JP6112753B2 - 透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材、および疎水性金属酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材、および疎水性金属酸化物粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面にモノアルキルシリル基およびトリアルキルシリル基を有する疎水性の高い金属酸化物粒子と疎水性マトリックス形成成分とからなる透明被膜形成用塗布液ならびに該透明被膜形成用塗布液を用いて形成された透明被膜付基材、および該疎水性金属酸化物粒子の製造方法に関する。
さらに詳しくは、粒子表面にモノアルキルシリル基を有しているために樹脂への分散性に優れ、透明被膜中で密に充填し、このため表面平坦性に優れるとともに白化することがなく、ヘーズ、透明性、耐アルカリ性等に優れ、加えてトリアルキルシリル基を有しているために耐擦傷性、強度にも優れた透明被膜を形成することのできる疎水性金属酸化物粒子と疎水性マトリックス形成成分とからなる透明被膜形成用塗布液ならびに該透明被膜形成用塗布液を用いて形成された透明被膜付基材、および該疎水性金属酸化物粒子の製造方法に関する。
従来、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の耐擦傷性を向上させるため、基材表面にハードコート機能を有する透明被膜を形成することが知られており、このような透明被膜として有機樹脂膜あるいは無機膜をガラスやプラスチック等の表面に形成することが行われている。さらに、有機樹脂膜あるいは無機膜中に樹脂粒子あるいはシリカ等の無機粒子を配合してさらに耐擦傷性を向上させることが行われている。また、このようなハードコート膜付の樹脂基材を表示装置前面板等に貼り付けて使用される場合がある。
しかしながら、透明被膜形成用塗布液に微粒子を分散させる際に、マトリックス成分または分散媒と粒子の親和性が低いと、粒子が凝集したり、塗布液の安定性が低下し、得られる透明被膜の透明性、ヘーズ等の他、耐擦傷性、強度、スクラッチ強度等が不充分となったりすることがあった。
このため、分散性を向上させるために微粒子をカップリング剤(有機珪素化合物)で表面処理することがよく知られている。
しかしながら、微粒子をカップリング剤処理して用いると塗布液の安定性が向上し、得られる透明被膜の耐擦傷性は向上するものの、透明被膜に応力が加わった場合に、用いる粒子の粒子径によっては粒子とマトリックスとが剥離してボイドが生じる場合があり、また、見る角度によって白化が認められる場合があった。
特許文献1には、LED用封止剤に用いる粒子径が1〜20nmの表面修飾したジルコニア粒子をシリコーン樹脂に配合した組成物が提案されている。
しかしながら、ジルコニア粒子のシリコーン樹脂への分散性を改良するために、通常のシランカップリング剤のみによる表面処理に変えて、一次表面修飾、二次表面修飾をし、さらに残存OH基を無くするためにアルキルシラザン系表面処理剤により三次表面修飾をしているが、工程が多く生産性が低いことに加え、表面修飾剤の必要量が粒子の2.5倍以上と多く、用いる粒子の特性(屈折率、導電性等)を充分に発揮できない場合があり、加えて表面処理剤が効果であることから用途によっては経済性に問題があった。
本発明者等は、このような問題点に鑑み鋭意検討した結果、平均粒子径が60nmと大きく屈折率の低いシリカ系中空微粒子を3官能の有機珪素化合物で表面処理し、ついでトリアルキルシリル基を有するシリル化剤で処理すると、少量のシリル化剤で分散性に優れた粒子が得られ、このような表面処理したシリカ系中空微粒子を用いた透明被膜は強度に優れ、白化(見る角度によって膜が白っぽく見える)が全く起きないことを見出して本発明を完成するに至った。
特開2009−173757号公報
本発明は、粒子表面に特定の疎水性官能基を有しているために樹脂への分散性に優れ、得られる透明被膜は表面の平坦性に優れるとともに白化することがなくヘーズ、透明性、耐擦傷性、強度、耐アルカリ性等に優れた透明被膜を形成することのできる疎水性金属酸化物粒子と疎水性マトリックス形成成分とからなる透明被膜形成用塗布液ならびに該透明被膜形成用塗布液を用いて形成された透明被膜付基材、および該疎水性金属酸化物粒子の製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、疎水性金属酸化物粒子と疎水性マトリックス形成成分と有機溶媒とを含む透明被膜形成用塗布液であって、該疎水性金属酸化物粒子がその表面にモノアルキルシリル基およびトリアルキルシリル基を有し、該疎水性金属酸化物粒子の平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、前記モノアルキルシリル基の含有量が固形分(R−SiO3/2)として、金属酸化物粒子の1〜50重量%の範囲にあり、か
つ前記トリアルキルシリル基の含有量が固形分(R3−SiO1/2)として、金属酸化物粒子の3〜100重量%の範囲にあること(但し、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。)を特徴とする。
前記モノアルキルシリル基および/またはトリアルキルシリル基のアルキル基が置換基を有し、該置換基が反応性官能基であることが好ましい。
透明被膜形成用塗布液100重量%に対して、全固形分濃度が1〜60重量%の範囲にあり、疎水性金属酸化物粒子の濃度が固形分として0.2〜48重量%の範囲にあり、疎水性マトリックス形成成分の濃度が固形分として0.2〜48重量%の範囲にあることが好ましい。
前記疎水性マトリックス形成成分が、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基およびCF2基からなる群から選ばれる1種以上の疎水性官能基を有する多
官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂であることが好ましい。
前記疎水性マトリックス形成成分が、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメテクリレート、イソデシルメテクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメテクリレートおよびウレタンアクリレー
トからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記金属酸化物粒子が、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナならびにこれらの複合酸化物粒子、五酸化アンチモン、P含有五酸化アンチモン、酸化錫、Sb、FまたはPドープ酸化錫、酸化インジウムおよび、SnまたはFドープ酸化インジウムからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記疎水性金属酸化物粒子が、シリカ系中空微粒子であり、該シリカ系中空微粒子の平均粒子径が50〜120nmの範囲にあり、該シリカ系中空微粒子の屈折率が1.15〜1.40の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る透明被膜付基材は、基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が上記の透明被膜形成用塗布液を用いて形成されてなることを特徴とする。
前記透明被膜中の疎水性金属酸化物粒子の含有量が、透明被膜100重量%に対して、固形分として20〜80重量%の範囲にあり、疎水性マトリックス成分の含有量が固形分として20〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る疎水性金属酸化物粒の製造方法は、下記工程(a)〜(d)を順次実施することを特徴とする。
(a)平均粒子径が5〜300nmの範囲にある金属酸化物粒子のアルコール分散液(分散液(1))を調製する工程
(b)前記分散液(1)に、下記式(I)で表されるモノアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(1)を添加して、分散液(2)を調製する工程
R−SiX3 (I)
(但し、式(I)中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。)
(c)前記分散液(2)に含まれる有機珪素化合物(1)を加水分解して、分散液(3)を調製する工程
(d)前記分散液(3)に、疎水化剤として下記式(II)で表されるトリアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(2)を添加した後に、加水分解して、疎水性金属酸化物粒子を製造する工程
3−SiX (II)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。)
前記工程(a)と工程(b)との間に、下記工程を実施することが好ましい。
前記分散液(1)に、下記式(III)で表される有機珪素化合物(3)を添加した後に、加水分解する工程
SiX4 (III)
(但し、式(III)中、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
本発明によれば、粒子表面に特定の疎水性官能基を有しているために樹脂への分散性に優れ、得られる透明被膜は強度、表面の平坦性に優れるとともに白化することがなく、ヘーズ、透明性、耐擦傷性、強度、耐アルカリ性、耐水性(撥水性)等に優れた透明被膜を形成することのできる疎水性金属酸化物粒子ならびに疎水性マトリックス形成成分とからなる透明被膜形成用塗布液および該透明被膜形成用塗布液を用いて形成された透明被膜付
基材および疎水性金属酸化物粒子の製造方法を提供することができる。
以下、まず、本発明に係る透明被膜形成用塗布液について説明する。
[透明被膜形成用塗布液]
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、疎水性金属酸化物粒子と疎水性マトリックス形成成分と有機溶媒とを含む透明被膜形成用塗布液であって、該疎水性金属酸化物粒子がその表面にモノアルキルシリル基およびトリアルキルシリル基を有し、該疎水性金属酸化物粒子の平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、前記モノアルキルシリル基の含有量が固形分(R−SiO3/2)として、金属酸化物粒子の1〜50重量%の範囲にあり、かつ
前記トリアルキルシリル基の含有量が固形分(R3−SiO1/2)として、金属酸化物粒子の3〜100重量%の範囲にあること(但し、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。)を特徴としている。
疎水性金属酸化物粒子
本発明に用いる金属酸化物粒子としては、得られる透明被膜が少なくとも透明性を有し、耐擦傷性、強度等に問題がなければ特に制限はなく従来公知の金属酸化物粒子を用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、酸化アンチモン、ボリア、およびこれら金属酸化物からなるシリカ・アルミナ、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、シリカ・酸化アンチモン等の複合酸化物粒子、コアシェル構造を有する粒子が挙げられる。さらに、これら粒子は鎖状に連結した鎖状粒子であってもよい。
また、シリカを主成分とし、内部に空洞を有する中空粒子は屈折率が低く好適に用いることができる。
本発明では、前記金属酸化物粒子が、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナならびにこれらの複合酸化物粒子、五酸化アンチモン、P含有五酸化アンチモン、酸化錫、Sb、FまたはPドープ酸化錫、酸化インジウムおよび、SnまたはFドープ酸化インジウムからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
