JPWO2004037721A1 - アルミナ粉粒体、その製造方法及びそれを含有する製品 - Google Patents

アルミナ粉粒体、その製造方法及びそれを含有する製品 Download PDF

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伸暁 田井
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Abstract

樹脂の強化材または充填材として要求される分散性及び透明性が優れたアルミナ粉粒体、その製造方法、及びそのアルミナ粉粒体を含有することにより補強されしかも透明な樹脂成型品のための非水溶性樹脂組成物が提供される。アルミナ粉粒体は、スルホコハク酸誘導体塩で表面処理された繊維状または薄片状のアルミナ微粒子からなる。スルホコハク酸誘導体塩が前記微粒子の質量に対して0.05〜40質量%含有されている。アルミナゾル粒子にスルホコハク酸塩誘導体塩を付着させた後、乾燥させることによりアルミナ粉粒体が製造される。

Description

本発明は、樹脂組成物などの補強材ないし充填剤として利用されるアルミナ微粒子粉粒体に関する。また、本発明は、この粉粒体の製造方法と、この粉粒体を含有する製品に関する。本発明において、粉粒体(a granule)とは、多数の微粒子(microparticles)同士が固着して形成した粒(a particle)をいうものと定義される。
樹脂成形組成物に補強材として配合する繊維状のアルミナ(Al)微粒子の表面をシラン系カップリング材のような表面処理剤で処理して、アルミナ微粒子の樹脂中への分散性を向上させることが特開平11−228132号公報に記載されている。
特開2001−139888号公報には、アクリル樹脂にアルミナ微粒子、スルホコハク酸ナトリウム(分散剤)、酢酸(分散安定剤)及びプロパノール(溶媒)を添加することが記載されている。
特開平11−228132号公報に記載の技術では、アルミナ微粒子の樹脂中への分散性及び透光性はある程度向上するが、不十分である。
特開2001−139888号公報に記載の技術は、アクリル樹脂のような、原料に水またはアルコール溶媒を使用する樹脂(以下水溶性樹脂という)には適用することができるが、原料に水またはアルコール溶媒を使用しない樹脂(以下非水溶性樹脂という)、例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂等には適用することができない。さらに、特開2001−139888号公報に記載の技術では、分散安定剤としての酢酸が樹脂膜中に多量に残留して、アルミナ微粒子が凝集して樹脂中での分散性を悪化させたり、樹脂膜の強度を低下させたり、変色させたりする。
発明の概要
本発明の目的は、樹脂の強化材または充填材として要求される分散性及び透明性が優れたアルミナ粉粒体を提供することにある。また、本発明は、そのようなアルミナ微粒子の簡便な製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、そのアルミナ粉粒体を含有することにより補強されしかも透明な樹脂成型品のための樹脂組成物、塗料を提供することを目的とする。
本発明の粉粒体は、スルホコハク酸誘導体塩を含有するアルミナ微粒子からなる粉粒体であって、スルホコハク酸誘導体塩を前記アルミナ微粒子の質量に対して0.05〜40質量%含有する。
スルホコハク酸誘導体塩は、アルミナ微粒子が凝集して巨大二次粒子を形成することを抑制すると共に、樹脂、塗料中などでアルミナ粉粒体がアルミナ微粒子に分離され、該アルミナ微粒子が均一に分散することを促進する。
本発明に係るアルミナ粉粒体の製造方法は、繊維状または薄片状のアルミナの水性ゾルにスルホコハク酸誘導体塩を添加して攪拌する工程と、溶液から水分を除去して乾燥する工程と、を有するものである。
この製造方法によれば、アルミナ微粒子が形成される前段階でスルホコハク酸誘導体塩がアルミナゾルに付着するので、アルミナ微粒子の全体にスルホコハク酸誘導体塩が行き渡り、アルミナ微粒子の凝集が効果的に抑制される。さらに、この加熱などにより、水などの溶媒と共に酸が除去されるので、アルミナ微粒子を形成した直後に疎水性の樹脂中にそのまま配合することもできる。また、このアルミナ微粒子は、経時的にも凝集し難いため、保管が極めて容易である。
本発明の樹脂組成物又は塗料は、従来の装置及び配合手段をそのまま利用して、アルミナ微粒子をそれらの内部に均一に分散させることができる。さらに、本発明の樹脂組成物又は塗料は、酸による変色や変質が防止される。
好ましい形態
本発明のアルミナ粉粒体を構成する微粒子の表面には、アニオン系界面活性剤であるスルホコハク酸誘導体塩が付着している。スルホコハク酸誘導体塩としては、スルホコハク酸エステル塩及び/又はスルホコハク酸アミド塩等が好適である。スルホコハク酸エステル塩としては、スルホコハク酸ジエステル塩、スルホコハク酸半エステル2塩等が挙げられる。
スルホコハク酸ジエステル塩としては、例えば下記化学式Iのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム及びジトリデシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸の炭素数6〜13のアルキルエステルの塩を挙げることができる。
