JP2008043041A - 車両交流発電機の冷却空気流路構造 - Google Patents

車両交流発電機の冷却空気流路構造 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジン後方からの冷却空気流の吸入を回避して搭載半導体素子の冷却性を改善するとともに、流体損失増大を抑止して冷却空気流の流量確保も可能な車両交流発電機の冷却空気流路構造を提供すること。
【解決手段】冷却空気流は、略L字状の吸気ダクト11を通じて第2リヤカバー10と第1リヤカバー6との間の冷却空気室Lにその上端部から下方へ吹き込まれた後、この冷却空気室Lの前方に隣接する電気部品室S内へ分散して吹き込まれる。第2リヤカバー10の吸入口10aの流路断面積は吸気ダクト11の取り入れ口11cの流路断面積より狭窄され、これにより、冷却空気流は、吸入口10aの部位にて増速されて電気部品室Sに軸方向に隣接する冷却空気室Lに吹き込まれる。これにより、冷却空気室Lの軸方向必要幅を減らしつつ、電気部品室S内各部の各電気部品を良好に冷却することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用交流発電機に関し、特にその冷却空気流路構造の改良に関する。
一般的な車両交流発電機では、リヤ側すなわち反プーリ側にレクチファイア、ブラシ、レギュレータなどの各種の電気部品が分散配置されるのが一般的であり、以下、この電気部品配置方式を電気部品リヤ配置方式とも称する。
この電気部品リヤ配置方式では、優先的な冷却を要するこれら電気部品、特に半導体チップを含むレギュレータ(発電制御装置)やレクチファイア(整流器)の冷却のために、リヤフレームの後端面に設けた吸気孔からリヤフレーム内又は樹脂カバー内に冷却空気流を導入するのが一般的である。以下、これ冷却空気流吸い込み方式を、リヤ側吸入方式とも称する。
このリヤ側吸入方式において、リヤフレームを覆う樹脂カバーの周壁部から略L字形の吸気ダクトを前方(軸方向プーリ向き)に延在させた冷却空気流流路構造(前方開口L字形吸気ダクト付きカバー構造と略称する)が、下記の特許文献1に提案されている。
このL字形吸気ダクトは、車両前方側に開口する吸入口を有して軸方向後方へ延在した後、径方向内側に曲がった略L字形の流路構造をもつ。この前方開口L字形吸気ダクト付きカバーを用いると、エンジン等により過熱されない冷たい冷却空気流(遮熱冷却空気流)を車両交流発電機のリヤ側に導入することができる。
特開平5−219685号公報
前方開口L字形吸気ダクト付きカバー構造を用いた上記先行文献の冷却空気流路構造は、遮熱性に優れるものの、前方開口L字形吸気ダクトをもたない上記した通常のリヤ側吸入方式に較べて冷却空気流路構造の流体抵抗が増大するという本質的な欠点を有していた。
この問題は、上記車両走行風圧の利用を期待できないアイドリング時などにおいて特に深刻となる。すなわち、アイドリング時には、回転子に設けた冷却ファンの冷却空気流付勢能力が小さいため、L字形吸気ダクトによる流体損失増加は冷却空気流の流量低下をもたらし、その結果として上記特許文献1はL字形吸気ダクト内に電動ファンを追設して冷却空気流の流量確保を行っている。
しかしながら、このような電動ファンの増設は、イニシャルコスト及びランニングコストの増大の他、車両交流発電機の体格、重量の大幅な増大を招いてしまい、小型軽量化の要求が大きい一般車に搭載が困難であった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、エンジン後方からの冷却空気流の吸入を回避して搭載半導体素子の冷却性を改善するとともに、流体損失増大を抑止して冷却空気流の流量確保も可能な車両交流発電機の冷却空気流路構造を提供することをその目的としている。
上記課題を解決するこの発明の車両交流発電機の冷却空気流路構造は、少なくともレギュレータ及びレクチファイアを含む電気部品が収容される発電機ハウジングの後端面を囲覆する浅底皿状のリヤカバーを有し、このリヤカバーは、周壁部上部に位置して冷却空気流吸入用の吸入口を有する車両交流発電機の冷却空気流路構造に適用される。すなわち、冷却空気流は、リヤカバーの周壁部の上部に設けられた吸入口からリヤカバー内へ集中的に吹き込まれる構造(以下、リヤカバー上部吹き込み方式と言う)を有する。
この構造によれば、従来のように、リヤカバーの端壁部に、リヤカバー内へ向けて軸方向に冷却空気流を吸入する吸入口を設けるのに較べて、より低温の冷却空気流を吸入することができる。また、吸入口は、リヤカバーの周壁部の上部(好適には上端近傍)に配置されるため、路面から飛散した汚水などの侵入も抑止することができる。
