以下、図面を用いてこの発明の実施例を説明する。
図1は、この発明の実施例であるマルチカラー光走査装置が組み込まれる4連ドラム式カラー画像形成装置の正面断面図である。
画像形成装置100は、色分解された色成分すなわちY=イエロー,M=マゼンタ,C=シアンおよびB=ブラックごとに画像を形成する第1ないし第4の画像形成部50Y,50M,50Cおよび50Bを有している。
各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) は、光走査装置1の第3の折返しミラー37Y,37M,37Cおよび第1の折返しミラー33Bを介して各色成分画像に対応するレーザビームL (Y,M,CおよびB) が出射される位置に対応して、光走査装置1の下方に、50Y,50M,50Cおよび50Bの順で直列に配置されている。
それぞれの画像形成部50 (Y,M,CおよびB) の下方には、各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) により形成された画像を搬送する搬送ベルト52が配置されている。
搬送ベルト52は、図示しないモータにより矢印の方向に回転されるベルト駆動ローラ56およびテンションローラ54に掛け渡され、ベルト駆動ローラ56が回転される方向に所定の速度で回転される。
各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) は、それぞれ、円筒ドラム状で、矢印の方向に回転可能に形成され、印字すべき画像情報に対応する静電潜像が形成される感光体ドラム58Y,58M,58Cおよび58Bを有している。
各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の周囲の所定の位置には、各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の表面に所定の表面電位を提供する帯電装置60Y,60M,60Cおよび60B、各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の表面に形成された静電潜像を、対応する色が与えられているトナーで現像する現像装置62Y,62M,62Cおよび62B、搬送ベルト52を感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) との間に介在させた状態で感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に対向され、搬送ベルト52または搬送ベルト52を介して搬送される記録用紙Pに、各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) 上のトナー像を転写する転写装置64Y,64M,64Cおよび64B、転写装置64 (Y,M,CおよびB) を介してトナー像が転写されたあとに感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) 表面に残った残存トナーを除去するクリーナ66Y,66M,66Cおよび66B、及び、転写装置64 (Y,M,CおよびB) を介してトナー像が転写されたあとにそれぞれの感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) 上に残った残存電位を除去する除電装置68Y,68M,68Cおよび68Bが、各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の回転方向に沿って順に配置されている。
なお、光走査装置1の各ミラー37Y,37M,37Cおよび33Bにより案内されるレーザビームLY,LM,LCおよびLBは、それぞれ、各帯電装置60 (Y,M,CおよびB) と各現像装置62 (Y,M,CおよびB) との間に照射される。
搬送ベルト52の下方には、各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) により形成された画像が転写されるための記録媒体すなわち用紙Pを収容する用紙カセット70が配置されている。
用紙カセット70の一端部であって、テンションローラ54の近傍には、用紙カセット70に収容されている用紙Pを (最上部から) 1枚ずつ取り出す半月ローラ (送り出しローラ) 72が配置されている。送り出しローラ72とテンションローラ54との間には、カセット70から取り出された1枚の用紙Pの先端と各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) 、特に、50Bによりそれぞれの感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) 、特に、58Bに形成されたトナー像の先端とを整合させるためのレジストローラ74が配置されている。
レジストローラ74と第1の画像形成部50Yとの間であって、テンションローラ54の近傍、実質的に、搬送ベルト52を挟んでテンションローラ54の外周上には、レジストローラ72を介して所定のタイミングで搬送される1枚の用紙Pに、所定の静電吸着力を提供する吸着ローラ76が配置されている。なお、吸着ローラ76の軸線とテンションローラ54は、平行に配置される。
搬送ベルト52の一端であって、ベルト駆動ローラ56の近傍、実質的に、搬送ベルト52を挟んでベルト駆動ローラ56の外周上には、搬送ベルト52あるいは搬送ベルトにより搬送される用紙P上に形成された画像の位置を検知するためのレジストセンサ78および80が、ベルト駆動ローラ56の軸方向に所定の距離をおいて配置されている (図1は、正面断面図であるから、後方のセンサ80のみが示されている) 。
ベルト駆動ローラ56の外周に対応する搬送ベルト52上には、搬送ベルト52上に付着したトナーあるいは用紙Pの紙かすなどを除去する搬送ベルトクリーナ82が配置されている。
搬送ベルト52を介して搬送された用紙Pがテンションローラ56から離脱されてさらに搬送される方向には、用紙Pに転写されたトナー像を用紙Pに定着する定着装置84が配置されている。
図2および図3には、この発明の実施例であるマルチビーム光走査装置のハウジングを取り除いた状態の概略平面図、ならびに、概略断面図が示されている。なお、図1において既に説明したように、図1に示したカラーレーザビームプリンタ装置では、イエロー=Y、マゼンタ=M、シアン=Cおよびブラック=Bの各色成分ごとに色分解された4種類の画像データと、Y,M,CおよびBのそれぞれに対応して各色成分ごとに画像を形成するさまざまな装置が4組利用されることから、同様に、各参照符号にY,M,CおよびBを付加することで、色成分ごとの画像データとそれぞれに対応する装置を識別する。
図2に示されるように、マルチビーム光走査装置1は、色成分ごとの画像データに対応するレーザビームLY,LM,LCおよびLBを発生する光源としての第1ないし第4の半導体レーザ (以下、レーザ素子と示す) 3Y,3M,3Cおよび3B、及び、それぞれのレーザ素子3 (Y,M,CおよびB) から出射されたレーザビームL (Y,M,CおよびB) を、所定の位置に配置された対象物すなわち画像形成装置100の第1ないし第4の画像形成部50Y,50M,50Cおよび50Bのそれぞれの感光体ドラム58Y,58M,58Cおよび58Bに向かって所定の線速度で走査すなわち偏向する走査手段としての光偏向装置5などにより構成される。
それぞれのレーザ素子3Y,3M,3Cおよび3Bは、光偏向装置5に対し、所定の角度で、3Y,3M,3Cおよび3Bの順に配置されている。なお、レーザ素子3Bすなわち黒 (B) 画像に対応されるレーザ素子は、光偏向装置5の反射面に向けて直接入射可能に配置される。
