JP2015047530A - 水処理用撥水性透明被膜付基材およびその製造方法 - Google Patents

水処理用撥水性透明被膜付基材およびその製造方法 Download PDF

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Mitsuaki Kumazawa
光章 熊澤
吉田 聡
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聡 吉田
祐二 俵迫
Yuji Tawarasako
祐二 俵迫
夕子 箱嶋
Yuko Hakojima
夕子 箱嶋
良 村口
Makoto Muraguchi
良 村口
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Tsuguo Koyanagi
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Abstract

【課題】水処理に使用した場合に高い処理能力を長時間維持することが可能な水処理用撥水性被膜付基材を提供する。【解決手段】基材、および該基材表面の撥水性被膜からなり、該撥水性被膜が、基体用金属酸化物粒子(A)の表面を被覆用金属酸化物微粒子(B)で被覆された金属酸化物粒子からなる粒子層と金属酸化物粒子層上のオーバーコート層とからなり、該撥水性被膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が50〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が20〜1000nmの範囲にあり、前記基材が繊維または布であり、水との接触角が100〜180?の範囲にあることを特徴とする水処理用撥水性被膜付基材。【選択図】図1

Description

本発明は、水処理に好適に用いることが可能な水処理用撥水性透明被膜付基材およびその製造方法に関する。
さらに詳しくは、水処理に使用した場合に高い処理能力を長時間維持することのできる水処理用撥水性被膜付基材およびその製造方法に関する。
近年、水資源の有効活用や質の高い水の要求から、海水淡水化装置や上下水道水の濾過装置の需要が増加している。濾過装置の心臓部には濾過膜が使用され、水から不純物を取り除いている。濾過膜には多くの種類があるが、特に逆浸透膜(以下、RO膜ということがある)は分子レベルの分離・除去が可能であるため純度の高い水や安全な飲み水の生成、塩分除去などを目的とした装置には無くてはならない膜である。
このような水処理装置では、処理能力を維持するには、膜の洗浄が不可欠で、洗浄時期を誤ると高分子複合膜であるRO膜では洗浄しても処理能力が充分回復せず、また、膜の寿命が低下し、処理効率、経済性が低下する問題がある。(技術文献1:大江、岡田、横河技法 Vol.48 No.2(2004)p73)
特許文献1(特開2011−240299号公報)には、逆浸透膜に吸着する水中溶解有機物を吸収するための吸着材料を繊維状にして、逆浸透膜の前の流路内に設置し、非処理水を繊維の長さ方向に流れるようにすることによって有機物を吸着しても目詰まりによる非処理水の流量低下が生じにくいことが開示されている。このとき、繊維は、アミノ基が繰り返し単位に1つ以上含まれる高分子重合体が用いられている。
特許文献2(特開2010−234354号公報)には、高度水処理に用いられる逆浸透膜を劣化させる原因物質がカルボニル基を有する有機物であるとし、この原因物質を選択的に吸着する接触角40度以上の疎水性の前処理吸着剤により、逆浸透膜前で吸着除去することを提案している。このとき、吸着剤表面材質にイミド結合を有するポリイミド、ポリアミドが使用されている。
特許文献3(特開2003−200027号公報)には、原水中に含まれる汚染物質、微量有害物質を選択分離除去可能な複合半透膜が提案されている。複合半透膜は、脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンの混合アミン成分と、多官能ハロゲン化成分と多官能酸無水物ハロゲン化物の混合酸ハロゲン化成分とを、多孔性支持膜上で界面重縮合反応を行い架橋ポリアミドの薄膜を形成した後、pH11以上のアルカリ水溶液中に接触させて製造されている。
これを用いた水処理の結果、グルコースの除去率70%以上となることが報告されている。
特開2011−240299号公報 特開2010−234354号公報 特開2003−200027号公報
大江、岡田、横河技法 Vol.48 No.2(2004)p73)
水処理においては、対象とする水によって処理能力低下原因は異なるが、さらに、処理能力の向上、経済性の向上等が求められている。
処理能力低下原因、逆浸透膜のトラブルの80%がファウリングといわれ、特に疎水性物質、微生物の付着によるバイオファウリングといわれている。
なお、一般に表面がフラクタル構造を有している場合、固体表面が親水的な場合には親水性が向上して超親水性を示し、逆に固体表面が疎水的な場合には撥水性が向上して超撥水性を示すことが知られている。たとえば以下などが知られている。
特開2005−343016号公報には、微粒子集合体からなる突起体及び撥水性膜を備え、突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、突起体が存在する部分の被膜表面に突起体による凹凸が形成された超撥水性被膜被覆物品が開示されている。WO2003/039856号公報には、基体と、基体の表面に形成された微小凹凸を有する下地膜と、下地膜の微小凹凸上に形成された撥水性皮膜とを含む超撥水性基体が開示されている。特開2004−137137号公報には、表面に微小凹凸を有した珪素酸化物を主成分とする皮膜が被覆された物品であって、微小凹凸は、微小突起および柱状突起により構成された皮膜被覆物品が開示されている。特開平8−40748号公報には、ガラス基板と、基板の表面に、マイクロピット状表層、凹凸状表層、凸状表層などの表層形状を有する酸化物薄膜からなる下地層と、該下地層の上に、フルオロアルキルシラン、酸化アンチモンドープをドーパントとする酸化錫粒子、シリコーン化合物の混合物に、酸を添加して成膜した撥水層からなる撥水性ガラスが開示されている。
このような中、本発明者らは、ファウリング物質と逆浸透膜との親和性に着目し、撥水性を付与することで、ファウリングを抑制することを考えた。そして、基体用金属酸化物粒子(A)の表面を被覆用金属酸化物微粒子(B)で被覆された金属酸化物粒子から粒子層を構成して、所定の凹凸構造を有する撥水性膜を形成すると、高い水処理性能を長期にわたって維持することが可能となることを見出して本発明を完成するに至った。
[1]基材、および該基材表面の撥水性被膜からなり、
該撥水性被膜が、基体用金属酸化物粒子(A)の表面を被覆用金属酸化物微粒子(B)で被覆された金属酸化物粒子からなる粒子層と金属酸化物粒子層上のオーバーコート層とからなり、該撥水性被膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が50〜500nmの範囲にあり、
平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が20〜1000nmの範囲にあり、前記基材が繊維または布であり、水との接触角が100〜180°の範囲に水処理用撥水性被膜付基材。
[2]前記基体用金属酸化物粒子(A)が球状粒子であり、平均粒子径(DA)が40〜600nmの範囲にある[1]の水処理用撥水性被膜付基材。
[3]前記被覆用金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径(DB)が4〜60nmの範囲にある[1]の水処理用撥水性被膜付基材。
[4]前記被覆用金属酸化物粒子(B)による基体用金属酸化物粒子(A)の下記式(1)で表される被覆率が30〜100%の範囲にある[1]の水処理用撥水性被膜付基材。
被覆率(%)=[[金属酸化物粒子の実測の比表面積(SA)−基体用金属酸化物粒子の実測の比表面積(SM)]/[100%被覆したとした場合の計算上の比表面積(SC)−基体用金属酸化物粒子の実測の比表面積(SM)]]×100・・・・・・・(1)
(ここで、(SC)=金属酸化物粒子1個当たりの表面積x単位重量(1g)当たりの粒子数、
金属酸化物粒子1個当たりの表面積=4π・[(DA)/2+(DB)/2]2
単位重量(1g)当たりの基体用金属酸化物粒子(A)の個数=1/[4/3・π[(DA)/2]3・d、
dは基体用金属酸化物粒子(A)の粒子密度(g/ml)を表す。)
[5]前記平均粒子径(DB)と前記平均粒子径(DA)との比(DB)/(DA)が0.007〜0.5の範囲にある[1]の水処理用撥水性被膜付基材。
[6]前記基体用金属酸化物粒子(A)および前記被覆用金属酸化物微粒子(B)がSiO2、Al23、Sb25、ZrO2、TiO2、Fe23、CeO2、およびこれらの複合酸化物または混合物(但し、前記基体用金属酸化物粒子(A)および前記被覆用金属酸化物微粒子(B)は同一であってもよい)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
[7]前記基体用金属酸化物粒子(A)および前記被覆用金属酸化物微粒子(B)がともにSiO2である[1]の水処理用撥水性被膜付基材。
[8]前記オーバーコート層がフッ素含有化合物、アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物の少なくとも1種を含んでなる[1]の水処理用撥水性被膜付基材。
[9]前記オーバーコート層が下記式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物である[8]の水処理用撥水性被膜付基材。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
[10]前記オーバーコート層の形成量が、前記金属酸化物粒子層の金属酸化物粒子を固形分として100重量部に対し[Rn-SiO(4-n)/2]として1〜100重量部の範囲にある[9]の水処理用撥水性被膜付基材。
[11]前記基材と前記金属酸化物粒子層との間に接着層(a1)または前記金属酸化物粒子層と後述するオーバーコート層との間に接着層(a2)を有する[1]の水処理用撥水性被膜付基材。
[12]前記凹凸構造の凸部の表面がさらに微細凹凸を有し、該微細凸部の平均高さ(TFF)が0.1〜5nmの範囲にあり、平均微細凸部間距離(WFF)が、前記凸部の平均凸部間距離(WF)よりも小さく、0.1〜5nmの範囲にある[1]の水処理用撥水性被膜付基材。
[13]下記の工程(b)〜(d)からなり、表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、水との接触角が100〜180°の範囲にある水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
(b)繊維または布からなる基材上に、基体用金属酸化物粒子(A)の表面を被覆用金属酸化物微粒子(B)で被覆された金属酸化物粒子の分散液を塗布して金属酸化物微粒子層を形成する工程
(c)前記金属酸化物粒子層上に、オーバーコート層形成用塗布液を塗布してオーバーコート層を形成する工程
(d)加熱処理する工程。
[14]前記工程(b)の前に、下記の工程(a1)を行う[13]の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
(a1)基材表面上に接着層形成用塗布液を塗布して接着層(a1)を形成する工程。
[15]前記工程(b)の後に、下記の工程(a2)を行う[13]の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
(a2)前記金属酸化物粒子層上に接着層形成用塗布液を塗布して接着層(a2)を形成する工程。
[16]前記金属酸化物粒子分散液の濃度が、固形分として濃度が0.1〜10重量%の範囲にある[13]の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法。
[17]前記工程(b)にて形成した金属酸化物粒子層中の金属酸化物粒子100重量部に対して、オーバーコート層形成用塗布液を固形分として、1〜100重量部となるように塗布する[13]の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法。
本発明によれば、特定の撥水性被膜を形成しているので、ファウリング、特に疎水性物質、微生物の付着によるバイオファウリングを有効的に抑制できる。その結果、高い水処理性能を長期にわたって維持することが可能となる。
実施例で評価のために作製した逆浸透膜の概略断面図を示す。
本発明に係る水処理用撥水性被膜付基材について説明する。
[水処理用撥水性被膜付基材]
本発明に係る水処理用撥水性被膜付基材は、基材、および該基材表面の撥水性被膜からなり、所定の凹凸構造と撥水性を有する。
基材
本発明に用いる基材としては、繊維または布が用いられる。
例えば、酢酸セルロース、トリ酢酸セルロース、硝酸セルロース、セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等の樹脂製繊維、布(不織布を含む)を好適に用いることができる。
また、例えば不織布上にロブースリーヤン法等でこれらの高分子を用いた非対称多孔質膜を形成したものも好適に用いることもできる。
また、これら基材は水処理用の膜として用いられる精密濾過(MF膜)、UF膜(限外濾過膜)、NF膜(ナノ濾過膜)、RO膜(逆浸透膜)等の数nm〜数μmの範囲の細孔(以下、貫通孔ということがある)を有する従来公知の水処理膜と併用することができる。
例えば、従来公知の水処理膜上に前記基材を圧着、積層コート等して併用することもできる。
撥水性被膜
