JP2008055994A - 車両の制駆動力制御装置 - Google Patents

車両の制駆動力制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 制駆動力の統合型制御に於いて、種々の要因により目標加減速度と実加減速度との偏差が通常のフィードバック制御では抑制しきれない状況に於いて、そのことによる不具合の発生を抑制するよう目標制駆動力を適切に設定する制駆動力制御装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の制駆動力制御装置では、目標加減速度が制駆動力実現系では達成できないとき(S60)、目標加減速度に基づいて目標制駆動力が制駆動力実現系がその発生可能な制駆動力の限界で作動するよう設定し直され(S70)、フィードバック制御量が目標制駆動力とフィードフォワード制御量との差分に設定し直されて(S80)、次のフィードバック制御量の算出に利用される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、自動車等の車両の制駆動力制御装置に係り、より詳細には、運転支援型・予防安全型の制御等の、種々の車両の前後方向の加減速度の制御の要求に基づいて、車両の駆動系装置及び制動系装置の作動を統合的に制御する制駆動力制御装置に係る。
自動車等の車両の運動制御の分野に於いて、既に、種々の制御手法が提案され、車両に実装されるようになっている。例えば、ACC(Adaptive Cruising Control)、PCS(PreCrash Safety System)、LKA(Lane Keeping Assist)、DABC(Driver Assist Braking Control)、IPA(Intelligent Parking Assist)といった運転支援型・予防安全型の制御では、運転者の運転操作を補助し又は代行すべく、電子制御装置が、運転者によるアクセル/ブレーキ操作と伴に自車速度や先行車又は障害物との相対速度・距離情報を用いて、駆動系装置及び/又は制動系装置の動作を制御し、車両の速度、加(減)速度又は制駆動力を適正に調節するようになっている。(例えば、特許文献1、2)
上記の如き種々の制御は、従前では、各々の制御で達成しようする車両の速度、加減速度又は制駆動力が得られるように独立に駆動系装置又は制動系装置に対し指令を与えるようになっていた。しかしながら、一つの車両に於いて搭載され実行される制御数が多くなり、同時に複数の制御が作動するような場合には、各制御からの指令が互いに干渉せずに、適切に且効率的に駆動系装置又は制動系装置が動作できるよう、各制御からの指令を「調停」(指令の選択或いは統合)する必要性が生じることとなった(例えば、従前では、ACC制御が車両の加速を要求すべく、駆動系装置の制御装置に対して制御量としてトルクの目標値を与えると同時に、別の制御が車両の減速をすべく制動系装置の制御装置へ制動力の増大の指示(油圧の上昇など)が与えられるなど、非効率な制御が生じ得た。)。そこで、現在、車両の運動又は制駆動力に関する各種の制御からの指令を一旦統合してから、各指令の調停を行い、駆動系装置と制動系装置に対しては互いに相反しない指令が与えられるようにする制御手法が提案されている。そのような統合型の制御手法(「統合型制御」)は、例えば、特許文献3に於いて記載されている。
上記の如き統合型制御によれば、一つの車両の駆動系装置又は制動系装置に於いて複数の指令が与えられることによる制御の干渉が回避されるだけなく、指令の目標値を実現するべく駆動系装置と制動系装置へ直接に与えられる制御指令の決定を一括的に実行できるので、駆動系装置又は制動系装置の制御を効率的に実行することができる点で有利である。また、各種の運動の制御の開発段階に於いても、各々の制御による制御指令を、それらの制御指令を調停する装置(「調停器」)へ如何に与えるかだけを考えれば良く(駆動系装置又は制動系装置への制御量は、調停器に於いて調節される)、従って、調停器へ与える所定の制御指令を決定する際、他の制御から如何なる制御指令が発せられるのか、或いは、駆動系装置の種類や形式(エンジン式か、モータ式か或いはハイブリッド式であるか)、制動系装置の種類や形式(油圧式か、電磁式か)などを、(さほどに)考慮する必要がなくなり、制御開発の時間、労力も著しく低減されることになる。なお、統合型制御に於いては、調停器に指令を与える側の制御装置(各種制御装置)を「制駆動力要求系」といい、調停器の指令に基づいて実際に制駆動力を発生する駆動系装置及び制動系装置を「制駆動力実現系」ということがあり、本明細書に於いても以下に於いてこれらの用語を用いる。
特開2004−90712 特開2004−239207 特開2003−191774
上記の如き車両の制駆動力の統合型制御では、先ず、制駆動力要求系の運転支援型・予防安全型の各種制御に於いて、それぞれ、車速を所定の目標値に調整するための車両の加減速度の目標値(目標加減速度)が決定される。そして、それら各種制御の目標加減速度が一つの指令として統合される際に各種制御の目標加減速度の調停が行われ、その一つに調停された目標加減速度を実現するために車両全体に発生されるべき制駆動力、即ち、目標制駆動力(又は要求制駆動力)が決定される。加減速度と制駆動力との関係は、路面の勾配や車両の重量などの車両の走行状態又は環境とともに変化し、解析的に求めることは困難なので、目標加減速度から目標制駆動力を決定する際には、実際の加減速度(実加減速度)を参照して、目標加減速度と実加減速度とが一致するよう目標加減速度と実加減速度との偏差を低減するフィードバック制御が採用される。フィードバック制御では、目標加減速度と実加減速度との偏差の積分値がフィードバックされ、目標加減速度と実加減速度との偏差だけでなく、その偏差の累積(車速の目標値と実際値との偏差)も低減される。
上記の如く制駆動力要求系の各種制御からの要求を統合して制駆動力実現系の種々の装置を作動させる場合には、通常のフィードバック制御では、目標加減速度と実加減速度との偏差を適切に抑制できない場合があり、また、そのことによって、いくつかの不具合が生ずることがある。
例えば、要求系の各種制御の個々では、それらの目標加減速度が調停されて決定された目標制駆動力が制駆動力実現系に於いて実現できる値であるか否かまでは判断されない。実際、制駆動力実現系の装置の発生可能な制駆動力の限界は、それらの装置の運転領域によって異なり、従って、調停後の目標制駆動力が実現系の装置に於いて実現可能な制駆動力の範囲の上限・下限を逸脱してしまうことも有り得る。そのような場合、たとえフィードバック制御を行っても、目標加減速度と実加減速度との偏差は低減することはない。目標加減速度と実加減速度との偏差の積分値がフィードバックされる構成に於いては、むしろ、解消されない目標加減速度と実加減速度との偏差が蓄積することにより、制御の応答の遅れ、制御ハンチング、運転者の運転感覚、快適さを損なう等の問題を引き起こすこととなる。この点に関し、一般的なフィードバック制御では、偏差の積算値が過剰になることを防ぐべく、偏差の積分値に上限値又は下限値を設けて、フィードバックされる積分値を制限することが行われる。しかしながら、上記の如く、目標制駆動力が実現可能な制駆動力の範囲の上限・下限を逸脱し、目標加減速度と実加減速度との偏差が解消できない場合には、積分値が残留し、制御の応答性が鈍くなるなどの不具合は解消できない。