スルホコハク酸半エステル2塩としては、下記化学式IIのスルホコハク酸ラウリル半エステルジナトリウム、下記化学式IIIのポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、下記化学式IVのポリオキシエチレン(1又は2)アルキル(9)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、下記化学式Vのポリオキシエチレン(2)アルキル(12〜14)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(12〜14)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、下記化学式VIのポリオキシエチレン(7)アルキル(12〜14)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、下記化学式VIIのポリオキシエチレン(9)アルキル(9〜12)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウムを挙げることができる。
〔ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム〕
Figure 2004037721
〔スルホコハク酸ラウリル半エステルジナトリウム〕
Figure 2004037721
〔ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム〕
Figure 2004037721
〔ポリオキシエチレン(1又は2)アルキル(9)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム〕
Figure 2004037721
〔ポリオキシエチレン(2)アルキル(12〜14)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム〕
Figure 2004037721
〔ポリオキシエチレン(7)アルキル(12〜14)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム〕
Figure 2004037721
〔ポリオキシエチレン(9)アルキル(9〜12)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム〕
Figure 2004037721
スルホコハク酸アミド塩としては下記化学式VIIIのポリオキシエチレン(5)ラウロイルエタノールスルホコハク酸アミドジナトリウム、下記化学式IXのオクタデシルスルホコハク酸アミドジナトリウム等を挙げることができる。
〔ポリオキシエチレン(5)ラウロイルエタノールスルホコハク酸アミドジナトリウム〕
Figure 2004037721
〔オクタデシルスルホコハク酸アミドジナトリウム〕
Figure 2004037721
これらのスルホコハク酸アミド塩は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
特に好ましいスルホコハク酸誘導体塩は、スルホコハク酸ジエステル塩である。
本発明のアルミナ粉粒体を製造する方法は、繊維状または薄片状のアルミナの水性ゾルを含有する液にスルホコハク酸誘導体塩を添加して攪拌する工程と、液から水分を除去して乾燥する工程と、を有する。
本発明者らの行った実験によって、種々の界面活性剤及び分散剤の中でもスルホコハク酸誘導体塩がアルミナ微粒子の分散性を特異的に高めることが確認された。スルホコハク酸誘導体塩がアルミナ微粒子の分散性を特異的に高める技術的な理由は明確ではないが、本発明者らは、スルホコハク酸誘導体塩の構造すなわち1つまたは2つに分岐した疎水性の炭化水素鎖とその付根に結合する親水基の−SOM(MはNaその他の金属)とからなる構造にその要因があると考えている。
具体的には、つぎのような機構を推測している。アルミナ微粒子の一次粒子は、酸などを用いてpH3〜4に調整した水中では、その表面に正電荷の付着によるゼータ電位が生じ、一次粒子間で静電相互作用による反発力が生じて、個々に分散した状態で安定的に存在する。しかし、分散媒である水を除去して乾燥させると、分子間相互作用によって一次粒子同士が接近して、粒子表面にある水酸基同士が水素結合を形成するため凝集する。一般にアルミナの表面は分散媒によってゼータ電位が正にも負にもなることが知られており、pH3〜4では、前記一次粒子の真の表面が電気的に正の媒体に取り囲まれるため、その実質表面の電荷は正になる。一方、スルホコハク酸誘導体塩は、分散媒中ではNaその他の金属イオンがとれて親水基は負に帯電しているので、正に帯電した前記実質表面に配位すると考えられる。この状態で、加熱乾燥などによって前記真の表面を取り囲む電気的に正の媒体を取り除くと、スルホコハク酸誘導体塩は、前記真の表面と直接相互作用して、その結果、前記一次粒子の隅々にまで行き渡る。また、前記真の表面と反対側を向いた炭化水素鎖により立体障害が生じて、微粒子同士が効果的に反発し合うため、極めて分散性の良いアルミナ微粒子が形成される。
