JP2015029965A - 水処理用撥水性透明被膜付基材およびその製造方法 - Google Patents

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夕子 箱嶋
Yuko Hakojima
夕子 箱嶋
政幸 松田
Masayuki Matsuda
政幸 松田
良 村口
Makoto Muraguchi
良 村口
吉田 聡
Satoshi Yoshida
聡 吉田
小柳 嗣雄
Tsuguo Koyanagi
嗣雄 小柳
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Abstract

【課題】撥水性に優れるとともに硬度、強度、耐擦傷性、耐摩耗性、密着性等に優れた撥水性被膜を設けることによって高い処理能力を長時間維持することのできる水処理用撥水性被膜付基材を提供する。【解決手段】基材、および該基材表面の撥水性被膜からなり、該基材が細孔を有する有機樹脂膜であり、撥水性被膜の水との接触角が130〜180?の範囲にある水処理用撥水性被膜付基材。前記撥水性被膜が、表面処理無機酸化物微粒子を含む無機酸化物微粒子層を含んでなり、撥水性被膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にある。前記撥水性被膜が、無機酸化物微粒子層上にオーバーコート層を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、水処理に好適に用いることのできる水処理用撥水性透明被膜付基材およびその製造方法に関する。
さらに詳しくは、撥水性に優れるとともに硬度、強度、耐擦傷性、耐摩耗性、密着性等に優れた撥水性被膜を設けることによって高い処理能力を長時間維持することのできる水処理用撥水性被膜付基材およびその製造方法に関する。
近年、水資源の有効活用や質の高い水の要求から、海水淡水化装置や上下水道水の濾過装置の需要が増加している。濾過装置の心臓部には濾過膜が使用され、水から不純物を取り除いている。濾過膜には多くの種類があるが、特に逆浸透膜(以下、RO膜ということがある)は分子レベルの分離・除去が可能であるため純度の高い水や安全な飲み水の生成、塩分除去などを目的とした装置には無くてはならない膜である。
このような水処理装置では、処理能力を維持するには、膜の洗浄が不可欠で、洗浄時期を誤ると高分子複合膜であるRO膜では洗浄しても処理能力が充分回復せず、また、膜の寿命が低下し、処理効率、経済性が低下する問題がある。(非特許文献1:大江、岡田、横河技法 Vol.48 No.2(2004)p73)
特許文献1(特開2011−240299号公報)には、逆浸透膜に吸着する水中溶解有機物を吸収するための吸着材料を繊維状にして、逆浸透膜の前の流路内に設置し、非処理水を繊維の長さ方向に流れるようにすることによって有機物を吸着しても目詰まりによる非処理水の流量低下が生じにくいことが開示されている。このとき、繊維は、アミノ基が繰り返し単位に1つ以上含まれる高分子重合体が用いられている。
特許文献2(特開2010−234354号公報)には、高度水処理に用いられる逆浸透膜を劣化させる原因物質がカルボニル基を有する有機物であるとし、この原因物質を選択的に吸着する接触角40度以上の疎水性の前処理吸着剤により、逆浸透膜前で吸着除去することを提案している。このとき、吸着剤表面材質にイミド結合を有するポリイミド、ポリアミドが使用されている。
特許文献3(特開2003−200027号公報)には、原水中に含まれる汚染物質、微量有害物質を選択分離除去可能な複合半透膜が提案されている。複合半透膜は、脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンの混合アミン成分と、多官能ハロゲン化成分と多官能酸無水物ハロゲン化物の混合酸ハロゲン化成分とを、多孔性支持膜上で界面重縮合反応を行い架橋ポリアミドの薄膜を形成した後、pH11以上のアルカリ水溶液中に接触させて製造されている。
これを用いた水処理の結果、グルコースの除去率70%以上となることが報告されている。
特開2011−240299号公報 特開2010−234354号公報 特開2003−200027号公報
大江、岡田、横河技法 Vol.48 No.2(2004)p73
しかしながら、水処理においては、対象とする水によって処理能力低下原因は異なるが、さらに、処理能力の向上、経済性の向上等が求められている。
処理能力低下原因、逆浸透膜のトラブルの80%がファウリングといわれ、特に疎水性物質、微生物の付着によるバイオファウリングといわれている。
このような中、本発明者らは、ファウリング物質と逆浸透膜との親和性に着目し、撥水性を付与することで、ファウリングを抑制することを考えた。そして、所定の凹凸構造を有する撥水性膜を形成すると、高い水処理性能を長期にわたって維持することが可能となることを見出して本発明を完成するに至った。
一方、一般に表面がフラクタル構造を有している場合、固体表面が親水的な場合には親水性が向上して超親水性を示し、逆に固体表面が疎水的な場合には撥水性が向上して超撥水性を示すことが知られている。たとえば以下などが知られている。
特開2005−343016号公報には、微粒子集合体からなる突起体及び撥水性膜を備え、突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、突起体が存在する部分の被膜表面に突起体による凹凸が形成された超撥水性被膜被覆物品が開示されている。WO2003/039856号公報には、基体と、基体の表面に形成された微小凹凸を有する下地膜と、下地膜の微小凹凸上に形成された撥水性皮膜とを含む超撥水性基体が開示されている。特開2004−137137号公報には、表面に微小凹凸を有した珪素酸化物を主成分とする皮膜が被覆された物品であって、微小凹凸は、微小突起および柱状突起により構成された皮膜被覆物品が開示されている。特開平8−40748号公報には、ガラス基板と、基板の表面に、マイクロピット状表層、凹凸状表層、凸状表層などの表層形状を有する酸化物薄膜からなる下地層と、該下地層の上に、フルオロアルキルシラン、酸化アンチモンドープる酸化錫粒子、シリコーン化合物の混合物に、酸を添加して成膜した撥水層からなる撥水性ガラスが開示されている。
本発明は、水処理装置に好適に用いることのできる撥水性被膜付基材およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係る水処理撥水性被膜付基材は、
基材、および該基材表面の撥水性被膜からなり、該基材が細孔を有する有機樹脂膜であり、撥水性被膜の水との接触角が130〜180°の範囲にあることを特徴とする。
前記撥水性被膜が、表面処理無機酸化物微粒子を含む無機酸化物微粒子層を含んでなり、撥水性被膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にある。
前記撥水性被膜が、無機酸化物微粒子層上にオーバーコート層を有する。
本発明に係る製造方法では、
下記の工程(b)および(e)からなり、表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、水との接触角が130〜180°の範囲にある水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
(b)細孔を有する有機樹脂膜からなる基材上に表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布して無機酸化物微粒子層を形成する工程、ついで
(e)加熱処理する工程
前記工程(b)についで、下記の工程(d)行う;
(d)無機酸化物微粒子層上に、オーバーコート層形成用塗布液を塗布してオーバーコート層を形成する工程。
本発明によれば、特定の撥水性被膜を形成しているので、ファウリング、特に疎水性物質、微生物の付着によるバイオファウリングを有効的に抑制できる。その結果、高い水処理性能を長期にわたって維持することが可能となる。
実施例で評価のために作製した逆浸透膜の概略断面図を示す。
以下、まず、本発明に係る水処理用撥水性被膜付基材について説明する。
[水処理用撥水性被膜付基材]
本発明に係る水処理用撥水性被膜付基材は、基材、および該基材表面の撥水性被膜からなる。
基材
本発明に用いる基材としては、水処理用の分離膜として用いることができれば特に制限は無く、従来公知の基材を用いることができる。
多くの場合、高分子膜(有機樹脂膜)が用いられ、例えば、酢酸セルロース(親水性)、ポリアクリロニトリル(親水性)、ポリアミド(親水性)、芳香族ポリアミド(親水性)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(疎水性)、ポリエチレンテレフタレート(疎水性)、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン(疎水性)、ポリテトラフルオロエチレン(疎水性)、ポリフッ化ビニリデン(疎水性)、ポリ塩化ビニル(疎水性)、ポリビニルアルコール等の高分子膜が挙げられる。なお、高分子膜には不織布を含む。
これらの基材には、精密濾過(MF膜)、UF膜(限外濾過膜)、NF膜(ナノ濾過膜)、RO膜(逆浸透膜)等用途、用法によって異なるが、数nm〜数μmの範囲の細孔(以下、貫通孔ということがある)を有している。
本発明では、このうち、高分子膜がRO膜であることが好ましく、さらに、ナノオーダーの細孔を有する酢酸セルロース、芳香族ポリアミド膜が好適に用いられる。
撥水性被膜
撥水性被膜は、表面処理無機酸化物微粒子を含む無機酸化物微粒子層を含んで構成されている。
当該撥水性被膜は、水との接触角が130〜180°、さらには145〜180°の範囲にあることが好ましい。撥水性被膜の水との接触角が前記範囲にあれば、通常、水滴が被膜上に付着することなく水を弾くような撥水性被膜を得ることができ、前記した逆浸透膜等の細孔を有する有機樹脂膜上に撥水性被膜を形成して水処理に用いた場合、水処理能力の低下を抑制でき、長期にわたって繰り返し使用することができる。このような接触角を満足するものであれば本発明は特に限定されないが、後記するような、凹凸を有することものが望ましく、このような凹凸構造によって、かかる撥水性は顕現する。
(i)無機酸化物微粒子層
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、その形状が板状、繊維状、鎖状であることが好ましい。
板状無機酸化物微粒子としては、板状アルミナ微粒子、板状アルミナ水和物微粒子、板状アルミナ・シリカ微粒子が挙げられる。
板状アルミナ水和物微粒子の場合、多くは、擬ベーマイトアルミナ水和物微粒子(Al23・nH2O、n=0.5〜2.5)が用いられ、これは結晶性アルミナ水和物微粒子の一種であり、通常一次粒子が板状に配列して二次粒子を形成している。
無機酸化物微粒子の形状が板状である場合は、板状無機酸化物微粒子が面を接しながら積層した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。 板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜30の範囲にあることが好ましい。
板状アルミナ微粒子の平均粒子径(DP)は10〜300nm、さらには30〜250nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径(DP)が前記範囲の下限を超えて小さいものは得ることが困難であり、得られたとしても前記した板状とならず、所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、水処理に用いた場合に目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
平均粒子径(DP)が大きすぎても、最終的に得られる撥水性被膜の強度、硬度、基材との密着性が不十分となる場合があり、水処理に用いた場合に膜の劣化が早く、長期にわたって繰り返し使用できない場合がある。
また、板状アルミナ微粒子の平均厚み(TP)は1〜60nm、さらには3〜50nmの範囲にあることが好ましい。平均厚み(TP)が薄すぎるものは得ることが困難であり、得られたとしても所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、水処理に用いた場合に目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
平均厚み(TP)が暑すぎると板状構造を取ることは困難で、立方体に近くなり、充分な凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性、強度、基材との密着性等が不十分となる場合があり、水処理に用いた場合に膜の劣化が早く、長期にわたって繰り返し使用できない場合がある。
前記平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)は1.5〜50、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。 平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が前記範囲にあると、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性等に優れた撥水性被膜を得ることができ、水処理に用いた場合に目詰まり、膜の劣化を抑制することができ、長期にわたって繰り返し使用することができる。