また、統合型制御の場合には、エンジン、モータ、ブレーキ装置など、複数の種々の装置の中から、一つに調停された目標制駆動力を発生するための装置が選択的に作動制御されるところ、選択される実現系の装置によって、目標制駆動力に対する発生制駆動力の応答性(応答速度)に差があり、このことにより、目標加減速度と実加減速度との偏差が適切に低減されず、制御の安定性が損なわれたり、運転者の官能が悪化する等の不具合が生じることがある。理解されるように、目標加減速度から目標制駆動力を得る過程で、目標加減速度と実加減速度の偏差を速やかに解消するには、目標加減速度と実加減速度との偏差のフィードバック量は大きくすればよい。しかしながら、制御指令に対する実現系の装置の応答よりも、即ち、実現系の装置の制駆動力の変化よりも速く(大きな値にて)、目標加減速度と実加減速度の偏差をフィードバックしてしまうと、制御量の戻し過ぎにより制御の発散又はハンチングを生ずる場合がある。従前の如く要求系の制御が個別に実現系の装置を制御する場合には、制御の対象となる装置毎に応答性を考慮してフィードバックゲインを設定して、目標加減速度と実加減速度との偏差が適切に解消することが可能であった。しかしながら、統合型制御の場合には、選択される可能性のある実現系装置が複数存在し、これらの応答性が異なるので、従来の要求系の制御が個別に実現系の装置を制御する場合と同様にフィードバックゲインを設定するのでは、適切に目標加減速度と実加減速度との偏差を抑制することができない場合がある。
更に、従前のフィードバック制御では、フィードバック制御が何等かの理由により良好に機能しない場合(センサが適切な値を検出しない場合など)や他に優先する別の制御が実行される場合など、フィードバック制御によっては制御されるべき実際値とその目標値との偏差が低減されない状況下に於いては、フィードバック全体又は偏差の積分項のフィードバックを停止する、といったことがしばしば行われるところ、制駆動力の統合型制御のように、車両全体の制駆動力を一括的に制御する場合に於いて、フィードバック制御を突然停止すると、運転者の運転感覚、快適さを損なうなどの不具合を生じてしまう可能性がある。
以上の如く、統合型制御に於いては、通常のフィードバック制御では、適切に抑制できない目標加減速度と実加減速度との偏差に関わる種々の不具合が生ずることがある。しかしながら、現在のところ、制駆動力の統合型制御に於いて、目標加減速度と実加減速度との偏差を抑制できない場合に適切に目標制駆動力を与えるための構成は提案されていない。
本発明によれば、制駆動力の統合型制御に於いて有利に用いられる制駆動力制御装置であって、種々の要因により目標加減速度と実加減速度との偏差が通常のフィードバック制御では抑制しきれない状況に於いて、目標制駆動力を適切に設定し、上記の如き不具合の発生を抑制するよう構成された制駆動力制御装置が提供される。
本発明の適用される制駆動力制御装置は、概して述べれば、制駆動力を発生する制駆動力発生装置を有する車両に於いて、制駆動力発生装置により発生されるべき目標制駆動力を制御するための装置であり、車両全体に於いて発生されるべき目標加減速度を取得する手段と、車両全体に於いて発生している実加減速度を取得する手段と、目標加減速度に基づいて目標制駆動力のフィードフォワード制御量を算出する手段と、目標加減速度と実加減速度との偏差を累積して目標制駆動力のフィードバック制御量を算出する手段と、フィードフォワード制御量とフィードバック制御量とに基づいて目標制駆動力を算出する手段とを含み、目標加減速度と実加減速度との偏差の積算値を、目標制駆動力へフィードバックすることにより、実加減速度を目標加減速度に一致するよう制御する装置である。なお、制駆動力発生装置は、統合型制御の場合、制駆動力実現系の装置である。
上記の制駆動力制御装置に於いて、フィードバック制御量を算出する手段は、所謂フィードバック制御に於ける積分項を計算する手段であり、通常の作動に於いては、目標加減速度と実加減速度との偏差を逐次的に累積して得られる(即ち、偏差の積分値の関数である)フィードバック制御量が、目標加減速度が達成されるよう目標制駆動力へフィードバックされる。しかしながら、後述の本発明の装置が特徴的な構成及びそれによる作動に於いて、目標加減速度と実加減速度との偏差が通常のフィードバック制御では抑制しきれない状況では、目標加減速度と実加減速度との偏差の積算値を目標制駆動力へフィードバックするという構成が修正され、目標加減速度と実加減速度との偏差が抑制しきれないことに関わる不具合が解消される。
本発明の特徴的な構成の第一の態様に於いては、制駆動力制御装置は、更に制駆動力発生装置に於いて発生可能な制駆動力の上限及び下限を取得する手段を含み、フィードフォワード制御量とフィードバック制御量とに基づいて算出された目標制駆動力が制駆動力発生装置に於いて発生可能な制駆動力の上限を上回るときには、目標制駆動力を発生可能な制駆動力の上限よりも所定量大きな値に設定し直すとともに、それまでのフィードバック制御量を目標制駆動力とフィードフォワード制御量との差分に設定し直し、他方、目標制駆動力が発生可能な制駆動力の下限を下回るときには、目標制駆動力を発生可能な制駆動力の下限よりも所定量小さな値に設定し直すとともに、それまでのフィードバック制御量を目標制駆動力とフィードフォワード制御量との差分に設定し直すよう構成される。[上記に於いて「所定量」は、0であってよく、従って、「発生可能な制駆動力の上限よりも所定量大きな値」及び「発生可能な制駆動力の下限よりも所定量小さな値」は、取得された発生可能な制駆動力の上限値、及び、取得された発生可能な制駆動力の下限値そのものであってもよい。]
この態様の構成は、換言すれば、制駆動力制御に於いて、フィードフォワード制御量とフィードバック制御量とに基づいて算出された目標制駆動力が発生可能な制駆動力の範囲を逸脱するときには、目標制駆動力を発生可能な制駆動力の限界値に実質的に同等の値に設定し直すと共に、それまでのフィードバック制御量を、設定し直された目標制駆動力(発生可能な制駆動力の限界値に実質的に同等の値)とフィードフォワード制御量との差分に置き換えるというフィードバック制御の修正を行うものである。作動に於いては、目標制駆動力が発生可能な制駆動力の範囲外へ逸脱すると、発生可能な制駆動力の範囲の限界値(又はこれに実質的に同等の値)に置き換えられた目標制駆動力が、制駆動力発生装置へ指令として送られることとなる。そして、かかる目標制駆動力の置き換えと共に、目標制駆動力とフィードフォワード制御量との差分に置き換えられたフィードバック制御量は、次のフィードバック制御量の算出をする過程に於いて、次の目標加減速度と実加減速度との偏差が累積される「それまでのフィードバック制御量」として使用される。
