JP2019123313A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このように構成された本発明においては、車両の旋回状態に基づき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを車両に生じさせるようにブレーキ装置がヨーモーメントを生じさせている場合には、そのヨーモーメントに基づき、操舵角関連値が増大したときの駆動源の生成トルク低下を変更する。したがって、操舵角関連値が増大しているときに減速度を車両に付与する制御と、旋回状態に基づきヨーモーメントを車両に付与する制御とが重ねて実行されるときに、減速度を車両に付与する制御とヨーモーメントを車両に付与する制御とによる車両全体としての制御介入量を同程度に維持するように調整することができる。これにより、車両全体として制御介入が過剰な状態になることや制御介入が突然減少することを抑制し、ドライバに違和感を与えないようにすることができる。
このように構成された本発明においては、ブレーキ装置が生じさせたヨーモーメントが相対的に大きいときには、ヨーモーメントが相対的に小さいときよりも、操舵角関連値が増大したときの駆動源の生成トルク低下量を小さくするので、減速度を車両に付与する制御とヨーモーメントを車両に付与する制御とによる車両全体としての制御介入量を同程度に維持するように調整することができる。これにより、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制し、ドライバに違和感を与えないようにすることができる。
このように構成された本発明においては、ブレーキ装置が生じさせたヨーモーメントの低下速度が相対的に大きいときには、ヨーモーメントの低下速度が相対的に小さいときよりも、操舵角関連値が増大したときの駆動源の生成トルク低下量を大きくするので、ブレーキ装置が生じさせたヨーモーメントが急激に減少した場合には、駆動源の生成トルク低下量を増大させることで、減速度を車両に付与する制御とヨーモーメントを車両に付与する制御とによる車両全体としての制御介入量を同程度に維持するように調整することができる。これにより、車両全体として制御介入が突然減少することを抑制し、ドライバに違和感を与えないようにすることができる。
このように構成された本発明においては、操舵装置が切り戻し操作されている状態から中立位置を跨いで切り込み操作が始まった後においても、ブレーキ装置がヨーモーメントを生じさせている場合に、そのヨーモーメントに基づき、操舵角関連値が増大したときの駆動源の生成トルク低下を変更する。したがって、例えばS字コーナーのようにステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へ連続的に行われた場合において、減速度を車両に付与する制御と、ヨーモーメントを車両に付与する制御とが重ねて実行されるときに、車両全体としての制御介入量を同程度に維持するように調整することができる。これにより、車両全体として制御介入が過剰な状態になることや制御介入が突然減少することを抑制し、ドライバに違和感を与えないようにすることができる。
まず、図1により、本発明の実施形態による車両の制御装置を搭載した車両のシステム構成を説明する。図1は、本発明の実施形態による車両の制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。
ブレーキ制御システム18は、PCM14から入力された制動力指令値や液圧センサ24の検出値に基づき、各車輪のホイールシリンダやブレーキキャリパのそれぞれに独立して供給する液圧を算出し、それらの液圧に応じて液圧ポンプ20の回転数やバルブユニット22の開度を制御する。
本実施形態によるPCM14(車両の制御装置)は、上述したセンサ8〜12、24の検出信号の他、エンジン4の運転状態を検出する各種センサが出力した検出信号に基づいて、エンジン4の生成トルク制御機構として機能するエンジン4の各部(例えば、スロットルバルブ、ターボ過給機、可変バルブ機構、点火装置、燃料噴射弁、EGR装置等)及びブレーキ制御システム18に対する制御を行うべく、制御信号を出力する。
PCM14及びブレーキ制御システム18は、それぞれ、1つ以上のプロセッサ、当該プロセッサ上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
詳細は後述するが、PCM14及びブレーキ制御システム18は本発明における車両の制御装置に相当する。
(第1実施形態)
次に、車両の制御装置が実行する具体的な制御内容を説明する。
まず、図3により、本発明の第1実施形態において車両の制御装置が行う姿勢制御処理の全体的な流れを説明する。図3は、本発明の第1実施形態による姿勢制御処理のフローチャートである。
