JP6120666B2 - 撥水性透明被膜付基材およびその製造方法 - Google Patents

撥水性透明被膜付基材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、撥水性透明被膜付基材およびその製造方法に関する。特に、撥水性に優れるとともに透明性、ヘーズ、硬度、強度、耐擦傷性、耐摩耗性、密着性等に優れた撥水性透明被膜付基材およびその製造方法とに関する。
一般に固体表面がフラクタル構造を有している場合、固体表面が親水的な場合には親水性が向上して超親水性を示し、逆に固体表面が疎水的な場合には撥水性が向上して超撥水性を示すことが知られている。
特許文献1(特開2005−343016号公報)には、基材表面に超撥水性被膜を被覆した超撥水性被膜被覆物品において、超撥水性被膜が微粒子集合体からなる突起体及び撥水性膜を備えた、被膜の被覆領域において、突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、突起体が存在する部分の被膜表面に突起体による凹凸が形成されている超撥水性被膜被覆物品が開示されている。
具体的には、三次元に結合したコロイダルシリカとアルキルアルコキシシランとフッ素を含有するアルキルアルコキシシランを混合し、撥水材料と珪素酸化物微粒子との共加水分解・縮重合物を調製し、これを撥水処理用分散液として用い、フローコート法にて塗布し、自然乾燥して超撥水処理ガラス基板を調製している。
また、特許文献2(WO2003/039856号公報)には、基体と、基体の表面に形成された微小凹凸を有する下地膜と、下地膜の微小凹凸上に形成された撥水性皮膜とを含む超撥水性基体であって、撥水性皮膜の表面形状が、粒子状突起物と、粒子状突起物よりも基板の表面から測定した高さが高い柱状突起物とにより構成された超撥水性基体が開示されている。
その具体的製造方法は、テトラクロロシランのデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を、シリカを主成分とする下地膜である凹凸下地膜形成用塗布液として調製し、別途、フッ素を含有するアルキルアルコキシシランのデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を撥水処理剤として調製し、まず、自動車用ウインドシールドガラスの表面に凹凸下地膜形成用塗布液を塗布し、静置した後、撥水処理剤を塗布し、静置した後エチルアルコールで洗浄して表面の撥水処理剤を完全に洗い流し、(焼成することなく)自然乾燥して撥水処理されたウインドシールドガラスを調製している。
特許文献3(特開2004−137137号公報)には、表面に微小凹凸を有した珪素酸化物を主成分とする皮膜が被覆された物品であって、微小凹凸は、微小突起および柱状突起により構成されていることを特徴とする皮膜被覆物品が開示されている。その製造方法として、クロルシリル基含有化合物を、シリコン油を主成分とする溶媒に溶解した塗布溶液を塗布することで、かかる構造を有する皮膜が形成できる旨開示されている。
特許文献4(特開平8−40748号公報)には、ガラス基板と、基板の表面に、表面処理することなく成膜した状態でマイクロピット状表層、凹凸状表層、凸状表層のうち少なくとも1種以上の表層形状を呈している酸化物薄膜あるいは混合酸化物薄膜で成る下地層と、該下地層の上に、少なくともフルオロアルキルシランと、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫の粒子と、シリコーン化合物と、水と、有機溶媒からなる混合溶液に、酸をフルオロアルキルシラン1molに対して5×10-4 mol 〜2×10-2 molになるよう添加した撥水撥油液を塗布成膜した薄膜である撥水層とからなることを特徴とする撥水性ガラスが開示されている。
具体的には、シリカゾル(分子量約3,000)とシリカゾル(分子量約100,000)を特定モル比での混合物のイソプロピルアルコール分散液を下地膜形成用のコーティング溶液として用いて下地層を形成し、別途、撥水撥油液として、シリカゾル(分子量約3,000)のエタノール溶液と酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫の粒子(粒子径20nm)とソプロピルアルコールとヘプタデカトリデシルフルオロアルキルシラン、硝酸水溶液との混合物を塗布し、250℃で乾燥して撥水ガラスを調製している。
特開2005−343016号公報 WO2003/039856号公報 特開2004−137137号公報 特開平8−40748号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、珪素酸化物微粒子が不均一に積層した被膜が形成され、表面に形成される凹凸が比較的大きく、被膜の基材への密着性、強度が不充分となり、撥水性の再現性が十分得られない場合があった。
また、特許文献2の方法では、下地膜形成成分、撥水処理剤の加水分解、重縮合が不十分となるためか、被膜の強度、硬度が充分得られない場合があり、撥水性も初期値は高いものの、摩耗等により大きく低下する場合があった。
さらに、特許文献3では、初期の接触角は超撥水性を示すものの、乾布を用いた耐摩耗試験後の接触角は大きく低下する問題があった。
特許文献4のように、自動車用ワイパーを用いた耐摩耗性試後の水に対する接触角の低下は小さいものの、初期接触角も耐摩耗性試後の接触角も約110〜100程度と接触角が150℃以上の超撥水性は得られていない。
上記したように、用途・用法によっては、さらに撥水性の向上、撥水性膜の基材との密着性、耐摩耗性、耐擦傷性等の向上、加えて、これら性能を長期にわたって維持することが求められている。
本発明者等は、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、特定形状の粒子形状の無機酸化物粒子を、特定の有機ケイ素系表面処理剤で表面処理したものから微粒子層を形成すれば、表面に特定の凹凸構造が具備され、撥水性が高く、加えて、撥水性を長期にわたって維持することが可能な透明被膜が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
[1]基材、および
基材上に形成された撥水性透明被膜からなり、
該撥水性透明被膜が、表面処理無機酸化物微粒子からなる無機酸化物微粒子層からなり、
撥水性透明被膜表面が凹凸構造を有し、該凹凸の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、
水との接触角が130〜180°の範囲にあることを特徴とする撥水性透明被膜付基材。
[2]前記凹凸構造の凸部の表面がさらに微細凹凸を有し、該微細凸部の平均高さ(TFF)が3〜50nmの範囲にあり、平均凸部間距離(WFF)が3〜50nm、
FF/TFが0.01〜0.2の範囲にあり、WFF/WFが0.005〜0.2の範囲にある[1]の撥水性透明被膜付基材。
[3]前記無機酸化物微粒子の形状が板状、繊維状、鎖状のいずれかである[1]の撥水性透明被膜付基材。
[4]前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜50の範囲にあり、
前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(WF)が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WPF)が1.5〜50の範囲にあり、
前記鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が5〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が20〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にある[3]の撥水性透明被膜付基材。
[5]前記無機酸化物微粒子が板状アルミナ微粒子、板状シリカ・アルミナ微粒子、繊維状アルミナ微粒子、繊維状シリカ・アルミナ微粒子、鎖状シリカ微粒子、鎖状ジルコニア微粒子、鎖状五酸化アンチモン微粒子から選ばれる少なくとも1種である[3]または[4]の撥水性透明被膜付基材。
[6]前記表面処理無機酸化物微粒子は下記式(1)または下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されている[1]の撥水性透明被膜付基材。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
[7]前記表面処理無機酸化物微粒子の表面処理量が無機酸化物微粒子を酸化物として100重量部に対しRn-SiO(4-n)/2として1〜100重量部の範囲にある[6]の撥水性透明被膜付基材。
[8]前記平均高さ(TF)と前記平均凸部間距離(WF)との比(TF)/(WF)が0.1〜10の範囲にある[1]の撥水性透明被膜付基材。
[9]前記基材と前記無機酸化物微粒子層との間にプライマー層を有する[1]の撥水性透明被膜付基材。
[10]前記プライマー層がシリカである[9]の撥水性透明被膜付基材。
[11]基材上に表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布して無機酸化物微粒子層を形成したのち、
加熱処理して、
表面に凹凸構造を有し、該凹凸の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、水との接触角が130〜180°の範囲にある撥水性透明被膜を形成することを特徴とする
撥水性透明被膜付基材の製造方法。
[12]板状、繊維状、鎖状のいずれか無機酸化物粒子を、下記式(1)または下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理した後、
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
得られた表面処理無機酸化物微粒子分散液を、基材上に、塗布・加熱して無機酸化物微層を形成することを特徴とする
表面が凹凸構造を有し、該凹凸の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、水との接触角が130〜180°の範囲にある撥水性透明被膜を有する撥水性透明被膜付基材の製造方法。
[13]前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜50の範囲にあり、
前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(WF)が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WF)が1.5〜50の範囲にあり、
前記鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が5〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が20〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にある[11]または[12]の撥水性透明被膜付基材の製造方法。
[14]前記板状無機酸化物微粒子が板状アルミナ微粒子または板状シリカ・アルミナ微粒子であり、
