JP2008066480A - 固体撮像素子および電子情報機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換蓄積部からの信号電荷を電荷検出部へ完全に電荷転送して、ノイズや残像をより抑制した高画質な画像を得る。
【解決手段】MOS型イメージセンサの単位画素部10において、光電変換蓄積部13が転送ゲート電極18に対してオーバーラップ部分を有しており、かつピンニング層16が光電変換蓄積部13に対してオフセット形成されている。これにより、光電変換蓄積部13から電荷検出部23(FD)への電荷転送経路において電位障壁の形成を抑制することができる。また、転送トランジスタ2のチャネル領域を構成するp型ウェル領域14の界面が転送ゲート電極18の光電変換蓄積部側端面に対して電荷検出部23(FD)側に所定値だけ後退しており、結果的に残像発生の原因となる電荷溜り形成が回避される。よって、フォトダイオード1から電荷検出部FDへの信号電荷を完全に転送することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する半導体素子で構成された固体撮像素子、特に、低電圧駆動が可能なMOS型イメージセンサなどの固体撮像素子、この固体撮像素子を、画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、各種画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器に関する。
従来、例えばCCD型イメージセンサやMOS型イメージセンサなどの半導体イメージセンサは、量産性に優れているため、例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラやカメラ付き携帯電話器などの携帯型電子情報機器において、画像入力デバイスとして利用されている。
このような従来の携帯型電子情報機器は、電池により駆動するため、駆動電力の低電圧化および低消費電力化を図ることが重要であり、さらに、低コスト化およびモジュールサイズの縮小化を実現することも重要である。
このため、このような携帯型電子情報機器に利用される固体撮像素子の分野において、MOS型イメージセンサは、CCD型イメージセンサに比べて、消費電力がより少なく、また、従来のCMOSプロセス技術を利用することによって低コスト化が可能であり、センサ素子とその周辺回路素子とを同一チップ上に作製することによってモジュールサイズの縮小化が可能となるなどの利点を有することから、MOS型イメージセンサが見直されている。
また、従来のMOS型イメージセンサにおいて、光信号検出部であるフォトダイオードを埋め込み型構造としたものは、低ノイズ化を図るという観点から非常に有利であり、高画質な画像を得ることができる。
以下に、埋め込み型フォトダイオードを有する従来のMOS型イメージセンサについて、図10(a)〜図10(c)を用いて詳細に説明する。
図10(a)は、埋め込み型フォトダイオードを有する従来のMOS型イメージセンサについて、単位画素部としての1画素分の断面構造図である。なお、従来のMOS型イメージセンサにおいてはこのような単位画素部が複数、2次元状でマトリクス状に配列されている。
図10(a)に示すように、従来のMOS型イメージセンサ100において、その単位画素部は、n型(低濃度n型:n−)またはp型(低濃度p型:p−)半導体基板101内に形成されたp型ウェル領域102と、このp型ウェル領域102内に形成されたn型半導体領域からなる光電変換蓄積部103と、この光電変換蓄積部103上の基板表面側に形成されたp型(高濃度p型:p+)ピンニング層104とによって埋め込み型フォトダイオードが構成されている。この場合、光電変換蓄積部103は、p型ウェル領域102によって半導体基板101の領域と分離されており、p型ピンニング層104によって半導体基板表面側とも分離されて基板内部に埋め込まれている。
この単位画素部は、半導体基板101の表面上にシリコン酸化膜からなる絶縁膜105が形成されており、この絶縁膜105上に転送MOSトランジスタのゲート電極(転送ゲート電極)106が形成されている。この転送ゲート電極106下のp型ウェル領域102をトランジスタチャネル領域として間に挟んで光電変換蓄積部103側とは反対側にn型(高濃度n型:n+)半導体領域からなる電荷検出部107が形成されている。
このMOS型イメージセンサ100において、光電変換蓄積部103に蓄積された光検出信号(信号電荷)を読み出す場合に、転送ゲート電極106に転送パルスφTXが印加され、電荷検出部107に電源電圧Vdが印加されて、光電変換蓄積部103から信号電荷が転送MOSトランジスタを介して電荷検出部107に電荷転送されるようになっている。この転送パルスφTXは、通常、CMOS駆動回路から供給されるため、ローレベルが接地電圧GND、ハイレベルが電源電圧Vdである。この電源電圧Vdは、携帯型電子情報機器では、通常、2.8V〜3.3V程度の電位である。
また、この光電変換蓄積部103からp型ウェル領域102を経て電荷検出部107に至る信号電荷の転送経路の両側に素子分離領域108がそれぞれ設けられている。
ここで、光電変換蓄積部103からp型ウェル領域102を経て電荷検出部107に至る各領域におけるポテンシャルについて図10(b)および図10(c)を用いて詳細に説明する。
図10(b)および図10(c)は、図10(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部103と、転送ゲート電極106下のチャネル領域(p型ウェル領域102)と、電荷検出部107からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、図10(b)は、転送ゲート電極106に印加される転送パルスφTXがローレベルのときのポテンシャル分布を示し、図10(c)は、転送ゲート電極106に印加される転送パルスφTXがハイレベルのときのポテンシャル分布を示している。
図10(b)に示すように、埋め込み形フォトダイオードを有する従来のMOS型イメージセンサ100では、転送ゲート電極106に印加される転送パルスφTXがローレベルの場合に、半導体基板表面のp型ピンニング層104によって、光電変換蓄積部103が半導体基板表面に対して分離されているため、半導体基板101と絶縁膜105との界面で発生するノイズ電荷が光電変換蓄積部103に流入して暗電圧成分となることが抑制されている。
しかしながら、図10(c)に示すように、転送ゲート電極106に印加される転送パルスφTXがハイレベルの場合には、半導体基板表面のp型ピンニング層104が電荷転送経路a−a‘に影響を及ぼし、光電変換蓄積部103から電荷検出部107へと光信号電荷が転送されるに際して障害となる電位障壁が形成される。
この電位障壁によって、信号電荷の読み出し時に、光電変換蓄積部103に信号電荷が残留して、フォトダイオードの信号電荷を完全に電荷転送させることができず、ノイズが発生して低ノイズ化できなくなると共に、残像現象が発生するという問題がある。
このような残像現象の発生を防ぐために、例えば特許文献1では、転送ゲート電極106に対して光電変換蓄積部103とその上の高濃度のp型ピンニング層104との位置関係を変化させる方法が開示されている。
以下に、特許文献1に開示されている従来のMOS型イメージセンサについて、図11(a)〜図11(c)を用いて詳細に説明する。
図11(a)は、特許文献1に開示されている従来の固体撮像素子の一例であるMOS型イメージセンサ100Aについて、単位画素部としての1画素分の断面構造図である。なお、このMOS型イメージセンサ100Aでは、このような単位画素部が複数、2次元状でマトリクス状に配列されている。
図11(a)に示すように、このMOS型イメージセンサ100Aでは、光電変換蓄積部103Aの端部を距離bだけ転送ゲート電極106下に潜り込ませたオーバーラップ構造となっている。
図11(b)および図11(c)は、図11(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部103と、転送ゲート電極106下のチャネル領域(p型ウェル領域102)と、電荷検出部107からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、図11(b)は、転送ゲート電極106に印加される転送パルスφTXがローレベルであるときのポテンシャル分布を示し、図11(c)は、転送ゲート電極106に印加される転送パルスφTXがハイレベルであるときのポテンシャル分布を示している。
図11(a)のオーバーラップ構造のMOS型イメージセンサ100Aでは、図11(c)に示すように、図10(c)に示すような電位障壁が解消されて、残像現象を抑制することができる。
ところが、このMOS型イメージセンサ100Aでは、光電変換蓄積部103Aの先端部の転送ゲート電極106下への潜り込みにより、上記電位障壁は解消されたものの、蓄積可能な電荷容量を十分に確保するべく、光電変換蓄積部103Aの濃度を高めた場合には、図11(a)のように光電変換蓄積部103Aの先端部の転送ゲート電極106下への潜り込み幅が大きくなって、図11(c)に破線で囲ったような電荷溜りが転送ゲート電極106下に形成されてしまい、これによって、残像が残るという問題がある。
このような残像を防ぐものとして、従来のMOS型イメージセンサについて、図12(a)〜図12(c)を用いて詳細に説明する。
図12(a)は、従来の固体撮像素子の他の一例であるMOS型イメージセンサ100Bについて、単位画素部としての1画素分の断面構造図である。なお、このMOS型イメージセンサ100Bでは、このような単位画素部が複数、2次元状でマトリクス状に配列されている。
図12(a)に示すように、このMOS型イメージセンサ100Bでは、光電変換蓄積部103B上の転送ゲート電極106の端面側でp型ピンニング層104Bが形成されていない。即ち、p型ピンニング層104Bの先端部が転送ゲート電極106の端面に対して所定距離を置いて配置されており、これによって、p型ピンニング層104Bによる電荷転送経路a−a‘への電位障壁の形成が抑制されている。