この構成及びその作動によれば、目標加減速度が制駆動力発生装置で実現できず、従って、目標加減速度と実加減速度との偏差の解消が期待できない間は、目標制駆動力が発生可能な制駆動力の範囲の限界値に沿って追従するよう制御され、この間、目標加減速度と実加減速度との偏差は抑制できないが、目標加減速度と実加減速度との偏差を累積してフィードバック制御量を演算する際には、それまでのフィードバック制御量が、目標制駆動力とフィードフォワード制御量との差分に置き換わっていることにより、目標制駆動力に対して、目標加減速度と実加減速度との偏差を継続的に蓄積することが回避されることとなる。そして、目標加減速度を可能な限りで達成すべく目標制駆動力が発生可能な制駆動力の上限又は下限に沿って推移するよう制御されている状況下に於いて、目標加減速度が制駆動力発生装置により実現可能な値に変化し、即ち、目標加減速度と実加減速度との関係が逆転すると、このことが、そのときの目標加減速度と実加減速度との偏差を累積して算出されるフィードバック制御量に直ぐに反映され、それ以前の目標加減速度と実加減速度との偏差の影響を受けずに、目標制駆動力及び発生制駆動力は、速やかに目標加減速度の変化に追従して変化することができることとなる。
かくして、本発明の装置が統合型制御に於いて用いられた際、上記の構成によれば、要求系で決定された目標加減速度が実現系で実現できる範囲を越えてしまい、目標加減速度と実加減速度との偏差を抑制し切れない状況となった場合に、目標加減速度と実加減速度との偏差の継続的な蓄積が目標制駆動力へフィードバックされることなく、制御の応答の遅れ、制御ハンチング、又はこれに伴う運転者や乗員の乗り心地・快適さの悪化などの不具合が解決されることとなる。
なお、上記の構成に於いて、目標制駆動力を「発生可能な制駆動力の上限よりも所定量大きな値」又は「発生可能な制駆動力の下限よりも所定量小さな値」に設定し直す際、目標制駆動力は、既に述べた如く、装置に於いて取得した発生可能な制駆動力の上限又は下限の値そのものに設定されてよいが、好ましくは、取得した発生可能な制駆動力の上限又は下限の値よりも大きい又は小さい値に設定される。発生可能な制駆動力の上限値及び下限値は、任意の方法による検出又は推定により取得されるところ、かならずしも高精度にて取得できるとは限らない。取得された発生可能な制駆動力の限界値の精度が悪いと、制駆動力発生装置が、その制駆動力の発生可能な上限又は下限にて安定的に作動されない場合がある。そこで、制駆動力発生装置が確実にその動作可能な範囲の上限又は下限で動作するよう、好適には、目標制駆動力は、発生可能な制駆動力の上限又は下限よりもやや高め又はやや低めに設定される。発生可能な制駆動力の上限よりもやや高い値及び発生可能な制駆動力の下限よりやや低い値は、当業者に於いて制駆動力制御装置及び制駆動力発生装置を適宜調整する際に任意に設定可能であることは理解されるべきである。
本発明の特徴的な構成の第二の態様に於いては、制駆動力発生装置が目標制駆動力を達成できないときは、フィードバック制御量を算出する手段が、目標加減速度と実加減速度との偏差の累積を停止し、それまでのフィードバック制御量を保持するよう構成される。先に説明した如き、目標制駆動力が制駆動力発生装置に於いて発生可能な制駆動力の範囲を逸脱する場合以外であっても、制駆動力発生装置が目標制駆動力を達成できず、目標加減速度と実加減速度との偏差が抑制し切れない場合に、フィードバックを算出する手段が目標加減速度と実加減速度との偏差をそのまま継続してしまうと、フィードバック制御量が増大し、目標加減速度に対する目標制駆動力の応答が遅れることとなる。そのような事態を避けるべく、目標制駆動力を達成できないときには、フィードバックを算出する手段は、目標加減速度と実加減速度との偏差の累積を停止することにより、目標加減速度と実加減速度との偏差によるフィードバック制御量の大きさが更に増大することが阻止される。しかしながら、単にフィードバックを停止すると、それまでの目標制駆動力に於いて急激な変化を生じ、運転者の運転操作又は乗員の乗り心地に違和感又は悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、そのような現象を回避するために、以後の制御に於いては、フィードバック制御量をそれまでの値に維持した状態で目標制駆動力へフィードバックされる。
上記に於いて、「制駆動力発生装置が目標制駆動力を達成できないとき」とは、実加減速度が正確に検出又は演算することができない場合、又は、本発明の制駆動力制御に優先して実行されるべき別の制御が作動している場合である。前者の場合は、例えば、実加減速度を取得するために必要なセンサ又はその通信経路に故障がある場合や、工場内などで車両がシャーシー台上で走行している場合などである。一方、後者の場合については、車両の変速装置の変速段の切換中のとき、車両のいずれかの車輪のスリップ量の制御(例えば、ABS制御、VSC、TRCなど)が行われているときであってよい。
上記の構成に於いて、フィードバック制御量が固定されると、その間は、目標制駆動力は、フィードフォワード制御量に常にフィードバック制御量が加算された状態となり、目標制駆動力は、フィードフォワード制御量からずれることとなる。しかしながら、統合型制御の場合、要求系の制御に於いて、例えば、車速がその制御の満足いくものでない場合には、目標加減速度が修正され、その結果として、目標制駆動力のフィードフォワード制御量が修正されることとなる。制駆動力発生装置が目標制駆動力を達成できない状態が解消された際には、再びフィードバック制御が実行されることとなるところ、その際、累積の停止後からそれまでの目標加減速度と実加減速度の偏差は、フィードバック制御量に反映されていないので、目標制駆動力は、目標加減速度に速やかに追従して変化することができる。なお、本発明の第二の態様は、前記の第一の態様による制駆動力制御装置に組み込まれてよいことは理解されるべきである。(第一の態様では、フィードフォワード制御量とフィードバック制御量とから求められた目標制駆動力が制駆動力発生装置に於いて発生可能な制駆動力の範囲を逸脱する場合、制駆動力発生装置がその作動限界にて作動するよう目標制駆動力が設定されるので、「制駆動力発生装置が目標制駆動力を達成できない」場合ではない。)
ところで、既に述べた如く、制駆動力の統合型制御の場合のように、一つの制駆動力制御装置がエンジン、モータ、ブレーキ装置など、制御指令に対する応答速度が異なる複数の制駆動力発生装置の中から選択的に特定の制駆動力発生装置を作動することとなる。従って、作動される制駆動力発生装置によって、或る与えられた目標制駆動力の指令に対してそれが実加減速度に反映するまでのタイミングが異なり、目標加減速度と実加減速度の偏差の変化の態様も様々である。かかる状況に於いて、目標制駆動力の指令に対する制駆動力発生装置の変化よりも大きなフィードバック量を与えると、目標制駆動力の値を戻し過ぎになり制御ハンチングが発生する可能性がある一方、フィードバック量が小さすぎると、目標加減速度と実加減速度の偏差が効果的に抑制することができなくなる。
