JP2008034507A - 半導体装置とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コスト増を招くことなく高いインダクタンス値を得る。
【解決手段】半導体基板10にインダクタ素子40が形成される。粉末状の磁性体が分散された樹脂材で形成され、インダクタ素子40を覆う磁性樹脂体30、66を備える。また、巻き線41における配線間の隙間を埋めるように、透磁率の低い材料として非磁性の樹脂層42が製膜されている。樹脂剤42は磁性樹脂層30を形成する材料の中、磁性体が添加されない樹脂で形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置とその製造方法に関するものである。
近年、携帯情報端末をはじめ、各種の携帯型電子機器の普及が著しい。このような電子機器においては、携帯性の向上や高機能化が強く求められる技術傾向にあることから、電子機器に実装される半導体装置においても、一層の小型、軽量、薄型化が要望されている。このような傾向、要望に対応するための半導体装置のパッケージ構造(封止構造)として、パッケージの外形寸法を集積回路が形成された半導体基板(半導体チップ)の寸法とほぼ等しくすることができるチップサイズパッケージ(Chip Size Package)が知られている。
このように、電子機器の小型化が進む中で、半導体装置に高性能なコンデンサ及びインダクタを集積化することが求められている。半導体基板上に形成されるインダクタの多くはスパイラル形状をなしている。また、このインダクタの特性を現すパラメータとしては、Q値(インダクタンスと抵抗値との比)がある。
半導体装置に複数回周回された、例えば、スパイラル状のインダクタを用いるとQ値が低下してしまうため、従来から種々の構造上の工夫がなされている。例えば、特許文献1には、強磁性金属と絶縁性化合物とを交互に積層して磁性膜層を形成する技術が開示され、特許文献2には磁性膜の下に積層された無機絶縁膜の下面がコイルの上面のみで保持される技術が開示されている。また、特許文献3には、導電性金属膜が絶縁膜を挟んで積層され、積層された導電性金属膜の両端がそれぞれ互いに接続される技術が開示されている。さらに、特許文献4には、積層磁性膜層の構成が開示されている。
特開2003−249408号公報 特開平7−249523号公報 特許第3580054号公報 特許第3730366号公報
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
特許文献1記載の磁性薄膜インダクタでは、強磁性金属と絶縁性化合物とを積層する構造であるため、加工プロセスが長くコストがかかるという問題が生じ、また特許文献4記載の磁気素子では構造が繁雑であり、やはり製造コストが大きくなってしまうという問題が生じる。
一方、特許文献2記載の薄膜磁気素子では、コイルの上側にのみ磁性膜が形成されるため、インダクタンス値の向上を多く望めないという問題がある。また、特許文献3記載の薄膜磁気素子では、磁性膜形成にスパッタ等を用いるため、生産性が悪くコスト的に不利である。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、コスト増を招くことなく高いインダクタンス値が得られる半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の半導体装置は、半導体基板にインダクタ素子が形成された半導体装置であって、粉末状の磁性体が分散された樹脂材で形成され、前記インダクタ素子を覆う磁性樹脂体を備えることを特徴とするものである。
従って、本発明の半導体装置では、インダクタ素子から発生する磁力線の磁路が磁性樹脂体内で閉じることになるため、磁束密度を大きくすることが可能になり、高いインダクタンス値(L値)を得ることができる。また、本発明では、粉末状の磁性体が分散された樹脂材を印刷法、スピンコート法、液滴吐出法等により塗布するという簡単な工法で磁性樹脂体を形成できるため、コストの増加を回避することができる。
前記磁性樹脂体としては、前記インダクタ素子の一方の面側に配置された第1磁性樹脂層と、前記インダクタ素子の他方の面側に配置され前記第1磁性樹脂層との間で前記インダクタ素子を挟持する第2磁性樹脂層と、少なくとも一箇所で前記第1磁性樹脂層及び前記第2磁性樹脂層とを接続する接続部とを有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、インダクタ素子から発生する磁力線が閉ループを形成して集中させやすくなるため、磁束密度が向上し、より高いインダクタンス値(L値)を得ることができる。
前記インダクタ素子としては、スパイラル状にパターニングされた配線を有し、前記接続部を除く前記配線間の隙間には、非磁性樹脂が装填される構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、前記第1磁性樹脂層と前記第2磁性樹脂層との間で磁束線の短絡を抑制することが可能になり、より磁力線を集中させることができる。
また、上記においては、前記配線が前記非磁性樹脂を間に挟んで複数層に亘って積層される構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、各層でインダクタ素子から発生する磁力線の短絡を抑制しつつ、インダクタ素子を複数設けることにより、インダクタンス値を大幅に向上させることが可能になる。