それぞれのレーザ素子3 (Y,M,CおよびB) と光偏向装置5との間には、レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) からのレーザビームL (Y,M,CおよびB) の断面ビームスポット形状を所定の形状に整える光源側光学系すなわち偏向前光学系7Y,7M,7Cおよび7Bが配置されている。
光偏向装置5は、たとえば、8面の平面反射鏡 (面) が正多角形状に配置された多面鏡本体5aと、多面鏡本体5aを、一定の速度で所定の方向に回転させるモータ5mにより構成される。なお、多面鏡本体5aは、たとえば、アルミニウム合金により形成される。
偏向前光学系7 (Y,M,CおよびB) は、各レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) により出射されるそれぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) に対し、光偏向装置5により各レーザビームL (Y,M,CおよびB) が偏向される方向 (以下、主走査方向と示す) および主走査方向ならびに主走査方向と直交する副走査方向の双方に関して所定の収束性を与える有限焦点レンズ9Y,9M,9Cおよび9B、それぞれの有限焦点レンズ9 (Y,M,CおよびB) を通過されたそれぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) に、副走査方向に関してのみさらに収束性を与えるハイブリッドシリンダレンズ11Y,11M,11Cおよび11B、及び、それぞれのハイブリッドシリンダレンズ11 (Y,M,CおよびB) を通過された4本のレーザビームL (Y,M,CおよびB) を光偏向装置5の各偏向面 (反射面) に向かって折り曲げる偏向前折返しミラーブロック13などを有している。なお、レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) 、有限焦点レンズ9 (Y,M,CおよびB) 、ハイブリッドシリンダレンズ11 (Y,M,CおよびB) 、及び、ミラーブロック13は、たとえば、アルミニウム合金などによって形成された保持部材15上に、一体的に配置されている。
有限焦点レンズ9 (Y,M,CおよびB) は、それぞれ、非球面ガラスレンズもしくは球面ガラスレンズにUV硬化プラスチックで非球面を貼り合わせたものにより形成される。また、それぞれのレンズは、保持部材15と実質的に熱膨張率の等しい材質によって形成された図示しない鏡筒あるいはレンズ保持リングを介して保持部材15上に固定される。
ハイブリッドシリンダレンズ11 (Y,M,CおよびB) は、それぞれ、プラスチックシリンダレンズ17Y,17M,17Cおよび17Bとガラスシリンダレンズ19Y,19M,19Cおよび19Bとを含んでいる。
それぞれのプラスチックシリンダレンズ17 (Y,M,CおよびB) とガラスシリンダレンズ19 (Y,M,CおよびB) とは、副走査方向に関し、実質的に同一の曲率が与えられている。また、各プラスチックシリンダレンズ17 (Y,M,CおよびB) は、たとえば、PMMA (ポリメチルメタクリル) などの材質により形成される。ガラスシリンダレンズ19 (Y,M,CおよびB) は、たとえば、SFS1などの材質により形成される。また、それぞれのシリンダレンズ17および19は、保持部材15と実質的に熱膨張率の等しい材質によって形成された図示しない鏡筒 (レンズ保持リング) を介して保持部材15上に固定される。なお、有限焦点レンズ9 (Y,M,CおよびB) とハイブリッドシリンダレンズ11 (Y,M,CおよびB) は、同一の鏡筒により保持されてもよい。
光偏向装置5と感光体ドラム58との間には、光偏向装置5のそれぞれの反射面により偏向されたレーザビームL (Y,M,CおよびB) を、対応する感光体ドラム58の所定の位置に、おおむね直線状に結像させるための像面側光学系すなわち偏向後光学系21、偏向後光学系21を通過されたそれぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) の一部を検知する水平同期検出器23、及び、偏向後光学系21と水平同期検出器23との間に配置され、偏向後光学系21を通過された4本のレーザビームL (Y,M,CおよびB) の一部を水平同期検出器23に向かって反射させる水平同期用折返しミラー25が配置されている。なお、水平同期検出器23および水平同期用折返しミラー25は、4本のレーザビームL (Y,M,CおよびB) に対して、ただ1組のみ配置される。また、水平同期用折返しミラー25は、図5を用いて後述するように、4本のレーザビームのそれぞれを、水平同期検出器23に順に入射可能に形成されている。
次に、偏向後光学系21の光学特性を詳細に説明する。
偏向後光学系21は、広い偏向幅、すなわち光偏向装置5により感光体ドラムに58に偏向されたレーザビームL (Y,M,CおよびB) の主走査方向の長さ方向の全域で、光偏向装置5の各反射面により偏向された4本のレーザビームL (Y,M,CおよびB) に、所定の収差特性を与えるとともに、それぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) の結像面の変動を一定の範囲内に抑えるための第1ないし第3の結像レンズ27,29および31を有している。
第1の結像レンズ27は、入射面27inおよび出射面27raの双方がトーリック面に形成された両面トーリックレンズである。なお、入射面27inならびに出射面27raの副走査方向の合成パワーは、正で、それぞれの面のトーリック回転対称軸の方向は、入射面27inが主走査方向に、また、出射面27raが副走査方向に、それぞれ、規定されている。
第2の結像レンズ29は、入射面29inが回転対称面および出射面29raがトーリック面に形成された片面トーリックレンズである。なお、入射面29inならびに出射面29raの副走査方向の合成パワーは、負で、出射面29raのトーリック回転対称軸の方向は、主走査方向に規定されている。
第3の結像レンズ31は、入射面31inがトーリック面および出射面31raが回転対称面に形成された片面トーリックレンズである。なお、入射面31inならびに出射面31raの副走査方向の合成パワーは、正で、入射面31inのトーリック回転対称軸の方向は、主走査方向に規定されている。
以下、第1ないし第3の結像レンズ27,29および31の光学特性を、表1に示す。
偏向後光学系21の第3の結像レンズすなわち最も感光体ドラム58に近いレンズ31と感光体ドラム58との間には、レンズ31を通過された4本のレーザビームLY,LM,LCおよびLBを感光体ドラム58に向かって折り曲げる第1の折返しミラー33Y,33M,33Cおよび33B、第1の折返しミラー33Y,33Mおよび33Cにより折り曲げられたレーザビームLY,LMおよびLCを、さらに折り返す第2の折返しミラー35Y,35Mおよび35Cならびに第3の折返しミラー37Y,37Mおよび37Cが配置されている。なお、図3 (および図1) に示したように、Bすなわち黒画像に対応するレーザビームLBは、第1の折返しミラー33Bにより折り返されたのち、他のミラーを経由せずに感光体ドラム58に案内される。すなわち、第2の折返しミラー35Y,35Mおよび35Cならびに第3の折返しミラー37Y,37Mおよび37Cは、それぞれ、4つのレーザビームに対して3枚配置される。