本発明では特に、前記吸入口が、前記取り入れ口よりも狭窄されていることを特徴としている。すなわち、この発明では、冷却空気流を吸気ダクトを通じて集中的に取り入れることを利用して、吸気ダクトに連通するリヤカバーの周壁部上端の吸入口の流路断面積を吸気ダクトの取り入れ口の断面積よりも狭窄している。このようにすれば、吸気ダクト及びリヤカバー内を流れる冷却空気流の風速を、この部位にて増大してからリヤカバーの周壁部の略上端からリヤカバー内に吹き下ろすことができるので、リヤカバー内に高速空気流れを形成して各電機部品を良好に冷却することができる。また、この吸入口の狭窄は、リヤカバーの軸方向リヤ側への突出幅を短縮するため、体格縮小効果も奏する。
好適態様において、前記リヤカバーが、前記電気部品の外部接続端子を囲むコネクタ部の隔壁を有し、前記コネクタ部の隔壁(コネクタ壁部とも言う)が、前記吸入口から前記リヤカバー内へ略径内向きに吹き出される前記冷却空気流の側面に沿いつつ前記リヤカバーの端壁部から軸方向内側へ立設されていることを特徴としている。
このようにすれば、流体損失の増大を抑止しつつリヤカバーの周壁部の上部からリヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流を良好にリヤカバーの下半部に到達させることができる。したがって、リヤカバーの下半部に配置した電気部品の冷却を向上することができる。
更に説明すると、リヤカバーの周壁部の上部の吸入口からリヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流の流速は、吸入口から離れるに従い急速に低下しようとする。これは、流路各部の流体抵抗を無視した場合、流速は基本的に流量を流路断面積で割った値となるためである。更に、流体抵抗を考慮すると、上記流速低下は、更に著しくなる。たとえば、リヤカバーの周壁部の上部に局部的に吸入口を開口する場合、この吸入口からリヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流は、吸入口から出たとたんに左右に広がるため、渦(スワール)の形成などにより大きな流体損失を発生する。
そこで、この発明では、吸入口からリヤカバー内に流入した冷却空気流を、出力ターミナルを囲む隔壁又はレギュレータのコネクタ部の隔壁に沿いつつ吹き下ろす。
このようにすれば、リヤカバーの吸入口からリヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流が吸入口から出たとたんに横に広がるのを防止できるため、流体損失を減らしつつ冷却空気流を良好にリヤカバー下部に送り込むことができる。
好適な態様において、前記リヤカバーは、前記出力端子を囲む第1コネクタ部の隔壁と、レギュレータの外部接続端子をなす第2コネクタ部の隔壁とを有し、前記両コネクタ部の隔壁は、前記吸入口から径内向きに吹き下ろされる冷却空気流の通路を挟んで配置される。このようにすれば、リヤカバーの周壁部上部の吸入口から吹き下ろされる冷却空気流が吸入口から出たとたんに両側に分散して大きな流体損失を発生するのを抑止することができる。
好適な態様において、前記リヤカバーの端壁部は、前記吸入口から前記リヤカバー内へ略径内向きに吹き出される前記冷却空気流の流路の側方に位置して、前記リヤカバーの端壁部の他の部分よりも前方側へ向けて凹んでいることを特徴としている。
このようにすれば、流体損失の増大を抑止しつつリヤカバーの周壁部の上部からリヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流を良好にリヤカバーの下半部に到達させることができる。したがって、リヤカバーの下半部に配置した電気部品(たとえばレクチファイア)の冷却を向上することができる。
更に説明すると、リヤカバーの周壁部の上部に局部的に吸入口を開口する場合、この吸入口からリヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流は、吸入口から出たとたんに左右に広がるため、渦の形成などにより大きな流体損失を発生する。
そこで、この発明では、吸入口から吹き出す冷却空気流が横方向へ分散するのを抑止するため、吸入口から吹き出した冷却空気流の流路の側方において、前記リヤカバーの端壁部を凹ませる。