かかる不具合を解決するために、本発明の特徴的な構成の第三の態様によれば、制駆動力発生装置が少なくとも二つの制駆動力発生装置を含み、制駆動力制御装置が選択的に少なくとも二つの制駆動力発生装置のうちの少なくとも一つを作動する場合であって、フィードバック制御量を算出する手段が、目標加減速度と実加減速度との偏差にフィードバックゲインを乗じて得た値をそれまでのフィードバック制御量に加算してフィードバック制御量を算出する構成に於いて、フィードバックゲインが、作動される制駆動力発生装置の目標制駆動力に対する応答速度が速いほど、高く設定される。この構成によれば、一つの制駆動力発生装置では、目標加減速度と実加減速度との偏差を抑制できたが、別の制駆動力発生装置では、偏差を抑制できない、或いは、逆方向に偏差が発生してしまうといった不具合が回避され、制御の安定性が向上されることとなる。
上記の第三の態様の構成に於いて、フィードバックゲインの設定の変更をする際には、フィードバックゲインの値の変化を滑らかにするためのフィードバックゲイン変化量を低減する手段が設けられていてよい。統合型制御の場合、制駆動力制御の実行中に現在動作している制駆動力発生装置は、調停器からの情報に基づいて決定されてよい。なお、本発明の第三の態様は、前記の第一又は第二の態様による制駆動力制御装置に組み込まれてよいことは理解されるべきである。
かくして、上記の本発明によれば、目標加減速度と実加減速度との偏差が通常のフィードバック制御では解消することが困難である場合、例えば、目標加減速度が制駆動力実現系の装置の実現可能な範囲を越えた場合や、通常のフィードバック制御が有効に動作しない状況に於いては、目標制駆動力へのフィードバック制御量を修正し、目標加減速度と実加減速度との偏差が制駆動力実現系の装置では解消できなくても、そのことによる制御上の不具合を低減若しくは抑制することのできる制駆動力制御装置が提供される。特に、本発明のいくつかの態様に於いては、目標加減速度と実加減速度との偏差が解消することが困難である状況下に、フィードバック制御量に於ける目標加減速度と実加減速度との偏差の無用な蓄積が回避されることとなり、制御の応答速度が改善される。また、制御の応答性が良くなることにより、運転者の運転操作に於ける感覚、乗り心地等の悪化が低減又は抑制されることとなる。
本発明の制御装置の構成及び特徴は、制駆動力の統合型制御に於いて、要求系の各種制御からの目標加減速度を調停した後の目標加減速度から目標制駆動力の算出をする場合に、特に有利に用いることができることは理解されるべきである。本発明によれば、要求系の各種制御の個々に於いて、目標加減速度が実現できる値であるか否かまでの判断或いはいずれの制駆動力発生装置が作動されるかの判断をする必要がなくなり、要求系の各種制御の作動負荷や、各種制御の設計・構成・調整に於ける開発者の負担が低減されることとなる。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
装置の構成
図1は、本発明の制駆動力制御装置の好ましい実施形態が搭載される自動車を模式的に示している。同図に於いて、左右前輪12FL、12FRと、左右後輪12RL、12RRを有する車両10には、通常の態様にて、運転者によるアクセルペダル14の踏込みに応じて各輪(図示の例では、後輪駆動車であるから、後輪のみ)に制駆動力を発生する駆動系装置20と、各輪に制動力を発生する制動系装置40とが搭載される。駆動系装置20は、図示の例では、エンジン22から、トルクコンバータ24、自動変速機26、差動歯車装置28等を介して、出力される制駆動トルク或いは回転制駆動力が後輪12RL、12RRへ伝達されるよう構成されているが、エンジン22に代えて電動機が用いられる電気式、或いは、エンジンと電動機との双方を有するハイブリッド式の駆動系装置であってもよい。制動系装置40は、図示の例では、オイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁等(図示せず)、各輪に装備をされたホイールシリンダ42FL、42FR、42RL、42RR、及び、運転者によりブレーキペダル44の踏込みに応答して作動されるマスタシリンダ45を含む油圧回路46を有し、各ホイールシリンダ内のブレーキ圧、即ち、各輪に於ける制動力は、マスタシリンダ圧力に応答して油圧回路46によって調節される。しかしながら、制動系装置40は、図示の如き油圧式の制動装置でなく、電磁式に各輪に制動力を与える形式又はその他当業者にとって任意の形式のものであってよい。なお、簡単のため図示していないが、車両10には、通常の車両と同様に前輪又は前後輪の舵角を制御するためのステアリング装置が設けられる。
駆動系装置20及び制動系装置40の作動は、更に、車両全体に発生する制駆動力を統合的に調節する電子制御装置50により制御される。電子制御装置50は、通常の形式の、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を含んでいてよい。
電子制御装置50は、この分野に於いて知られている任意の車両の制駆動力を制御するための装置、運転支援型・予防安全型の制御、例えば、ACC、PCS、LKA、DABC、IPAといった運転者の運転操作を補助し又は代行する制御を実行する装置が実現されるようになっていてよい。電子制御装置50には、車両の各部に設けられたセンサから、エンジンの回転数Er、アクセルペダル踏込量θa、ブレーキペダル踏込量θb、車輪速Vwi(i=FL、FR、RL、RR)、各輪のホイールシリンダ内の圧力Pbi(i=FL、FR、RL、RR)等の検出値が入力される。なお、上記以外に、本実施形態の車両に於いて実行されるべき各種制御に必要な種々のパラメータを得るための各種検出信号が入力されてよい。
電子制御装置50は、図2(A)に示されている如く、各種センサからの情報に基づいて運転支援型・予防安全型の制御を行うべく目標加減速度をそれぞれ決定する複数の制駆動力要求系制御装置110a、b、c...(要求系制御装置は、一つであってもよい。)と、これらの制駆動力要求系制御装置からの目標加減速度を受容して調停する(要求系側)調停器112と、調停された目標加減速度に基づいて車両全体の目標制駆動力を決定する目標制駆動力決定部114と、目標制駆動力を受容して、その目標制駆動力を、駆動系装置と制動系装置のそれぞれに如何なる大きさの制駆動力又は制動力を発生させるかを決定する調停器100と、調停器からの制御指令に基づき、制駆動力実現系装置、即ち、駆動系装置又は制動系装置を、各々、制御する駆動系制御装置120と制動系制御装置122とから構成される。なお、調停器100の受信する目標制駆動力は、運転支援型・予防安全型制御装置に由来するもの以外のものであってもよい。例えば、任意のドライバモデル115に基づいてアクセルペダル踏込量とブレーキペダル踏込量とから決定された目標加減速度に対応する目標制駆動力が調停器100へ送出されるようになっていてもよい。