繊維状無機酸化物微粒子としては、繊維状アルミナ微粒子、繊維状アルミナ水和物微粒子、繊維状アルミナ・シリカ微粒子、繊維状シリカ微粒子、繊維状酸化チタン微粒子等が挙げられる。
繊維状アルミナ水和物微粒子の場合も、擬ベーマイトアルミナ水和物微粒子(Al23・nH2O、n=0.5〜2.5)を用いることが好ましい。無機酸化物微粒子の形状が繊維状である場合は、繊維状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。そして、これらの微粒子層が、最終的に得られる撥水性被膜の表面に所望の凹凸を形成する。
無機酸化物微粒子の形状が繊維状である場合、繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(WF)が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WF)との比(LF)/(WF)が1.5〜50の範囲にあることが好ましい。 繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)は10〜500nm、さらには30〜400nmの範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LF)が短いものは、粒子を安定的に再現性よく調製することができない場合があり、得られたとしても繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、水処理に用いた場合に目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
平均長さ(LF)が長すぎると、同様に粒子を安定的に再現性良く調製することができない場合があり、得られたとしても前記した所定の大きさの繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、水処理に用いた場合に目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
平均粒子幅(WF)は1〜100nm、さらには3〜80の範囲にあることが好ましい。
平均粒子幅(WF)が小さいと、粒子を安定的に再現性良く調製することが困難であり、得られたとしても前記した繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
平均粒子幅(WF)が大きすぎると、粒子を安定的に再現性良く調製することが困難であり、得られたとしても前記した繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
前記平均長さ(LF)と平均粒子幅(WF)との比(LF)/(WF)は1.5〜50、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LF)と平均粒子幅(WF)との比(LF)/(WF)が前記範囲にあると、所定の繊維形状となるため、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性等に優れた撥水性被膜を得ることができる。このため、水処理に用いた場合に目詰まり、膜の劣化を抑制することができ、長期にわたって繰り返し使用することができる。
鎖状無機酸化物微粒子としては、鎖状シリカ微粒子、鎖状ジルコニア微粒子、鎖状五酸化アンチモン微粒子等が挙げられる。無機酸化物微粒子の形状が鎖状である場合は、前記した繊維状無機酸化物微粒子の場合と同様に鎖状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。そして、これらの微粒子層が、最終的に得られる撥水性被膜の表面に所望の凹凸を形成する。
無機酸化物微粒子の形状が鎖状である場合、鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が3〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が6〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にあることが好ましい。
鎖状無機酸化物微粒子を構成する一次粒子の平均粒子径(DC)は3〜100nm、さらには5〜80nmの範囲にあることが好ましい。一次粒子の平均粒子径(DC)が3nm未満のものは容易に凝集して鎖状粒子が得られない場合があり、50nmを超えると一次粒子が連結しにくく鎖状粒子が得られない場合がある。
鎖状無機酸化物微粒子の平均長さ(LC)は10〜500nm、さらには30〜400nmの範囲にあることが好ましい。 平均長さ(LC)が短い場合は、鎖状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が小さく、所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
平均長さ(LC)が長すぎても所定の凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
前記平均長さ(LC)と平均一次粒子径(DC)との比(LC)/(DC)は1.5〜50、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LC)と平均一次粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が前記範囲にあると、所定の鎖状形状となるため、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性等に優れた撥水性被膜を得ることができ、このため、水処理に用いた場合に目詰まり、膜の劣化を抑制することができ、長期にわたって繰り返し使用することができる。
本発明では、前記した板状、繊維状、鎖状のいずれかの粒子を用い、この粒子の大きさ、形状が重要となる。このような粒子は後述する凹凸を形成できるとともに、凹凸の表面に微細な凹凸が形成されるためか、撥水性に優れた撥水性被膜を得ることができる。
本発明で、前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)、平均厚み(TP)、前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)、平均粒子幅(WF)、および鎖状無機酸化物微粒子の平均長さ(LC)、平均一次粒子径(DC)は、原料で使用される板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子の数値が対応する。
このような無機酸化物微粒子は、下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物またはその加水分解物で表面処理されていることが好ましい。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、パ−フルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメトキシメチルトリフルオロプロピルシラン、ペンタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン等が挙げられる。
式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
本発明では、後述するオーバーコート層を設ける場合、前記表面処理に式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を使用する必要は無く、式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物のみを使用してもよい。逆に、前記表面処理に式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を使用する場合、オーバーコート層を設ける必要もない。
このとき、式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物のn=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物、またはn=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物とn=1(3官能)の加水分解性有機ケイ素化合物との混合物を用いると、基材との密着性、強度、硬度等に優れ、後述するオーバーコート層がとの結合性も増し、最終的に強度、硬度、撥水性に優れた撥水性付基材を得ることができ、水処理に用いた場合に目詰まり、膜の劣化を抑制することができ、長期にわたって繰り返し使用することができる。
無機酸化物微粒子の加水分解性有機ケイ素化合物での表面処理量は、無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し加水分解性有機ケイ素化合物をRn-SiO(4-n)/2として1〜200重量部、さらには5〜100重量部の範囲にあることが好ましい。
無機酸化物微粒子の加水分解性有機ケイ素化合物で表面処理量が前記範囲にあると、分散性が高く、結合材との結合が促進され、最終的に強度、硬度、ヘーズ等に優れた撥水性被膜付基材を得ることができ、水処理に好適に用いることができる。
(ii)結合材
撥水性被膜は、前記表面処理無機酸化物微粒子を結合し、基材との密着性、撥水性被膜の強度、硬度を向上させる目的で、結合材を含んでいることが好ましい。
結合材としては、シリカが望ましく、なかでも、シリカゾル、酸性珪酸酸液、加水分解性有機ケイ素化合物に由来するシリカが好適である。
特に、下記式(3)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であるシリカ結合材が好ましい。
n-SiX4-n (3)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜1の整数)
ここで、加水分解重縮合物とは、後述する製造工程で、加水分解性有機ケイ素化合物、これらの部分加水分解物、加水分解物であったものが加熱処理によって重縮合したものであることを意味している。
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
なかでも、n=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物、またはn=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物とn=1(3官能)の加水分解性有機ケイ素化合物との混合物を用いると、基材との密着性、強度、硬度等に優れ、フッ素含有シリカ系層からなるオーバーコート層がとの結合性も増し、最終的に強度、硬度、撥水性に優れた撥水性被膜付基材を得ることができ、水処理に好適に用いることができる。
結合材の含有量は無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子を酸化物換算し100重量部に対し、結合材を酸化物に換算して1〜200重量部、さらには10〜190重量部の範囲にあることが好ましい。
結合材の含有量が少ないと、無機酸化物微粒子層と基材との密着性、強度、硬度等が不充分となる場合がある。シリカ結合材の含有量が多すぎても、無機酸化物微粒子層表面の凹凸が小さくなる場合があり、最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不充分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
(iii)オーバーコート層
前記無機酸化物微粒子層上にはオーバーコート層が形成されていることが好ましい。
特に、前記した無機酸化物微粒子の表面処理に式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を用いてない場合は、オーバーコート層の形成が必須である。
このようなオーバーコート層としては、無機酸化物微粒子層と結合し、撥水性を向上できれば特に制限はないが、本発明では、下記式(4)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であるフッ素含有シリカ系層が好ましい。
n-SiX4-n (4)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
ここで、加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物とは、後述する製造工程で、加水分解性有機ケイ素化合物、これらの部分加水分解物、加水分解物であったものが加熱処理によって重縮合したものであることを意味している。
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、前記した式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物と同じ化合物が挙げられる。
前記フッ素含有シリカ系層が、さらに下記式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物を含んでいてもよい。
SiX4 (5)
(但し、式中、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素)
ここで、加水分解重縮合物とは、後述する製造工程で、加水分解性有機ケイ素化合物、これらの部分加水分解物、加水分解物であったものが加熱処理によって重縮合したものであることを意味している。