撥水性被膜は、金属酸化物粒子層と金属酸化物粒子層上のオーバーコート層を含んで構成されている。
(i)金属酸化物粒子層
本発明では所定の金属酸化物粒子が、撥水性被膜表面に凹凸を構成する。
金属酸化物粒子
本発明では、金属酸化物粒子が、基体用金属酸化物粒子(A)の表面を被覆用金属酸化物微粒子(B)で被覆した粒子が使用される。
このような金属酸化物粒子を用いると、撥水性被膜表面の凸部上にさらに後述する微細凹凸を有する撥水性膜が得られ、高い撥水性を有するとともに水処理に用いた場合にファウリングが抑制されるとともに膜の劣化が抑制され、長期にわたって高い水処理能力を維持することができ、また、繰り返し使用することができる。
なお、必要に応じて、金属酸化物粒子は、表面処理されていてもよく、表面処理剤については、後記する。
基体用金属酸化物粒子(A)
基体用金属酸化物粒子(A)は、球状粒子であり、平均粒子径(DA)が40〜600nm、さらには50〜500nmの範囲にあることが好ましい。
基体用金属酸化物粒子(A)が球状粒子であると、基材上に金属酸化物粒子を均一に塗布することができ、後述する撥水性膜表面に所望の高さの凸部および所望の凸部間距離(ピッチ幅)を有する撥水性被膜を形成することができる。
基体用金属酸化物粒子(A)の平均粒子径(DA)が小さいと、基材上に塗布した際に所望の高さの凸部および所望の凸部間距離(ピッチ幅)を有する撥水性被膜が得られない、即ち凸部の高さ、凸部間距離(ピッチ幅)が小さくなりすぎる場合があり、得られる撥水性膜を水処理に用いた場合に水処理性能が不充分となる場合がある。
基体用金属酸化物粒子(A)の平均粒子径(DA)が大きすぎても、凸部の高さ、凸部間距離(ピッチ幅)が大きくなり過ぎ、後述する撥水被膜が得られない場合があり、この場合も得られる撥水性膜を水処理に用いた場合に水処理性能が不充分となる場合がある。
本発明では、基体用金属酸化物粒子(A)の平均粒子径(DA)、後述する被覆用金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径は、下記式で表される等価球換算式で求められる平均粒子径を用いる。
D=6000/SAM*d
(ここで、Dは平均粒子径(nm)、SAMはBET法で測定された比表面積(m2/g)、dは粒子の密度(g/cm3)、6000は換算係数)
また、金属酸化物粒子の平均粒子径は動的光散乱法(日機装(株)製:マイクロトラックUPA)を用いて測定される。なお、通常の比表面積の実測値はBET法で測定される。
被覆用金属酸化物微粒子(B)
前記被覆用金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径(DB)は4〜60nm、さらには5〜40nmの範囲にあることが好ましい。
被覆用金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径(DB)が小さいと、安定に単分散した金属酸化物微粒子を得ることが困難である。
被覆用金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径(DB)が大きすぎても、後述する微細凹凸が所定範囲より大きいものとなり、また金属酸化物粒子の比表面積も低く、充分な撥水性が得られず、水処理性能が不充分となる場合がある。
前記被覆用金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径(DB)と前記基体用金属酸化物粒子(A)平均粒子径(DA)との比(DB)/(DA)は0.007〜0.5、さらには0.008〜0.4の範囲にあることが好ましい。
前記比(DB)/(DA)が前記範囲の下限よりも小さい場合は、後述する微細凹凸が所定範囲より小さいものとなる場合があり、充分な撥水性が得られず、水処理性能が不充分となる場合がある。
前記比(DB)/(DA)が前記範囲の上限を超えると後述する微細凹凸が所定範囲より大きいものとなる場合があり、充分な撥水性が得られず、水処理性能が不充分となる場合がある。
金属酸化物粒子における前記被覆用金属酸化物粒子(B)による基体用金属酸化物粒子(A)の下記式(1)で表される被覆率が30〜100%、さらには50〜100%の範囲にあることが好ましい。
被覆率(%)=[[金属酸化物粒子の実測の比表面積(SA)−基体用金属酸化物粒子の実測の比表面積(SM)]/[100%被覆したとした場合の金属酸化物粒子の計算上の比表面積(SC)−基体用金属酸化物粒子の実測の比表面積(SM)]]×100・・・・・・・(1)
ここで、(SC)=金属酸化物粒子1個当たりの表面積x単位重量(1g)当たりの粒子数、
金属酸化物粒子1個当たりの表面積=4π・[(DA)/2+(DB)/2]2
単位重量(1g)当たりの基体用金属酸化物粒子(A)の個数=1/[4/3・π[(DA)/2]3・d、
dは基体用金属酸化物粒子(A)の粒子密度(g/ml)を表す。
シリカの場合、粒子密度は、2.2g/mlである。
前記被覆率が小さいと、後述する微細凹凸が充分形成できず、撥水が不充分となり、水処理性能が低下する場合がある。100%範囲を超えて被覆率が大きいものは存在しない。
前記基体用金属酸化物粒子(A)および前記被覆用金属酸化物微粒子(B)は、同一であっても異なっていてもよく、SiO2、Al23、Sb25、ZrO2、TiO2、Fe23、CeO2、およびこれらの複合酸化物または混合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
このような成分の粒子は粒子径が前記範囲にある球状粒子が得られやすく、化学的にも安定であるので好適に用いることができる。
なかでも、本発明では、前記基体用金属酸化物粒子(A)および前記被覆用金属酸化物微粒子(B)が、ともにSiO2からなる粒子を用いることが好ましい。
SiO2からなる粒子は、粒子径の大小に拘わらず均一な粒子径を有する球状粒子が得られ、水処理環境においても化学的に安定であるため好適に用いることができる。
前記した基体用金属酸化物粒子(A)表面に前記被覆用金属酸化物微粒子(B)が被覆した金属酸化物粒子の平均粒子径は、前記被覆率によっても異なるが、概ね48〜720nmの範囲にある。
このような金属酸化物粒子の製造方法は、前記した構成を満たす粒子が得られれば特に制限はないが、本発明に用いる金属酸化物粒子は以下の方法が推奨される。
金属酸化物粒子の製造方法
具体的に下記の工程(m)および(n)を含む。
(m)正または負の表面電位(VA)を有し、平均粒子径(DA)が40〜600nmの範囲にある基体用金属酸化物粒子(A)と、これと異なる正または負の表面電位を有し、平均粒子径(DB)が4〜60nmの範囲にある被覆用金属酸化物粒子(B)との混合分散液を調製する工程。
(n)混合分散液のpHを6〜10に調整する工程。
工程(m)
正または負の表面電位(VA)を有し、平均粒子径(DA)が40〜600nmの範囲にある基体用金属酸化物粒子(A)と、これと異なる正または負の表面電位を有し、平均粒子径(DB)が4〜60nmの範囲にある被覆用金属酸化物粒子(B)との混合分散液を調製する。
基体用金属酸化物粒子(A)は、被覆用金属酸化物粒子(B)とは反対の表面電位を有するものを組み合わせる。基体用金属酸化物粒子(A)が正の表面電位を有する場合、表面電位(VA)は10〜60mv、さらには15〜50mvの範囲にあることが好ましい。
基体用金属酸化物粒子(A)の表面電位(VA)が10mv未満の場合は、後述する被覆用金属酸化物粒子(B)の表面電位(VB)によっても異なるが、電位差が小さいために被覆用金属酸化物粒子(B)が均一に被覆できない場合がある。
基体用金属酸化物粒子(A)の表面電位(VA)が60mvを超えるものは得ることが困難である。仮に得られたとしても必要に応じて電荷調整に用いる電解質等の試薬が多く存在し凝集を引き起こす場合がある。
基体用金属酸化物粒子(A)が負の表面電位を有する場合、表面電位(VA)は−60〜0mv、さらには−55〜−10mvの範囲にあることが好ましい。
表面電位(VA)が−60mvよりマイナス電位が高いものは、得ることが困難である。
表面電位(VA)が正になると(0mvを超えると)、後述する被覆用金属酸化物粒子(B)の表面電位(VB)によっても異なるが、同じ正の表面電位を持つこととなり、被覆用金属酸化物粒子(B)による被覆が生じない。
上記において、基体用金属酸化物粒子(A)水分散液のpHにもよるが、Al23、ZrO2は主に正の表面電位を有し、SiO2、Sb25、TiO2、Fe23、CeO2は主に負の電位を有している。
このとき、適宜、正または負の表面電位を有する粒子を反対の表面電位に変換して用いることができる。
負の表面電位を有す粒子を正の表面電位を有する粒子に変換する方法としては、例えば、(1)ポリ塩化アルミニウム(PAC)水溶液処理する方法、(2)四級アミン水溶液処理する方法、(3)アミノシラン溶液等で処理する方法等が挙げられる。
具体的には、(1)の場合、イオン交換樹脂等でカチオン、アニオン等の不純分除去した金属酸化物粒子分散液中にポリ塩化アルミニウム等の多核金属カチオンを添加することで得ることができる。
(2)の場合、イオン交換樹脂等でカチオン、アニオン等の不純分除去した金属酸化物粒子分散液中に4級アミン(センカ(株)製:KHE−100)等のアミンを添加することで得ることができる。
(3)の場合、イオン交換樹脂等でカチオン、アニオン等の不純分除去した金属酸化物粒子分散液中にアミン系のシランカップリング剤を添加することで得ることができる。
このとき、表面電荷量の調整は、多核金属カチオン、アミン、アミン系のシランカップリング剤等の添加量、および金属酸化物粒子分散液のpHを調製することによって行うことができる。pH調整剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、硝酸、硫酸および酢酸等の有機酸が挙げられる。
つぎに、正の表面電位を有す粒子を負の表面電位を有する粒子に変換する方法としては、例えば、(4)負の表面電位を有するシリカ材料で被覆する方法、(5)アニオン性の界面活性剤等で処理する方法等が挙げられる。
具体的には、(4)の場合、イオン交換樹脂等でカチオン、アニオン等の不純分除去した金属酸化物粒子分散液中にエタノールを添加し正珪酸アルキルを加え加熱・撹拌熟成することで得ることができる。
(5)の場合、イオン交換樹脂等でカチオン、アニオン等の不純分除去した金属酸化物粒子分散液中にアニオン性界面活性剤、好ましくはカルボキシル基を有するアニオン性界面活性剤を添加することで得ることができる。
このとき、表面電荷量の調整は、正珪酸アルキル、アニオン性界面活性剤等の添加量、および金属酸化物粒子分散液のpHを調製することによって行うことができる。pH調整剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、硝酸、硫酸および酢酸等の有機酸が挙げられる。
表面電位は、基体用金属酸化物粒子(A)または後述する被覆用金属酸化物粒子(B)の0.1重量%分散液を用い、Malvern製ゼータサイザーナノZS90を用いて測定する。
被覆用金属酸化物粒子(B)は前記基体用金属酸化物粒子(A)とは反対の表面電位を有している。
表面電位の範囲、表面電位の変換方法は前記基体用金属酸化物粒子(A)の場合と同様である。
基体用金属酸化物粒子(A)の水分散液と、被覆用金属酸化物粒子(B)の水分散液とを混合する。
混合分散液の濃度は固形分として1〜30重量%、さらには2〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
混合分散液の濃度が低くても、問題はないが、薄すぎると、生産性が低くコスト高となる。
混合分散液の濃度が高いと、被覆金属酸化物粒子(B)が凝集して基体用金属酸化物粒子(A)の表面に均一に被覆できない場合がある。
このとき、混合分散液のpHは2〜6、さらには3〜5の範囲にあることが好ましい。
混合分散液のpHが2未満になることはなく、なった場合は基体用金属酸化物粒子(A)を単層の被覆用金属酸化物粒子(B)で被覆した金属酸化物微粒子を得ることが困難である。
混合分散液のpHが6を超えると、基体用金属酸化物粒子(A)と被覆用金属酸化物粒子(B)との表面電位差が小さくなったり、同一の表面電位となることがあり、基体用金属酸化物粒子(A)を単層の被覆用金属酸化物粒子(B)で被覆した金属酸化物微粒子を得ることが困難である。
なお、工程(m)における分散液の温度は概ね5〜200℃の範囲であることが好ましい。
工程(n)
混合分散液を陰イオン交換樹脂で処理し、陰イオンを除去する。
このとき、陰イオン交換樹脂での処理は、混合分散液のpHが6〜10、さらには7〜9.5の範囲となるまで処理することが好ましい。
陰イオン交換樹脂処理後の混合分散液のpHが6未満の場合は、陰イオンの残存量が多く、後工程の焼成時のガスの発生や、被覆層の結晶化が阻害される場合がある。
陰イオン交換樹脂処理後の混合分散液のpHが10を超えることはなく、さらに陰イオン残存量が減少することもない。
必要に応じて、分散液を濾過分離し、乾燥して使用することもできる。
本発明では、前記工程(n)についで、下記の工程(o)を行うことが好ましい。
工程(o)
工程(n)で得られた分散液を、60〜98℃、好ましくは70〜95℃で熟成する。
この熟成温度にあれば、被覆用金属酸化物粒子(B)の基体用金属酸化物粒子(A)への接合がより強固なものとなる。
熟成温度が高すぎても、被覆用金属酸化物粒子(B)の基体用金属酸化物粒子(A)への接合がさらに強くなることもなく、凝集した金属酸化物粒子が得られる場合がある。
必要に応じて、分散液を濾過分離し、乾燥し、さらに焼成して使用することもできる。
ついで、前記工程(n)または前記工程(o)についで、下記工程(p)〜(t)を行うこともできる。
工程(p)
工程(n)または工程(o)で調製した分散液のpHを3〜7、望ましくは4〜6の範囲に調整する。分散液のpHがこの範囲に調整することで、後述する工程(q)、特に工程(r)後、金属微粒子の凝集体が生成しにくく、生成したとしても、容易に解砕することができる。