このような金属酸化物粒子を用いると透明被膜のハードコート性(耐擦傷性)が得られるとともに、金属酸化物粒子の特性を生かした透明被膜を得ることができる。例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナおよびこれらの複合酸化物粒子を用いると、屈折率の調整された透明被膜となり、Snドープ酸化インジウム等の粒子を用いると、さらに導電性を有する透明被膜を得ることができる。
金属酸化物粒子の平均粒子径は概ね5〜300nmの範囲にあることが好ましい。
また、金属酸化物粒子としてシリカ系中空微粒子を用いるとさらに反射防止性能に優れた透明被膜を得ることができる。
金属酸化物粒子として使用されるシリカ系中空微粒子は、概ね5〜300nm、さらには50〜120nm、特に70〜100nmの範囲にある平均粒子径を有することが好ましい。なかでも、平均粒子径が50〜120nm、特に70〜100nmの範囲にあると透明被膜が全く白化することなく、反射防止性(ボトム反射率、視感反射率が低い)、強度、耐擦傷性に優れる透明被膜を得ることができる。
また、シリカ系中空微粒子の屈折率は1.15〜1.40、さらには1.15〜1.30の範囲にあることが好ましい。
シリカ系中空微粒子の屈折率が1.15未満のものは得ることが困難であり、1.40を超えるものは反射防止性が不充分となる場合がある。
このようなシリカ系中空微粒子としては、本願出願人の出願による特開2001−167637号公報、特開2001−233611号公報等に開示した内部に空洞を有するシリカ系粒子は屈折率が低く好適に用いることができる。さらに、特開2005−119909号公報に開示した、反射防止・帯電防止膜に用いた表面を酸化アンチモンで被覆した多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子は好適に採用することができる。
本発明に用いる疎水性金属酸化物粒子は、前記金属酸化物粒子の表面にモノアルキルシリル基(R−SiO3)およびトリアルキルシリル基(R3−SiO)を有している。ここで、Rは、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、たとえば、炭素数1〜10のアルキル基である。このようなアルキル基が置換基を有し、該置換基が反応性官能基であることが好ましい。
前記反応性置換基としては、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
このような反応性官能基を置換基として有していると強度に優れた透明被膜が得られる。
このようなモノアルキルシリル基としては、(メタ)アクリロオキシプロピル基、(メタ)アクリロオキシプロピルメチル基、(メタ)アクリロオキシプロピルエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピルメチル基、ビニル基等が挙げられる。
モノアルキルシリル基を有する化合物としては、後述する有機珪素化合物(1)が挙げられるが、具体的にはγ−(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
また、トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、n−オクチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、等が挙げられる。
トリアルキルシリル基を有する化合物としては、後述する有機珪素化合物(2)が挙げられるが、具体的にはヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラノール、トリフェニルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
モノアルキルシリル基の含有量は、金属酸化物粒子の平均粒子径によっても異なるが、固形分(R−SiO3/2)、として金属酸化物粒子の1〜50重量%の範囲にあり、さら
には2〜40重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、Rは、たとえば、炭素数1〜
10のアルキル基である。
モノアルキルシリル基の含有量が小さすぎる場合、トリアルキルシリル基の結合量を多くできず、また透明被膜の強度向上効果が充分得られない場合がある。
モノアルキルシリル基の含有量が大きすぎる場合、前記したトリアルキルシリル基の結合量がさらに増えることもなく、また透明被膜の強度向上効果がさらに増すこともない。
なお、本発明では、前記モノアルキルシリル基に代えてジアルキルシリル基が結合していても良いが、ジアルキルシリル基を有する有機珪素化合物は反応性が低く、ジアルキルシリル化処理に時間を要する。また、ジアルキルシリル化できたとしても、トリアルキルシリル基の結合量が不充分となり、疎水性マトリックス形成成分への分散性が不充分なために、透明被膜の緻密化が不充分であったり、透明被膜の表面の平坦性が不充分となるために白化現象を抑制できなくなったりする場合がある。
また、トリアルキルシリル基の含有量は、金属酸化物粒子の平均粒子径によっても異なるが、固形分(R3−SiO1/2)として金属酸化物粒子の3〜100重量%の範囲にあり、さらには5〜80重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、Rは、炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、たとえば、炭素数1〜10のアルキル基である。
トリアルキルシリル基の含有量が小さすぎる場合、疎水性マトリックス形成成分への分散性が不充分なために、特に疎水性金属酸化物粒子の平均粒子径が大きい場合、具体的には平均粒子径が50〜120nm、特に70〜120nmの範囲にある場合に、透明被膜の緻密化が不充分であったり、透明被膜の表面の平坦性が不充分となったりするために白化現象を抑制できない場合がある。
なお、疎水性金属酸化物粒子表面にトリアルキルシリル基のみ有する場合は透明被膜の緻密化、表面の平坦性は得られるものの、透明被膜の強度が不充分となる場合がある。
トリアルキルシリル基の含有量が大きすぎる場合、金属酸化物粒子表面の全域にわたってトリアルキルシリル基が結合する量を超えて過剰となり、得ることが困難であり、得られたとしても、さらに分散性、疎水性が向上することはない。
疎水性金属酸化物粒子の平均粒子径は5〜300nm、さらには10〜100nmの範囲にあることが好ましい。
疎水性金属酸化物粒子の平均粒子径が小さすぎる場合、粒子の表面積が高く、前記モノアルキルシリル基、トリアルキルシリル基の結合量を過剰にしないと充分な疎水性、分散性が得られない場合がある。
疎水性金属酸化物粒子の平均粒子径が大きすぎる場合、レイリー散乱領域に入るので、透明被膜のヘーズが高くなり、透明性が不充分となる場合がある。
また、疎水性金属酸化物粒子は、その表面にモノアルキルシリル基およびトリアルキルシリル基の両方を有するために、疎水性マトリックス形成成分への分散性に優れ、強度や表面の平坦性に優れるとともに、白化することがなく、ヘーズ、透明性、耐擦傷性、強度、耐アルカリ性、耐水性(撥水性)等に優れた透明被膜を形成することができる。
また、疎水性金属酸化物粒子の表面に含まれるモノアルキルシリル基のモル数(M)とトリアルキルシリル基のモル数(M)とのモル比((M)/(M)は、好ましくは
0.035〜10、より好ましくは0.05〜8の範囲にある。上記モル比((M)/(M))が小さすぎる場合、得られる透明被膜の耐擦傷性、強度等が不十分になることがある。上記モル比((M)/(M))が大きすぎる場合、得られる透明被膜の表面平坦性が低下し、白化の原因となったり、ヘーズが悪化したりすることがある。
前記疎水性金属酸化物粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、任意の100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値として求める。
上記した疎水性金属酸化物粒子の表面電荷量は3〜40μeq/g、さらには4〜35μeq/gの範囲にあることが好ましい。
疎水性金属酸化物粒子の表面電荷量が前記範囲にあると、疎水性マトリックス形成成分への分散性がよく、透明被膜が緻密化し、表面の平坦性に優れるとともに白化現象の無い透明被膜を得ることができる。
本発明での前記表面電荷量の測定方法は、表面電位滴定装置(Mutek(株) :pcd−03)を用いて、粒子の分散液を0.001Nのpoly−塩化ジアリルジメチルアンモニウムを用いて滴定し、粒子単位重量当たりの表面電荷量(μeq/g)として求める。
このような疎水性金属酸化物粒子は、上記した有機珪素化合物で金属酸化物粒子を表面処理することで調整される。さらに、一部が4官能珪素化合物で処理されていてもよい。
4官能珪素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
疎水性マトリックス形成成分
疎水性マトリックス形成成分としては、従来公知の疎水性マトリックス形成成分を使用することができるが、本発明ではビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基およびCF2基からなる群から選ばれる1種以上の疎水性官能基を有する多官能(
メタ)アクリル酸エステル樹脂が好ましい。
このような官能基を有する疎水性有機樹脂マトリックス形成成分であると、疎水性金属酸化物粒子の反応性官能基と反応するため、耐擦傷性の良好な透明被膜が得られる。
疎水性有機樹脂マトリックス形成成分として具体的には、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメテクリレート、イソデシルメテクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメテクリレートおよびウレタンアクリレート等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて使用されてもよい。
このような疎水性有機樹脂マトリックスと上記疎水性金属酸化物粒子とを組み合わせることで、疎水性マトリックス形成成分への分散性に優れ、強度や表面の平坦性に優れるとともに、白化することがなく、ヘーズ、透明性、耐擦傷性、強度、耐アルカリ性、耐水性(撥水性)等に優れた透明被膜を形成することができる。
有機溶媒
有機溶媒としては、前記疎水性金属酸化物粒子、マトリックス形成成分、必要に応じて使用するその他の添加剤を均一に分散、あるいは溶解できれば特に制限はないが、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
透明被膜形成用塗布液において、透明被膜形成用塗布液100重量%に対して、全固形分濃度が1〜60重量%、さらには1〜55重量%の範囲にあることが好ましい。
透明被膜形成用塗布液の全固形分濃度が小さすぎると、塗工性が悪く、塗布ムラが生じたり、膜厚が不均一になったりする場合がある。
前記全固形分濃度が大きすぎると、塗布液の安定性が低下し、透明被膜の膜強度、表面平坦性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
また、透明被膜形成用塗布液中の疎水性金属酸化物粒子の濃度は、透明被膜形成用塗布液100重量%に対して、固形分として0.05〜48重量%、さらには0.2〜42重量%の範囲にあることが好ましい(ただし、上記固形分濃度を超えない。)。
前記疎水性金属酸化物粒子の濃度が小さすぎると、膜強度、表面平坦性、耐擦傷性等が不充分となり、さらに、金属酸化物粒子の種類によっても異なるが、金属酸化物粒子が少ないために反射防止性能、屈折率調整効果、導電性等が不充分となることがある。
前記疎水性金属酸化物粒子の濃度が大きすぎると、膜強度、耐擦傷性、膜の緻密化、ヘーズ等が不充分となる場合がある。
透明被膜形成用塗布液中の疎水性マトリックス形成成分の濃度は、透明被膜形成用塗布液100重量%に対して、固形分として0.2〜48重量%、さらには0.25〜42重量%の範囲にあることが好ましい。
