JP2008047181A - 記録再生装置、評価値演算方法、評価値演算装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】最尤復号処理に供給される等化信号についての最尤パスとビット進みシフト方向のパスの差メトリックと、等化信号についての最尤パスとビット遅れシフト方向のパスの差メトリックとの差に相当する値を信号品質評価値dSAMとする。またこの信号品質評価値dSAMは、最尤復号処理に供給される等化信号値と、最尤復号処理結果の復号信号から求められる理想等化信号値の誤差である等化誤差値ekを用いて算出する。
【選択図】図2
Description
この記録条件の調整は、再生される信号の品質の評価指標に基づいて行われるが、再生信号品質の評価値としては、ゼロクロス点もしくは2値化後のタイミングエッジ誤差を統計した平均値と分散値が一般的であった。
ここで近年、光ディスクの再生方式としてパーシャルレスポンス最尤復号(PRML復号)とよばれる方式が広く採用されているが、PRML復号を用いた信号再生系にとって、再生信号品質の評価指標として、より好適な評価指標が求められている。
また、上記特許文献2には最尤復号における差メトリックを用いて算出した評価値を 記録条件にフィードバックして利用する技術が提案されている。ところがこの特許文献2に記載の技術は、差メトリックによる評価値が、その誤差が時間軸と一致した評価値ではなく、記録マークのエッジ誤差と捉えられないため、マークエッジの適正化のための記録条件の調整という観点からは不都合があった。
また上記評価値演算部は、上記最尤復号処理に供給される等化信号値と、上記最尤復号処理結果の復号信号から求められる理想等化信号値の誤差である等化誤差値を用いて、上記信号品質評価値を算出する。
また上記評価値演算部は、算出した上記信号品質評価値を、上記最尤復号処理で復号された復号データパターンに応じて区別して格納する。
また上記評価値演算部で得られる上記評価値を用いて、上記書込/読出部における書込動作のための記録信号の調整を行う制御手段を、更に備える。
等化信号とは、パーシャルレスポンス等化処理が施されて最尤復号器に入力される再生信号である。
差メトリックとは、等化信号と、その等化信号に対して検出される最尤パス(最も確からしいステート遷移のパス:決定パス)とのユークリッド距離と、等化信号と対抗パス(2番目に確からしいパス)とのユークリッド距離との差分である。SAM値とも呼ばれる。
そして、本発明では、ここでいう対抗パスとして、復号データ系列として決定される最尤パス(決定パス)と比較する場合に1ビットシフトが発生する、ビット進みシフト方向のパスと、ビット遅れシフト方向のパスを考える。
そして差メトリックとして、その等化信号と最尤パスとのユークリッド距離と、等化信号とビット進みシフト方向で考えた対抗パスとのユークリッド距離との差分を第1の差メトリックとする。また、等化信号と最尤パスとのユークリッド距離と、等化信号とビット遅れシフト方向で考えた対抗パスとのユークリッド距離との差分を第2の差メトリックとする。本発明では、この第1,第2の差メトリックの差を、信号品質評価値とする。
また実際には、このような信号品質評価値は、最尤復号処理に供給される等化信号値と、最尤復号処理結果の復号信号から求められる理想等化信号値の誤差である等化誤差値を用いて算出でき、簡易な装置構成で実現できるという利点もある。
信号品質評価値を、最尤復号処理で復号された復号データパターンに応じて区別して格納しておくことで、記録パターン毎の記録条件の評価や調整などに好適となる。
この実施の形態では、パーシャルレスポンス方式での記録/再生を行ない、ビタビ復号等の最尤復号を行なうPRML(Partial-Response Maximum-Likehood)方式において、パーシャルレスポンス特性をPR(1,x,x,1)に選び、かつ、RLL(1,7)符号等のランレングスリミテッド(Run Length Limited)符号を用い、最小ランレングスを1に制限した場合を例に説明する。
なお、PR(1,x,x,1)におけるxは、「2」「3」など、光学特性等に合ったものを選択する。以下では、例えばPR(1,2,2,1)の場合で考える。
PRML復号方式は、再生信号のユークリッド距離が最小となるパーシャルレスポンス系列を検出する方式であり、パーシャルレスポンスという過程と最尤検出という過程が組み合わせた技術である。