このようにすれば、リヤカバーの吸入口からリヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流が吸入口から出たとたんに横に広がるのを防止できるため、流体損失を減らしつつ、冷却空気流を良好にリヤカバー下部に送り込むことができる。
好適態様において、前記電気部品は、前記リヤカバーの吸入口よりも軸方向前側に配置され、前記リヤカバーの内端壁面は、軸方向前向きに突設されたガイドプレートを有し、前記ガイドプレートは、前記リヤカバーの吸入口から径内方向へ吹き込まれた前記冷却空気流を軸方向前方又は径方向所定向きに曲げることを特徴としている。
このようにすれば、流体損失の増大を抑止しつつリヤカバーの周壁部の上部からリヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流を冷却を要する特定の電機部品に良好に到達させることができ、その冷却を向上することができる。
好適態様において、前記ガイドプレートは、前記吸入口近傍から横側へ湾曲して前記レギュレータ近傍に達する形状を有し、前記冷却空気流を前記レギュレータに誘導する。
好適態様において、前記ガイドプレートは、前記レクチファイアの整流素子近傍に位置して前記吸入口から吹き下ろされた前記冷却空気流を軸方向前方へ曲げる形状を有する。
好適な態様において、外部の冷却空気流を取り入れるための取り入れ口から略軸方向後方に延在した後、略径内方向へ曲がって前記リヤカバーの吸入口に達するL字形吸気ダクトを有する。このようにすれば、軸方向前方すなわち車両交流発電機のプーリー側から冷却空気流を取り込むことができるため、排気管などからの熱影響が少ない冷却空気流をリヤカバー内の電気部品の冷却に用いることができる。
好適な態様において、外部の冷却空気流を取り入れるための取り入れ口から略接線方向エンジン側に延在した後、略径内方向へ曲がって前記リヤカバーの吸入口に達するL字形吸気ダクトを有する。
このようにすれば、車両のエンジンルーム内に横置きされたエンジンの車両前方側に装備される車両交流発電機において、外部からの排気管などの熱影響が少ない冷却空気流をリヤカバー内の電気部品冷却に使用することができる。
好適な態様において、外部の冷却空気流を取り入れるための取り入れ口から略接線方向エンジン側に延在した後、略径内方向へ曲がって前記リヤカバーの吸入口に達するL字形吸気ダクトを有することを特徴としている。
このようにすれば、車両のエンジンルーム内に横置きされたエンジンの車両前方側に装備される車両交流発電機において、外部からの排気管などの熱影響が少ない冷却空気流をリヤカバー内の電気部品冷却に使用することができる。
好適な態様において、前記吹出口は、前記リヤカバーの周壁部に略接線方向へ前記冷却空気流を吹き込む形状を有し、前記リヤカバーの内端面は、前記吸入口から吹き込まれた前記冷却空気流を螺旋状に径内方向へ誘導するガイド壁を有することを特徴としている。
このようにすれば、リヤカバー内に吹き込まれた冷却空気流の流体損失を低下しつつリヤカバー内に冷却空気流を吹き込むことができる。
本発明の車両交流発電機の冷却空気流路構造を以下の実施形態により説明する。ただし、本発明は下記の実施形態に限定解釈されるべきではなく、本発明の技術思想をその他の公知技術を組み合わせて構成してもよい。
(実施形態1)
実施形態1を図面を参照して説明する。図1は、車両交流発電機の軸方向断面図である。
車両交流発電機は、車両エジンルン−ム内にて縦置き車両用エンジン(図示せず)の横側に固定され、ベルト駆動されるいわゆるオルタネ−タであって、車両用エンジンの排気管(図示せず)がこの発電機のリヤ側に近接している。
車両用交流発電機は、スルーボルトにより締結されて内部に略密閉空間を形成するフロントフレーム1及びリヤフレーム2とからなる金属製フレームを有し、フロントフレーム1及びリヤフレーム2は軸受けを介して回転軸3を回転自在に支承している。回転軸3にはランデル型ロータ4が固定され、ランデル型ロータ4の外周面に対面してステータ5がフロントフレーム1及びリヤフレーム2に挟持されている。
リヤフレーム2の外端壁面は、浅底皿状で樹脂製の第1リヤカバー6により囲覆され、第1リヤカバー6はリヤフレーム2に締結されている。リヤフレーム2の外端壁面と第1リヤカバー6との間に形成された電気部品室Sには、レギュレータ7、レクチファイア8、界磁コイル通電機構9が収容されている。なお、レギュレータ7は電気部品室Sの上部に収容されている。レクチファイア8は、良く知られているように互いに小さい軸方向隙間を隔てて回転軸3を囲んで配置された馬蹄形の+フィン81及び−フィン82を有する。界磁コイル通電機構9はスリップリングおよびブラシを2組有し、ブラシは回転軸3の上方へ延在しているが周知のため詳細説明は省略する。この種の電気部品リヤ配置方式の車両用交流発電機は周知であるため、その他の構造及び動作についての更なる詳細については関連公報などを参照されたい。
