JPH09246467A - 薄膜インダクタ及びその製造方法 - Google Patents

薄膜インダクタ及びその製造方法

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JPH09246467A
JPH09246467A JP5207196A JP5207196A JPH09246467A JP H09246467 A JPH09246467 A JP H09246467A JP 5207196 A JP5207196 A JP 5207196A JP 5207196 A JP5207196 A JP 5207196A JP H09246467 A JPH09246467 A JP H09246467A
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Takashi Eshita
隆 恵下
Yasumi Hikosaka
康己 彦坂
Takanobu Saitou
貴伸 齊藤
Kazuhisa Tsutsui
和久 筒井
Shinichiro Yahagi
慎一郎 矢萩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きなインダクタンスを得ることができる薄
膜インダクタ技術を提供する。 【解決手段】 支持基板の平面状の支持面の上に、磁性
材料からなる下部磁性層が形成されている。下部磁性層
の上に、非磁性の導電材料からなり、長手方向に電流が
流れる配線が形成されている。この配線の外周面は、支
持面に対向する平面状の下表面と下表面以外の上表面に
より構成されている。上表面内の各点の法線ベクトルと
支持面の法線ベクトルとのなす角が90°よりも小さ
い。配線を上から覆うように、磁性材料からなり、下部
磁性層と共に配線と鎖交する閉磁路を構成する上部磁性
層が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜インダクタ、
その製造方法、及び薄膜インダクタを用いた半導体集積
回路装置に関し、特に、インダクタを半導体集積回路装
置と同一基板上に形成するのに適した薄膜インダクタ技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の薄膜インダクタは、マイクロ波集
積回路装置と同一基板上にスパイラル模様に配置された
配線により構成されていた。大きなインダクタンスが必
要な場合には、スパイラル模様の巻数を多くする。
【0003】また、薄膜インダクタのインダクタンスを
増大させる方法として、配線を強磁性体で被覆する方法
が提案されている(荒川他、電気学会マグネティクス研
究会MAG−92−3(1992)、19〜28ペー
ジ)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】大きなインダクタンス
を得るためにスパイラル模様の巻数を多くすると、基板
面内の占有面積が増大する。占有面積を増大することな
く巻数を多くするためには、配線を細くする必要がある
が、配線を細くすると薄膜インダクタの直流抵抗が増加
してしまう。
【0005】荒川らの方法により配線を強磁性体で被覆
すると、インダクタンスを増大させることができるが、
マイクロ波集積回路装置に適用するには不十分である。
本発明の目的は、大きなインダクタンスを得ることがで
きる薄膜インダクタ技術を提供することである。
【0006】本発明の他の目的は、大きなインダクタン
スを有する薄膜インダクタ及びトランジスタを同一基板
上に形成したモノリシック半導体集積回路装置を提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点による
と、平面状の支持面を有する支持基板と、前記支持面の
上に形成され、磁性材料からなる下部磁性層と、前記下
部磁性層の上に、非磁性の導電材料により形成され、長
手方向に電流が流れる配線であって、該配線の外周面
が、前記支持面に対向する平面状の下表面と該下表面以
外の上表面により構成され、該上表面内の各点の法線ベ
クトルと前記支持面の法線ベクトルとのなす角が90°
よりも小さい前記配線と、前記配線を上から覆うよう
に、磁性材料により形成され、前記下部磁性層と共に前
記配線と鎖交する閉磁路を構成する上部磁性層とを有す
る薄膜インダクタが提供される。
【0008】上部磁性層と下部磁性層により、配線と鎖
交する閉磁路が構成される。配線を流れる電流と鎖交す
磁束数が増加するため、薄膜インダクタのインダクタン
スを大きくすることができる。上表面内の各点の法線ベ
クトルと支持面の法線ベクトルとのなす角を90°より
も小さくすることにより、上表面に良好な磁気特性を有
する上部磁性層を形成することができる。上部磁性層の
磁気特性を良好に保つことができるため、インダクタン
スをより大きくすることができる。
【0009】本発明の他の観点によると、さらに、前記
下部磁性層の上の前記配線とは異なる位置に、非磁性材
料により形成され、前記配線とほぼ平行に配置され、前
記配線を流れる電流と反平行の向きに電流を流す他の配
線を有し、前記上部磁性層が、前記配線と共に前記他の
配線をも覆うように形成されており、前記配線と前記他
の配線との間の領域に形成され、前記下部磁性層及び上
部磁性層を、前記配線側の部分と前記他の配線側の部分
とに磁気的に分離する分離帯を有し、前記下部磁性層と
上部磁性層の前記配線側の部分が、前記配線と鎖交する
