好ま
しい。
【0038】クリア塗料組成物中の固形分濃度は重量で
30%以下である。ここで固形分とは全組成物中におけ
る酸化チタンとシリカの合計量を言い、酸化チタンは二
酸化チタンに、シリカは組成物中のアルキルシリケート
もしくはそのオリゴマー中の珪素(Si)分をSiO2
に換算した値を用いている。
【0039】その他の成分としては、水分及び/又は有
機溶媒が主体であり、組成物を基材面上へ塗布後、乾燥
により実質的に除去されるべきものである。好ましい固
形分濃度は5〜20重量%であり、固形分濃度が5%未
満になるとハードコート層との接着性は強固になるが、
塗膜の厚さ、つまり二酸化チタン量が不十分で光触媒機
能を充分発揮できる塗膜を形成することができない為好
ましくない。
【0040】逆に固形分濃度が30%を超えると組成物
中の固形物の分散性が悪くなり、組成物の保存安定性が
著しく低下し、僅かな日数でゲル化が生じ易くなる。
【0041】また、このような高濃度になると成膜性も
悪く、形成された被膜のハードコート層との接着性が大
きく低下し、指触で容易に剥離してしまい好ましくな
い。
【0042】クリア塗料組成物には、少量のチタンアル
コキシド、四塩化チタンを加えても良い。又、チタン或
いはシランカップリング剤などを加えても良い。更に組
成物の安定性確保及び濡れ特性を改善するために各種界
面活性剤を加えても良い。また、アルコキシ基を2個以
上含むアルコキシシランもしくはハイドロシランの化合
物は固形分算出の際のシリカの換算に加えるものとす
る。
【0043】クリア塗料組成物は、ハードコート層表面
に塗布され、乾燥、場合によって低温焼成されて塗膜化
される。塗布方法は塗布すべき基材の形状によってスピ
ンコーティング、スプレーコーティング、バーコート、
ディップ法などが適宜に使用される。塗膜の厚さは0.
1〜3μm、特に0.3〜2μmが適当である。二酸化
チタンの光触媒活性は、表面に露光し酸化分解されるべ
き化合物と接触可能な二酸化チタンの量に関係するので
本来は塗膜の厚さは関係ないが、現実には塗膜厚さに不
均一があり、又粒子の分散は必ずしも理想とする均一性
が得られず、余り薄くすると塗膜表面上の二酸化チタン
量が少なく光触媒活性が充分でないので前記程度の厚さ
にすることが好ましい。このような厚さであると塗膜を
透明にすることも可能であり、基材の持つ種々の構成、
デザインを損なうことなく、その表面に光活性を持つ被
膜を形成することが出来る。
【0044】クリア塗料の塗膜は100℃の乾燥によっ
て爪で擦っても容易に剥離しないかなり強固な被膜を形
成できるが、シリカバインダーは100℃以上の温度で
乾燥することによって、より強固な塗膜を形成すること
ができるので必要に応じ100〜300℃で乾燥もしく
は低温焼成してもよい。但し、超微粒子状二酸化チタン
の触媒活性は150℃以上の乾燥で徐々に低下を始め、
400℃を超えると急激に低下することがあるので、塗
膜強度の必要性に応じて適宜に乾燥温度を選択する必要
があるが、いずれにしても480℃以下の乾燥もしくは
低温焼成が好ましい。
【0045】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明する。
【0046】
【実施例】実施例中、「部」、「%」は重量基準で示
す。
【0047】<ハードコート液Aの調製>シンナミルト
リアルコキシシラン20部、プロピルトリアルコキシシ
ラン30部、エタノール20部、イソプロピルアルコー
ル40部のハードコート液Aを調製した。
【0048】<ハードコート液Bの調製>メチルエチル
エトキシメトキシシラン50部をエタノール50部に溶
解させ(溶液I)その溶液にTiブトキシド5部及びプ
ロピオン酸7部を酢酸20部の溶液に溶解させたもの
(溶液II)10部を加えたハードコート液Bを調製し
た。
【0049】<ハードコート液Cの調製>プロピルトリ
アルコキシシラン30部、テトラメトキシシラン10
部、エタノール20部、イソプロピルアルコール50部
からなるハードコート液Cを調製した。
【0050】<ハードコート液Dの調製>γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン25部、メタノール分
散コロイダルシリカ(触媒化成工業社製;固形分濃度3
0%)12.5部、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル8.5部およびエチルセロソルブ47.0重量部
からなる溶液に、0.05規定の塩酸6.8部を徐々に
滴下し、加水分解を行った。その後、過塩素酸アンモニ
ウム0.1部を加え、撹拌して混合させた。これにシリ
コン系界面活性剤0.1部を加えてハードコート液Dを
調製した。