10は、浅底皿状で樹脂製の第2リヤカバーである。第2リヤカバー10の周壁部の上端には、吸入口10aが開口している。第2リヤカバー10は、第1リヤカバー6を囲覆してリヤフレーム2に締結されている。これにより、第1リヤカバー6と第2リヤカバー10とにより、電気部品室Sの後方に位置して冷却空気室Lが区画形成されている。
11は、第2リヤカバー10の吸入口10aに連通して延在する吸気ダクトである。吸気ダクト11は、軸方向前向きに延在する軸方向ダクト部11aと、軸方向ダクト部11aの後端部から下向きに短く延在して第2リヤカバー10の吸入口10aに連結される径方向ダクト部11bとからなる。軸方向ダクト部11aの前端開口は、外部より冷却空気流を取り入れるための取り入れ口11cをなす。
上記構成した車両交流発電機の冷却空気流の基本的な流れを以下に説明する。
ランデル型ロータ4の回転により、ランデル型ロータ4の後端面に固定された遠心ファン12は遠心方向に冷却空気流を生起すると、取り入れ口11cから軸方向ダクト部11a内へ冷却空気流が吸い込まれる。この冷却空気流は、軸方向ダクト部11aを軸方向後方へ流れた後、軸方向ダクト部11aと径方向ダクト部11bとの境界部にて径方向内側に曲げられ、その後、第2リヤカバー10の吸入口10aから第2リヤカバー10内の冷却空気室L内へ求心方向へ吹き込まれる。
冷却空気室L内に吹き込まれた冷却空気は、第1リヤカバー6に設けられた孔から電気部品室S内へ吹き込まれ、電気部品室Sから、リヤフレーム2の端壁部に開口されたフレーム吸入孔2aを通じて、遠心ファンの径方向内側に吸い込まれる。
上記説明した冷却空気流の流れは、既述した特許文献1のそれと同じである。ただし、この実施形態では、後述の冷却空気流流路の流体損失低減構造を採用しているため特許文献1の電動ファンを装備していない。
第2リヤカバー10の形状詳細を図2〜図4を参照して説明する。図2は車両用交流発電機を後方からみた正面図であり、図3は第2リヤカバー10及び吸気ダクト11の斜視図である。図4は第2リヤカバー10をほぼ軸方向前方から後方へ観た斜視図である。
図2において、13は、レクチファイア8から軸方向後方へ突出する棒状の出力ターミナルであり、14は、軸方向後方へ突出するレギュレータ7のコネクタ部である。出力ターミナル13には図示しないケーブルの先端端子が締結され、コネクタ部14には、図示しない車両ECUとの接続のための外部コネクタ(図示せず)が接続される。
この実施形態では、出力ターミナル13及びコネクタ部14とエンジン本体(図示せず)との間の水平距離は、吸気ダクト11とエンジン(図示せず)との間の水平距離よりも大きくされているが、言い換えれば、出力ターミナル13及びコネクタ部14は、図2に示すように軸心を基準として反エンジン側に配置されるが、これは必須事項ではない。
第2リヤカバー10は、それぞれ軸方向に開口する出力ターミナル窓101及びレギュレータコネクタ窓102をもつ。これら出力ターミナル窓101及びレギュレータコネクタ窓102は、第2リヤカバー10の冷却空気室L内に区画形成されている。出力ターミナル窓101内には、レクチファイア8の出力ターミナル13が軸方向に突出している。レギュレータコネクタ窓102には、レギュレータ7のコネクタ部14が軸方向に突出している。
出力ターミナル窓101及びレギュレータコネクタ窓102は、第2リヤカバー10と一体に形成された隔壁103により、第2リヤカバー10内の冷却空気室Lから区画されている。なお、レクチファイア8の馬蹄形の+フィン81及び−フィン82は、これら隔壁103により区画された出力ターミナル窓101及びレギュレータコネクタ窓102の部位には配置されないのは従来通りである。
隔壁103は、第2リヤカバー10の端壁部から軸方向前向きすなわち車両用交流発電機のプーリ側へ向けて立設されている。隔壁103の高さは、吸入口10aの軸方向幅と略等しく形成されている。隔壁103の位置は、第2リヤカバー10の周壁部のほぼ上端に位置する吸入口10aの右横に形成されている。この実施形態では、出力ターミナル窓101がレギュレータコネクタ窓102よりも吸入口10aに近接配置されているが、逆の構成としてもよい。