姿勢制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM14は車両1の運転状態に関する各種センサ情報を取得する。具体的には、PCM14は、操舵角センサ8が検出した操舵角、車速センサ10が検出した車速、ヨーレートセンサ12が検出したヨーレート、液圧センサ24が検出した液圧、車両1の変速機に現在設定されているギヤ段等を含む、上述した各種センサが出力した検出信号を運転状態に関する情報として取得する。
より詳細には、PCM14は、点火プラグ26の点火時期を、基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとしたときの点火時期よりも遅角させる(リタードする)ことにより、エンジン4の生成トルクを低下させる。
また、エンジン4がディーゼルエンジンである場合、PCM14は、燃料噴射量を、基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとしたときの燃料噴射量よりも減少させることにより、エンジン4の生成トルクを低下させる。
このようなPCM14により行われるエンジン4の生成トルクを低下させる制御は、上述した「第1の制御」に相当する。
また、ブレーキ制御システム18は、例えば、ヨーモーメント指令値とバルブユニット22の開度との関係を規定したマップを予め記憶しており、このマップを参照することにより、ヨーモーメント指令値に対応する開度となるようにバルブユニット22を個々に制御し(例えば、ソレノイド弁への供給電力を上昇させることにより、制動力指令値に対応する開度までソレノイド弁の開度を増大させる)、各車輪の制動力を調整する。
このようなブレーキ制御システム18により行われる制御は、上述した「第2の制御」に相当する。
ステップS8の後、PCM14は、姿勢制御処理を終了する。
図4は、本発明の第1実施形態による付加減速度設定処理のフローチャートであり、図5は、付加減速度と操舵速度との関係を示したマップであり、図6は、ヨーモーメントとトルク低減量の補正ゲインとの関係を示したマップである。
その結果、切り込み操作中である場合、ステップS22に進み、PCM14は、図3の姿勢制御処理のステップS1において操舵角センサ8から取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
その結果、操舵速度が閾値S1以上である場合、ステップS24に進み、PCM14は、操舵速度に基づき付加減速度を設定する。この付加減速度は、ドライバの意図に沿って車両姿勢を制御するために、ステアリング操作に応じて車両に付加すべき減速度である。
具体的には、PCM14は、図5のマップに示す付加減速度と操舵速度との関係に基づき、ステップS22において算出した操舵速度に対応する付加減速度を設定する。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値S1未満である場合、対応する付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S1未満である場合、PCM14は、ステアリング操作に基づき車両1に減速度を付加するための制御(具体的にはエンジン4の生成トルクの低減)を行わない。
一方、操舵速度が閾値S1以上である場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加減速度は、所定の上限値Dmaxに漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。この上限値Dmaxは、ステアリング操作に応じて車両1に減速度を付加しても、制御介入があったとドライバが感じない程度の減速度に設定される(例えば0.5m/s2≒0.05G)。
さらに、操舵速度が閾値S1よりも大きい閾値S2以上の場合には、付加減速度は上限値Dmaxに維持される。
例えば、PCM14は、液圧センサ24の検出値から各車輪のブレーキ装置16に供給される液圧を取得し、その取得した液圧に基づいてブレーキ装置16が車両1に発生させているヨーモーメントを推定する。そして、推定したヨーモーメントが所定の閾値以上である場合、ヨーモーメントが発生していると判定する。
具体的には、PCM14は、図6のマップに示すヨーモーメントとトルク低減量の補正ゲインとの関係に基づき、ブレーキ装置16が車両1に発生させているヨーモーメントに対応する1以下の補正ゲインK1を取得し、その補正ゲインK1をステップS25で決定したトルク低減量に乗ずることにより、トルク低減量を補正する。ブレーキ装置16が車両1に発生させているヨーモーメントとしては、ステップS26において推定したヨーモーメントを用いることができる。