図12(b)および図12(c)は、図12(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部103Bと、転送ゲート電極106下のチャネル領域(p型ウェル領域102)と、電荷検出部107からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、図12(b)は、転送ゲート電極106に印加される転送パルスφTXがローレベルの場合のポテンシャル分布を示し、図12(c)は、転送ゲート電極106に印加される転送パルスφTXがハイレベルの場合のポテンシャル分布を示している。
このMOS型イメージセンサ100Bでは、図12(c)に示すように、光電変換蓄積部103Bから電荷検出部107に向かってポテンシャルが順次階段状に変化しており、これによって、信号電荷がスムーズに流れて残像発生を回避することができる。
次に、特許文献2には、フォトダイオードを構成する光電変換蓄積部として、n型光電変換部と、転送経路部のみにおいて、それよりも不純物濃度が高い高濃度n型層からなる信号蓄積部とが設けられた従来の固体撮像素子が開示されている。この従来の固体撮像素子において、光電変換部は、電位が最も強くなる部分が、信号走査回路部に信号電荷を読み出す読み出しゲート電極の下に位置するように配置されている。また、信号蓄積部は、信号走査回路を構成するp型ウェル領域と離間して光電変換部の表面部に形成されている。この固体撮像素子によれば、フォトダイオードの転送経路部のみが高濃度化されており、ゲート電圧を高くしなくても光電変換部の最深部の電位を変調させることが可能であるため、光電変換された信号電荷を低電圧駆動により信号走査回路部に完全転送させることができる。
特開平11−126893号公報 特開2006−120711号公報
しかしながら、上述した従来の固体撮像素子には、以下のような問題がある。
特許文献1に開示されている従来のMOS型イメージセンサ100Aでは、前述したように、蓄積可能な電荷容量を十分に確保するべく、光電変換蓄積部103Aの濃度を高めた場合に、図11(a)に示すように光電変換蓄積部103Aの先端部の転送ゲート電極106下への潜り込み幅が大きくなり、図11(c)に破線括弧で示したような電荷溜りが転送ゲート電極106下に形成されて、残像が残るという問題がある。
また、従来のMOS型イメージセンサ100Bでは、図12(a)に示すように、光電変換蓄積部103B上の転送ゲート電極106の端部側表面において、p型ピンニング層104Bが形成されておらず、光電変換蓄積部103Bが部分的に半導体基板101の表面に露出した状態となっている。図12(a)に示す光電変換蓄積部露出領域は、転送ゲート電極106の形成時にドライエッチング工程などによってプラズマダメージを受けており、半導体基板表面における界面準位密度が高くなっているため、ノイズ電荷の発生量が多く、また、発生したノイズ電荷が光電変換蓄積部103Bに流入して低ノイズ化を妨げることになる。
さらに、特許文献2に開示されている従来の固体撮像素子では、転送経路部にのみ、不純物濃度が高い高濃度n型信号蓄積部が設けられているため、電荷を溜める領域が小さく、これ以外のn型光電変換部は不純物濃度が低く、十分な信号電荷容量を確保しようとすると、残像が残ると考えられる。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、光電変換蓄積部からの信号電荷を電荷検出部へ完全に電荷転送することができて、ノイズや残像をより抑制した高画質な画像を得ることができる固体撮像素子および、これを撮像部に用いた電子情報機器を提供することを目的とする。
本発明の固体撮像素子は、半導体基板に設けられた単位画素部として、光を信号電荷に光電変換して蓄積する光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域と、該光電変換蓄積部と該半導体基板の表面とを分離する第2導電型半導体ピンニング層と、該光電変換蓄積部から該信号電荷を電荷検出部に転送可能とする転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域および、該転送トランジスタのゲート電極とを有し、残像を抑制するように、該第2導電型ウェル領域は該光電変換蓄積部側の該ゲート電極端面に対して該電荷検出部側に後退して形成されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。また、本発明の固体撮像素子は、半導体基板に設けられた単位画素部として、光を信号電荷に光電変換して蓄積する光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域と、該光電変換蓄積部と該半導体基板の表面とを分離する第2導電型半導体ピンニング層と、該光電変換蓄積部から該信号電荷を電荷検出部に転送可能とする転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域および、該転送トランジスタのゲート電極とを有し、残像を抑制するように、該光電変換蓄積部はその端部が該ゲート電極下に位置して平面視で該ゲート電極と所定距離だけオーバーラップし、かつ該第2導電型ウェル領域は該光電変換蓄積部側の該ゲート電極端面に対して該電荷検出部側に後退して形成されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明の固体撮像素子における第2導電型ウェル領域は、前記光電変換蓄積部に対して該電荷検出部側に後退して形成されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における光電変換蓄積部は、その先端部が前記ゲート電極下において前記第2導電型ウェル領域に接しているかまたは、該第2導電型ウェル領域内に位置している。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における光電変換蓄積部はその端部が前記ゲート電極下に位置して平面視で該ゲート電極とオーバーラップしている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、撮像画像に残像が現れないように、平面視で前記光電変換蓄積部と前記ゲート電極とのオーバーラップ幅と、前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅とが設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記光電変換蓄積部と前記ゲート電極とのオーバーラップ幅は、前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅が0.24μmの場合に、0.06μm以上0.27μm以下の範囲に設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における光電変換蓄積部と前記ゲート電極とのオーバーラップ幅は、0.20μm±0.05μmの範囲に設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅は、前記光電変換蓄積部と前記ゲート電極とのオーバーラップ幅が0.20μmの場合に、0.20μm以上0.40μm以下の範囲に設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅は、0.24μm以上0.30μm以下の範囲に設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における第2導電型半導体ピンニング層が前記光電変換蓄積部に対してオフセット形成されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記光電変換蓄積部上の半導体基板表面側が、前記第2導電型半導体ピンニング層と前記ゲート電極とによって完全に覆われている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記第2導電型半導体ピンニング層の電荷検出部側端部と前記ゲート電極の光電変換蓄積部側端部とが一致している。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域と前記チャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域との間に、該第1導電型半導体領域よりも低不純物濃度の低濃度第1導電型半導体領域が設けられている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における低濃度第1導電型半導体領域は第1導電型半導体基板領域である。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域の不純物濃度は、1×1017cm−3〜4×1017cm−3の範囲に設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における低濃度第1導電型半導体領域の不純物濃度は1×1014cm−3〜1×1015cm−3の範囲に設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における光電変換蓄積部は、平面視でその周囲が、前記単位画素部を分離する素子分離領域と接しないように、前記チャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域と同じウェル領域によって覆われている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における単位画素部は、マトリクス状に複数配列されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における単位画素部は、画素内回路部として、前記転送トランジスタから前記電荷検出部に読み出された信号電圧に応じて増幅した信号を出力する増幅トランジスタと、該電荷検出部を所定の電圧にリセット可能とするリセットトランジスタとを有し、該画素内回路部の増幅トランジスタおよびリセットトランジスタの各チャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域と、該転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域とは不純物濃度が互いに異なっている。