JP2008049792A - 二輪車のシート装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックレストが後部に設けられるフロントシートの後方に、フロントシートと別体であるリヤシートが配置され、フロントシートおよびリヤシートの少なくとも一方の前後方向位置を調節可能とした二輪車のシート装置において、少なくとも一方の前後方向位置を調節可能としたフロントシートおよびリヤシートの着座面積を犠牲にすることなく、両シートのいずれにおいても快適性が得られるようにする。
【解決手段】バックレスト36の後部が、リヤシート35の前部に上方からの平面視では上方から重なるように配置されるとともに、フロントシート34およびリヤシート35の幅方向に沿う中央部が前記平面視で後方に向けて突出した円弧状に形成される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、バックレストが後部に設けられるフロントシートの後方に、前記フロントシートと別体であるリヤシートが配置され、前記フロントシートおよび前記リヤシートの少なくとも一方の前後方向位置を調節可能とした二輪車のシート装置に関する。
車体フレームに固定されたフロントシートの後方に、フロントシートとは別体であるリヤシートが前後位置を調節可能として配置されるものが、たとえば特許文献1で知られている。
実開昭62−111287号公報
ところで、上記特許文献1で開示されたシート装置では、リヤシートの前部にフロントシートの後部が上方から段差をなして重なるように配置されており、このようなものでは、リヤシートの前後位置調節に伴ってフロントシートの着座面積が狭くなることがあり、フロントシートおよびリヤシートの両方で快適性を得ることが難しかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、少なくとも一方の前後方向位置を調節可能としたフロントシートおよびリヤシートの着座面積を犠牲にすることなく、両シートのいずれにおいても快適性が得られるようにした二輪車のシート装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、バックレストが後部に設けられるフロントシートの後方に、該フロントシートと別体であるリヤシートが配置され、前記フロントシートおよび前記リヤシートの少なくとも一方の前後方向位置を調節可能とした二輪車のシート装置において、前記バックレストの後部が、前記リヤシートの前部に上方からの平面視では上方から重なるように配置されるとともに、前記フロントシートおよび前記リヤシートの幅方向に沿う中央部が前記平面視で後方に向けて突出した円弧状に形成されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記バックレストの両側に、相互間の間隔を可変とした可動式のサイドサポートが配設されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記フロントシート、前記バックレストおよび前記両サイドサポートを支持するシート支持部材が、弾性部材を介して車体フレームに取付けられることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明の構成に加えて、取り外しを可能とした前記バックレストの下方に、前記サイドサポートの位置を調節するためのサイドサポート調節機構の操作部が前記バックレストで覆われるようにして配置されることを特徴とする。
さらに請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前後方向位置を調節可能とした前記フロントシートと、該フロントシートの前方に配置される前方配置部品との間に、車体内部が外部に露出することを防止するためのカバー部材が配設されることを特徴とする。
なお実施例の管状ブッシュ67,70が請求項3記載の弾性部材に対応し、実施例のエアクリーナ27が請求項5記載の発明の「前方配置部品」に対応する。
請求項1記載の発明によれば、バックレストの後部がリヤシートの前部に上方からの平面視では上方から重なるように配置されており、フロントシートおよびリヤシートの少なくとも一方の前後位置を調整したときに、バックレストの後部およびリヤシートの前部の重なり量が変化するものの、フロントシートおよびリヤシートの幅方向に沿うバックレストの中央部が平面視で後方に向けて突出した円弧状に形成されているので、重なる部分をリヤシートに座った同乗者の股部に対応する部分として着座面積に影響が及ばないように設定することができ、着座面積を犠牲にすることなく、フロントシートおよびリヤシートの両方で快適性を確保することができる。