前記疎水性マトリックス形成成分の濃度が小さすぎると、膜強度、耐擦傷性、膜の緻密化、ヘーズ等が不充分となる場合がある。
前記疎水性マトリックス形成成分の濃度が大きすぎると、膜強度、表面平坦性、耐擦傷性等が不充分となり、さらに、金属酸化物粒子の種類によっても異なるが、金属酸化物粒子が少ないために反射防止性能、屈折率調整効果、導電性等が不充分となることがある。
また、本発明の透明被膜形成用塗布液に含まれる前記金属酸化物粒子の質量(W1)と
疎水性マトリックス形成成分の質量(W2)との質量比(W1/W2)は、好ましくは0.05〜5、より好ましくは0.07〜4の範囲にある。
上記質量比(W1/W2)が小さすぎる場合、金属酸化物粒子の量が少ないために、該粒
子固有の前記した特性(反射防止機能、屈折率調整効果、伝導性等)が不十分になるほか、該粒子を用いる効果(耐擦傷性、膜強度等)が不十分となることがある。
上記質量比(W1/W2)が大きすぎる場合、金属酸化物粒子の量が多すぎるために、透
明被膜が白化したり、耐擦傷性、膜強度が不十分となったりすることがある。
また、透明被膜形成用塗布液には、必要に応じて、従来公知の硬化促進剤、重合開始剤、触媒、分散剤、レベリング剤、濡れ剤、重合禁止剤、消泡剤等が含まれていてもよい。
つぎに、本発明に係る透明被膜付基材について説明する。
[透明被膜付基材]
本発明に係る透明被膜付基材は、基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該
透明被膜が前記透明被膜形成用塗布液を用いて形成されてなることを特徴としている。
基材
本発明に用いる基材としては、従来公知のガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等を用いることができるが、なかでも屈折率が低く耐アルカリ性を要求されるトリアセチルセルロース(TAC)基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリエーテルスルフォン系樹脂基材等が好適に用いられる。
透明被膜
透明被膜は前記透明被膜形成用塗布液を用いて形成されており、疎水性金属酸化物粒子と疎水性マトリックス形成成分が硬化した疎水性マトリックス成分とからなっている。
疎水性金属酸化物粒子
疎水性金属酸化物粒子としては前記疎水性金属酸化物粒子が用いられる。
疎水性マトリックス成分
疎水性マトリックス成分としては、前記疎水性マトリックス形成成分が硬化した疎水性マトリックス成分が用いられる。
透明被膜中の疎水性金属酸化物粒子の含有量は、透明被膜100重量%に対して、固形分として5〜80重量%、さらには10〜75重量%の範囲にあることが好ましい。
透明被膜中の疎水性金属酸化物粒子の含有量が小さすぎる場合、膜強度、表面平坦性、耐擦傷性等が不充分となり、さらに、金属酸化物粒子の種類によっても異なるが、金属酸化物粒子が少ないために反射防止性能、屈折率調整効果、導電性等が不充分となることがある。
透明被膜中の疎水性金属酸化物粒子の含有量が大きすぎると、膜強度、耐擦傷性、膜の緻密化、ヘーズ等が不充分となる場合がある。
透明被膜中の疎水性マトリックス成分の含有量は、透明被膜100重量%に対して、固形分として20〜95重量%、さらには25〜90重量%の範囲にあることが好ましい。
透明被膜中の疎水性マトリックス成分の含有量が小さすぎると、膜強度、耐擦傷性、膜の緻密化、ヘーズ等が不充分となる場合がある。
透明被膜中の疎水性マトリックス成分の含有量が大きすぎると、膜強度、表面平坦性、耐擦傷性等が不充分となり、さらに、金属酸化物粒子の種類によっても異なるが、金属酸化物粒子が少ないために反射防止性能、屈折率調整効果、導電性等が不充分となることがある。
本発明の透明被膜付基材では、基材と透明被膜との間、または透明被膜上に他の透明被膜が設けられていることが好ましい。
基材と透明被膜との間に、ハードコート膜、導電性膜、高屈折率膜等が設けられてもよい。また、これらの最外面に、本発明の透明被膜が設けられてもよく、この場合、透明被膜は反射防止を目的とする反射防止膜として機能する。
また、本発明の透明被膜が、ハードコート膜、導電性膜、高屈折率膜等としての機能を有する場合は、他の透明被膜として反射防止膜が設けられてもよい。
他の透明被膜としてはハードコート膜、導電性膜、高屈折率膜、反射防止膜といった、従来公知の透明被膜を設けることができる。
このような透明被膜付基材は、基材上に前記した透明被膜形成用塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法等の周知の方法で塗布し、乾燥し、加熱処理、紫外線照射等によって硬化させることによって調製することができる。
透明被膜の厚さは0.08〜30μm、さらには0.1〜20μmの範囲にあることが好ましい。
透明被膜の厚さが小さすぎる場合、透明被膜が薄いために透明被膜表面に加わる応力を充分吸収することがでないために、ハードコート機能が不充分となる。
透明被膜の厚さが大きすぎる場合、膜の厚さが均一になるように塗布したり、均一に乾燥したりすることが困難となり、さらに収縮が大きくなるのでカーリング(透明被膜付基材が湾曲)が生じることがある。また、膜厚が厚すぎて透明性が不充分となることがある。
このような透明被膜の屈折率は基材の屈折率との差が0.3以下であることが好ましく、さらには0.2以下であることがより好ましい。
透明被膜の屈折率と基材の屈折率との差が大きすぎる場合、顕著な干渉縞を生じる問題がある。

つぎに、本発明に係る疎水性金属酸化物粒子の製造方法について説明する。
[疎水性金属酸化物粒子の製造方法]
本発明に係る疎水性金属酸化物粒子の製造方法は、下記工程(a)〜(d)を順次実施することを特徴とする。
(a)平均粒子径が5〜300nmの範囲にある金属酸化物粒子のアルコール分散液(分散液(1))を調製する工程
(b)前記分散液(1)に、下記式(I)で表されるモノアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(1)を添加して、分散液(2)を調製する工程
R−SiX3 (I)
(但し、式(I)中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハ
ロゲン原子または水素原子を示す。)
(c)前記分散液(2)に含まれる有機珪素化合物(1)を加水分解して、分散液(3)を調製する工程
(d)前記分散液(3)に、疎水化剤として下記式(II)で表されるトリアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(2)を添加した後、加水分解して疎水性金属酸化物粒子を製造する工程
3−SiX (II)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。)
工程(a)
工程(a)は、平均粒子径が5〜300nmの範囲にある金属酸化物粒子のアルコール
分散液(分散液(1))を調製する工程である。
金属酸化物粒子
金属酸化物粒子としては、平均粒子径が5〜300nm、好ましくは50〜120nm、より好ましく70〜100nmである前記金属酸化物粒子が用いられる。
分散液(1)を調製するのに使用されるアルコールとしては、通常、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコールが用いられる。
分散液(1)の固形分の濃度は特に制限はないが、分散液(1)100重量%に対して、固形分として概ね1〜45重量%の範囲にあることが好ましい。
金属酸化物粒子アルコール分散液の濃度が前記範囲にあれば、後述する有機珪素化合物(1)を用いて金属酸化物粒子表面に効率的にモノアルキルシリル基を結合させた表面処理を行うことができる。
工程(b)
工程(b)は、前記分散液(1)に、下記式(I)で表されるモノアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(1)を添加して、分散液(2)を調製する工程
R−SiX3 (I)
(但し、式(I)中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。)
有機珪素化合物(1)は、上述したように、モノメチルシリル基を有し、具体的には、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3−ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン等が挙げられる。
なかでも、有機珪素化合物(1)のアルキル基が置換基を有し、該置換基が反応性官能基を有しているγ−(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン等は、後述する疎水化剤としてのトリアルキルシリル基を有する化合物の金属酸化物粒子表面への結合を促進し、かつ、マトリックス形成成分と結合するためか、強度に優れた透明被膜を得ることができる。
有機珪素化合物(1)の添加量は、金属酸化物粒子の平均粒子径によっても異なるが、モノアルキルシリル基の含有量が固形分(R−SiO3/2)として金属酸化物粒子の1〜
50重量%、さらには2〜40重量%の範囲となるように添加することが好ましい。
有機珪素化合物(1)の添加量が、小さすぎる場合、トリアルキルシリル基の結合量を多くできず、また透明被膜の強度向上効果が充分得られない場合がある。
有機珪素化合物(1)の添加量が、大きすぎる場合、前記したトリアルキルシリル基の結合量がさらに増えることもなく、また透明被膜の強度向上効果がさらに増すこともない。
工程(c)
工程(c)は、前記分散液(2)に含まれる有機珪素化合物(1)を加水分解して、分散液(3)を調製する工程である。ここで、必要に応じて、水および加水分解用触媒を添加して有機珪素化合物(1)を加水分解する。
このとき、添加する水のモル数(MH2O)と有機珪素化合物(1)のモル数(MOC)と
のモル比(1)((MH2O)/(MOC))が1〜300、さらには5〜200の範囲にあ
ることが好ましい。
モル比(1)(MH2O)/(MOC)が小さすぎると、加水分解が不充分となる場合があ
り、未加水分解有機珪素化合物(1)を除去する必要がある。
モル比(MH2O)/(MOC)が大きすぎると、粒子表面に結合することなく有機珪素化
合物(1)の加水分解縮合物が生成する場合がある。
また、加水分解用触媒としてはアンモニアが好ましい。アンモニアを用いると、塗布液に残存しても除去することが容易であり、残存量が少量であれば塗布液の安定性を大きく
損なうことはなく、この塗布液を用いて形成した透明被膜の性能を損なうこともない。
添加するアンモニアのモル数(MNH3)と有機珪素化合物(1)のモル数(MOC)との
モル比(1)(MNH3)/(MOC)は0.1〜12、さらには0.2〜10の範囲にある
ことが好ましい。
モル比(1)(MNH3)/(MOC)が小さすぎる場合、加水分解が不充分となり、未加
水分解有機珪素化合物を除去する必要がある。
モル比(1)(MNH3)/(MOC)が大きすぎる場合、未加水分解物が残留することは
なくなるものの、アンモニアが多く残留するようになり、塗布液の安定性、透明被膜の性能(耐擦傷性、透明性、外観等)が不充分となり、このため、残存するアンモニアを除去する必要が生じる。
水およびアンモニアの添加方法は、各々個別に添加することもできるが、アンモニア水として添加することが好ましい。
上記工程(a)〜(c)を実施すると、次の工程にて実施されるモノアルキルシリル基
を有する有機珪素化合物との反応性(結合性)が向上し、モノアルキルシリル基の結合量の多い金属酸化物粒子を得ることができる。
また、本発明では、前記工程(a)と工程(b)との間に、以下の工程を実施してもよい。
前記分散液(1)に、下記式(III)で表される有機珪素化合物(3)を添加した後に、加水分解する工程
SiX4 (III)
(但し、式(III)中、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