また、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記単位画素部は、画素内回路部として、前記転送トランジスタから前記電荷検出部に読み出された信号電圧に応じて増幅した信号を出力する増幅トランジスタと、該電荷検出部を所定の電圧にリセット可能とするリセットトランジスタとを有する。また、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記画素内回路部として、前記増幅トランジスタからの信号を出力信号線に読み出し可能とする画素選択トランジスタをさらに有する。さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記画素内回路部の各トランジスタチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域と、該転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域とは不純物濃度が互いに異なっている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記画素内回路部の各チャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域と、前記転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域との各不純物濃度がそれぞれ独立して設定制御されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記画素内回路部におけるトランジスタチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域の不純物濃度は、例えば2×1017cm−3±1×1017cm−3の範囲に設定され、前記転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域の不純物濃度は、例えば3×1016cm−3〜1×1017cm−3の範囲に設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における光電変換蓄積部が埋め込み型フォトダイオードから構成されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記光電変換蓄積部と前記第1導電型半導体基板領域とを分離する第2導電型半導体層が設けられ、該第2導電型半導体層と、該光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域と、平面視で該光電変換蓄積部の周囲を囲むように設けられた第2導電型ウェル領域と、該光電変換蓄積部上に設けられた第2導電型半導体ピンニング層とによって埋め込み型フォトダイオードが構成されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記第1導電型がn型であり、前記第2導電型がp型であるか、または、該第1導電型がp型であり、該第2導電型がn型である。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅は、0.45μm以上0.55μm以下の範囲に設定されている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記光電変換蓄積部は、光電変換部と電荷蓄積部とが一体的に構成されており、平面視で受光部全域を覆っている。
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅が、電荷転送時に電荷転送が可能な程度の電位障壁以下のレベルになるように設定されている。
本発明の電子情報機器は、本発明の上記固体撮像素子を撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
本発明の固体撮像素子では、転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域が、光電変換蓄積部側のゲート電極端面に対して電荷検出部側に後退しているため、従来のMOS型イメージセンサのような電荷溜りを防ぎ、残像を解消することが可能となる。
また、光電変換蓄積部の端部が転送トランジスタのゲート電極下に潜り込んで互いにオーバーラップしており、従来のMOS型イメージセンサのように、光電変換蓄積部から電荷検出部への転送経路に電位障壁が生じるのを防ぐことが可能となる。
さらに、転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域を光電変換蓄積部に対して電荷検出部側に後退させることによって、光電変換蓄積部と第2導電型ウェル領域間に半導体基板の低濃度第1導電型半導体領域が形成されている。この第1導電型低濃度半導体領域によって、光電変換蓄積部の転送ゲート電極に対するオーバーラップ幅を小さくすることが可能となる。この構成により、図11(c)に示した従来のMOS型イメージセンサのような電荷溜りが発生することを確実に防ぎ、残像発生の原因を解消することが可能となる。
さらに、光電変換蓄積部と半導体基板表面とを分離する第2導電型半導体ピンニング層が光電変換蓄積部上に形成されている。この第2導電型半導体ピンニング層によって低ノイズ化を図ることが可能となる。
この場合に、光電変換蓄積部の半導体基板表面側を、ピンニング層と転送ゲート電極によって完全に覆うことによって、光電変換蓄積部が半導体基板表面に全く露出されない。この構成により、図12に示した従来のMOS型イメージセンサのような、転送ゲート電極形成時のドライエッチング工程などによりプラズマダメージを受けて半導体基板と絶縁膜との界面準位密度が高くなることにより特に多発するノイズ電荷が、光電変換蓄積部に流入して暗電圧成分となるという問題を抑制することが可能となる。
さらに、光電変換蓄積部を、半導体基板と絶縁膜との界面を有する素子分離領域と直に接しないように、第2導電型ウェル領域によって分離することによって、半導体基板と絶縁膜との界面で発生するノイズ電荷が光電変換蓄積部に流入して暗電圧成分となることを抑制することが可能となる。
さらに、転送トランジスタのウェル領域と、画素内回路部を構成するトランジスタのウェル領域とにおいて、各不純物濃度を各々独立して設定して、トランジスタの閾値電圧、短チャネル特性およびチャネル部の空乏層伸び量などを調整することが可能となる。MOS型イメージセンサにおいて、転送トランジスタに求められるトランジスタ特性としては、電荷転送特性を最大限に確保するべく、閾値電圧が0V付近まで低くなること、および転送パルスがハイレベルであるときに基板深部に空乏層が十分伸びることが優先され、短チャネル特性はゲート長を十分長く取ることにより確保される。これに対して、画素内回路部を構成するトランジスタに求められる特性としては、画素サイズの微細化要求に応ずるべく、短チャネル特性を確保した上でゲート長を最大限に短くすることが優先される。よって、優先される特性が異なるトランジスタを各々最適化することが可能となり、微細化が可能で、残像が少ない固体撮像素子を実現することが可能となる。
以上により、本発明によれば、転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域が、光電変換蓄積部側のゲート電極端面に対して電荷検出部側に後退しているため、従来のMOS型イメージセンサのような電荷溜りを防ぎ、残像を解消することができる。
また、光電変換蓄積部の端部が転送トランジスタの転送ゲート電極下に潜り込んで互いにオーバーラップしているため、従来のMOS型イメージセンサのように、光電変換蓄積部から電荷検出部への転送経路に電位障壁が生じるのを防ぐことができる。
さらに、光電変換蓄積部と第2導電型ウェル領域間に半導体基板の低濃度第1導電型半導体領域が形成される。この第1導電型低濃度半導体領域によって、光電変換蓄積部の転送ゲート電極に対するオーバーラップ幅を小さくすることができて、図11(c)に示した従来のMOS型イメージセンサのような電荷溜りが発生することをより確実に防ぎ、残像発生の原因を解消することができる。
さらに、光電変換蓄積部と半導体基板表面とを分離する第2導電型半導体ピンニング層を光電変換蓄積部上に形成している。この第2導電型半導体ピンニング層によって低ノイズ化を図ることができる。
この場合、光電変換蓄積部の半導体基板表面側を、第2導電型半導体ピンニング層と転送ゲート電極によって完全に覆い、光電変換蓄積部を半導体基板表面に露出させないことによって、暗電圧成分をより確実に低減させて、ノイズがより少ない画像を得ることができる。
さらに、光電変換蓄積部を、半導体基板と絶縁膜との界面を有する素子分離領域と直に接しないように、第2導電型ウェル領域によって分離することによって、暗電圧成分を低減させて、ノイズがより少ない画像を得ることができる。
さらに、転送トランジスタのウェル領域と、画素内回路部を構成するトランジスタのウェル領域とにおいて、各不純物濃度を各々独立して設定することによって、転送トランジスタの転送特性を低下させることなく、画素内回路を微細化させることが可能となる。これによって、高画質な画像が得られ、微細化された固体撮像素子を実現することができる。
以下に、本発明の固体撮像素子の実施形態1〜3として、埋め込み型フォトダイオードを有するMOS型イメージセンサに適用した場合について、図面を参照しながら詳細に説明すると共に、本発明の固体撮像素子の実施形態1〜3を撮像部に用いたカメラなどの電子情報機器を本発明の実施形態4として図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の固体撮像素子はMOS型イメージセンサの他にCCD型イメージセンサに適用することもできる。
