JP2012140534A - 透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】五酸化アンチモン微粒子とアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)を含むマトリックス形成成分と分散媒とからなり、五酸化アンチモン微粒子が下記式(1)で表される有機珪素化合物で表面処理されてなり、全固形分の濃度が5〜60重量%の範囲にあり、表面処理五酸化アンチモン微粒子の濃度が固形分としての濃度が0.15〜18重量%の範囲にあり、マトリックス形成成分の固形分としての濃度が0.7〜59.4重量%の範囲にあることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
Rn-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
【選択図】なし
Description
このような導電性を付与するために導電性酸化物粒子を配合することが知られている。
[1]五酸化アンチモン微粒子とアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)を含むマトリックス形成成分と分散媒とからなり、五酸化アンチモン微粒子が下記式(1)で表される有機珪素化合物で表面処理されてなり、全固形分の濃度が5〜60重量%の範囲にあり、表面処理五酸化アンチモン微粒子の濃度が固形分としての濃度が0.15〜18重量%の範囲にあり、マトリックス形成成分の固形分としての濃度が0.7〜59.4重量%の範囲にあることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
[2]前記五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径が5〜50nmの範囲にある[1]の透明被膜形成用塗布液。
[3]前記アルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)がエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂である[1]〜[2]の透明被膜形成用塗布液。
[4]前記マトリックス形成成分がさらに非変性アクリル系樹脂(B)を含み、マトリックス形成成分中の非変性アクリル系樹脂(B)の含有量が固形分として5〜85重量%の範囲にある[1]〜[3]の透明被膜形成用塗布液。
[6]前記分散媒のケトン類が、アセトンおよび/またはメチルエチルケトンである[1]〜[5]の透明被膜形成用塗布液。
[7]五酸化アンチモン微粒子とアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)を含むマトリックス成分とからなり、五酸化アンチモン微粒子が下記式(2)で表される有機珪素化合物で表面処理されてなり、該表面処理五酸化アンチモン微粒子の含有量が3〜30重量%の範囲にあり、表面抵抗値が108〜1011Ω/□の範囲にあり、ヘーズが0.3%以下であり、全光線透過率が90%以上であり、基材の屈折率(NS)と前記透明被膜の屈折率(NH)との差が0.02以下であることを特徴とする透明被膜付基材。
Rn-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
[9]前記アルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)がエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂である[7]または[8]の透明被膜付基材。
[10]前記マトリックス成分がさらに非変性アクリル系樹脂(B)を含み、マトリックス成分中の非変性アクリル系樹脂(B)の含有量が固形分として5〜85重量%の範囲にある[7]〜[9]の透明被膜付基材。
[11]前記透明被膜の膜厚が1〜20μmの範囲にある[7]〜[10]の透明被膜付基材。
[12]前記基材がトリアセチルセルロースである[7]〜[11]の透明被膜付基材。
[透明被膜形成用塗布液]
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、五酸化アンチモン微粒子とアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)を含むマトリックス形成成分と分散媒とからなる。
本発明に用いる五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径は5〜50nm、さらには5〜30nm、特に5〜25nmの範囲にあることが好ましい。この範囲の粒子径であれば導電性、透明性が高い。
本発明で使用される五酸化アンチモン微粒子は、下記式(1)で表される有機珪素化合物で表面処理されていることが好ましい。
Rn-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
透明被膜形成用塗布液中の五酸化アンチモン微粒子の濃度が低すぎると、導電性能が不充分となり、得られる透明被膜付基材の帯電防止性能が不充分となる場合がある。また、五酸化アンチモン微粒子の濃度が高すぎても、透明被膜の屈折率が高くなるために基材の屈折率によっては干渉縞を生じる場合がある。
マトリックス形成成分としてはアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)が好適に用いられる。アルキレンオキサイド変性とは、エチレンオキサイド(−CH2−CH2−O−)、プロピレンオキサイド(−CH2−CH2−CH2−O−)などのアルキレンオキサイドのブロック構造を持たせることを意味する。
アルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)としては、エチレンオキサイド変性アクリル樹脂、プロピレンオキサイド変性アクリル系樹脂、ブチレンオキサイド変性アクリル系樹脂等が挙げられる。
このような非変性アクリル系樹脂(B)を、アルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)とともに含むことで、強度、硬度、耐擦傷性に優れた透明被膜を得ることができる。
マトリックス形成成分中の非変性アクリル系樹脂(B)の含有量が少ないと、非変性アクリル系樹脂(B)を用いる効果、すなわち得られる透明被膜の強度、硬度、耐擦傷性を向上させる効果が不充分となり、多すぎると、アルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)が少なくなるので、少ない五酸化アンチモン微粒子の使用量で導電性を向上させる効果が充分得られない場合がある。
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度(変性・非変性のアクリル樹脂の合計量)が少ないと、所望の膜厚の透明被膜が得られない場合があり、マトリックス形成成分が少なくなる場合は得られる透明被膜の耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合がある。マトリックス形成成分の濃度が多すぎても、五酸化アンチモン微粒子が少なくなるために導電性が不充分となり、得られる透明被膜付基材の帯電防止性能が不充分となる場合があり、また、耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合がある。
本発明に用いる分散媒としてはケトン類が好適に用いられる。
具体的にはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル等のケトン類およびこれらの混合分散媒が挙げられる。
なお、ケトン類以外の溶媒が多すぎると、基材がTACなどの場合、TACの表面が膨潤あるいは溶解して透明被膜成分と相互進入し(水や低級アルコールではこのような膨潤効果はない)は、境界における光学界面が不鮮明になるためか、干渉縞を抑制できる場合があるが、ケトン類の割合が少ないとこのような干渉縞を抑制する効果が得られない場合がある。
透明被膜形成用塗布液の全固形分濃度が低すぎると、1回の塗布で厚膜の透明導電性被膜を得ることが困難な場合があり、繰り返し塗布、乾燥を繰り返すと、膜の強度が低下したり、経済性が低下する問題がある。全固形分濃度が高すぎると、塗布液の粘度が高くなり、塗布性が低下し、透明被膜にクラックやカーリングが生じたり、ヘーズが高くなることがあり、また、耐擦傷性が不充分となる場合がある。