有機珪素化合物(3)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
有機珪素化合物(3)の添加量は、金属酸化物粒子の平均粒子径によっても異なるが、分散液(1)100重量%に対して、固形分(SiO2)として金属酸化物粒子の1〜5
0重量%、さらには2〜40重量%の範囲となるように添加することが好ましい。
有機珪素化合物(3)の添加量が前記範囲にあると、有機珪素化合物(1)のモノアルキルシリル基を効率的に金属酸化物粒子表面に結合させることができる。(なお、この場合、金属酸化物粒子表面に有機珪素化合物(3)の加水分解物であるSi(OH)4が結
合し、このOH基とモノアルキルシリル基が結合することを意味している。)
前記有機珪素化合物(3)の添加量が小さすぎると、モノアルキルシリル基を効率的に金属酸化物粒子表面に結合させることができない場合がある。
前記有機珪素化合物(3)の添加量が大きすぎると、さらに有機珪素化合物(1)のモノアルキルシリル基の結合が増加したり効率的になったりすることもなく、むしろ金属酸化物粒子表面にOH基が多く残存して、疎水性金属酸化物粒子の疎水性マトリックス形成成分への分散性が低下する場合がある。
次に、前記分散液(1)の有機珪素化合物(3)を加水分解する。ここで、必要に応じて、水、さらに加水分解用触媒を添加して有機珪素化合物(3)を加水分解する。加水分解する際の条件は従来公知の方法を採用することができる。
なお、シリカを主成分とする粒子の場合は有機珪素化合物(1)のモノアルキルシリル基の結合が起こりやすく、4官能有機珪素化合物での表面処理は必ずしも実施する必要はない場合がある。
また、工程(c)と工程(d)との間において、前記分散液(3)に含まれるアルコールを有機溶媒で溶媒置換する工程を実施してもよい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール(IPA)、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プルピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類等が挙げられる。
等が挙げられる。
有機溶媒に置換する方法としては、溶媒の種類によっても異なるが、蒸留法、ロータリーエバポレーター法、限外濾過膜法等を採用することができる。
ここで、好ましくは、前記工程(c)で得た分散液(分散液(3))を、有機珪素化合
物(1)で表面処理した金属酸化物粒子の濃度が、分散液(3)100重量%に対して、固形分として0.5〜60重量%、好ましくは1〜50重量%となるように有機溶媒置換する。
有機溶媒で置換した有機珪素化合物(1)で表面処理した金属酸化物粒子の濃度が前記範囲にあれば、後述する工程(h)で効率的にトリアルキルシリル基を結合させることができる。
工程(d)
工程(d)は、前記分散液(3)に、疎水化剤として下記式(II)で表されるトリアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(2)を添加した後、加水分解して疎水性金属酸化物粒子を製造する工程である。
3−SiX (II)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。)
トリアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(2)としては、上述したように、具体的には、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラノール、トリフェニルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン等、およびこれらの混合物が挙げられる。
トリアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(2)の添加量は、金属酸化物粒子の平均粒子径によっても異なるが、トリアルキルシリル基の含有量が、固形分(R3−SiO1/2)として、好ましくは金属酸化物粒子の3〜100重量%、より好ましくは5〜80重量%の範囲となるように添加する。ただし、上記Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。
トリアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(2)の添加量が小さすぎる場合、アルキル基の種類、金属酸化物粒子の粒子径によっても異なるが、金属酸化物粒子表面の全域にわたってトリアルキルシリル基が結合しない場合があり、充分な疎水性、疎水性マトリ
ックス形成成分への分散性が得られない場合がある。
トリアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(2)の添加量が大きすぎる場合、アルキル基の種類、金属酸化物粒子の粒子径によっても異なるが、金属酸化物粒子表面の全域にわたってトリアルキルシリル基が結合する量を超えて過剰となり、後述する工程(h)で有機珪素化合物(2)の加水分解縮合物が生成するようになる。
工程(d)において、前記式(2)でXがOH基であるものは必ずしも加水分解用触媒を添加する必要はない。
このとき、添加する水のモル数(MH2O)と有機珪素化合物(2)のモル数(MOC)と
のモル比(2)(MH2O)/(MOC)が1〜300、さらには5〜200の範囲にあるこ
とが好ましい。
モル比(2)(MH2O)/(MOC)が小さすぎる場合、加水分解が不充分となり、有機
珪素化合物(2)が少ない場合と同様に、金属酸化物粒子表面へのトリアルキルシリル基の結合が不充分となり、充分に疎水性を有する金属酸化物粒子が得られない場合がある。
モル比(2)(MH2O)/(MOC)が大きすぎる場合、後に、除去する必要があるが除
去が困難な場合があり、残存すると塗布液の安定性が低下し、透明被膜の外観不良を起こす場合がある。
つぎに、加水分解用触媒としてはアンモニアが好ましい。アンモニアであれば後述する溶剤置換の際に加熱することによって容易に除去することができる。
添加するアンモニアのモル数(MNH3)と有機珪素化合物(2)のモル数(MOC)との
モル比(2)(MNH3)/(MOC)は0.1〜12、さらには0.2〜10の範囲にある
ことが好ましい。
モル比(2)(MNH3)/(MOC)が小さすぎる場合、加水分解が不充分となり、前記
と同様の問題がある。
モル比(2)(MNH3)/(MOC)が大きすぎる場合、未加水分解物が残留することは
なくなるものの、アンモニアが多く残留するようになり、塗布液の安定性が低下し、透明被膜の外観不良を起こす場合がある。このため、残存するアンモニアを除去する必要が生じる。
水およびアンモニアの添加方法は、各々個別に添加することもできるが、アンモニア水として添加することが好ましい。
工程(h)では、加水分解時、あるいは加水分解後、加熱することができる。
上記加水分解時、あるいは加水分解後の加熱温度は概ね30〜90℃、さらには40〜80℃の範囲が好ましい。このように加水分解時、あるいは加水分解後、加熱することによって金属酸化物粒子表面に緻密にトリアルキルシリル基が結合した疎水性金属酸化物粒子を得ることができる。
以上のようにして表面にモノアルキルシリル基およびトリアルキルシリル基が結合した疎水性金属酸化物粒子を得ることができるが、さらに、前記工程(f)と同様にして有機溶媒に溶媒置換することができる。有機溶媒で置換することにより、水、アンモニアが透
明被膜形成用塗布液の安定性を損なう、透明被膜の性能を低下させるなどの問題がある場合は、これを除去することができる。特に、透明被膜形成用塗布液に用いる有機溶媒に置換すれば、再度有機溶媒置換することなくそのまま透明被膜形成用塗布液の調製に使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
疎水性金属酸化物粒子(1)の調製
シリカ・アルミナゾル(日揮触媒化成(株)製:USBB−120、平均粒子径25nm、SiO2・Al23濃度20重量%、固形分中Al23含有量27重量%)621g
に純水1200gを加えて95℃に加温し、この温度を保持しながら、SiO2として濃
度1.5重量%の珪酸ナトリウム水溶液3000gおよびAl23としての濃度0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液3000gを添加して、SiO2・Al23複合酸化
物微粒子(1−1)分散液を得た。この分散液に含まれるSiO2・Al23複合酸化物
微粒子(1−1)の平均粒子径は55nmであり、Al23/SiO2モル比は0.2であ
った。また、この分散液のpHは12.0であった。
得られたSiO2・Al23複合酸化物微粒子(1−1)分散液に、SiO2として濃度1.5重量%の珪酸ナトリウム水溶液8200gおよび、Al23として濃度0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液2800gを添加して、SiO2・Al23複合酸化物
微粒子(1−2)分散液を得た。この分散液に含まれるSiO2・Al23複合酸化物微
粒子(1−2)の平均粒子径は75nmであり、Al23/SiO2モル比は0.07で
あった。また、この分散液のpHは12.0であった。
得られたSiO2・Al23複合酸化物微粒子(1−2)分散液を、限外濾過膜を用い
て洗浄し、固形分濃度13重量%になった複合酸化物微粒子(1−2)の分散液500gを調製した。この分散液に純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(濃度35.5重量%)を滴下してpH1.0として、脱アルミニウム処理を行った。さらに、pH3の塩酸水溶液10Lおよび純水5Lを加えながら、限外濾過膜を用いて溶解したアルミニウム塩を分離・洗浄して固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(1−3)水分散液を得た。
得られたシリカ系中空微粒子(1−3)水分散液分散液150gに、純水500g、エタノール1,750gおよび濃度28重量%のアンモニア水626gを加えて混合液を調製し、この混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2濃度28重量%)
140gを添加して、シリカ系中空微粒子にシリカ被覆層を形成し、純水5Lを加えながら限外濾過膜を用いて洗浄して固形分濃度20重量%のシリカ被覆層を形成したシリカ系中空微粒子(1−4)を含む水分散液(シリカ系中空微粒子(1−4)水分散液)を得た。
得られたシリカ系中空微粒子(1−4)分散液にアンモニア水を添加し、分散液のpHを10.5に調整し、200℃にて11時間熟成した。その後、この分散液を、常温に冷却し、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSK1B)400gを用いて3時間イオン交換した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSA20A)200gを用いて3時間イオン交換し、さらに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSK1B)200gを用いて、80℃で3時間イオン交換して洗浄を行い、固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(1−5)分散液を得た。この分散液において、Na2O含有量、NH3含有量は、シリカ系中空微粒子当たり、それぞれ8ppm、1500ppmであった。