閉磁路を構成し、前記下部磁性層と上部磁性層の前記他
の配線側の部分が、前記他の配線と鎖交する他の閉磁路
を構成する薄膜インダクタは提供される。
【0010】配線側と他の配線側との磁性層を磁気的に
分離しているため、配線間の相互インダクタンスが小さ
くなる。このため、相互に反平行に電流を流す2本の配
線間の相互インダクタンスによる合成インダクタンスの
低下を抑制することができる。
【0011】本発明の他の観点によると、さらに、前記
下部磁性層の上の前記配線とは異なる位置に、非磁性材
料により形成され、前記配線とほぼ平行に配置され、前
記配線を流れる電流と平行の向きに電流を流す他の配線
を有し、前記上部磁性層が、前記配線と共に前記他の配
線をも覆うように形成され、前記配線と前記他の配線と
の間の領域において、前記下部磁性層と磁気的に接続さ
れておらず、前記閉磁路が前記他の配線とも鎖交する薄
膜インダクタが提供される。
【0012】配線と他の配線との双方に鎖交する閉磁路
を形成しているため、配線間の相互インダクタンスが大
きくなる。このため、相互に平行に電流をながす2本の
配線の合成インダクタンスを大きくすることができる。
【0013】本発明の他の観点によると、平面状の半導
体表面を有する支持基板と、前記半導体表面の上に形成
され、磁性材料からなる下部磁性層と、前記下部磁性層
の上に、非磁性の導電材料により形成され、長手方向に
電流が流れる配線であって、該配線の外周面が、前記半
導体表面に対向する平面状の下表面と該下表面以外の上
表面により構成され、該上表面内の各点の法線ベクトル
と前記半導体表面の法線ベクトルとのなす角が90°よ
りも小さい前記配線と、前記配線を上から覆うように、
磁性材料により形成され、前記下部磁性層と共に前記配
線と鎖交する閉磁路を構成する上部磁性層と、前記支持
基板の前記半導体表面上に形成され、少なくとも2つの
電流端子と1つの制御端子とを有するトランジスタであ
って、一方の電流端子に前記配線を介して直流バイアス
が印加される前記トランジスタとを有する半導体集積回
路装置が提供される。
【0014】配線と磁性層により薄膜インダクタが形成
され、この薄膜インダクタがバイアスチョークを構成す
る。本発明の他の観点によると、平面状の支持面を有す
る支持基板の該支持面上に、磁性材料からなる下部磁性
層を形成する工程と、前記下部磁性層の上に、導電性の
非磁性材料からなる配線層を形成する工程と、前記配線
層の上に、配線を形成すべき領域に対応したマスクパタ
ーンを形成し、該マスクパターンで覆われていない領域
に露出した前記配線層を除去し、該マスクパターンで覆
われた領域に、下底辺よりも上底辺が短い台形状の断面
を有する配線を残す工程と、前記配線及び前記下部磁性
層を覆うように、磁性材料からなる上部磁性層を形成す
る工程とを有する薄膜インダクタの製造方法が提供され
る。
【0015】配線の断面形状を、下底辺よりも上底辺が
短い台形状にすると、配線の側面にも比較的良好な磁気
特性を有する磁性層を形成することができる。磁性層の
磁気特性を良好に保つことにより、薄膜インダクタのイ
ンダクタンスを大きくすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1A〜1C及び図2A、2Bを
参照して、本発明の第1の実施例による薄膜インダクタ
の製造方法及び構成を説明する。
【0017】図1Aは、第1の実施例による薄膜インダ
クタの平面レイアウトの概略を示す。全長5mmの配線
1が葛折れ模様に配置され、その両端にパッド2A、2
Bが形成されている。このように、配線1は、縞状に配
置された直線状部分と、これら直線状部分を相互に接続
する屈曲部分により構成される。なお、葛折れの回数は
11回である。
【0018】図1B、1C、図2A及び2Bは、図1A
の一点鎖線B1−B1における断面図を示す。なお、図
1Aでは、配線1と断面B1−B1が11箇所で交わっ
ているが、断面図では、11箇所の交点うち2箇所のみ
を代表して示す。断面図に示さない他の交点も、図に示
す2箇所の交点と同様の構成である。
【0019】図1Bに示すように、半導体からなる基板
10の上に、化学気相成長(CVD)等により、SiO
2 からなる絶縁膜11を形成する。絶縁膜11の上にレ
ジスト膜を塗布し、薄膜インダクタを形成すべき領域に
開口15aを有するレジストパターン15を形成する。
なお、モノリシック集積回路装置を作製する場合には、
絶縁層11を形成する前に、基板10の表面にトランジ
スタ等の半導体素子を形成しておく。
【0020】基板表面全面に下部磁性層12a、下部接
着層13a、及び配線層1aをこの順番に積層する。
【0021】下部磁性層12aは、コバルト(Co)を
主成分とし、ニオブ(Nb)とジルコニウム(Zr)を
含むCo83Nb10Zr7 からなる導電性アモルファス合
金である。Nb、Zrの代わりに、ハフニウム(Hf)
またはタンタル(Ta)を含んでもよい。また、Coを
主成分とし、Nb、Zr、Hf、及びTaのうち少なく
とも1つの元素を含むアモルファス合金で形成してもよ
い。なお、Nb、Zr、Hf、及びTaの合計の濃度が
5〜25原子%となるようにすることが好ましい。ま
た、他の強磁性体で形成してもよい。実施例では、アモ
ルファス合金の厚さを0.2μm〜2.0μmとした。
【0022】下部磁性層12aの成膜は、例えば、ター
ゲットとして成膜すべき磁性層と同一組成のCoNbZ
r合金ターゲット、スパッタガスとしてアルゴン(A