分散液のpHが前記範囲を外れると、粒子表面同士の脱水縮合が進み、硬い状態で乾燥し、ついで、焼成した場合は焼結してしまい解砕が困難な金属酸化物粒子となる場合がある。
なお、前記工程(n)における陰イオン交換樹脂後の混合分散液のpHが6〜7の範囲にある場合、本工程(p)は必ずしも実施する必要はない。
分散液のpHは、酸を添加することによって調整することが好ましい。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸(無機酸)、酢酸、酒石酸、グルコン酸、グリコール酸等の有機酸、これらの混合物が挙げられる。
本発明では、酢酸、グルコン酸、グリコール酸等の有機酸が好適に用いられる。これらの有機酸を用いると、陰イオンとして残存した場合でも、後述する焼成工程(r)において除去可能であり、焼成工程(r)で金属酸化物粒子が一部凝集あるいは融着しても後述する工程(s)で容易に解砕することができる。
必要に応じて、濾過分離して使用することもできる。
さらに以下の工程を行ってもよい。
工程(q)
得られた粒子分散液を乾燥する。乾燥方法としては、特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。室温で風乾することもできるが、乾燥温度は80〜300℃、さらには100〜200℃の範囲にあることが好ましい。
工程(r
乾燥後、300〜1200℃、好ましくは700〜1100℃で加熱処理する。
加熱処理によって、金属酸化物粒子層形成用の金属酸化物粒子分散液を調製する際に、あるいは金属酸化物の表面処理に金属酸化物粒子分散液とした際に、被覆用金属酸化物微粒子(B)が剥離することがなく、撥水性が向上するとともに水処理性能向上効果が得られる。
乾燥・加熱処理後、解砕を行っても良い。
工程(s)
解砕することによって、強く凝集した粒子をほぐす。なお解砕は、前記工程(r)で強く凝集した粒子が存在して研磨特性が低下する場合に行えばよい。解砕方法としては、特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。例えば、サンドミル、衝撃粉砕法、超音波ホモジナイザー、ナノジェットマイザー法等の方法が挙げられる。
さらに、本発明では、前記工程(n)以降の各工程のいずれかの後に、分離操作を行ってもよい。
工程(t)
所望の粒子径以外の粒子、所望の形状以外の粒子が残存している場合、これを分離除去する。このような粒子が残存していると、残存量によっても異なるが、所望の表面凹凸を形成できない場合があり、このため撥水性、ひいては水処理性能が不充分となる場合がある。
分離方法としては、所望の粒子径以外の粒子、所望の形状以外の粒子を除去できれば特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。例えば、各種フィルター、遠心分離機等が挙げられる。
金属酸化物粒子層を、前記基材(接着層を設ける場合にはその表面)上に形成する。形成方法は、後述するように、分散液を塗布する。
金属酸化物粒子層の厚さは48〜720nm、好ましくは60〜580nmの範囲にある。このような範囲とすることで、所定の凹凸を有する撥水性被膜が形成できる。
接着層
前記基材と前記金属酸化物粒子層との間に接着層(a1)、および/または前記金属酸化物粒子層と後述するオーバーコート層との間に接着層(a2)を有することが好ましい。
これによって、基材と金属酸化物粒子層との密着性、金属酸化物粒子層とオーバーコート層との密着性より高めることが可能となる。
接着層(a1)または(a2)としては、金属酸化物粒子層、さらにはオーバーコート層との密着性より高めることができれば特に制限はないが、有機樹脂系の接着層を形成してもよく、無機酸化物系の接着層を形成してもよい。
具体的には、有機樹脂系の接着層を形成する場合は、基材と金属酸化物粒子層、さらにはオーバーコート層との密着性を向上できれば特に制限は無く、従来公知の有機樹脂系接着用樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、あるいは紫外線硬化樹脂や電子線硬化性樹脂を使用してもよい。なお、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
好ましくは、有機樹脂接着層形成成分として、具体的にはシリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等の官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂を使用することも可能である。具体的にはヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールジメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート等のポリアクリル系樹脂、ポリビニルアルコールまたはその変性体(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性)、澱粉またはその変性体(酸化、エーテル化)、ゼラチンまたはその変性体、カカゼインまたはその変性体、カルボキシメチルセルロース、アラビヤゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、などのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体、アクリル酸エステル共重合体およびこれらの混合物あるいはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。また、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、等の官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂およびエマルジョン系微粒子も好適に採用可能である。具体的にはペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメテクリレート、イソデシルメテクリレート、n-ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメテクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル系架橋共重合体微粒子、ウレタン系架橋共重合体微粒子、アクリル−ウレタン系架橋共重合体微粒子等およびこれらの混合物が挙げられる。
無機酸化物系の接着層を形成する場合、シリカゾル、シリカアルミナゾル、アンチモンドープ酸化錫(ATO)ゾル、錫ドープ酸化インジウム(ITO)ゾル等のゾルの他、ケイ酸アルカリ水溶液をイオン交換樹脂等で脱アルカリして得られる酸性ケイ酸液、有機珪素化合物あるいはこれらの加水分解物による、無機酸化物を用いることができる。
なかでも、シリカゾル、ケイ酸アルカリをイオン交換樹脂で脱アルカリして得られる酸性珪酸酸液、加水分解性有機ケイ素化合物に由来するシリカが好適である。
特に、下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であるシリカ接着層が好ましい。
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜1の整数)
ここで、加水分解重縮合物とは、後述する製造工程で、加水分解性有機ケイ素化合物、これらの部分加水分解物、加水分解物であったものが加熱処理によって重縮合したものであることを意味している。
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
なかでも、n=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物、またはn=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物とn=1(3官能)の加水分解性有機ケイ素化合物との混合物を用いると、基材との密着性、強度、硬度等に優れ、オーバーコート層との接着性も増し、最終的に強度、硬度、撥水性に優れた撥水性被膜付基材を得ることができ、水処理に好適に用いることができる。
接着層(a1)または(a2)の形成量は金属酸化物粒子層中の金属酸化物粒子を酸化物換算し100重量部に対し、接着層を固形分として1〜200重量部、さらには10〜190重量部の範囲にあることが好ましい。
接着層の形成量が少ないと、基材と金属酸化物粒子層との接着性(密着性)、金属酸化物粒子層とオーバーコート層との接着性が不充分となる場合がある。
接着層(a1)の形成量が多すぎると、金属酸化物粒子層の凹凸が小さくなる場合があり、最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不充分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
接着層(a2)の形成量が多すぎると、金属酸化物粒子層と金属酸化物粒子層表面の凹凸および微細凹凸が小さくなる場合があり、最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不充分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
オーバーコート層
前記金属酸化物粒子層上にはオーバーコート層が形成されている。
オーバーコート層としては、金属酸化物粒子層と結合し、撥水性を向上できれば特に制限はないが、フッ素含有化合物、アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物の少なくとも1種を含んでなることが好ましい。
フッ素含有化合物としては、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のシラン誘導体、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−n−ヘキシルホスホン酸、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−n−オクチルホスホン酸、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−n−デシルホスホン酸等のホスホン酸誘導体、フロロテクノロジー製のフロロサーフ、NODASCREEN製のINTシリーズ等が挙げられる。
アルキル基含有化合物としては、10−カルボキシデシルホスホン酸、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸、11−(ナフタレン−2−イルオキシ)ウンデシルホスホン酸、11−[2[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ウンデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、11−フタルイミドウンデシルホスホン酸等が挙げられる。
シリコーン系化合物としては、信越化学製の変性反応性シリコーン、モメンティブ製の変性反応性シリコーン等が挙げられる。このとき、変性反応性シリコーンは、官能基としてアクリル基・(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、シラノール基、フェノール基、カルボキシル基等を含むものが好ましい。
本発明では、下記式(3)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物を用いることが好ましい。
n-SiX4-n (3)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
ここで、加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物とは、後述する製造工程で、加水分解性有機ケイ素化合物、これらの部分加水分解物、加水分解物であったものが加熱処理によって重縮合したものであることを意味している。
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、へキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
なかでも、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフッ素置換炭化水素基を含む加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が含まれていると、より撥水性が高く、水処理に用いた場合、ファウリングが抑制され傾向にあり、膜の劣化が抑制され、長期にわたって高い水処理能力を維持することができ、また、繰り返し使用することができる。
撥水性被膜中のオーバーコート層の含有量は前記金属酸化物粒子層中の金属酸化物粒子100重量部に対し、固形分として1〜100重量部、さらには2〜80重量部の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層の含有量が少ないと、一部、オーバーコート層が形成されていない塗布ムラが生じ、充分な撥水性が得られない場合があり、また、オーバーコート層の含有量が多すぎても、後述する撥水性被膜表面の凹凸の平均高さ(TF)、凸部間距離(WF)が小さくなり、また凸部表面の微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)が小さくなり、撥水性はむしろ低下する場合があり、このため目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