式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
なお、上記以外に、Xとして炭素数が5以上のアルコキシ基を有する加水分解性有機ケイ素化合物を併用することもできる。
式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が混合して含まれている場合、式(4)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物のRn-SiO(4-n)/2の100重量部に対して、式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物をSiO2として200重量部以下、さらには1〜100重量部の範囲で含んでいることが望ましい。式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物の含有量が前記範囲にあると、撥水性被膜の撥水性を低下することなく強度、硬度等に優れた撥水性被膜付基材を得ることができ、水処理に長期にわたって繰り返し使用することができる。
オーバーコート層の含有量は前記無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子100重量部に対し、酸化物換算(Rn-SiO(4-n)/2)で1〜100重量部、さらには2〜80重量部の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層の含有量が少ないと、一部、オーバーコート層が形成されていない塗布ムラが生じ、充分な撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合があり、また、オーバーコート層の含有量が多すぎても、後述する撥水性被膜表面の凹凸の凸部間距離(WF)が小さくなり、撥水性はむしろ低下する場合があり、また、撥水性被膜の強度、硬度が不十分となる場合があり、このため目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
プライマー層
本発明では、前記した基材と無機酸化物微粒子層との間にプライマー層を有していても良い。これによって、無機酸化物微粒子層の密着性をより高めることが可能となる。
プライマー層としては、無機酸化物微粒子層、さらには撥水性被膜の密着性を向上できれば特に制限はないが、前記した高分子膜である有機樹脂系基材の場合は有機樹脂系のプライマー層を形成してもよく、または無機系のプライマー層を形成してもよい。
具体的には、有機樹脂系のプライマー層を形成する場合は、基材と無機酸化物微粒子層、さらには撥水性被膜との密着性を向上できれば特に制限は無く、従来公知の有機樹脂系プライマーを用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などが挙げられる。
無機酸化物系のプライマー層の場合、シリカゾル、シリカアルミナゾル、アンチモンドープ酸化錫(ATO)ゾル、錫ドープ酸化インジウム(ITO)ゾル等のゾルの他、ケイ酸アルカリ水溶液をイオン交換樹脂等で脱アルカリして得られる酸性ケイ酸液、有機珪素化合物あるいはこれらの加水分解物による、無機酸化物層などがあげられる。
プライマー層は、プライマー層の厚さが10〜300nm、さらには25〜200nmの範囲にあるように形成されることが好ましい。
プライマー層が薄いと密着性を向上させる効果が不充分となる場合がある。プライマー層が厚すぎても、さらに密着性が向上することもなく、クラックが発生して強度が低下したり、不十分となる場合があり、水処理に長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
凹凸構造
本発明に係る撥水性被膜付基材は、表面が凹凸構造を有する。
該凹凸構造は、凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(ピッチ幅)、水との接触角で定義される。
該凹凸構造の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nm、さらには50〜400nmの範囲にあることが好ましい。凸部の平均高さ(TF)が小さいと、撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
凸部の平均高さ(TF)が大きすぎると、撥水性被膜の強度が不十分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
また、平均凸部間距離(ピッチ幅ということがある)(WF)は50〜1000nm、さらには70〜800nmの範囲にあることが好ましい。平均凸部間距離(WF)が短いと、撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、目詰まりの抑制効果が不充分となったり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
平均凸部間距離(WF)が大きすぎても、撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
前記平均高さ(TF)と前記平均凸部間距離(WF)との比(TF)/(WF)(アスペクト比ということがある)は0.1〜10、さらには0.2〜5の範囲にあることが好ましい。(TF)/(WF)が小さい場合は、表面の凹凸構造の凸部の高さが不十分であるため、撥水性が不十分となる場合があり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
(TF)/(WF)が大きすぎると無機酸化物微粒子を配列することが困難で、例え無機酸化物微粒子が配列できたとしても、撥水性被膜の強度、硬度が不十分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
本発明では、前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は撥水性被膜の断面の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、50個の凸部の高さ、ピッチ間距離を測定し、その平均値とした。
前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は、無機酸化物微粒子の大きさおよび形状、すなわち、板状無機酸化物微粒子では平均粒子径(DP)、平均厚み(TP)、繊維状無機酸化物微粒子では平均長さ(LF)、平均粒子幅(WF)、鎖状無機酸化物微粒子では平均長さ(LC)、平均一次粒子径(DC)を選択するとともに、後述する撥水性被膜付基材の製造方法に於ける無機酸化物微粒子分散液の濃度、塗布方法等に調整される。具体的には、平均粒子径(DP)、平均長さ(LF)、平均長さ(LC)の大きい場合、平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)が大きくなる傾向にあり、また、無機酸化物微粒子分散液の濃度が高い場合平均高さ(TF)が高くなる傾向にあり、濃度が低い場合平均凸部間距離(WF)が大きくなる傾向にある。
本発明の撥水性被膜表面の凸部は、凸部表面にさらに微細な凹凸を有している。
微細凹凸の凸部の平均高さ(TFF)は3〜50nm、さらには3〜45nmの範囲にあることが好ましい。
本発明では、前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は、原子間力顕微鏡(AFM)(Bruker(株)製:Dimension 3100)により測定した。
微細凹凸の凸部の平均高さ(TFF)が前記範囲にあると、より撥水性に優れた被膜が得られる。
また、微細凹凸の凸部の平均凸部間距離(WFF)が3〜50nm、さらには3〜45nmの範囲にあることが好ましい。
微細凹凸の凸部の平均凸部間距離(WFF)が前記範囲にあると、前記平均高さ(TFF)が所定範囲にある場合と同様に、より撥水性に優れた被膜が得られる。
このような、微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)は、前記した平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)測定時に測定することができ、任意の凸部5個について、凸部を指定して拡大すると微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)を測定することができる。
上記のような凹凸構造を有することで、前記範囲に接触角が調整される。
接触角を前記範囲で調整するには、前記した方法で凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)を所定範囲に調整すればよいが、加えてアスペクト比(TF)/(WF)を所定の0.1〜10の範囲、特に1〜5の範囲にすることが好ましい。すなわち、凸部を高密度で形成することによって調整することができる。
このように凹凸を有することで、水処理能力の低下を抑制できる理由については必ずしも明らかではないが、(1)撥水性被膜の表面が前記凹凸構造を有すること、(2)さらに微細凹凸を有すること、(3)撥水性が高いこと等のいずれか、あるいはこれらが複合した理由があるものと推測される。
つぎに、本発明に係る水処理用撥水性被膜付基材の製造方法について説明する。
[水処理用撥水性被膜付基材の製造方法]
本発明に係る水処理用撥水性被膜付基材の製造方法は、下記の工程(b)および(e)からなる。
(b)細孔を有する有機樹脂膜からなる基材上に表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布して無機酸化物微粒子層を形成する工程
(e)加熱処理する工程
本発明では、工程(b)の前に、下記の工程(a)を行うことが好ましい。
工程(a)
あらかじめ、基材表面にプライマー層形成用塗布液を塗布してプライマー層を形成する工程。
基材としては、前記したとおりである。
プライマー層形成用塗布液としては、無機酸化物系のプライマー層を形成する場合は無機酸化物前駆体のゾル、ゲル分散液を塗布液として用いることができ、例えば、シリカゾル、シリカアルミナゾル、アンチモンドープ酸化錫(ATO)ゾル、錫ドープ酸化インジウム(ITO)ゾル等のゾルの他、ケイ酸アルカリ水溶液をイオン交換樹脂等で脱アルカリして得られる酸性ケイ酸液、有機珪素化合物あるいはこれらの加水分解物等を用いることができる。
有機珪素化合物としては、後述する工程(c)で結合材用塗布液に用いる加水分解性有機ケイ素化合物が好適に用いられる。
また、有機樹脂系のプライマー層を形成する場合は、基材と無機酸化物微粒子層、さらには撥水性被膜との密着性を向上できれば特に制限は無く、従来公知の有機樹脂系塗布液を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などが挙げられる。
プライマー層形成用塗布液の塗布量は、塗布液の濃度によっても異なるが、前記したようにプライマー層の膜厚が10〜300nm、さらには25〜200nmとなるように塗布することが好ましい。
プライマー層の厚さが10nm未満の場合は、基材と無機酸化物微粒子層、撥水性被膜との密着性を向上させる効果が不充分となる場合があり、水処理に長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
プライマー層の厚さが300nmを超えると、さらに密着性が向上することもなく、クラックが発生して硬度が低下したり、不十分となる場合があり、この場合も水処理に長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
塗布方法としては、後述する工程(c)のアルミナ水和物微粒子分散液を塗布方法と同様にバーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
プライマー層形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、プライマー層形成用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
工程(b)
(b)基材上、または前記工程(a)で形成したプライマー層上に表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布して無機酸化物微粒子層を形成する。
基材
基材としては前記した基材を用いることができる。
(i)表面処理無機酸化物微粒子分散液の調製
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、前記した板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子が用いられる。
まず、本発明で用いる板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子の製造方法において、好適に用いられる繊維状、板状のアルミナ水和物微粒子の製造方法を例示する。
アルミナ水和物微粒子の調製法
本発明に用いるアルミナ水和物微粒子の製造方法としては、前記したアルミナ水和物微粒子が得られれば特に制限はないが、以下の方法が例示される。
まず、繊維状アルミナ水和物微粒子の基本的製造方法を例示する。
(1)アルミニウム塩水溶液にアルカリ水溶液を加えて中和してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法、