r)を用い、圧力を0.4〜5mTorr、基板温度を
室温、印加電力を100Wとした直流スパッタリングに
より行う。また、成膜時に、図1Aに示す配線1の縞状
に配置された直線状部分の長手方向にほぼ平行な磁場を
印加する。磁場の強さは、例えば1〜200エルステッ
ド(80〜16000A/m)とする。印加された磁場
により、下部磁性層12aの磁化容易軸が磁場と平行な
方向、すなわち配線1の直線状部分の長手方向と平行な
方向を向く。
【0023】下部接着層13aは、Tiからなる厚さ5
nmの層である。下部接着層13aの成膜は、例えば蒸
着法により行う。Tiの代わりにTiN、W、WSi等
により形成してもよい。膜厚は1〜10nmとすること
が好ましい。下部接着層13aは、下部磁性層12aと
配線層1aとの密着性を強める作用を有する。
【0024】配線層1aは、Auからなる厚さ2μmの
層である。配線層1aの成膜は、例えば蒸着法、メッキ
法等により行われる。Auの代わりに他の非磁性の導電
材料、例えばAl等により形成してもよい。膜厚は、
0.5〜5μmとすることが好ましく、典型的には2〜
4μmとする。
【0025】レジストパターン15を、その上に堆積し
た層と共に除去する。図1Aに示す開口15a内に、下
部磁性層12a、下部接着層13a及び配線層1aから
なる積層構造が残される。このように、薄膜インダクタ
が形成される領域以外の領域の積層構造をリフトオフ法
を用いて除去することにより、半導体基板10の表面に
半導体素子が形成されている場合に、半導体素子の損傷
を防止することができる。
【0026】図1Cに示すように、配線1を形成すべき
領域をレジストパターン16で覆う。レジストパターン
16をマスクとして、加速電圧500〜1000V、圧
力2×10-4Torrの条件で、Arを用いたミリング
により配線層1a及び下部接着層13aを部分的に除去
する。レジストパターン16が形成された領域に配線1
及び下部接着層13が残る。上記条件でミリングを行う
と、配線1の断面形状は、下底辺が上底辺よりも長い台
形状になる。実施例で作製した配線1の断面は、下底辺
10μm、上底辺8μmの台形状である。なお、本明細
書において、「台形状」の語は、側辺が厳密に直線であ
る場合のみならず、曲線により構成されている場合を含
むものとする。配線層1aと下部接着層13aのミリン
グ後、レジストパターン16を除去する。
【0027】なお、レジストパターン16をマスクとし
た等方性のウェットエッチングを用いて、配線層をエッ
チング除去してもよい。等方性のウェットエッチングは
横方向にも進むため、レジストパターン16の端部下方
の配線層がアンダーカットされる。このため、配線1の
断面を台形状にすることができる。
【0028】図2Aに示すように、メサ状に残された配
線1及び下部接着層13の積層構造の側面にTiからな
る上部接着層17を形成する。上部接着層17の形成
は、ターゲットとしてTiを用いた直流スパッタリング
によりほぼ等方的に厚さ2nmのTi膜の堆積を行った
後、Arを用いた異方性のミリングにより平坦部のTi
膜を優先的に除去することにより行う。
【0029】なお、上部接着層17を、Tiの代わりに
TiN、W、WSi等で形成してもよい。また、上部接
着層17の厚さは1〜5nmとすることが好ましい。上
部接着層17は、その上に形成される上部磁性層と配線
1との密着性を強くする作用を有する。
【0030】基板全面を覆うように、強磁性材料からな
る上部磁性層18aを形成する。上部磁性層18aの材
料及び成膜方法は、図1Bで説明した下部磁性層12a
のそれと同様である。
【0031】上部磁性層18aの表面上に、配線1が形
成された領域及びその両側に連続する近傍の領域を覆う
レジストパターン19を形成する。図2Bに示すよう
に、レジストパターン19をマスクとして上部磁性層1
8aと下部磁性層12aをミリングにより部分的に除去
する。相互に隣り合う配線1の間に、分離溝20が形成
される。分離溝20は、配線1同士がその周囲を取り囲
む磁性層12、18を介して電気的に短絡されることを
防止する。下部磁性層12と上部磁性層18により、各
配線1と鎖交する閉磁路が形成される。
【0032】図2Bでは、分離溝20により相互に隣り
合う配線1の間を電気的に分離する場合を説明したが、
その他の方法で分離してもよい。
【0033】例えば、溝20を形成すべき領域の磁性層
12及び18を部分的に酸化して、CoNbZrの酸化
物からなる酸化領域OXを形成してもよい。この酸化領
域は、図2Aに示す上部磁性層18aの表面上にレジス
トパターン19と同一パターンのSiN膜を形成し、こ
のSiN膜をマスクとして酸化雰囲気中で温度350℃
程度の選択熱酸化を行うことにより形成することができ
る。
【0034】また、図2Aに示すレジストパターン19
をマスクとして、磁性層12a及び18a内に酸素をイ
オン注入し、酸化領域OXを形成してもよい。また、選
択熱酸化とイオン注入とを組み合わせてもよい。
【0035】図3は、図1Aの平面図及び図2Bの断面
図で示される薄膜インダクタのインダクタンスの周波数
依存性を従来の薄膜インダクタ等と比較して示す。横軸
は周波数を単位GHzで表し、縦軸はインダクタンスを
単位nH/mmで表す。図中の実線aは、上記実施例に
よる薄膜インダクタ(配線の台形状断面の上底辺が8μ
m、下底辺が10μm)、実線bは、図2Bにおける磁
性層12及び18の磁化容易軸が基板面に平行、かつ配