得られたシリカ系中空微粒子(1−5)分散液を150℃にて11時間水熱処理した後、常温に冷却し、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSK1B)400gを用いて3時間イオン交換し、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSA20A)200gを用いて3時間イオン交換し、さらに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSK1B)200gを用いて、80℃で3時間イオン交換して洗浄を行い、固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(1−6)水分散液を得た。この分散液において、Na2O含有量、NH3含有量はシリカ系中空微粒子当たり、それぞれ0.4pm、60ppmであった。
次いで、限外濾過膜を用いて、得られたシリカ系中空微粒子(1−6)水分散液の溶媒をメタノールに置換して、固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(1−6)アルコール分散液を調製した。このアルコール分散液に含まれるシリカ系中空微粒子(1−6)の平均粒子径および屈折率を測定した結果を表1に示す。
得られたシリカ系中空微粒子(1−6)アルコール分散液100gにγ−メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−503)3gを添加し、50℃で加熱処理を行った。さらに、ロータリーエバポレーターを用いて、加熱処理されたアルコール分散液の溶媒をイソプロピルアルコールに置換して、固形分濃度10.5重量%のモノアルキルシリル基の結合したシリカ系中空微粒子(1−7)イソプロピルアルコール分散液を調製した。
次いで、得られたイソプロピルアルコール分散液にヘキサメチルジシラザン(和光(株)製:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)2gを添加し、50℃で加熱処理を行って、トリアルキルシリル基の結合したシリカ系中空微粒子(1−8)イソプロピルアルコール分散液を調製した。
得られたシリカ系中空微粒子(1−8)イソプロピルアルコール分散液の溶媒を、ロータリーエバポレーターを用いて、メチルイソブチルケトンに置換するとともに濃縮して固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物粒子(1)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。また、疎水性金属酸化物粒子(1)の表面電荷量は、29.3μeq/gであった。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の調製
前記疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液12.38gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:DPE−6A、固形分濃度100重量%)1.03g、撥水化材用反応性シリコンオイル(信越化学(株);X−22−174DX、固形分濃度100重量%)0.08g、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製;ライトアクリレート1.6HX−A)0.09g、光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184:IPAで固形分濃度10重量%に溶解)0.76g、イソプロピルアルコール70.66gおよびイソプロピルグリコール15.00gを混合して、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)を調製した。
ハードコート用透明被膜形成用塗布液(1)の調製
シリカゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;OSCAL−1432;平均粒子径12nm、SiO2濃度30.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.46)1
00gにγ−メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン3.05g(信越シリコ−ン株製:KBM−503、SiO2成分81.2%)を混合し、超純水を3.1g添加し
て50℃で20時間攪拌し、表面処理され、平均粒子径12nmのシリカを含むシリカゾル分散液を得た(固形分濃度31.1重量%)。
得られたシリカゾル分散液の溶媒を、ロータリーエバポレーターを用いて、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)に置換し、平均粒子径12nmのシリカを含むシリカゾルPGME分散液を得た(固形分40.5%)。
次いで、得られたPGME分散液51.85gに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:DPE−6A)18.90g、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製;ライトアクリレート1.6HX−A)2.10g、シリコーン系レベリング剤(楠本化成(株)製;ディスパロン1610)0.01g、光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184、PGMEで固形分濃度10%に溶解)12.60gおよびPGME14.54gを添加し、充分に混合して固形分濃度42.0重量%のハードコート膜形成用塗布液(1)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(1)の製造
ハードコート膜形成用塗布液(1)を、TACフィルム(パナック(株)製:FT−PB80UL−M、厚さ:80μm、屈折率:1.5)にバーコーター法(バー#14)を用いて、塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、TACフィルムに塗布された塗布液(1)に300mJ/cm2の紫外線を照射して、該塗布液(1)を硬化させてハードコー
ト膜を形成した。得られたハードコート膜の膜厚は6μmであった。
次いで、ハードコート膜状に、反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)をバーコーター法(バー#4)を用いて塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、塗布された該塗布液にN2雰囲気下で600mJ/cm2の紫外線を照射し、該塗布液(1)を硬化させて反射防止用透明被膜付基材(1)を作製した。得られた反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
この反射防止用透明被膜付基材(1)の全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性に関する評価結果を表1に示す。
全光線透過率およびヘーズを、ヘーズメーター(スガ試験機(株)製)を用いて測定した。また、反射率を、分光光度計(日本分光社、Ubest−55)を用い、波長550nmの光線における反射率を測定した。また、反射防止用透明被膜の屈折率を、エリプソメーター(SOPRA社製、ESVG)により測定した。なお、上記塗布液が塗布されていないTACフィルムは全光線透過率は93.2%、ヘーズは0.2%、波長550nmの光線の反射率は6.0%であった。
また、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表1に示す。
密着性
反射防止用透明被膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作成した。この升目にセロハンテ−プを貼着し、このセロハンテ−プを剥離した際に、被膜が剥離せず残存している升目(残存升目)の数を数えた。以下の4段階の基準に基づいて、残存升目の数から、透明被膜の密着性を評価した。得られた結果を表1に示す。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数90〜99個 :○
残存升目の数85〜89個 :△
残存升目の数84個以下 :×

鉛筆硬度
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により、反射防止用透明被膜付基材(1)の透明被膜の鉛筆硬度を測定した。
耐擦傷性
#0000スチールウールを用い、荷重500g/cm2で反射防止用透明被膜付基材
(1)の透明被膜表面を50回摺動し、摺動された表面(摺動面)を目視観察した。以下の基準に基づいて、摺動面の目視結果から耐擦傷性を評価した。得られた結果を表1に示す。
評価基準:
摺動面には筋条の傷が認められない :◎
摺動面に筋条の傷が僅かに認められる:○
摺動面に筋条の傷が多数認められる :△
摺動面が全体的に削られている :×
撥水性
反射防止用透明被膜付基材(1)の透明被膜表面に水滴を落とし、全自動接触角計(協和界面科学(株)製:DM7
00)を使用して、透明被膜に接触する水滴の接触角を測定した。
白化評価
反射防止用透明被膜付基材(1)の透明被膜を斜め30°から目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示す。
評価基準:
透明 :◎
僅かに白っぽく見える :○
白っぽく見える :△
白い :×
[実施例2]
反射防止用透明被膜形成用塗布液(2)の調製
前記疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液9.52g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:DPE−6A、固形分濃度100重量%)1.28g、撥水化材用反応性シリコンオイル(信越化学(株);X−22−174DX、固形分濃度100重量%)0.08g、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製;ライトアクリレート)0.14g、光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184:IPAで固形分濃度10重量%に溶解)0.95g、イソプロピルアルコール73.03gおよびイソプロピルグリコール15.00gを混合して、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(2)を調製した。疎水性金属酸化物粒子(2)メチルイソブチルケトン分散液に含まれる疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(2)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜付基材(2)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに、反射防止用透明被膜形成用塗布液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止用透明被膜付基材(2)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(2)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(2)についての全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
反射防止用透明被膜形成用塗布液(3)の調製