また請求項2記載の発明によれば、フロントシートに着座する乗員の体格に応じてサイドサポートを最適な位置に調整することができるだけでなく、リヤシートに座る同乗者の着座状態に応じてサイドサポートを可動調整することにより着座面積の拡大を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、車体側からの振動がフロントシート上の乗員に伝わり難くなるだけでなく、リヤシートに座る同乗者が接触するバックレストおよびサイドサポートへの振動伝達も抑制して、快適性をより一層高めることができる。
請求項4記載の発明によれば、サイドサポート調節機構の操作部が外部に露出しないので、乗員または同乗者が前記操作部に触れることによる着座性の低下および外観性の低下を回避しつつ、バックレストの取り外しによって操作部を簡単に操作することが可能となる。
さらに請求項5記載の発明によれば、フロントシートの前後位置調節によって、フロントシートと、該フロントシートの前方に配置される前方配置部品との間で車体内部が外部に露出することを防止することができ、二輪車へのいたずらや外観性の低下を回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図12は本発明の第1実施例を示すものであり、図は自動二輪車の側面図、図2は図1の2矢視平面図、図3は図2の3−3線断面図、図4はフロントシート、バックレストおよびサイドサポートを省略した状態での図3の4矢視図、図5は図4の5−5線断面図、図6はバックレストの背部を後方側から見た斜視図、図7はフロントシートの前後位置を前方側に当接した状態での図4に対応した図、図8は図2の8−8線断面図、図9は図8の9−9線断面図、図10はサイドサポート調節機構の操作部を図3の10矢視方向から見た拡大図、図11はサイドサポート調節機構によって両サイドサポート間を広げた状態での図8に対応した断面図、図12は図3の12−12線拡大断面図である。
先ず図1において、前輪WFを軸支するフロントフォーク15ならびに該フロントフォーク15に連結される操向ハンドル16を操向可能に支承するヘッドパイプ17と、該ヘッドパイプ17から後ろ下がりに延びる左右一対のダウンパイプ18…と、それらのダウンパイプ18…の下方で前記ヘッドパイプ17に連設されるとともに両ダウンパイプ18…よりも急傾斜で後下がりに延びる左右一対のロアパイプ19…と、それらのロアパイプ19…の下端に連設されて後方に延びるとともに前記両ダウンパイプ18…の後端が中間部に連設される左右一対のメインパイプ20…とを備える。
前記ロアパイプ19…の下端および前記メインパイプ20…の前端には、下方に延びるエンジンハンガブラケット21…が接合される。また左右で対をなすダウンパイプ18…およびロアパイプ19…の中間部間には補強用連結板22…が設けられる。
前記メインパイプ20…の後部には後上がりに延びるシートレール23…の前端が連結され、左右一対のシートレール23…の後部は相互に一体に連結される。またシートレール23…の後部には、前端を前記メインパイプ20…の後端に接合せしめて後上がりに延びるリヤパイプ24…の後端がそれぞれ溶接により接合される。
前記エンジンハンガブラケット21…と、メインパイプ20…の後部に設けられたブラケット25…とには、エンジンEと、該エンジンEが備えるクランクケース26内に収容される変速機Mとで構成されるパワーユニットPが支持されており、エンジンEの上方を覆うようにしてエアクリーナ27がダウンパイプ18…に支持される。
前記パワーユニットPの後部には前後に延びるスイングアーム28の前端が上下に揺動可能に支承され、スイングアーム28の後部に後輪WRが軸支される。またメインパイプ20…およびスイングアーム28間にはリヤクッションユニット29が設けられる。さらに前記変速機Mの出力軸30および後輪WR間には、無端状のチェーン31を用いたチェーン式伝動手段32が設けられる。
前記パワーユニットPの上方かつ前記エアクリーナ27の後方には、フロントシート34が配置され、該フロントシート34とは別体にしてフロントシート34の後方に配置されるリヤシート35がシートレール23…に支持される。
図2を併せて参照して、フロントシート34はその後部にバックレスト36を有するものであり、このバックレスト36の両側には相互間の間隔を可変とした可動式のサイドサポート37,37が配設される。
しかもフロントシート34およびリヤシート35の少なくとも一方の前後方向位置、この実施例ではフロントシート34の前後方向位置は調節可能であり、バックレスト36の後部は、前記リヤシート35の前部に上方からの平面視では上方から重なるように配置されるとともに、前記フロントシート34および前記リヤシート35の幅方向に沿う中央部が前記平面視で後方に向けて突出した円弧状となるように形成される。一方、リヤシート35の前部は、その幅方向に沿う中央部が後方側に凹んだ円弧状となるように形成されており、リヤシート35の下方に配置されてシートレール23…で支持される燃料タンク38の上部に設けられる燃料注入キャップ39が、前記バックレスト36の下方に位置するようにして前記リヤシート35の前方に配置される。