【0051】<ハードコート液Eの調製>ペンタエリス
リトールテトラアクリレート20部、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート20部、エチレングリコールジ
アクリレート30部、イソプロピルアルコール28部お
よびベンゾインメチルエーテル1部からなるモノマー組
成物に、フッ素系界面活性剤1部を添加し、ハードコー
ト液Eを調製した。
【0052】<テトラアルコキシシリケートの加水分解
縮合物溶液の調製>撹拌機、温度計、還流冷却器を取り
付けたセパラブルフラスコにメチルアルコール204部
及びテトラエトキシシリケート(エチルシリケート4
0;日本コルコート社製商品名)30部を40℃で撹拌
混合し、次いでこれに60%硝酸1.5部と水4.5部
からなる混合物を一括添加し、40℃でさらに4時間撹
拌し、SiO2 濃度が5%のテトラエトキシシリケート
の加水分解縮合物を得た。
【0053】<オルガノアルコキシシランの加水分解縮
合物溶液の調製>撹拌機、温度計、還流冷却器を取り付
けたセパラブルフラスコにメチルトリエトキシシリケー
ト20部とメチルアルコール177.5部を40℃で撹
拌混合し、次いでこれに60%硝酸1.5部と水3部か
らなる混合物を一括添加し、40℃でさらに4時間撹拌
し、SiO2 濃度5%のオルガノアルコキシシランの加
水分解縮合物を得た。
【0054】<クリア塗料aの調製>撹拌機、温度計、
還流冷却器を取り付けたセパラブルフラスコに上記のテ
トラアルコキシシリケートの加水分解縮合物溶液10部
とイソプロピルアルコール60部を仕込み、均一に撹拌
して40℃に維持する。これに粒径5μmのTiO2
分散体を所定量加えて、TiO2 /SiO2 の比を80
/20(重量比)とし、40℃で1時間撹拌した。固形
分濃度は10%に調製し、クリア塗料aを調製した。
【0055】<クリア塗料bの調製>前記クリア塗料a
の調製と同様にして、TiO2 /SiO2 の比を70/
30(重量比)とし、クリア塗料bを調製した。
【0056】<クリア塗料cの調製>前記クリア塗料a
の調製と同様にして、TiO2 /SiO2 の比を50/
50(重量比)とし、クリア塗料cを調製した。
【0057】<クリア塗料dの調製>撹拌機、温度計、
還流冷却器を取り付けたセパラブルフラスコに上記のオ
ルガノアルコキシシランの加水分解縮合物溶液10部と
イソプロピルアルコール60部を仕込み、均一に撹拌し
て40℃に維持する。これに粒径5nmのTiO2 水分
散体を所定量加えて、TiO2 /SiO2 の比を60/
40(重量比)とし、40℃で1時間撹拌した。固形分
濃度は10%に調製し、クリア塗料dを調製した。
【0058】<クリア塗料eの調製>前記クリア塗料d
の調製と同様にして、TiO2 /SiO2 の比を80/
20(重量比)とし、クリア塗料eを調製した。
【0059】<クリア塗料fの調製>前記クリア塗料d
の調製と同様にして、TiO2 /SiO2 の比を95/
5(重量比)とし、クリア塗料fを調製した。
【0060】<クリア塗料gの調製>前記クリア塗料d
の調製と同様にして、TiO2 /SiO2 の比を20/
80(重量比)とし、クリア塗料gを調製した。
【0061】表1にハードコート液とクリア塗料の組合
せによる実施例1〜7、比較例1〜5に示した。
【0062】塗装は、ポリカーボネート樹脂基板上にハ
ードコート液をディッピング塗装し、120℃で1時間
硬化させ、ハードコート層を得た。得られたハードコー
ト層上にクリア塗料をディッピング塗装し、120℃で
1時間硬化させ、塗膜を得た。かくして得られた塗膜の
サンプルを用いて以下の性能試験を行った。
【0063】<初期密着性試験>サンプルにカッターナ
イフで碁盤目(10mm間隔、100個)を作成し、セ
ロハンテープで剥離する。100個の中残存せる個数を
算える。
【0064】<耐候性試験>サンシャインウエザオメー
ターで1000時間照射後の黄変度ΔYI値をカラーコ
ンピューター(スガ試験機社製)で測定した。テスト前
後の黄変度の差ΔYI値で示した。
【0065】<耐擦り傷性試験>JIS K5400
8.9に準じ、摩耗輪CS−10F、加重500g、1
00回転の条件で試験前後の曇り価の差(ΔH:ベー
ス)で示した。
【0066】<耐汚染性試験>試験片をピース(日本た
ばこ産業社製;20本入り)2本分の煙を充満させた密
閉容器に放置してたばこのヤニを付着させる。この試験
片を東芝ブラックライトにて、紫外線強度1mW/cm
2 で12時間さらした後のたばこのヤニの残存状態を黙
視にて判定した。
【0067】○:完全にヤニがなく、無色・透明であ
る。
【0068】△:わずかにヤニが残っている。
【0069】×:照射前とほとんど変化がなく、ヤニが
残っている。