前記疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液14.29g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:DPE−6A、固形分濃度100重量%)0.83g、撥水化材用反応性シリコンオイル(信越化学(株);X−22−174DX、固形分濃度100重量%)0.08g、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製;ライトアクリレート0.09g、光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184:IPAで固形分濃度10重量%に溶解0.63g、イソプロピルアルコール69.08gおよびイソプロピルグリコール15.00gを混合して、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(3)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(3)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに、反射防止用透明被膜形成用塗布液(3)を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止用透明被膜付基材(3)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(3)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(3)についての全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例4]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(2)の調製
前記シリカ系中空微粒子(1−6)アルコール分散液100gに、γ―メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシサン3gの代わりに、ヘキシルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−3063))3gを添加したこと以外は、実施例1と同様にして固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物粒子(2)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(2)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(4)の調製
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに、疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(2)メチルイソブチルケトン分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(4)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(4)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに、反射防止用透明被膜形成用塗布液(4)を用いた以外は実施例と同様にして、反射防止用透明被膜付基材(4)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(4)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(4)についての全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例5]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(3)の調製
γ−メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−503)の添加量を3gから1gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(3)メチルイソブチルケトン分散液
を調製した。疎水性金属酸化物粒子(3)メチルイソブチルケトン分散液に含まれる疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(3)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。

反射防止用透明被膜形成用塗布液(5)の調製
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに、疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(3)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(5)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(5)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに、反射防止用透明被膜形成用塗布液(5)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反射防止用透明被膜付基材(5)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(5)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(5)についての全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例6]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(4)の調製
γ−メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−503)の添加量を3gから5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(4)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。疎水性金属酸化物粒子(4)メチルイソブチルケトン分散液に含まれる疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(4)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(6)の調製
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに、疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(4)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(6)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(6)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに反射防止用透明被膜形成用塗布液(6)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反射防止用透明被膜付基材(6)を作製した。このときの反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(6)についての全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例7]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(5)の調製
ヘキサメチルジシラザン(和光(株)製:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)の添加量を2gから1gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物粒子(5)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。疎水性金属酸化物粒子(5)メチルイソブチルケトン分散液に含まれる疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(5)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(7)の調製
疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトンの代わりに疎水性金属酸化物粒子(5)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(7)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(7)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに反射防止用透明被膜形成用塗布液(7)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反射防止用透明被膜付基材(7)を作製した。このときの反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(7)についての全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例8]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(6)の調製
ヘキサメチルジシラザンに代えてトリメチルクロロシラン(信越化学(株)製:KA−31)2gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(6)のメチルイソブチルケトン分散液を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(6)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(8)の調製
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(6)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(8)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(8)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに反射防止用透明被膜形成用塗布液(8)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止用透明被膜付基材(8)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(8)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(8)についての全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例9]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(7)の調製
シリカ・アルミナゾル(触媒化成工業(株)製:USBB−120、平均粒子径25nm、SiO2・Al23 濃度20重量%、固形分中Al23含有量27重量%)100
gに純水3900gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、SiO2として濃度1.5重量%の珪酸ナトリウム水溶液1750gとAl23としての濃度0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液1750gを添加して平均粒子径35nmのSiO2
Al23複合酸化物微粒子を含むSiO2・Al2O3複合酸化物微粒子(2−1)分散液を得た。この分散液に含まれるAl23/SiO2モル比は0.2であった。また、この
ときの反応液のpHは12.0であった。
次いで、得られたSiO2・Al23複合酸化物微粒子(2−1)分散液に、濃度0.