(実施形態1)
本実施形態1では、転送トランジスタのチャネル領域を構成するウェル領域が、光電変換蓄積部側のゲート電極端面に対し、かつ光電変換蓄積部に対して電荷検出部側に後退して形成されている特徴構成を図2〜図6で詳細に説明する前に、本実施形態1の単位画素部の回路構成について図1を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るMOS型イメージセンサについて、単位画素部としての1画素分の構成例を示す回路図である。なお、本実施形態1のMOS型イメージセンサでは、このような単位画素部が複数、2次元状でマトリクス状に配列されている。
図1に示すように、本実施形態1のMOS型イメージセンサ10では、この単位画素部として、光を信号電荷に光電変換して蓄積する光電変換素子としての埋め込み型フォトダイオード1と、転送トランジスタ(転送MOSトランジスタ)2と、画素内回路部を構成する増幅トランジスタ3、リセットトランジスタ4および画素選択トランジスタ5と、画素選択トランジスタ5の出力端に接続される出力信号線6と、転送トランジスタ2の制御端が接続される転送信号線7と、リセットトランジスタ4の制御端が接続されるリセット信号線8と、画素選択トランジスタ5の制御端が接続される画素選択信号線9とを備えている。
フォトダイオード1は、光を信号電荷に光電変換して蓄積する光電変換素子を埋め込み型フォトダイオードで構成されており、これによって、光電変換素子からの信号電荷を転送トランジスタ2によって完全に転送させることが可能となり、低ノイズ化されたより高画質な画像を得ることが可能となる。
転送トランジスタ2は、フォトダイオード1に蓄積された信号電荷の一例として例えば電子を電荷検出部FD側に電荷転送させるようになっている。
増幅トランジスタ3は、ソースフォロワアンプが構成されており、転送トランジスタ2から電荷検出部FD側に電荷転送された信号電荷量(信号電圧)に応じて増幅した信号を所定タイミングで出力するようになっている。
リセットトランジスタ4は、電荷検出部FDを電源電圧Vdに所定タイミング毎にリセット可能としている。
画素選択トランジスタ5は、所定タイミングで上記ソースフォロワアンプからの信号を出力信号線6に読み出し可能としている。
出力信号線6は、画素選択トランジスタ5により読み出された信号を伝送するようになっている。
転送信号線7は、転送トランジスタ2のゲート電極に対して転送制御信号を所定タイミングで印加するようになっている。
リセット信号線8は、リセットトランジスタ4のゲート電極にリセット制御信号を所定タイミングで印加するようになっている。
画素選択信号線9は、画素選択トランジスタ5のゲート電極に画素選択制御信号を所定タイミングで印加するようになっている。
上記構成により、まず、リセットトランジスタ4のゲート電極に印加されるリセット制御信号がハイレベルとなってリセットトランジスタ4がオン状態となる。これによって、リセットトランジスタ4を介して電荷検出部FDの電位が電源電位Vdにリセットされる。
次に、リセットトランジスタ4のゲート電極に印加されるリセット制御信号がローレベルとなってリセットトランジスタ4がオフ状態となる。ところが、画素選択トランジスタ5のゲート電極に印加される画素選択制御信号がハイレベルのままであり、画素選択トランジスタ5がオン状態であるため、そのリセットレベルに対応した信号が増幅トランジスタ3から画素選択トランジスタ5を介して出力信号線6に読み出される。これによって、出力信号線6の電位Vsigはハイレベルになる。
その後、転送トランジスタ2のゲート電極に印加される転送制御信号がハイレベルとなって転送トランジスタ2がオン状態となるため、フォトダイオード1に蓄積された信号電荷が転送トランジスタ2を通って電荷検出部FDに転送される。
続いて、転送トランジスタ2のゲート電極に印加される転送制御信号がローレベルとなって転送トランジスタ2がオフ状態となる。これによって、電荷転送された信号電荷の分だけ電荷検出部FDの電位が低下すると共に、この低下した電荷検出部FDの電位に応じて増幅用トランジスタ3で増幅された信号が画素選択トランジスタ5を介して出力信号線6に読み出される。
1水平走査期間(1H)毎に、以上の動作が繰り返し行われて撮像画像データが得られる。
図2は、本実施形態1のMOS型イメージセンサ10について、単位画素部毎のレイアウト構成例を示す平面図である。図3は、図2のA−A‘線部分の縦断面図である。なお、以下の説明では、一つの単位画素部10の構造について説明するが、他の単位画素部についても、同様の構造を有している。
図2および図3に示すように、本実施形態1のMOS型イメージセンサ10は、単位画素部毎に、n型(低濃度n型:n−)半導体基板11内の所定の深さ、例えば半導体基板表面から2μm程度のところに、埋め込みp型半導体層12が設けられている。この埋め込みp型半導体層12よりも半導体基板表面側に形成されるフォトダイオード1内に光電変換蓄積部13を構成するn型半導体領域が設けられており、この埋め込みp型半導体層12によって、フォトダイオード1を構成する光電変換蓄積部13と、その下方のn型半導体基板11の領域とが分離されている。
この光電変換蓄積部13は、光電変換部と電荷蓄積部とが一体的に構成されており、平面視で矩形状または正方形状の受光部全域を覆っている。この光電変換蓄積部13の周囲を囲むようにp型ウェル領域14が形成されており、光電変換蓄積部13と素子分離領域15とはp型ウェル領域14によって分離されている。この素子分離領域15は、単位画素部10間を分離するために設けられており、半導体基板11上にエッチングなどにより設けられた溝内部に絶縁性材料が埋め込まれて形成されている。
ここで、n型半導体基板11の不純物濃度は例えば1×1014cm−3〜1×1015cm−3(ここでは1×1015cm−3)設定され、埋め込みp型半導体層12の不純物濃度は例えば7×1015cm−3〜2×1017cm−3(ここでは8×1016cm−3)に設定され、光電変換蓄積部13におけるn型半導体領域の不純物濃度は例えば1×1017cm−3〜4×1017cm−3(ここでは2×1017cm−3)に設定され、p型ウェル領域14の不純物濃度は例えば3×1016cm−3〜1×1017cm−3(ここでは6×1016cm−3)に設定されている。
さらに、光電変換蓄積部13上のn型半導体基板11の表面側にはp型(高濃度p型:p+)ピンニング層16が設けられており、光電変換蓄積部13と半導体基板11表面とはp型ピンニング層16によって分離されている。このp型ピンニング層16は、p型ウェル領域14を介して埋め込みp型半導体層12と電気的に接続されており、光電変換蓄積部13は、その上のp型ピンニング層16、その周囲のp型ウェル領域14および、その下方の埋め込みp型半導体層12によって囲まれた状態で半導体基板内部に埋め込まれており、これによって、前述したように埋め込み型フォトダイオード1が構成されている。ここで、p型ピンニング層16の不純物濃度は高濃度の例えば1×1018cm−3に設定されている。
さらに、n型半導体基板11の表面には、シリコン酸化膜からなる絶縁膜17を介して転送トランジスタ2のゲート電極(転送ゲート電極)18、リセットトランジスタ4のゲート電極(リセットゲート電極)19、増幅トランジスタ3のゲート電極20(図3では省略)および画素選択トランジスタ5のゲート電極21(図3では省略)がそれぞれ形成されている。平面視で光電変換蓄積部13を囲むp型ウェル領域14のうち、転送ゲート電極18下のウェル領域は、転送トランジスタ2のチャネル領域を構成している。
リセットトランジスタ4のゲート電極19、増幅トランジスタ3のゲート電極20および画素選択トランジスタ5のゲート電極21の下方にはそれぞれ、第1のp型ウェル領域14とは別の第2のp型ウェル領域22がそれぞれ形成されている。この第2のp型ウェル領域22は、画素内回路部の増幅トランジスタ3、リセットトランジスタ4および画素選択トランジスタ5の各チャネル領域をそれぞれ構成している。また、この第2のp型ウェル領域22は、前述した第1のp型ウェル領域14とは不純物濃度が異なるように設定されており、p型ウェル領域14,22の各不純物濃度がそれぞれ独立して設定制御されている。
ここでは、画素内回路部の増幅トランジスタ3、リセットトランジスタ4および画素選択トランジスタ5における各チャネル領域を構成するp型ウェル領域22の不純物濃度は、 例えば2×1017cm−3±1×1017cm−3(ここでは2×1017cm−3)の範囲に設定され、転送トランジスタ2のチャネル領域を構成するp型ウェル領域14の不純物濃度は例えば3×1016cm−3〜1×1017cm−3(ここでは6×1016cm−3)の範囲に設定されている。
転送ゲート電極18の光電変換蓄積部13側とは反対側であって、これらの第1のp型ウェル領域14および第2のp型ウェル領域22上の半導体基板表面側に、電荷検出部FDとなるn型半導体領域23が形成されている。
本実施形態1のMOS型イメージセンサ10では、光電変換蓄積部13の先端部が転送ゲート電極18と上下位置(平面視)でオーバーラップしており、p型ピンニング層16の電荷検出部側端部と、転送トランジスタ2の転送ゲート電極18におけるフォトダイオード1側端部とが平面視で一致しているため、p型ピンニング層16は光電変換蓄積部13に対してオフセット形成されている。要するに、光電変換蓄積部13上のn型半導体基板11の表面側が、p型ピンニング層16と転送トランジスタ2の転送ゲート電極18とによって完全に覆われており、これによって、低ノイズ化が達成される。