線1の直線状部分の長手方向に対して直交する薄膜イン
ダクタ、破線cは、図2Bにおける配線1の断面を長方
形状とした薄膜インダクタ、点線dは、図2Bにおける
配線1の回りの磁性層12及び18を有さない薄膜イン
ダクタのインダクタンスを示す。
【0036】磁性層の磁化容易軸を配線の直線状部分に
対して直交させるためには、磁性膜の形成時に配線の直
線状部分の長手方向と直交し基板面に平行な向きの磁場
を印加しておけばよい。
【0037】磁性層を有しない薄膜インダクタのインダ
クタンスは、点線dで示すようにほとんど周波数に依存
せず約0.4nH/mmである。断面が長方形状の配線
の周囲に磁性層を配置すると、破線cで示すようにイン
ダクタンスを1.6〜1.8nH/mmまで増加させる
ことができる。
【0038】配線の断面形状を台形状にすると、実線a
及びbで示すように、インダクタンスに大きな周波数依
存性が現れ、周波数の増加と共にインダクタンスが減少
する。周波数の増加と共にインダクタンスが減少するの
は、周波数が強磁性共鳴周波数に近づくに従って損失が
大きくなるためと考えられる。
【0039】配線を磁性層で囲み、配線の断面を台形状
にすると、2GHz以下の周波数帯域において、磁性層
なしのものよりも大きなインダクタンスを得ることがで
きる。また、磁性層の磁化容易軸を配線の直線状部分の
長手方向に対して平行にすることにより、直交させる場
合に比べて大きなインダクタンスを得ることができる。
【0040】また、配線の断面形状を台形状にすると、
長方形状の場合に比べて、周波数約1.7GHz以下の
周波数領域においてインダクタンスが大きくなる。配線
の断面を長方形状とした場合に大きなインダクタンスが
得られないのは、基板表面に対してほぼ垂直な側面上に
磁性層が堆積しにくいか、または堆積しても良好な磁気
的特性が得られないためと考えられる。
【0041】配線の断面を台形状にすると、配線の側面
が基板表面の上方を向くため、磁性層が堆積しやすくな
ると考えられる。このため、側面上にも良好な特性の磁
性層が安定して形成され、高インダクタンスを得ること
ができるものと考えられる。
【0042】配線の外周面を、基板面に対向する平面状
の下表面と下表面以外の上表面により構成し、上表面内
の各点の法線ベクトルと基板面の法線ベクトルとのなす
角が90°よりも小さくなるように構成することによ
り、配線の断面を台形状にした場合と同様の効果を得る
ことができるであろう。例えば、配線の断面形状を部分
円形状等にしてもよいであろう。断面が弓形のレジスト
マスク等を形成し、イオンミリング等を行うことによ
り、このような形状の断面を得ることができる。なお、
ここで、法線ベクトルとは、構成部材の表面上のある点
において、その表面に垂直であり、かつその構成部材の
外側を向くベクトルを意味する。
【0043】また、周波数1.7GHz以下の周波数帯
域において、大きなインダクタンスを得るためには、配
線の長手方向と磁性層の磁化容易軸とを平行にすること
が好ましい。この理由は、以下のように推察される。
【0044】磁性層の磁化容易軸方向を基板面に平行に
し、かつ配線の長手方向と直交させると、図2Bにおい
て、配線1の側面以外の領域の磁性層12及び18中に
形成される磁束の向きが磁化容易軸と平行になる。一般
に強磁性体を磁化容易軸に沿って磁化する場合には磁区
の移動が伴うため、1GHz程度の周波数に対する磁気
特性が悪くなる。これに対し、配線の長手方向と磁性層
の磁化容易軸とを平行にすると、配線を流れる電流によ
って形成される磁束の向きが磁化困難方向になる。磁化
容易軸に沿って磁化しないため、1GHz程度でも良好
な磁気特性を示すと考えられる。
【0045】なお、図1Aに示す葛折れ模様配線1の屈
曲部にも磁性層が形成されており、屈曲部では磁束の向
きが磁化困難方向にならない。ただし、この部分の長さ
は全体の長さに対して僅かであるため、インダクタンス
特性に与える影響は小さい。
【0046】なお、第1の実施例では、配線1の直線状
部分の長手方向と、磁性層12及び18堆積時の印加磁
場方向とを平行にする場合を説明したが、厳密に平行で
ある必要はない。配線1を流れる電流により、磁性層1
2、18をその磁化困難方向に励磁するためには、配線
1の直線状部分の長手方向と印加磁場方向とを平行に近
づけることが好ましい。なお、電流磁界の磁化困難方向
成分を元の磁界の大きさの1/2以上とするために、配
線1の直線状部分の長手方向と印加磁場方向とのなす角
を60°以下とすることが好ましい。
【0047】図4は、図2Bに示す薄膜インダクタのイ
ンダクタンスと配線1の膜厚との関係を示す。横軸は、
配線1の膜厚の2倍を単位μmで表し、縦軸は、インダ
クタンスを単位nH/mmで表す。なお、配線1の断面
の下底辺と上底辺の長さの和は20μmである。横軸の
値が5μm以下の範囲の3点においてインダクタンスを
測定した。測定結果を記号○で示す。横軸の値が5μm
以上の範囲においては、3点の測定点から得られる直線
を外挿して示す。図中の斜線領域は、全長1.2mm、
幅約10μm、厚さ約2μm、巻数5〜7個のスパイラ
ル型の構成を有する従来の薄膜インダクタの典型的なイ
ンダクタンスを示す。
【0048】配線を厚くすると、インダクタンスが低下
することがわかる。この理由は以下のように推察され
る。
【0049】図3では、図2Bに示す配線1の側面を傾
斜させることにより、側面が基板面に対して垂直な場合
に比べて、側面上にも比較的良好な磁気特性を有する磁