5重量%の硫酸ナトリウム6,600gを添加し、ついでSiO2として濃度1.5重量
%の珪酸ナトリウム水溶液33,000gとAl23としての濃度0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液11,000gを添加して、平均粒子径94nmのSiO2・Al23複合酸化物微粒子を含むSiO2・Al23複合酸化物微粒子(2−2)分散液を得た。この分散液のpHは11.0であり、Al23/SiO2モル比は0.07であった。
得られたSiO2・Al23複合酸化物微粒子(2−2)分散液を、限外濾過膜を用い
て洗浄して固形分濃度13重量%になった複合酸化物微粒子(2−2)の分散液500g
に純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(濃度35.5重量%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離・洗浄して固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(2−3)水分散液を得た。
ついで、シリカ系中空微粒子(2−3)水分散液150gと、純水500g、エタノール1,750gおよび濃度28重量%のアンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2濃度28重量%)80gを添加してシリカ被覆層を
形成し、純水5Lを加えながら限外濾過膜を用いて、洗浄して固形分濃度20重量%のシリカ被覆層を形成したシリカ系中空微粒子(2−4)を含む水分散液(シリカ系中空微粒子(2−4)水分散液)を得た。
得られたシリカ系中空微粒子(2−4)水分散液にアンモニア水を添加して分散液のpHを10.5に調整し、ついで150℃にて11時間熟成した後、常温に冷却し、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSK1B)400gを用いて3時間イオン交換し、ついで、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSA20A)200gを用いて3時間イオン交換し、さらに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSK1B)200gを用い、80℃で3時間イオン交換して洗浄を行い、固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(2−5)水分散液を得た。この水分散液において、Na2O含有量、NH3含有量はシリカ系中空微粒子当たりそれぞれ12ppm、1500ppmであった。
ついで、再び、シリカ系中空微粒子(2−5)水分散液を150℃にて11時間水熱処理した後、常温に冷却し、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSK1B)400gを用いて3時間イオン交換し、ついで、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSA20A)200gを用いて3時間イオン交換し、さらに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオンSK1B)200gを用い、80℃で3時間イオン交換して洗浄を行い、固形分濃度20重量%のシリカ系微粒子(2−6)水分散液を得た。この水分散液において、Na2O含有量、NH3含有量はシリカ系中空微粒子当たりそれぞれ0.9ppm、800ppmであった。
ついで限外濾過膜を用いて、シリカ系微粒子(2−6)水分散液の溶媒をエタノールに置換して、固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(2−6)エタノール分散液を調製した。この分散液に含まれるシリカ系中空微粒子(2−6)の平均粒子径、屈折率の測定した結果を表1に示す。
固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(2−6)エタノール分散液100gにγ−メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−503)3gを添加し、50℃で加熱処理を行い、ついで、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をイソプロピルアルコールに置換して固形分濃度10.5重量%のモノアルキルシリル基の結合したシリカ系中空微粒子(2−7)のイソプロピルアルコール分散液を調製した。その後、ヘキサメチルジシラザン(和光(株)製:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)2gを添加し、50℃で加熱処理を行って、トリアルキルシリル基の結合したシリカ系中空微粒子(2−8)イソプロピルアルコール分散液を調製した。
ついで、ロータリーエバポレーターを用いて、シリカ系中空微粒子(2−8)イソプロピルアルコール分散液の溶媒をメチルイソブチルケトンに置換するとともに濃縮して固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(7)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(7)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(9)の調製
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(7)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(9)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(9)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに反射防止用透明被膜形成用塗布液(9)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止用透明被膜付基材(9)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(9)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(9)における全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例10]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(8)の調製
中空シリカ微粒子分散液(日揮触媒化成(株)製;スルーリアS特殊品、平均粒子径40nm、固形分20.5重量%、IPA分散品、粒子屈折率1.31)100gにメタクリルトリメトキシシラン(信越化学(株)製;KBM−503)3gを添加し、50℃で加熱処理を行い、ついで、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をイソプロピルアルコールに置換して固形分濃度10.5重量%のモノアルキルシリル基の結合したシリカ系中空微粒子(2−7)を含むシリカ系中空微粒子(2−7)イソプロピルアルコール分散液を調製した。その後、シリカ系中空微粒子(2−7)イソプロピルアルコール分散液に、ヘキサメチルジシラザン(和光(株)製:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)2gを添加し、50℃で加熱処理を行って、トリアルキルシリル基の結合したシリカ系中空微粒子(2−8)を含むシリカ系中空微粒子(2−8)イソプロピルアルコール分散液を調製した。
ついで、ロータリーエバポレーターを用いて、シリカ系中空微粒子(2−8)イソプロピルアルコール分散液の溶媒を、メチルイソブチルケトンに置換するとともに濃縮して固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物粒子(7)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物粒子(8)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(10)の調製
疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(8)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(10)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(10)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに反射防止用透明被膜形成用塗布液(10)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止用透明被膜付基材(10)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(10)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(10)について、全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例11]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(9)の調製
実施例1において、ヘキサメチレンジシラザン(和光(株)製:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)の添加量を2gから10gに変更したこと以外は実施例1と同様にして固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(9)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(9)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(11)の調製
疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(9)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(11)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(11)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに反射防止用透明被膜形成用塗布液(11)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止用透明被膜付基材(10)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(11)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(11)について、全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[実施例12]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(10)の調製
純水1,300gにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(ZrOCl2・8H2O(太陽鉱業(株)製:ZrO2濃度37.2重量%)35gを溶解し、これに濃度10重量%のK
OH水溶液123gを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル(ZrO2濃度1重量%
)を調製した。ついで、限外濾過膜法を用いて、ジルコニウム水酸化物ヒドロゲルを、電導度が0.5mS/cm以下になるまで洗浄した。
得られたZrO2として濃度1重量%のジルコニウム水酸化物ヒドロゲル2,000g
に濃度10重量%のKOH水溶液400gを加えて十分攪拌した後、濃度35重量%の過酸化水素水溶液200gを加えた。このとき、激しく発泡して溶液は透明になり、pHは11.5であった。
この溶液をオートクレーブに充填し、150℃で11時間水熱処理を行った後、遠心沈降法により分離し、白色沈殿物を回収した。
回収した白色沈殿物56.4gに純水281.6gを添加した後、酒石酸(関東化学(株)製:L−酒石酸)6.9g、濃度10重量%のKOH水溶液22.0gを加えて十分攪拌した。シリカビーズを1000g加えた後、分散機(カンペ(株)製:BATCH−SAND)に充填し、分散させ、ジルコニアゾルとした。ついで、限外濾過膜を用いて純水洗浄した後、陰イオン交換樹脂(ROHM−AND HAAS社製:デュオライトUP−5000)を40g加えて脱イオンを行って固形分濃度1.5重量%で平均粒子径15nmの酸化ジルコニウム微粒子(10)を含む水分散液(酸化ジルコニウム微粒子(10)水分散液)を得た。
ついで、得られた酸化ジルコニウム微粒子(10)水分散液500gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業株式会社製:エチルシリケート−A、SiO228.8重量%)を
5.2g加え、ついでメタノール500gを加えた後、50℃で15時間加熱処理を行った。その後、限外濾過膜を用いて、加熱処理された酸化ジルコニウム微粒子(10)水分
散液の溶媒を、メタノールに置換して固形分濃度10重量%のシリカで被覆した酸化ジルコニウム微粒子(10)を含むメタノール分散液(酸化ジルコニウム微粒子(10)メタノール分散液)を調製した。
得られた酸化ジルコニウム微粒子(10)メタノール分散液60gにγ−メタクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−503)0.9gを加え、50℃で16時間加熱処理を行った。蒸留法を用いて、加熱処理された酸化ジルコニウム微粒子(10)メタノール分散液の溶媒を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に置換して、固形分濃度20重量%のモノアルキルシリル基の結合した酸化ジルコニウム微粒子(10)を含むPGME分散液(酸化ジルコニウム微粒子(10)PGME分散液)を調製した。
つぎに、酸化ジルコニウム微粒子(10)PGME分散液25gに、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(和光純薬工業(株)製:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)0.50gを添加し、50℃で22時間加熱処理を行って、固形分濃度20重量%のトリメチルシリル基の結合した疎水性金属酸化物粒子(10)を含む分散液(疎水性金属酸化物粒子(10)PGME分散液)を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物粒子(10)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
ハードコート用透明被膜形成用塗布液(2)の調製
前記疎水性金属酸化物粒子(9)PGME分散液75.0g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:DPE−6A)13.5g、と1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製;ライトアクリレート1.6HX−A)1.5gとシリコーン系レベリング剤(楠本化成(株)製;ディスパロン1610)0.01gと光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184、PGMEで固形分濃度10%に溶解)9.0gおよびPGME1.0gを充分に混合して固形分濃度30.0重量%のハードコート用透明被膜形成用塗布液(2)を調製した。
ハードコート用透明被膜付基材(1)の製造