なお、パーシャルレスポンス系列とは、ビット系列にターゲットレスポンスで定義される重みつき加算を施すことで得られる。光ディスクシステムでは、PR(1,2,2,1)がよく用いられ、これはビット系列に1,2,2,1の重みをつけて加算した値をパーシャルレスポンス値として返すものである。
パーシャルレスポンスは、1ビットの入力に対して、1ビットよりも長く出力を返す過程であって、再生信号が、連続する4ビットの情報ビットの入力に対してこれらを順に1、2、2、1を乗じて加算した信号として得られる過程が、上記のPR(1,2,2,1)と表現される。
また、最尤検出とは、2つの信号の間にユークリッド距離とよばれる距離を定義して、実際の信号と想定されるビット系列から予想される信号との間の距離を調べて、その距離が最も近くなるようなビット系列を検出する方法である。なお、ここで、ユークリッド距離とは、同じ時刻での2つの信号の振幅差の二乗を全時刻にわたって加算した距離として定義される距離である。また、この距離を最小とするビット系列の探索には、後述するビタビ検出をもちいる。
これらを組み合わせたパーシャルレスポンス最尤検出では、記録媒体のビット情報から得られた信号をイコライザとよばれるフィルタでパーシャルレスポンスの過程となるように調整し、得られた再生信号と想定されるビット系列のパーシャルレスポンスとの間のユークリッド距離を調べて、その距離が最も近くなるようなビット系列を検出する。
ビタビ検出は、所定の長さの連続ビットを単位として構成される複数のステートと、それらの間の遷移によって表されるブランチで構成されるビタビ検出器が用いられ、全ての可能なビット系列の中から、効率よく所望のビット系列を検出するように構成されている。
実際の回路では、各ステートに対してパスメトリックレジスタとよばれるそのステートにいたるまでのパーシャルレスポンス系列と信号のユークリッド距離(パスメトリック)を記憶するレジスタ、および、パスメモリレジスタとよばれるそのステートにいたるまでのビット系列の流れ(パスメモリ)を記憶するレジスタの2つのレジスタが用意され、また、各ブランチに対してはブランチメトリックユニットとよばれるそのビットにおけるパーシャルレスポンス系列と信号のユークリッド距離を計算する演算ユニットが用意されている。
データビット列をbk∈{0,1}とした場合、この系のPR出力dkは図4のような状態遷移となり、各状態から次の状態に遷移する際にdkが出力される。
図4においてST000〜ST111は各ステートを示し、Cxxxxは出力を表す。これら出力Cxxxxは、状態遷移の際に得られる出力を表している。
例えばステートST000の状態から考えると、入力bk=0であれば、ステートST000の状態を維持し、出力はC0000となる。またステートST000の状態で入力bk=1であれば、ステートST001に移行する。ステートST000からステートST001への移行の際の出力はC0001となる。
またステートST001から考えると、入力bkはランレングス制限からbk=1しかあり得ず、入力bk=1であれば、ステートST011に移行する。ステートST001からステートST011への移行の際の出力はC0011となる。
これらのステート遷移と出力値は以下のようになる。
C1111:ST111→ST111
C1110:ST111→ST110, C0111:ST011→ST111
C0110:ST011→ST110
C1100:ST110→ST100, C0011:ST001→ST011
C1001:ST100→ST001
C1000:ST100→ST000, C0001:ST000→ST001
C0000:ST000→ST000
さらに、上記のユークリッド距離を最小にするようなパスを選択するには、この各ステートにおいて到達する2つ以下のブランチが有するパスメトリックの大小を比較しながら、パスメトリックの小さいパスを順次選択することで実現できる。この選択情報をパスメモリレジスタに転送することで、各ステートに到達するパスをビット系列で表現する情報が記憶される。パスメモリレジスタの値は、順次更新されながら最終的にユークリッド距離を最小にするようなビット系列に収束していくので、その結果を出力する。以上のようにすると、再生信号にユークリッド距離が最も近いパーシャルレスポンス系列を生成するビット系列を効率的に検索することができる。
PRMLによるビット検出では、正しいビット系列から得られるパーシャルレスポンス系列と再生信号とのユークリッド距離、すなわち、正しいビット系列に対するパスメトリックが、誤りのあるビット系列から得られるパーシャルレスポンス系列と再生信号とのユークリッド距離、すなわち、誤りのあるビット系列に対するパスメトリックよりも小なる場合に、正しいビット検出が実行され、逆の場合には誤りが発生する。