性層を形成できることを示した。しかし、側面上の磁性
層の磁気特性は、上側平坦面上の磁性層よりは悪いと思
われる。配線1を厚くすると、磁性層12及び18によ
り形成される閉磁路のうち、配線1の側面に沿う部分の
割合が大きくなる。このため、閉磁路全長のうち、磁気
特性の比較的良くない部分の長さの割合が大きくなり、
インダクタンスが低下するものと考えられる。
【0050】図4に示すように、測定点を外挿した直線
と従来の薄膜インダクタのインダクタンスを示す斜線の
領域とが、横軸の値20μmの近傍で交わっている。従
って、配線1の上底辺と下底辺との和を20μm以下と
することが好ましいであろう。すなわち、配線の断面形
状を、上底辺と下底辺との和が配線の厚さの2倍以下と
なる台形状とすることが好ましいと考えられる。
【0051】次に、図5〜図7を参照して、薄膜インダ
クタの磁性層の厚さの好適な範囲について説明する。
【0052】図5は、図2Bの薄膜インダクタのインダ
クタンスと磁性層12及び18の厚さとの関係を示す。
横軸は磁性層の厚さを単位μmで表し、縦軸はインダク
タンスを単位nH/mmで表す。図中の記号○は、周波
数1GHzにおける薄膜インダクタのインダクタンスを
示す。
【0053】磁性層を形成しない場合、及び磁性層の厚
さが0.2、0.5及び0.8μmの場合の4点でイン
ダクタンスを測定した。磁性層を形成しない場合のイン
ダクタンスは約0.4nH/mmであり、磁性層を形成
すると3nH/mm程度まで増加した。磁性層の厚さが
0.2〜0.8μmの範囲で、インダクタンスの有為な
差は見られなかった。図5から、磁性層の厚さを、少な
くとも0.2μmとすれば、インダクタンスの増大効果
が得られることがわかる。
【0054】図6は、図2Bに示す磁性膜12及び18
の磁化困難方向の透磁率と周波数との関係を示す。横軸
は、周波数を単位GHzで表し、縦軸は、比透磁率を表
す。図中の記号○、□及び△は、それぞれ磁性層12及
び18の厚さが0.2μm、0.5μm及び2.0μm
の場合を示す。
【0055】磁性層の厚さが0.2μm及び0.5μm
の場合は、周波数を0.1GHzから1GHzまで上昇
させても透磁率の低下は見られず、むしろ増加傾向にあ
る。磁性層の厚さが2.0μmの場合には、周波数を
0.1GHzから1GHzまで上昇させると、透磁率が
徐々に低下する。磁性層を厚くした場合に、周波数の上
昇と共に透磁率が低下するのは、渦電流による損失が増
加するためと考えられる。薄膜インダクタを1GHz程
度の周波数帯域で使用する場合には、磁性層の厚さを
2.0μmよりも薄くすることが好ましい。透磁率の低
下を防止するためには、磁性層の厚さを1.0μm以下
とすることがさらに好ましい。
【0056】図7は、磁性材料の透磁率と周波数との関
係を解析的に求めた結果を示す。横軸は、周波数を単位
GHzで表し、縦軸は、比透磁率を表す。なお、磁性材
料の直流域における透磁率を1000、電気抵抗率を1
20×10-6Ω・cmとした。図中の実線p、破線q、
点線r及び一点鎖線sは、それぞれ磁性材料の厚さを
0.5μm、1.0μm、1.5μm及び2.0μmと
した場合の透磁率を示す。
【0057】周波数を上昇させると、渦電流損失により
透磁率が低下し、図6に記号△で示した膜厚2.0μm
の場合の透磁率と同様の傾向を示す。透磁率の低下量
は、磁性材料の膜厚が厚い程大きい。磁性材料を使用す
る効果を得るためには、透磁率を300以上とすること
が好ましく、500以上とすることがより好ましい。
【0058】周波数1GHz程度で使用する場合、磁性
材料を用いる有為な効果を得るためには、磁性層の厚さ
を2.0μmよりも薄くすることが好ましく、1.5μ
m以下とすることがより好ましい。
【0059】図5〜図7で説明したように、周波数1G
Hz程度の周波数域で使用する場合、図2Bに示す薄膜
インダクタの磁性層12及び18の厚さを0.2〜2.
0μmとすることが好ましく、0.2〜1.5μmとす
ることがより好ましい。
【0060】図8は、図2Bに示す薄膜インダクタの磁
性層12及び18を形成後、熱処理を行った場合のイン
ダクタンスの周波数依存性を、熱処理を行わない場合と
比較して示す。横軸は、周波数を単位GHzで表し、縦
軸はインダクタンスを単位nH/mmで表す。図中の記
号●は熱処理後のインダクタンス、記号○は熱処理前の
インダクタンスを示す。なお、熱処理は、磁性層12及
び18の成膜時の磁場方向、すなわち配線の直線状部分
の長手方向とほぼ同一の磁場方向を持ち、強さが1〜5
キロエルステッド(80〜400kA/m)の磁場中
で、温度を300℃として1時間行った。
【0061】磁性層を熱処理することにより、周波数
1.5GHz以下の周波数域において、インダクタンス
が増加している。これは、熱処理によって下部磁性層1
2と上部磁性層18との界面の密着性が強くなったた
め、及び磁性層自体の磁気特性が向上したためと考えら
れる。なお、周波数1.5GHz以上の周波数域でイン
ダクタンスが低下しているのは、強磁性共振周波数にお
けるインダクタンスのピークがより急峻になったためと
考えられる。
【0062】また、熱処理中に磁場を印加することによ
り、磁性層12及び18の磁化容易軸方向を、配線の直
線状部分の長手方向に平行に維持することができる。な
お、磁性層の成膜時の印加磁場の場合と同様に、磁場の
方向と配線の直線状部分の長手方向との角度を60°以
下とすることが好ましい。
【0063】図8に示すように、薄膜インダクタを1.