上記に構成に於いて、複数の制駆動力要求系制御装置110a、b、c...は、前記の如き、ACC、PCS、LKA、DABC、IPAといった各種の運転支援型・予防安全型制御を実行するための装置であるが、従前の装置と異なる点は、それぞれの装置が直接に目標トルク値或いは目標ブレーキ圧といった制御指令を駆動系制御装置と制動系制御装置へ送出するのではなく、調停器112に対して、各制御を達成するための目標加減速度を送出する点である。調停器112は、それらの複数の目標加減速度を受信した後、それらの目標加減速度のうちの最大値、最小値又は平均値等を演算し、車両の運動が適当なものとなる車両全体の目標加減速度を決定する。
調停器112で決定された目標加減速度は、目標制駆動力決定部114に於いて目標制駆動力に換算される。図2(B)は、目標制駆動力決定部のフィードフォワード制御部とフィードバック制御部の構成を制御ブロック図の形式で示したものである。同図を参照して、目標制駆動力決定部114は、フィードフォワード制御部とフィードバック制御部を含んでいる。フィードフォワード制御部に於いては、調停器112で決定された目標加減速度αに、路面勾配による加減速度に対する項が加算され、それに車両重量が乗算されて、制駆動力のフィードフォワード制御量KFFが与えられる。なお、図示されているように、フィードフォワード制御量には、更に、転がり抵抗、空気抵抗、コーナリングドラッグ等の和である走行抵抗Rに対するフィードフォワード制御項が追加されてよい。他方、フィードバック制御部に於いては、目標加減速度αと実加減速度αとの偏差α−αが逐次的に累積演算され、その演算値がフィードバック制御量KFBとして算出される。実加減速度αは、例えば、車輪速信号から得られる車輪速(例えば、全輪の平均又は従動輪の平均であってよい。)を任意の方法で微分した値が用いられてよく、或いは、車両に備えられたGセンサの検出値を路面の勾配について補正した値が用いられてもよい。
フィードバック制御部に於いては、より詳細には、図示されている如く、乗算器m1にて偏差α−αにフィードバックゲインKを乗じた値を、加算器a1にてそれまで得られたフィードバック制御量KFB(前回値)に加算する形式にて偏差の累積が行われる。従って、図示の如く、フィードバック制御量KFBが、そのまま加算器a1に戻される場合には、フィードバック制御量KFBは、偏差α−αにフィードバックゲインKを乗じた値を積算した値となる。しかしながら、後に詳細に説明される如く、目標制駆動力が制駆動力実現系に於いて発生可能な制駆動力の限界に達し、制駆動力実現系では、目標加減速度を実現できないとき、或いは、フィードバック制御が正常に作動しない場合若しくは本発明の制駆動力制御よりも優先して別の制御が実行される場合など、制駆動力実現系では目標制駆動力が達成できないときには、フィードバック制御量KFBは、修正された値となる。また、好ましくは、上記のフィードバックゲインKの値は、模式的に図示されている如く、現在作動されている制駆動力実現系の装置によって切換可能となっていてよい。現在いずれの制駆動力実現系の装置が作動しているかは、調停器100からの情報により判定されてよい。更に、フィードバックゲインKの値を切換可能とする場合には、変化量ガードが設けられ、フィードバックゲインKの値が連続的に変化するよう構成されていることが好ましい。また更に、フィードバック制御量KFBの絶対値が過剰になることを回避すべく、上下限ガードが設けられていてもよい。図示していないが、フィードバック制御部に於いて、更に、通常の態様にて、偏差α−αの比例器、微分器が設けられていてもよい。
かくして、フィードフォワード制御量KFFとフィードバック制御量KFBが加算器a2にて加算され、目標制駆動力Ftが決定される。なお、上記の一連の制御装置或いは調停器は、それぞれ別々のユニットとして構成されてもよく、また、任意にいくつかを統合して形態で、或いは、全てを一つに統合した単体のユニットとして構成されてもよい。本発明の制動力制御装置の特徴的な構成は、目標制駆動力決定部114に於いて実現され、その構成及び作動は、電子制御装置50に於いて実現される。
制駆動力制御装置の作動
図3は、制駆動力制御中の目標加減速度、実加減速度及び目標制駆動力の関係を模式的に示したものである。(A)は、上記に説明した目標制駆動力決定部に於ける目標加減速度から目標制駆動力を換算する際に、制駆動力実現系の装置が目標加減速度を達成できるか否かによらず、通常の態様にて目標加減速度と実加減速度との偏差の積分値に基づきフィードバック制御量を算出した場合であり、(B)は、制駆動力実現系の装置が目標加減速度を達成できない場合に本発明の教示するところによりフィードバック制御量の修正をした場合である。
まず、図3(A)を参照して、算出された目標制駆動力が制駆動力実現系装置の発生可能な制駆動力の範囲内にある場合には、発生制駆動力は目標制駆動力に追従するので、実加減速度は、目標加減速度に追従して変化する(図中、左側の部分)。しかしながら、目標制駆動力が制駆動力実現系の発生可能な制駆動力の限界(図中、一点鎖線)に到達してその範囲を逸脱すると、発生制駆動力は、その後は目標制駆動力に追従できなくなるので、発生制駆動力に連動する実加減速度と目標加減速度との間に偏差が生じる(図中、中間の部分)。かかる偏差は、フィードバック制御では解消されないので、実加減速度が目標加減速度から離れている間中、フィードバック制御部の累積が継続的に実行され、これにより、フィードバック制御量の絶対値が大きくなって(図示の例では、フィードバック制御量は、マイナスの側に増大する。)、目標制駆動力もフィードバック制御量に引っぱられて発生可能な制駆動力の限界から更に大きく離れてしまう。かくして、フィードバック制御量及び目標制駆動力の絶対値が大きくなってしまうと、その後、目標加減速度が変化して実加減速度との偏差が解消された時点(図中、縦の点線の時点)に於いて、目標加減速度が、制駆動力実現系の発生可能な範囲内(図中、実加減速度よりも上側)に入ったとしても、フィードバック制御量の絶対値がそれまでの偏差の蓄積により大きくなったままなので、目標制駆動力は、目標加減速度の変化から大幅に遅れて発生可能な制駆動力の限界に到達することとなり、発生制駆動力と実加減速度の変化も遅れることとなる(図中、右側の部分)。また、実加減速度の変化が目標加減速度の変化に追従できないことにより、今度は、目標加減速度と実加減速度との間で前とは逆方向に大きな偏差が発生し、これが蓄積されると、前とは逆方向フィードバック制御量が生じることとなる。かかる現象が発生すると、制御のハンチングが発生しやすくなり、また、運転者に於いては、制駆動力の応答に遅れを感ずるようになり、運転者の乗り心地、快適さを損ねることとなり得る。
かかる現象を回避するべく、本発明の制駆動力制御装置では、目標加減速度が制駆動力実現系で達成することができず、(フィードフォワード制御量KFFとフィードバック制御量KFBから算出される)目標制駆動力Ftが駆動力実現系の発生可能な制駆動力の範囲を越える場合には、目標制駆動力Ftを発生可能な制駆動力の範囲の限界値(又は発生可能な範囲の限界から所定量はみ出た値)に設定し直すとともに、それまでのフィードバック制御量KFB