図3〜図6を併せて参照して、前記フロントシート34、前記バックレスト36および前記サイドサポート37…は、シート支持部材40で支持されるものであり、このシート支持部材40は、前記フロントシート34の両側下方で前後方向に平行に延びる一対の平行支持部40a,40bと、それらの平行支持部40a,40bの前端間を結ぶ連結部40cと、前記両平行支持部40a,40bの後端から後上がりに延びる立ち上がり部40d,40eとを一体に有して、金属パイプを屈曲成形して成るものである。またシート支持部材40の両立ち上がり部40d,40e間は、上下に間隔をあけた一対の連結部材41,42で相互に連結される。
而してフロントシート34は、前記シート支持部材40の両平行支持部40a、40bおよび連結部40c上に固定される。しかも前記両平行支持部40a,40bの前部における下部には、前後に間隔をあけた2箇所で下方に向けて突出した支持ボス43,43…がそれぞれ固着されており、前後で対をなす前記支持ボス43,43に前後両端を下方から当接させる前部支持ステー44が、一対のボルト45,45によって前記支持ボス43,43に締結される。また前記両平行支持部40a,40bの後部における上部には、横断面形状を略L字状とするとともに平行支持部40a,40bから外側方に張り出す平板状の取付け部46aを上端に有して略L字状に形成されるプレート46…の下端が溶接等によって固着されており、前記取付け部46aに前後両端を下方から当接させる後部支持ステー47が、フロントシート34の底板34aに植設された一対のボルト48,48と、それらのボルト48…に螺合するナット49,49とによって前記取付け部46aに締結される。
前部ステー44は、上方に開いた略U字状の横断面形状を有して前後に延びる前部ガイドレール51内に挿入されるものであり、この前部ガイドレール51の下部に上端が溶接されて下方に延びる支持板52の前側下部が、車体フレームFにおけるメインパイプ20に金属製のスペーサ50,53を介してボルト54により締結され、前記支持板52の後側下部が、前記メインパイプ20に設けられたブラケット57にシートレール23の前部とともに金属製のスペーサ55を介してボルト56により締結され、前記前部ガイドレール51および支持板52の内面側間には上方に向かうにつれて内方側に傾く補強板58が設けられる。
後部ステー47は、上方に開いた略U字状の横断面形状を有して前後に延びる後部ガイドレール59内に挿入されるものであり、この後部ガイドレール59の下部に上端が溶接されて下方に延びる支持板60の前側下部が、車体フレームFにおけるシートレール23に金属製のスペーサ61を介してボルト62により締結され、前記支持板60の後側下部が、前記シートレール23に金属製のスペーサ(図示せず)を介してボルト63により締結され、前記後部ガイドレール59および支持板60の外面側間には上方に向かうにつれて外方側に傾く補強板64が設けられる。
前部ガイドレール51には、前部ステー44の両側に同軸に配置される一対ずつ複数組(この実施例では5組)の支持孔65…が前後方向に等間隔をあけて設けられ、内方側の支持孔65…に個別に対応したウエルドナット66…が、前部ガイドレール51の内側外面に固着される。しかも前部ステー44には両端を前部ガイドレール51の両側内面に当接させ得る内筒部67aを有する管状ブッシュ67が装着されており、前記各組の支持孔65…のうち選択された組の支持孔65…および管状ブッシュ67の内筒部67aに挿通されたボルト69が前記ウエルドナット66…の1つに螺合される。
後部ガイドレール59には、後部ステー47の両側に同軸に配置される一対ずつ複数組(この実施例では5組)の支持孔71…が前部ガイドレール51における各支持孔65…相互の間隔と同一の等間隔を前後方向にあけて設けられ、内方側の支持孔71…に個別に対応したウエルドナット72…が、後部ガイドレール59の内側外面に固着される。しかも後部ステー47には両端を後部ガイドレール59の両側内面に当接させ得る内筒部70aを有する管状ブッシュ70が装着されており、前記各組の支持孔71…のうち選択された組の支持孔71…および管状ブッシュ70の内筒部70aに挿通されたボルト74が前記ウエルドナット72…の1つに螺合される。
すなわちシート支持部材40は、弾性部材である管状ブッシュ67,70を介して車体フレームFに支持されることになる。
しかも前部ガイドレール51における支持孔65…ならびに後部ガイドレール59における支持孔71…のいずれを選択してボルト69,74を挿通するかによって、シート支持部材40の前後方向位置、すなわちフロントシート34、バックレスト36および両サイドサポート37…の前後方向位置を調節可能となるものであり、図4で示すようにフロントシート34を比較的後方の位置となるようにしたり、図7で示すようにフロントシート34を比較的前方の位置となるようにしたりして、フロントシート34の前後方向位置を調節可能である。