凹凸構造
本発明に係る撥水性被膜付基材は、表面が凹凸構造を有する。
該凹凸構造は、凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(ピッチ幅)、水との接触角で定義される。
該凹凸構造の凸部の平均高さ(TF)が50〜500nm、さらには50〜400nmの範囲にあることが好ましい。凸部の平均高さ(TF)が小さいと、撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
凸部の平均高さ(TF)が大きすぎると、撥水性被膜の強度が不十分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
また、平均凸部間距離(ピッチ幅ということがある)(WF)は20〜1000nm、さらには70〜800nmの範囲にあることが好ましい。平均凸部間距離(WF)が短いと、撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
平均凸部間距離(WF)が大きすぎても、撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
本発明では、前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は撥水性透明被膜の断面の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、50個の凸部の高さ、ピッチ間距離を測定し、その平均値とした。
前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は、金属酸化物粒子の大きさを選択するとともに、後述する透明被膜付基材の製造方法における金属酸化物粒子分散液の濃度、塗布方法、前記接着層(a2)の形成量等によって調整される。
具体的には、金属酸化物粒子の大きさの大きい場合、平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)が大きくなる傾向にあり、また、金属酸化物粒子分散液の濃度が高い場合平均高さ(TF)が高くなる傾向にあり、濃度が低い場合平均凸部間距離(WF)が大きくなる傾向にある。前記接着層(a2)の形成量が多い場合、前記凹凸および後述する微細凹凸が小さくなる。
本発明の撥水性被膜表面の凸部は、凸部表面にさらに微細な凹凸を有している。
微細凹凸の凸部の平均高さ(TFF)は0.1〜5nm、さらには0.2〜3nmの範囲にあることが好ましい。
微細凹凸の凸部の平均高さ(TFF)が前記範囲にあると、より撥水性に優れた透明被膜が得られる。
また、微細凹凸の凸部の平均凸部間距離(WFF)が0.1〜5nm、さらには0.2〜3nmの範囲にあることが好ましい。
微細凹凸の凸部の平均凸部間距離(WFF)が前記範囲にあると、前記平均高さ(TFF)が所定範囲にある場合と同様に、より撥水性に優れた透明被膜が得られる。
このような、微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)は、前記した平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)測定時に測定することができ、任意の凸部5個について、凸部を指定して拡大すると微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)を測定することができる。
前記平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)は、被覆用金属酸化物微粒子の大きさおよび前記表面被覆率を選択するとともに、前記オーバーコート層の撥水性被膜中の含有量等によって調整される。
また、撥水性被膜は水との接触角が100〜180°、さらには130〜180°の範囲にあることが好ましい。
これは、前記凹凸構造およびオーバーコート層による特性である。接触角を前記範囲で調整するには、前記した方法で凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)を所定範囲となるように金属酸化物粒子を選択するとともに、オーバーコート層を形成すればよい。
撥水性被膜の水との接触角が前記範囲にあれば、通常、水滴が被膜上に付着することなく水を弾くような撥水性透明被膜を得ることができ、前記した繊維または布基材上に撥水性被膜を形成して水処理に用いた場合、水処理能力の低下を抑制でき、長期にわたって繰り返し使用することができる。
この、水処理能力の低下を抑制できる理由については必ずしも明らかではないが、撥水性被膜の表面が前記凹凸構造を有すること、撥水性が高いこと等のいずれか、あるいはこれらが複合した理由があるものと推測される。
つぎに、本発明に係る水処理用撥水性被膜付基材の製造方法について説明する。
[水処理用撥水性被膜付基材の製造方法]
本発明に係る水処理用撥水性被膜付基材の製造方法は、下記の工程(b)〜(d)からなり、表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、水との接触角が100〜180°の範囲にあることを特徴としている。
(b)繊維または布からなる基材上に金属酸化物粒子分散液を塗布して金属酸化物微粒子層を形成する工程
(c)金属酸化物粒子層上に、オーバーコート層形成用塗布液を塗布してオーバーコート層を形成する工程
(d)加熱処理する工程
なお、(b)工程の金属酸化物微粒子層形成前に、基材表面に接着層を設けてもよく、また微粒子層形成後の、微粒子層表面に接着層を設けてもよい。
工程(a1)ないし(a2)
本発明では、後述する工程(b)の前に、工程(a1)により、基材表面に接着層形成用塗布液を塗布して接着層(a1)を形成してもよく、工程(b)についで、金属酸化物粒子層上に接着層形成用塗布液を塗布して接着層(a2)を形成することもできる。また接着層(a1)も(a2)も双方形成してもよい。
接着層形成用塗布液
接着層形成用塗布液としては、基材と金属酸化物粒子層と、または金属酸化物粒子層と後述するオーバーコート層とを密着性よく接着できれば特に制限はないが、前記したような有機樹脂系接着用樹脂あるいは無機酸化物系の接着層を形成成分が好適に用いられる。
接着層形成用塗布液の分散媒は、後述する金属酸化物粒子分散液の分散媒と同様の分散媒を用いることができる。
接着層形成用塗布液の濃度は固形分として0.05〜20重量%、さらには0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
接着層形成用塗布液の濃度が前記範囲にあると、塗布方法によっても異なるが、基材または金属酸化物粒子層に均一に塗布することができ、前記接着層として機能し、密着性に優れた金属酸化物粒子層、オーバーコート層さらには撥水性被膜を形成することができる。
接着層形成用塗布液は、金属酸化物粒子層中の金属酸化物粒子を酸化物(1)として100重量部に対し、接着層が固形分として1〜200重量部、さらには5〜150重量部の範囲となるように接着層形成用塗布液を用いる。
接着層形成用塗布液の塗布量が少ないと、基材と撥水性被膜との密着性が不充分となる場合があり、水処理に長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
接着層形成用塗布液の塗布量が多すぎても、前記表面凹凸構造が所定範囲外となることがあり、最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不充分となる場合があり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
接着層形成用塗布液の塗布方法としては、基材にあるいは金属酸化物粒子層に均一に塗布できれば特に制限は無く、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
接着層形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、接着層形成用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
さらに、必要に応じて加熱処理および/またはUV照射処理することもできる。
加熱処理温度は、基材の種類によっても異なるが、130〜400℃、さらには150〜200℃の範囲にあることが好ましい。
UV照射処理は、基材の種類によっても異なるが、高圧水銀灯などを用い365nmの波長のUVを100〜1200mJ/cm2、さらには200〜800mJ/cm2の範囲で照射することが好ましい。
工程(b)
繊維または布からなる基材上に、前記接着層(a1)を形成した場合は接着層(a1)上に金属酸化物粒子分散液を塗布して金属酸化物粒子層を形成する。
金属酸化物粒子分散液としては前記した金属酸化物粒子の分散液を用いる。
分散媒
金属酸化物粒子分散液の分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプルピル、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プルピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセタート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トルエン等極性溶媒が挙げられる。さらに、N−メチルピロリドン等の極性溶媒を用いることもでき、これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
本発明では、金属酸化物粒子を表面処理して用いることもできる。表面処理剤としては加水分解性有機珪素化合物が好適に用いられる。
加水分解性有機珪素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、へキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
加水分解性有機珪素化合物での表面処理方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、金属酸化物粒子のアルコール分散液に所定量の加水分解性有機珪素化合物と必要量の水を加え、必要に応じて加水分解触媒として酸またはアルカリを加え、さらに必要に応じて加熱する方法が挙げられる。
また、前記加水分解性有機珪素化合物以外に他の加水分解性有機金属化合物を同様に用いることもできる。
加水分解性有機金属化合物としては、加水分解性有機アルミニウム化合物、加水分解性有機ジルコミニウム化合物、加水分解性有機チタニウム化合物等が挙げられる。
また、前記加水分解性有機金属化合物による表面処理法以外にストーバー法、乾式処理法、メカノフュージョン法等が挙げられる。
金属酸化物粒子分散液の濃度は固形分として0.1〜10重量%、さらには0.5〜8重量%の範囲にあることが好ましい。金属酸化物粒子分散液の濃度が低いと、前記凸部間距離が大きくなり過ぎたり、一部金属酸化物粒子層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性が得られない場合があり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
金属酸化物粒子分散液の濃度が高いと、塗布方法によっても異なるが、塗工性が低下して均一な金属酸化物粒子層を形成できない場合、あるいは所望の凸部間距離に調整できない場合があり、得られる被膜の撥水性が不充分となり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
金属酸化物粒子分散液を塗布するが、塗布方法としては、概ね所望の凹凸構造を有する金属酸化物粒子層を密着性よく形成できれば特に制限は無く、例えば、ディッピング法、バーコーター法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
金属酸化物粒子分散液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、金属酸化物粒子分散液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はなく、室温で風乾することもできるが、概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃で加熱乾燥することが好ましい。
工程(c)
金属酸化物粒子層または接着層(a2)上に、オーバーコート層形成用塗布液を塗布してオーバーコート層を形成する。
オーバーコート層形成用塗布液としては、前記したフッ素含有化合物、アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物またはこれらの部分加水分解物、加水分解物が用いられる。
本発明では、オーバーコート層形成用塗布液には前記したオーバーコート層形成成分が含まれる。
オーバーコート層形成用塗布液の分散媒としては、金属酸化物粒子分散液の分散媒と同様の分散媒を用いることができる。
オーバーコート層形成用塗布液の濃度は固形分としてとして0.05〜20重量%、さらには0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層形成用塗布液の濃度が低い場合は、一部オーバーコート層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性が得られない場合がある。オーバーコート層形成用塗布液の濃度が高すぎても、所望の凹凸構造が得られない場合があり、撥水性がさらに向上することもなく、このため、水処理に使用しても本発明の効果が充分得られない場合がある。
オーバーコート層形成用塗布液は、前記したオーバーコート層の含有量となるように塗布される。