(目標制駆動力Ft)−(フィードフォワード制御量KFF
に置き換えて、この値をフィードバック制御量KFB(前回値)として、加算器a1に戻すようフィードバック制御部の構成が修正される。
かかるフィードバック制御部の修正を行った場合が、図3(B)に示されている。同図を参照して、図中、左側の部分に描かれている如く発生可能な制駆動力の範囲内にあった目標制駆動力が発生可能な制駆動力の限界に到達した後、目標加減速度が更に強い制駆動力を要求する場合には、目標制駆動力が、発生可能な制駆動力の限界(好ましくは、限界よりも少しはみ出た値)に設定し直される(図中、中間の部分)。そして、目標加減速度が実現系で達成可能な実加減速度の範囲を逸脱する間(この間、制駆動力実現系は、目標加減速度を達成できない。)は、目標制駆動力は、発生可能な制駆動力の限界に沿って推移させられる。その後、目標加減速度が変化して(達成可能な限界値上にある)実加減速度に達した際(図中、縦の点線の時点)、目標制駆動力は、それまでの目標加減速度と実加減速度との偏差の影響を受けずに、そのときの目標加減速度と実加減速度との偏差と、そのときの発生可能な制駆動力の限界に概ね一致する目標制駆動力により決定されることとなるので、目標制駆動力は、目標加減速度に連動して発生可能な制駆動力の範囲内へ速やかに変化し、これに追従して、発生制動力と実加減速度も変化する。この場合、目標加減速度と実加減速度との間に、今までと逆方向に大きな偏差が発生することもない。かくして、目標加減速度が実現系で達成できる範囲を逸脱する場合の目標加減速度と実加減速度との偏差が継続的に蓄積することが回避され、これに伴う制御応答の遅れ等の不具合が解消されることとなる。
また、本発明の実施形態による制駆動力制御装置に於いては、好ましくは、上記の如きフィードバック制御量の修正の他に、制駆動力実現系が本制駆動力制御による目標制駆動力を達成できない状態、例えば、ABS制御、VSC、TRCなどの車両のいずれかの車輪のスリップ量の制御などの制駆動力制御に優先して実行されるべき別の制御が作動していること、加減速度のセンサ又はその通信経路に故障がある場合や、工場内などで車両がシャーシー台上で走行している場合など、実加減速度が正確に検出又は演算することができないことが検出されると、図2(B)の加算器a1に於ける目標加減速度と実加減速度との偏差の項の加算が停止される。従って、上記の条件のいずれかが検出された場合には、フィードバック制御量KFBが固定されることとなる。また、図2(B)に関連して説明されているように、好適には、目標加減速度と実加減速度との偏差に乗算されるフィードバックゲインKは、作動している実現系の装置によって切り換えられ、これにより、フィードバック制御量(の絶対値)の大きさが作動している実現系の装置に適合すべく設定される。
図4は、上記の如きフィードバック制御の修正を組み込んだ本発明の制駆動力制御装置の目標制駆動力決定部114に於ける、調停器112から与えられる目標加減速度から目標制駆動力を算出するまでの制御プロセスをフローチャートの形式で表したものである。図4の制御プロセスは、制駆動力制御が実施される間又は少なくとも要求系の各種制御装置のいずれかが作動し、制駆動力実現系の装置が作動する間、所定の周期にて繰り返される。制御がスタートされると、以下に説明する目標制駆動力のフィードフォワード制御量の算出、フィードバック制御量の算出、フィードバックゲインの設定に必要な目標加減速度α*、実加減速度α等の各種パラメータの読込みが行われる(ステップ10)。そして、信号が読み込まれると、まず、フィードフォワード制御量KFFの算出が実行される(ステップ15)。フィードフォワード制御量は、図2(B)に示されている如く、目標加減速度α*と車両の重量M、路面勾配θ、走行抵抗Rに基づいて、任意の方法により計算されてよい。車両重量M、路面勾配θは、任意の方法で検出又は推定されてよい。
次いで、フィードバック制御量KFBの決定が、以下の如く実行される。まず、制駆動力実現系が本制駆動力制御による目標制駆動力を達成できる状況にあるか否かが判定される(ステップ20)。ABS制御、VSC、TRCなどの車両のいずれかの車輪のスリップ量の制御など、制駆動力制御に優先して実行されるべき別の制御が作動している場合、加減速度のセンサ又はその通信経路に故障がある場合、工場内などで車両がシャーシー台上で走行している場合、車両が停止している場合のいずれかの場合のとき、制駆動力実現系が目標制駆動力を達成できないと判定されてよい。これらの判定は、本発明の制御装置とは別の各種制御装置からの信号を受信して別の制御の実行の有無、センサが無効状態であることを検出することにより行われてよい。制駆動力実現系が目標制駆動力を達成できないと判定されると、その制御サイクルに於いては、フィードバック制御量KFBの算出処理を行わずに、フィードフォワード制御量KFFとフィードバック制御量KFBとの加算が実行され目標制駆動力Ftが決定される(ステップ25)。従って、この場合、フィードバック制御量KFBの値はそのまま保存されることとなる。
一方、制駆動力実現系が目標制駆動力を達成できると判定されると、フィードバックゲインKの設定が為される(ステップ30)。既に述べた如く、本発明の制御に於いては、実現系の装置の指令に対する応答速度の差を考慮すべく、フィードバックゲインKの値は、現在作動している実現系に応じて決定される。例えば、制駆動力実現系が、エンジンと油圧ブレーキ装置を含む場合、制駆動力が吸入空気量等で制御されるエンジンは、油圧ブレーキ装置に比して目標制駆動力指令に対する応答が遅いので、フィードバックゲインの値は、KIエンジン<KIブレーキとなるであろう(KIエンジン、KIブレーキは、それぞれ、エンジン、ブレーキ装置の制御指令に対する応答速度を考慮して決定されるフィードバックゲインの値である。)。また、制駆動力実現系が、エンジンとモータを含む場合、エンジンは、電流で制御されるモータに比して目標制駆動力指令に対する応答が遅いので、フィードバックゲインの値は、KIエンジン<KIモータとなるであろう(KIモータは、モータの制御指令に対する応答速度を考慮して決定されるフィードバックゲインの値である。)。個々の装置に適合するフィードバックゲインの値は、実験的に又は理論的に任意に決定されてよい。なお、図示の実施形態に於いて、一時に制御される実現系の装置の数は、一つである。例えば、ブレーキ装置が作動される場合は、エンジン又はモータの作動は、その最低出力を状態に維持される。この場合、エンジン又はモータは運転されてはいるが、その作動状態を変化させる制御は行われないので、制御指令に対する発生制駆動力の応答速度としては、ブレーキ装置の応答速度のみを考慮すればよい。現在どの実現系の装置が作動しているかは、調停器100からの信号により判定されてよい。