(2)上記熟成後にアルカリ水溶液を加え、必要に応じて熟成し、ついで、アルミニウム塩水溶液を加え、必要に応じて熟成する方法、
(3)上記(2)を繰り返し行う方法。
あるいは、同様に
(4)アルミン酸ソーダ水溶液に酸水溶液を加えて中和してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法、
(5)上記熟成後に酸水溶液を加え、必要に応じて熟成し、ついで、アルミン酸ソーダ水溶液を加え、必要に応じて熟成する方法、
(6)上記(5)を繰り返し行う方法。
さらに、
(7)アルミニウム塩水溶液とアルミン酸ソーダ水溶液とを混合してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法。この場合
(8)前記(2)あるいは(5)を行い、必要に応じてこれを繰り返す方法、を行っても良い。
本発明では、前記方法で得られたアルミニウムヒドロゲルスラリーを洗浄して用いるが、洗浄して得られた微粒子を本発明に用いるアルミナ水和物微粒子とする。
洗浄方法としては、濾過して、掛け水する方法、限外濾過法、さらには陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂等でカチオン、アニオンを除去する方法、これらを併用する方法、繰り返し行う方法が挙げられる。
上記において、アルミニウム塩水溶液としては塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等の有機酸アルミニウム塩等の水溶液が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア等の水溶液が挙げられる。その他、クエン酸、りんご酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸等の従来公知の粒子成長調整剤を配合して用いることができる。
以上のようにして本発明に用いることのできる繊維状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。繊維状アルミナ微粒子(二次粒子)の平均長さ(LF)、平均粒子幅(WF)は、使用原料、中和条件、熟成条件、その際の濃度、洗浄条件、有機カルボン酸等の粒子成長調整剤の使用等周知の方法で調整することができる。
つぎに、板状アルミナ水和物微粒子の基本的製造方法を例示する。
第1の例は、繊維状アルミナ水和物微粒子を調製した場合と同様にアルミナヒドロゲルスラリーを調製するが、このとき、酸性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製し、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性にし、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性にし、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製する。
あるいは、アルカリ性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製した場合は、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性にし、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性にし、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製する。
ついで、アルミナヒドロゲルスラリーを従来公知の方法で洗浄することによって板状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。
これとは別の第2の例は、アルミン酸ナトリウム水溶液に、必要に応じて加温下で、酸性化合物を加えてアルカリ性領域のアルミナヒドロゲルスラリーを調製し、加温下で熟成することによって一次粒子がほぼ正方形の板状のアルミナ水和物微粒子を調製することができる。ついで、従来公知の方法で充分に洗浄した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAOH)等の有機塩基を加え、オートクレーブ等を用いて高温下、水熱処理し、ついで、洗浄して有機塩基を除去することによって、本発明に好適に用いることのできる板状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。
本発明で使用される表面処理無機酸化物微粒子は、前記した板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子が、下記式(6)および/または下記式(7)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されている。
n-SiX4-n (6)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
n-SiX4-n (7)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
式(6)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、前記した式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を用いることができ、式(7)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、前記した式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を用いることができる。
本発明では、後述するオーバーコート層を設ける場合、前記表面処理に式(6)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を使用する必要は無く、式(7)で表される加水分解性有機ケイ素化合物のみを使用してもよい。
無機酸化物微粒子の加水分解性有機ケイ素化合物での表面処理量は、無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し加水分解性有機ケイ素化合物をRn-SiO(4-n)/2として1〜200重量部、さらには5〜100重量部の範囲にあることが好ましい。
無機酸化物微粒子の加水分解性有機ケイ素化合物での表面処理量が前記範囲にあると、表面処理無機酸化物微粒子が均一に分散した分散液となり、塗布性が良好なために均一な無機酸化物微粒子層を形成することができ、後述する工程(c)で塗布する結合材用塗布液の結合材との結合が促進され、最終的に基材または前記プライマー層との密着性、強度、硬度等に優れた水処理用撥水性被膜付基材を得ることができ、水処理に好適に用いることができる。
表面処理方法は、例えば、前記無機酸化物微粒子水分散液を限外濾過膜法でメタノール等のアルコールに溶媒置換し、前記加水分解性有機ケイ素化合物を所定量混合し、必要に応じて加水分解用の水、加水分解用触媒として酸あるいはアルカリを添加し、必要に応じて熟成する方法等が挙げられる。
分散媒
表面処理無機酸化物微粒子分散液の分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプルピル、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プルピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセタート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トルエン等極性溶媒が挙げられる。さらに、N−メチルピロリドン等の極性溶媒を用いることもでき、これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度は固形分として0.1〜20重量%、さらには0.5〜10重量%の範囲(請求項は0.1〜10重量%)にあることが好ましい。表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が低いと、無機酸化物微粒子層の厚みが薄く、所望の凹凸が形成できない場合があり、また、一部無機酸化物微粒子層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合があり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合があり、長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が高いと、塗布方法によっても異なるが、塗工性が低下して所望の凹凸を形成できない場合があり、得られる被膜の撥水性が不充分となり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布するが、塗布方法としては、概ね所望の凹凸構造を有する無機酸化物微粒子層を形成できれば特に制限は無く、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、無機酸化物微粒子分散液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
ついで、工程(d)を行うが、工程(d)の前に、下記の工程(c)を行うことが好ましい。
工程(c)
(c)結合材用塗布液を塗布して結合材を含む無機酸化物微粒子層を形成する。
結合材としては、前記表面処理無機酸化物微粒子を結合し、基材またはプライマー層との密着性、撥水性被膜の強度、硬度を向上できれば特に制限はないが、シリカゾル、酸性珪酸酸液、加水分解性有機ケイ素化合物に由来するシリカが好適に用いられる。
なかでも、下記式(7)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であるシリカ結合材が好ましい。
n-SiX4-n (7)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜1の整数)
加水分解性有機ケイ素化合物としては、前記式(1)および前記式(2)におけるn=0または1の加水分解性有機ケイ素化合物を用いることができる。
結合材用塗布液の分散媒は、表面処理無機酸化物微粒子分散液の分散媒と同様の分散媒を用いることができる。
結合材用塗布液の濃度は酸化物またはRn-SiO(4-n)/2として0.05〜20重量%、さらには0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
結合材用塗布液の濃度が前記範囲にあると、塗布方法によっても異なるが、無機酸化物微粒子層に均一に塗布することができ、表面処理無機酸化物微粒子の結合材として機能し、強度、硬度に優れ、また、基材との密着性に優れた無機酸化物微粒子層を形成することができる。
結合材用塗布液は、無機酸化物微粒子層中の表面処理無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し、結合材が酸化物換算(Rn-SiO(4-n)/2)して、1〜200重量部、さらには10〜190重量部の範囲となるように結合材用塗布液を用いる。
結合材用塗布液の塗布量が少ないと、無機酸化物微粒子層の基材またはプライマー層との密着性、強度、硬度等が不充分となる場合があり、水処理に長期にわたって繰り返し使用することができない場合がある。
結合材用塗布液の塗布量が多すぎても、表面凹凸、表面粗さが小さくなり、最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不充分となる場合があり、水処理能力の低下抑制が不充分となる場合がある。
結合材用塗布液の塗布方法としては、無機酸化物微粒子層に均一に塗布できれば特に制限は無く、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
結合材用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、結合材用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
さらに、必要に応じて加熱処理することもできる。
加熱処理温度は、基材の種類によっても異なるが、80〜150℃、さらには90〜120℃の範囲にあることが好ましい。
工程(d)
(d)無機酸化物微粒子層上に、オーバーコート層形成用塗布液を塗布してオーバーコート層を形成する。
本発明では、前記表面処理に式(6)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を使用している場合は、必ずしもオーバーコート層を設ける必要はないが、設けることも可能である。
オーバーコート層形成用塗布液には無機酸化物微粒子層と結合し、撥水性を向上できれば特に制限はないが、本発明では、下記式(8)で表されるフッ素含有加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物を用いることが好ましい。
n-SiX4-n (8)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては前記式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物と同様のものが用いられる。