図6に示すように、ヨーモーメントが大きいほど、補正ゲインK1は小さくなるように設定されている。即ち、ブレーキ装置16が生じさせたヨーモーメントが第1の値である場合、ヨーモーメントが第1の値より小さい第2の値である場合よりも、トルク低減量は小さくなるように補正される。
ステップS28の後、PCM14は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
図7に示すように、目標ヨーモーメント設定処理が開始されると、ステップS31において、PCM14は、図3の姿勢制御処理のステップS1において取得した操舵角及び車速に基づき目標ヨーレート及び目標横ジャークを算出する。
具体的には、PCM14は、車速に応じた係数を操舵角に乗ずることにより目標ヨーレートを算出する。また、PCM14は、操舵速度及び車速に基づき目標横ジャークを算出する。
その結果、切り戻し操作中且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上である場合、ステップS34に進み、PCM14は、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。具体的には、PCM14は、所定の係数Cm1をヨーレート差の変化速度Δγ′に乗ずることにより、目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
具体的には、PCM14は、所定の係数Cm2を目標横ジャークに乗ずることにより、第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
ステップS38の後、PCM14は目標ヨーモーメント設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
そのため、チャート(d)に示すように、時刻t2において操舵角が0になった時には直ちにブレーキ装置16によるヨーモーメントの制動力の付与が終了しないので、第2の制御による車両1へのヨーモーメントの付与が終了しない。よって、操舵角が0を跨いだ後も、つまりステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わった後の時刻t2’までヨーモーメントが発生し続ける。
そして、時刻t2’において第2の制御により発生していたヨーモーメントが0になると(図4のステップS26:No)、PCM14はトルク低減量の補正を行わず、操舵速度に基づき設定したトルク低減量により第1の制御を実行する。その後、操舵速度が閾値S1未満になると(図4のステップS23:No)、第1の制御が終了する。
次に、図9から図11を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。図9は本発明の第2実施形態による付加減速度設定処理のフローチャートであり、図10はヨーモーメントの低下速度とトルク低減量の補正ゲインとの関係を示したマップであり、図11は本発明の第2実施形態による車両の制御装置を搭載した車両が旋回を行う場合の、車両姿勢制御に関するパラメータの時間変化を示したタイムチャートである。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同一の構成を有する箇所があるため、このような箇所については詳細な説明を省略する。
例えば、PCM14は、液圧センサ24の検出値から各車輪のブレーキ装置16に供給される液圧を取得し、その取得した液圧に基づいてブレーキ装置16が車両1に発生させているヨーモーメントを推定する。そして、推定したヨーモーメントの低下速度が閾値It以上である場合、ブレーキ装置16が生じさせたヨーモーメントの低下速度が閾値It以上であると判定する。
具体的には、PCM14は、図10のマップに示すヨーモーメント低下速度とトルク低減量の補正ゲインとの関係に基づき、ブレーキ装置16が車両1に発生させているヨーモーメントの低下速度に対応する1以上の補正ゲインK2を取得し、その補正ゲインK2をステップS45で決定したトルク低減量に乗ずることにより、トルク低減量を補正する。ブレーキ装置16が車両1に発生させているヨーモーメントの低下速度としては、ステップS46において推定したヨーモーメントの低下速度を用いることができる。
図10に示すように、ヨーモーメントの低下速度が閾値It未満の範囲では、補正ゲインK2は1であり、ヨーモーメントの低下速度が閾値It以上の範囲では、ヨーモーメントの低下速度が大きいほど、補正ゲインK2は大きくなるように設定されている。即ち、ブレーキ装置16が生じさせたヨーモーメントの低下速度が第3の値である場合、ヨーモーメントの低下速度が第3の値より小さい第4の値である場合よりも、トルク低減量は大きくなるように補正される。