また、作動する実現系の装置が変更されることにより、フィードバックゲインKの値の切換が為される際、その値が急激に変化することを避けるために、好ましくは、フィードバックゲインKの値の変化勾配に制限が設けられる。その場合、フィードバックゲインKの値の設定は、例えば、以下の如く実行されてよい。:まず、調停器100からの信号により、現在作動されている実現系の装置が或る装置Xであると判定され、その装置に対応したフィードバックゲインの値KIXが選択される。次いで、前回のサイクルのフィードバックゲインの値KI0と今回選択された値KIXとの差分KIX−KI0が演算され、差分KIX−KI0と、所定値ΔK及び−ΔKの大小関係が判定される。そして、現在のサイクルに於いて使用すべきフィードバックゲインKの値を以下の式により算出する。
IX−KI0<−ΔKのとき、 K=KI0−ΔK
−ΔK<KIX−KI0<ΔKのとき、 K=KIX
ΔK<KIX−KI0のとき、 K=KI0+ΔK
上記の算出方法によれば、図5に示されている如く、フィードバックゲインKの値は、漸進的に変更され、後で決定されるフィードバック制御量の急激な変動、これに伴う制御の不安定化を抑制することが可能となる。
かくして、今回のサイクルで使用するフィードバックゲインKが決定されると、目標加減速度と実加減速度との差分α*−αを前回のサイクルのフィードバック制御量KFB(前回値)に累積して、今回のサイクルのフィードバック制御量KFBが以下の如く算出される(ステップ40)。
FB=KFB(前回値)+K×M×(α*−α)×Δt
ここで、Mは、車両重量であり、Δtは、一制御サイクルの時間である。従って、後述のフィードバック制御量KFBの修正がなければ、KFBは、目標加減速度と実加減速度との差分α*−αの積算値にK×Mを乗じた値となることは理解されるべきである。なお、フィードバック制御量KFBの絶対値が過剰になることを回避するために、上下限ガードが設けられ、フィードバック制御量KFBの値が所定の値の範囲内に制限されるようになっていてよい。
フィードフォワード制御量KFFとフィードバック制御量KFBとが決定されると、目標制駆動力Ftが以下の如く計算される。(ステップ50):
Ft=KFF+KFB
なお、目標制駆動力Ftが急激に変化しないように、フィードバックゲインKの場合と同様の変化量ガードが設けられてもよい。
目標制駆動力Ftが決定されると、目標制駆動力Ftが制駆動力実現系の発生可能な制駆動力の範囲を逸脱しているか否か、即ち、
目標制駆動力Ft>発生可能な制駆動力の上限Fmax …(a)
及び
目標制駆動力Ft<発生可能な制駆動力の下限Fmin …(b)
が判定され(ステップ60)、もし式(a)が満たされている場合には、
目標制駆動力Ft=発生可能な制駆動力の上限Fmax …(c)
式(b)が満たされている場合には、
目標制駆動力Ft=発生可能な制駆動力の下限Fmin …(d)
と、目標制駆動力が設定し直される(ステップ70)。この点に関し、既に述べた如く、目標制駆動力を発生可能な制駆動力の範囲の限界に「制限」する場合、実現系の装置は、確実に安定的にその作動限界で運転又は作動されることが好ましい。例えば、エンジンの場合、確実にスロットル全開又は全閉の状態で作動されることが好ましい。しかしながら、以下に説明する如く、発生可能な制駆動力の上限及び下限は、通常、推定により算出されるので、精度が必ずしも高くない。従って、目標制駆動力Ftが制駆動力実現系の発生可能な制駆動力の範囲を逸脱しているか否かは、目標制駆動力Ftは、発生可能な制駆動力の範囲の限界値よりも所定量だけはみ出た値との大小関係により、判定されることが好ましい。そこで、好ましくは、上記の式(a)、(b)に換えて、それぞれ
Ft>Fmax+δ …(a’)及び
Ft<Fmin−δ …(b’)
が用いられ(ステップ60)、式(c)、(d)に換えて、それぞれ、
Ft=Fmax+δ …(c’)
及び
Ft=Fmin−δ …(d’)
が用いられる(ステップ70)ここに於いて、δは、正の所定量である。
発生可能な制駆動力の上限及び下限の値は、実現系の制御装置から信号を取得することにより為されてよい。発生可能な制駆動力の上限としては、エンジンなどの駆動系装置の出力が最大のときの設定に於いて得られる駆動力の推定値が採用されてよい。発生可能な制駆動力の下限としては、駆動系装置の出力が最小のときの設定に於いて得られる制駆動力の推定値(駆動系装置に於いても制動力を発生し得る)と、制動系装置の出力が最大のときの制動力の推定値との和が採用されてよい。例えば、エンジンの場合、発生可能な制駆動力の上限(下限)は、エンジンのスロットルを全開(全閉)にした仮定した場合に生ずると推定されるエンジントルクと、トランスミッションギア比と、デフギア比と、タイヤの荷重半径と、トルクコンバータによるトルク増幅係数とに基づいて決定されてよく、例えば、下記の式により、推定されてよい。
上限値(下限値)=(スロットル全開(全閉)相当のエンジンのトルク)×(トルク増幅係数)×(トランスミッションギア比)×(デフギア比)/(タイヤ動荷重半径)
上記の各パラメータのうち、トルクコンバータのトルク増幅係数、トランスミッションギア比、デフギア比、タイヤ動荷重半径は、当業者のとって任意の方法により取得されてよい。スロットル全開(全閉)相当のエンジンのトルクは、エンジンの回転数、スロットル開度、水温、点火時期等から当業者にとって任意の方法により、エンジンの現在発生トルクを算出する際に、スロットル開度を全開(全閉)と仮定して得られるトルクであってよい。また、所定量δは、目標加減速度が制駆動力発生装置の発生可能な範囲を越えている場合に、制駆動力発生装置が確実にその発生可能な限界にて作動するよう実験的に又は理論的に適宜設定されてよい。
ステップ60に於いて、目標制駆動力Ftが制駆動力実現系の発生可能な制駆動力の範囲を逸脱していると判定された場合には、目標制駆動力を設定し直した後に、更に、フィードバック制御量KFBが以下の式により置き換えられる(ステップ80)。
FB=Ft−KFF …(e)
そして、この値が、次の制御サイクルに於いて、フィードバック制御量KFB(前回値)として使用される。式(e)に於いては、式(a)[又は(a’)]が満たされているときには、目標制駆動力Ftは、式(c)[又は(c’)]に置き換えられており、式(b)[又は(b’)]が満たされているときには、目標制駆動力Ftは、式(d)[又は(d’)]に置き換えられているので、次のサイクルのステップ40に於ける演算に於いて、フィードバック制御量KFBは、
FB=KFB(前回値)+K×M×(α*−α)×Δt
=Fmax+δ−KFF(前回値)+K×M×(α*−α)×Δt
又は =Fmin−δ−KFF(前回値)+K×M×(α*−α)×Δt
となる。従って、フィードバック制御量KFBには、その前回までの目標加減速度と実加減速度との偏差又はその積算値は反映されず、フィードバック制御量KFBに、抑制できない目標加減速度と実加減速度との偏差が蓄積されることが回避される。また、このフィードバック制御量KFBを使用してステップ50で得られる目標制駆動力Ftは、
Ft=KFF−KFF(前回値)+Fmax+δ+K×M×(α*−α)×Δt