また、前記非磁性樹脂としては、前記磁性樹脂体を形成する前記樹脂材と同一材料である構成を好適に採用できる。
従って、本発明では、磁性樹脂体と非磁性樹脂とで同一の樹脂材を用いることができるため、コストダウンに寄与できる。
一方、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板にインダクタ素子が形成された半導体装置の製造方法であって、粉末状の磁性体が分散された樹脂材により、前記インダクタ素子を覆う磁性樹脂体を形成する工程を有することを特徴とするものである。
これにより、本発明では、インダクタ素子から発生する磁力線の磁路が磁性樹脂体内で閉じることになるため、磁束密度を大きくすることが可能になり、高いインダクタンス値(L値)を得ることができる。また、本発明では、粉末状の磁性体が分散された樹脂材を印刷法、スピンコート法、液滴吐出法等により塗布するという簡単な工法で磁性樹脂体を形成できるため、コストの増加を回避することができる。
また、本発明では、前記インダクタ素子の一方の面側に第1磁性樹脂層を形成する工程と、前記インダクタ素子の他方の面側に、前記第1磁性樹脂層との間で前記インダクタ素子を挟持する第2磁性樹脂層を形成する工程と、少なくとも一箇所で前記第1磁性樹脂層及び前記第2磁性樹脂層とを接続する接続部を形成する工程とを有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、インダクタ素子から発生する磁力線が閉ループを形成して集中させやすくなるため、磁束密度が向上し、より高いインダクタンス値(L値)を得ることができる。
また、本発明では、スパイラル状に配線をパターニングして、前記インダクタ素子を形成する工程と、前記接続部を除く前記配線間の隙間に非磁性樹脂を装填する工程とを有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、前記第1磁性樹脂層と前記第2磁性樹脂層との間で磁束線の短絡を抑制することが可能になり、より磁力線を集中させることができる。
また、本発明では、前記配線を、前記非磁性樹脂を間に挟んで複数層に亘って積層する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、各層でインダクタ素子から発生する磁力線の短絡を抑制しつつ、インダクタ素子を複数設けることにより、インダクタンス値を大幅に向上させることが可能になる。
そして、本発明では、前記非磁性樹脂が前記磁性樹脂体を形成する前記樹脂材と同一材料である構成を採用できる。
従って、本発明では、磁性樹脂体と非磁性樹脂とで同一の樹脂材を用いることができるため、コストダウンに寄与できる。
以下、本発明の半導体装置とその製造方法の実施の形態を、図1ないし図6を参照して説明する。
ここでは、W−CSP(Wafer level Chip Scale Package)技術により半導体基板上にインダクタ素子が形成された電子基板について説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
図1(a)は第1実施形態に係る半導体装置としての電子基板1の平面図であり、図1(b)は図1(a)のE−E線における断面図である。
電子基板1は、シリコンやガラス、石英、水晶等からなる基体(半導体基板)10を備えている。その基体10の能動面には、電子回路(不図示)が形成されている。その電子回路は、少なくとも配線パターンが形成されたものであり、複数の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)等の半導体素子や、複数のパッシブコンポーネント(部品)、それらを相互に接続する配線等によって構成されている。
基体10の能動面の中央部には、後述する磁性樹脂層(第1磁性樹脂層)30が形成されている。この磁性樹脂層30は、能動面の全体に形成されていても良い。また基体10の能動面の周縁部には、電子回路を外部に電気的接続するための電極11,21(図1(a)では左側の電極11、21のみ図示)と、外部から電力供給を受けるための複数の電極62とが整列配置されている。
電極11,21から、磁性樹脂層30の表面にかけて、複数のインダクタ素子40,80が形成されている。なお、インダクタ素子80は、インダクタ素子40と同様の構成であるため、以下においては、インダクタ素子40についてのみ説明する。
図2はインダクタ素子の説明図であり、図2(a)は平面図であり、図2(b)は図2(a)のB−B線における断面図である。図2(b)に示すように、基体10の能動面には、電子回路を保護するため、SiN等の電気絶縁性材料からなるパッシベーション膜8が形成されている。また基体10の能動面の周縁部には、電子回路を外部に電気的接続するための電極11が形成されている。その電極11の表面には、パッシベーション膜8の開口部が形成されている。
その開口部からパッシベーション膜8の表面にかけて、連結配線12aが形成されている。この連結配線12aは、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)等の導電性材料の単体または複合材料により、単層もしくは複数層に形成されている。なお電解メッキ法により連結配線12aを形成する場合には、連結配線12aは下地層の表面に形成されることが多いが、図2(b)では下地層の記載を省略している。