特開2001−139888号公報では、アルミナ微粒子、酢酸及びスルホコハク酸ナトリウムをアクリル樹脂に添加する。本発明でも、分散安定剤の酸と共にスルホコハク酸誘導体塩を使用するが、酸はアルミナゾルには多量含まれるがアルミナ微粒子に含まれる酸の量は少ない点で、またアルミナゾル粒子に対してスルホコハク酸誘導体塩を添加する点で特開2001−139888号公報と相違する。アルミナゾル粒子はアルミナ微粒子と比較して遙かに凝集し難いので、アルミナゾルにスルホコハク酸誘導体塩を適量添加すれば、その一次粒子の隅々にまでスルホコハク酸誘導体塩を容易に行き渡らせることができる。また、本発明によれば、アルミナゾルの分散安定剤として用いられる酸は溶媒の除去と同時に取り除かれてその残留量は減少するので、酸の残留に由来する上述の問題を回避できる。また、アルミナゾルは安価で入手し易いので、本発明に係るアルミナ粉粒体は、工業的な大規模生産に適している。
本発明の粉粒体のスルホコハク酸誘導体塩の含有率は、少なすぎるとスルホコハク酸誘導体塩の絶対量が不足するため、樹脂組成物中などにおけるアルミナ微粒子の分散性が極端に低下する。この含有率が逆に多すぎると、樹脂または塗料などを変色させるおそれがある。この含有率はアルミナ微粒子の乾燥重量を基準として、0.05〜40質量%である必要がある。好ましい含有率は、0.1〜20質量%である。さらに好ましい含有率は1〜15質量%である。
アルミナ微粒子としては、平均直径5〜15nm、平均長さ100〜600nmの寸法を有する繊維状のもの、平均厚さ5〜15nm、平均幅が10〜50nm、平均長さ100〜600nmのリボン形状のもの、及び平均厚み2〜10nm、平均粒径15〜100nmを有する薄片状のものが好適である。これらのアルミナ微粒子のゾルは例えば日産化学工業株式会社製「アルミナゾル−100」(分散安定剤:塩酸)、「アルミナゾル−200」(分散安定剤:酢酸)、触媒化成工業株式会社製「カタロイドAS−2」(薄片状)、「カタロイドAS−3」(繊維状)、サトーリサーチ株式会社製「ナノウィスカー−A」(繊維状)、「ナノプレート−A」(薄片状)として入手できる。また繊維状アルミナ微粒子例えばサンゴバン社製「ナノ・ベーマイト・アルミナCAM9010」(繊維状、直径10〜15nm、長さ90nm)はこれを純水中に分散させればアルミナゾルとなり本発明において使用することができる。アルミナ微粒子が繊維状または薄片状であるので、樹脂組成物などの機械的強度を効果的に高めることができる。また、前記大きさであれば、塗料や樹脂などに均一に分散させることができ、かつ、塗装膜に波打ちが形成されることもない。また、その平均径が可視光波長と比較して小さいため、屈折率の異なる透明樹脂などにアルミナ微粒子を配合したとしても、可視光の屈折または散乱が生じ難く、樹脂などの透明性が損なわれることがない。ちなみに、平均直径が50nmを越える繊維状アルミナ微粒子を屈折率の異なる透明樹脂に配合した場合には、前記透明樹脂とアルミナ微粒子との界面における可視光の屈折及び散乱が目立ち始め、樹脂組成物の内部に粒子感(異物感)が生じることが経験的に判っている。このことから、透明樹脂などにアルミナ微粒子を配合する場合、樹脂組成物の透明性がアルミナ微粒子の分散性を判定する指標となりうると言える。なお、アルミナ微粒子の平均長さについて、可視光の進行方向と前記長さ方向とが同じであれば、その長さ方向の端面における可視光の屈折及び散乱が生じるが、この端面における可視光の変化は、実質的に無視できる程度の大きさでしかない。
また、アルミナ微粒子は、平均厚さ5〜15nm、平均幅が10〜50nm、平均長さ100〜600nmのリボン状であってもよい。リボン状であれば、繊維状や紡錘状と比較して幅広であるため、樹脂組成物などの機械的強度をより効果的に高めることができる。
本発明に係るアルミナ粉粒体の製造方法では、好ましくは、硝酸ないし酢酸を含有するアルミナゾル分散液にスルホコハク酸誘導体塩を添加した後、前記硝酸ないし酢酸と共に溶媒及び分散媒を除去するべく加熱乾燥する。この製造方法によれば、アルミナ微粒子の形成と同時に、酸の除去を行うと共に、スルホコハク酸誘導体塩をアルミナ微粒子の表面に均一に付着させることができる。
アルミナゾル粒子にスルホコハク酸誘導体塩例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを添加するには、例えば、アルミナゾルの入った容器にジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの溶液を添加してジオクチルスルホコハク酸ナトリウム含有アルミナゾル溶液を得る。この液を適当な時間スターラーや羽根回転式撹拌機などの撹拌機で攪拌後、容器ごと加熱して上記酢酸などと共に溶媒及び分散媒を除去する方法が挙げられる。上記の混合攪拌の後に、液中のアルミナゾルがゲル化してアルミナゲルの相と溶媒(水)の相に分離している場合はこの水を除去するのが好ましい。この撹拌機としては、とくに限定されるものではなく、ホモジナイザー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミルまたはローラーミルなど公知の機器が例示される。なお、アルミナゾルは凝集し難いため、一次粒子に戻すための別個の粉砕作業は本来不要であるが、本発明では、スルホコハク酸誘導体塩含有アルミナゾル液に超音波照射を行いつつ、撹拌することが好ましい。この超音波照射によって、スルホコハク酸誘導体塩がアルミナゾル粒子に、より短時間で、かつ、より均一に付着できるようになるからである。また、酢酸などと共に溶媒を除去する方法も加熱に限定されるものではなくエバポレーター、噴霧乾燥、真空乾燥または凍結乾燥を利用して乾燥させてもよい。