また、p型ウェル領域14は、転送トランジスタ2のゲート電極18の下部において、光電変換蓄積部13に対して電荷検出部23側に所定量だけ後退している。このp型ウェル領域14の転送ゲート電極18の端面に対する電荷検出部23(FD)側への後退幅は、電荷転送時に電荷転送が可能な程度の電位障壁以下のレベル(完全にフラットでなくってもよい)になるように設定されている。また、光電変換蓄積部13とp型ウェル領域14との間には、n型低濃度半導体領域24が介在している。ここで、図3に矢印bで示す光電変換蓄積部13と転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅は例えば0.20μm程度であり、図3に矢印cで示すp型ウェル領域14の転送ゲート電極18の端面に対する後退幅は例えば0.24μm程度である。
図4(a)は、本実施形態1のMOS型イメージセンサ10について、フォトダイオード部1から転送トランジスタ2を介して電荷検出部FDに至る信号電荷の転送経路の断面構造図(0<b<cの場合)であって、図4(b)および図4(c)は、図4(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部13と、転送ゲート電極18下のチャネル領域(n型低濃度半導体領域24およびp型ウェル領域14)と、電荷検出部23(FD)からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、図4(b)は、転送ゲート電極18に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがローレベルであるときのポテンシャル分布を示し、図4(c)は、転送ゲート電極18に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがハイレベルであるときのポテンシャル分布を示している。
図4(c)に示すように、本実施形態1のMOS型イメージセンサ10における単位画素部では、p型ピンニング層16が光電変換蓄積部13に対して先端部がずれるようにオフセット形成され、光電変換蓄積部13が転送ゲート電極18の下方に潜り込んで転送ゲート電極18と上下(平面視)でオーバーラップして形成されている。このため、光電変換蓄積部13から電荷検出部23(FD)への電荷転送経路において、図10(c)に示すような電位障壁の形成が抑制されている。また、光電変換蓄積部13が転送ゲート電極18とオーバーラップしている場合に、従来のMOS型イメージセンサでは図11(c)に示すような電荷溜りが形成されるが、本実施形態1のMOS型イメージセンサ10では、光電変換蓄積部13に対してp型ウェル領域14が電荷検出部23(FD)側に後退して形成されており、この結果、光電変換蓄積部13とp型ウェル領域14との間に、n型半導体基板11のn型低濃度半導体領域24が残って存在しているため、従来構造に比べて、光電変換蓄積部13の転送ゲート電極18に対するオーバーラップ幅(図4に矢印bで示す距離)をより小さくすることが可能となり、したがって、従来のような残像発生の原因となる電荷溜りの形成を回避することができる。
ここで、本実施形態1において、撮像画像に残像が現れないように、光電変換蓄積部13と転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅bと、p型ウェル領域14の転送ゲート電極18における光電変換蓄積部側端面に対する電荷検出部FD側への後退幅cとが設定される。これらのオーバーラップ幅bとp型ウェル領域14の後退幅cとの関係について図5および図6を用いて説明する。
図5および図6は、本発明者らが本発明のMOS型イメージセンサの試作品を用いて測定した、光電変換蓄積部13およびp型ウェル領域14の位置関係(光電変換蓄積部13と転送ゲート電極18とのオーバーラップ量bと、転送ゲート電極18の光電変換蓄積部13側の端面からのp型ウェル領域14の後退幅cとの関係)に対する残像発生の依存性を示すグラフであって、図5は、p型ウェル領域14の後退幅cを0.24μmに固定した場合のオーバーラップ量bと残像発生の依存性を示すグラフ、図6は、オーバーラップ量bを0.20μmに固定した場合のp型ウェル領域14の後退幅cと残像発生の依存性を示すグラフである。
図5において、横軸は図3に矢印bで示す光電変換蓄積部13と転送ゲート電極18とのオーバーラップ量であり、縦軸は各状態での残像測定値(任意単位)である。なお、図5では、図3に矢印cで示すp型ウェル領域14の転送ゲート18の光電変換蓄積部13側の端面に対する後退量(後退距離)が0.15μmである場合を白い菱形で示し、その後退量(後退距離)が0.24μmである場合を黒い四角で示している。なお、この場合の判断基準の「残像測定値」について説明すると、単に観察者が残像を認識できるか否かで、残像の有無を判断することができるが、ここでは、さらに厳しい基準として、モード切替直後(例えば間引きモードからスキャンモードへの切り換え時に残像が現れやすい)に残像の有無(ここでは残像無しを残像上限値としている)を観察者が判断することにより行っている。
図5に示すように、図3に矢印bで示すオーバーラップ量に対する残像値の変化は下に凸状のグラフとなり、中間的な値で最小下限値を有している。ここで、図3に矢印cで示す後退量が0.15μmの場合には、下に凸状のグラフとなるものの、図3に示すオーバーラップ量bの値を変動させても残像測定値の下限値は目標とする残像上限スペック以下(残像がないと判断される基準値以下)とならない。即ち、残像が現れる。これに対して、図3に示す後退量cの値が0.24μmの場合には、図3に示すオーバーラップ量bの値が0.06μm〜0.27μmの範囲で残像値が上限スペック以下となり、残像が発生しない断面構造(図3および図4)を実現することができる。
これらの結果から、撮像画面から残像を完全になくすためには、本実施形態1のMOS型イメージセンサのように、光電変換蓄積部13と転送ゲート電極18とのオーバーラップ部分が存在し、光電変換蓄積部13に対してn型低濃度半導体領域24とp型ウェル領域14との境界が転送ゲート18のフォトダイオード側端面から電荷検出部23(FD)側に所定量だけ後退している断面構造(図3および図4)が有用であることが分かる。
図6において、横軸は図3に矢印cで示す転送ゲート電極18の端面からのp型ウェル領域14の後退幅であり、縦軸は各状態での残像測定値(任意単位)である。なお、図6では、図3に矢印bで示す光電変換蓄積部13と転送ゲート電極18とのオーバーラップ量が0.20μmである場合を黒い四角で示している。
図6に示すように、図3に矢印cで示す転送ゲート電極18の端面からのp型ウェル領域14の後退幅に対する残像値の変化も下に凸状のグラフとなり、中間的な値で最小下限値を有している。ここでは、図3に示すオーバーラップ量bの値が0.20μmの場合に、図3に示すp型ウェル領域14の後退幅cの値が0.20μm〜0.40μmの範囲で残像値が上限スペック以下となり、残像が発生しない断面構造を実現することができる。
これらの結果から、撮像画面から残像を完全になくすためには、本実施形態1のMOS型イメージセンサのように、光電変換蓄積部13と転送ゲート電極18とのオーバーラップ部分が存在し、光電変換蓄積部13に対してn型低濃度半導体領域24とp型ウェル領域14との境界が転送ゲート18のフォトダイオード側端面から電荷検出部23(FD)側に所定量だけ後退している構造が有用であることが分かる。
したがって、光電変換蓄積部13と転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅bは、p型ウェル領域14の転送ゲート電極端面に対する電荷検出部FD側への後退幅cが0.24μmの場合に、0.06μm以上0.27μm以下の範囲に設定すれば、残像値を上限スペック以下とすることができる。この場合に、図5からも明らかなように、光電変換蓄積部13の先端部と転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅bは、残像発生の最低値に対応した0.20μm±0.05μmの範囲に設定すれば、残像を最小にできてより好ましい。
また同様に、p型ウェル領域14の転送ゲート電極端面に対する電荷検出部FD側への後退幅cは、光電変換蓄積部13の先端部と転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅bが0.20μmの場合に、0.20μm以上0.40μm以下の範囲に設定すれば、残像値を上限スペック以下とすることができる。この場合に、図6からも明らかなように、p型ウェル領域14の転送ゲート電極端面に対する電荷検出部FD側への後退幅cは、残像発生の最低値に対応した0.24μm以上0.30μm以下の範囲に設定すれば、残像を最小にできてより好ましい。
なお、図5では、オーバーラップ幅bとp型ウェル領域14の後退幅cとが共に0.24で同じ場合にも残像値を上限スペック値以下にでき、図6では、オーバーラップ幅bとp型ウェル領域14の後退幅cとが共に0.20で同じ場合にも残像値を上限スペック値にできる。このように、b=cの場合、さらにb≧cの場合にも、残像値を上限スペック値にでき、この場合について、次の実施形態2として説明する。
(実施形態2)
本実施形態1では、p型ウェル領域14は光電変換蓄積部13の先端部に対して電荷検出部23(FD)側に所定量(所定距離)だけ後退して形成され、かつ光電変換蓄積部13はその端部がゲート電極18下に潜り込んで平面視でゲート電極18とオーバーラップしている場合について説明したが、本実施形態2では、光電変換蓄積部13の先端部が、ゲート電極18下において、n型低濃度半導体領域24とp型ウェル領域14との界面Zに接する(b=cの場合)かまたは、その端部がp型ウェル領域14の界面Z内に入って位置している場合(b≧cの場合)について説明する。
図7(a)は、本発明の実施形態2のMOS型イメージセンサ10Aについて、フォトダイオード部1から転送トランジスタ2を介して電荷検出部FDに至る信号電荷の転送経路の断面構造図(b≧c>0の場合)であって、図7(b)および図7(c)は、図7(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部13Bと、転送ゲート電極18下のチャネル領域(p型ウェル領域14)と、電荷検出部23(FD)からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、図7(b)は、転送ゲート電極18に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがローレベルであるときのポテンシャル分布を示し、図7(c)は、転送ゲート電極18に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがハイレベルであるときのポテンシャル分布を示している。