また、オーバーコート層形成用塗布液には、さらに下記式(9)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解物を含むことが好ましい。
SiX4 (9)
(但し、式中、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素)
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
オーバーコート層形成用塗布液中の式(9)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解物の量は、式(8)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物をRn-SiO(4-n)/2として100重量部に対し、SiO2として0〜100重量部、さらには0〜50重量部の範囲にあることが好ましい。
式(9)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解物の量が前記範囲にあれば、撥水性を低下させることなく、より強度、硬度等に優れた撥水性被膜付基材を得ることができ、水処理に長期にわたって繰り返し使用することができる。
オーバーコート層形成用塗布液の分散媒としては、表面処理無機酸化物微粒子分散液の分散媒と同様の分散媒を用いることができる。
オーバーコート層形成用塗布液の濃度は[Rn-SiO(4-n)/2]として0.05〜20重量%、さらには0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層形成用塗布液の濃度が低い場合は、一部オーバーコート層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性が得られない場合がある。オーバーコート層形成用塗布液の濃度が高すぎても、所望の凹凸構造が得られない場合があり、撥水性がさらに向上することもなく、撥水性被膜の強度、硬度が不十分となる場合がある。このため、水処理に使用しても本発明の効果が充分得られない場合がある。
オーバーコート層形成用塗布液の塗布量は、工程(b)で塗布した表面処理無機酸化物微粒子分散中の表面処理無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し[Rn-SiO(4-n)/2]として1〜100重量部、さらには1〜80重量部の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層形成用塗布液の塗布量が少ないと、一部オーバーコート層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。オーバーコート層形成用塗布液の塗布量が多すぎても、所望の凹凸構造が得られない場合があり、撥水性がさらに向上することもなく、撥水性被膜の強度、硬度が不十分となる場合がある。この場合も同様に、水処理に使用しても本発明の効果が充分得られない場合がある。
オーバーコート層形成用塗布液の塗布方法としては、無機酸化物微粒子層に均一に塗布できれば特に制限は無く、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
オーバーコート層形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、結合材用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
工程(e)
ついで、加熱処理する。加熱処理温度は、基材の種類によっても異なるが、60〜150℃、さらには80〜120℃の範囲にあることが好ましい。
なお、前記オーバーコート層形成後、60〜120℃で乾燥した場合は、本工程(e)の加熱処理を省略することができる場合がある。
乾燥・加熱処理によって、無機酸化物微粒子層または結合材を含む無機酸化物微粒子層と該無機酸化物微粒子層上のオーバーコート層との結合が増し、強度、硬度、及び基材との密着性を高めることができる。
加熱処理温度が低いと、無機酸化物微粒子と結合材とからなる無機酸化物微粒子層と該無機酸化物微粒子層上のオーバーコート層(フッ素含有シリカ系層)との結合が不十分となり、強度、硬度、及び基材またはプライマー層との密着性が不十分となる場合がある。
加熱処理温度が高すぎると、基材の種類によっては耐熱性を超える場合があり、基材の細孔(貫通孔)が収縮あるいは閉塞し、水処理に使用できなくなる場合がある。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液の調製
スチームジャケット加温式のチタン製100Lタンクへ 純水 55.987kgを張り込み、これに塩化アルミニウム六水和物(関東化学(株)製: 鹿特級、AlCl3・6H2O濃度98重量%)3.532kgを溶解する。この溶液へ水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、NaOH濃度48重量%)2.710kgを添加混合する。これを撹拌下、80℃ へ昇温し、1時間保持してpH4.0 のアルミナヒドロゲルスラリー(1-1)を62.229kg得た。
このアルミナヒドロゲルスラリー(1-1)を80℃に保ったまま、撹拌下、水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、48重量%NaOH)0.620kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH8.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-2)62.849kgを得た。このアルミナヒドロゲルスラリー(1-2)を80℃に保ったまま、撹拌下、塩化アルミニウム六水物(関東化学(株)製: 鹿特級、98重量%AlCl3・6H2O)1.314kgを純水1.463kgに溶解した塩化アルミニウム水溶液2.777kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH4.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-3)65.626kgを得た。
このアルミナヒドロゲルスラリー(1-3)を80℃に保ったまま、撹拌下、水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、48重量%NaOH)1.241kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH9.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)66.867kgを得た。このアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)を限外濾過装置に充填し、Al23としての濃度が4.5重量%となるまで濃縮した。
Al23としての濃度が4.5重量%のアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)を60℃の温純水 にて、残留するナトリウムおよび塩素の濃度が10ppm以下となるまで洗浄を行い、Al23としての濃度が5重量%のアルミナヒドロゲルスラリー(1-5)を得た。
ついで、アルミナヒドロゲルスラリー(1-5)1000gに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SK−1BH)33gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理した。
ついで陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(製):SANUPC)33gを添加し、1時間攪拌して脱アニオン処理した。ついで、再び陽イオン交換樹脂(三菱化学(製):SK−1BH)33gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理してAl23としての濃度が4.8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)分散液を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を得た。
アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液の一部を乾燥し、走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮影し、図1に示した。
平均粒子長さ(LF)、平均粒子幅(WF)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)60gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)240gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液を調製した。
結合材用塗布液(1)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)72.5gに水10.0gと濃度61重量%の硝酸0.1gを添加し、25℃で10分撹拌した。ついで、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)17.4gを添加し、30℃で30分撹拌してテトラエトキシシラン加水分解物(固形分濃度5.0重量%、分子量:1000)を得た。ついで、ジアセトンアルコール(DAA)333.3gとエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(I−PG)666.6gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)566.67gを添加して25℃で30分撹拌し、固形分濃度0.3重量%のシリカからなる結合材用塗布液(1)を調製した。
オーバーコート層形成用塗布液(1)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)2252.5gに水159.0gと濃度61重量%の硝酸3.3gを添加し、25℃で5分撹拌した。ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度98%)46.4gを添加し、25℃で5分間撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理した。その後、PGM356.39gとDAA213.91gを添加し、25℃で30分処理して固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液を調製した。
ついで、固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液100gにPGM10gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)40gを添加し、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(1)の製造
・不織布の調製
酢酸セルロース20g、ホルムアミド1.5gおよびアセトン50gを混合し、超音波照射機(IUCHI(株)製:超音波洗浄機)にて周波数38kHzの超音波を10時間照射して酢酸セルロースの溶解溶液を調製した。
酢酸セルロース溶解溶液を、両端にポリイミドテープを貼り付けたガラス基板上にロブ・スリラーヤン法で塗布し、25℃で5分乾燥した後、10℃の純水に浸漬させた。その後純水から取り出し、ポリイミドテープを用いて剥離して厚さ200μmの非対称多孔質な不織布(1)を得た。不織布(1)について、水銀圧入法で測定した空孔率は70%であった。一方の下部面には約0.1μmの細孔が認められた。
・撥水性被膜の形成
不織布(1)上に表の膜厚となるように固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液をバーコーター(♯3)で塗布し、80℃で30秒間乾燥した。ついで、固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、表面処理アルミナ水和物微粒子(1)層上に表の含有量となるようにバーコーター(♯3)で塗布し、80℃で10分間加熱した。
なお、食塩液、ショ糖液などの処理側が、撥水性被膜となる。
ついで、固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(1)を表の含有量となるようにバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性被膜付基材(1)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(1)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。なお、全光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(スガ試験機(株)製)により測定した。
鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性および密着性は以下の方法で測定した。
撥水性評価