第1、第2および第3の結像レンズ27,29および31、及び、第1の折返しミラー33Bは、光走査装置1の中間ベース1aに一体成型などにより形成されている図示しない複数の固定部材に、それぞれ、接着などにより固定される。なお、第1の折返しミラー33Bは、ミラーの表面すなわちガラスなどの支持部材に反射部材としての金属などが蒸着されている面と接触される。これにより、それぞれのミラーに入射されるレーザビームは、ミラーの支持部材の厚さおよび支持部材による屈折ならびに内部反射の影響を受けることなく、光路長を正確に設定できる。これに対して、第1の折返しミラー33の残りすなわちミラー33 (Y,MおよびC) 、第2の折返しミラー35 (Y,MおよびC) ならびに第3の折返しミラー35 (Y,MおよびC) は、それぞれ、図13を用いて後述するように、角度および位置を変更可能に形成された固定部材に、反射面すなわちガラスなどの本体部材に、たとえば、アルミニウムなどの反射部材が塗布あるいは蒸着されている側が接触されるとともに、背面すなわち本体部材側から所定の圧力で固定部材に圧接されることで、反射面の位置が変動しないよう固定されている。
第3の折返しミラー37Y,37Mおよび37C、及び、第1の折返しミラー33Bと感光体ドラム58との間であって、それぞれのミラー33B、37Y,37Mおよび37Cを介して反射された4本のレーザビームL (Y,M,CおよびB) が光走査装置1から出射される位置には、さらに、光走査装置1の内部を防塵するための防塵ガラス39Y,39M,39Cおよび39Bが配置されている。
この防塵ガラス39Y,39M,39Cおよび39Bは、それぞれ、図3に示されるように、対応するミラー33B,37Y,37Mおよび37Cを介して反射された4本のレーザビームLY,LM,LCおよびLBのそれぞれの主光線と非垂直に交わるように、所定の角度で、ハウジング1に固定されている。
それぞれのレーザビームLY,LM,LCおよびLBは、第3の折返しミラー37Y,37Mおよび37C、及び、第1の折返しミラー33Bによって、おおむね、等間隔で、光走査装置1の外部へ出射される。ここで、レーザビームLB (黒) は、第1の折返しミラー33B、ただ1枚を含む光路を介して光走査装置1から感光体ドラム58に向けて出射される。なお、それぞれの光路中のミラーの枚数は、1枚および3枚であるから、奇数に統一されている。このことは、偏向後光学系の第1ないし第3の結像レンズ27,29および31のそれぞれのレンズの傾きなどによる像面に到達される各レーザビームL (Y,MおよびC) の主走査線の曲りの方向 (主走査線曲りの位相) を、同一の方向にできる。また、レーザビームLBは、図4を用いて後述するように、ミラーブロック13の通過領域13Bを通過されることから、残りのレーザビームL (Y,MおよびC) に比較して光路中に含まれる誤差が少なく、残りのレーザビームL (Y,MおよびC) の平行度を調整する際の基準として利用できる。
次に、ハイブリッドシリンダレンズ11Yの光学特性を詳細に説明する。
偏向後光学系21すなわち第1ないし第3の結像レンズ27,29および31は、プラスチック、たとえば、PMMAにより形成されることから、光走査装置の周辺温度が、たとえば、0°Cから50°Cの間で変化することにより、屈折率nが、1.4876から1.4789まで変化することが知られている。この場合、第1ないし第3の結像レンズ27,29および31を通過されたレーザビームL (Y,M,CおよびB) が実際に集光される結像面すなわち副走査方向結像位置は、±12mm程度変動してしまう。ここで、偏向後光学系21に利用されるレンズの材質と同一の材質のレンズを、曲率を最適化した状態で偏向前光学系7に組み込むことによって、温度変化による屈折率nの変動に伴って発生する結像面の変動を±0.5mm程度に抑えることができる。すなわち、偏向前光学系7がガラスレンズで、偏向後光学系21がPMMAで形成されたレンズにより構成される従来の光学系に比較して、偏向後光学系21のレンズの温度変化による屈折率の変化に起因して発生する副走査方向の色収差が補正できる。
なお、図3 (および図1) に示したように、それぞれのレーザビームLY,LM,LCおよびLBは、副走査方向に関し、光走査装置1の光軸 (系の光軸) に対して対称に入射されている。すなわち、レーザビームLYおよびLBは、光軸Oを挟んで対称に、多面鏡5aに入射される。また、レーザビームLMおよびLCは、同様に、光軸Oを挟んで対称に、かつ、レーザビームLYおよびLBよりも光軸O側を、多面鏡5aに案内される。このことは、それぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) に関し、偏向後光学系21を、副走査方向の2箇所で最適化できることを示している。従って、各レーザビームL (Y,M,CおよびB) の像面湾曲および非点収差などの特性をより向上させたり、偏向後光学系21のレンズ枚数を低減できる。
図4には、ミラーブロック13が詳細に示されている。
図4に示されるように、ミラーブロック13は、熱膨脹率が小さい材質、たとえば、アルミニウム合金などにより形成されたブロック本体13aと、ブロック本体13aの所定の面に形成され、画像形成可能な色成分の数すなわち色分解された色の数よりも「1」だけ少ない数だけ配置された複数の反射面13Y,13Mおよび13Cにより構成される。
図4によれば、ミラーブロック13は、第1ないし第4のレーザビームLY,LM,LCおよびLBを、1つの束のレーザビームLoとして光偏向装置5の各反射面に案内するために利用される。詳細には、ミラーブロック13は、入射させるためにレーザ素子3Yから出射されたレーザビームLYを折返して光偏向装置5の各反射面に案内する第1の反射面13Y、レーザ素子3MからのレーザビームLMおよびレーザ素子3CからのレーザビームLCを、それぞれ、光偏向装置5の各反射面に向かって折り返す第2および第3の反射面13Mおよび13C、及び、レーザ素子3BからのレーザビームLBをそのまま光偏向装置5の各反射面に案内する通過領域13Bを有している。
それぞれの反射面13Y,13Mおよび13Cは、ブロック本体13aの各反射面に対応する位置が所定の角度に切り出されたのち、切削面に、たとえば、アルミニウムなどの反射率の高い材質が塗布または蒸着されることにより提供される。なお、ブロック本体13aの各反射面に対応する位置は、切削後、研磨により鏡面加工されてもよい。
図4に示したミラーブロックによれば、各反射面13Y,13Mおよび13Cは、1つのブロック本体13aから切り出されることから、各ミラーごとの相対的な傾き誤差が低減される。また、ブロック本体13aを、たとえば、ダイカストにより製造することで、精度の高いミラーブロックが提供できる。
なお、レーザ素子3BからのレーザビームLBは、すでに説明したように、ミラーブロック13と交わることなく、ブロック本体13a上の通過領域13Bを通過されて、光偏向装置5の各反射面に直接案内される。
ここで、ミラーブロック13により反射されて光偏向装置5に案内される各レーザビームL (Y,MおよびC) ならびに光偏向装置5に直接案内されるレーザビームLBの強度 (光量) について考察する。
すでに説明したように、特開平5−34612号公報には、2以上のレーザビームを1つの束のレーザビームとして光偏向装置の反射面に入射させる方法として、ハーフミラーにより、レーザビームを、順に、重ねる方法が示されている。しかしながら、複数のハーフミラーが利用されることで、1回の反射および透過 (ハーフミラーを1回通過するごとに) に対し、各レーザから出射されたレーザビームの光量の50%は無駄となってしまうことは公知である。この場合、ハーフミラーの透過率と反射率を、それぞれ、各レーザビームごとに最適化したとしても、すべてのハーフミラーを通過されるいづれか1つのレーザビームの強度 (光量) は、レーザ素子から出力された光量の約25%まで低減されてしまう。また、光路中にハーフミラーが光路に傾いて存在すること、及び、各レーザビームが通過するハーフミラーの枚数が異なること、などに起因して、像面湾曲あるいは非点収差など代表される光学特性に、各レーザビームごとに差が生じることが知られている。各レーザビームごとに像面湾曲および非点収差などの特性が異なることは、全てのレーザビームを、同一の有限焦点レンズおよびシリンダレンズのみによりそれぞれの感光体ドラムに結像させることを困難にする。