ところでフロントシート34の前後方向位置を調節することにより、該フロントシート34と、フロントシート34の前方のエアクリーナ27との間の間隔が変化するものであり、そのような間隔変化によってフロントシート34およびエアクリーナ27間に空隙が生じて車体内部が露出してしまうことは避けたい。そこでフロントシート34およびエアクリーナ27間には、車体内部が外部に露出することを防止するためのカバー部材75が配設されるものであり、この実施例では、シート支持部材40における連結部40cに、平板状にして前方に延びるカバー部材75の後端がたとえば一対のボルト76,76で締結される。
図8および図9を併せて参照して、前記両サイドサポート37…は、後方に開いた凹部77を形成する背板78…をそれぞれ後部に有しており、それらの背板78…に支持板79…が複数箇所で締結される。一方、シート支持部材40における両立ち上がり部40d,40eの中間部には、前記凹部77内に突入するようにしてブラケット80,80が固着されており、それらのブラケット80…に、上下に延びる支軸81…を介して前記支持板79…が回動可能に支承される。
すなわち両サイドサポート37,37の後部は、上下に延びる支軸81…の軸線まわりに回動することを可能としてシート支持部材40に支承されるものであり、支軸81…の軸線まわりに回動することにより、両サイドサポート37…相互の間隔が調節されることになる。
前記両サイドサポート37…の位置は、サイドサポート調節機構82によって調節されるものであり、このサイドサポート調節機構82は、前記支軸81…からオフセットした位置に一端が連結ピン84…を介して連結されるリンク83…と、該リンク83の他端に連結ピン85…を介して一端が連結されるとともに車体の幅方向に延びる一対のロッド86…と、それらのロッド86…の他端が連結される操作部87とで構成される。
シート支持部材40の両立ち上がり部40d,40eには、それらの立ち上がり部40d,40eとの間に前記ロッド86…を移動可能に挿通せしめる空間を形成するようにして略U字状の保護部材88…の両端が固着される。
図10を併せて参照して、前記操作部87は、前記両立ち上がり部40d,40e間に設けられる上下の連結部材41,42の中央部を結ぶ支持板89に、バックレスト36で覆われるようにして配設されるものであり、前記支持板89の背面側に配置されるとともに支軸92を介して支持板89に回動可能に支承される円板状の回動板90と、該回動板90の外周部に連設されて上方に延びる操作レバー91とを備え、前記ロッド86…の他端は前記回動板90に連結ピン93…を介して連結され、両連結ピン93…は、回動板90の一直径線上に配置される。
しかも回動板90には、前記支軸92の軸線を中心とする円弧状の調整孔94が設けられており、該調整孔94に挿通されるボルト95が前記支持板89の前面側に固着されたウエルドナット97に螺合される。また支持板89には、支軸92の軸線まわりに回動板90が回動する際に、前記連結ピン93…の移動をガイドする円弧状のガイド孔96…が設けられる。
而して前記ボルト95を緩めた状態で前記操作レバー91によって回動板90を回動操作することが可能であり、この回動板90の回動により、前記連結ピン93…すなわちロッド86…の他端間の水平方向での間隔を調整することができ、図9で示すように、ロッド86…の他端間の水平方向での間隔を大きくすると、左側のサイドサポート37はブラケット80の支軸81のまわりに時計方向に回動し、右側のサイドサポート37はブラケット80の支軸81のまわりに反時計方向に回動し、両サイドサポート37…相互の間隔が小さくなる。それに対して、図11で示すように、ロッド86…の他端間の水平方向での間隔を小さくすると、左側のサイドサポート37はブラケット80の支軸81のまわりに反時計方向に回動し、右側のサイドサポート37はブラケット80の支軸81のまわりに時計方向に回動し、両サイドサポート37…相互の間隔が大きくなる。
前記両サイドサポート37…相互の間隔を調整した後では、前記ボルト95を締めつければよく、それにより回動板90の回動位置すなわち両サイドサポート37…相互の間隔が維持されることになる。
図6に注目してシート支持部材40における両立ち上がり部40d,40eの下部には、内方側に延びる支持バー100,100が固着されており、バックレスト36の背板36aには、前記支持バー100…に上方から係合する略L字状のフック101,101が一体に設けられる。
図12を併せて参照して、バックレスト36における背板36aの上部には後方に向けて突出するシートロックバー102が固着される。一方、シート支持部材40に固着されている連結部材41には上方に延びる支持板103が固着されており、この支持板103には、前記シートロックバー102の後方先端部を嵌合させる溝106を形成する略J字状のフック部105aを有するシートキャッチボディ105がボルト104によって締結されており、支持板103およびシートキャッチボディ105間には横断面矩形の摺動孔107が形成される。
