JP6521497B1 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の姿勢制御のために、ステアリング操作に基づき減速度を車両に付与する制御とヨーモーメントを車両に付与する制御とを行う車両の制御装置において、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制する。【解決手段】車両1の制御装置は、駆動輪を駆動するためのトルクを生成するエンジン4と、エンジンの生成トルクを制御する生成トルク制御機構と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能なブレーキ装置16と、PCM14とを備え、PCMは、車両の旋回状態に基づき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りに設定したヨーモーメントを車両に生じさせるようにブレーキ装置を制御し、操舵角が増大したときエンジンの生成トルクを低下させるように生成トルク制御機構を制御し、設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置が制動力を生じている場合は、操舵角が増大したときのエンジンの生成トルク低下を抑制する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の制御装置に係わり、特に、操舵装置と、駆動輪を駆動するためのトルクを生成する駆動源と、駆動源の生成トルクを制御する生成トルク制御機構と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能なブレーキ装置と、プロセッサとを備えた車両の制御装置に関する。
従来、スリップ等により車両の挙動が不安定になった場合に、車両の挙動を安全方向に制御する技術(例えば横滑り防止装置)が知られている。具体的には、車両のコーナリング時等に、車両にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じたことを検出し、それらを抑制するように車輪に適切な減速度を付与するようにしたものが知られている。
また、上述したような車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御とは異なり、日常運転領域から稼動するハンドル操作に連係した加減速を自動的に行い、限界運転領域で横滑りを低減させるようにした車両の運動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特に、この特許文献1には、車両の前後方向の加減速を制御する第1のモードと、車両のヨーモーメントを制御する第2のモードと、を備えた車両の運動制御装置が開示されている。
特開2010−162911号公報
特許文献1に記載されたような第1のモードにて行われる制御(以下では適宜「第1の制御」と呼ぶ。)は、典型的には、操舵角が増大しているときに(すなわちステアリングホイールの切り込み操作が行われるとき)、車両に減速度を付与するように行われるものである。他方で、特許文献1に記載されたような第2のモードにて行われる制御(以下では適宜「第2の制御」と呼ぶ。)は、典型的には、操舵角が減少しているときに(すなわちステアリングホイールの切り戻し操作が行われるとき)、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを付与するように行われるものである。
ここで、例えば車両がS字コーナーを走行する場合、最初に、操舵角の増大時(切り込み操作時)に第1の制御が実行され、この後、操舵角の減少時(切り戻し操作時)に第2の制御が実行され、この後、操舵角の増大時(切り込み操作時)に第1の制御が更に実行される傾向にある。この場合、ステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わるときに、つまり操舵角が0を跨ぐときに、第2の制御から第1の制御へと適切に切り替わることが望ましいが、操舵角が0付近にあるときに第1及び第2の制御の両方が実行される可能性がある。すなわち、操舵角が0を跨いだ後も第2の制御が実行され続けた場合に、第2の制御が実行されている状態において第1の制御が重ねて実行されることとなる。
このように第1及び第2の制御の両方が実行されると、車両全体として制御介入が過剰な状態になり、ドライバに違和感を与える場合がある。例えば、S字コーナーにおいて、ステアリングホイールが左に操作されている状態から右に切り戻し操作されると、第2の制御により、車両を直進方向に向かせるように、つまり車両が右方向に向き易くするようにヨーモーメントが車両に付与される。この後、ステアリングホイールが中立位置(操舵角0)を跨いで右に切り込み操作されると、第1の制御により、車両が右方向に旋回し易くなるように減速度が車両に付与される。このような一連の状況において、第2の制御が実行されている最中に第1の制御が重ねて実行されると、車両を右方向に旋回させようとする制御が二重に適用されて、車両が右方向にオーバーステア状態となる可能性がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車両の姿勢制御のために、ステアリング操作に基づき減速度を車両に付与する制御とヨーモーメントを車両に付与する制御とを行う車両の制御装置において、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の車両の制御装置は、ステアリングホイールを備えた操舵装置と、ステアリングホイールの操作に対応する操舵角を検出する操舵角センサと、駆動輪を駆動するためのトルクを生成する駆動源と、駆動源の生成トルクを制御する生成トルク制御機構と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能なブレーキ装置と、プロセッサとを備えた車両の制御装置であって、ブレーキ装置は、ブレーキ液圧を利用して制動力を車輪に付与するよう構成され、プロセッサは、操舵角センサにより検出された操舵角に基づき、ステアリングホイールの切り戻し操作が判定されたとき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを車両に生じさせるようにブレーキ装置を制御し、操舵角センサにより検出された操舵角に基づき、ステアリングホイールの切り込み操作が判定されたとき、駆動源の生成トルクを低下させるように生成トルク制御機構を制御し、ステアリングホイールの切り戻し操作に応じてブレーキ装置により制動力が付与されている間に、操舵角が0を跨ぐことで、ステアリングホイールの切り込み操作が判定された場合には、駆動源の生成トルク低下を抑制するように構成されている、ことを特徴とする。