これに対して、図4に示されているミラーブロック13によれば、それぞれのレーザビームLY,LMおよびLCは、光偏向装置5の多面鏡5aに入射する前段であって、各レーザビームLY,LMおよびLCが副走査方向に分離している領域 (図6に網かけで示されている) で、通常のミラーによって折り返される。従って、多面鏡5aにより感光体ドラム58に向かって供給 (反射) される各レーザビームL (Y,M,CおよびB) の光量は、出射光量のおおむね90%以上に維持できる。このことは、各レーザの出力を低減できるばかりでなく、感光体ドラム58に到達される光の収差を均一に補正できるため、レーザビームを小さく絞り、高精細化への対応を可能とする。なお、B (黒) に対応するレーザ素子3Bは、ミラーブロック13の通過領域13Bを通過されて多面鏡5aに案内されることから、レーザの出力容量が低減できるばかりでなく、反射面で反射されることによる多面鏡5aへの入射角の誤差が除去される。
図5には、水平同期用折返しミラーが詳細に示されている。
図5によれば、水平同期用折返しミラー25は、それぞれのレーザビームLY,LM,LCおよびLBを、主走査方向には水平同期検出器23に異なるタイミングで反射させるとともに、副走査方向には水平同期検出器23上で実質的に同一の高さを提供できるよう、主走査方向および副走査方向ともに異なる角度に形成された第1ないし第4の折返しミラー面25Y,25M,25Cおよび25B、及び、それぞれのミラー25 (Y,M,CおよびB) を一体に保持するミラーブロック25aを有している。
ミラーブロック25aは、たとえば、ガラス入りPC (ポリカーボネイト) などにより成型される。また、各ミラー25 (Y,M,CおよびB) は、所定の角度で成型されたブロック25aの対応する位置に、たとえば、アルミニウムなどの金属が蒸着されて形成される。
このようにして、光偏向装置5で偏向された各レーザビームLY,LM,LCおよびLBを、1つの検出器23に入射させることが可能となるばかりでなく、たとえば、検出器が複数個配置される際に問題となる各検出器の感度あるいは位置ずれに起因する水平同期信号のずれが除去できる。なお、水平同期検出器23には、水平同期用折返しミラー25により主走査方向1ラインあたりレーザビームLY,LM,LCおよびLBが合計4回入射されることはいうまでもない。また、ミラーブロック25aは、型のミラー面が1つにブロックから切削加工により作成可能に設計され、アンダーカットを必要とせずに、型から抜けるよう工夫されている。
次に、再び、図3 (および図1) を参照して、光偏向装置5の多面鏡5aで反射されたそれぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) と偏向後光学系21を通って光走査装置1の外部へ出射される各レーザビームLY,LM,LCおよびLBの傾きと折返しミラー33B,37Y,37Mおよび37Cとの関係について説明する。
既に説明したように、光偏向装置5の多面鏡5aで反射され、第1ないし第3のプラスチックレンズ27,29および31により所定の収差特性が与えられた各レーザビームLY,LM,LCおよびLBは、それぞれ、第1の折返しミラー33Y,33M,33Cおよび33Bを介して所定の方向に折り返される。
このとき、レーザビームLBは、第1の折返しミラー33Bで反射されたのち、そのまま防塵ガラス39Bを通って感光体ドラム58に案内される。これに対し、残りのレーザビームLY,LMおよびLCは、それぞれ、第2の折返しミラー35Y,35Mおよび35Cに案内され、第2の折返しミラー35Y,35Mおよび35Cによって、第3の折返しミラー37Y,37Mおよび37Cに向かって反射され、さらに、第3の折返しミラー37Y,37Mおよび37Cで反射されたのち、それぞれ、防塵ガラス39Y,39Mおよび39Cにより、おおむね等間隔でそれぞれの感光体ドラムに結像される。この場合、第1の折返しミラー33Bで出射されたレーザビームLBとレーザビームLBに隣り合うレーザビームLCも、おおむね等間隔で感光体ドラム58Bおよび58Cのそれぞれに結像される。
ところで、図3および図6に示したように、防塵ガラス39Y,39M,39Cおよび39Bは、ミラー33B、37Y,37Mおよび37Cで折り返されて各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に向かうそれぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) の主光線に対して所定の角度すなわち非直角で配置されている。このことから、それぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) は、防塵ガラス39 (Y,M,CおよびB) を通過されることで、防塵ガラス39に入射される際の入射位置の延長線上とは異なる出射位置に案内される。ここで、防塵ガラス39 (Y,M,CおよびB) を通過されたそれぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) の入射位置と出射位置との間のずれは、光偏向装置5の多面鏡5aによる偏向角が0°の位置で最小となり、偏向角が増大されるにつれて、次第に増加される。これにより、それぞれのレーザビームLY,LM,LCおよびLBとそれぞれの防塵ガラス39Y,39M,39Cおよび39Bとのなす角を、図7および図8を用いて後述するように、各レーザビームごとに最適に設定することで、第1ないし第3の結像レンズ27,29および31を通過される際に、各レーザビームL (Y,M,CおよびB) に与えられる主走査線の曲りの大きさの偏差を補正できる。従って、画像形成装置100において、4本のレーザビームが重ね合わせられることにより生じる色ずれが低減される。
図7および図8は、各レーザビームLY,LM,LCおよびLBとそれぞれに対応する防塵ガラス39Y,39M,39Cおよび39Bとのなす角と、各レーザビームLY,LM,LCおよびLBの主走査線曲りとの関係を示す光路図である。
図7は、防塵ガラス39 (ここでは、Y,M,CおよびBの1つを代表して説明する) すなわち平行平板を、前段に配置されているミラーから対応する感光体ドラムに向かうレーザビームのミラーの反射点と感光体ドラム上の結像位置とを結ぶ線すなわちミラーと感光体ドラムとの間に平行平板が存在しない場合のレーザビームの光路に対して、角度θだけ傾けた状態を副走査方向から見た断面図である。
図7に示されるように、平行平板 (39) の厚さをd、平行平板 (39) の屈折率をnとすると、平行平板へ入射するレーザビームの入射角はθで示されることから、レーザビームの入射面での屈折角θ´は、スネルの法則により、
θ´ = sin−1 (sinθ/n) ‥‥‥ (2)
と書き表せる。また、レーザビームは、屈折角θで平行平板から出射される。すなわち、平行平板に入射されたレーザビームは、平行平板を通って入射レーザビームと平行に出射される。
ここで、入射レーザビームと出射レーザビームとの間の距離をΔxとすると、
Δx = d (tanθ−tanθ´) cosθ ‥‥‥ (3)
で示される。
図8は、防塵ガラス39すなわち平行平板を、前段に配置されているミラーから対応する感光体ドラムに向かうレーザビームのミラーの反射点と感光体ドラム上の結像位置とを結ぶ線すなわちミラーと感光体ドラムとの間に平行平板が存在しない場合のレーザビームの光路に対して、角度φだけ傾けた状態を主走査方向から見た断面図である。なお、角度φは、平行平板がレーザビームに対して傾けられている量と等価であるが、レーザビームが光偏向装置5の多面鏡5aにより偏向される量すなわちレーザビームの振り角を示している。