全自動接触角計(協和界面科学(株)製:DM 700)で水との接触角を測定した。
・水処理試験(1)
水処理用撥水性被膜付基材(1)を装着した水処理試験用耐圧セルを内蔵した逆浸透装置(図1)に、高圧ポンプにて圧力を0.3MPaに維持しながら、濃度5000mg/Lの食塩純水溶液を1.0L/時間の一定速度で連続的に供給した。食塩純水溶液の温度は30℃に調整した。また、pHは7.1であった。
出口1の処理水の排出速度は0.2L/時間、出口2の濃縮水の排出速度は0.8L/時間であった。(図の出口1と2をご確認)
10時間後および1000時間後の処理水および濃縮水の食塩濃度を測定し、結果を表に示す。
・水処理試験(2)
水処理用撥水性被膜付基材(1)を装着した水処理試験用耐圧セルを内蔵した逆浸透装置に、高圧ポンプにて圧力を0.3MPaに維持しながら、濃度1000mg/Lのショ糖純水溶液を0.1L/時間の一定速度で連続的に供給した。ショ糖純水溶液の温度は30℃に調整した。
出口1の処理水の排出速度は0.2L/時間、出口2の濃縮水の排出速度は0.8L/時間であった。
10時間後および1000時間後の処理水および濃縮水のショ糖濃度を測定し、結果を表に示す。
[実施例2]
表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液の調製
スチームジャケット付100Lタンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48重量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学(株)社製:特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。ついで、この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学(株)社製:鹿1級、アルミナ換算39重量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解したアルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。別途、スチームジャケット付10Lタンクに純水6.269kgを張り込み、これに濃度35重量%の塩酸水溶液(関東化学(株)社製:特級)0.453kgを撹拌しながら混合し、加温して80℃の希釈塩酸水溶液6.722kgを得た。
アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、希釈塩酸水溶液を添加し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ水和物微粒子(2-a)分散液49.020kgを得た。<工程(a)>
このアルミナ微粒子(2-a)分散液を濾過分離し、80℃の温純水を充分に掛けて、洗浄アルミナ水和物微粒子(2−b)ケーキ6.667kgを得た。<工程(b)>
このアルミナ微粒子(2-b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ水和物微粒子分散液19.650kgとし、これに、有機塩基性化合物として水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)水溶液(関東化学(株)社製:濃度27重量%)0.35kgを加え、有機塩基性化合物添加アルミナ水和物微粒子(2-c)分散液20.0kgを得た。<工程(c)>
ついで、この塩基性物質添加アルミナ微粒子(2-c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、自圧下で24時間水熱処理して、アルミナ水和物微粒子(2-d)分散液を得た。<工程(d)>
このアルミナ水和物微粒子(2-d)分散液を限外濾過装置に入れ、充分に洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した残存量が10ppm以下となるまで洗浄を行い、固形分濃度5重量のアルミナ水和物微粒子(2)分散液20.000kgを得た。<工程(e)>
得られたアルミナ水和物微粒子(2)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。なお、アルミナ水和物微粒子(2)は、30〜50nm正方形で、厚みが3〜5nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した形で凝集した100〜200nmの大きさの2次粒子であった。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液を得た。固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.78gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液100gにプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)60gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)240gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(2)の製造
実施例2と同様にして、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にして調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、表面処理アルミナ水和物微粒子(2)層上に表の含有量となるようにバーコーター(♯3)で塗布し、、80℃で10分間加熱した。ついで、実施例1と同様にして、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性被膜付基材(2)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(2)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(2)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[実施例3]
表面処理アルミナ水和物微粒子(3)分散液の調製
実施例2の工程(d)で、110℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(3)分散液を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子(3)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(3)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.78gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)メタノール分散液100gにプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)60gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)240gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(3)の製造
固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にして調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、表面処理アルミナ水和物微粒子(3)層上に表の含有量となるようにバーコーター(♯3)で塗布し、80℃で10分間加熱した。ついで、実施例1と同様にして、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性被膜付基材(3)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(3)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(3)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[実施例4]
表面処理アルミナ水和物微粒子(4)分散液の調製
実施例2の工程(d)で、180℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(4)分散液を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子(4)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(4)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.78gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(4)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(4)メタノール分散液100gにプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)60gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)240gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(4)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(4)の製造
固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にして調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、表面処理アルミナ水和物微粒子(4)層上に表の含有量となるようにバーコーター(♯3)で塗布し、、80℃で10分間加熱した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間加熱硬化して水処理用撥水性被膜付基材(4)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(4)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(4)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[実施例5]
オーバーコート層形成用塗布液(2)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)5126gに水159.0gと濃度61重量%の硝酸3.3gを添加し、25℃で5分撹拌した。ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度98%)46.4g、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)157.9gとを添加し、25℃で5分間撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理した。その後、PGM356.39gとDAA213.91gを添加し、25℃で30分処理して固形分濃度1.50重量%のオーバーコート層形成用塗布液を調製した。
ついで、固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液100gにPGM10gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)40gを添加し、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(2)を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(5)の製造
実施例2と同様にして、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にして調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(2)を、表面処理アルミナ水和物微粒子(2)層上に表の含有量となるようにバーコーター(♯3)で塗布し、、80℃で10分間加熱した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間加熱・硬化させて水処理用撥水性被膜付基材(5)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(5)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(5)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[実施例6]