又は
Ft=KFF−KFF(前回値)+Fmin−δ+K×M×(α*−α)×Δt
となるから、目標加減速度が実加減速度に概ね一致した後、実現系装置で達成可能な範囲へ変化すると、目標制駆動力は、限界値Fmax又はFminより目標加減速度に追従して変化し、従って、発生制駆動力及び実加減速度がそれぞれ目標制駆動力及び目標加減速度に追従して変化することとなる。
かくして、ステップ50、ステップ70又はステップ25により決定された目標制駆動力Ftは、調停器100へ送出され(ステップ90)、次の制御サイクルが開始される。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
例えば、図4のフローチャートは、図2(B)の制御ブロック図に示されている制御が実現されれば、任意に変更されてよい。
図1は、本発明による制動力制御装置の好ましい実施形態が搭載される車両の模式図である。 図2(A)は、図1の本発明による制動力制御装置の好ましい実施形態を実現する電子制御装置の制御ブロック図である。図2(B)は、目標制駆動力決定部の制御ブロック図である。 図3は、制駆動力制御中の目標加減速度、実加減速度及び目標制駆動力の変化の例を示し、(A)は、通常のフィードバック制御による場合、(B)は、本発明によるフィードバック制御の修正をした場合である。関係を模式的に示したものである。 図4は、本発明による制駆動力制御装置に於ける目標加減速度から目標制駆動力を換算する処理をフローチャートの形式で表したものである。 図4のステップ30に於けるフィードバックゲインの変化の例を示している。上のグラフが、作動制御がなされる実現系の装置をブレーキ、エンジン、モータの順に切り換えた場合の制御指令に対する(発生制駆動力又は実加減速度の)応答速度の変化を示し、下のグラフが、その場合のフィードバックゲインの変化を示す。
符号の説明
10…車両
20…駆動系装置
22…エンジン
40…制動系装置
46…油圧装置(制動系)
50…電子制御装置
100…調停器
112…要求側調停器
114…目標制駆動力決定部

Claims (6)

  1. 制駆動力を発生する制駆動力発生装置を有する車両の前記制駆動力発生装置により発生されるべき目標制駆動力を制御する制駆動力制御装置であって、
    前記車両全体に於いて発生されるべき目標加減速度を取得する手段と、
    前記車両全体に於いて発生している実加減速度を取得する手段と、
    前記目標加減速度に基づいて前記目標制駆動力のフィードフォワード制御量を算出する手段と、
    前記目標加減速度と前記実加減速度との偏差を累積して前記目標制駆動力のフィードバック制御量を算出する手段と、
    前記フィードフォワード制御量と前記フィードバック制御量とに基づいて前記目標制駆動力を算出する手段とを含み、
    更に前記制駆動力発生装置に於いて発生可能な制駆動力の上限及び下限を取得する手段を含み、前記目標制駆動力が前記発生可能な制駆動力の上限を上回るときには、前記目標制駆動力を前記発生可能な制駆動力の上限よりも所定量大きな値に設定し直すとともに、それまでの前記フィードバック制御量を前記目標制駆動力と前記フィードフォワード制御量との差分に設定し直し、前記目標制駆動力が前記発生可能な制駆動力の下限を下回るときには、前記目標制駆動力を前記発生可能な制駆動力の下限よりも所定量小さな値に設定し直すとともに、それまでの前記フィードバック制御量を前記目標制駆動力と前記フィードフォワード制御量との差分に設定し直すことを特徴とする装置。
  2. 請求項1の装置であって、前記制駆動力発生装置が前記目標制駆動力を達成できないときは、前記フィードバック制御量を算出する手段が、前記目標加減速度と前記実加減速度との偏差の累積を停止し、それまでの前記フィードバック制御量を保持することを特徴とする装置。
  3. 請求項2の装置であって、前記制駆動力発生装置が前記目標制駆動力を達成できないときが、前記車両の変速装置の変速段の切換中のとき、又は、前記制駆動力制御装置による制御よりも優先して実行される前記車両のいずれかの車輪のスリップ量の制御が行われているときであることを特徴とする装置。
  4. 請求項1の装置であって、前記制駆動力発生装置が少なくとも二つの制駆動力発生装置を含み、前記制駆動力制御装置が選択的に少なくとも二つの制駆動力発生装置のうちの少なくとも一つを作動し、前記フィードバック制御量を算出する手段が、前記目標加減速度と前記実加減速度との偏差にフィードバックゲインを乗じて得た値をそれまでの前記フィードバック制御量に加算して前記フィードバック制御量を算出し、前記作動される制駆動力発生装置の前記目標制駆動力に対する応答速度が速いほど、前記フィードバックゲインが高く設定されることを特徴とする装置。
  5. 制駆動力を発生する制駆動力発生装置を有する車両の前記制駆動力発生装置により発生されるべき目標制駆動力を制御する制駆動力制御装置であって、
    前記車両全体に於いて発生されるべき目標加減速度を取得する手段と、
    前記車両全体に於いて発生している実加減速度を取得する手段と、
    前記目標加減速度に基づいて前記目標制駆動力のフィードフォワード制御量を算出する手段と、
    前記目標加減速度と前記実加減速度との偏差を累積して前記目標制駆動力のフィードバック制御量を算出する手段と、
    前記フィードフォワード制御量と前記フィードバック制御量とに基づいて前記目標制駆動力を算出する手段とを含み、
    前記制駆動力発生装置が前記目標制駆動力を達成できないときは、前記フィードバック制御量を算出する手段が、前記目標加減速度と前記実加減速度との偏差の累積を停止し、それまでの前記フィードバック制御量を保持することを特徴とする装置。
  6. 少なくとも二つの制駆動力を発生する制駆動力発生装置を有する車両の前記少なくとも二つの制駆動力発生装置のうちの少なくとも一つを選択的に作動して発生させるべき目標制駆動力を制御する制駆動力制御装置であって、
    前記車両全体に於いて発生されるべき目標加減速度を取得する手段と、
    前記車両全体に於いて発生している実加減速度を取得する手段と、
    前記目標加減速度に基づいて前記目標制駆動力のフィードフォワード制御量を算出する手段と、
    前記目標加減速度と前記実加減速度との偏差を累積して前記目標制駆動力のフィードバック制御量を算出する手段にして、前記目標加減速度と前記実加減速度との偏差にフィードバックゲインを乗じて得た値をそれまでの前記フィードバック制御量に加算して前記フィードバック制御量を算出する手段と、
    前記フィードフォワード制御量と前記フィードバック制御量とに基づいて前記目標制駆動力を算出する手段とを含み、
    前記フィードバック制御量を算出する手段に於いて、前記作動される制駆動力発生装置の前記目標制駆動力に対する応答速度が速いほど、前記フィードバックゲインが高く設定されることを特徴とする装置。
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