つぎに、本発明に係る透明被膜付基材について説明する。
本発明に係る透明被膜付基材は、前記五酸化アンチモン微粒子とアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)を含むマトリックス成分とからなる透明被膜が形成されてなる。
本発明に用いる基材としては、従来公知のガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等の材質からなるシート、フィルム、パネル等を用いることができる。
基材の屈折率(NS)が前記範囲にない場合は、透明被膜の屈折率の調整が困難で、干渉縞を抑制できない場合がある。
五酸化アンチモン微粒子としては、前記した表面処理された五酸化アンチモン微粒子を用いる。
本発明に用いるマトリックス成分としては前記したアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)が硬化した樹脂が好適に用いられる。
本発明では前記アルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)に加えて非変性アクリル系樹脂(B)を含むことが好ましい。
透明被膜中のマトリックス成分の含有量は、固形分として70〜97重量%、さらには75〜99重量%の範囲にあることが好ましい。透明被膜中のマトリックス成分が少ないと、五酸化アンチモン微粒子が多くなり、導電性は向上するものの、屈折率が高くなり、基材によっては干渉縞が生じる場合がある。
本発明では、透明被膜の屈折率(NH)が1.49〜1.59、さらには1.49〜1.56、特に1.49〜1.52の範囲にあることが好ましい。
透明被膜の表面抵抗値は、用途に応じて適宜選択され、通常108〜1011Ω/□、好ましくは108〜1010Ω/□の範囲にある。かかる表面抵抗は、目的に応じて、マトリックス成分の割合を調整することで、調整可能である。ただし、前記下限を超えて表面抵抗値を小さくすることは五酸化アンチモン微粒子の含有量を多くしてしまうので、屈折率が高くなり干渉縞が生じる場合がある。透明被膜の表面抵抗値を大きくしても、目的によっては、帯電防止性能が不充分となる場合がある。
前記屈折率差が大きくなると鮮明な干渉縞を生じ、外観上の問題となったり、表示装置に用いる場合は画像の視認性が低下する場合がある。
透明被膜の膜厚が1μm未満の場合は、充分な硬度、耐擦傷性が得られない場合があり、 透明被膜の膜厚が20μmを越えると、膜が厚いために着色が助長されたり、透過率が不充分となる場合がある。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
五酸化アンチモン微粒子分散液(1)の調製
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85重量%)56.2gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製:PATOX-K 純度98.5重量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35重量%)57.6gを純水194.9gで希釈した水溶液を6時間で添加し、三酸化アンチモンを溶解し、その後14時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂層(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱イオン処理を行った。このときのpHは2.1、電導度は3.0mS/cmであった。
次に五酸化アンチモン微粒子分散液(1)200gを25℃に調整し、テトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:正珪酸エチル、SiO2濃度28.8%)5gを3分で添加した後、30分攪拌を行った。その後メタノ−ル200gを1分かけて添加し、50℃に30分間で昇温、19時間過熱処理を行った。このときの固形分濃度は7重量%であった。
固形分濃度30重量%の表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)34.67gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)41.6gに光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.33gおよびケトン系溶媒としてアセトン16.32g、メチルエチルケトン4.08gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(1)を調製した。
透明被膜形成用塗布液(1)を、TACフィルム(パナック(株)製:FT−PB80UL−M、厚さ:80μm、屈折率:1.5)にバーコーター法(バー#10)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、300mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(1)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
透明被膜形成用塗布液(1)をシリコンウェハー上に塗布し、乾燥し、硬化して透明被膜を形成し、透明被膜の屈折率をエリプソメーター(ULVAC社製、EMS−1)で測定した。
透明被膜付基材(1)に蛍光灯の光をあて、目視で透過での着色の有無を観察した。結果を表1に示す。
評価基準:
無色透明で着色が全く認められない :◎
ごく薄く着色が僅かに認められる :○
薄く着色が認められる :△
濃く着色が認められる :×
透明被膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロハンテ−プを接着し、ついで、セロハンテ−プを剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することにより密着性を評価した。結果を表1に示す。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数90〜99個 :○
残存升目の数85〜89個 :△
残存升目の数84個以下 :×
#0000スチールウールを用い、荷重500g/cm2で10回摺動し、膜の表面を目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
評価基準:
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる :○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
透明被膜付基材(1)の背景を黒にした状態で蛍光灯の光を透明被膜表面で反射させ、光の干渉による虹模様の発生を目視観察し、以下の基準で評価した。
虹模様が全く認められない :◎
虹模様がわずかに認められる :○
虹模様が明らかに認められる :△
虹模様が鮮明に認められる :×