このように構成された本発明においては、ステアリングホイールの切り戻し操作に応じて、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを車両に生じさせるようにブレーキ装置が制動力を生じさせている間に、操舵角が0を跨ぐことで、ステアリングホイールの切り込み操作が判定された場合には、駆動源の生成トルク低下を抑制するので、生成トルク低下により減速度を車両に付与する制御と、旋回状態に基づきヨーモーメントを車両に付与する制御とが重ねて実行されることを抑制し、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
また、本発明において、好ましくは、プロセッサは、設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、生成トルク制御機構による駆動源の生成トルク低下の開始を遅延させるように構成されている。
このように構成された本発明においては、車両の旋回状態に基づき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを車両に生じさせるようにブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、駆動源の生成トルク低下の開始を遅延させるので、減速度を車両に付与する制御と、旋回状態に基づきヨーモーメントを車両に付与する制御とが重ねて実行される期間を短縮あるいは無くし、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
また、本発明において、好ましくは、プロセッサは、ステアリングホイールが切り込み操作され、且つ、操舵角に基づき設定される操舵速度が閾値以上となったとき、駆動源の生成トルクを低下させるように生成トルク制御機構を制御し、設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、そうでない場合よりも閾値を大きくするように構成されている。
このように構成された本発明においては、車両の旋回状態に基づき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを車両に生じさせるようにブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、駆動源の生成トルクを低下させる制御を開始する条件となる閾値を、そうでない場合の閾値よりも大きくすることにより、駆動源の生成トルクを低下させる制御が実行され難くなる。これにより、減速度を車両に付与する制御と、旋回状態に基づきヨーモーメントを車両に付与する制御とが重ねて実行される期間を短縮あるいは無くし、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
また、本発明において、好ましくは、プロセッサは、設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、そうでない場合よりも駆動源の生成トルク低下量を小さくするように構成されている。
このように構成された本発明においては、車両の旋回状態に基づき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを車両に生じさせるようにブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、そうでない場合よりも駆動源の生成トルク低下量を小さくするので、減速度を車両に付与する制御と、旋回状態に基づきヨーモーメントを車両に付与する制御とが重ねて実行されたときの駆動源の生成トルク低下の影響を縮小し、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
また、本発明において、好ましくは、プロセッサは、設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、駆動源の生成トルク低下を禁止するように構成されている。
このように構成された本発明においては、車両の旋回状態に基づき、車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを車両に生じさせるようにブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、駆動源の生成トルク低下を禁止するので、減速度を車両に付与する制御と、旋回状態に基づきヨーモーメントを車両に付与する制御とが重ねて実行されることを防止し、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
また、本発明において、好ましくは、車両の旋回状態は、車両に実際に生じている実ヨーレートと、操舵角センサの検出値に基づき設定された目標ヨーレートとの差の変化速度であるのがよい。
本発明による車両の制御装置によれば、車両の姿勢制御のために、ステアリング操作に基づき減速度を車両に付与する制御とヨーモーメントを車両に付与する制御とを行う車両の制御装置において、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを適切に抑制することができる。
本発明の実施形態による車両の制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両の制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による姿勢制御処理のフローチャートである。 本発明の第1実施形態による付加減速度設定処理のフローチャートである。 本発明の第1実施形態による付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。 本発明の第1実施形態による目標ヨーモーメント設定処理のフローチャートである。 本発明の第1実施形態による車両の制御装置を搭載した車両が旋回を行う場合の、車両姿勢制御に関するパラメータの時間変化を示したタイムチャートである。 本発明の第2実施形態による姿勢制御処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態による姿勢制御処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態による付加減速度設定処理のフローチャートである。 本発明の第4実施形態による付加減速度設定処理のフローチャートである 本発明の第3及び第4実施形態による付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両の制御装置を説明する。