5GHz程度以下の周波数域で使用する場合には、磁性
層を形成後、磁場中で熱処理を行うことにより、より大
きなインダクタンスを得ることができる。なお、熱処理
温度は、350℃以下とすることが好ましい。
【0064】次に、図9A〜9C、図10A及び10B
を参照して、本発明の第2の実施例による薄膜インダク
タの構成及び製造方法を説明する。
【0065】図9Aは、第2の実施例による薄膜インダ
クタの平面レイアウトの概略を示す。全長5mmの配線
31が矩形のスパイラル模様に配置され、外周側の端部
がパッド32Aに連続し、内周側の端部が、スパイラル
模様部の配線31と接触しないように層間絶縁膜を介し
て配線31の上層に形成された配線を経由してパッド3
2Bに接続されている。
【0066】図9B、9C、図10A及び10Bは、図
9Aの一点鎖線B9−B9における断面図を示す。
【0067】図9Bに示すように、半導体からなる基板
40の上に、CVD等により、SiO2 からなる絶縁膜
41を形成する。図2Bの工程と同様のリフトオフ法を
用いて、レジストパターン43の開口43a内に下部磁
性層42aを形成する。下部磁性層42aの材料、成膜
方法は、図1Bの下部磁性層12aのそれと同様であ
る。図9Aに示すように、開口43aは、その内部領域
に配線31のうち図の縦方向に延在する配線部分のみが
含まれるように配置される。
【0068】図9Cに示すように、下部磁性層42aの
上に、CVD等によりSiO2 等の絶縁膜44を形成す
る。絶縁膜44の上に、図1B及び1Cの工程と同様の
方法で、下部接着層45及び配線31を形成する。絶縁
層44の上に、配線31を覆う絶縁層46を形成する。
【0069】絶縁層44及び46をパターニングし、図
9Aに示す開口43a内の配線31のうち、図中左側の
2本のみを被覆する領域と、右側の3本のみを被覆する
領域に分離する。すなわち、相互に隣接する2本の配線
部分を流れる電流の向きが同一の場合には、その間に絶
縁層44及び46を残し、電流の向きが反対の場合に
は、その間の絶縁層44及び46を除去する。このよう
にして、絶縁層44及び46が島状に残される。
【0070】図10Aに示すように、基板全面に上部磁
性層47aを形成する。上部磁性層47aの材料及び形
成方法は、図2Aの上部磁性層18aのそれと同様であ
る。上部磁性層47aの上にレジストパターン48を形
成し、絶縁層44及び46が島状に残されている領域及
びその両側に連続する近傍領域を、各島状の領域毎に覆
う。レジストパターン48をマスクとして上部磁性層4
7a及び下部磁性層42aの露出部分を除去する。上部
磁性層47a及び下部磁性層42aの除去は、図2Bの
工程と同様の方法で行う。
【0071】図10Bに示すように、下部磁性層42と
上部磁性層47により、2本の配線31の双方に鎖交す
る閉磁路が構成される。
【0072】ここで、2本の平行配線I1 、I2 があ
り、各配線の自己インダクタンスをそれぞれL1
2 、配線間の相互インダクタンスをMとしたときの2
本の配線の合成インダクタンスLを考える。2本の配線
の合成インダクタンスLは、配線I 1 に流れる電流によ
り生ずる磁束の向きと、配線I2 を流れる電流により生
じ配線I1 と鎖交する磁束の向きがと同一、すなわち電
流の向きが同一のとき、
【0073】
【数1】 L=L1 +L2 +2M …(1) となり、磁束の向きが反対、すなわち電流の向きが反対
のとき、
【0074】
【数2】 L=L1 +L2 −2M …(2) となる。
【0075】図2Bの場合は、2本の配線1を流れる電
流の向きが相互に逆向きであるため、合成インダクタン
スLは、式(2)で与えられる。従って、大きな合成イ
ンダクタンスLを得るためには、相互インダクタンスM
を小さくすることが好ましい。このため、2つの閉磁路
を磁気的に分離し、相互インダクタンスを小さくしてい
る。
【0076】これに対し、図10Bの場合は、相互に隣
接する2本の配線31を流れる電流の向きが同一である
ため、合成インダクタンスLは、式(1)で与えられ
る。従って、大きな合成インダクタンスLを得るために
は、相互インダクタンスMを大きくすることが好まし
い。このため、一方の配線と鎖交する閉磁路が、同時に
他方の配線を流れる電流とも鎖交するような構成として
いる。
【0077】図10Bに示すように、1つの閉磁路が2
本の配線31の双方と鎖交するような構成にすることに
より、相互インダクタンスが大きくなり薄膜インダクタ
のインダクタンスをより大きくすることができる。
【0078】図11は、図1A及び図2Bに示す第1の
実施例による薄膜インダクタを用いたマイクロ波用回路
を示す。メタルセミコンダクタ電界効果トランジスタ
(MESFET)61と抵抗62によりマイクロ波増幅
回路が形成されている。MESFET61には、薄膜イ
ンダクタ60を介して直流バイアスVddが印加されてい
る。すなわち、薄膜インダクタ60がバイアスチョーク
を構成している。薄膜インダクタンス60の直流バイア
ス側の端子は、キャパシタ63を介して接地されてい
る。MESFET61のゲート電極に入力信号Vinが与
えられ、MESFET61と抵抗62との相互接続点か
ら出力信号Vout が取り出される。
【0079】薄膜インダクタ60からなるバイアスチョ
ークにより、MESFET61のゲート電極と電源線V
ddとの間の高周波インピーダンスが増大し、高周波信号
に対する増幅率の低下を抑制することができる。
【0080】薄膜インダクタ60、MESFET61及
び抵抗62を同一半導体基板上に形成することにより、
モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)を作製す
ることができる。
【0081】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
薄膜インダクタの配線の断面形状を好適な形状とし、そ
の外周面を強磁性体で取り囲むことにより、大きなイン
ダクタンスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による薄膜インダクタの