【0070】<アセトアルデヒド減少率>塗膜の光触媒
活性を数値で示すため、アセトアルデヒドと気相接触さ
せつつ光照射したときのアセトアルデヒドの分解割合を
測定して、”アセトアルデヒド減少率”で示した。減少
率の数値が大きいほど塗膜の光触媒活性が高いことを示
している。
【0071】(1)三ツ口セパラブルフラスコに横向き
にセットし、内部に試験片を入れる。
【0072】(2)東芝製ブラックライト15Wを試験
片に向けて放置して紫外線強度1mW/cm2 になるよ
うにする。
【0073】(3)エアーポンプを用いてフラスコ内部
とサンプリング用液コックをチューブで循環するように
接続し、1リットル/minで循環する。
【0074】(4)フラスコの三ツ口の一つにシリコン
Wキャップを付けてマイクロシリンジでアセトアルデヒ
ドを導入する。濃度は100ppmとなるようにする。
サンプリング用の液コックの一つにアセトアルデヒド濃
度測定用のガス検知管を取り付ける。
【0075】(5)光を照射せずにアセトアルデヒド濃
度が100ppmになるように循環と導入を行う。ほぼ
一定となった後、光を照射して30分、60分、120
分後に検知管でアセトアルデヒド濃度を測定し、以下の
式より減少率(%)を求めた。アセトアルデヒド減少率
(%)=初期濃度−照射後の濃度/初期濃度×100
【0076】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 183/02 C09D 183/02 185/00 185/00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂基材上に、ハードコート層を設
    け、該ハードコート層上に平均粒径0.05〜0.2μ
    mの酸化チタン微粒子、加水分解性珪素化合物又は該珪
    素化合物の加水分解物及び/又は加水分解性珪素化合物
    の部分縮合物及び溶媒からなるクリア塗料組成物を塗布
    することを特徴とする塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 クリア塗料の酸化チタン及び珪素の重量
    比が各々TiO2 及びSiO2 への換算値で85/15
    〜30/70であることを特徴とする請求項1記載の塗
    膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 上記ハードコート層がアルコキシシラ
    ン、金属アルコキシド及びシランカップリング剤からな
    る群から選ばれる少なくとも1種を含む組成物からなる
    請求項1記載の塗膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 上記酸化チタン微粒子が分散媒体中に分
    散させた状態にある請求項1記載の塗膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 上記クリア塗料組成物におけるTiO2
    及びSiO2 として換算した酸化チタン及びシリカの合
    計量の固形分濃度が5〜30重量%である請求項1記載
    の塗膜の形成方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2482912C1 (ru) * 2011-09-30 2013-05-27 Российская Федерация, От Имени Которой Выступает Министерство Промышленности И Торговли Российской Федерации Способ получения фильтрующе-сорбирующего материала с фотокаталитическими свойствами
CN106902651A (zh) * 2017-03-07 2017-06-30 大连理工大学 一种亲疏水性梯度变化的复合膜制备方法
JP2019031657A (ja) * 2017-06-30 2019-02-28 ザ・ボーイング・カンパニーThe Boeing Company 感水性材料の接着性増強のための非水系ゾル−ゲル
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US11692113B2 (en) 2017-06-30 2023-07-04 The Boeing Company Nonaqueous sol-gel for adhesion enhancement of water-sensitive materials

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