<システム構成>
まず、図1により、本発明の実施形態による車両の制御装置を搭載した車両のシステム構成を説明する。図1は、本発明の実施形態による車両の制御装置を搭載した車両の全体構成を示すブロック図である。
図1において、符号1は、本実施形態による車両の制御装置を搭載した車両を示す。車両1の車体前部には、駆動輪(図1の例では左右の前輪2)を駆動する駆動源として、エンジン4が搭載されている。エンジン4は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃エンジンであり、本実施形態では点火プラグを有するガソリンエンジンである。
また、車両1は、ステアリングホイール6に連結されたステアリングコラム(図示せず)の回転角度を検出する操舵角センサ8、車速を検出する車速センサ10、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ12を有する。これらの各センサは、それぞれの検出値をPCM(Power-train Control Module)14に出力する。
また、車両1は、各車輪に設けられたブレーキ装置16のホイールシリンダやブレーキキャリパにブレーキ液圧を供給するブレーキ制御システム18を備えている。ブレーキ制御システム18は、各車輪に設けられたブレーキ装置16において制動力を発生させるために必要なブレーキ液圧を生成する液圧ポンプ20を備えている。液圧ポンプ20は、例えばバッテリから供給される電力で駆動され、ブレーキペダルが踏み込まれていないときであっても、各ブレーキ装置16において制動力を発生させるために必要なブレーキ液圧を生成することが可能となっている。また、ブレーキ制御システム18は、各車輪のブレーキ装置16への液圧供給ラインに設けられた、液圧ポンプ20から各車輪のブレーキ装置16へ供給される液圧を制御するためのバルブユニット22(具体的にはソレノイド弁)を備えている。例えば、バッテリからバルブユニット22への電力供給量を調整することによりバルブユニット22の開度が変更される。また、ブレーキ制御システム18は、液圧ポンプ20から各車輪のブレーキ装置16へ供給される液圧を検出する液圧センサ24を備えている。液圧センサ24は、例えば各バルブユニット22とその下流側の液圧供給ラインとの接続部に配置され、各バルブユニット22の下流側の液圧を検出し、検出値をPCM(Power-train Control Module)14に出力する。
ブレーキ制御システム18は、PCM14から入力された制動力指令値や液圧センサ24の検出値に基づき、各車輪のホイールシリンダやブレーキキャリパのそれぞれに独立して供給する液圧を算出し、それらの液圧に応じて液圧ポンプ20の回転数やバルブユニット22の開度を制御する。
次に、図2により、本発明の実施形態による車両の制御装置の電気的構成を説明する。図2は、本発明の実施形態による車両の制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
本実施形態によるPCM14(車両の制御装置)は、上述したセンサ8〜12、24の検出信号の他、エンジン4の運転状態を検出する各種センサが出力した検出信号に基づいて、エンジン4の生成トルク制御機構として機能するエンジン4の各部(例えば、スロットルバルブ、ターボ過給機、可変バルブ機構、点火装置、燃料噴射弁、EGR装置等)及びブレーキ制御システム18に対する制御を行うべく、制御信号を出力する。
PCM14及びブレーキ制御システム18は、それぞれ、1つ以上のプロセッサ、当該プロセッサ上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
詳細は後述するが、PCM14及びブレーキ制御システム18は本発明における車両の制御装置に相当する。
<車両の姿勢制御>
(第1実施形態)
次に、車両の制御装置が実行する具体的な制御内容を説明する。
まず、図3により、本発明の第1実施形態において車両の制御装置が行う姿勢制御処理の全体的な流れを説明する。図3は、本発明の第1実施形態による姿勢制御処理のフローチャートである。
図3の姿勢制御処理は、車両1のイグニッションがオンにされ、車両の制御装置に電源が投入された場合に起動され、所定周期(例えば50ms)で繰り返し実行される。
姿勢制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM14は車両1の運転状態に関する各種センサ情報を取得する。具体的には、PCM14は、操舵角センサ8が検出した操舵角、車速センサ10が検出した車速、ヨーレートセンサ12が検出したヨーレート、液圧センサ24が検出した液圧、車両1の変速機に現在設定されているギヤ段等を含む、上述した各種センサが出力した検出信号を運転状態に関する情報として取得する。
次に、ステップS2において、PCM14は、ステップS1において取得されたアクセルペダルの操作を含む車両1の運転状態に基づき、目標加速度を設定する。具体的には、PCM14は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して現在のアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次に、ステップS3において、PCM14は、ステップS2において決定した目標加速度を実現するためのエンジン4の基本目標トルクを決定する。この場合、PCM14は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン4が出力可能なトルクの範囲内で、基本目標トルクを決定する。
また、ステップS2及びS3の処理と並行して、ステップS4において、PCM14は付加減速度設定処理を実行し、操舵角に関連する値(操舵角関連値)に基づき、車両1に減速度を発生させることで車両姿勢を制御するために必要なトルク低減量を決定する。本実施形態では、操舵角関連値として操舵角を用いる場合を説明する。付加減速度設定処理の詳細は後述する。
次に、ステップS5において、PCM14は、目標ヨーモーメント設定処理を実行し、車両1の旋回状態に基づき車両姿勢を制御するために車両1に付与すべき目標ヨーモーメントを設定する。本実施形態では、旋回状態として操舵速度を用いる場合を説明する。目標ヨーモーメント設定処理の詳細は後述する。