図8に示されるように、平行平板 (39) の厚さをd、平行平板 (39) の屈折率をnとすると、平行平板へ入射するレーザビームの入射角はφで示されることから、レーザビームの入射面での屈折角φ´は、スネルの法則により、
φ´ = sin−1 (sinφ/n) ‥‥‥ (4)
と書き表せる。また、レーザビームは、屈折角φで平行平板から出射される。すなわち、平行平板に入射されたレーザビームは、平行平板を通って入射レーザビームと平行に出射される。
このとき、角度φで平行平板に入射したレーザビームが、平行平板内を進む距離d´は、
d´ = d/cosφ´ ‥‥‥ (5)
で示される。なお、いうまでもなく、d´>dとなる。
ここで、図7のdをd´に置き換えて (2) 式ないし (5) 式を整理すると、
Δx
= d[tanθ−tan {sin−1 (sinθ/n)}] cosθ/cos [sin−1 (sinφ/n)]
‥‥‥ (6)
が導きだされる。
図9は、 (6) 式に示した距離Δxと平行平板の副走査方向の傾き角θとの関係を示すグラフである。なお、図9では、レーザビームの振り角すなわち角度φの最大値を25°、平行平板の屈折率nを、n=1.47 (ガラスの材質はBK7) 、ならびに、平行平板の厚さdを2ミリメートルとしている。
図9に示されるように、平行平板を副走査方向に傾けることにより、入射レーザビームと出射レーザビームとの間の平行距離Δxがおおむね角度θに比例して増大されることが認められる。このことは、平行平板を副走査方向に傾ける量と方向を最適化することで、第1ないし第3の結像レンズ27,29および31によりそれぞれのレーザビームに付与される主走査線の曲りを打ち消すことのできる可能性を示している。
図10は、図3に示した光走査装置1において、平行平板すなわち防塵ガラス39 (Y,M,CおよびB) を、それぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) に関して副走査方向で±15°の範囲で傾けた場合に、主走査線曲りの量が変化する状態を示すグラフである。
図10に示されるように、それぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) に関して、主走査線曲りが最小になる傾き角θが存在することが認められる。なお、レーザビームLY (イエロー) とレーザビームLB (黒) とは、副走査方向に関して系の光軸Oに対称であるから、レーザビームLYのみを表示している。この場合、レーザビームLYとレーザビームLBとは、極性 (方向) が逆向きになることから、光走査装置1において、防塵ガラス39Yと防塵ガラス39Bとが傾けられる方向が逆になるが、本実施例では、実質的に極性が無視できる程度まで改善される。
図11は、図10に示した主走査線曲りに関し、平行平板すなわち防塵ガラス39 (Y,M,CおよびB) を、それぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) に関して副走査方向で±3°の範囲で傾けて、最適な傾き角θを求めたグラフである。なお、図11は、実質的に図10に示したグラフを拡大したと同一であるから詳細な説明は省略する。
図11および図10に示されるように、各レーザビームLY,LM,LCおよびLBのそれぞれの主走査線曲りの量を求め、対応する防塵ガラス39Y,39M,39Cおよび39Bのそれぞれを、ミラーと感光体ドラムとの間に平行平板が存在しない場合のレーザビームの光路に対して、所定量だけ傾けることで、各レーザビームLY,LM,LCおよびLBの主走査線曲りを最小にできる。
図12は、防塵ガラスに適した平行平板の屈折率との関係を示している。図12に示されるように、図9ないし図11を用いて求めた平行平板による主走査線曲りの補正量は、平行平板の屈折率nの増加に対して次第に増大されるものの非線形増加を示し、ある屈折率をピークとして以降斬減する。ここで、 (6) 式により、補正量が最大となる屈折率nを求めると、おおむね1.7となる。ところで、屈折率nが1.7を越える平行平板は、比較的高価であることから、図12の結果より、好ましくは、n≦1.7を満足する平行平板を利用すればよい。
以下、表2に、各防塵ガラス39Y,39M,39Cおよび39Bの傾き角θを示す。
図13 (a) および図13 (b) は、副走査方向の間隔のずれおよび主走査方向の傾きを調整するための基準として利用される折返しミラー33Bを除いた第3の折返しミラー37Y,37Mおよび37C、第2の折返しミラー35Y,35Mおよび35Cならびに第1の折返しミラー33Y,33Mおよび33C、すなわち、光路長および副走査方向の間隔のずれおよび主走査方向の傾きを調整可能な全ての折返しミラーを、所定の角度ならびに光路長を満足する位置に支持するミラー支持機構の一例を示す側面図および概略斜視図である。なお、ここでは、1つのミラーで代表して説明する。
図13 (a) および図13 (b) に示されるように、ミラーは、光走査装置1の中間ベース1aの所定の位置に、中間ベース1aと一体的に形成された固定部材1b、固定部材1bに対し、対応するミラーを挟んで対向されるミラー保持部材1c、及び、固定部材1bに一体的に配置され、ミラー保持部材1cに向けてミラーを押圧するばね41により保持される。なお、固定部材1b、ミラー保持部材1cおよびばね41は、対応するミラーの主走査方向両端に対をなして形成されている。
それぞれのミラー保持部材1cの高さ方向のおおむね中央には、自身の旋回運動によってミラー保持部材1c内を矢印AおよびB方向に移動可能であって、ミラーに対向される側に所定の大きさの突起43aが形成されている止めねじ43が配置されている。なお、突起43aは、ミラーが矢印CおよびD方向に回転されるための支点43fとして機能する1点で、ミラーの表面すなわちガラスなどの支持部材に反射部材としての金属などが蒸着されている面と接触される。これにより、それぞれのミラーに入射されるレーザビームは、ミラーの支持部材の厚さおよび支持部材による屈折ならびに内部反射の影響を受けることなく、支点43f (突起43a) により管理される位置を反射位置として、光路長を正確に設定できる。
各ミラー保持部材1cの止めねじ43の側方すなわち高さ方向上下には、自身の旋回運動によってミラー保持部材1c内を矢印AおよびB方向に移動することにより、ミラーを矢印AおよびB方向に移動させる一対の傾き調整ねじ45aおよび45bが配置されている。
図13 (a) および図13 (b) に示されるように、ミラーは、止めねじ43ならびに傾き調整ねじ45aおよび45bが矢印AおよびB方向のいづれかに移動されることで、対応するミラーの一端部を、光走査装置1のハウジングの中間ベース1aに沿って平行移動される。また、ミラーは、止めねじ43の突起43aとミラーとの接点43fを支点とし、傾き調整ねじ45aおよび45bが相互に逆向きに移動されることで、傾き調整ねじ45aおよび45bの移動量 (繰り出し量) に対応して回転される。
次に、図13 (a) および図13 (b) に示した傾き調整機構ならびに平行移動機構を用いて、折返しミラー33Y,33M,33C,35Y,35M,35C,37Y,37Mおよび37Cの少なくとも3枚を平行移動または回転させることで光偏向装置5の反射面と各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) との間の光路長の最適化および副走査方向の間隔のずれおよび主走査方向の傾きを最小にするための方法について説明する。