前記繊維状無機酸化物微粒子が繊維状アルミナ微粒子または繊維状シリカ・アルミナ微粒子であり、
前記鎖状無機酸化物微粒子が鎖状シリカ微粒子である[13]の撥水性透明被膜付基材の製造方法。
[15]前記表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が固形分として0.1〜10重量%の範囲にある[11]または[12]の撥水性透明被膜付基材の製造方法。
[16]あらかじめ基材上に、プライマー層形成用塗布液を塗布してプライマー層を形成する[11]または[12]の撥水性透明被膜付基材の製造方法。
本発明では、特定形状の表面処理無機酸化物微粒子を用いて表面に特定の大きさの凹凸を有し、さらにその凸部が微細な凹凸を有する撥水性透明被膜が形成されている。このような撥水性透明被膜は、従来より提案されていたフラクタル構造とは、規則性が低い点で、また凸部がさらに微細な凹凸を有する点で相違する。
その結果、本発明によれば、基材との密着性、透明性、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、ヘーズ等に優れた超撥水性の透明薄膜付基材が提供できる。この撥水性透明被膜付基材は、防水性能、耐薬品性能等を必要とする自動車、各種電子デバイス、住宅等居住環境、衣服等生活用品等に用いることができる。
以下、まず、本発明に係る撥水性透明被膜付基材について説明する。
[撥水性透明被膜付基材]
本発明に係る撥水性透明被膜付基材は、基材と、基材上に形成され撥水性透明被膜とからなる。
基材
本発明に用いる基材としては、特に制限はなく、例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等の他、各種有機樹脂フィルム、有機樹脂膜を用いることができる。また、これらは、微細孔を有していてもよく、繊維、布等であってもよい。
撥水性透明被膜
撥水性透明被膜は、表面処理無機酸化物微粒子からなる無機酸化物微粒子層からなり、撥水性透明被膜表面に凹凸構造を有する。
(i)無機酸化物微粒子層
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、その形状が板状、繊維状、鎖状であることが好ましい。
前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜50の範囲にあり、
前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(WF)が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WPF)が1.5〜50の範囲にあり、
前記鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が5〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が20〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にあることが好ましい。
板状無機酸化物微粒子
板状無機酸化物微粒子としては、板状アルミナ微粒子、板状アルミナ水和物微粒子、板状アルミナ・シリカ微粒子が挙げられる。
板状アルミナ水和物微粒子の場合、多くは、擬ベーマイトアルミナ水和物微粒子(Al23・nH2O、n=0.5〜2.5)が用いられ、これは結晶性アルミナ水和物微粒子の一種であり、通常一次粒子が板状に配列して二次粒子を形成している。
無機酸化物微粒子の形状が板状である場合は、板状無機酸化物微粒子が面を接しながら積層した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。
板状アルミナ微粒子の平均粒子径(DP)は10〜300nm、さらには30〜250nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径(DP)が前記範囲の下限を超えて小さいものは得ることが困難であり、得られたとしても前記した板状とならず、所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性が不十分となる場合がある。
平均粒子径(DP)が大きすぎても、最終的に得られる撥水性透明被膜の強度、硬度、基材との密着性が不十分となる場合があり、またミー散乱によりヘーズや透明性(光透過率)が不十分となる場合がある。
また、板状アルミナ微粒子の平均厚み(TP)は1〜60nm、さらには3〜50nmの範囲にあることが好ましい。
平均厚み(TP)が薄すぎるものは得ることが困難であり、得られたとしても所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性が不十分となる場合がある。平均厚み(TP)が暑すぎると板状構造を取ることは困難で、立方体に近くなり、充分な凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性、強度、基材との密着性等が不十分となる場合がある。
前記平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)は1.5〜50、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。
平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が前記範囲にあると、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性等に優れた撥水性透明被膜を得ることができる。
繊維状無機酸化物微粒子
繊維状無機酸化物微粒子としては、繊維状アルミナ微粒子、繊維状アルミナ水和物微粒子、繊維状アルミナ・シリカ微粒子、繊維状シリカ微粒子、繊維状酸化チタン微粒子等が挙げられる。
繊維状アルミナ水和物微粒子の場合、擬ベーマイトアルミナ水和物微粒子(Al23・nH2O、n=0.5〜2.5)を用いることが好ましい。
無機酸化物微粒子の形状が繊維状である場合は、繊維状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。そして、これらの微粒子層が、最終的に得られる撥水性透明被膜の表面に所望の凹凸を形成する。
平均長さ(LF)が短いものは、粒子を安定的に再現性よく調製することができない場合があり、得られたとしても繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性が不十分となる場合がある。平均長さ(LF)が長すぎると、同様に粒子を安定的に再現性良く調製することができない場合があり、得られたとしても前記した所定の大きさの繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性が不十分となったり、加えてヘーズが高くなる場合がある。
平均粒子幅(WPF)は1〜100nm、さらには3〜80の範囲にあることが好ましい。
平均粒子幅(WPF)が小さいと、粒子を安定的に再現性良く調製することが困難であり、得られたとしても前記した繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性が不十分となる場合がある。平均粒子幅(WF)が大きすぎると、粒子を安定的に再現性良く調製することが困難であり、得られたとしても前記した繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性が不十分となったり、ヘーズが高くなる場合がある。
前記平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WPF)は1.5〜50、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WPF)が前記範囲にあると、所定の繊維形状となるため、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性等に優れた撥水性透明被膜を得ることができる。
鎖状無機酸化物微粒子
鎖状無機酸化物微粒子としては、鎖状シリカ微粒子、鎖状ジルコニア微粒子、鎖状五酸化アンチモン微粒子等が挙げられる。
無機酸化物微粒子の形状が鎖状である場合は、前記した繊維状無機酸化物微粒子の場合と同様に鎖状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。そして、これらの微粒子層が、最終的に得られる撥水性透明被膜の表面に所望の凹凸を形成する。
鎖状無機酸化物微粒子を構成する一次粒子の平均粒子径(DC)は3〜100nm、さらには5〜80nmの範囲にあることが好ましい。
一次粒子の平均粒子径(DC)が3nm未満のものは容易に凝集して鎖状粒子が得られない場合があり、50nmを超えると一次粒子が連結しにくく鎖状粒子が得られない場合がある。
鎖状無機酸化物微粒子の平均長さ(LC)は10〜500nm、さらには30〜400nmの範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LC)が短い場合は、鎖状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が小さく、所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性が不十分となる場合がある。
平均長さ(LC)が長すぎても所定の凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性透明被膜の撥水性が不十分となったり、加えてヘーズが高くなる場合がある。
前記平均長さ(LC)と平均一次粒子径(DC)との比(LC)/(DC)は1.5〜50、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LC)と平均一次粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が前記範囲にあると、所定の鎖状形状となるため、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性等に優れた撥水性透明被膜を得ることができる。
本発明では、前記した板状、繊維状、鎖状のいずれかの粒子を用い、この粒子の大きさ、形状が重要となる。このような粒子は後述する凹凸を形成できるとともに、凹凸の表面に微細な凹凸が形成されるためか、撥水性に優れた撥水性透明被膜を得ることができる。
本発明で、前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)、平均厚み(TP)、前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)、平均粒子幅(WPF)、および鎖状無機酸化物微粒子の平均長さ(LC)、平均一次粒子径(DC)は、原料で使用される板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子の数値が対応する。
表面処理
前記無機酸化物微粒子は下記式(1)または下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されている。すなわち、フッ素置換炭化水素基を残す有機ケイ素化合物で表面処理がされている。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