ステップS3及びS5の処理の後、ステップS6において、PCM14は、目標ヨーモーメント設定処理で設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置16が制動力を生じさせ、ヨーモーメントが発生しているか否かを判定する。
例えば、PCM14は、液圧センサ24の検出値から各車輪のブレーキ装置16に供給される液圧を取得し、その取得した液圧に基づいてブレーキ装置16が車両1に発生させているヨーモーメントを推定する。そして、推定したヨーモーメントが所定の閾値以上である場合、ヨーモーメントが発生していると判定する。
その結果、ヨーモーメントが発生している場合、ステップS7に進み、PCM14は、操舵角センサ8の検出値に基づき、操舵角が0度を跨いで変化したか否か(即ち、ステアリングホイール6が中立位置を跨ぐように操作されたか否か)を判定する。
その結果、操舵角が0度を跨いで変化した場合、ステップS8に進み、PCM14は、ステップS3において決定した基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとして決定する。
一方、ステップS6においてヨーモーメントが発生していないと判定した場合、又は、ステップS7において操舵角が0度を跨いで変化していないと判定した場合には、ステップS9に進み、PCM14は、ステップS3において決定した基本目標トルクと、ステップS4において決定したトルク低減量に基づき、最終目標トルクを決定する。例えば、PCM14は、基本目標トルクからトルク低減量を減算した値を最終目標トルクとする。
ステップS8又はS9の後、ステップS10に進み、PCM14は、ステップS8又はS9において設定した最終目標トルクを出力させるようにエンジン4を制御する。具体的には、PCM14は、ステップS8又はS9において設定した最終目標トルクと、エンジン回転数とに基づき、最終目標トルクを実現するために必要となる各種状態量(例えば、空気充填量、燃料噴射量、吸気温度、酸素濃度等)を決定し、それらの状態量に基づき、エンジン4の各構成要素のそれぞれを駆動する各アクチュエータを制御する。この場合、PCM14は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定して制御を実行する。
より詳細には、エンジン4がガソリンエンジンである場合、PCM14は、ステップS9において基本目標トルクからトルク低減量を減算することにより最終目標トルクが決定された場合、点火プラグ24の点火時期を、ステップS8において基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとしたときの点火時期よりも遅角させる(リタードする)ことにより、エンジン4の生成トルクを低下させる。
また、エンジン4がディーゼルエンジンである場合、PCM14は、ステップS9において基本目標トルクからトルク低減量を減算することにより最終目標トルクが決定された場合、燃料噴射量を、ステップS8において基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとしたときの燃料噴射量よりも減少させることにより、エンジン4の生成トルクを低下させる。
このようなPCM14により行われるエンジン4の生成トルクを低下させる制御は、上述した「第1の制御」に相当する。
次に、ステップS11において、ブレーキ制御システム18は、ステップS5において設定された目標ヨーモーメントを車両1に付与するようにブレーキ装置16を制御する。ブレーキ制御システム18は、ヨーモーメント指令値と液圧ポンプ20の回転数との関係を規定したマップを予め記憶しており、このマップを参照することにより、ステップS5の目標ヨーモーメント設定処理において設定されたヨーモーメント指令値に対応する回転数で液圧ポンプ20を作動させる(例えば、液圧ポンプ20への供給電力を上昇させることにより、制動力指令値に対応する回転数まで液圧ポンプ20の回転数を上昇させる)。
また、ブレーキ制御システム18は、例えば、ヨーモーメント指令値とバルブユニット22の開度との関係を規定したマップを予め記憶しており、このマップを参照することにより、ヨーモーメント指令値に対応する開度となるようにバルブユニット22を個々に制御し(例えば、ソレノイド弁への供給電力を上昇させることにより、制動力指令値に対応する開度までソレノイド弁の開度を増大させる)、各車輪の制動力を調整する。
このようなブレーキ制御システム18により行われる制御は、上述した「第2の制御」に相当する。
ステップS11の後、PCM14は、姿勢制御処理を終了する。
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第1実施形態における付加減速度設定処理について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による付加減速度設定処理のフローチャートであり、図5は、本発明の第1実施形態による付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。
付加減速度設定処理が開始されると、ステップS21において、PCM14は、ステアリングホイール6の切り込み操作中(即ち操舵角(絶対値)が増大中)か否かを判定する。
その結果、切り込み操作中である場合、ステップS22に進み、PCM14は、図3の姿勢制御処理のステップS1において操舵角センサ8から取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
次に、ステップS23において、PCM14は、操舵速度が所定の閾値S1以上であるか否かを判定する。
その結果、操舵速度が閾値S1以上である場合、ステップS24に進み、PCM14は、操舵速度に基づき付加減速度を設定する。この付加減速度は、ドライバの意図に沿って車両姿勢を制御するために、ステアリング操作に応じて車両に付加すべき減速度である。
具体的には、PCM14は、図5のマップに示す付加減速度と操舵速度との関係に基づき、ステップS22において算出した操舵速度に対応する付加減速度を設定する。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値S1未満である場合、対応する付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S1未満である場合、PCM14は、ステアリング操作に基づき車両1に減速度を付加するための制御(具体的にはエンジン4の生成トルクの低減)を行わない。