アルミナゾルにスルホコハク酸誘導体塩溶液を添加して得られる液は、水を溶媒または分散媒とし、アルミナゾル粒子を、アルミナに換算して、5〜20重量%含有し、スルホコハク酸誘導体塩をアルミナゾル粒子の含有重量の0.05〜40重量%含有することが好ましい。アルミナゾル中にはアルミナゾル粒子のための分散安定剤として硝酸、塩酸、酢酸のような揮発性酸が通常0.2〜5重量%含有されている。この液中の酸含有量は通常0.2〜4.6重量%である。
アルミナゾルにスルホコハク酸誘導体塩溶液を添加して撹拌する際のアルミナゾルの温度は、10〜80℃が好ましい。この温度が10℃未満の場合は、ゾルの粘度が高くなりすぎて、スルホコハク酸誘導体塩を均一に付着させることが困難になる。一方、80℃を超えると、溶媒の蒸発が早くゾルの粘度が上昇するばかりか、加熱に要するエネルギー及び時間が無駄となる。このアルミナゾルの温度について、さらに好ましい範囲は50〜70℃である。
アルミナゾル及びスルホコハク酸誘導体塩を含む液から加熱や、エバポレーターにより上記酢酸などと共に溶媒及び分散媒を除去する場合、その乾燥温度は110〜150℃が好ましく、さらには120〜150℃が好ましい。乾燥温度が110℃未満の場合は、硝酸、塩酸または酢酸等の酸がアルミナ微粒子の表面に多量に残留する可能性があり、上述のアルミナ微粒子の凝集、樹脂組成物の強度低下ないし変色の問題が生じるおそれがある。一方、150℃を越えると、長時間加熱した場合にスルホコハク酸誘導体塩が変質してしまう。また、乾燥時間は、乾燥温度によって異なるが、約3〜8時間が好ましい。ちなみに、常圧における硝酸の沸点は86.0℃で、塩酸の沸点は108.6℃で、酢酸の沸点は118.2℃である。したがって、上記好適な乾燥温度で3時間も加熱すれば、酢酸であってもアルミナ微粒子の表面では、かなり除去される。また、噴霧乾燥の場合、乾燥温度は120〜150℃が、乾燥時間は凡そ30分〜8時間が好適である。また、真空乾燥の場合、真空度は5.6kPa以下が、乾燥温度は50〜150℃が、乾燥時間は真空度及び乾燥温度との関係で前後するが、凡そ3〜8時間が好ましい。ちなみに、5.6kPaにおける硝酸の沸点は20.0℃で、酢酸の沸点は44℃である。また、凍結乾燥の場合、乾燥温度は−20℃以下が、真空度は4Pa以下が好ましい。この乾燥温度が−20℃を超えると、酢酸などと溶媒との凍結物が溶け出してしまい、乾燥に失敗する。真空度が4Paを超えると、昇華しなくなる。凍結乾燥における乾燥時間は、乾燥温度及び真空度との関係で前後するが、凡そ25〜47時間が好ましい。
本発明において、このようにして乾燥を行うことにより、得られるアルミナ粉粒体中の酢酸等の酸含有量が乾燥状態のアルミナに対して8質量%未満、特に5質量%未満となるように酸を除去することが好ましい。
このようにして各アルミナ微粒子の表面にスルホコハク酸誘導体塩が均一に付着する。スルホコハク酸誘導体塩が付着した個々のアルミナ微粒子がバラバラの粉体であってもよく、アルミナ微粒子の多数個がこのスルホコハク酸誘導体塩によって互いに固着されて集合体となった粒体の形であってもよい。この集合体は好ましくはアルミナ微粒子が10〜1015個互いに固着されており、その集合体は0.5μm〜2mmの平均粒径を有する。この平均粒径を0.5μm以上とすることにより飛散を防止して取り扱い作業性が良好である。平均粒径が2mmを超えると、樹脂組成物等に配合したときにアルミナ微粒子の分布にムラが生じやすくなる。上記の方法で得られる、スルホコハク酸誘導体塩で表面処理されたアルミナ微粒子は通常は塊状体であるので、これを粉砕することにより所要の平均粒径とすることができる。
このスルホコハク酸誘導体塩含有アルミナ粉粒体は、公知の手段により、樹脂組成物中に均一に分散・配合することができる。樹脂組成物中の樹脂としては、熱硬化性樹脂では、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、UV硬化樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂またはジアリルフタレート樹脂などが例示される。一方、熱可塑性樹脂では、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、酢酸繊維素樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性エラストマー、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィン、アイオノマー樹脂、メタクリル樹脂、ポリメチルペンテンまたは生分解性プラスチックなどが例示される。
アルミナ微粒子がスルホコハク酸誘導体塩によって互いに固着されて集合体となった粉粒体を樹脂組成物、又は塗料に配合した場合、加熱または撹拌の作業中にこの集合体は個々のスルホコハク酸誘導体塩被覆アルミナ微粒子に分離し、樹脂組成物又は塗料中に均一に分散することが好ましい。