従って、PRMLのビット検出の能力は、前者のパスメトリックと後者のパスメトリックの差、すなわち、差メトリックが0からどれだけ離れているか、その大きさによって決定する。換言すれば、差メトリックが小さいほどエラー発生の可能性が高いと推定できる。
また、誤りのあるビット系列の中でも、誤りの大半を占める最も重要な系列は、正しい系列から得られるパーシャルレスポンス系列とのユークリッド距離が最も近くなるような別のパーシャルレスポンス系列を与えるビット系列である。このような系列は、たとえば、ターゲットレスポンスがPR(1,2,2,1)のPRMLでは、1ビットのみ誤りがある場合である。
このため、PRMLによるビット検出では、正しいビット系列から得られるパーシャルレスポンス系列と再生信号のユークリッド距離と、1ビットのみ誤りがあるビット系列のパーシャルレスポンス系列と再生信号のユークリッド距離の差分の大きさ、即ちSAM値(=差メトリック)がPRMLによるビット検出の能力を決定すると考えることができる。
情報を記録する記録媒体としての光ディスク1は、記録/再生時にはスピンドルモータ2によって回転される。
光学ヘッド3(光ピックアップ)は、レーザダイオードから出力したレーザ光を、所定の光学系により対物レンズから光ディスク1に照射する。また光ディスク1からの反射光を、所定の光学系を介してフォトディテクタに導き、反射光量に応じた電気信号を得る。また複数のフォトディテクタで検出された各光量信号に対して演算処理をおこない、記録された情報の再生信号sA(再生RF信号)や、トラッキング、フォーカスなどの各種サーボエラー信号を生成する。
記録時には、光ディスク1に記録しようとする記録データが、記録データエンコーダ8で、例えばRLL(1,7)変調等のエンコード処理が施され、そのエンコード信号DRが記録信号発生部9に供給される。記録信号発生部9では、エンコード信号DRに応じたレーザ駆動信号としての記録信号DLを生成する。
なお、レーザ駆動信号としてのパルスレベルやパルス幅、パルスエッジタイミング等の、いわゆるライトストラテジ設定は、コントローラ10から記録条件として指示される。つまり記録信号発生部9は、レーザを発光させる強度を設定する機能と、発光時間/タイミングを設定する機能を備えており、レーザ駆動信号としての記録信号DLを調整することで、光ディスク1に対する記録条件を調整することが可能である。
サンプリング信号DSは、PRMLデコーダ5に供給され、パーシャルレスポンス等化処理やビタビ復号処理が行われる。
PRMLデコーダ5での復号処理で得られた復号データ(2値データ列)は、再生データデコーダ6に供給され、RLL(1,7)変調等に対する復調処理やエラー訂正処理、デインターリーブなどの処理が施され、これによって復調された再生データが得られる。
評価値演算部7は、詳しくは後述するが、PRMLデコーダ5での処理過程で得られる等化誤差を入力し、等化誤差値を用いて2つの差メトリックの差としての評価値を算出する。この評価値は、2つの差メトリック(SAM)の差分に相当するものであり、評価値「dSAM」として後に説明する。
PRMLデコーダ5においては、パーシャルレスポンス等化処理のためのイコライザが設けられるが、この例では、当該イコライザとして、最小二乗方式(LMS)の適応型トランスバーサルフィルタ(以下、LMS−TVF)21を用いている。
LMS−TVF21で等化された等化信号ykは、ビタビ復号器22及び遅延回路23に供給される。
ビタビ復号器22は、上述の最尤復号処理を行って復号データDTを得る。即ちビタビ復号器22は、上述した出力C0000〜C1111までにある値を基準値としてメトリック計算を行い、最尤復号を行う。
LMS−TVF21は、後段のビタビ復号器22でのデコード結果から得た出力期待値と等化後の結果の差からフィルタ係数を更新し、入力される信号をさらに等化していくものである。
このため期待値算出部24は、ビタビ復号器22で得られた復号データに基づいて、本来の期待される等化信号値を算出する。つまりLMS−TVF21から出力される等化信号値としての理想値dkを復号結果から算出する。なお、この理想値はPR係数とのコンボリューションでも求まるが、状態遷移から出力信号を算出する事で求めるようにしてもよい。そのほうが次に述べるようにLMS−TVF21の等化目標値を任意に変更した場合に対応できる。