一方、操舵速度が閾値S1以上である場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加減速度は、所定の上限値Dmaxに漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。この上限値Dmaxは、ステアリング操作に応じて車両1に減速度を付加しても、制御介入があったとドライバが感じない程度の減速度に設定される(例えば0.5m/s2≒0.05G)。
さらに、操舵速度が閾値S1よりも大きい閾値S2以上の場合には、付加減速度は上限値Dmaxに維持される。
次に、ステップS25において、PCM14は、ステップS24で設定した付加減速度に基づき、トルク低減量を決定する。具体的には、PCM14は、エンジン4の生成トルクの低下により付加減速度を実現するために必要となるトルク低減量を、ステップS1において取得された現在の車速、ギヤ段、路面勾配等に基づき決定する。
ステップS25の後、PCM14は付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
また、ステップS21において、ステアリングホイール6の切り込み操作中ではない場合、又は、ステップS23において、操舵速度が閾値S1未満である場合、PCM14は、付加減速度の設定を行うことなく付加減速度設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。この場合、トルク低減量は0となる。
次に、図6により、目標ヨーモーメント設定処理について説明する。
図6に示すように、目標ヨーモーメント設定処理が開始されると、ステップS31において、PCM14は、図3の姿勢制御処理のステップS1において取得した操舵角及び車速に基づき目標ヨーレート及び目標横ジャークを算出する。
具体的には、PCM14は、車速に応じた係数を操舵角に乗ずることにより目標ヨーレートを算出する。また、PCM14は、操舵速度及び車速に基づき目標横ジャークを算出する。
次に、ステップS32において、PCM14は、図3の姿勢制御処理のステップS1において取得したヨーレートセンサ12が検出したヨーレート(実ヨーレート)とステップS31で算出した目標ヨーレートとの差(ヨーレート差)Δγを算出する。
次に、ステップS33において、PCM14は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中(即ち操舵角が減少中)であり、且つ、ヨーレート差Δγを時間微分することで得られるヨーレート差の変化速度Δγ′が所定の閾値Y1以上であるか否かを判定する。
その結果、切り戻し操作中且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上である場合、ステップS34に進み、PCM14は、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。具体的には、PCM14は、所定の係数Cm1をヨーレート差の変化速度Δγ′に乗ずることにより、目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
一方、ステップS33において、ステアリングホイール6の切り戻し操作中ではない(即ち操舵角が一定又は増大中である)場合、ステップS35に進み、PCM14は、ヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向(即ち車両1の挙動がオーバーステアとなる方向)であり且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上であるか否かを判定する。具体的には、PCM14は、目標ヨーレートが実ヨーレート以上の状況の下でヨーレート差が減少している場合や、目標ヨーレートが実ヨーレート未満の状況の下でヨーレート差が増大している場合に、ヨーレート差の変化速度Δγ′は実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向であると判定する。
その結果、ヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向であり且つヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1以上である場合、ステップS34に進み、PCM14は、ヨーレート差の変化速度Δγ′に基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして設定する。
ステップS34の後、又は、ステップS35においてヨーレート差の変化速度Δγ′が実ヨーレートが目標ヨーレートより大きくなる方向ではないかヨーレート差の変化速度Δγ′が閾値Y1未満である場合、ステップS36に進み、PCM14は、ステアリングホイール6の切り戻し操作中(即ち操舵角が減少中)であり、且つ、操舵速度が所定の閾値S3以上であるか否かを判定する。
その結果、切り戻し中且つ操舵速度が閾値S3以上である場合、ステップS37に進み、PCM14は、ステップS31で算出した目標横ジャークに基づき、車両1の実ヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを第2の目標ヨーモーメントとして設定する。
具体的には、PCM14は、所定の係数Cm2を目標横ジャークに乗ずることにより、第2の目標ヨーモーメントの大きさを算出する。
ステップS37の後、又は、ステップS36においてステアリングホイール6の切り戻し操作中ではない(即ち操舵角が一定又は増大中である)か操舵速度が閾値S3未満である場合、ステップS38に進み、PCM14は、ステップS34で設定した目標ヨーモーメントとステップS37で設定した第2の目標ヨーモーメントとの内、大きい方をヨーモーメント指令値に設定する。
ステップS38の後、PCM14は目標ヨーモーメント設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
次に、図7により、本発明の第1実施形態による車両の制御装置の作用を説明する。図7は、本発明の第1実施形態による車両の制御装置を搭載した車両が旋回を行う場合の、車両姿勢制御に関するパラメータの時間変化を示したタイムチャートである。図7において、チャート(a)は旋回を行う車両の操舵角を示し、チャート(b)は操舵速度を示し、チャート(c)は操舵速度に基づき設定された目標横ジャークを示し、チャート(d)は目標ヨーモーメント設定処理で設定された目標ヨーモーメントに基づき車両1に発生しているヨーモーメントを示し、チャート(e)は姿勢制御処理で設定された最終目標トルクを示している。