その連結配線12aを覆うように、磁性樹脂層30が形成されている。この磁性樹脂層30は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の非磁性樹脂材にアモルファス磁石やフェライト等の粉末状の磁性体が、導電性を有さない程度の量で添加され分散されたものであり、この磁性樹脂層30には連結配線12aの端部を露出させる貫通孔31aが形成されている。なお、磁性樹脂層30は、便宜上、図1(a)及び図2(a)では、図示を省略している。
その誘電体層31の表面に、インダクタ素子40の巻き線(配線)41がパターニングして形成されている。巻き線41の構成材料は、連結配線12aと同様であるが、巻き線41として必要な抵抗レンジや耐許容電流値等の特性に応じて適宜選択することができる。
図2(a)に示すように、巻き線41は平面視において略矩形の渦巻状(スパイラル状)に形成されているが、略円形や略多角形の渦巻状に形成されていてもよい。また図2(b)に示すように、巻き線41は側面視において同一平面状に形成されている。すなわち、本実施形態のインダクタ素子40として、平面型インダクタ素子(スパイラルインダクタ素子)が採用されている。
図2(a)に示すように、巻き線41の外側端部は、連結配線22aを介して電極21に連結されている。また巻き線41の内側端部は、貫通孔31aを通って連結配線12aの一方端部に連結されている。この連結配線12aの他方端部は、巻き線41の外側に引き出されて、電極11に連結されている。連結配線12aを外側に引き出す際、磁性樹脂層30により連結配線12aと巻き線41との短絡が防止されている。そして、電極11,21からインダクタ素子40に通電することにより、インダクタ素子40が例えばアンテナとして機能し、適用可能周波数の電磁波が出力されるようになっている。
また、巻き線41における配線間の隙間を埋めるように、インダクタ素子40が通電されたときに発生する磁力線の短絡を抑制するために、透磁率の低い材料として非磁性の樹脂材42が成膜されている。樹脂材42は、磁性樹脂層30を形成する材料の中、磁性体が添加されないポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等で形成される。
電極62には、電極62間のピッチを広げことを主たる目的として、再配置配線64が接続されている。具体的には、電子基板1の表面中央部に、接続端子63を構成する複数のパッドが形成されている。その接続端子63に対して、電極62から引き出された再配置配線64が連結されている。これにより、狭ピッチの電極62が中央部に引き出されて広ピッチ化されている。
図1(b)に示すように、接続端子63の表面にはバンプ78が形成されている。このバンプ78は、例えばハンダバンプであり、印刷法等によって形成されている。このバンプ78がリフロー等により溶解されて、相手側部材の接続端子に連結されるようになっている。
また、図1(b)及び図2(b)に示すように、磁性樹脂層30上にはバンプ78の周囲を囲み接続端子63等を覆うとともに、インダクタ素子40の上面(他方の面)を覆う磁性樹脂層(第2磁性樹脂層)66が形成されている。この磁性樹脂層66は、磁性樹脂層30との間でインダクタ素子40を挟持した状態で配置されており、この磁性樹脂層30と同一の材料で形成されている。なお、磁性樹脂層66は、便宜上、図1(a)及び図2(a)では、図示を省略している。
また、磁性樹脂層66は、電子基板1を相手側部材に実装する際にハンダバンプ78の隔壁としても機能している。この磁性樹脂層66により、電子基板1の表面全体が覆われている。
これら磁性樹脂層30、66は、インダクタ素子40の外側、及びインダクタ素子40の中央部に位置する貫通孔31aにおいて連結配線12aの周囲で接続する接続部43を形成している。これら磁性樹脂層30、66及び接続部43により、本発明に係る磁性樹脂体が構成される。
(電子基板の製造方法)
次に、電子基板の製造方法について説明する。
図3および図4は、電子基板の製造方法の工程図であり、図1のF−F線に相当する部分における断面図である。なお電子基板の製造には、W−CSP技術を利用する。すなわち、ウエハに対し一括して以下の各工程を行い、最後に個々の電子基板に分離する。
まず図3(a)に示すように、ウエハ10aのパッシベーション膜8の表面に連結配線12aを形成する。その前提として、パッシベーション膜8の表面全体に下地膜(不図示)を形成する。この下地膜は、下層のバリア層と上層のシード層とで構成される。バリア層は、連結配線12aを構成するCuの拡散を防止するものであり、TiWやTiN等により厚さ100nm程度に形成する。シード層は、連結配線12aを電解メッキ法で形成する際の電極として機能するものであり、Cu等により厚さ数100nm程度に続けて形成する。それらはスパッタ法、CVD法、無電解メッキ法などで形成されることが多い。次に、連結配線12aの形成領域に開口部を有するマスクを形成する。次に、下地膜のシード層を電極として電解Cuメッキを行い、マスクの開口部にCuを埋め込んで連結配線12aを形成する。これは、無電解メッキ法などで形成しても良い。マスクを除去した後に、連結配線12aをマスクとして下地膜をエッチングする。