これにより、第2リヤカバー10の吸入口10aから冷却空気室L内に略真下へ吹き出された冷却空気流の側面は、隔壁103により遮られることになる。言い換えると、隔壁103は、吸入口10aから左右に広い冷却空気室L内に吹き出す冷却空気流が横(図3では右)方向に拡散するのを抑止するためのガイドプレートとして機能している。
流体の流れにおいて、流路が急角度で曲がったり、流路断面積が急激に広くなる場合には、渦の生成などにより大幅に流体抵抗が増大することが知られている。この実施形態では、吸入口10aから左右に異常に広い冷却空気室L内への冷却空気流流路の流路断面積の急増を、出力ターミナル窓101を区画する隔壁103を利用して防止する。これにより、この部位での流体抵抗の急増による冷却空気流の流速低下を招くことなく、少ない冷却ファン駆動力にて冷却空気流を回転軸下方まで良好に到達させることができる。
次に、第2リヤカバー10の略円形の端壁部の各部の軸方向深さすなわち軸方向位置について図2を参照して詳細に説明する。
第2リヤカバー10の端壁部は、吸入口10aから径方向中央部までの吸入口直下部104と、その左右のサイド部105、106と、吸入口直下部104から下端までの冷却空気流流路末端部107とに区分される。
吸入口直下部104は軸方向最も後方側に位置して径方向に平坦に形成されている。左右のサイド部105、106は、吸入口直下部104から左右に離れて第2リヤカバー10の端壁部の周縁に近づくにつれて次第に軸方向前側に位置するように斜設されている。冷却空気流流路末端部107は、第2リヤカバー10の端壁部のうち、図2に示すラインLxの位置から第2リヤカバー10の端壁部の下端までの部分である。冷却空気流流路末端部107は、吸入口直下部104から下方に離れて第2リヤカバー10の端壁部の周縁下端部分に近づくにつれて次第に軸方向前側に位置するように斜設されている。このように構成すると、上記したように斜めに形成されたサイド部105、106が、吸入口10aから直下に吹き出された冷却空気流が左右に拡散し急激に曲がるのを抑制する。これにより、冷却空気室Lの各部のうち、吸入口10aから最も遠い位置にある冷却空気室Lの下端部への冷却空気流の到達量を増大することができる。
また、サイド部105、106は、冷却空気室Lを軸方向に狭窄するように斜設されているため、冷却空気流の一部が吸入口直下部104から左右に曲がってこの部位に必要量だけ到達させることができる。また、このサイド部105、106の上記斜設は、冷却空気流の風向きを軸方向前側に曲げるのを円滑化することができる。
更に、冷却空気流流路末端部107も、冷却空気室Lの下半部分を下方にいくにしたがい徐々に冷却空気室Lを軸方向に狭窄するように斜設されている。従って、吸入口直下部104から冷却空気流流路末端部107に吹き下ろされた冷却空気流は、冷却空気流流路末端部107にて冷却空気流の風向きを軸方向前側に曲げるのを円滑化することができる。
また更に、この実施形態では、L字形の吸気ダクト11から吹き下ろされる冷却空気流を、電気部品室Sの後方の冷却空気室Lに吹き込み、この冷却空気室Lからその前方の電気部品室Sに分散して送り込む冷却空気流流路構造を採用しているので、吸気ダクト11から吹き下ろされた冷却空気流が電気部品に衝突したりしてその下流側の電機部品に接触するのが阻害されることがない。なお、第1リヤカバー6には電気部品室S内の電気部品すなわちレギュレータ7やレクチファイア8の半導体素子の冷却に好適なように孔や開口が形成されている。なお、吸気ダクト11の取り入れ口11cの高さは、吸入口10aの軸方向幅の2倍程度に形成されている。これにより、取り入れ口11cや吸気ダクト11の軸方向ダクト部11aでの流速を低下して流体抵抗を低減している。これに対して、吸入口10aの軸方向幅の増大は、体格増大のために限界がある。
上記した実施形態によれば更に、L字形吸気ダクトを用いるリヤ側吸入方式の車両用交流発電機を採用しているため、エンジンの排気管などから冷却空気流を良好に遮熱することができる。また、縦置きエンジンに装備する場合には、車両走行風の良好な取り込みが可能となる。
(実施形態2)
実施形態2を説明する。この実施形態は、図2に示す実施形態1において、第2リヤカバー10の吸入口10aの直下の冷却空気流流路を挟んでその両側に出力ターミナル窓101とレギュレータコネクタ窓102とを配置したものである。このようにすれば、吸入口10aから吹き下ろされた冷却空気流が左右両側の隔壁103により下方にガイドされるため、流体抵抗増大を更に良好に低減することができる。