図7のチャート(a)に示すように、ステアリングホイール6がある操舵角で維持されている状態から、時刻t1において切り戻し操作が開始され、時刻t2において操舵角が0度を跨いでステアリング操作が切り込み操作に切り替わり、時刻t3以降は操舵角が一定に維持される状況を想定する。
この場合、切り戻し操作が開始された時刻t1において、車両1の姿勢制御のための目標ヨーモーメントが設定され、車両1にヨーモーメントを付与する第2の制御が開始される(チャート(d)参照)。典型的な例では、ステアリング操作が切り戻し操作であり、且つ、操舵速度が閾値S3以上であるという条件が成立して(図6のステップS36:Yes)、PCM14が、目標横ジャークに基づき(第2の)目標ヨーモーメントを設定する(図6のステップS37)。その後、時刻t2においてステアリング操作が切り込み操作に切り替わると、(第2の)目標ヨーモーメントを設定する条件が満たされなくなるので(図6のステップS36:No)、PCM14は目標ヨーモーメントを0に設定する。しかしながら、ブレーキ液圧を0にする指令(換言するとブレーキ液圧をリリースする指令)が出されてから、ブレーキ液圧が実際に車輪に制動力が付与されない液圧(キャリパ無効液圧)未満になるまでの間に、応答遅れが存在する。つまり、ブレーキ装置16による車輪への制動力の付与を終了する指令が出されてから、ブレーキ装置16による制動力の付与が実際に終了するまでの間に、応答遅れが存在する。これは、ブレーキ装置16には、脈動低減目的のオリフィス等に起因するブレーキ液圧の低減遅れ(減圧遅れ)が存在するため、指令後直ちにブレーキパッドをリリースできずに所謂ブレーキ残りが生じるからである。
そのため、チャート(d)に示すように、時刻t2において操舵角が0になった時には直ちにブレーキ装置16によるヨーモーメントの制動力の付与が終了しないので、第2の制御による車両1へのヨーモーメントの付与が終了しない。よって、操舵角が0を跨いだ後も、つまりステアリング操作が切り戻し操作から切り込み操作へと切り替わった後の時刻t2’までヨーモーメントが発生し続ける。
ステアリング操作が切り込み操作に切り替わった時刻t2において、車両1の姿勢制御のための付加減速度が設定される。ここで、チャート(e)に破線で示すように、付加減速度に基づき決定したトルク低減量をエンジン4の生成トルクから減少させる第2の制御を、時刻t2において直ちに開始すると、第2の制御により発生しているヨーモーメントが0となる時刻t2’までの間は、ヨーモーメントの発生と減速度の発生とが重複してしまう。
これに対し、本実施形態では、第2の制御によりヨーモーメントが発生している間は(図3のステップS6:Yes)、PCM14が基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとして設定することにより(図3のステップS8)、エンジン4の生成トルクを低下させないようにする(つまりエンジン4の生成トルク低下を禁止する)ので、第2の制御が実行されている状態において第1の制御が重ねて実行されることが抑制される。
そして、時刻t2において第2の制御により発生していたヨーモーメントが0になると(図3のステップS6:No)、PCM14は基本目標トルクからトルク低減量を減算した値を最終目標トルクとして設定する(図3のステップS9)ので、第2の制御が実行されていない状態において第1の制御が開始される。その後、操舵速度が閾値S1未満になると(図4のステップS23:No)、第1の制御が終了する。
以上のように、本発明の第1実施形態によれば、目標ヨーモーメント設定処理において設定したヨーモーメントに基づく制御により、ブレーキ装置16が制動力を生じさせ、車両1にヨーモーメントが発生している場合には、ステアリングホイール6の切り込み操作により操舵角が増大したときのエンジン4の生成トルク低下を抑制するので、操舵角が増大しているときに減速度を車両に付与する第1の制御と、操舵角が減少しているときにヨーモーメントを車両に付与する第2の制御とが重ねて実行されることを防止し、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。図8は本発明の第2実施形態による姿勢制御処理のフローチャートである。なお、第2実施形態では、姿勢制御処理の一部を除き第1実施形態と同一の構成を有するためこのような箇所については詳細な説明を省略する。
図8に示す第2実施形態による姿勢制御処理のステップS41からS47及びS50からS53は、図3に示した第1実施形態による姿勢制御処理のステップS1からS7及びステップS8からS11とそれぞれ同様である。
ステップS47において、操舵角が0度を跨いで変化したと判定した場合、ステップS48に進み、PCM14は、付加減速度設定処理において付加減速度が設定され、その付加減速度に基づきトルク低減量が決定されているか否かを判定する。
その結果、トルク低減量が決定されている場合、ステップS49に進み、PCM14は、操舵角が0を跨いでから所定時間が未経過であるか否かを判定する。
その結果、操舵角が0を跨いでから所定時間が未経過である場合、ステップS8に進み、PCM14は、ステップS3において決定した基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとして決定する。また、ステップS48において、トルク低減量が決定されていない(つまり操舵角が増大しているときに減速度を車両に付与する第1の制御が行われない)場合にも、PCM14は、ステップS3において決定した基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとして決定する。
一方、ステップS46においてヨーモーメントが発生していないと判定した場合、ステップS47において操舵角が0度を跨いで変化していないと判定した場合、または、ステップS49において操舵角が0を跨いでから所定時間が経過したと判定した場合には、ステップS51に進み、PCM14は、ステップS43において決定した基本目標トルクと、ステップS44において決定したトルク低減量に基づき、最終目標トルクを決定する。