このような式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、パ−フルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメトキシメチルトリフルオロプロピルシラン、ペンタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン等が挙げられる。
このようなフッ素含有加水分解性有機ケイ素化合物および/またはフッ素含有加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されていると、撥水性に優れた透明被膜付基材が得られる。
式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物以外の有機珪素化合物であって、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
ここで、式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物のn=0の加水分解性有機ケイ素化合物、即ち、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能の加水分解性有機ケイ素化合物を用いる場合、他の加水分解性有機ケイ素化合物、加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物と混合して表面処理してもよく、予めn=0の加水分解性有機ケイ素化合物で表面処理した後、他の加水分解性有機ケイ素化合物で表面処理してもよい。
この場合、他の加水分解性有機ケイ素化合物の表面処理量を増加させることができるとともに、強固に結合することができ、長期に安定的に撥水性に優れた透明被膜付基材が得られる。
表面処理無機酸化物微粒子中の式(1)および式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物の含有量は、無機酸化物微粒子を酸化物として100重量部に対し加水分解性有機ケイ素化合物をRn-SiO(4-n)/2として1〜100重量部、さらには2〜80重量部の範囲にあることが好ましい。
表面処理無機酸化物微粒子中の式(1)および式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物の含有量が少ないと、無機酸化物微粒子の表面処理ムラが生じ、充分な撥水性が得られない場合がある。
加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物の含有量が多すぎても後述する撥水性透明被膜表面の凹凸の凸部間距離(WF)が小さくなり、撥水性はむしろ低下する場合がある。
前記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物のn=0の加水分解性有機ケイ素化合物を併用する場合、全加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物の含有量の1/2以下、さらには1/4以下であることが好ましい。
n=0の加水分解性有機ケイ素化合物の含有量が多いと、これに由来するシリカが無機酸化物微粒子表面に露出して撥水性を阻害する場合がある。
無機酸化物微粒子の表面処理方法は、例えば、前記無機酸化物微粒子水分散液を限外濾過膜法でメタノール等のアルコールに溶媒置換し、前記加水分解性有機ケイ素化合物を所定量混合し、必要に応じて加水分解用の水と必要に応じてアンモニア等の加水分解用触媒を添加し、必要に応じて熟成する方法等が挙げられる。
プライマー層
本発明では、前記した基材と表面処理無機酸化物微粒子層との間にプライマー層を有していることが好ましい。プライマー層を形成することによって、表面処理無機酸化物微粒子層の密着性をより高めることが可能となる。
プライマー層としては、表面処理無機酸化物微粒子層、さらには透明被膜の密着性を向上できれば特に制限はないが、ガラス等のセラミック基材の場合は無機酸化物系のプライマー層が好ましく、特にシリカ系プライマー層が好ましく、有機樹脂系基材の場合は有機樹脂系のプライマー層を形成してもよく、無機系のプライマー層を形成してもよい。
具体的には、無機酸化物系のプライマー層の場合、シリカゾル、シリカアルミナゾル、アンチモンドープ酸化錫(ATO)ゾル、錫ドープ酸化インジウム(ITO)ゾル等のゾルの他、ケイ酸アルカリ水溶液をイオン交換樹脂等で脱アルカリして得られる酸性ケイ酸液、有機珪素化合物あるいはこれらの加水分解物による無機酸化物層等があげられる。
有機樹脂系のプライマー層を形成する場合は、基材と無機酸化物微粒子層、さらには透明被膜との密着性を向上できれば特に制限は無く、従来公知の有機樹脂系プライマーを用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などが挙げられる。
プライマー層は、プライマー層の厚さが10〜300nm、さらには25〜200nmの範囲にあるように形成されることが好ましい。
プライマー層が薄いと密着性を向上させる効果が不充分となる場合がある。プライマー層が厚すぎても、さらに密着性が向上することもなく、クラックが発生して硬度が低下したり、不十分となる場合がある。
凹凸構造
本発明に係る撥水性透明被膜付基材は、表面が凹凸構造を有する。
該凹凸構造は、凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、水との接触角で定義される。
該凹凸構造の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nm、さらには50〜400nmの範囲にあることが好ましい。凸部の平均高さ(TF)が小さいと、撥水性透明被膜の撥水性が不十分となる場合がある。凸部の平均高さ(TF)が大きすぎても、撥水性透明被膜の外部散乱によってヘーズが高くなる場合がある。
また、平均凸部間距離(ピッチ幅ということがある)(WF)は50〜1000nm、さらには70〜800nmの範囲にあることが好ましい。平均凸部間距離(WF)が短いと、撥水性透明被膜の撥水性が不十分となる場合がある。平均凸部間距離(WF)が大きすぎても、外部散乱によってヘーズが高くなる場合がある。
前記平均高さ(TF)と前記平均凸部間距離(WF)との比(TF)/(WF)(アスペクト比ということがある)は0.1〜10、さらには0.2〜5の範囲にあることが好ましい。(TF)/(WF)が小さい場合は、表面の凹凸構造の凸部の高さが不十分であるため、撥水性が不十分となる場合がある。(TF)/(WF)が大きすぎると表面処理無機酸化物微粒子を配列することが困難で、例え表面処理無機酸化物微粒子が配列できたとしても、均一に結合材用塗布液を塗布することができないためか、得られる撥水性透明被膜の硬度が不十分となる場合がある。
前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は、無機酸化物微粒子の大きさおよび形状、すなわち、板状無機酸化物微粒子では平均粒子径(DP)、平均厚み(TP)、繊維状無機酸化物微粒子では平均長さ(LF)、平均粒子幅(WPF)、鎖状無機酸化物微粒子では平均長さ(LC)、平均一次粒子径(DC)を選択するとともに、後述する透明被膜付基材の製造方法に於ける表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度、塗布方法等に調整される。具体的には、平均粒子径(DP)、平均長さ(LF)、平均長さ(LC)の大きい場合、平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)が大きくなる傾向にあり、また、表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が高い場合平均高さ(TF)が高くなる傾向にあり、濃度が低い場合平均凸部間距離(WF)が大きくなる傾向にある。
本発明の透明被膜表面の凸部は、凸部表面にさらに微細な凹凸を有している。
微細凹凸の凸部の平均高さ(TFF)は3〜50nm、さらには3〜45nmの範囲にあることが好ましい。
本発明では、前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は、原子間力顕微鏡(AFM)(Bruker(株)製:Dimension 3100)により測定した。
微細凹凸の凸部の平均高さ(TFF)が前記範囲にあると、透明被膜の透明性を阻害することなく撥水性に優れた透明被膜が得られる。
また、微細凹凸の凸部の平均凸部間距離(WFF)が3〜50nm、さらには3〜45nmの範囲にあることが好ましい。
FF/TFは、0.01〜0.2、好ましくは0.02〜0.1の範囲にあり、WFF/WFは、0.005〜0.2、好ましくは0.01〜0.1の範囲にある。 TFF/TFおよびWFF/WFがこの範囲あれば、ヘーズを低下させることなく、より撥水性の向上した撥水性透明被膜を得ることができる。
微細凹凸の凸部の平均凸部間距離(WFF)が前記範囲にあると、前記平均高さ(TFF)が所定範囲にある場合と同様に、透明被膜の透明性を阻害することなく撥水性に優れた透明被膜が得られる。
前記した、板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子が集合して凸部を形成し、該凸部の該表面が微細凹凸形成の要因と考えており、即ち、凸部を粒子と見做した場合に、凸部を形成する元の無機酸化物微粒子が凸部表面に微細凹凸を形成するものであり、従って、元の無機酸化物微粒子の大きさ、形状、凸部(表面凹凸)形成条件、即ち、表面処理無機酸化物微粒子の選択、該微粒子分散液の濃度、塗布条件等を調整することによって調節することが可能である。
このような、微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)は、前記した平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)測定時に測定することができ、任意の凸部5個について、凸部を指定して拡大すると微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)を測定することができる。
つぎに、撥水性透明被膜は水との接触角が130〜180°、さらには145〜180°の範囲にあることが好ましい。
撥水性透明被膜の水との接触角が前記範囲にあれば、水滴が被膜上に付着することなく水を弾くような撥水性透明被膜を得ることができる。このため、基材上に水滴痕を形成することもなく、さらに透明性が低下することもない。
これは、前記凹凸構造による特性である。接触角を前記範囲で調整するには、前記した方法で凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)を所定範囲に調整すればよいが、加えてアスペクト比(TF)/(WF)を所定の0.1〜10の範囲、特に1〜5の範囲にすることが好ましい。すなわち、凸部を高密度で形成することによって調整することができる。
つぎに、本発明に係る撥水性透明被膜付基材の製造方法について説明する。
[撥水性透明被膜付基材の製造方法]
本発明に係る撥水性透明被膜付基材の製造方法は、