平面図、及び薄膜インダクタの作製方法を説明するため
の基板の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例による薄膜インダクタの
作製方法を説明するための基板の断面図である。
【図3】第1の実施例による薄膜インダクタのインダク
タンスの周波数依存性を従来の薄膜インダクタ等と比較
して示すグラフである。
【図4】第1の実施例による薄膜インダクタのインダク
タンスと配線の膜厚との関係を示すグラフである。
【図5】第1の実施例による薄膜インダクタのインダク
タンスと磁性層の厚さとの関係を示すグラフである。
【図6】第1の実施例による薄膜インダクタの透磁率の
周波数依存性を、磁性層の厚さ毎に示すグラフである。
【図7】強磁性層の透磁率の周波数依存性を、強磁性層
の厚さ毎に示すグラフである。
【図8】第1の実施例による薄膜インダクタの磁性層を
形成後、熱処理を行った場合のインダクタンスの周波数
依存性を、熱処理を行わない場合と比較して示すグラフ
である。
【図9】本発明の第2の実施例による薄膜インダクタの
平面図、及び薄膜インダクタの作製方法を説明するため
の基板の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施例による薄膜インダクタ
の作製方法を説明するための基板の断面図である。
【図11】第1の実施例による薄膜インダクタを使用し
たマイクロ波回路の例を示す概念図である。
【符号の説明】
1、31 配線 2A、2B、32A、32B パッド 10、40 基板 11、41 絶縁膜 12、42 下部磁性層 13、45 下部接着層 15、16、19、43、48 レジストパターン 15a 開口 17 上部接着層 18、47 上部磁性層 44、46 絶縁層 60 薄膜インダクタンス 61 MESFET 62 抵抗 63 キャパシタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 彦坂 康己 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 齊藤 貴伸 愛知県岡崎市板屋町216番地の1 (72)発明者 筒井 和久 愛知県東海市加木屋町南鹿持18番地 (72)発明者 矢萩 慎一郎 愛知県大府市江端町二丁目72番地

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面状の支持面を有する支持基板と、 前記支持面の上に形成され、磁性材料からなる下部磁性
    層と、 前記下部磁性層の上に、非磁性の導電材料により形成さ
    れ、長手方向に電流が流れる配線であって、該配線の外
    周面が、前記支持面に対向する平面状の下表面と該下表
    面以外の上表面により構成され、該上表面内の各点の法
    線ベクトルと前記支持面の法線ベクトルとのなす角が9
    0°よりも小さい前記配線と、 前記配線を上から覆うように、磁性材料により形成さ
    れ、前記下部磁性層と共に前記配線と鎖交する閉磁路を
    構成する上部磁性層とを有する薄膜インダクタ。
  2. 【請求項2】 前記配線の前記上表面が、前記支持面に
    ほぼ平行な頂表面、及び前記下表面と頂表面とを接続す
    る1対の側面を有し、該下表面の幅と該頂表面の幅との
    合計値が、前記配線の高さの2倍以上である請求項1に
    記載の薄膜インダクタ。
  3. 【請求項3】 前記下部磁性層と上部磁性層が、共に磁
    気異方性を有し、磁化容易軸方向と前記配線の長手方向
    とのなす角度が60°以下である請求項1または2に記
    載の薄膜インダクタ。
  4. 【請求項4】 前記下部磁性層及び上部磁性層の厚さ
    が、共に0.2〜2μmである請求項1〜3のいずれか
    に記載の薄膜インダクタ。
  5. 【請求項5】 さらに、前記下部磁性層の上の前記配線
    とは異なる位置に、非磁性材料により形成され、前記配
    線とほぼ平行に配置され、前記配線を流れる電流と反平
    行の向きに電流を流す他の配線を有し、 前記上部磁性層が、前記配線と共に前記他の配線をも覆
    うように形成されており、 前記配線と前記他の配線との間の領域に形成され、前記
    下部磁性層及び上部磁性層を、前記配線側の部分と前記
    他の配線側の部分とに磁気的に分離する分離帯を有し、 前記下部磁性層と上部磁性層の前記配線側の部分が、前
    記配線と鎖交する閉磁路を構成し、前記下部磁性層と上
    部磁性層の前記他の配線側の部分が、前記他の配線と鎖
    交する他の閉磁路を構成する請求項1〜4のいずれかに
    記載の薄膜インダクタ。
  6. 【請求項6】 さらに、前記下部磁性層の上の前記配線
    とは異なる位置に、非磁性材料により形成され、前記配
    線とほぼ平行に配置され、前記配線を流れる電流と平行
    の向きに電流を流す他の配線を有し、 前記上部磁性層が、前記配線と共に前記他の配線をも覆
    うように形成され、前記配線と前記他の配線との間の領
    域において、前記下部磁性層と磁気的に接続されておら
    ず、 前記閉磁路が前記他の配線とも鎖交する請求項1〜4の
    いずれかに記載の薄膜インダクタ。
  7. 【請求項7】 前記下部磁性層及び上部磁性層が、Co
    を主成分とし、Nb、Zr、Hf、及びTaからなる群
    より選ばれた少なくとも1つの元素を含むアモルファス
    合金である請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜インダ
    クタ。
  8. 【請求項8】 前記下部磁性層及び上部磁性層が、N
    b、Zr、Hf、及びTaからなる群より選ばれた元素
    の合計の濃度が5〜25原子%のアモルファス合金であ
    る請求項7に記載の薄膜インダクタ。
  9. 【請求項9】 さらに、前記下部磁性層と前記配線との
    間、及び前記配線と前記上部磁性層との間の少なくとも
    一部の領域に配置され、前記下部磁性層と前記配線との