ステップS48の後、PCM14は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
そして、時刻t2’において第2の制御により発生していたヨーモーメントが0になると(図9のステップS46:No)、PCM14はトルク低減量の補正を行わず、操舵速度に基づき設定したトルク低減量により第1の制御を実行する。その後、操舵速度が閾値S1未満になると(図9のステップS43:No)、第1の制御が終了する。
最後に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
上述した実施形態では、操舵角関連値として車両1の操舵角を用いて車両の姿勢制御を実行する例を示したが、操舵角に代えて、ヨーレートや横加速度に基づき姿勢制御を実行するようにしてもよい。これらの操舵角、ヨーレート、横加速度は、本発明における「操舵角関連値」の一例に相当する。
また、上述した実施形態では、旋回状態として車両1の操舵速度を用いて車両の姿勢制御を実行する例を示したが、操舵速度に代えて、ヨー加速度や横ジャークに基づき姿勢制御を実行するようにしてもよい。これらの操舵速度、ヨー加速度、横ジャークは、本発明における「旋回状態」の一例に相当する。
2 前輪
4 エンジン
6 ステアリングホイール
8 操舵角センサ
10 車速センサ
12 ヨーレートセンサ
14 PCM
16 ブレーキ装置
18 ブレーキ制御システム
20 液圧ポンプ
22 バルブユニット
24 液圧センサ
26 点火プラグ
28 自動変速機
30 クラッチ
32 ブレーキ
34 エアコン用コンプレッサ
Claims (7)
- 操舵装置と、駆動輪を駆動するためのトルクを生成する駆動源と、前記駆動源の生成トルクを制御する生成トルク制御機構と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能なブレーキ装置と、プロセッサとを備えた車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記車両の旋回状態に基づき、前記車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを前記車両に生じさせるように前記ブレーキ装置を制御し、
前記操舵装置の操舵角に関連する操舵角関連値が増大したとき、前記駆動源の生成トルクを低下させるように前記生成トルク制御機構を制御し、
前記ブレーキ装置がヨーモーメントを生じさせている場合には、当該ヨーモーメントに基づき、前記操舵角関連値が増大したときの前記駆動源の生成トルク低下量を変更するように構成されている、
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 前記プロセッサは、前記ブレーキ装置が生じさせたヨーモーメントが第1の値である場合、前記ブレーキ装置が生じさせたヨーモーメントが前記第1の値より小さい第2の値である場合よりも、前記操舵角関連値が増大したときの前記駆動源の生成トルク低下量を小さくするように構成されている、請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記プロセッサは、前記ブレーキ装置が生じさせたヨーモーメントの低下速度が第3の値である場合、前記ブレーキ装置が生じさせたヨーモーメントの低下速度が前記第3の値より小さい第4の値である場合よりも、前記操舵角関連値が増大したときの前記駆動源の生成トルク低下量を大きくするように構成されている、請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
- 前記プロセッサは、前記操舵角関連値が減少しているとき、前記設定したヨーモーメントを前記車両に生じさせるように前記ブレーキ装置を制御するように構成されている、請求項1から3の何れか1項に記載の車両の制御装置。
- 前記車両の旋回状態は、前記操舵装置の操舵角を検出する操舵角センサの検出値に基づき取得した操舵速度である、請求項1から4の何れか1項に記載の車両の挙動制御装置。
- 前記車両の旋回状態は、前記車両に実際に生じている実ヨーレートと、前記操舵装置の操舵角を検出する操舵角センサの検出値に基づき設定された目標ヨーレートとの差の変化速度である、請求項1から5の何れか1項に記載の車両の挙動制御装置。
- 前記プロセッサは、前記操舵装置が中立位置を跨いで操作された場合に、前記ブレーキ装置がヨーモーメントを生じさせているとき、当該ヨーモーメントに基づき、前記操舵角関連値が増大したときの前記駆動源の生成トルク低下量を変更するように構成されている、請求項1から6の何れか1項に記載の車両の制御装置。
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