オーバーコート層形成用塗布液(3)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)1771.0gに水159.0gと濃度61重量%の硝酸3.3gを添加し、25℃で5分撹拌した。ついで、3,3,3,3トリフロロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業製:KBM−7103、濃度100重量%)47.3gを添加し、25℃で5分間撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理した。その後、PGM356.39gとDAA213.91gを添加し、25℃で30分処理して固形分濃度1.50重量%のオーバーコート層形成用塗布液を調製した。
ついで、固形分濃度1.50重量%のオーバーコート層形成用塗布液100gにPGM10gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)40gを添加し、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(3)を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(6)の製造
実施例2と同様にして、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にして調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(2)を、表面処理アルミナ水和物微粒子(2)層上に表の含有量となるようにバーコーター(♯3)で塗布し、、80℃で10分間加熱した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(3)をバーコーター法(#4)で表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間加熱・硬化させて水処理用撥水性被膜付基材(6)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(6)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(6)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[実施例7]
表面処理鎖状シリカ微粒子(5)分散液の調製
SiO2濃度が24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比が3.1)334gを純水1266gで希釈して、SiO2濃度が5重量%の珪酸ナトリウム水溶液(pH11)を1600g調製した。この珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂(三菱化学(製):SK−1BH)320gを添加し、1時間攪拌した後、イオン交換樹脂を分離し、脱アルカリ処理したpH4.0、固形分濃度5%の珪酸液1500gを調製した。ついで純水を3500g加え、固形分濃度1.9%に希釈した。この液をセパラブルフラスコに入れ、40℃に昇温した後、10%酢酸アンモニウム水溶液100g加え、酢酸でpHを4.1に調製した後、2時間加熱した。ついで、5%アンモニア水溶液でPH10.5に調製した。その後、95℃に昇温し、90℃で2時間加熱した。40℃まで冷却した後、シリカゾルを得た。
得られたシリカゾルを限外濾過膜(旭化成工業(株)製:SIP−1013)を用いて、SiO2濃度が13重量%になるまで濃縮し、ついで、ロータリーエバポレーターで濃縮し、44μmメッシュのナイロンフィルターで濾過してSiO2濃度20重量%の無機酸化物微粒子(B1-2)分散液を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して固形分濃度8重量%のメタノール分散液を得た。
得られた鎖状シリカ微粒子(5)の平均一次粒子径(DC)は12nm、連結数は10個、平均長さ(LC)は120nmであった。
ついで、固形分濃度8重量%の鎖状シリカ微粒子(5)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)0.56gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(5)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(5)メタノール分散液100gにプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)60gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)240gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(5)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(7)の製造
固形分濃度2重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(5)分散液を、実施例1と同様にして調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして調製した固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で表面処理アルミナ水和物微粒子層(5)上に表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性被膜付基材(7)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(7)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(7)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[実施例8]
水処理用撥水性被膜付基材(8)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にして調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして調製した固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で表面処理アルミナ水和物微粒子層(2)上に表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性被膜付基材(8)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(8)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(8)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[実施例9]
表面処理アルミナ水和物微粒子(6)分散液の調製
実施例1と同様にして調製した固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにトリフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度をRn-SiO(4-n)/2として85.3重量%)3.75gを添加し、25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.80gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して20°で10分間撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(9)の製造
固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(6)分散液を、実施例1と同様にし調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性透明被膜付基材(9)を製造した。
水処理用撥水性透明被膜付基材(9)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(9)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[実施例10]
表面処理アルミナ水和物微粒子(7)分散液の調製
実施例1と同様にして、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を得た。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)4.17gと超純水を1.75g添加した後、50℃で6時間攪拌した。その後、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度をRn-SiO(4-n)/2として85.3重量%)1.88gを添加して25℃で5分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(7)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(7)メタノール分散液100gにプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)60gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)240gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(7)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(10)の製造
固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(7)分散液を、実施例1と同様にし調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性被膜付基材(10)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(10)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(10)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[比較例1]
水処理用撥水性被膜付基材(R1)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にし調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(2)を、表面処理アルミナ水和物微粒子(2)層上に表の含有量となるようにバーコーター(♯3)で塗布し、、80℃で10分間加熱した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間加熱・硬化させて水処理用撥水性被膜付基材(R1)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(R1)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(R1)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[比較例2]
表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液の調製
実施例1の工程(d)で、150℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(R2)分散液を調製した。得られたアルミナ水和物微粒子(R2)の平均長さ(LF)、平均粒子幅(WPF)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液100gにプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)60gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)240gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(R2)の製造
実施例1において、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液を、実施例1と同様にし調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布した以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(R2)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(R2)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(R2)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[比較例3]
表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液の調製