透明被膜形成用塗布液(2)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)34.67gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)16.64g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)24.96g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.33gおよびケトン系溶媒としてアセトン16.32g、メチルエチルケトン4.08gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(2)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(2)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(2)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(2)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(3)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)17.33gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)18.72g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)28.08g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.74g、メタノール11.73gおよびケトン系溶媒としてアセトン16.32g、メチルエチルケトン4.08gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(3)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(3)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(3)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(3)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(4)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)43.33gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)15.60g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)23.40g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.12gおよびケトン系溶媒としてアセトン11.55g、メチルエチルケトン2.99gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(4)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(4)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(4)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(4)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(5)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)34.67gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)8.32g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)33.28gに光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.33gおよびケトン系溶媒としてアセトン16.32g、メチルエチルケトン4.08gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(5)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(5)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(5)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(5)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(6)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)34.67gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)24.96g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)16.64g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.33gおよびケトン系溶媒としてアセトン16.32g、メチルエチルケトン4.08gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(6)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(6)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(6)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(6)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
五酸化アンチモン微粒子分散液(2)の調製
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85重量%)56.2gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製:PATOX-K 純度98.5重量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35重量%)40.1gを純水194.9gで希釈した水溶液を6時間で添加し、三酸化アンチモンを溶解し、その後14時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂層(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱イオン処理を行った。このときのpHは2.0、電導度は3.2mS/cmであった。
次に五酸化アンチモン微粒子分散液(2)200gを25℃に調整し、テトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:正珪酸エチル、SiO2濃度28.8%)5gを3分で添加した後、30分攪拌を行った。その後メタノ−ル200gを1分かけて添加し、50℃に30分間で昇温、19時間過熱処理を行った。このときの固形分濃度は7重量%であった。
次いで限外濾過膜にて分散媒の水、メタノ−ルをメタノ−ルに置換し、固形分濃度30重量%の表面処理した5五酸化アンチモン微粒子分散液(2)を調製した。
固形分濃度30重量%の表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散液(2)34.67gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)16.64g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)24.96g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.33gおよびケトン系溶媒としてアセトン16.32gとメチルエチルケトン4.08gとを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(7)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(7)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(7)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(7)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
五酸化アンチモン微粒子分散液(3)の調製