この第2実施形態では、操舵角が0度を跨いで変化し、ステアリング操作が切り込み操作に切り替わった後も第2の制御によりヨーモーメントが発生している状態において、付加減速度設定処理でトルク低減量が決定された場合には、操舵角が0を跨いでから所定時間が経過するまでPCM14が基本目標トルクをそのまま最終目標トルクとして設定することにより(図8のステップS50)、エンジン4の生成トルクを低下させないようにする。そして、操舵角が0を跨いでから所定時間が経過した後、エンジン4の生成トルクの低下を開始する。つまり、第2の制御によりヨーモーメントが発生している場合には、エンジン4の生成トルク低下の開始を所定時間遅延させるので、操舵角が増大しているときに減速度を車両に付与する第1の制御と、操舵角が減少しているときにヨーモーメントを車両に付与する第2の制御とが重ねて実行される期間を短縮あるいは無くし、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
(第3実施形態及び第4実施形態)
次に、図9から図12を参照して、本発明の第3実施形態及び第4実施形態を説明する。なお、第3実施形態及び第4実施形態では、第1実施形態と同一の構成を有する箇所が有るためこのような箇所については詳細な説明を省略する。
まず、図9を参照して、第3実施形態及び第4実施形態の姿勢制御処理を説明する。図9は本発明の第3実施形態及び第4実施形態による姿勢制御処理のフローチャートである。
図9に示す姿勢制御処理のステップS61からS65及びS67からS68は、図3に示した第1実施形態による姿勢制御処理のステップS1からS5及びステップS10からS11とそれぞれ同様である。
ステップS63及びS65の処理の後、ステップS66において、PCM14は、ステップS63において決定した基本目標トルクと、ステップS64において決定したトルク低減量に基づき、最終目標トルクを決定する。例えば、PCM14は、基本目標トルクからトルク低減量を減算した値を最終目標トルクとする。
次に、図10及び図12を参照して、第3実施形態の付加減速度設定処理を説明する。図10は本発明の第3実施形態による付加減速度設定処理のフローチャートであり、図12は本発明の第3及び第4実施形態による付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。
なお、図10に示す付加減速度設定処理のステップS75からS79は、図4に示した第1実施形態による付加減速度設定処理のステップS21からS25と同様である。
図10に示すように、付加減速度設定処理が開始されると、ステップS71において、PCM14は、目標ヨーモーメント設定処理で設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置16が制動力を生じさせ、ヨーモーメントが発生しているか否かを判定する。
例えば、PCM14は、液圧センサ24の検出値から各車輪のブレーキ装置16に供給される液圧を取得し、その取得した液圧に基づいてブレーキ装置16が車両1に発生させているヨーモーメントを推定する。そして、推定したヨーモーメントが所定の閾値以上である場合、ヨーモーメントが発生していると判定する。
その結果、ヨーモーメントが発生している場合、ステップS72に進み、PCM14は、操舵角センサ8の検出値に基づき、操舵角が0度を跨いで変化したか否か(即ち、ステアリングホイール6が中立位置を跨ぐように操作されたか否か)を判定する。
ステップS71においてヨーモーメントが発生していないと判定した場合、又は、ステップS72において操舵角が0度を跨いで変化していないと判定した場合には、ステップS74に進み、PCM14は、操舵角が増大しているときに減速度を車両1に付与する第1の制御を開始する操舵速度の閾値としてS1を設定する。
一方、ステップS72において、操舵角が0度を跨いで変化したと判定した場合、ステップS73に進み、PCM14は、第1の制御を開始する操舵速度の閾値として、S1よりも大きいS4を設定する。
この場合、図12に示すように、操舵速度が閾値S4未満である場合、対応する付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S4未満である場合、PCM14は、ステアリング操作に基づき車両1に減速度を付加するための制御(具体的にはエンジン4の生成トルクの低減)を行わない。一方、図12に一点鎖線で示すように、操舵速度が閾値S4以上である場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加減速度は、所定の上限値Dmaxに漸近する。
この第3実施形態では、操舵角が0度を跨いで変化し、ステアリング操作が切り込み操作に切り替わった後も第2の制御によりヨーモーメントが発生している場合には、操舵角が増大しているときに減速度を車両1に付与する第1の制御を開始する操舵速度の閾値を、第2の制御によりヨーモーメントが発生してない場合の閾値S1よりも大きいS4に設定している。つまり、第2の制御によりヨーモーメントが発生している場合には、エンジン4の生成トルクを低下させる第1の制御が実行され難くなるので、操舵角が増大しているときに減速度を車両に付与する第1の制御と、操舵角が減少しているときにヨーモーメントを車両に付与する第2の制御とが重ねて実行される期間を短縮あるいは無くし、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
次に、図11及び図12を参照して、第4実施形態の付加減速度設定処理を説明する。図11は本発明の第4実施形態による付加減速度設定処理のフローチャートである。
なお、図11に示す付加減速度設定処理のステップS85からS89は、図4に示した第1実施形態による付加減速度設定処理のステップS21からS25と同様である。
図11に示すように、付加減速度設定処理が開始されると、ステップS81において、PCM14は、目標ヨーモーメント設定処理で設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置16が制動力を生じさせ、ヨーモーメントが発生しているか否かを判定する。
その結果、ヨーモーメントが発生している場合、ステップS82に進み、PCM14は、操舵角センサ8の検出値に基づき、操舵角が0度を跨いで変化したか否か(即ち、ステアリングホイール6が中立位置を跨ぐように操作されたか否か)を判定する。
その結果、操舵角が0度を跨いで変化したと判定した場合、ステップS83に進み、PCM14は、操舵速度に基づいて付加減速度を設定する場合の、操舵速度の増加に対応する付加減速度の増加率を、相対的に小さい値に設定する。
一方、ステップS81においてヨーモーメントが発生していないと判定した場合、又は、ステップS82において操舵角が0度を跨いで変化していないと判定した場合には、ステップS84に進み、PCM14は、操舵速度の増加に対応する付加減速度の増加率を、相対的に大きい値に設定する。