前記摺動孔107には、スライダ108がスライド可能に嵌合されており、このスライド108の先端部および前記フック部105aの協働によって前記シートロックバー102を把持することができる。しかもシートキャッチボディ105の内面に突設された壁部105bおよびスライダ108間にはばね109が縮設されており、スライダ108は前記フック部105aとともにシートロックバー102を把持する側にばね付勢されている。
前記シートキャッチボディ105から突出したスライダ108の後部にはワイヤ111が連結部材110を介して連結されており、該ワイヤ111は、図示しないイグニッションスイッチのシートロック解除操作に応じて牽引されるものであり、そのワイヤ111の牽引操作によってスライダ108がシートロックバー102の把持を解除する側にスライドすることになる。
而してシートロックバー102の把持を解除することによりバックレスト36を取り外すことが可能であり、バックレスト36の取り外しにより、該バックレスト36で覆われていた操作部87の操作ならびに燃料タンク38への給油作業が可能となる。
次にこの第1実施例の作用について説明すると、バックレスト36の後部が、リヤシート35の前部に上方からの平面視では上方から重なるように配置されるとともに、フロントシート34およびリヤシート35の幅方向に沿う中央部が前記平面視で後方に向けて突出した円弧状に形成されるので、フロントシート34の前後位置を調整したときに、バックレスト36の後部およびリヤシート35の前部の重なり量が変化するものの、重なる部分をリヤシート35に座った同乗者の股部に対応する部分として着座面積に影響が及ばないように設定することができ、着座面積を犠牲にすることなく、フロントシート34およびリヤシート35の両方で快適性を確保することができる。
またバックレスト36の両側に、相互間の間隔を可変とした可動式のサイドサポート37,37が配設されるので、フロントシート34に着座する乗員の体格に応じてサイドサポート37…を最適な位置に調整することができるだけでなく、リヤシート35に座る同乗者の着座状態に応じてサイドサポート37…を可動調整することにより着座面積の拡大を図ることができる。
またフロントシート34、バックレスト36および両サイドサポート37…を支持するシート支持部材40が、弾性部材である管状ブッシュ67,70を介して車体フレームFに支持されており、車体側からの振動がフロントシート34上の乗員に伝わり難くなるだけでなく、リヤシート35に座る同乗者が接触するバックレスト36およびサイドサポート37…への振動伝達も抑制して、快適性をより一層高めることができる。
また取り外しを可能としたバックレスト36の下方に、前記サイドサポート37…の位置を調節するためのサイドサポート調節機構82の操作部87がバックレスト36で覆われるようにして配置されているので、サイドサポート調節機構82の操作部87が外部に露出しないようにして、乗員または同乗者が前記操作部87に触れることによる着座性の低下を回避しつつ、バックレスト36の取り外しによって操作部87を簡単に操作することが可能となる。
さらに前後方向位置を調節可能としたフロントシート34と、該フロントシート34の前方に配置されるエアクリーナ27との間に、車体内部が外部に露出することを防止するためのカバー部材75が配設されるので、フロントシート34の前後位置調節によって、車体内部が外部に露出することを防止することができ、二輪車へのいたずらや外観性の低下を回避することができる。
図13は本発明の第2実施例を示すものであり、図1〜図12の第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付すのみで詳細な説明は省略する。
サイドサポート37…の背板78…には支持板112…が複数箇所で締結される。一方、シート支持部材40における両立ち上がり部40d,40eの中間部には、前記背板78…で形成される凹部77内に突入するようにしてブラケット80,80が固着されており、それらのブラケット80…に、上下に延びる支軸81…を介して前記支持板112…が回動可能に支承される。
両サイドサポート37,37の位置を調節するサイドサポート調節機構113は、前記支軸81…に対応する部分を要部として前記支持板112に直角に固着されるとともに前記支軸81…の軸線を中心とする円弧状の調節孔115…が向けられる調節板114…と、シート支持部材40における両立ち上がり部40d,40eに固着されて前記調節板114…の下方に配置される支持腕116…と、支持腕116…の先端部に植設されて前記調節孔115…に挿通されるボルト117…と、前記調節板114…の上面に当接、係合し得るようにして前記ボルト117…に螺合されるナット118…とで構成される。
このようなサイドサポート調節機構113によれば、ナット118…を緩めることによって両サイドサポート37…を支軸81…の軸線まわりに回動して両サイドサポート37…間の間隔を調整することができ、調整後にナット118…を締めつけることにより両サイドサポート37…の位置が維持される。