オーバーコート層形成用塗布液の塗布方法としては、金属酸化物粒子層に均一に塗布できれば特に制限は無く、例えば、ディッピング法、バーコーター法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
オーバーコート層形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、オーバーコート層形成用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
工程(d)
ついで、加熱処理する。
加熱処理温度は、基材の種類によっても異なるが、60〜150℃、さらには80〜120℃の範囲にあることが好ましい。
なお、前記オーバーコート層形成後、60〜120℃で乾燥した場合は、本工程(d)の加熱処理を省略することができる場合がある。
乾燥・加熱処理によって、基材と接着層(a1)、接着層(a1)と金属酸化物粒子層、金属酸化物粒子層と接着層(a2)、接着層(a2)とオーバーコート層間の結合が増し、基材との密着性に優れた撥水性被膜を形成することができる。
加熱処理温度が低いと、前記密着性が不十分となり、水処理に長期に使用できない場合がある。
加熱処理温度が高すぎると、基材の種類によっては基材が炭化して水処理に使用できなくなる場合がある。
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
金属酸化物粒子(1)分散液の調製
正電荷を有する基体用金属酸化物粒子(A-1)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI−80P、平均粒子径80nm、表面電位−60mV、SiO2濃度20重量%、pH10.2)750gに陽イオン交換樹脂(ROHMHARS(株)製:デュオライト)150gを混合し、0.5時間撹拌した。
ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、30℃で0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。
ついで、精製シリカゾル750gにポリ塩化アルミニウム(多木化学(株)製:タキバイン#1000、Al23濃度23.55重量%)5.1gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2903gを添加して希釈してSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-1)分散液3658gを調製した。基体用金属酸化物粒子(A-1)分散液のpHは3.7であった。
基体用金属酸化物粒子(A-1)の表面電位を測定し、結果を表に示す。
ついで、SiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-1)分散液3659gに、被覆用金属酸化物粒子(B-1)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO2濃度16.6重量%、pH3.7)294gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。このとき、混合分散液のSiO2濃度5.0重量%、pHは3.5であった。工程(m)
ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(1)分散液を調製した。金属酸化物粒子(1)分散液のpHは9.0であった。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(1)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
なお、実施例1における被覆率の計算過程を以下に示す。
(DA)=80nm、(DB)=7nm、(SA)=39.1m2/g
金属酸化物粒子1個当たりの表面積=4π・[(80/2)x10-9+(7/2))x10-9]2=2.4x10-142/個
単位g当たりの基体用金属酸化物粒子(A-1)の粒子数=1/[4/3xπx(80/2x10-73x2.2]=1.7x1015個 (シリカの密度は2.2)
(SC)=2.38x10-142/個x1.7x1015個/g=40.3m2/g
被覆率=(39.1m2/g−34m2/g)/(40.3m2/g−34m2/g)=80.7%
接着層形成用塗布液(1)の調製
変性アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)72.5gに水10.0gと濃度61重量%の硝酸0.1gを添加し、25℃で10分撹拌した。ついで、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)17.4gを添加し、30℃で30分撹拌してテトラエトキシシラン加水分解物(固形分濃度5.0重量%、分子量:1000)を得た。ついで、ジアセトンアルコール(DAA)333.3gとエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(I−PG)666.6gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)566.67gを添加して25℃で30分撹拌し、固形分濃度0.3重量%のシリカからなる接着層形成用塗布液(1)を調製した。
オーバーコート層形成用塗布液(1)の調製
変性アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)2252.5gに水159.0gと濃度61重量%の硝酸3.3gを添加し、25℃で5分撹拌した。ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度98%)46.4gを添加し、25℃で5分間撹拌し、ついで、60℃で3時間処理した。
その後、PGM356.39gとDAA213.91gを添加し、25℃で30分処理して固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液を調製した。
ついで、固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液100gにPGM10gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)40gを添加し、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(1)の製造
不織布の調製
酢酸セルロース20g、ホルムアミド1.5gおよびアセトン50gを混合し、超音波照射機(IUCHI(株)製:超音波洗浄機)にて周波数38kHzの超音波を10時間照射して酢酸セルロースの溶解溶液を調製した。
酢酸セルロース溶解溶液を、両端にポリイミドテープを貼り付けたガラス基板上にロブ・スリラーヤン法で塗布し、25℃で5分乾燥した後、10℃の純水に浸漬させた。その後純水から取り出し、ポリイミドテープを用いて剥離して厚さ200μmの非対称多孔質な不織布(1)を得た。不織布(1)について、水銀圧入法で測定した空孔率は70%であった。一方の下部面には約0.1μmの細孔が認められた。
ついで、不織布(1)を、固形分濃度2.0重量%となるように純水で希釈した金属酸化物粒子(1)分散液に1分間ディッピングした後、4mm/secで引き上げた。その後80℃にて30分乾燥した。工程(b)
ついで、固形分濃度0.3重量%のシリカからなる接着層形成用塗布液(1)に1分間ディッピングし、ついで、4mm/secで引き上げた。ついで80℃にて30分乾燥した。工程(a2)
固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)に1分間ディッピングした後、さらに、4mm/secで引き上げた。その後80℃にて30分乾燥した。さらに、150℃にて30分加熱処理し、水処理用撥水性被膜付基材(1)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(1)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。撥水性および密着性は以下の方法で測定した。
撥水性
全自動接触角計(協和界面科学(株)製:DM 700)で水との接触角を測定した。
密着性
撥水性透明被膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付けて100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着、剥離したときの被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の3段階に分類することによって密着性を評価した。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数95〜99個 :○
残存升目の数90〜94個 :△
残存升目の数89個以下 :×
水処理試験(1)
有効膜面積が100cm2の水処理用撥水性透明被膜付基材(1)を装着した水処理試験用耐圧セルを内蔵した逆浸透装置(図1にモデル図を示す)に、高圧ポンプにて圧力を0.3MPaに維持しながら、濃度5000mg/Lの食塩純水溶液を1 L/時間の一定速度で連続的に供給した。食塩純水溶液の温度は30℃に調整した。また、pHは6.5であった。
出口1の処理水の排出速度は0.2L/時間、出口2の濃縮水の排出速度は0.8L/時間であった。
10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度を測定し、結果を表に示す。また、除去率を下記式によって求め、結果を表に示す。
式:(濃縮水側の食塩量)/(供給液側の食塩量)X100
水処理試験(2)
有効膜面積が100cm2の水処理用撥水性透明被膜付基材(1)を装着した水処理試験用耐圧セルを内蔵した逆浸透装置に、高圧ポンプにて圧力を0.3MPaに維持しながら、濃度1000mg/Lのショ糖純水溶液を1L/時間の一定速度で連続的に供給した。
このとき、ショ糖純水溶液の温度は30℃に調整した。
出口1の処理水の排出速度は0.2L/時間、出口2の濃縮水の排出速度は0.8L/時間であった。
10時間後および100時間後の処理水および濃縮水のショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。また、除去率を求め、結果を表に示す。
[実施例2]
金属酸化物粒子(2)分散液の調製
実施例1と同様にして調製した固形分濃度10重量%の金属酸化物粒子(1)分散液に、濃度3重量%の酢酸水溶液1.8gを添加して分散液のpHを5.5に調整し、30℃で1時間撹拌した。
ついで、分散液を遠心分離法で分離し、粒子を120℃で15時間乾燥して金属酸化物粒子(2)を調製した。
得られた金属酸化物粒子(2)について、平均粒子径および被覆率を測定し、結果を表に示す。
ついで、水に分散して、固形分濃度2重量%の金属酸化物粒子(2)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(2)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%となるように純水で希釈した金属酸化物粒子(2)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(2)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(2)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(2)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例3]
金属酸化物粒子(3)分散液の調製
実施例2と同様にして調製した金属酸化物粒子(2)を1000℃で2時間焼成した後、固形分濃度10重量%の金属酸化物粒子(3)分散液とし、0.5mmφガラスメジア1015gを充填したサンドミル分散機(シンマルエンタープライゼス(株)製)にて3時間解砕し、ついで、高速遠心分離機(日立製作所(株)製)にて2000rpmで3分間分離して、水を加えて、固形分濃度2重量%の金属酸化物粒子(3)分散液を調製した。
得られた金属酸化物粒子(3)について、平均粒子径および被覆率を測定し、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(3)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%の金属酸化物粒子(3)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(3)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(3)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(3)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例4]
金属酸化物粒子(4)分散液の調製
実施例1と同様にして調製したSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-1)分散液3659gに、実施例1で用いた被覆用金属酸化物粒子(B-1)としてのシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO2濃度16.6重量%、pH3.7)184gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。このとき、混合分散液のSiO2濃度4.7重量%、pHは3.5であった。工程(m)
ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(4)分散液を調製した。金属酸化物粒子(4)分散液のpHは9.0であった。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(4)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(4)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%となるように純水で希釈した金属酸化物粒子(4)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(4)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(4)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(4)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例5]
金属酸化物粒子(5)分散液の調製
実施例1と同様にして調製したSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-1)分散液3659gに、実施例1で用いた被覆用金属酸化物粒子(B-1)としてのシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO2濃度16.6重量%、pH3.7)367gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。このとき、混合分散液のSiO2濃度5.2量%、pHは3.5であった。工程(m)
ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(5)分散液を調製した。金属酸化物粒子(5)分散液のpHは9.0であった。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(5)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(5)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%となるように純水で希釈した金属酸化物粒子(5)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(5)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(5)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(5)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例6]
金属酸化物粒子(6)分散液の調製
正電荷を有する基体用金属酸化物粒子(A-2)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI―45P、平均粒子径45nm、表面電位−60mV、SiO2濃度20重量%、pH10.2)750gに陽イオン交換樹脂(ROHMHARS(株)製:デュオライト)150gを混合し、30℃で0.5時間撹拌した。
ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。
ついで、精製シリカゾル750gにポリ塩化アルミニウム(多木化学(株)製:タキバイン#1000、Al23濃度23.55重量%)9.2gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2903gを添加して希釈したSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-2)分散液3662gを調製した。基体用金属酸化物粒子(A-2)の表面電位を測定し、結果を表に示す。
ついで、SiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-2)分散液3662gに、シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO2濃度16.6重量%、pH3.7)595gを混合した。このとき、混合分散液のpHは3.5であった。工程(m)
ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(6)分散液を調製した。金属酸化物粒子(6)分散液のpHは9.0であった。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(6)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(6)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%となるように純水で希釈した金属酸化物粒子(6)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(6)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(6)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(6)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例7]
金属酸化物粒子(7)分散液の調製
正電荷を有する基体用金属酸化物粒子(A-3)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:スフェリカスラリー120、平均粒子径120nm、表面電位−65mV、SiO2濃度18重量%、pH10.2)833gに陽イオン交換樹脂(ROHMHARS(株)製:デュオライト)150gを混合し、30℃で0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の精製シリカゾル833gを調製した。
ついで、精製シリカゾル833gにポリ塩化アルミニウム(多木化学(株)製:タキバイン#1000、Al23濃度 23.55 重量%)3.5gを添加し、常温で0.5時間撹拌した。ついで、純水2826gを添加して希釈してSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-3)分散液3659gを調製した。基体用金属酸化物粒子(A-3)の表面電位を測定し、結果を表に示す。
ついで、SiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-3)分散液3659gに、シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO2濃度16.6重量%、pH3.7)185gを混合した。このとき、混合分散液のpHは3.5であった。工程(m)
ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(7)分散液を調製した。金属酸化物粒子(7)分散液のpHは9.0であった。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(7)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(7)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%となるように純水で希釈した金属酸化物粒子(7)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(7)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(7)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(7)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例8]
金属酸化物粒子粒子(8)の製造
正電荷を有する被覆用金属酸化物粒子(B-2)の調製
硫酸セリウム(III)八水和物17.5gおよび蒸留水1765.8gを5L容器に入れ、攪拌して溶解した。引き続き攪拌しながら温度を93℃に昇温し、1.0%水酸化ナトリウム水溶液1255gの全量を一度に加え、攪拌しながら温度93℃で6時間維持した。次に30℃以下に冷却したところ、白色沈殿が得られた。この溶液のpHは10.0であった。この溶液を遠心分離装置を用いて、14000rpmで10分間処理した後、上澄み液を除去した。白色沈殿に蒸留水2884.5gを加え、更に遠心分離装置で、14000rpmで10分間処理した。この操作を合計3回行って、沈殿物を洗浄してセリア微粒子分散液(CeO2濃度2.1重量%、pH10.0)を調製した。得られたセリア微粒子は単分散で平均粒子径は5nmであった。
ついで、セリア微粒子分散液3571.4gに陽イオン交換樹脂(ROHMHARS(株)製:デュオライト)75.0gを混合し、30℃で0.5時間撹拌し、被覆用金属酸化物粒子(B-2)分散液を調製した。
被覆用金属酸化物粒子(B-2)分散液のpHは3.0であった。また被覆用金属酸化物粒子(B-2)の表面電位、平均粒子径を測定し、結果を表に示す。
負電荷を有する基体用金属酸化物粒子(A-4)分散液の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI−80P、平均粒子径80nm、表面電位−60mV、SiO2濃度20重量%、pH10.2)750gに陽イオン交換樹脂(ROHMHARS(株)製:デュオライト)150gを混合し、30℃で0.5時間撹拌した。陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、30℃で0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の精製シリカゾル750gを調製した。これを4.1重量%に希釈し基体用金属酸化物粒子(A-4)分散液を調製した。このときのpHは3.5であった。基体用金属酸化物粒子(A-4)の表面電位を測定し、結果を表に示す。
ついで、基体用金属酸化物粒子(A-4)分散液3659gに、被覆用金属酸化物粒子(B-2)分散液3571.4gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。このとき、混合分散液のpHは3.2であった。工程(n)
以下、実施例1と同様に工程(b)を実施してSiO2濃度10重量%の金属酸化物粒子粒子(10)分散液を製造した。工程(b)
得られた金属酸化物粒子(8)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(8)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%となるように純水で希釈した金属酸化物粒子(8)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(8)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(8)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(8)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例9]
金属酸化物粒子(9)分散液の調製
正電荷を有する被覆用金属酸化物粒子(B-3)の調製
アルミナゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドAP−5、平均粒子径60nm、表面電位55mV、Al23濃度78重量%、pH4.5)82.7gおよび純水580.5gをサンドミル(シンマルエンタープライゼス(株)製:ガラスビーズ0.5mmφ1100g)にて2160rpmで180分間解砕してアルミナからなる被覆用金属酸化物粒子(B-3)分散液を調製した。
被覆用金属酸化物粒子(B-3)分散液のpHは4.0であった。また被覆用金属酸化物粒子(B-3)の表面電位、平均粒子径を測定し、結果を表に示す。
ついで、実施例8と同様にして調製したSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-4)分散液3659gに、被覆用金属酸化物粒子(B-3)分散液672.6gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。このとき、混合分散液のpHは3.6であった。工程(m)
以下、実施例1と同様に工程(n)を実施してSiO2濃度10重量%の金属酸化物粒子粒子(9)分散液を製造した。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(9)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(9)の製造
実施例1と同様にして調製した不織布(1)に、実施例1で調製した固形分濃度0.3重量%のシリカからなる接着層形成用塗布液(1)に1分間ディッピングし、ついで、4mm/secで引き上げ、ついで60℃にて10分乾燥した。工程(a1)
その後固形分濃度2.0重量%に純水を用いて希釈した金属酸化物粒子(9)分散液に1分間ディッピングした後、4mm/secで引き上げた。その後80℃にて30分乾燥した。