樹脂組成物におけるアルミナ微粒子の含有率は、0.1〜70質量%が好ましい。この含有率が低すぎれば、アルミナ微粒子の補強材ないし充填剤としての機能が有効に発揮されず、一方含有率が高すぎれば、樹脂組成物本来の性質を損なわせるおそれがある。
本発明に係るアルミナ粉粒体は、有機溶剤に対する分散性もよいので、塗料中に添加し軽く撹拌するだけで、均一に分散させることができる。また、アルミナ微粒子は塗料中でほとんど沈殿しないので、この塗料は、長期間保管しても変質し難い。
塗料におけるアルミナ微粒子の含有率は、塗料中の固形分量に対し0.1〜70質量%が好ましい。この含有率が低すぎれば、アルミナ微粒子の補強材ないし充填剤としての機能が有効に発揮されず、一方含有率が高すぎれば、塗料本来の性質を損なわせるおそれがある。
本発明に係るアルミナ粉粒体は、それを構成する個々のアルミナ微粒子の表面にスルホコハク酸誘導体塩が付着しているので、樹脂組成物、又は塗料中で均一に分散することができる。また、このアルミナ微粒子への酸付着量が小さいので、これを樹脂などに配合しても、樹脂組成物などが変色したり、変質したりするおそれがない。また、本発明に係るアルミナ粉粒体の製造方法によれば、アルミナ微粒子の凝集体を細かくするための粉砕工程が不要となるため、生産性が高い。さらに、本発明に係る樹脂組成物、塗料は、アルミナ粉粒体が分解して生じたアルミナ微粒子を分散して含有するので、透明性及び均質性などに優れる。
実施例及び比較例
実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例は本発明を限定しない。
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(株式会社花王製「ペレックスOTP」有効成分70質量%)7.2gを純水42.8gに添加し撹拌して、分散剤溶液を作製した。この分散剤溶液5gをアルミナゾル(固形分:10質量%、分散媒:水、アルミナゾル粒子:中央部の平均径5nmで平均長さ600nmの繊維状ベーマイト、分散安定剤として酢酸を1.8質量%含有)50gに添加し、超音波照射を行いつつ、50℃の温浴中にてスターラーで撹拌した。この撹拌によって、アルミナゾル粒子の表面にジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが吸着する。その後、加熱炉に入れて120℃で8時間加熱し、完全に分散媒及び溶媒を除去して乾燥状態とし、手で軽くつぶす程度で粉粒状のアルミナ微粒子を得た。アルミナ微粒子はジオクチルスルホコハク酸ナトリウムで10〜1015個の範囲内で互いに固着されて1μm〜1mmの粒径の集合体を形成していた。このアルミナ微粒子へのスルホコハク酸ナトリウム付着量は乾燥状態のアルミナ微粒子の質量に対して10質量%であった。また、酢酸の付着量は乾燥状態のアルミナ微粒子の質量に対して3.8質量%であった。アルミナ微粒子の形状について、アルミナゾル粒子からほとんど変化がないことを電子顕微鏡写真で確認した。
このアルミナ粉粒体0.3gを、透明な不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子株式会社製「リゴラック2004WM−2」)5.6gに添加し、さらに硬化剤(化薬アクゾ株式会社製「カヤエステルO−50」、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)0.1gを加えて、これらをスターラーで撹拌しながら真空脱泡して、アルミナ微粒子が分散した液状樹脂を得た。この液状樹脂を型枠へ流し、90℃で硬化させて、厚さ1mmで50×50mmの樹脂板を作製した。この樹脂板について、分光光度計(日立製作所株式会社製「U−3210」)を用いて、波長550nmにおける全光透過率、平行光線透過率及びヘーズ(Haze)を測定した。その測定結果を表1に示す。
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.7gを純水49.3gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。実施例1で使用したジオクチルスルホコハク酸ナトリウム溶液に代えてこのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、表1に示すジオクチルスルホコハク酸ナトリウム付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子について、スルホコハク酸ナトリウムの付着率は1質量%であった。
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.07gを純水49.93gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。実施例1で使用した分散剤溶液に代えてこの分散剤溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、表1に示すジオクチルスルホコハク酸ナトリウム付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。
実施例4、5