(実施形態3)
実施形態3を図5を参照して説明する。図5は、車両用交流発電機をほぼ軸方向前方から後方へ観た斜視図である。この実施形態3は、第2リヤカバー10の端壁部の内端面に湾曲板からなる突条(本発明で言うガイドプレート)108、109を立設した点にその構成上の特徴を有する。
まず突条108について説明する。この突条108の上端は吸入口10aの直下に配置され、突条108の下端部は、レギュレータコネクタ窓102の近傍に達している。突条108は、冷却空気室L内にて吸入口直下部104内に配置され、その上端から徐々にレギュレータコネクタ窓102に向けて湾曲している。ただし、この実施形態では、レギュレータ7は、レギュレータコネクタ窓102の前にレギュレータコネクタ窓102に隣接して電気部品室S内に配置されている。このようにすれば、吸入口10aから吹き下ろされた冷却空気流の一部がこの突条108によりレギュレータコネクタ窓102の軸方向前方へ曲げられて、レギュレータコネクタ窓102と、その軸方向前方のレギュレータ7との間の隙間に良好に流れ込むことができ、レギュレータ7内の半導体ICを良好に冷却することができる。なお、突条108の高さは、レギュレータコネクタ窓102へガイドすべき流量に依存して適宜設定することができる。
次に、突条109について説明する。図5に示すように、この突条109は、冷却空気流流路末端部107内にて軸心からほぼ等距離状態にて円弧状に湾曲しており、その両端は、冷却空気流流路末端部107のほぼ左右両端に達している。このようにすれば、図5にて吸入口直下部104から冷却空気流流路末端部107へと吹き下ろされた冷却空気流をこの突条109の位置にて軸方向前向きへ良好に曲げることができる。これにより、この突条109近傍に配置されるレクチファイア8の整流ダイオードを良好に冷却することができる。
(実施形態4)
実施形態4を説明する。この実施形態4は、実施形態1の第1リヤカバー6を省略した点をその特徴としている。このようにすれば、構造を簡素化し、部品点数を削減することができる。
(実施形態5)
実施形態5を図6を参照して説明する。図6は、リヤカバー及び吸気ダクトの軸方向断面図である。この実施形態5は、実施形態1の第1リヤカバー6と第2リヤカバー10とを一体成形した冷却空気室L内蔵形のリヤカバー10’としたものであり、このようにすれば、リヤカバーの剛性を向上することができる。
(実施形態6)
実施形態6を図7を参照して説明する。図7は、車両交流発電機を後方から観た正面図である。この実施形態6は、図2に示す実施形態1において、吸気ダクト11の軸方向ダクト部11aの代わりに、接線方向に延在する接線方向ダクト部11dを設けた点をその特徴とする。ただし、この実施形態では、図示しないエンジンはエンジンルームに横置きされており、接線方向ダクト部11dの取り入れ口11cは、車両前方へ向けて開口している。
このようにすれば、エンジン熱による加熱が少ない冷却空気流を良好に第2リヤカバー10内に取り入れることができるとともに、横置きエンジンであっても良好に車両走行風も利用することができる。
(実施形態7)
実施形態7を図8、図9を参照して説明する。ただし、上記各実施例と共通機能を有する構成要素には同一符号を付す。図8は第2リヤカバー10及び吸気ダクト11を前方から後方へ観た模式正面図、図9は第2リヤカバー10及び吸気ダクト11の平面図である。ただし、図9において、第2リヤカバー10の周壁部における出力ターミナル窓101の図示は省略されている。なお、この実施形態では、出力ターミナル窓101は周壁部及び端壁部にそれぞれ開口するものの、レギュレータコネクタ窓102は軸方向後方にのみ開口しているため吸気ダクト11の隣接配置が可能としている。
この実施形態では、車両用交流発電機は縦置きエンジンに装備され、吸気ダクト11の取り入れ口11cはプーリ側に開口している。吸気ダクト11は、軸方向に延在する軸方向ダクト部11aと、径方向ダクト部11bとをもつが、径方向ダクト部11bは、軸方向後方に延在しつつ右方向に連続的に湾曲し、かつ、径方向内側に向けて湾曲し、最終的に第2リヤカバー10の周壁部の外周に略接線方向へ延在している。第2リヤカバー10の周壁部には、径方向ダクト部11bの出口に面して複数の吸入口10aをもつ。しかし、冷却空気流はこの吸入口10aを斜めに通過するため、冷却空気流の流れと直角の断面積である吸入口10aの流路断面積の合計は、軸方向ダクト部11aの取り入れ口11cのそれよりも小さくなっている。