遅延回路23は、ビタビ復号器22及び期待値算出部24での処理時間を吸収する為に設けられている。つまり、等化信号ykと、それに対応する理想値dkが誤差演算器25に供給されるタイミングを調整する。
誤差演算器25では、等化信号ykから理想値dkを減算し、これを等化誤差ekとして出力する。
LMS−TVF21は、この等化誤差ekに基づいて、フィルタ係数を更新するものとなる。
ただしC0111、C1110は、C0001の値を、C1100、C0011から見て対称となる値に変化させる。同様にC1001は、C0110をC1100、C0011から見て対称となる値に変化させる。
dSAM算出部31は、上記等化誤差ekの値から評価値dSAMを算出する。このdSAM算出部31は、図3のようにそれぞれ1クロックタイミングの遅延回路41a〜41dと、係数乗算器42a〜42eと、加算器43を有する構成とされる。
係数乗算器42a〜42eの係数値としては、それぞれC1000、C1100、C0110、C0011、C0001が設定されている。
そしてこれら係数乗算器42a〜42eの出力値が加算器43で加算された結果が評価値dSAMとなる。
上述したように評価値dSAMは、2つの差メトリックの差である。つまり等化信号と最尤パスとのユークリッド距離と、等化信号とビット進みシフト方向で考えた対抗パスとのユークリッド距離との差分を第1の差メトリックとし、また、等化信号と最尤パスとのユークリッド距離と、等化信号とビット遅れシフト方向で考えた対抗パスとのユークリッド距離との差分を第2の差メトリックとしたときに、この第1,第2の差メトリックの差が評価値dSAMであるが、図3の構成のdSAM算出部31で得られる値がこれに相当する。この理由については、後に詳しく説明する。
なお、上記のようにLMS−TVF21の等化目標値として、C0001、C1000、及びC0110が変更される場合は、それに応じて係数乗算器42a、42eと、係数乗算器42cの係数も変更される。
リーディングパターンマッチ部32では、ビタビ復号器22での復号データのリーディングエッジのパターン(スペースからマークへのパターン)を判別し、パターン毎に区別して、評価値dSAMをdSAM格納部34に格納する。
トレイリングパターンマッチ部33では、ビタビ復号器22での復号データのトレイリングエッジのパターン(マークからスペースへのパターン)を判別し、パターン毎に区別して、評価値dSAMをdSAM格納部34に格納する。
これによりdSAM格納部34では、評価値dSAMが、パターン別に分類して格納される。
図7(a)はリーディングエッジのパターン分けの例を示している。2sは2Tスペース、3sは3Tスペース、4sは4Tスペース、over5sは5T以上のスペースを示している。Tはチャネルクロック周期である。
また2mは2Tマーク、3mは3Tマーク、4mは4Tマーク、over5mは5T以上のマーク(5T〜8T)を示している。そして例えばXsYmはXTスペースからYTマークに移行するリーディングエッジのパターンを意味する。例えば2s3mとは、2Tスペースから3Tマークに移行するリーディングエッジのパターンである。また5s5mは5T以上スペースから5T以上マークに移行するリーディングエッジのパターンである。
この図7(a)のように、リーディングエッジのパターンとして、2s3m、2s4m、2s5m、3s2m、3s3m・・・・5s5mを区別する。
リーディングパターンマッチ部32は、ビタビ復号器22での復号データパターンとして例えば2s3mのパターンが発生したときに算出された評価値dSAMを、dSAM格納部34に評価値dSAM2s3mとして記憶させる。
また2s4mのパターンが発生したときに算出された評価値dSAMを、dSAM格納部34に評価値dSAM2s4mとして記憶させる。
つまり、図7(a)の各リーディングエッジパターンが復号データとして発生した際に、それらに応じて評価値dSAMを区分して記憶させる。なお、2s2mのパターンなど、評価値計測不要としたパターンの場合に得られた評価値dSAMは、記憶しない。
この図7(b)のように、トレイリングエッジのパターンとして、2m3s、2m4s、2m5s、3m2s、3m3s・・・・5m5sを区別する。
トレイリングパターンマッチ部33は、ビタビ復号器22での復号データパターンとして例えば2m3sのパターンが発生したときに算出された評価値dSAMを、dSAM格納部34に評価値dSAM2m3sとして記憶させる。