ついで、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)に1分間ディッピングした後、4mm/secで引き上げた。ついで80℃にて30分乾燥した。その後150℃にて30分加熱処理し水処理用撥水性被膜付基材(9)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(9)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(9)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例10]
金属酸化物粒子(10)分散液の調製
実施例1と同様にして調製したSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-1)分散液3659gに、被覆用金属酸化物粒子(B-4)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSN、平均粒子径5nm、表面電位−20mV、SiO2濃度20.0重量%、pH3.8)122gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。このとき、混合分散液のSiO2濃度5.0重量%、pHは3.5であった。工程(m)
ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、30℃で0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(10)分散液を調製した。金属酸化物粒子(10)分散液のpHは9.0であった。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(10)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(10)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%に純水を用いて希釈した金属酸化物粒子(10)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(10)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(9)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(10)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例11]
金属酸化物粒子(11)分散液の調製
被覆用金属酸化物粒子(B-5)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI−50、平均粒子径25nm、表面電位−51mV、SiO2濃度48.0重量%、pH10.2)833gを純水を用いて20%に希釈した。この溶液に陽イオン交換樹脂(ROHMHARS(株)製:デュオライト)150gを混合し、30℃で0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、30℃で0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の被覆用金属酸化物粒子(B-5)分散液を調製した。このときのpHは3.8で表面電位は−20mVであった。
ついで、実施例1と同様にして調製したSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-1)分散液3659gに、被覆用金属酸化物粒子(B-5)520gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。このとき、混合分散液のSiO2濃度6.0重量%、pHは3.5であった。工程(m)
混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(11)分散液を調製した。金属酸化物粒子(11)分散液のpHは9.0であった。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(11)について、被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(11)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%に純水を用いて希釈した金属酸化物粒子(11)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(11)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(11)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(11)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例12]
金属酸化物粒子(12)分散液の調製
正電荷を有する基体用金属酸化物粒子(A-5)分散液の調製
実施例1の正電荷を有する基体用金属酸化物粒子(A-1)の調製において、精製シリカゾル750gにポリ塩化アルミニウム(多木化学(株)製:タキバイン#1000、Al23濃度23.55重量%)5.1gを添加し、常温で0.5時間撹拌した後、水熱処理を80℃にて3時間行った以外は同様にしてSiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-5)分散液3659gを調製した。基体用金属酸化物粒子(A-5)分散液のpHは3.7であった。基体用金属酸化物粒子(A-5)の表面電位を測定し、結果を表に示す。
ついで、SiO2濃度4.1重量%のシリカからなる基体用金属酸化物粒子(A-5)分散液3659gに、被覆用金属酸化物粒子(B-1)として実施例1で用いたと同じシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSN−350、平均粒子径7nm、表面電位−23mV、SiO2濃度16.6重量%、pH3.7)367gを混合し、ついで、混合分散液を150℃で3時間水熱処理した後、30℃に冷却した。このとき、混合分散液のSiO2濃度5.2重量%、pHは3.5であった。工程(m)
ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、30℃で0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(12)分散液を調製した。金属酸化物粒子(12)分散液のpHは9.0であった。工程(n)
得られた金属酸化物粒子(12)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(12)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%に純水を用いて希釈した金属酸化物粒子(12)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(12)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(12)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(12)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例13]
水処理用撥水性被膜付基材(13)の製造
実施例1において、固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(1)に1分間ディッピングした後、1mm/secで引き上げた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(13)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(13)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(13)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例14]
水処理用撥水性被膜付基材(14)の製造
実施例1において、固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(1)に1分間ディッピングした後、8mm/secで引き上げた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(14)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(14)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(14)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例15]
水処理用撥水性被膜付基材(15)の製造
実施例1において、接着層形成用塗布液(1)を塗布および乾燥しなかった以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(15)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(15)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(15)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例16]
水処理用撥水性被膜付基材(16)の製造
実施例1において、オーバーコート層形成用塗布液としてシリコーン系撥水材(Momentive(株)製:TSW8251)に1分間ディッピングした後、1mm/secで引き上げ、ついで100℃にて60分間乾燥した以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(16)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(16)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(16)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[比較例1]
金属酸化物粒子(R1)分散液の調製
実施例1と同様にして調製した基体用金属酸化物粒子(A-1)分散液に純水を加えて固形分濃度2重量%の金属酸化物粒子(R1)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(R1)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%の金属酸化物粒子(R1)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(R1)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(R1)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(R1)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[比較例2]
金属酸化物粒子(R2)分散液の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SN−350、平均粒子径7nm、SiO2濃度16.6重量%、表面電位−23mV、pH3.7)に水を加えて固形分濃度2重量%のシリカゾルを調製した。
ついで、比較例1と同様にして調製した固形分濃度2重量%の金属酸化物粒子(R1)分散液と同量混合して固形分濃度2重量%の金属酸化物粒子(R2)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(R2)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%の金属酸化物粒子(R2)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(R2)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(R2)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(R2)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[比較例3]
金属酸化物粒子(R3)分散液の調製
正電荷を有する基体用金属酸化物粒子(RA-3)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI−50、平均粒子径25nm、表面電位−51mV、SiO2濃度48.0重量%、pH10.2)833gを純水を用いて20%に希釈した。この溶液に陽イオン交換樹脂(ROHMHARS(株)製:デュオライト)150gを混合し、0.5時間撹拌した。ついで、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離して、SiO2濃度20重量%の基体用金属酸化物粒子(RA-1)を調製した。このときのpHは3.8で表面電位は−20mVであった。
ついで、ポリ塩化アルミ(多木化学(株)製:タキバイン#1000、Al23濃度23.55重量%)5.1gを添加して固形分濃度20重量%の基体用金属酸化物粒子(RA-3)分散液を調製した。このとき、分散液のpHは3.7となった。