基材上に表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布して無機酸化物微粒子層を形成したのち、
加熱処理して、前記特性を有する撥水性透明被膜を形成する。
具体的には、板状、繊維状、鎖状のいずれか無機酸化物粒子を、下記式(1)または下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理した後、
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3整数)
得られた表面処理無機酸化物微粒子分散液を、基材上に、塗布・乾燥して無機酸化物微層を形成する。
プライマー層形成
基材上にはあらかじめプライマー層を形成しておくことが好ましい。プライマー層は、プライマー層形成用塗布液を塗布して形成される。
プライマー層形成用塗布液としては、無機酸化物系のプライマー層を形成する場合は無機酸化物前駆体のゾル、ゲル分散液を塗布液として用いることができ、例えば、シリカゾル、シリカアルミナゾル、アンチモンドープ酸化錫(ATO)ゾル、錫ドープ酸化インジウム(ITO)ゾル等のゾルの他、ケイ酸アルカリ水溶液をイオン交換樹脂等で脱アルカリして得られる酸性ケイ酸液、有機珪素化合物あるいはこれらの加水分解物等を用いることができる。
有機珪素化合物としては、前記した表面処理無機酸化物微粒子の表面処理に用いた式(1)、式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物が好適に用いられる。
また、有機樹脂系のプライマー層を形成する場合は、基材と無機酸化物微粒子層、さらには透明被膜との密着性を向上できれば特に制限は無く、従来公知の有機樹脂系塗布液を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などが挙げられる。
プライマー層形成用塗布液は、前記した膜厚となるように塗布される。
塗布方法としては、表面処理無機酸化物微粒子分散液の塗布方法と同様にバーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。プライマー層形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、プライマー層形成用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
無機酸化物微粒子層形成
基材上(プライマー層が形成されている場合はその上)に、表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布して無機酸化物微粒子層を形成する。
・表面処理無機酸化物微粒子分散液の調製
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、前記した板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子が用いられる。
本発明で用いる板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子の製造方法につて、好適に用いられる繊維状、板状のアルミナ水和物微粒子の製造方法を例示する。
アルミナ水和物微粒子の調製法
本発明に用いるアルミナ水和物微粒子の製造方法としては、前記したアルミナ水和物微粒子が得られれば特に制限はないが、以下の方法が例示される。
まず、繊維状アルミナ水和物微粒子の基本的製造方法を例示する。
(1)アルミニウム塩水溶液にアルカリ水溶液を加えて中和してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法、
(2)上記熟成後にアルカリ水溶液を加え、必要に応じて熟成し、ついで、アルミニウム塩水溶液を加え、必要に応じて熟成する方法、
(3)上記(2)を繰り返し行う方法。
あるいは、同様に
(4)アルミン酸ソーダ水溶液に酸水溶液を加えて中和してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法、
(5)上記熟成後に酸水溶液を加え、必要に応じて熟成し、ついで、アルミン酸ソーダ水溶液を加え、必要に応じて熟成する方法、
(6)上記(5)を繰り返し行う方法。
さらに、
(7)アルミニウム塩水溶液とアルミン酸ソーダ水溶液とを混合してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法。この場合
(8)前記(2)あるいは(5)を行い、必要に応じてこれを繰り返す方法、を行っても良い。
本発明では、前記方法で得られたアルミニウムヒドロゲルスラリーを洗浄して用いるが、洗浄して得られた微粒子を本発明に用いるアルミナ水和物微粒子とする。
洗浄方法としては、濾過して、掛け水する方法、限外濾過法、さらには陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂等でカチオン、アニオンを除去する方法、これらを併用する方法、繰り返し行う方法が挙げられる。
上記において、アルミニウム塩水溶液としては塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等の有機酸アルミニウム塩等の水溶液が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア等の水溶液が挙げられる。その他、クエン酸、りんご酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸等の従来公知の粒子成長調整剤を配合して用いることができる。
以上のようにして本発明に用いることのできる繊維状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。繊維状アルミナ微粒子(二次粒子)の平均長さ(LF)、平均粒子幅(WF)は、使用原料、中和条件、熟成条件、その際の濃度、洗浄条件、有機カルボン酸等の粒子成長調整剤の使用等周知の方法で調整することができる。
つぎに、板状アルミナ水和物微粒子の基本的製造方法を例示する。
第1の例は、繊維状アルミナ水和物微粒子を調製した場合と同様にアルミナヒドロゲルスラリーを調製するが、このとき、酸性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製し、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性にし、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性にし、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製する。
あるいは、アルカリ性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製した場合は、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性にし、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性にし、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製する。
ついで、アルミナヒドロゲルスラリーを従来公知の方法で洗浄することによって板状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。
これとは別の第2の例は、アルミン酸ナトリウム水溶液に、必要に応じて加温下で、酸性化合物を加えてアルカリ性領域のアルミナヒドロゲルスラリーを調製し、加温下で熟成することによって一次粒子がほぼ正方形の板状のアルミナ水和物微粒子を調製することができる。ついで、従来公知の方法で充分に洗浄した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAOH)等の有機塩基を加え、オートクレーブ等を用いて高温下、水熱処理し、ついで、洗浄して有機塩基を除去することによって、本発明に好適に用いることのできる板状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。
・表面処理
無機酸化物微粒子を、下記式(1)または下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理する。
表面処理は、従来公知の方法を採用することができる。例えば、無機酸化物微粒子のアルコール分散液を調製し、これに加水分解性有機珪素化合物および水を加し、必要に応じて酸、アルカリ等の加水分解触媒を添加することによって表面処理することができる。
表面処理無機酸化物微粒子分散液の分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプルピル、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プルピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセタート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トルエン等極性溶媒が挙げられる。さらに、N−メチルピロリドン等の極性溶媒を用いることもでき、これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
なお、粒子調製時の溶媒や、表面処理時の溶媒が前記したものと異なる場合、適宜、溶媒置換を行ってもよく、溶媒置換方法としては、公知の手法を特に制限なく採用することができる。
表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度は固形分として0.1〜20重量%、さらには0.5〜10重量%の範囲にあることが好ましい。表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が低いと、無機酸化物微粒子層の厚みが薄く、所望の凹凸が形成できない場合があり、また、一部無機酸化物微粒子層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。
表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が高いと、塗布方法によっても異なるが、塗工性が低下して所望の凹凸を形成できない場合がある。また、無機酸化物微粒子層が厚くなり過ぎて透明性が低下したり、ヘーズが高くなる場合がある。
表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布するが、塗布方法としては、概ね所望の凹凸構造を有する無機酸化物微粒子層を形成できれば特に制限は無く、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布後、加熱処理する。
なお、分散液中の分散媒をあらかじめ除去してもよい。除去方法としては従来公知の方法を採用することができ、例えば、加熱乾燥や、風乾、減圧乾燥など特に制限されない。また、加熱処理と、乾燥処理を兼ねてもよい。
加熱処理温度は、基材の種類によっても異なるが、80〜300℃、さらには130〜250℃の範囲にあることが好ましい。
乾燥・加熱処理によって、無機酸化物微粒子層の表面処理無機酸化物微粒子同士、あるいはプライマー層との結合が増し、強度、硬度、及び基材との密着性を高めることができる。