103aは、第2リヤカバー10の内端面から螺旋状に立設されて、吸入口10aから吹き込まれた冷却空気流を螺旋状に径内方向へ誘導するガイド壁であり、第2リヤカバー10や隔壁103と一体に形成されている この実施形態によれば、吸気ダクト11及び第2リヤカバー10内の冷却空気流流路は、急激な曲げ部分がなく、かつ、急激な流路断面積の増大が無いため、流体抵抗を低減することができる。そのうえ、車両走行風も利用することができる。また、エンジン系からの熱による冷却空気流の加熱も良好に遮断することができる。
(実施形態8)
実施形態8を図10、図11を参照して説明する。ただし、上記各実施例と共通機能を有する構成要素には同一符号を付す。図10は第2リヤカバー10及び吸気ダクト11を前方から後方へ観た模式正面図、図11は第2リヤカバー10及び吸気ダクト11の平面図である。ただし、図11において、第2リヤカバー10の周壁部における出力ターミナル窓101の図示は省略されている。なお、この実施形態では、出力ターミナル窓101は周壁部及び端壁部にそれぞれ開口するものの、レギュレータコネクタ窓102は軸方向後方にのみ開口しているため吸気ダクト11の隣接配置が可能としている。
この実施形態では、車両用交流発電機は横置きエンジンに装備され、吸気ダクト11の取り入れ口11cは横方向反エンジン向きに開口している。吸気ダクト11は、接線方向へ延在する接線方向ダクト部11dからなり、その出口は、第2リヤカバー10の周壁部に開口された複数の吸入口10aに連通している。第2リヤカバー10の周壁部には、径方向ダクト部11bの出口に面して複数の吸入口10aをもつ。しかし、冷却空気流はこの吸入口10aを斜めに通過するため、冷却空気流の流れと直角の断面積である吸入口10aの流路断面積の合計は、軸方向ダクト部11aの取り入れ口11cのそれよりも小さくなっている。
103aは、第2リヤカバー10の内端面から螺旋状に立設されて、吸入口10aから吹き込まれた冷却空気流を螺旋状に径内方向へ誘導するガイド壁であり、第2リヤカバー10や隔壁103と一体に形成されている。
この実施形態によれば、吸気ダクト11及び第2リヤカバー10内の冷却空気流流路は、急激な曲げ部分がなく、かつ、急激な流路断面積の増大が無いため、流体抵抗を低減することができる。そのうえ、車両走行風も利用することができる。また、エンジン系からの熱による冷却空気流の加熱も良好に遮断することができる。
実施形態1の車両用交流発電機を示す軸方向断面図である。 実施形態1の車両用交流発電機を後方からみた正面図である。 図1の第2リヤカバー及び吸気ダクトの斜視図である。 図1の第2リヤカバー10をほぼ軸方向前方から後方へ観た斜視図である。 実施形態3の車両用交流発電機を軸方向前方から後方へ観た斜視図である。 実施形態5のリヤカバー及び吸気ダクトの軸方向断面図である。 実施形態6の車両交流発電機を後方から観た正面図である。 実施形態7の第2リヤカバー及び吸気ダクトを前方から後方へ観た模式正面図である。 図8の第2リヤカバー及び吸気ダクトの平面図である。 実施形態8の第2リヤカバー及び吸気ダクトを前方から後方へ観た模式正面図である。 図10の第2リヤカバー及び吸気ダクトの平面図である。
符号の説明
L 冷却空気室
Lx ライン
S 電気部品室
1 フロントフレーム
2 リヤフレーム
2a フレーム吸入孔
3 回転軸
4 ランデル型ロータ
5 ステータ
6 リヤカバー
7 レギュレータ
8 レクチファイア
9 界磁コイル通電機構
10 リヤカバー
10a 吸入口
11 吸気ダクト
11a 軸方向ダクト部
11b 径方向ダクト部
11c 取り入れ口
11d 接線方向ダクト部
12 遠心ファン
13 出力ターミナル
14 コネクタ部
101 出力ターミナル窓
102 レギュレータコネクタ窓
103 隔壁
104 吸入口直下部
105 サイド部
107 冷却空気流流路末端部
108 突条
109 突条

Claims (10)

  1. 少なくともレギュレータ及びレクチファイアを含む電気部品が収容される発電機ハウジングの後端面を囲覆する浅底皿状のリヤカバーと、
    外部の冷却空気流を取り入れるための取り入れ口から筒状に延在する吸気ダクトと、
    を有し、
    前記リヤカバーは、周壁部上部に位置して前記吸気ダクトから冷却空気流を吸入する吸入口を有する車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    前記吸入口は、前記取り入れ口よりも狭窄されていることを特徴とする車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  2. 請求項1記載の車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    前記リヤカバーは、