即ち、目標ヨーモーメント設定処理で設定したヨーモーメントに基づく制御によりブレーキ装置16が制動力を生じさせ、ヨーモーメントが発生しており(図11のステップS81:Yes)、操舵角が0度を跨いで変化した場合(図11のステップS82:Yes)には、図12に示すように、操舵速度の増加に対応する付加減速度の増加率(図12における破線の傾き)が、ヨーモーメントが発生していないか操舵角が0度を跨いで変化していないときの増加率(図12における実線の傾き)よりも小さくなるので、同じ操舵速度に対して設定される付加減速度が小さくなる(つまりエンジン4の生成トルク低下量が小さくなる)。
このように、第4実施形態では、操舵角が0度を跨いで変化し、ステアリング操作が切り込み操作に切り替わった後も第2の制御によりヨーモーメントが発生している場合には、操舵角が増大しているときに減速度を車両1に付与する第1の制御によるエンジン4の生成トルク低下量を、第2の制御によりヨーモーメントが発生してない場合の生成トルク低下量よりも小さくしている。つまり、第2の制御によりヨーモーメントが発生している場合には、そうでない場合よりもエンジン4の生成トルクの低下量が小さくなるので、操舵角が増大しているときに減速度を車両に付与する第1の制御と、操舵角が減少しているときにヨーモーメントを車両に付与する第2の制御とが重ねて実行されるときの第1の制御の影響を低下させ、車両全体として制御介入が過剰な状態になることを抑制することができる。
<変形例>
最後に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
上述した実施形態では、操舵角関連値として車両1の操舵角を用いて車両の姿勢制御を実行する例を示したが、操舵角に代えて、ヨーレートや横加速度に基づき姿勢制御を実行するようにしてもよい。これらの操舵角、ヨーレート、横加速度は、本発明における「操舵角関連値」の一例に相当する。
また、上述した実施形態では、旋回状態として車両1の操舵速度を用いて車両の姿勢制御を実行する例を示したが、操舵速度に代えて、ヨー加速度や横ジャークに基づき姿勢制御を実行するようにしてもよい。これらの操舵速度、ヨー加速度、横ジャークは、本発明における「旋回状態」の一例に相当する。
上述した実施形態では、PCM14は、エンジン4の生成トルクの低下により車両1に減速度を発生させると説明したが、エンジン4の生成トルクの低下と共に、あるいはそれに代えて、オルタネータを回転させ発電させることによる回生ブレーキの制動力、自動変速機の変速比を低速側に変更する(ダウンシフト等)ことによるアクセルペダルが踏み込まれていないときのエンジンブレーキの制動力、自動変速機28内部のクラッチ30やブレーキ32の締結度合を低下させる(よりスリップさせる)ことによる車両駆動力の低下、エアコン用コンプレッサ34等のエンジン4により駆動されるエンジン補機類の回転抵抗等により、車両1に減速度を発生させても良い。
1 車両
2 前輪
4 エンジン
6 ステアリングホイール
8 操舵角センサ
10 車速センサ
12 ヨーレートセンサ
14 PCM
16 ブレーキ装置
18 ブレーキ制御システム
20 液圧ポンプ
22 バルブユニット
24 液圧センサ
26 点火プラグ
28 自動変速機
30 クラッチ
32 ブレーキ
34 エアコン用コンプレッサ

Claims (6)

  1. ステアリングホイールを備えた操舵装置と、前記ステアリングホイールの操作に対応する操舵角を検出する操舵角センサと、駆動輪を駆動するためのトルクを生成する駆動源と、前記駆動源の生成トルクを制御する生成トルク制御機構と、左右の車輪に異なる制動力を付与可能なブレーキ装置と、プロセッサとを備えた車両の制御装置であって、
    前記ブレーキ装置は、ブレーキ液圧を利用して制動力を車輪に付与するよう構成され、
    前記プロセッサは、
    前記操舵角センサにより検出された前記操舵角に基づき、前記ステアリングホイールの切り戻し操作が判定されたとき、前記車両に発生しているヨーレートとは逆回りのヨーモーメントを設定し、当該設定したヨーモーメントを前記車両に生じさせるように前記ブレーキ装置を制御し、
    前記操舵角センサにより検出された前記操舵角に基づき、前記ステアリングホイールの切り込み操作が判定されたとき、前記駆動源の生成トルクを低下させるように前記生成トルク制御機構を制御し、
    前記ステアリングホイールの切り戻し操作に応じて前記ブレーキ装置により制動力が付与されている間に、前記操舵角が0を跨ぐことで、前記ステアリングホイールの切り込み操作が判定された場合には、前記駆動源の生成トルク低下を抑制するように構成されている、ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記プロセッサは、前記設定したヨーモーメントに基づく制御により前記ブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、前記生成トルク制御機構による前記駆動源の生成トルク低下の開始を遅延させるように構成されている、
    請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記プロセッサは、
    前記ステアリングホイールが切り込み操作され、且つ、前記操舵角に基づき設定される操舵速度が閾値以上となったとき、前記駆動源の生成トルクを低下させるように前記生成トルク制御機構を制御し、
    前記設定したヨーモーメントに基づく制御により前記ブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、そうでない場合よりも前記閾値を大きくするように構成されている、請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記プロセッサは、前記設定したヨーモーメントに基づく制御により前記ブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、そうでない場合よりも前記駆動源の生成トルク低下量を小さくするように構成されている、請求項1から3の何れか1項に記載の車両の制御装置。
  5. 前記プロセッサは、前記設定したヨーモーメントに基づく制御により前記ブレーキ装置が制動力を生じさせている場合には、前記駆動源の生成トルク低下を禁止するように構成されている、請求項1に記載の車両の制御装置。
  6. 前記車両の旋回状態は、前記車両に実際に生じている実ヨーレートと、前記操舵角センサの検出値に基づき設定された目標ヨーレートとの差の変化速度である、請求項1からの何れか1項に記載の車両の挙動制御装置。
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