図7(a)に示すように、本実施形態2のMOS型イメージセンサ10Aの単位画素部では、p型ピンニング層16が光電変換蓄積部13Aに対して互いの先端部がずれるようにオフセット形成され、光電変換蓄積部13が転送ゲート電極18の下方に潜り込んで転送ゲート電極18と上下(平面視)でオーバーラップして形成されている。このため、光電変換蓄積部13から電荷検出部23(FD)への電荷転送経路において、図10(c)に示すような電位障壁の形成が抑制されている。また、光電変換蓄積部13の先端部が転送ゲート電極18とオーバーラップしている場合に、従来のMOS型イメージセンサでは図11(c)に示すような電荷溜りが形成されるが、本実施形態2のMOS型イメージセンサ10Aでは、転送ゲート電極18の光電変換蓄積部側端面に対してp型ウェル領域14の界面Zが電荷検出部23(FD)側に所定値(所定距離)だけ後退して形成されており、しかも、光電変換蓄積部13Aの先端部は、ゲート電極18下において、p型ウェル領域14の界面Zに接している(b=cの場合)かまたは、その先端部がp型ウェル領域14の界面Z内(p型ウェル領域14内)に入って位置している(b≧cの場合)。この結果、光電変換蓄積部13Aとp型ウェル領域14との間には、上記実施形態1のようにn型半導体基板11のn型低濃度半導体領域24が存在していない。
この場合、図5に示すように、光電変換蓄積部13Aと転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅bは、p型ウェル領域14の転送ゲート電極端面に対する電荷検出部FD側への後退幅cが0.24μmの場合に、0.24μm以上0.27μm以下の範囲に設定すれば、残像値を上限スペック以下とすることができる。
また同様に、p型ウェル領域14の転送ゲート電極端面に対する電荷検出部FD側への後退幅cは、光電変換蓄積部13Aの先端部と転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅bが0.20μmの場合に、0.20μmに設定すれば、残像値を上限スペック値とすることができる。したがって、従来のような残像発生の原因となる電荷溜りの形成を回避することができる。
以上により、上記実施形態1,2によれば、MOS型イメージセンサ10または10Aの単位画素部において、光電変換蓄積部13または13Aが転送ゲート電極18に対してオーバーラップ部分を有しており、かつp型ピンニング層16が光電変換蓄積部13または13Aに対してオフセット形成されている。これにより、光電変換蓄積部13または13Aから電荷検出部23(FD)への電荷転送経路において電位障壁の形成を抑制することができる。また、転送トランジスタ2(MOSトランジスタ)のチャネル領域を構成するp型ウェル領域14の界面が転送ゲート電極18の光電変換蓄積部側端面に対して電荷検出部23(FD)側に所定値だけ後退しており、結果的に残像発生の原因となる電荷溜り形成が回避される。よって、フォトダイオード1から電荷検出部FDへの信号電荷を完全に転送することができて、ノイズや残像が大幅に少ない高画質な画像を得ることができる。
なお、図5では、p型ウェル領域14の転送ゲート電極端面に対する電荷検出部FD側への後退幅cが0.24μmの場合に、光電変換蓄積部13の先端部と転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅bを0以下に変化させても残像値を上限スペック値以下にすることはできない。ところが、このp型ウェル領域14の転送ゲート電極端面に対する電荷検出部FD側への後退幅cの値が0.24μmを十分に超えて大きい場合には、光電変換蓄積部13の先端部と転送ゲート電極18とのオーバーラップ幅bが「0」かまたは図8に示すように負の場合(b<0の場合;電変換蓄積部13の先端部と転送ゲート電極18とがオーバーラップしていない場合)であっても、残像をなくすかまたは残像をある程度抑制することができる。この場合について次の実施形態3で説明する。
(実施形態3)
図8(a)は、本発明の実施形態3のMOS型イメージセンサ10Bについて、フォトダイオード部から転送トランジスタを介して電荷検出部に至る信号電荷の転送経路の断面構造図(b<0の場合)であって、図8(b)および図8(c)は、図8(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部と、転送ゲート電極下のチャネル領域と、電荷検出部からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、図8(b)は、転送ゲート電極に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがローレベルであるときのポテンシャル分布図、図8(c)は、転送ゲート電極に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがハイレベルであるときのポテンシャル分布図である。
図8(a)に示すように、本実施形態3のMOS型イメージセンサ10Bの単位画素部では、転送ゲート電極18の光電変換蓄積部側端面に対して信号検出部23(FD)側にp型ウェル領域14の界面Zが0.24μmを超えて十分に後退させる必要がある。このp型ウェル領域14の後退幅cは、残像を抑制するために0.45μm以上0.55μm以下(電極幅)、または、残像を無くすために0.50μm以上0.55μm(電極幅)以下の範囲の値に設定される(この場合、転送ゲート電極18の幅を0.55μm以上としてする)。しかも、ここでは、p型ピンニング層16が光電変換蓄積部13Bに対して互いの先端部がずれるようにオフセット形成され、p型ピンニング層16の先端部と転送ゲート電極18のピンニング層側端面とは一致しているものの、光電変換蓄積部13Bの先端部は転送ゲート電極18の下方に潜り込んでおらず(転送ゲート電極18と上下(平面視)でオーバーラップしておらず)、光電変換蓄積部13Bの先端部が転送ゲート電極18のピンニング層側端面からピンニング層側に後退している(オーバーラップ幅b<0の場合)。これによって、光電変換蓄積部13Bとp型ウェル領域14との間には、上記実施形態1のようなn型半導体基板11のn型低濃度半導体領域24がより広く存在している。この場合にも、光電変換蓄積部13Bから電荷検出部23(FD)への電荷転送経路において、図8(c)に示すように、図10(c)に示すような電位障壁が形成されるものの、信号電荷は十分に乗り越えられる程度の電位障壁であり、従来のMOS型イメージセンサでは図11(c)に示すような電荷溜りの形成もなく、残像をなくするかまたは残像をある程度抑制することができる。
以上により、上記実施形態3によれば、MOS型イメージセンサ10Bの単位画素部において、光電変換蓄積部13Bが転送ゲート電極18に対してオーバーラップしていないが、転送トランジスタ2のチャネル領域を構成するp型ウェル領域14の界面Zが転送ゲート電極18の光電変換蓄積部側端面に対して電荷検出部23(FD)側に0.45μm以上に後退しており、結果的に残像発生の原因となる電荷溜り形成が回避可能とされる。よって、フォトダイオード1から電荷検出部FDへの信号電荷を完全に転送することができて、ノイズや残像が大幅に少ない高画質な画像を得ることができる。
また、上記実施形態1〜3によれば、このMOS型イメージセンサ10,10Aまたは10Bによれば、光電変換蓄積部13,13Aまたは13Bが素子分離領域15に対してp型ウェル領域14によって分離されている。これにより、半導体基板11とシリコン酸化膜からなる絶縁膜17との界面で発生するノイズ電荷が光電変換蓄積部13,13Aまたは13Bに流入して暗電圧成分となることを抑制することができる。
さらに、このMOS型イメージセンサ10,10Aまたは10Bによれば、p型ピンニング層16の端部が転送ゲート電極18のフォトダイオード側端部に一致しており、光電変換蓄積部13,13Aまたは13Bがn型半導体基板の11の表面に露出されていない。n型半導体基板11の表面はゲート電極形成時のドライエッチング工程などにおいてプラズマダメージを受けることにより、n型半導体基板11と絶縁膜17との界面準位密度が高くなるため、特に、ノイズ電荷の発生が多くなるが、光電変換蓄積部13のn型半導体基板11の表面への露出を防ぐことにより、暗電圧成分となるこれらのノイズ電荷は光電変換蓄積部13,13Aまたは13Bに流れ込まない。
さらに、このMOS型イメージセンサ10,10Aまたは10Bによれば、転送トランジスタ2のp型ウェル領域14と、画素内回路部を構成するリセットトランジスタ4、増幅トランジスタ3および画素選択トランジスタ5の各p型ウェル領域22とを異なる不純物濃度とすることが可能であり、転送トランジスタ2の転送特性を低下させることなく、画素内回路の微細化を実現することができる。
(実施形態4)
図9は、本発明の実施形態4として、本発明の実施形態1の単位画素部を有する固体撮像素子としてのMOS型イメージセンサを撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
図9において、本実施形態3の電子情報機器70は、上記実施形態1の単位画素部(または上記実施形態2または3の単位画素部)を有するMOS型イメージセンサ10(または10Aまたは10B)を撮像駆動して撮像信号を得、これに所定の信号処理を行って画像信号を得る固体撮像装置30と、固体撮像装置30からの高品位な画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部40と、この固体撮像装置30からの高品位な画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示手段50と、この固体撮像装置30からの高品位な画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信手段60とを有している。