加熱処理温度が低いと、無機酸化物微粒子層の表面処理無機酸化物微粒子同士、あるいはプライマー層との結合が不十分となり、強度、硬度、及び基材との密着性が不十分となる場合がある。
加熱処理温度が高過ぎると、表面処理に用いた有機ケイ素化合物の炭化水素基が分解して撥水性、強度、硬度、及び密着性が不十分となる場合がある。
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液の調製
スチームジャケット加温式のチタン製100Lタンクへ 純水 55.987kgを張り込み、これに塩化アルミニウム六水和物(関東化学(株)製: 鹿特級、AlCl3・6H2O濃度98重量%)3.532kgを溶解する。この溶液へ水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、NaOH濃度48重量%)2.710kgを添加混合する。これを撹拌下、80℃ へ昇温し、1時間保持してpH4.0 のアルミナヒドロゲルスラリー(1-1)を62.229kg得た。
このアルミナヒドロゲルスラリー(1-1)を80℃に保ったまま、撹拌下、水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、48重量%NaOH)0.620kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH8.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-2)62.849kgを得た。このアルミナヒドロゲルスラリー(1-2)を80℃に保ったまま、撹拌下、塩化アルミニウム六水物(関東化学(株)製: 鹿特級、98重量%AlCl3・6H2O)1.314kgを純水1.463kgに溶解した塩化アルミニウム水溶液2.777kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH4.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-3)65.626kgを得た。
このアルミナヒドロゲルスラリー(1-3)を80℃に保ったまま、撹拌下、水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、48重量%NaOH)1.241kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH9.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)66.867kgを得た。このアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)を限外濾過装置に充填し、Al23としての濃度が4.5重量%となるまで濃縮した。
Al23としての濃度が4.5重量%のアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)を60℃の温純水 にて、残留するナトリウムおよび塩素の濃度が10ppm以下となるまで洗浄を行い、Al23としての濃度が5重量%のアルミナヒドロゲルスラリー(1-5)を得た。
ついで、アルミナヒドロゲルスラリー(1-5)1000gに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SK−1BH)33gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理した。
ついで陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(製):SANUPC)33gを添加し、1時間攪拌して脱アニオン処理した。ついで、再び陽イオン交換樹脂(三菱化学(製):SK−1BH)33gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理してAl23としての濃度が4.8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)分散液を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を得た。
アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液の一部を乾燥し、走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮影し、図1に示した。
平均粒子長さ(LF)、平均粒子幅(WPF)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55重量%)5.66gを添加し、25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.80gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して20℃で10分撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液を調製した。
プライマー層形成用塗布液(1)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)72.5gに水10.0gと濃度61重量%の硝酸0.1gを添加し、25℃で10分撹拌した。ついで、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)17.4gを添加し、30℃で30分撹拌してテトラエトキシシラン加水分解物(固形分濃度5.0重量%、分子量:1000)を得た。ついで、ジアセトンアルコール(DAA)66.7gとエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(I−PG)133.3gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)33.3gを添加して25℃で30分撹拌し、固形分濃度1.5重量%のプライマー層形成用塗布液(1)を調製した。
撥水性透明被膜付基材(1)の製造
まず、プライマー層形成用塗布液(1)を、ガラス基板(浜新(株)製:FL硝子、厚さ:3mm、屈折率:1.51)にバーコーター法(#3)で、乾燥層厚が表となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液をバーコーター法(#3)で、乾燥層厚が表となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥し、ついで、150℃で10分間乾燥・硬化して撥水性透明被膜付基材(1)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(1)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。なお、全光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(スガ試験機(株)製)により測定した。また、未塗布のガラスは全光線透過率が99.0%、ヘーズが0.1%であった。 鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性および密着性は以下の方法で測定した。
鉛筆硬度
JIS−K−5600に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
評価基準:
2H以上 :◎
H〜2H :○
B〜H :△
B以下 :×
耐擦傷性
#0000スチールウールを用い、荷重200g/cm2で10回摺動し、膜の表面を目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示す。
評価基準:
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる:○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
撥水性
全自動接触角計(協和界面科学(株)製:DM 700)で水との接触角を測定した。
密着性
撥水性透明被膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付けて100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着、剥離したときの被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の3段階に分類することによって密着性を評価した。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数95〜99個 :○
残存升目の数90〜94個 :△
残存升目の数89個以下 :×
[実施例2]
表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液の調製
実施例1と同様にして、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を得た。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.70gを添加して25℃で10分間撹拌し、ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55重量%)2.83gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.67gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(2)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を用いた以外は実施例1と同様にして撥水性透明被膜付基材(2)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(2)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例3]
表面処理アルミナ水和物微粒子(3)分散液の調製
実施例1と同様にして、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を得た。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.70gと超純水を1.75g添加した後、50℃で6時間攪拌した。その後、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55%)2.83gを添加して25℃で5分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(3)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)分散液を用いた以外は実施例1と同様にして撥水性透明被膜付基材(3)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(3)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例4]