実施例2の工程(d)で、250℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(R3)分散液を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子(R3)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液を得た。ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液100gにプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)60gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)240gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液を調製した。
水処理用撥水性被膜付基材(R3)の製造
実施例1において、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液を、実施例1と同様にし調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布した以外は同様にして水処理用撥水性被膜付基材(R3)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(R3)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(R3)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[比較例4]
水処理用撥水性被膜付基材(R4)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にし調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で10分間加熱した。
ついで、固形分濃度を0.05重量%とした以外は実施例1と同様にして調製したオーバーコート層形成用塗布液(4)をバーコーター法(#4)で表面処理アルミナ水和物微粒子層(2)上に表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性被膜付基材(R4)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(R4)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(R4)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[比較例5]
水処理用撥水性被膜付基材(R5)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様にし調製した不織布(1)上にバーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で表の膜厚となるように塗布し、80℃で10分間加熱した。
ついで、固形分濃度を1.5重量%とした以外は実施例1と同様にして調製したオーバーコート層形成用塗布液(5)をバーコーター法(#4)で表面処理アルミナ水和物微粒子層(2)上に表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して水処理用撥水性被膜付基材(R5)を製造した。
水処理用撥水性被膜付基材(R5)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、密着性、撥水性を測定し、結果を表に示す。
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(R5)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
[比較例6]
水処理試験(1)および(2)
実施例1において、水処理用撥水性被膜付基材(1)の代わりに撥水性被膜を形成することなく実施例1と同様にし調製した不織布(1)を用いた以外は同様にして水処理試験(1)、(2)を行い、結果を表に示す。
Figure 2015029965
Figure 2015029965

Claims (25)

  1. 基材、および該基材表面の撥水性被膜からなり、該基材が細孔を有する有機樹脂膜であり、撥水性被膜の水との接触角が130〜180°の範囲にあることを特徴とする水処理用撥水性被膜付基材。
  2. 前記撥水性被膜が、表面処理無機酸化物微粒子を含む無機酸化物微粒子層を含んでなり、撥水性被膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  3. 前記撥水性被膜が、無機酸化物微粒子層上にオーバーコート層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  4. 前記平均高さ(TF)と前記平均凸部間距離(WF)との比(TF)/(WF)が0.1〜10の範囲にあることを特徴とする請求項2または3に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  5. 前記凹凸構造の凸部の表面がさらに微細凹凸を有し、該微細凸部の平均高さ(TFF)が3〜50nmの範囲にあり、平均凸部間距離(WFF)が、前記凸部の平均凸部間距離(WF)よりも小さく、3〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  6. 前記表面処理無機酸化物微粒子が下記式(1)および下記式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物またはその加水分解物で表面処理されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の水処理用撥水性被膜付基材。
    n-SiX4-n (1)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
    n-SiX4-n (2)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
  7. 前記表面処理無機酸化物微粒子の表面処理量は、無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し、加水分解性有機ケイ素化合物をRn-SiO(4-n)/2として1〜200重量部の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  8. 前記無機酸化物微粒子層が結合材を含んでなることを特徴とする請求項2に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  9. 前記結合材の含有量が前記無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し、結合材を酸化物(2)として1〜200重量部の範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  10. 前記無機酸化物微粒子の形状が板状、繊維状、鎖状のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  11. 前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜50の範囲にあり、
    前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(WF)が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WF)との比(LF)/(WF)が1.5〜50の範囲にあり、
    前記鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が5〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が20〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にあることを特徴とする請求項10に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  12. 前記板状無機酸化物微粒子が板状アルミナ微粒子または板状シリカ・アルミナ微粒子であることを特徴とする請求項10または11に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  13. 前記繊維状無機酸化物微粒子が繊維状アルミナ微粒子または繊維状シリカ・アルミナ微粒子であることを特徴とする請求項10または11に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  14. 前記鎖状無機酸化物微粒子が鎖状シリカ微粒子であることを特徴とする請求項10または11に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  15. 前記結合材がシリカであり、かつ下記式(3)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であることを特徴とする請求項8に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
    n-SiX4-n (3)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜1の整数)
  16. 前記オーバーコート層の含有量が、前記無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子を酸化物換算して、100重量部に対し酸化物(固形分)として1〜100重量部の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  17. 前記オーバーコート層がフッ素含有シリカ系層であり、該フッ素含有シリカ系層が下記式(4)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であることを特徴とする請求項3に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
    n-SiX4-n (4)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
  18. 前記フッ素含有シリカ系層が、さらに下記式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物を含むことを特徴とする請求項17に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
    SiX4 (5)
    (但し、式中、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素)
  19. 細孔を有する有機樹脂膜が、酢酸セルロース、芳香族ポリアミドからなる逆浸透膜であることを特徴とする請求項1に記載の水処理用撥水性被膜付基材。
  20. 下記の工程(b)および(e)からなり、表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあり、水との接触角が130〜180°の範囲にある水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
    (b)細孔を有する有機樹脂膜からなる基材上に表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布して無機酸化物微粒子層を形成する工程、ついで
    (e)加熱処理する工程
  21. 前記工程(b)についで、下記の工程(d)行うことを特徴とする請求項20に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
    (d)無機酸化物微粒子層上に、オーバーコート層形成用塗布液を塗布してオーバーコート層を形成する工程。
  22. 前記工程(d)の前に、下記の工程(c)を行うことを特徴とする請求項21に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法;
    (c)結合材用塗布液を塗布して結合材を含む無機酸化物微粒子層を形成する工程。
  23. 前記無機酸化物微粒子層の形成に、固形分(無機酸化物)として濃度が0.1〜20重量%の範囲にある表面処理無機酸化物微粒子分散液を使用することを特徴とする請求項20に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法。
  24. 前記工程(b)にて形成した無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子100重量部に対して、結合材が酸化物換算で1〜200重量部の範囲となるように結合材用塗布液を用いることを特徴とする請求項20に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法。
  25. 前記工程(b)にて形成した無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子100重量部に対して、固形分(酸化物)として、1〜100重量部となるようにオーバーコート層形成用塗布液を塗布することを特徴とする請求項20に記載の水処理用撥水性被膜付基材の製造方法。
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