実施例1で使用したアルミナゾルに代えて、触媒化成工業株式会社製アルミナゾル「カタロイドAS−2」(アルミナゾル粒子:平均粒径20〜30nmの薄片状、固形分10.0質量%、分散安定剤として無機酸含有)(実施例4)または同社製アルミナゾル「カタロイドAS−3」(アルミナゾル粒子:平均直径10nm、平均長さ100nmの繊維状、固形分7質量%、分散安定剤として有機酸含有)(実施例5)を使用した他は実施例1と同様にして、表1に示すジオクチルスルホコハク酸ナトリウム付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子へのスルホコハク酸ナトリウムの付着率は実施例4、5のいずれも10質量%であった。
アルミナ微粒子(サンゴバン株式会社製「ナノアルミナCAM9010」、直径10〜15nm、長さ90nmの繊維状)5gを純水45gに分散させてアルミナゾルを準備した。
実施例1で使用したアルミナゾルに代えて、このアルミナゾルを使用した他は実施例1と同様にして、表1に示すジオクチルスルホコハク酸ナトリウム付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子へのスルホコハク酸ナトリウムの付着率は10質量%であった。
[比較例1]
実施例1で使用した分散剤溶液を使用せずに、アルミナゾルをそのまま120℃で8時間以上乾燥させた以外は実施例1と同様にして、樹脂板を作製し、その全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、気相合成法によるアルミナ微粒子(シーアイ化成株式会社製「Nanotek」平均粒子径33nm)を分散剤溶液を塗布することなく使用し、その他は実施例1と同様にして樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。
[比較例3]
ポリエチレングリコール(PEG)系ノニオン型界面活性剤であるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(株式会社花王製「オクタポール100」有効成分100質量%)5gを純水45gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。実施例1において、この分散剤溶液に替えた以外は同様にして、表1に示す分散剤付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子へのPEG系ノニオン型界面活性剤の付着率は10質量%であった。
[比較例4]
第4級アンモニウム塩系カチオン型界面活性剤である脂肪族ジメチルエチルアンモニウムサルフェート(日本油脂株式会社製「エレガン264A」有効成分30質量%)16.5gを純水33.5gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。実施例1において、この分散剤溶液に替えた以外は同様にして、表1に示す分散剤付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子への第4級アンモニウム塩系カチオン型界面活性剤の付着率は10質量%であった。
[比較例5]
アミノ基含有シランカップリング剤であるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー株式会社製「A−1100」有効成分96質量%以上)5gを純水45gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。実施例1において、この分散剤溶液に替えた以外は同様にして、表1に示す分散剤付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率またはヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。乾燥状態のアルミナ微粒子へのアミノ基含有シランカップリング剤の付着率は10質量%であった。
[比較例6]
カチオニックシランであるオクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド(日本ユニカー株式会社製「AY43−021」有効成分96質量%以上)5gを純水45gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。実施例1において、この分散剤溶液に替えた以外は同様にして、表1に示す分散剤付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子へのカチオニックシランの付着率は10質量%であった。
[比較例7]
脂肪酸であるモンタン酸(クラリアントポリマー社製「T−350A」有効成分25質量%)20gを純水30gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。実施例1において、この分散剤溶液に替えた以外は同様にして、表1に示す分散剤付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子への前記脂肪酸の付着率は10質量%であった。
[比較例8]
パラフィン乳化物(ミヨシ油脂社製「ハイソフロンS−160」有効成分30質量%)16.5gを純水33.5gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。実施例1において、この分散剤溶液に替えた以外は同様にして、表1に示す分散剤付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子へのパラフィン乳化物の付着率は10質量%であった。