プライマー層形成用塗布液(2)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)84.90gに水10.0gと濃度61重量%の硝酸0.1gを添加し、25℃で10分撹拌した。ついで、メチルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製:KBM−13)5.00gを添加し、50℃で3時間撹拌してメチルトリメトキシシランの加水分解物(固形分濃度5.0重量%、分子量:1000)を得た。ついで、ジアセトンアルコール(DAA)66.7gとエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(I−PG)133.3gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)33.3gを添加して25℃で30分撹拌し、固形分濃度1.5重量%のプライマー層形成用塗布液(2)を調製した。
撥水性透明被膜付基材(4)の製造
実施例2において、固形分濃度1.5重量%のプライマー層形成用塗布液(2)を用いた以外は同様にして撥水性透明被膜付基材(4)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(4)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例5]
撥水性透明被膜付基材(5)の製造
実施例2において、プライマー層を形成しなかった以外は同様にして撥水性透明被膜付基材(5)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(5)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例6]
表面処理アルミナ水和物微粒子(6)分散液の調製
スチームジャケット付100Lタンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48重量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学(株)社製:特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。ついで、この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学(株)社製:鹿1級、アルミナ換算39重量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解したアルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。別途、スチームジャケット付10Lタンクに純水6.269kgを張り込み、これに濃度35重量%の塩酸水溶液(関東化学(株)社製:特級)0.453kgを撹拌しながら混合し、加温して80℃の希釈塩酸水溶液6.722kgを得た。
アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、希釈塩酸水溶液を添加し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ水和物微粒子(6-a)分散液49.020kgを得た。
このアルミナ微粒子(6-a)分散液を濾過分離し、80℃の温純水を充分に掛けて、洗浄アルミナ水和物微粒子(6−b)ケーキ6.667kgを得た。
このアルミナ微粒子(6-b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ水和物微粒子分散液19.650kgとし、これに、有機塩基性化合物として水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)水溶液(関東化学(株)社製:濃度27重量%)0.35kgを加え、有機塩基性化合物添加アルミナ水和物微粒子(6-c)分散液20.0kgを得た。
ついで、この塩基性物質添加アルミナ微粒子(6-c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、自圧下で24時間水熱処理して、アルミナ水和物微粒子(6-d)分散液を得た。
このアルミナ水和物微粒子(6-d)分散液を限外濾過装置に入れ、充分に洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した残存量が10ppm以下となるまで洗浄を行い、固形分濃度5重量のアルミナ水和物微粒子(6)分散液20.0kgを得た。
得られたアルミナ水和物微粒子(6)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。なお、アルミナ水和物微粒子(6)は、30〜50nm正方形で、厚みが3〜5nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した形で凝集した100〜200nmの大きさの2次粒子であった。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液を得た。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.70gを添加して25℃で10分間撹拌し、ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55重量%)2.83gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.67gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(6)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(3)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(6)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例7]
表面処理アルミナ水和物微粒子(7)分散液の調製
実施例6の加熱処理を、110℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(7)分散液を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子(7)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(7)メタノール分散液を得た。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(7)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.70gを添加して25℃で10分間撹拌し、ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55重量%)2.83gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.67gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(7)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(7)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(7)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(7)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(7)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(7)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(7)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例8]
表面処理アルミナ水和物微粒子(8)分散液の調製
実施例6の加熱処理を、180℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(8)分散液を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子(8)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(8)メタノール分散液を得た。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(8)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.70gを添加して25℃で10分間撹拌し、ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55重量%)2.83gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.67gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(8)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(8)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(8)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(8)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(8)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(8)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(8)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例9]
表面処理アルミナ水和物微粒子(9)分散液の調製
実施例6と同様にして調製した固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gに、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.35gを添加して25℃で10分間撹拌し、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55%)1.41gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水1.76gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(9)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(9)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(9)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(9)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(9)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(9)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(9)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例10]