次に第1実施例の図2に対応した平面図である図14ならびに図14の15−15線に沿う断面図である図15を参照しながら本発明の第3実施例について説明するが、前記第1および第2実施例に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとして、詳細な説明は省略する。
フロントシート120はその後部にバックレスト121を有するものであり、このバックレスト121の両側には相互間の間隔を可変とした可動式のサイドサポート37,37が配設される。
前記フロントシート120の前後方向位置は、第1実施例と同様にして調節可能であり、バックレスト121の後部は、前記リヤシート35の前部に上方からの平面視では上方から重なるように配置されるとともに、前記フロントシート120および前記リヤシート35の幅方向に沿う中央部が前記平面視で後方に向けて突出した円弧状となるように形成される。
しかもバックレスト121は、その上部両側にサイドサポート37…の上方に張り出す張り出し部121a,121aを一体に有しており、それらの張り出し部121a…により、バックレスト121および両サイドサポート37…間に生じる隙間を上方から覆うことができる。
この第3実施例によれば、バックレスト121および両サイドサポート37…間に生じる隙間をバックレスト121が一体に有する張り出し部121a,121aで上方から覆って外観性を高めることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
第1実施例の自動二輪車の側面図である。 図1の2矢視平面図である。 図2の3−3線断面図である。 フロントシート、バックレストおよびサイドサポートを省略した状態での図3の4矢視図である。 図4の5−5線断面図である。 バックレストの背部を後方側から見た斜視図である。 フロントシートの前後位置を前方側に当接した状態での図4に対応した図である。 図2の8−8線断面図である。 図8の9−9線断面図である。 サイドサポート調節機構の操作部を図3の10矢視方向から見た拡大図である。 サイドサポート調節機構によって両サイドサポート間を広げた状態での図8に対応した断面図である。 図3の12−12線拡大断面図である。 第2実施例の図9に対応した断面図である。 第3実施例の図2に対応した平面図である。 図14の15−15線に沿う断面図である。
符号の説明
27・・・前方配置部品であるエアクリーナ
34,120・・・フロントシート
35・・・リヤシート
36,120・・・バックレスト
37・・・サイドサポート
40・・・シート支持部材
67,70・・・弾性部材である管状ブッシュ
75・・・カバー部材
82・・・サイドサポート調節機構
87・・・操作部

Claims (5)

  1. バックレスト(36,121)が後部に設けられるフロントシート(34,120)の後方に、該フロントシート(34,120)と別体であるリヤシート(35)が配置され、前記フロントシート(34,120)および前記リヤシート(35)の少なくとも一方の前後方向位置を調節可能とした二輪車のシート装置において、前記バックレスト(36,121)の後部が、前記リヤシート(35)の前部に上方からの平面視では上方から重なるように配置されるとともに、前記フロントシート(34,120)および前記リヤシート(35)の幅方向に沿う中央部が前記平面視で後方に向けて突出した円弧状に形成されることを特徴とする二輪車のシート装置。
  2. 前記バックレスト(36,121)の両側に、相互間の間隔を可変とした可動式のサイドサポート(37)が配設されることを特徴とする請求項1記載の二輪車のシート装置。
  3. 前記フロントシート(34,120)、前記バックレスト(36,121)および前記両サイドサポート(37)を支持するシート支持部材(40)が、弾性部材(67,70)を介して車体フレーム(F)に取付けられることを特徴とする請求項2記載の二輪車のシート装置。
  4. 取り外しを可能とした前記バックレスト(36,121)の下方に、前記サイドサポート(37)の位置を調節するためのサイドサポート調節機構(82)の操作部(87)が前記バックレスト(36,121)で覆われるようにして配置されることを特徴とする請求項2または3記載の二輪車のシート装置。
  5. 前後方向位置を調節可能とした前記フロントシート(34,120)と、該フロントシート(34,120)の前方に配置される前方配置部品(27)との間に、車体内部が外部に露出することを防止するためのカバー部材(75)が配設されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二輪車のシート装置。
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