次に図3(b)に示すように、ウエハ10aの表面に磁性樹脂層30を形成する。また連結配線12aの一方端部が露出するように、磁性樹脂層30の貫通孔31aを形成する。この磁性樹脂層30の形成は、印刷法やスピンコート法、液滴吐出法、フォトリソグラフィ等を用いて行うことが可能である。特に、磁性樹脂層30の構成材料として感光性を有する樹脂材料を採用すれば、フォトリソグラフィを用いて簡単かつ正確に磁性樹脂層30をパターニングすることができる。この後、磁性樹脂層30を乾燥・焼成して硬化させる。
次に、図3(c)に示すように、磁性樹脂層30の表面に、再配置配線および接続端子63(以下「接続端子63等」という。)を形成する。この接続端子63等の形成工程において、接続端子63等と同時に、磁性樹脂層30の表面に巻き線41を形成する。その具体的な方法は、上述した連結配線12aの形成方法と同様である。このように、接続端子63等と同時に巻き線41を形成することにより、製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。また、メッキやフォトリソグラフィ等を利用して正確に巻き線41を形成することが可能になり、所望の特性を備えたインダクタ素子を形成することができる。なお、磁性樹脂層30の表面に形成された巻き線41をレーザ等でトリミングすることにより、インダクタ素子40の特性のチューニング(特性調整)を行うことも可能である。
次に、図4(a)に示すように、磁性樹脂層30上にポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等を塗布し、フォトリソグラフィ等によりパターニングすることにより、図2(a)に示したように、接続部43を除く巻き線41の配線間に非磁性樹脂材42を形成する。
続いて、図4(b)に示すように、ウエハ10aの表面全体に、磁性樹脂層30の形成材料と同一材料(非磁性樹脂に粉末状の磁性体を分散させた材料)を塗布することにより磁性樹脂層66を形成する。これにより、磁性樹脂層30、66が、インダクタ素子40(巻き線41)の外側及び中心部において接続する接続部43が形成される。
続いて、接続端子63の上方に、磁性樹脂層66の開口部67を形成する。
そして、図4(c)に示すように、その開口部67の内側における接続端子63の表面に、バンプ78を形成する。
その後、ウエハから個々の基体10を分離する。基体10の分離は、ダイシング等によって行うことができる。以上により、本実施形態に係る電子基板1が完成する。
上記の構成の電子基板1においては、インダクタ素子40の両面に配置された磁性樹脂層30、66に磁性体が分散されて磁性層として機能するため、インダクタ素子40が通電されたときに発生する、図2(b)に二点鎖線で示す磁力線が磁性樹脂層30、66で閉磁路を形成することになる。特に、上記実施形態では、インダクタ素子40の外側及び中心部に磁性樹脂層30、66を接続する接続部43が形成されることから、磁力線が集中する閉ループを形成しやすくなる。
従って、本実施形態では、磁束密度を大きくすることが可能になり、高いインダクタンス値(L値)を得ることができる。加えて、本実施形態では、巻き線41の配線間に透磁率が低い非磁性樹脂42を装填しているため、当該配線間で磁力線が短絡することを抑制でき、より磁力線を集中させることが可能になることから、より高いインダクタンス値を得ることができる。
また、本実施形態では、磁性体が分散された樹脂材を塗布するという簡単な工法で磁性樹脂層30、66(及び接続部43)を形成できるため、コストの増加を回避することができるとともに、厚さの大きい磁性層を容易、且つ短時間に形成することが可能になり、高いインダクタ特性が得られるとともに、生産性の向上に寄与できる。
加えて、本実施形態では、磁性樹脂層30、66の基材及び非磁性樹脂42が同一材料であるため、塗布条件等の設定が容易になるとともに、使用する材料の種類を減らすことが可能になり、生産性の向上を一層図ることができる。
さらに、本実施形態では、上記のように磁力線が磁性樹脂層30、66内で閉じてシールドされることから、基体10に含まれるトランジスタ回路等の電子回路に悪影響を及ぼすことを防止でき、高品質の電子基板1を得ることが可能になる。
(第2実施形態)
続いて、電子基板1の第2実施形態について、図5を参照して説明する。
本実施形態では、インダクタ素子40を複数層に亘って設けている点で第1実施形態と相違している。
なお、この図において、図1乃至図4に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態のインダクタ素子40は、下面が磁性樹脂層30に対向して形成された巻き線(配線)41Aと、非磁性樹脂42を介して巻き線41A上に積層された巻き線41Bとから構成されている。巻き線41A、41Bは、平面視で重なるように形成されている。また、巻き線41Bは、図示しない電極により、基体10の電子回路に接続されている。
これら巻き線41A、41Bの間には、磁性樹脂層30、66が接続される接続部43を除いた領域に上記非磁性樹脂42が装填される。