表3ないし表5は、折返しミラー33Y,33M,33C,35Y,35M,35C,37Y,37Mおよび37Cのそれぞれに関し、各ミラーを独立に副走査方向に関して回転 (光偏向装置の反射面から感光体ドラムに向かうレーザビームのミラーへの入射角およびミラーからの反射角を変化させる) および各ミラーの主走査方向前側および奥側 (図3において紙面と直交する方向で紙面後方を奥側と示す) のそれぞれを独立に平行移動したときの、像面でのデフォーカス量、副走査方向の間隔のずれならびに主走査方向の傾きの変化をシミュレーションにより計測した結果を示している。なお、シミュレーションに用いるレーザビームは、レーザビームの偏向角 (走査角) が最大となる両端部の2本とし、各ミラーを平行移動する量は、反射面 (表面) 基準で、0.2ミリメートルとした。
表3および表4は、上述した回転および平行移動を与えるミラーの合計枚数を2枚、及び、回転ならびに平行移動を与える回数 (調整箇所の合計数) を4箇所としたときに、像面でのデフォーカス量および副走査方向の間隔のずれならびに主走査方向の傾きの変化が目標値になり得る位置を、減衰最小自乗法により解を求める方法で検索した結果を示している。なお、表3および表4に示した例は、それぞれ、第1のミラー33Y,第2のミラー35Yおよび第3のミラー37Yについて示しているが、残りの色に対応するミラーについても自由度が同一であるから、実質的に同一の解が得られることになる。また、減衰最小自乗法は、レンズの自動設計などに利用される手法の1つであって、たとえば、共立出版株式会社より刊行されている「レンズ設計法」第131頁ないし第137頁などに示されている。
表3および表4に示されるように、回転および平行移動を与えるミラーの合計枚数を2枚ならびに調整箇所の合計数を4箇所としたときに、
a) 第1のミラーの前側および奥側ならびに第2のミラーの前側を平行移動して、第2のミラーを回転させたとき、
b) 第1のミラーを回転させ、第1のミラーの前側および奥側ならびに第3のミラーの奥側を平行移動したとき、
c) 第1のミラーの前側および奥側ならびに第3のミラーの奥側を平行移動して、第3のミラーを回転させたとき、
d) 第3のミラーを回転させ、第1のミラーの奥側ならびに第3のミラーの前側および奥側を平行移動したとき、
e) 第2のミラーを回転させ、第2のミラーの奥側ならびに第3のミラーの前側および奥側を平行移動したとき、及び、
f) 第3のミラーを回転させ、第2のミラーの奥側ならびに第3のミラーの前側および奥側を平行移動したとき、
の6つの条件において、デフォーカス量および副走査方向の間隔のずれならびに主走査方向の傾きの変化を目標値に設定可能な位置を提供できることが認められる。
表5は、上述した回転および平行移動を与えるミラーの合計枚数を3枚ならびに回転あるいは平行移動を与える回数 (としたときに、像面でのデフォーカス量および副走査方向の間隔のずれ,主走査方向の傾きの変化が目標値になり得る位置を、減衰最小自乗法により解を求める方法で検索した結果を示している。
表5に示されるように、調整箇所の合計数を3箇所とした場合には、デフォーカス量および副走査方向の間隔のずれならびに主走査方向の傾きの変化を目標値に設定できる位置は、存在しないことが認められる。
図14は、図1に示した画像形成装置の画像形成動作を制御する画像制御部の概略ブロック図である。
画像形成装置100は、画像制御部110を有している。
画像制御部110は、画像制御CPU111、タイミング制御部113および各色成分に対応するデータ制御部115Y,115M,115Cおよび115Bなどの複数の制御ユニットを含んでいる。なお、画像制御CPU111、タイミング制御部113および各データ制御部115 (Y,M,CおよびB) は、それぞれ、バスライン112を介して相互に接続されている。
また、画像制御CPU111は、バスライン112により、画像形成装置100の機械要素、たとえば、モータあるいはローラなどの動作、および、電気的要素、たとえば、帯電装置60 (Y,M,CおよびB) ,現像装置62 (Y,M,CおよびB) あるいは転写装置64 (Y,M,CおよびB) に印加される電圧値または電流量などを制御する主制御装置101と接続されている。なお、主制御装置101には、装置100をイニシャルするためのイニシャルデータあるいはテストパターンなどが記憶されている図示しないROM (リード・オンリ・メモリ) 、入力された画像データあるいはレジストセンサ78および80の出力に応じて算出される補正データなどを一時的に記憶するRAM102 (ランダム・アクセス・メモリ) 、及び、後述する調整モードによって求められるさまざまな補正データを記憶する不揮発性メモリ103などが接続されている。
タイミング制御部113には、各色成分ごとの画像データが記憶される画像メモリ114Y,114M,114Cおよび114B、各画像メモリ114 (Y,M,CおよびB) に基づいて、各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) の各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に向かってレーザビームを照射するために対応するレーザ素子3 (Y,M,CおよびB) を付勢するレーザ駆動部116 (Y,M,CおよびB) 、レジストセンサ78および80からの出力に基づいてレーザビームLY,LM,LCおよびLBにより画像を書き込むタイミングの補正量をレジストセンサ78および80からの信号に基づいて演算するレジスト補正演算装置117、レジスト補正演算装置117からの信号に基づいて各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) および光走査装置1のレーザ素子3 (Y,M,CおよびB) を動作させるためのさまざまなタイミングを規定するタイミング設定装置118、及び、各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) ごとの固体誤差および光走査装置1内の各光路の光路長の差に起因するずれを補正する発振周波数可変回路 (ボルテージ・コントロールド・オシレータすなわち電圧制御発振回路、以下、VCOとする) 119Y,119M,119Cおよび119Bなどが接続されている。
タイミング制御装置113は、内部に、補正データを記憶できるRAM部を含むマイクロプロセッサであって、たとえば、個々の仕様に基づいて専用IC (アプリケーション・スペシフィック・インテグレーテッド・サーキット、以下、ASICとする) などに集積されている。データ制御部115 (Y,M,CおよびB) は、それぞれ、複数のラッチ回路およびORゲートなどを含むマイクロプロセッサであって、同様に、ASICなどに集積されている。レジスト補正演算装置117は、少なくとも4組のコンパレータおよびORゲートなどを含むマイクロプロセッサであって、同様に、ASICなどに集積されている。VCO119 (Y,M,CおよびB) は、それぞれ、出力される周波数が印加される電圧に応じて変化できる発振回路であって、±3%程度の周波数可変範囲を有する。この種の発振回路としては、調和発振回路、LC発振回路あるいはシミュレーテッドリアクタンス可変LC発振回路などが利用される。なお、VCO119として利用可能な素子として、出力波形をサイン波から矩形波に変換する変換器が一体に組み込まれた回路素子も知られている。
各画像メモリ114 (Y,M,CおよびB) には、図示しない外部記憶装置あるいはホストコンピュータなどからの画像データが記憶される。また、光走査装置1の水平同期検出器23の出力は、水平同期信号発生回路121を介して水平同期信号Hsyncに変換され、各データ制御部115 (Y,M,CおよびB) に入力される。
次に、図1および図14を参照して、画像形成装置100の動作を説明する。
画像形成装置100は、搬送ベルト52を介して搬送されている用紙P上に画像を形成する画像形成 (通常) モードと搬送ベルト52上に直接画像を形成するレジスト補正 (調整) モードとの2つのモードで動作可能である。
以下、第1に、レジスト補正 (調整) モードについて説明する。