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85重量%)56.2gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製:PATOX-K 純度98.5重量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35重量%)72.9gを純水194.9gで希釈した水溶液を6時間で添加し、三酸化アンチモンを溶解し、その後14時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂層(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱イオン処理を行った。このときのpHは2.2、電導度は3.0mS/cmであった。
次に五酸化アンチモン微粒子分散液(3)200gを25℃に調整し、テトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:正珪酸エチル、SiO2濃度28.8%)5gを3分で添加した後、30分攪拌を行った。その後メタノ−ル200gを1分かけて添加し、50℃に30分間で昇温、19時間過熱処理を行った。このときの固形分濃度は7重量%であった。
次いで限外濾過膜にて分散媒の水、メタノ−ルをメタノ−ルに置換し、固形分濃度30重量%の表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散液(3)を調製した。
固形分濃度30重量%の表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散液(3)34.67gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)16.64g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)24.96g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.33gおよびアセトン16.32gとメチルエチルケトン4.08gとを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(8)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(8)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(8)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。得られた透明被膜付基材(8)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(9)の調製
実施例2において、エチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)16.64gの代わりにプロピレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4P、樹脂濃度100重量%)16.64gを用いた以外は同様にして固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(9)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(9)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(9)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(9)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)の調製
シリカ系微粒子分散液(日揮触媒化成(株)製:スルーリア4320、粒子屈折率=1.30、固形分濃度20重量%、分散媒=メチルイソブチルケトン)6.5gにメチルイソブチルケトン5.9gを加えて稀釈し、ついで、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:DPE-6A、固形分濃度100重量%)1.03gと1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製;ライトアクリレート1.6HX−A)0.09gと光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184:IPAで固形分濃度10重量%に溶解)0.76gとイソプロピルアルコール70.66g、イソプロピルグリコール15.00gを混合して、固形分濃度2.5重量%の反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)を調製した。
実施例2と同様にして透明被膜付基材(2)を調製し、ついで、反射防止用透明被膜形成用塗布液(1)をバーコーター法(バー#3)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、N2雰囲気下で600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて反射防止膜を設けた透明被膜付基材(10)を調製した。このときの反射防止用透明被膜の膜厚は100nmであった。
得られた透明被膜付基材(10)の全光線透過率、ヘーズ、反射率、被膜の屈折率、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞、耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(R1)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)34.67gと非変性アクリル系樹脂として紫外線硬化樹脂(共栄社化学(株)製:DPE−6A、固形分濃度100重量%)41.6gに光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.33gおよびケトン系溶媒としてアセトン16.32gとメチルエチルケトン4.08gとを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(R1)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R1)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R1)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(R1)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(R2)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)0.18gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)20.78g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)31.17g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184) 4.16g、メタノール23.31gおよびケトン系溶媒としてアセトン16.32g、メチルエチルケトン4.08gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(R2)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R2)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R2)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(R2)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(R3)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子分散液(1)60.67gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)13.52g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)20.28g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)2.70gおよびケトン系溶媒としてアセトン2.83gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(R3)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R3)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R3)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。得られた透明被膜付基材(R3)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