表面処理アルミナ水和物微粒子(10)分散液の調製
実施例6と同様にして調製した固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gに、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)5.40gを添加して25℃で10分間撹拌し、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55%)5.66gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水7.49gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(10)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(10)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(10)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(10)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(10)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(10)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(10)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例11]
表面処理アルミナ水和物微粒子(11)分散液の調製
実施例6と同様にして固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)32gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)768gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)700gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃0.5重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(11)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(11)の製造
実施例1と同様にして、プライマー層形成用塗布液(1)を、ガラス基板(浜新(株)製:FL硝子、厚さ:3mm、屈折率:1.51)にバーコーター法(#3)で、乾燥層厚が表となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、固形分濃度0.5重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(11)分散液をバーコーター法(#3)で、乾燥層厚が表となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥し、ついで、150℃で10分間乾燥・硬化して撥水性透明被膜付基材(11)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(11)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例12]
表面処理アルミナ水和物微粒子(12)分散液の調製
実施例6と同様にして固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)4gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)96gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度4.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(12)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(12)の製造
実施例1と同様にして、プライマー層形成用塗布液(1)を、ガラス基板(浜新(株)製:FL硝子、厚さ:3mm、屈折率:1.51)にバーコーター法(#3)で、乾燥層厚が表となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、固形分濃度4.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(12)分散液をバーコーター法(#3)で、乾燥層厚が表となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥し、ついで、150℃で10分間乾燥・硬化して撥水性透明被膜付基材(12)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(12)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[実施例13]
表面処理鎖状シリカ微粒子(13)分散液の調製
SiO2濃度が24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比が3.1)334gを純水1266gで希釈して、SiO2濃度が5重量%の珪酸ナトリウム水溶液(pH11)を1600g調製した。この珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂(三菱化学(製):SK−1BH)320gを添加し、1時間攪拌した後、イオン交換樹脂を分離し、脱アルカリ処理したpH4.0、固形分濃度5%の珪酸液1500gを調製した。ついで純水を3500g加え、固形分濃度1.9%に希釈した。この液をセパラブルフラスコに入れ、40℃に昇温した後、10%酢酸アンモニウム水溶液100g加え、酢酸でpHを4.1に調製した後、2時間加熱した。ついで、5%アンモニア水溶液でPH10.5に調製した。その後、95℃に昇温し、90℃で2時間加熱した。40℃まで冷却した後、シリカゾルを得た。
得られたシリカゾルを限外濾過膜(旭化成工業(株)製:SIP−1013)を用いて、SiO2濃度が13重量%になるまで濃縮し、ついで、ロータリーエバポレーターで濃縮し、44μmメッシュのナイロンフィルターで濾過してSiO2濃度20重量%の無機酸化物微粒子(B1-2)分散液を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して固形分濃度8重量%のメタノール分散液を得た。
得られた鎖状シリカ微粒子(13)の平均一次粒子径(DC)は12nm、連結数は10個、平均長さ(LC)は120nmであった。
ついで、固形分濃度8重量%の鎖状シリカ微粒子(13)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.70gを添加して25℃で10分間撹拌し、ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55重量%)2.83gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.67gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(13)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(13)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用の固形分濃度2重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(13)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(13)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(13)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(13)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(13)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[比較例1]
表面処理アルミナ水和物微粒子(R1)分散液の調製
実施例6と同様にして固形分濃度5重量のアルミナ水和物微粒子(6)分散液を得た。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液を得た。固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)5.40gを混合し、ついで、超純水を9.04g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R1)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R1)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R1)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(R1)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R1)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(R1)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(R1)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[比較例2]
表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液の調製
実施例6と同様にして調製した固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gに、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)0.01gを添加して25℃で10分間撹拌し、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55%)0.01gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、濃度99重量%の酢酸0.02gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(R2)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(R2)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(R2)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[比較例3]