図15は、レジスト補正モードを説明するために図1に示されている画像形成装置の搬送ベルトの近傍を抜き出した概略斜視図である。既に説明したように、レジストセンタ78および80は、搬送ベルト52の幅方向すなわち副走査方向Hに所定の間隔で配置されている。なお、レジストセンタ78および80相互の中心を結ぶ線 (仮想) は、各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) の各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の軸線におおむね平行に規定される。レジストセンタ78および80の中心を結ぶ線は、好ましくは、画像形成部50Bの感光体ドラム58Bに、正確に平行に配置される。
搬送ベルト52は、ベルト駆動ローラ54が矢印の方向に回転されることにより、領域52aがローラ54からローラ56に向かう方向に移動される (以下、この方向を副走査方向Hとする) 。
レジスト補正モードでは、それぞれの画像形成部50 (Y,M,CおよびB) により、搬送ベルト52の副走査方向Hと直交する方向 (以下、この方向を主走査方向Vとする) に所定の距離をおいた2組のテスト画像178 (Y,M,CおよびB) および180 (Y,M,CおよびB) が形成される。
それぞれのテスト画像178 (Y,M,CおよびB) および180 (Y,M,CおよびB) は、ROMにあらかじめ記憶されているレジスト調整用画像データに対応して形成される。
主走査方向Vに沿って距離を置いた一対のテスト画像178および180は、搬送ベルト52の移動にともなって副走査方向Hに沿って移動され、レジストセンサ78および80を通過される。この結果、テスト画像178および180とレジストセンサ78および80との間のずれが検出される。なお、レジスト補正モードでは、カセット70から用紙Pを給送する送り出しローラ72および定着装置84は、停止されたままである。
詳細には、主制御装置101の制御により、第1ないし第4の画像形成部50Y,50M,50Cおよび50Bが付勢され、各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) の各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の表面に所定の電位が与えられる。同時に、画像制御部110の画像制御CPU111の制御により光走査装置1の光偏向装置5の多面鏡5aが所定の速度で回転される。
続いて、画像制御CPU111の制御によりROMから取り込まれたテスト画像に対応する画像データが各画像メモリ114 (Y,M,CおよびB) に取り込まれる。こののち、タイミング制御部113により、タイミング設定装置118により設定されたタイミングデータおよびタイミング制御部113の内部RAMに記憶されているレジスト補正データ (内部RAMにレジスト補正データが記憶されていない初期状態では、ROMに記憶されているイニシャルデータが利用される) に基づいてタイミング制御部113から垂直同期信号Vsyncが出力される。
タイミング制御部113により発生された垂直同期信号Vsyncは、各データ制御部115 (Y,M,CおよびB) および各VCO119 (Y,M,CおよびB) に供給される。
各データ制御部115 (Y,M,CおよびB) は、垂直同期信号Vsyncに基づいて、対応するレーザ駆動部116 (Y,M,CおよびB) により光走査装置1の対応するレーザ素子3 (Y,M,CおよびB) を動作させ、レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) から出射されたレーザビームL (Y,M,CおよびB) が水平同期検出器23により検知され、水平同期信号発生回路121から水平同期信号Hsyncが出力されてから所定のクロック (レジストセンサ78および80からの出力が入力されるまでは、ROMに記憶されているイニシャルデータが利用される) を計数したのち、画像メモリ114 (Y,M,CおよびB) に記憶されている画像データを所定のタイミングで出力する。このとき、各VCO119 (Y,M,CおよびB) から各データ制御部115 (Y,M,CおよびB) には、ROMに記憶されているイニシャルデータである発振周波数データが供給される。続いて、それぞれのデータ制御部115 (Y,M,CおよびB) の制御により、各レーザ駆動部116 (Y,M,CおよびB) から画像データに対応するレーザ駆動信号がレーザ素子3 (Y,M,CおよびB) に出力され、レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) から画像データに基づいて強度変調されたレーザビームL (Y,M,CおよびB) が出力される。従って、あらかじめ所定の電位に対応されている画像形成部50Y,50M,50Cおよび50Bの各感光体ドラム58Y,58M,58Cおよび58Bのそれぞれに、テスト画像データに対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置62Y,62M,62Cおよび62Bにより、対応する色が与えられているトナーで現像され、4色2組のテストトナー像に変換される。
各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) 上で現像された4色2組のテストトナー像は、転写装置64Y,64M,64Cおよび64Bを介して搬送ベルト52に転写され、レジストセンサ78および80に向かって搬送される。2組のテストトナー像がレジストセンサ78および80を通過される際に、レジストセンサ78および80の位置を基準としたそれぞれのテストトナー像の相対位置すなわちテストトナー像のずれに対応する所定の出力がレジストセンサ78および80から出力される。なお、搬送ベルト52上に形成された2組のテストトナー像は、搬送ベルト52の回転にともなってさらに搬送され、ベルトクリーナ82により取り除かれる。
レジストセンサ78および80からの各出力は、レジスト補正演算装置117に入力され、各テストトナー像のずれの演算に利用される。
レジスト補正演算装置117は、副走査方向に所定の距離だけ離れて形成された各色ごとのテストトナー像の対、すなわち、178Yと180Y、178Mと180M、178Cと180C、および、178Bと180Bごとに、副走査方向の位置のずれを検出したのち、平均値を算出し、この平均値とあらかじめ決められている設計値とのずれ量から垂直同期信号Vsyncを出力するタイミングの補正量Vrを規定する。これにより、光走査装置1のそれぞれのレーザ素子3 (Y,M,CおよびB) の発光タイミング、すなわち、各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) が配置された間隔および光走査装置1から出射される各レーザビームL (Y,M,CおよびB) 相互の副走査方向の距離に依存する副走査方向のずれが整合される。
また、レジスト補正演算装置117は、1組のテストトナー像、たとえば、178Y,178M,178Cおよび178Bのそれぞれの主走査方向の位置のずれを検出したのち、平均値を算出し、この平均値とあらかじめ決められている設計値とのずれ量から水平同期信号Hsyncが出力されてから画像データを出力するタイミングの補正量Hrを規定する。これにより、光走査装置1の各レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) から出射されるレーザビームL (Y,M,CおよびB) を画像データで強度変調するタイミング、すなわち、それぞれの画像形成部50 (Y,M,CおよびB) の各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に記録される画像データの主走査方向の書きだし位置が整合される。