    間、及び前記配線と前記上部磁性層との間の密着性を高
    めるための接着層を有する請求項1〜8のいずれかに記
    載の薄膜インダクタ。
  10. 【請求項10】 前記接着層が、W、WSi、Tiまた
    はTiNで形成されている請求項9に記載の薄膜インダ
    クタ。
  11. 【請求項11】 平面状の半導体表面を有する支持基板
    と、 前記半導体表面の上に形成され、磁性材料からなる下部
    磁性層と、 前記下部磁性層の上に、非磁性の導電材料により形成さ
    れ、長手方向に電流が流れる配線であって、該配線の外
    周面が、前記半導体表面に対向する平面状の下表面と該
    下表面以外の上表面により構成され、該上表面内の各点
    の法線ベクトルと前記半導体表面の法線ベクトルとのな
    す角が90°よりも小さい前記配線と、 前記配線を上から覆うように、磁性材料により形成さ
    れ、前記下部磁性層と共に前記配線と鎖交する閉磁路を
    構成する上部磁性層と、 前記支持基板の前記半導体表面上に形成され、少なくと
    も2つの電流端子と1つの制御端子とを有するトランジ
    スタであって、一方の電流端子に前記配線を介して直流
    バイアスが印加される前記トランジスタとを有する半導
    体集積回路装置。
  12. 【請求項12】平面状の支持面を有する支持基板の該支
    持面上に、磁性材料からなる下部磁性層を形成する工程
    と、 前記下部磁性層の上に、導電性の非磁性材料からなる配
    線層を形成する工程と、 前記配線層の上に、配線を形成すべき領域に対応したマ
    スクパターンを形成し、該マスクパターンで覆われてい
    ない領域に露出した前記配線層を除去し、該マスクパタ
    ーンで覆われた領域に、下底辺よりも上底辺が短い台形
    状の断面を有する配線を残す工程と、 前記配線及び前記下部磁性層を覆うように、磁性材料か
    らなる上部磁性層を形成する工程とを有する薄膜インダ
    クタの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記配線が直線状部分を含み、 前記下部磁性層を形成する工程及び上部磁性層を形成す
    る工程が、前記配線の直線状部分の長手方向とほぼ平行
    な向きの磁場中で磁性層を形成する請求項12に記載の
    薄膜インダクタの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記配線が、相互に平行に配置された
    1対の配線部分を含み、 前記下部磁性層及び上部磁性層が導電性を有し、 前記上部磁性層を形成する工程の後に、さらに、前記1
    対の配線部分の間の領域に、前記上部磁性層の上面から
    前記下部磁性層の下面まで達し、かつ前記1対の配線部
    分に平行な溝を形成する工程を含む請求項12または1
    3に記載の薄膜インダクタの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記配線が、相互に平行に配置された
    1対の配線部分を含み、 前記下部磁性層及び上部磁性層が導電性を有し、 前記上部磁性層を形成する工程の後に、さらに、前記1
    対の配線部分の間の領域のうち該配線部分に平行な方向
    に長い一部の領域の前記上部磁性層及び前記下部磁性層
    の全厚さ部分を酸化する工程を含む請求項12または1
    3に記載の薄膜インダクタの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記上部磁性層を形成する工程の後
    に、さらに、熱処理を行う工程を含む請求項12〜15
    のいずれかに記載の薄膜インダクタの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記熱処理を行う工程の熱処理温度が
    350℃以下である請求項16に記載の薄膜インダクタ
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記熱処理を行う工程が、前記配線の
    直線状部分の長手方向と平行か、または60°以下の角
    度で交わる向きの磁場中で熱処理を行う請求項16また
    は17に記載の薄膜インダクタの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記下部磁性層及び上部磁性層が、C
    oを主成分とし、Nb、Zr、Hf、及びTaからなる
    群より選ばれた少なくとも1つの元素を含むアモルファ
    ス合金である請求項12〜18のいずれかに記載の薄膜
    インダクタの製造方法。
  20. 【請求項20】 前記下部磁性層及び上部磁性層が、N
    b、Zr、Hf、及びTaからなる群より選ばれた元素
    の合計の濃度が5〜25原子%のアモルファス合金であ
    る請求項19に記載の薄膜インダクタの製造方法。
  21. 【請求項21】 前記下部磁性層を形成する工程の後、
    前記配線層を形成する工程の前に、さらに、前記下部磁
    性層の上に、前記下部磁性層と前記配線層との密着性を
    強くするための下部接着層を形成する工程を含み、 前記配線を残す工程の後、前記上部磁性層を形成する工
    程の前に、さらに、 前記配線の露出した表面を覆い、前記配線と前記上部磁
    性層との密着性を強くするための上部接着層を形成する
    工程と、 前記配線の両側のそれぞれ領域において、少なくとも一
    部の領域の前記下部接着層及び上部接着層の全厚さ部分
    を除去する工程とを含む請求項12〜20のいずれかに
    記載の薄膜インダクタの製造方法。
  22. 【請求項22】 前記下部接着層及び上部接着層が、
    W、WSi、TiまたはTiNで形成されている請求項
    21に記載の薄膜インダクタの製造方法。
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