ハードコート用透明被膜形成用塗布液(2)を、PETフィルム(東レ(株)製:ルミラーT−60、厚さ:100μm、屈折率:1.65、全光線透過率:91.0%、ヘーズ:2.0%)にバーコーター法(バー#20)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、N2雰囲気下で300mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させてハードコート透明
被膜付基材(1)を作製した。ハードコート透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(1)について、全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性を測定した結果を表1に示す。[比較例1]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R1)の調製
前記シリカ系中空微粒子(1−6)エタノール分散液100gにγ−メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−503)3gを添加し、50℃で加熱処理を行った。ついで、ロータリーエバポレーターを用いて、加熱処理された溶媒をシリカ系中空微粒子(1−6)エタノール分散液の溶媒を、メチルイソブチルケトンに置換するとともに濃縮して固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物粒子(R1)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物粒子(R1)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(R1)の調製
疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R1)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と
同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(R1)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(11)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに反射防止用透明被膜形成用塗布液(R1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止用透明被膜付基材(R1)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(R1)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(R1)について、全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R2)の調製
前記シリカ系中空微粒子(1−6)エタノール分散液00gに、ヘキサメチルジシラザン(和光(株)製:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)2gを添加し、50℃で加熱処理を行い、ついで、ロータリーエバポレーターを用いて、加熱処理された溶媒をシリカ系中空微粒子(1−6)エタノール分散液の溶媒を、メチルイソブチルケトンに置換するとともに濃縮して固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物粒子(R2)メチルイソブチルケトン分散液を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物粒子(R2)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(R2)の調製
疎水性金属酸化物粒子(1)メチルイソブチルケトン分散液の代わりに疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R2)メチルイソブチルケトン分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(R2)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(R2)の製造
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の代わりに反射防止用透明被膜形成用塗布液(R2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止用透明被膜付基材(R1)を作製した。反射防止用透明被膜付基材(R2)における反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(R2)について、全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R3)の調製
実施例1と同様にして固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(1−6)アルコール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度20重量%のシリカ系中空微粒子(1−6)のアルコール分散液100gにγ−メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−503)0.1gを添加し、50℃で加熱処理を行い、ついで、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をイソプロピルアルコールに置換して固形分濃度10.5重量%のモノアルキルシリル基の結合したシリカ系中空微粒子(1−7)のイソプロピルアルコール分散液を調製した。その後、ヘキサメチルジシラザン(和光(株)製:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)0.4gを添加し、50℃で加熱処理を行って、トリアルキルシリル基の結合したシリカ系中空微粒子(1−8)のイソプロピルアルコール分散液を調製した。
ついで、ロータリーエバポレーターでメチルイソブチルケトンに溶媒置換するとともに濃縮して固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R3)のメチルイソブチルケトン分散液を調製した。疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R3)の平均粒子径、屈折率を測定した結果を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(R3)の調製
実施例1において、固形分濃度10.5重量%の疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R3)のメチルイソブチルケトン分散液を用いた以外は同様にして、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(R3)を調製した。
反射防止用透明被膜付基材(R3)の製造
実施例1において、反射防止用透明被膜形成用塗布液(R3)を用いた以外は同様にして反射防止用透明被膜付基材(R3)を作製した。このときの反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた反射防止用透明被膜付基材(R3)について、全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性を測定した結果を表1に示す。[比較例4]
疎水性金属酸化物金属酸化物粒子(R4)の調製
酸化ジルコニウム微粒子(10)メタノール分散液を調製し、ついで、γ−メタクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−503)0.12gを使用したこと以外は実施例12と同様にして固形分濃度20重量%のモノアルキルシリル基の結合した酸化ジルコニウム微粒子(R4)を含むPGME分散液(疎水性金属酸化物粒子(R4)PGME分散液)を調製した。この分散液に含まれる疎水性金属酸化物粒子(R4)の平均粒子径、屈折率の測定した結果を表1に示す。
ハードコート用透明被膜形成用塗布液(R4)の調製
前記疎水性金属酸化物粒子(R4)PGME分散液75.0g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:DPE−6A)13.5g、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製;ライトアクリレート1.6HX−A)1.5g、シリコーン系レベリング剤(楠本化成(株)製;ディスパロン1610)0.01gと光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184、PGMEで固形分濃度10%に溶解)9.0gおよびPGME1.0gを充分に混合して固形分濃度30.0重量%のハードコート膜形成用塗布液(R4)を調製した。
ハードコート用透明被膜付基材(R4)の製造
ハードコート膜形成用塗布液(R4)を、PETフィルム(東レ(株)製:ルミラーT−60、厚さ:100μm、屈折率:1.65、全光線透過率:91.0%、ヘーズ:2.0%)にバーコーター法(バー#20)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、300mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させてハードコート透明被膜付基材(R4)を作製した。ハードコート透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られたハードコート用透明被膜付基材(R4)における全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、撥水性および耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
Figure 0006112753

Claims (8)

  1. 疎水性金属酸化物粒子と疎水性マトリックス形成成分と有機溶媒とを含む透明被膜形成用塗布液であって、
    前記疎水性金属酸化物粒子が、その表面にモノアルキルシリル基およびトリアルキルシリル基を有し、該金属酸化物粒子が、シリカ系中空微粒子であり、前記シリカ系中空微粒子の平均粒子径が70〜100nmの範囲で、屈折率が1.15〜1.40の範囲であり、 前記モノアルキルシリル基の含有量が固形分(R−SiO3/2)として、金属酸化物粒子の5〜25重量%の範囲で、かつ前記トリアルキルシリル基の含有量が固形分(R3−SiO1/2)として、金属酸化物粒子の5〜50重量%の範囲であり(但し、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。)、
    前記モノアルキルシリル基のモル数(Ma)と前記トリアルキルシリル基のモル数(Mb)とのモル比((Ma)/(Mb))が、0.035〜10の範囲で、
    前記透明被膜形成用塗布液中の前記疎水性金属酸化物粒子の濃度は、透明被膜形成用塗布液100重量%に対して、固形分として0.05〜48重量%にあり、前記疎水性マトリックス形成成分の濃度は、固形分として0.2〜48重量%の範囲にあり、
    前記疎水性金属酸化物粒子の質量(W1)と前記疎水性マトリックス形成成分の質量(W2)との質量比(W1/W2)は、0.05〜5の範囲にあることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
  2. 前記モノアルキルシリル基および/またはトリアルキルシリル基のアルキル基が置換基を有し、該置換基が反応性官能基であることを特徴とする請求項1に記載の透明被膜形成用塗布液。
  3. 前記透明被膜形成用塗布液100重量%に対して、全固形分濃度が1〜60重量%の範囲にあり、前記疎水性金属酸化物粒子の濃度が固形分として0.2〜48重量%の範囲にあり、前記疎水性マトリックス形成成分の濃度が固形分として0.2〜48重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明被膜形成用塗布液。
  4. 前記疎水性マトリックス形成成分が、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基およびCF2基からなる群から選ばれる1種以上の疎水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
  5. 前記疎水性マトリックス形成成分が、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレートおよびウレタンアクリレートからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
  6. 基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が請求項1〜のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液を用いて形成されてなり、
    前記透明被膜中の疎水性金属酸化物粒子の含有量が、透明被膜100重量%に対して、固形分として20〜80重量%の範囲にあり、疎水性マトリックス成分の含有量が固形分として20〜80重量%の範囲にあることを特徴とする透明被膜付基材。
  7. 下記工程(a)〜(d)を順次実施することを特徴とする疎水性金属酸化物粒子の製造方法。
    (a)平均粒子径が70〜100nmの範囲にあり、該シリカ系中空微粒子の屈折率が1.15〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微粒子を用いて金属酸化物粒子のアルコール分散液(分散液(1))を調製する工程
    (b)前記分散液(1)に、下記式(I)で表されるモノアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(1)を前記モノアルキルシリル基が固形分(R−SiO 3/2 )(但し、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。)として、前記金属酸化物粒子の5〜25重量%の範囲で添加して、分散液(2)を調製する工程
    R−SiX3 (I)
    (但し、式(I)中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。)
    (c)前記分散液(2)に含まれる有機珪素化合物(1)を加水分解して、分散液(3)を調製する工程
    (d)前記分散液(3)に、疎水化剤として下記式(II)で表されるトリアルキルシリル基を有する有機珪素化合物(2)を前記トリアルキルシリル基が固形分(R 3 −SiO 1/2 )(但し、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。)として、前記金属酸化物粒子の5〜50重量%の範囲で添加した後に、加水分解して、モノアルキルシリル基のモル数(Ma)とトリアルキルシリル基のモル数(Mb)とのモル比((Ma)/(Mb))が、0.035〜10の範囲にある、疎水性金属酸化物粒子を製造する工程
    3−SiX (II)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。)
  8. 前記工程(a)と工程(b)との間に、下記工程を実施することを特徴とする請求項に記載の疎水性金属酸化物粒子の製造方法。
    前記分散液(1)に、下記式(III)で表される有機珪素化合物(3)を添加した後に、加水分解する工程
    SiX4 (III)
    (但し、式(III)中、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
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