他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
本実施の形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、非磁性樹脂42により各巻き線41A、41Bから発生する磁力線の短絡を抑制しつつ、インダクタンス値を大幅に向上させることが可能になる。
(電子機器)
次に、上述した電子基板を備えた電子機器の例について説明する。
図6は、携帯電話の斜視図である。上述した電子基板は、携帯電話1300の筐体内部に配置されている。この構成によれば、高いインダクタンス値を有し、またコスト増が抑制された電子基板を備えているので、低コストで高品質の携帯電話を提供することができる。
なお、上述した電子基板は、携帯電話以外にも種々の電子機器に適用することができる。例えば、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)およびエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などの電子機器に適用することが可能である。いずれの場合でも、低コスト、高品質の電子機器を提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、応力緩和層として機能させるために、磁性樹脂層30を必要領域にパターニングして形成する構成としたが、これに限定されるものではなく、基体10上に全面的に成膜する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、巻き線41A、41Bの二層を積層する構成を例示したが、三層以上に積層する構成としてもよいことは言うまでもない。
第1実施形態に係る電子基板を示す図である。 インダクタ素子の説明図である。 電子基板の製造方法の工程図である。 電子基板の製造方法の工程図である。 第2実施形態に係る電子基板を示す図である。 携帯電話の斜視図である。
符号の説明
1…電子基板(半導体装置)、 10…基体(半導体基板)、 30…磁性樹脂層(第1磁性樹脂層)、 40、80…インダクタ素子、 41、41A、41B…巻き線(配線)、 42…非磁性樹脂、 43…接続部、 66…磁性樹脂層(第2磁性樹脂層)

Claims (10)

  1. 半導体基板にインダクタ素子が形成された半導体装置であって、
    粉末状の磁性体が分散された樹脂材で形成され、前記インダクタ素子を覆う磁性樹脂体を備えることを特徴とする半導体装置。
  2. 請求項1記載の半導体装置において、
    前記磁性樹脂体は、前記インダクタ素子の一方の面側に配置された第1磁性樹脂層と、前記インダクタ素子の他方の面側に配置され前記第1磁性樹脂層との間で前記インダクタ素子を挟持する第2磁性樹脂層と、少なくとも一箇所で前記第1磁性樹脂層及び前記第2磁性樹脂層とを接続する接続部とを有することを特徴とする半導体装置。
  3. 請求項2記載の半導体装置において、
    前記インダクタ素子は、スパイラル状にパターニングされた配線を有し、
    前記接続部を除く前記配線間の隙間には、非磁性樹脂が装填されていることを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項3記載の半導体装置において、
    前記配線は、前記非磁性樹脂を間に挟んで複数層に亘って積層されることを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項3または4記載の半導体装置において、
    前記非磁性樹脂は、前記磁性樹脂体を形成する前記樹脂材と同一材料であることを特徴とする半導体装置。
  6. 半導体基板にインダクタ素子が形成された半導体装置の製造方法であって、
    粉末状の磁性体が分散された樹脂材により、前記インダクタ素子を覆う磁性樹脂体を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
    前記インダクタ素子の一方の面側に第1磁性樹脂層を形成する工程と、
    前記インダクタ素子の他方の面側に、前記第1磁性樹脂層との間で前記インダクタ素子を挟持する第2磁性樹脂層を形成する工程と、
    少なくとも一箇所で前記第1磁性樹脂層及び前記第2磁性樹脂層とを接続する接続部を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
    スパイラル状に配線をパターニングして、前記インダクタ素子を形成する工程と、
    前記接続部を除く前記配線間の隙間に非磁性樹脂を装填する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
    前記配線を、前記非磁性樹脂を間に挟んで複数層に亘って積層することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 請求項8または9記載の半導体装置の製造方法において、
    前記非磁性樹脂は、前記磁性樹脂体を形成する前記樹脂材と同一材料であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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