アンチモンドープ酸化錫微粒子分散液(4)の調製
錫酸カリウム130gと酒石酸アンチモニルカリウム30gを純水400gに溶解した混合溶液を調製した。この調製した溶液を12時間かけて、60℃、攪拌下の硝酸アンモニウム1.0gと15%アンモニア水12gを溶解した純水1000g中に添加して加水分解を行った。このとき10%硝酸溶液をPH8.8に保つよう同時に添加した。生成した沈殿物を濾別洗浄した後、再び水に分散させて固形分濃度20重量%の金属酸化物前駆体水酸化物分散液を調製した。
次に、このゾルをイオン交換樹脂でPHが3.0になるまで脱アルカリの処理を行い、固形分濃度14重量%のSbド−プ酸化錫微粒子分散液を調製した。この分散液のPHは3.2であった。また粒子の平均粒子径は20nmであった。
次いで限外濾過膜にて分散媒の水、メタノ−ルをメタノ−ルに置換し、固形分濃度30重量%の表面処理したATO微粒子分散液(4)を調製した。
固形分濃度30重量%の表面処理したATO微粒子分散液(4)34.67gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)16.64g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)24.96g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184) 3.33gおよびケトン系溶媒としてアセトン20.40ggを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(R-4)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R4)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R4)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(R4)の全光線透過率、ヘーズ、被膜の屈折率、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、着色、干渉縞および耐擦傷性を表1に示す。
透明被膜形成用塗布液(R5)の調製
比較例4と同様にして調製したATO微粒子分散液(4)17.33gとエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製:NKエステルATM−4E、樹脂濃度100重量%)18.72g、非変性アクリル系樹脂(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A、樹脂濃度100重量%)28.08g、に光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)3.74g、メタノール11.73gおよびケトン系溶媒としてアセトン20.40gを充分に混合して固形分濃度52重量%の透明被膜形成用塗布液(R5)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R5)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R5)を調製した。透明被膜の膜厚は5μmであった。
Claims (12)
- 五酸化アンチモン微粒子とアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)を含むマトリックス形成成分と分散媒とからなり、五酸化アンチモン微粒子が下記式(1)で表される有機珪素化合物で表面処理されてなり、全固形分の濃度が5〜60重量%の範囲にあり、表面処理五酸化アンチモン微粒子の濃度が固形分としての濃度が0.15〜18重量%の範囲にあり、マトリックス形成成分の固形分としての濃度が0.7〜59.4重量%の範囲にあることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
Rn-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数) - 前記五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径が5〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透明被膜形成用塗布液。
- 前記アルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)がエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
- 前記マトリックス形成成分がさらに非変性アクリル系樹脂(B)を含み、マトリックス形成成分中の非変性アクリル系樹脂(B)の含有量が固形分として5〜85重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
- 前記分散媒がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルから選ばれる1種または2種以上のケトン類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
- 前記分散媒のケトン類が、アセトンおよび/またはメチルエチルケトンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
- 五酸化アンチモン微粒子とアルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)を含むマトリックス成分とからなり、五酸化アンチモン微粒子が下記式(2)で表される有機珪素化合物で表面処理されてなり、該表面処理五酸化アンチモン微粒子の含有量が3〜30重量%の範囲にあり、表面抵抗値が108〜1011Ω/□の範囲にあり、ヘーズが0.3%以下であり、全光線透過率が90%以上であり、基材の屈折率(NS)と前記透明被膜の屈折率(NH)との差が0.02以下であることを特徴とする透明被膜付基材。
Rn-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数) - 前記五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径が5〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の透明被膜付基材。
- 前記アルキレンオキサイド変性アクリル系樹脂(A)がエチレンオキサイド変性アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項7または8に記載の透明被膜付基材。
- 前記マトリックス成分がさらに非変性アクリル系樹脂(B)を含み、マトリックス成分中の非変性アクリル系樹脂(B)の含有量が固形分として5〜85重量%の範囲にあることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の透明被膜付基材。
- 前記透明被膜の膜厚が1〜20μmの範囲にあることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の透明被膜付基材。
- 前記基材がトリアセチルセルロースであることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の透明被膜付基材。
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