    前記電気部品の外部接続端子を囲むコネクタ部の隔壁を有し、
    前記コネクタ部の隔壁は、
    前記吸入口から前記リヤカバー内へ略径内向きに吹き出される前記冷却空気流の側面に沿いつつ前記リヤカバーの端壁部から軸方向内側へ立設されていることを特徴とする車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  3. 請求項1記載の車両交流発電機において、
    前記リヤカバーの端壁部は、
    前記吸入口から前記リヤカバー内へ略径内向きに吹き出される前記冷却空気流の流路の側方に位置して、前記リヤカバーの端壁部の他の部分よりも軸方向前側へ向けて凹んでいることを特徴とする車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  4. 請求項1記載の車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    前記電気部品は、
    前記リヤカバーの吸入口よりも軸方向前側に配置され、
    前記リヤカバーの内端壁面は、
    軸方向前向きに突設されたガイドプレートを有し、
    前記ガイドプレートは、
    前記リヤカバーの吸入口から径内方向へ吹き込まれた前記冷却空気流を軸方向前方又は径方向所定向きに曲げる車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  5. 請求項4記載の車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    前記ガイドプレートは、前記吸入口近傍から横側へ湾曲して前記レギュレータ近傍に達する形状を有し、前記冷却空気流を前記レギュレータに誘導する車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  6. 請求項4記載の車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    前記ガイドプレートは、前記レクチファイアの整流素子近傍に位置して前記吸入口から吹き下ろされた前記冷却空気流を軸方向前方へ曲げる形状を有する車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  7. 請求項1乃至6記載の車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    外部の冷却空気流を取り入れるための取り入れ口から略軸方向後方に延在した後、略径内方向へ曲がって前記リヤカバーの吸入口に達するL字形吸気ダクトを有する車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  8. 請求項1乃至6記載の車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    外部の冷却空気流を取り入れるための取り入れ口から略接線方向エンジン側に延在した後、略径内方向へ曲がって前記リヤカバーの吸入口に達するL字形吸気ダクトを有する車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  9. 請求項1記載の車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    外部の冷却空気流を取り入れるための取り入れ口から略接線方向エンジン側に延在した後、略径内方向へ曲がって前記リヤカバーの吸入口に達するL字形吸気ダクトを有する車両交流発電機の冷却空気流路構造。
  10. 請求項1記載の車両交流発電機の冷却空気流路構造において、
    前記吸入口は、
    前記リヤカバーの周壁部から前記リヤカバー内へ前記冷却空気流を略接線方向へ吹き込む形状を有し、
    前記リヤカバーの内端面は、
    前記吸入口から吹き込まれた前記冷却空気流を螺旋状に径内方向へ誘導するガイド壁を有することを特徴とする車両交流発電機の冷却空気流路構造。
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