[比較例9]
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.007gを純水49.993gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。この分散剤溶液に替えた以外は実施例1と同様にして、表1に示すジオクチルスルホコハク酸ナトリウム付着量及び酸含有量のアルミナ粉粒体を製造し、同様に樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。表1の通り、乾燥状態のアルミナ微粒子へのスルホコハク酸ナトリウムの付着率は0.01質量%であった。
[比較例10]
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.07gを純水49.93gに溶解させ、分散剤溶液を作製した。この分散剤溶液5gを実施例1と同種のアルミナゾル50gに添加し、超音波照射を行いつつ、50℃の温浴中にてスターラー撹拌を行った。このアルミナゾルと分散剤溶液の混合物を、噴霧乾燥装置(藤崎電気社製「MDL−050」)を用いて排気温度100℃の条件で24分間加熱し、溶媒を完全に除去して乾燥状態のアルミナ微粒子を得た。このアルミナ微粒子は、微かに酸臭が残っており、スルホコハク酸ナトリウムの付着率が0.1質量%であった。また、酢酸の付着量はアルミナ微粒子の質量に対して10質量%であった。このアルミナ微粒子0.3gを、実施例1で使用した透明な不飽和ポリエステル樹脂5.6gに添加し、さらに同種の硬化剤0.1gを加えて、これらをスターラーで撹拌しながら真空脱泡して、アルミナ微粒子を分散させた液状樹脂を得た。この液状樹脂を型枠へ流し、90℃で硬化させて、厚さ1mmで50×50mmの樹脂板を作製した。この樹脂板について、上記の分光光度計を用いて、波長550nmにおける全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。
[比較例11]
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.2gを純水42.8gに添加し撹拌して、分散剤溶液を作製した。この分散剤溶液5gを実施例1と同種のアルミナゾル50gに添加し、超音波照射を行いつつ、50℃の温浴中にてスターラー撹拌を行った。その後加熱炉に入れて100℃で8時間加熱し、完全に溶媒を除去して乾燥状態のアルミナ微粒子を得た。このアルミナ微粒子は、微かに酸臭が残っており、スルホコハク酸ナトリウムの付着率が10質量%であった。また、酢酸の付着量はアルミナ微粒子の質量に対して10質量%であった。この乾燥条件を替えた以外は実施例1と同様にして、樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を、表1に示す。
[比較例12]
実施例6において使用したアルミナ微粒子(サンゴバン社製「ナノアルミナCAM9010」)を分散剤溶液を塗布することなく使用し、その他は実施例1と同様にして樹脂板を作製し、全光透過率、平行光線透過率及びヘーズを測定した。その測定結果を表1に示す。
[比較例13]
実施例1において、アルミナ粉粒体を配合することなく、その他は同様にして不飽和ポリエステル樹脂と硬化剤とだけからなる樹脂板を作製した。この樹脂板の全光透過率、平行光線透過率及びヘーズの測定結果を表1に示す。
Figure 2004037721
実施例1〜3及び比較例1〜10を対比することにより、本発明に係る樹脂組成物の透明性が際立って高いことが判る。このことから、アルミナ微粒子を樹脂中でより均一に分散させるには、分散剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを適量付着させる必要があることが判る。とくに、実施例1〜3を対比することにより、アルミナ微粒子におけるジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの付着率が適量範囲内で高いほど、樹脂組成物の透明性が高くなることが判る。
また、実施例3と比較例10及び11とを対比することにより、アルミナ微粒子が酸を含有すると、樹脂組成物が変質することが判る。
実施例1でジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを付着させたアルミナ粉粒体と、ナイロン6樹脂(東レ株式会社製「アミランCM1021XF」)を混合し、二軸押出機(株式会社テクノベル製「KZW15TWIN−30MG」)で混合造粒し、アルミナ微粒子の含有率が7.6質量%の樹脂組成物を得た。これを射出成形機(住友重機械工業株式会社製「プロマット」)により、下記測定法で定める寸法の成形片を製造し、引張強度、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。その結果を表2に示す。なお引張強度はASTM−D638に従って、曲げ強度及び曲げ弾性率はASTM−D790に従ってそれぞれ測定した。
[比較例14]