得られた基体用金属酸化物粒子(RA-3)の平均粒子径および表面電位を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度20重量%の基体用金属酸化物粒子(RA-3)分散液750gに純水2908gを加えて希釈して固形分濃度4.1重量%に調整し、ついで、被覆用金属酸化物微粒子としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SN−350、平均粒子径7nm、SiO2濃度16.6重量%、表面電位−23mV、pH3.7)241.0gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。
このとき、混合分散液の固形分濃度は4.8重量%、pHは3.5であった。工程(m)
ついで、混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、30℃で0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(R3)分散液を調製した。金属酸化物粒子(R3)分散液のpHは9.0であった。
得られた金属酸化物粒子(R3)について、平均粒子径および被覆率を求め、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(R3)の製造
実施例1において、純水にて固形分濃度2.0重量%に希釈した金属酸化物粒子(R3)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(R3)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(R3)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(R3)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[比較例4]
金属酸化物粒子(R4)分散液の調製
正電荷を有する基体用金属酸化物粒子(RA-4)の調製
シリカ粒子(日揮触媒化成(株)製:真絲球SW−1.0、平均粒子径1000nm、SiO2濃度100重量%)に純水を加えてSiO2濃度4.1重量%のシリカ粒子分散液3657gを調製した。このとき、シリカ粒子の表面電位は−70mV、分散液のpHは6.0であった。
ついで、ポリ塩化アルミ(多木化学(株)製:タキバイン#1000、Al23濃度23.55重量%)2.1gを添加して固形分濃度20重量%の基体用金属酸化物粒子(RA-4)分散液を調製した。このとき、分散液のpHは3.7となった。
得られた基体用金属酸化物粒子(R4)の平均粒子径および表面電位を測定し、結果を表に示す。
ついで、被覆用金属酸化物微粒子としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SN−350、平均粒子径7nm、SiO2濃度16.6重量%、表面電位−23mV、pH3.7)1.88gを混合し、30℃で0.5時間攪拌した。このとき、混合分散液の固形分濃度は4.1重量%、pHは3.7であった。
混合分散液に陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SUNNUP−C)135gを混合し、0.5時間撹拌し、ついで、陰イオン交換樹脂を分離し、ロータリーエバポレーターによりSiO2濃度10重量%のシリカからなる金属酸化物粒子(R4)分散液を調製した。金属酸化物粒子(R4)分散液のpHは9.0であった。
得られた金属酸化物粒子(R4)について、平均粒子径および被覆率を測定し、結果を表に示す。
水処理用撥水性被膜付基材(R4)の製造
実施例1において、固形分濃度2.0重量%の金属酸化物粒子(R4)分散液を用いた以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(R4)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(R4)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(R4)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[比較例5]
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(1)の代わりに撥水性透明被膜を形成することなく実施例1と同様にして調製した不織布(1)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[比較例6]
水処理用撥水性被膜付基材(R6)の製造
実施例1において、不織布(1)上に金属酸化物粒子層および接着層を形成することなく、実施例1と同様にして調製した固形分濃度0.3%のオーバーコート層形成用塗布液(1)を1分間ディッピングした後、ついで、4mm/secで引き上げた。ついで80℃にて30分乾燥した。その後150℃にて30分加熱処理し水処理用撥水性被膜付基材(R6)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(R6)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(R6)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[比較例7]
水処理用撥水性被膜付基材(R7)の製造
実施例1において、不織布(1)上に金属酸化物粒子層および接着層を形成することなく、オーバーコート層形成用塗布液としてシリコーン系撥水材(Momentive(株)製:TSW8251)に1分間ディッピングした後、1mm/secで引き上げ、ついで100℃にて60分間乾燥して水処理用撥水性被膜付基材(R7)を調製した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(R7)について、組成および凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および水処理試験(2)
実施例1において、水処理用撥水性透明被膜付基材(R6)を用いた以外は同様にして水処理試験を実施し、10時間後および100時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度およびショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
Figure 2015047530
Figure 2015047530
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Claims (17)

  1. 基材、および該基材表面の撥水性被膜からなり、
    該撥水性被膜が、基体用金属酸化物粒子(A)の表面を被覆用金属酸化物微粒子(B)で被覆された金属酸化物粒子からなる粒子層と金属酸化物粒子層上のオーバーコート層とからなり、該撥水性被膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が50〜500nmの範囲にあり、
    平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が20〜1000nmの範囲にあり、前記基材が繊維または布であり、水との接触角が100〜180°の範囲にあることを特徴とする水処理用撥水性被膜付基材。
  2. 前記基体用金属酸化物粒子(A)が球状粒子であり、平均粒子径(DA)が40〜600nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  3. 前記被覆用金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径(DB)が4〜60nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  4. 前記被覆用金属酸化物粒子(B)による基体用金属酸化物粒子(A)の下記式(1)で表される被覆率が30〜100%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
    被覆率(%)=[[金属酸化物粒子の実測の比表面積(SA)−基体用金属酸化物粒子の実測の比表面積(SM)]/[100%被覆したとした場合の計算上の比表面積(SC)−基体用金属酸化物粒子の実測の比表面積(SM)]]×100・・・・・・・(1)
    (ここで、(SC)=金属酸化物粒子1個当たりの表面積x単位重量(1g)当たりの粒子数、
    金属酸化物粒子1個当たりの表面積=4π・[(DA)/2+(DB)/2]2
    単位重量(1g)当たりの基体用金属酸化物粒子(A)の個数=1/[4/3・π[(DA)/2]3・d、dは基体用金属酸化物粒子(A)の粒子密度(g/ml)を表す。)
  5. 前記平均粒子径(DB)と前記平均粒子径(DA)との比(DB)/(DA)が0.007〜0.5の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  6. 前記基体用金属酸化物粒子(A)および前記被覆用金属酸化物微粒子(B)がSiO2、Al23、Sb25、ZrO2、TiO2、Fe23、CeO2、およびこれらの複合酸化物または混合物(但し、前記基体用金属酸化物粒子(A)および前記被覆用金属酸化物微粒子(B)は同一であってもよい。)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  7. 前記基体用金属酸化物粒子(A)および前記被覆用金属酸化物微粒子(B)がともにSiO2であることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  8. 前記オーバーコート層がフッ素含有化合物、アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物の少なくとも1種を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  9. 前記オーバーコート層が下記式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であることを特徴とする請求項8に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
    n-SiX4-n (1)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
  10. 前記オーバーコート層の形成量が、前記金属酸化物粒子層の金属酸化物粒子を固形分として100重量部に対し[Rn-SiO(4-n)/2]として1〜100重量部の範囲にあることを特徴とする請求項9記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  11. 前記基材と前記金属酸化物粒子層との間に接着層(a1)または前記金属酸化物粒子層と後述するオーバーコート層との間に接着層(a2)を有することを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  12. 前記凹凸構造の凸部の表面がさらに微細凹凸を有し、該微細凸部の平均高さ(TFF)が0.1〜5nmの範囲にあり、平均微細凸部間距離(WFF)が、前記凸部の平均凸部間距離(WF)よりも小さく、0.1〜5nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  13. 下記の工程(b)〜(d)からなり、表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、水との接触角が100〜180°の範囲にある水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
    (b)繊維または布からなる基材上に、基体用金属酸化物粒子(A)の表面を被覆用金属酸化物微粒子(B)で被覆された金属酸化物粒子の分散液を塗布して金属酸化物微粒子層を形成する工程
    (c)前記金属酸化物粒子層上に、オーバーコート層形成用塗布液を塗布してオーバーコート層を形成する工程
    (d)加熱処理する工程。
  14. 前記工程(b)の前に、下記の工程(a1)を行うことを特徴とする請求項13に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
    (a1)基材表面上に接着層形成用塗布液を塗布して接着層(a1)を形成する工程。
  15. 前記工程(b)の後に、下記の工程(a2)を行うことを特徴とする請求項13に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
    (a2)前記金属酸化物粒子層上に接着層形成用塗布液を塗布して接着層(a2)を形成する工程。
  16. 前記金属酸化物粒子分散液の濃度が、固形分として濃度が0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項13に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法。
  17. 前記工程(b)にて形成した金属酸化物粒子層中の金属酸化物粒子100重量部に対して、オーバーコート層形成用塗布液を固形分として、1〜100重量部となるように塗布することを特徴とする請求項13に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法。
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