また2m4sのパターンが発生したときに算出された評価値dSAMを、dSAM格納部34に評価値dSAM2m4sとして記憶させる。
つまり、図7(b)の各トレイリングエッジパターンが復号データとして発生した際に、それらに応じて評価値dSAMを区分して記憶させる。なお、2m2sのパターンなど、評価値計測不要としたパターンの場合に得られた評価値dSAMは、記憶しない。
また、同じパターンの評価値dSAMであっても、それが得られる毎に、評価値dSAMを追加的に記憶させても良いし、加算値を記憶しても良い。
例えば、2s3mのパターンが発生するたびに、評価値dSAMを格納していくことで、複数の評価値dSAM2s3mを保存していくようにしてもよいし、2s3mのパターンの場合の評価値は累積加算して加算値を1つの評価値dSAM2s3mとして保存されるようにしてもよい。但し加算値を記憶する場合は、加算数(つまり当該パターン発生数)の値を記憶しておくようにすることが好適である。
コントローラ10は、例えば記録条件としてライトストラテジ調整を行う際などに、記録条件を多様に変化させて記録を行い、それらを再生したときに得られる評価値dSAMを確認していくことで、最適な記録条件を判別し、最適な記録条件に調整することができる。
先に述べたように、特にPRML再生系を備えた光ディスク記録再生装置において、信号品質(即ちここではライトストラテジとしての記録条件に応じた書込信号の品質)を評価する指標として、SAM値がある。本例で言う評価値dSAMとは、SAM値を発展させた評価指標であり、再生波形がビットシフトとしての進み方向、遅れ方向のどちらにシフトしているか、及びシフト量を表す指標として定義される。
対抗パスとは、状態遷移において分岐のあるところから発生している。記録波形でいうところでは短く記録されたり、長めに記録されたりすることがある。それによって復号データでみると、ビットがシフトしたように見える。
例えば図5の「RF」は等化信号系列(つまりyk値の系列)を示し、「Pa」は等化信号系列RFに対しての決定パスである(dk系列)。またこの場合、「PbR」は等化信号系列RFに対する対抗パスとなる(d’k系列)。
上記(数1)のとおり、この場合、等化信号系列RFと決定パスPaのユークリッド距離と、等化信号系列RFと対抗パスPbRのユークリッド距離との差がSAM値となる。
例えば図5において本来の状態遷移である決定パスPaに対する対抗パスPbRは、遅れ方向のビットシフトが生じるパスである。
つまり復号データでみると、決定パスPaは図6のbk(4Tスペース−4Tマーク)に対し、対抗パスPbRは、図6のb’k(5Tスペース−3Tマーク)のように1ビット遅れのシフトが発生した復号データ系列となる。(網掛け部分はマークのイメージ)
また、図5において「PbL」を対抗パスと考えた場合、決定パスPaに対する対抗パスPbLは、進み方向のビットシフトが生じるパスである。
つまり復号データでみると、決定パスPaは図6のbk(4Tスペース−4Tマーク)に対し、対抗パスPbLは、図6のb”k(3Tスペース−5Tマーク)のように1ビット進みのシフトが発生した復号データ系列となる。
本例においては、この(SAM_lead)−(SAM_rag)を、評価値dSAMとする。
dk=M(bk)
であるから
d”k−d’k=M(b”k−b’k)
となる。
bk ={0,0,0,0,0,1,1,1,1,x・・・}
b”k={0,0,0,0,1,1,1,1,1,x・・・}
b’k={0,0,0,0,0,0,1,1,1,x・・・}
Ek ={0,0,0,0,1,1,0,0,0,x・・・}
である。bkが時刻kで「1」になったとすると、b”k−b’kであるEkが「1」となるのは、時刻k-1及び時刻kのみとなる。
このM(Ek)の出力は、時刻k-1を起点に、時刻k-1→時刻k→時刻k+1→時刻k+2と考えると、図4に挙げた状態遷移図のとおりに、
C0001→C0011→C0110→C1100→C1000
となり、 これ以外はC0000となり、C0000は応答無しの0であるので、最終的には(数6)は、
なお、(数7)はスペースからマークに至る場合で、マークからスペースに至る場合は、(数7)の極性が反対になる。
この評価値dSAMは、ビットシフトの方向及びシフト量を定量的に示すため、記録品質の評価に非常に好適であり、特にライトストラテジ調整の際の指標として適している。
また、図2の構成で説明したように、評価値dSAMを復号データパターン毎に区別して格納することで、記録条件設定の評価にも役立つものとなる。