実施例7において、アルミナ粉粒体を用いず、その他は同様にしてナイロン6樹脂だけからなる成形片を製造し、引張強度、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
その結果を表2に示す。
Figure 2004037721
実施例7と比較例14とを対比することにより、本発明のアルミナ粉粒体を配合することにより、引張強度、曲げ強度及び曲げ弾性率に優れた樹脂成形品が得られることが分かる。

Claims (20)

  1. スルホコハク酸誘導体塩を含有したアルミナ微粒子からなる粉粒体であって、スルホコハク酸誘導体塩が前記アルミナ微粒子の質量に対して0.05〜40質量%含有されている粉粒体。
  2. 請求項1において、スルホコハク酸誘導体塩はアルミナ微粒子の全体に含有されていることを特徴とする粉粒体。
  3. 請求項1において、スルホコハク酸誘導体塩は、スルホコハク酸エステル塩及び/又はスルホコハク酸アミド塩であることを特徴とする粉粒体。
  4. 請求項3において、スルホコハク酸エステル塩は、スルホコハク酸ジエステル塩、及びスルホコハク酸半エステル2塩よりなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする粉粒体。
  5. 請求項4において、スルホコハク酸ジエステル塩は、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム及びジトリデシルスルホコハク酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする粉粒体。
  6. 請求項4において、スルホコハク酸半エステル2塩は、スルホコハク酸ラウリル半エステルジナトリウム、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、ポリオキシエチレン(1又は2)アルキル(9)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、ポリオキシエチレン(2)アルキル(12〜14)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(12〜14)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、ポリオキシエチレン(7)アルキル(12〜14)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウム、及びポリオキシエチレン(9)アルキル(9〜12)エーテルスルホコハク酸半エステルジナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする粉粒体。
  7. 請求項3において、スルホコハク酸アミド塩は、ポリオキシエチレン(5)ラウロイルエタノールスルホコハク酸アミドジナトリウム、及びオクタデシルスルホコハク酸アミドジナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする粉粒体。
  8. スルホコハク酸誘導体塩が前記アルミナ微粒子に対して1〜15質量%含有される請求項1に記載の粉粒体。
  9. 前記アルミナ微粒子は平均直径5〜15nm、平均長さ100〜600nmの寸法を有する繊維である請求項1に記載の粉粒体。
  10. 前記アルミナ微粒子は平均厚さ5〜15nm、平均幅が10〜50nm、平均長さ100〜600nmのリボン形状を有する請求項1に記載の粉粒体。
  11. 前記アルミナ微粒子は平均厚み5〜10nm、平均粒径15〜100nmを有する薄片状である請求項1に記載の粉粒体。
  12. 前記アルミナ微粒子の多数個がスルホコハク酸誘導体塩で互いに固着されて集合体を形成している請求項1に記載の粉粒体。
  13. 前記アルミナ微粒子が10〜1015個互いに固着されて集合体を形成している請求項12に記載の粉粒体。
  14. 前記集合体は、0.5μm〜2mmの平均粒径を有する請求項12に記載の粉粒体。
  15. 酸含有量が前記アルミナ微粒子に対して8質量%未満である請求項1に記載の粉粒体。
  16. 繊維状または薄片状のアルミナの水性ゾルを含有する液にスルホコハク酸誘導体塩を添加して攪拌する工程と、
    この液から水分を除去して乾燥する工程と、
    を有する、スルホコハク酸誘導体塩を含有した繊維状または薄片状のアルミナ微粒子からなる粉粒体の製造方法。
  17. 前記液を撹拌して液中のアルミナゾルをゲル化してアルミナゲルの相と水の相に分離させ、液から水分を除去し、次いでアルミナゲルを110〜150℃で加熱してアルミナ微粒子を生成させることを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
  18. 10〜80℃で前記撹拌を行う請求項17に記載の粉粒体の製造方法。
  19. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の粉粒体を含有する樹脂組成物。
  20. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の粉粒体を含有する塗料。
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