この電子情報機器70としては、例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
以上により、本実施形態4によれば、固体撮像装置30からの低ノイズで残像のない高品位な画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて良好にプリントアウトしたり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部40に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理良好に行うことができる。
なお、本発明の電子情報機器は、本実施形態4の電子情報機器70の他に、この固体撮像装置30からの高品位な画像信号を印刷(印字)して出力(プリントアウト)する画像出力手段をさらに有していてもよく、また、本発明の電子情報機器は、この固体撮像装置30の他に、メモリ部40、表示手段50、通信手段60および画像出力手段のうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
また、上記実施形態1〜4では、信号電荷として電子を採用し、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたが、本発明では、フォトダイオード、MOSトランジスタ、各不純物層や駆動電圧など、全ての極性を反対にして、信号電荷として正孔を採用しても良いことは言うまでもない。
さらに、上記実施形態1〜4では、単位画素部の構成として、フォトダイオード1以外に、転送トランジスタ2、リセットトランジスタ4、増幅トランジスタ3および画素選択トランジスタ5からなる回路構成を用いたが、画素内回路の構成はフォトダイオード1で変換されて得られた信号を増幅する増幅トランジスタ3と、この信号をリセットするリセットトランジスタ4を有するものであればよく、その他のトランジスタ、例えば画素選択トランジスタ5は必要に応じて用いればよい。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜4を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜4に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜4の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する半導体素子で構成された固体撮像素子、特に、低電圧駆動が可能なMOS型イメージセンサなどの固体撮像素子、この固体撮像素子を、画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、各種画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の分野において、転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域が、光電変換蓄積部側のゲート電極端面に対して電荷検出部側に後退しているため、従来のMOS型イメージセンサのような電荷溜りを防ぎ、残像を解消することができる。
また、光電変換蓄積部の端部が転送トランジスタの転送ゲート電極下に潜り込んで互いにオーバーラップしているため、従来のMOS型イメージセンサのように、光電変換蓄積部から電荷検出部への転送経路に電位障壁が生じるのを防ぐことができる。
さらに、光電変換蓄積部と第2導電型ウェル領域間に半導体基板の低濃度第1導電型半導体領域が形成される。この第1導電型低濃度半導体領域によって、光電変換蓄積部の転送ゲート電極に対するオーバーラップ幅を小さくすることができて、図11(c)に示した従来のMOS型イメージセンサのような電荷溜りが発生することをより確実に防ぎ、残像発生の原因を解消することができる。
さらに、光電変換蓄積部と半導体基板表面とを分離する第2導電型半導体ピンニング層を光電変換蓄積部上に形成している。この第2導電型半導体ピンニング層によって低ノイズ化を図ることができる。
この場合、光電変換蓄積部の半導体基板表面側を、第2導電型半導体ピンニング層と転送ゲート電極によって完全に覆い、光電変換蓄積部を半導体基板表面に露出させないことによって、暗電圧成分をより確実に低減させて、ノイズがより少ない画像を得ることができる。
さらに、光電変換蓄積部を、半導体基板と絶縁膜との界面を有する素子分離領域と直に接しないように、第2導電型ウェル領域によって分離することによって、暗電圧成分を低減させて、ノイズがより少ない画像を得ることができる。
さらに、転送トランジスタのウェル領域と、画素内回路部を構成するトランジスタのウェル領域とにおいて、各不純物濃度を各々独立して設定することによって、転送トランジスタの転送特性を低下させることなく、画素内回路を微細化させることが可能となる。これによって、高画質な画像が得られ、微細化された固体撮像素子を実現することができる。
本発明の実施形態1に係るMOS型イメージセンサについて、単位画素部としての1画素分の構成例を示す回路図である。 本発明の実施形態1のMOS型イメージセンサについて、単位画素部毎のレイアウト構成例を示す平面図である。 図2のA−A‘線部分の縦断面図である。 (a)は、本発明の実施形態1のMOS型イメージセンサについて、フォトダイオード部から転送トランジスタを介して電荷検出部に至る信号電荷の転送経路の断面構造図(0<b<cの場合)であって、(b)および(c)は、(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部と、転送ゲート電極下のチャネル領域と、電荷検出部からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、(b)は、転送ゲート電極に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがローレベルであるときのポテンシャル分布図、(c)は、転送ゲート電極に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがハイレベルであるときのポテンシャル分布図である。 本発明者らが本発明のMOS型イメージセンサの試作品を用いて測定した、光電変換蓄積部とp型ウェル領域との位置関係に対する残像発生の依存性を示すグラフであって、p型ウェル領域の後退幅cを0.15μmおよび0.24μmに固定した場合のオーバーラップ量bと残像発生の依存性を示すグラフである。 本発明者らが本発明のMOS型イメージセンサの試作品を用いて測定した、光電変換蓄積部とp型ウェル領域との位置関係に対する残像発生の依存性を示すグラフであって、オーバーラップ量bを0.20μmに固定した場合のp型ウェル領域の後退幅cと残像発生の依存性を示すグラフである。 (a)は、本発明の実施形態2のMOS型イメージセンサについて、フォトダイオード部から転送トランジスタを介して電荷検出部に至る信号電荷の転送経路の断面構造図(b≧c>0の場合)であって、(b)および(c)は、(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部と、転送ゲート電極下のチャネル領域と、電荷検出部からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、(b)は、転送ゲート電極に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがローレベルであるときのポテンシャル分布図、(c)は、転送ゲート電極に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがハイレベルであるときのポテンシャル分布図である。 (a)は、本発明の実施形態3のMOS型イメージセンサについて、フォトダイオード部から転送トランジスタを介して電荷検出部に至る信号電荷の転送経路の断面構造図(b<0の場合)であって、(b)および(c)は、(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部と、転送ゲート電極下のチャネル領域と、電荷検出部からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、(b)は、転送ゲート電極に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがローレベルであるときのポテンシャル分布図、(c)は、転送ゲート電極に印加される転送制御信号としての転送パルスφTXがハイレベルであるときのポテンシャル分布図である。 本発明の実施形態4として、本発明の実施形態1の単位画素部10を有する固体撮像素子としてのMOS型イメージセンサを撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。 (a)は、埋め込み型フォトダイオードを有する従来のMOS型イメージセンサについて、単位画素部としての1画素分の断面構造図、(b)および(c)は、(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部と、ゲート電極下のチャネル領域と、電荷検出部からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、(b)は、転送ゲート電極に印加される転送パルスφTXがローレベルのときのポテンシャル分布図、(c)は、転送ゲート電極に印加される転送パルスφTXがハイレベルのときのポテンシャル分布図である。 (a)は、特許文献1に開示されている従来の固体撮像素子の一例であるMOS型イメージセンサについて、単位画素部としての1画素分の断面構造図、(b)および(c)は、(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部と、転送ゲート電極下のチャネル領域と、電荷検出部からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、(b)は、転送ゲート電極に印加される転送パルスφTXがローレベルであるときのポテンシャル分布図、(c)は、転送ゲート電極に印加される転送パルスφTXがハイレベルであるときのポテンシャル分布図である。 (a)は、従来の固体撮像素子の他の一例であるMOS型イメージセンサについて、単位画素部としての1画素分の断面構造図、(b)および(c)は、(a)において点線でa−a‘で示す、光電変換蓄積部と、転送ゲート電極下のチャネル領域と、電荷検出部からなる信号電荷の転送経路におけるポテンシャル分布図であって、(b)は、転送ゲート電極に印加される転送パルスφTXがローレベルの場合のポテンシャル分布図、(c)は、転送ゲート電極に印加される転送パルスφTXがハイレベルの場合のポテンシャル分布図である。