さらに、評価値dSAMをシンプルな構成で求めることができることは、ハードウエアによる実現が簡単であるという利点も導かれる。
評価値演算部7は、評価値dSAMを、エッジの前後のマーク長、スペース長に応じて分類して保存するようにしたが、パターンの前後の状態検出をさらに拡張して、前々、後々のマーク長、スペース長に応じて分類してもよい。
また上記各例はPR(1,x,x,1)を前提に記載をしているが、例えばPR(1,2,1)など、他のパーシャルレスポンス等化方式においても本発明が適用可能である。
即ち上記(数7)で示した評価値dSAMは、上述のようにビットシフトパターンEk(=b”k−b’k)として、0,0,0,0,1,1,0,0,0,x・・・というパターンが得られた状態に応じたものとして求められるが、これは任意のパーシャルレスポンス系における2T信号の識別応答パターンといえる。従って、上記(数7)で示される評価値dSAMは、任意のパーシャルレスポンス系に2T信号を応答させて得られる識別応答と等化誤差ekの積の和である。このような評価値dSAMを、各種のパーシャルレスポンス等化方式において適用することで、本発明としての効果が得られる。
また評価値dSAMを生成する評価値演算部7は、記録再生装置内に組み込まれるものとしているが、記録再生装置の外部機器として構成し、記録再生装置に対して用いる単体の評価装置とすることも可能である。
また光ディスク以外の記録媒体に対するシステムでの記録再生装置、評価値演算装置、評価値演算方法としても本発明は適用できる。
Claims (6)
- 記録媒体に対して、マーク及びスペースで表現される情報を書き込み、又読み出す書込/読出部と、
上記書込/読出部により上記記録媒体から読み出される再生信号についてパーシャルレスポンス等化処理及び最尤復号処理を行って復号データを得るPRML復号部と、
上記パーシャルレスポンス等化処理を経て上記最尤復号処理に供給される等化信号についての最尤パスとビット進みシフト方向のパスの差メトリックと、上記等化信号についての最尤パスとビット遅れシフト方向のパスの差メトリックとの差に相当する信号品質評価値を算出する評価値演算部と、
を備えたことを特徴とする記録再生装置。 - 上記評価値演算部は、上記最尤復号処理に供給される等化信号値と、上記最尤復号処理結果の復号信号から求められる理想等化信号値の誤差である等化誤差値を用いて、上記信号品質評価値を算出することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
- 上記評価値演算部は、算出した上記信号品質評価値を、上記最尤復号処理で復号された復号データパターンに応じて区別して格納することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
- 上記評価値演算部で得られる上記評価値を用いて、上記書込/読出部における書込動作のための記録信号の調整を行う制御手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
- 記録媒体上でマーク及びスペースで表現される情報を読み出した際に、その読み出される信号の品質の指標となる信号品質評価値を算出する評価値演算方法として、
上記記録媒体から読み出される信号についてパーシャルレスポンス等化処理及び最尤復号処理を行って復号データを得る場合に、
上記パーシャルレスポンス等化処理を経て上記最尤復号処理に供給される等化信号についての最尤パスとビット進みシフト方向のパスの差メトリックと、上記等化信号についての最尤パスとビット遅れシフト方向のパスの差メトリックとの差に相当する信号品質評価値を算出することを特徴とする評価値演算方法。 - 記録媒体上でマーク及びスペースで表現される情報を読み出した際に、その読み出される信号の品質の指標となる信号品質評価値を算出する評価値演算装置として、
上記記録媒体から読み出される信号についてパーシャルレスポンス等化処理及び最尤復号処理を行って復号データを得る際の、上記パーシャルレスポンス等化処理を経て上記最尤復号処理に供給される等化信号についての最尤パスとビット進みシフト方向のパスの差メトリックと、上記等化信号についての最尤パスとビット遅れシフト方向のパスの差メトリックとの差に相当する信号品質評価値を算出とする算出部を有することを特徴とする評価値演算装置。
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