表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液の調製
実施例6と同様にして調製した固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gに、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)13.50gを添加して25℃で10分間撹拌し、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55%)14.11gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水18.93gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(R3)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(R3)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(R3)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
[比較例4]
表面処理アルミナ水和物微粒子(R4)分散液の調製
実施例1の加熱処理を、150℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(R4)分散液を調製した。得られたアルミナ水和物微粒子(R4)の平均長さ(LF)、平均幅(WPF)を測定し、結果を表に示す。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(R4)メタノール分散液を得た。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(R4)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.70gを添加して25℃で10分間撹拌し、ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55重量%)2.83gを添加して25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.67gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して25℃で10分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R4)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R4)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R4)分散液を調製した。
撥水性透明被膜付基材(R4)の製造
無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R4)分散液を用いた以外は実施例2と同様にして撥水性透明被膜付基材(R4)を製造した。
撥水性透明被膜付基材(R4)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。
Figure 0006120666
Figure 0006120666

Claims (15)

  1. 基材、および
    基材上に形成された撥水性透明被膜からなり、
    該撥水性透明被膜が、表面処理無機酸化物微粒子からなる無機酸化物微粒子層からなり、
    撥水性透明被膜表面が凹凸構造を有し、該凹凸の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、
    前記凹凸構造の凸部の表面がさらに微細凹凸を有し、該微細凸部の平均高さ(T FF )が3〜50nmの範囲にあり、平均凸部間距離(W FF )が3〜50nm、
    FF /T F が0.01〜0.2の範囲にあり、W FF /W F が0.005〜0.2の範囲にあり、
    水との接触角が130〜180°の範囲にあることを特徴とする撥水性透明被膜付基材。
  2. 前記無機酸化物微粒子の形状が板状、繊維状、鎖状のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の撥水性透明被膜付基材。
  3. 前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜50の範囲にあり、
    前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(W PF が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WPF)が1.5〜50の範囲にあり、
    前記鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が5〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が20〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にあることを特徴とする請求項に記載の撥水性透明被膜付基材。
  4. 前記無機酸化物微粒子が板状アルミナ微粒子、板状シリカ・アルミナ微粒子、繊維状アルミナ微粒子、繊維状シリカ・アルミナ微粒子、鎖状シリカ微粒子、鎖状ジルコニア微粒子、鎖状五酸化アンチモン微粒子から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項またはに記載の撥水性透明被膜付基材。
  5. 前記表面処理無機酸化物微粒子は下記式(1)または下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されていることを特徴とする請求項1に記載の撥水性透明被膜付基材。
    n−SiX4-n (1)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
    n−SiX4-n (2)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
  6. 前記表面処理無機酸化物微粒子の表面処理量が無機酸化物微粒子を酸化物として100重量部に対しRn−SiO(4-n)/2として1〜100重量部の範囲にあることを特徴とする請求項に記載の撥水性透明被膜付基材。
  7. 前記平均高さ(TF)と前記平均凸部間距離(WF)との比(TF)/(WF)が0.1〜10の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の撥水性透明被膜付基材。
  8. 前記基材と前記無機酸化物微粒子層との間にプライマー層を有することを特徴とする請求項1に記載の撥水性透明被膜付基材。
  9. 前記プライマー層がシリカであることを特徴とする請求項に記載の撥水性透明被膜付基材。
  10. 基材上に表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布して無機酸化物微粒子層を形成したのち、
    加熱処理して、
    表面に凹凸構造を有し、該凹凸の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、
    前記凹凸構造の凸部の表面がさらに微細凹凸を有し、該微細凸部の平均高さ(T FF )が3〜50nmの範囲にあり、平均凸部間距離(W FF )が3〜50nm、
    FF /T F が0.01〜0.2の範囲にあり、W FF /W F が0.005〜0.2の範囲にあり、
    水との接触角が130〜180°の範囲にある撥水性透明被膜を形成することを特徴とする
    撥水性透明被膜付基材の製造方法。
  11. 板状、繊維状、鎖状のいずれか無機酸化物粒子を、下記式(1)または下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理した後、
    n−SiX4-n (1)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
    n−SiX4-n (2)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
    得られた表面処理無機酸化物微粒子分散液を、基材上に、塗布・加熱して無機酸化物微層を形成することを特徴とする
    表面が凹凸構造を有し、該凹凸の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、水との接触角が130〜180°の範囲にある撥水性透明被膜を有する撥水性透明被膜付基材の製造方法。
  12. 前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜50の範囲にあり、
    前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(WF)が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(W PF が1.5〜50の範囲にあり、
    前記鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が5〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が20〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にあることを特徴とする請求項10または11に記載の撥水性透明被膜付基材の製造方法。
  13. 前記板状無機酸化物微粒子が板状アルミナ微粒子または板状シリカ・アルミナ微粒子であり、
    前記繊維状無機酸化物微粒子が繊維状アルミナ微粒子または繊維状シリカ・アルミナ微粒子であり、
    前記鎖状無機酸化物微粒子が鎖状シリカ微粒子であることを特徴とする請求項12に記載の撥水性透明被膜付基材の製造方法。
  14. 前記表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が固形分として0.1〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項10または11に記載の撥水性透明被膜付基材の製造方法。
  15. あらかじめ基材上に、プライマー層形成用塗布液を塗布してプライマー層を形成することを特徴とする請求項10または11に記載の撥水性透明被膜付基材の製造方法。
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