符号の説明
1 埋め込み型フォトダイオード
2 転送トランジスタ
3 増幅トランジスタ
4 リセットトランジスタ
5 画素選択トランジスタ
6 出力信号線
7 転送信号線
8 リセット信号線
9 画素選択信号線
10,10A,10B MOS型イメージセンサ
11 半導体基板(半導体基板領域)
12 埋め込み半導体層
13,13A,13B 光電変換蓄積部
14 第1の半導体ウェル領域
15 素子分離領域
16 ピンニング層
17 絶縁膜
18 転送ゲート電極
19 リセットトランジスタのゲート電極
20 増幅トランジスタのゲート電極
21 画素選択トランジスタのゲート電極
22 第2の半導体ウェル領域
23 電荷検出部
24 低濃度半導体領域
30 固体撮像装置
40 メモリ部
50 表示手段
60 通信手段
70 電子情報機器

Claims (30)

  1. 半導体基板に設けられた単位画素部として、光を信号電荷に光電変換して蓄積する光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域と、該光電変換蓄積部と該半導体基板の表面とを分離する第2導電型半導体ピンニング層と、該光電変換蓄積部から該信号電荷を電荷検出部に転送可能とする転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域および、該転送トランジスタのゲート電極とを有し、
    残像を抑制するように、該第2導電型ウェル領域は該光電変換蓄積部側の該ゲート電極端面に対して該電荷検出部側に後退して形成されている固体撮像素子。
  2. 前記第2導電型ウェル領域は、前記光電変換蓄積部に対して該電荷検出部側に後退して形成されている請求項1に記載の固体撮像素子。
  3. 前記光電変換蓄積部は、その先端部が前記ゲート電極下において前記第2導電型ウェル領域に接しているかまたは、該第2導電型ウェル領域内に位置している請求項1に記載の固体撮像素子。
  4. 前記光電変換蓄積部はその端部が前記ゲート電極下に位置して平面視で該ゲート電極とオーバーラップしている請求項1〜3のいずれかに記載の固体撮像素子。
  5. 撮像画像に残像が現れないように、平面視で前記光電変換蓄積部と前記ゲート電極とのオーバーラップ幅と、前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅とが設定されている請求項4に記載の固体撮像素子。
  6. 前記光電変換蓄積部と前記ゲート電極とのオーバーラップ幅は、前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅が0.24μmの場合に、0.06μm以上0.27μm以下の範囲に設定されている請求項4または5に記載の固体撮像素子。
  7. 前記光電変換蓄積部と前記ゲート電極とのオーバーラップ幅は、0.20μm±0.05μmの範囲に設定されている請求項6に記載の固体撮像素子。
  8. 前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅は、前記光電変換蓄積部と前記ゲート電極とのオーバーラップ幅が0.20μmの場合に、0.20μm以上0.40μm以下の範囲に設定されている請求項4または5に記載の固体撮像素子。
  9. 前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅は、0.24μm以上0.30μm以下の範囲に設定されている請求項8に記載の固体撮像素子。
  10. 前記第2導電型半導体ピンニング層が前記光電変換蓄積部に対してオフセット形成されている請求項1に記載の固体撮像素子。
  11. 前記光電変換蓄積部上の半導体基板表面側が、前記第2導電型半導体ピンニング層と前記ゲート電極とによって完全に覆われている請求項1または10に記載の固体撮像素子。
  12. 前記第2導電型半導体ピンニング層の電荷検出部側端部と前記ゲート電極の光電変換蓄積部側端部とが一致している請求項1、10および11のいずれかに記載の固体撮像素子。
  13. 前記光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域と前記チャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域との間に、該第1導電型半導体領域よりも低不純物濃度の低濃度第1導電型半導体領域が設けられている請求項1または2に記載の固体撮像素子。
  14. 前記低濃度第1導電型半導体領域は第1導電型半導体基板領域である請求項13に記載の固体撮像素子。
  15. 前記光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域の不純物濃度は、1×1017cm−3〜4×1017cm−3の範囲に設定されている請求項1または13に記載の固体撮像素子。
  16. 前記低濃度第1導電型半導体領域の不純物濃度は、1×1014cm−3〜1×1015cm−3の範囲に設定されている請求項13または14に記載の固体撮像素子。
  17. 前記光電変換蓄積部は、平面視でその周囲が、前記単位画素部を分離する素子分離領域と接しないように、前記チャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域と同じウェル領域によって覆われている請求項1に記載の固体撮像素子。
  18. 前記単位画素部は、マトリクス状に複数配列されている請求項1に記載の固体撮像素子。
  19. 前記単位画素部は、画素内回路部として、前記転送トランジスタから前記電荷検出部に読み出された信号電圧に応じて増幅した信号を出力する増幅トランジスタと、該電荷検出部を所定の電圧にリセット可能とするリセットトランジスタとを有する請求項1または18に記載の固体撮像素子。
  20. 前記画素内回路部として、前記増幅トランジスタからの信号を出力信号線に読み出し可能とする画素選択トランジスタをさらに有する請求項19に記載の固体撮像素子。
  21. 前記画素内回路部の各トランジスタチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域と、該転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域とは不純物濃度が互いに異なっている請求項19または20に記載の固体撮像素子。
  22. 前記画素内回路部の各トランジスタチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域と、前記転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域との各不純物濃度がそれぞれ独立して設定制御されている請求項19〜21のいずれかに記載の固体撮像素子。
  23. 前記画素内回路部におけるトランジスタチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域の不純物濃度は、2×1017cm−3±1×1017cm−3の範囲に設定され、前記転送トランジスタのチャネル領域を構成する第2導電型ウェル領域の不純物濃度は、3×1016cm−3〜1×1017cm−3の範囲に設定されている請求項19〜22のいずれかに記載の固体撮像素子。
  24. 前記光電変換蓄積部が埋め込み型フォトダイオードから構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の増幅型固体撮像装置。
  25. 前記光電変換蓄積部と前記第1導電型半導体基板領域とを分離する第2導電型半導体層が設けられ、該光電変換蓄積部を構成する第1導電型半導体領域が、該第2導電型半導体層と、平面視で該光電変換蓄積部の周囲を囲むように設けられた第2導電型ウェル領域と、該光電変換蓄積部上に設けられた第2導電型半導体ピンニング層とによって埋め込まれて埋め込み型フォトダイオードが構成されている請求項1〜4および24のいずれかに記載の固体撮像素子。
  26. 前記第1導電型がn型であり、前記第2導電型がp型であるか、または、該第1導電型がp型であり、該第2導電型がn型である請求項1に記載の固体撮像素子。
  27. 前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅は、0.45μm以上0.55μm以下の範囲に設定されている請求項1に記載の固体撮像素子。
  28. 前記光電変換蓄積部は、光電変換部と電荷蓄積部とが一体的に構成されており、平面視で受光部全域を覆っている請求項1に記載の固体撮像素子。
  29. 前記第2導電型ウェル領域の前記ゲート電極端面に対する前記電荷検出部側への後退幅が、電荷転送時に電荷転送が可能な程度の電位障壁以下のレベルになるように設定されている請求項1に記載の固体撮像素子。
  30. 請求項1〜29のいずれかに記載の固体撮像素子を撮像部に用いた電子情報機器。
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