レジスト補正演算装置117は、さらに、テストトナー像の対、すなわち、178Yと180Y、178Mと180M、178Cと180C、および、178Bと180Bごとに、主走査方向の位置のずれを検出したのち平均値を算出し、この平均値と予め決められている設計値とのずれを算出することで、VCO119 (Y,M,CおよびB) から出力される発振周波数の補正量Frを規定する。これにより、光走査装置1のそれぞれのレーザ素子3 (Y,M,CおよびB) から各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) の各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に向かって出射される各レーザビームの1クロック当たりの主走査方向の長さ、すなわち、各感光体58 (Y,M,CおよびB) に結像される主走査方向の1ラインの長さが整合される。
なお、レジスト補正演算装置117により求められたそれぞれの補正量Vr,HrおよびFrは、それぞれ、タイミング制御部113内のRAM部に、一時的に記憶される。この場合、それぞれの補正量Vr,HrおよびFrは、不揮発性RAM103に記憶されてもよい。また、これらの補正動作は、図示しないコントロールパネルにより補正モードの選択が指示されたとき、画像形成装置100の図示しない電源スイッチがオンされたとき、あるいは、図示しないカウンタなどによりカウントされるプリント枚数が所定枚数に達したときなどのあらかじめ決められたタイミングで実行される。
次に、画像形成 (通常) モードについて説明する。
図示しない操作パネルあるいはホストコンピュータから画像形成開始信号が供給されることで、主制御装置101の制御により各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) がウォームアップされるとともに、画像制御CPU111の制御により光走査装置1の光偏向装置5の多面鏡5aが所定の回転速度で回転される。
続いて、主制御装置101の制御により、外部記憶装置あるいはホストコンピュータもしくはスキャナ (画像読取装置) からプリントすべき画像データがRAM102に取り込まれる。RAM102に取り込まれた画像データの一部 (あるいは全部) は、画像制御部110の画像制御CPU111の制御により、各画像メモリ114 (Y,M,CおよびB) に収納される。また、主制御装置101の制御により、所定のタイミング、たとえば、タイミング制御部113からの垂直同期信号Vsyncなどを基準として、送り出しローラ72が付勢され、用紙カセット70から1枚の用紙Pが取り出される。この取り出された用紙Pは、レジストローラ72により各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) による画像形成動作により提供されるY,M,CおよびBの各トナー像とタイミングが整合され、吸着ローラ74により搬送ベルト52に密着されて、搬送ベルト52の回転にともなって、各画像形成部50に向かって案内される。
一方、用紙Pの給送および搬送動作と平行してあるいは同時に、タイミング設定装置118により設定されたデータおよびタイミング制御部113の内部RAMから読み出されたレジストデータおよびクロックデータに基づいて、タイミング制御部113から垂直同期信号Vsyncが出力される。
タイミング制御部113により垂直同期信号Vsyncが出力されることで、各データ制御部115 (Y,M,CおよびB) の制御により各レーザ駆動部116 (Y,M,CおよびB) が付勢され、各レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) から主走査方向の1ライン分のレーザビームが各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) の各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に照射される。この1ライン分のレーザビームに基づいて水平同期信号発生回路121から発生される水平同期信号Hsyncの入力直後から各VCO119 (Y,M,CおよびB) のクロック数がカウントされ、各VCO119 (Y,M,CおよびB) のクロック数が所定値に達した時点で、各画像メモリ114 (Y,M,CおよびB) からプリントすべき画像データが読み出される。続いて、各データ制御部115 (Y,M,CおよびB) の制御により、各レーザ駆動部116 (Y,M,CおよびB) に対し、各レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) から出射される各レーザビームL (Y,M,CおよびB) の強度を変化するために画像データが転送され、各画像形成部50 (Y,M,CおよびB) の各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に、ずれのない画像が形成される。この結果、それぞれの感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に案内される各レーザビームL (Y,M,CおよびB) が、各レーザ素子3 (Y,M,CおよびB) から各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) までの間の光路の偏差あるいは各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の直径の偏差に起因する像面でのビームスポット径の変動の影響を受けることなく各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に正確に結像される。
各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に結像されたそれぞれのレーザビームL (Y,M,CおよびB) は、予め所定の電位に帯電されている各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の電位を、画像データに基づいて変化させることで、各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) に、画像データに対応する静電潜像を形成する。この静電潜像は、各現像装置62 (Y,M,CおよびB) により、対応する色を有するトナーにより現像され、トナー像に変換される。
各トナー像は、それぞれの感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) の回転にともなって搬送ベルト52により搬送されている用紙Pに向かって移動され、予め決められたタイミングにより、転写装置64により、搬送ベルト52上の用紙Pに、所定のタイミングで転写される。これにより、用紙P上で互いに正確に重なりあった4色のトナー像が用紙Pに形成される。なお、トナー像が用紙Pに転写されたあとの各感光体ドラム58 (Y,M,CおよびB) は、対応するクリーナ66 (Y,M,CおよびB) および除電ランプ68 (Y,M,CおよびB) により残存トナーおよび残存電位が除去されたのち、引き続く画像形成に利用される。
4色のトナー像を静電的に保持した用紙Pは、搬送ベルト52の回転にともなってさらに搬送され、ベルト駆動ローラ56の曲率と用紙Pの直進性との差によって搬送ベルト52から分離されて、定着装置84へ案内される。定着装置84へ導かれた用紙Pは、定着装置84によりそれぞれのトナーが溶融されることにより、カラー画像としてのトナー像が定着されたのち、図示しない排出トレイに排出される。
一方、用紙Pを定着装置84に供給したあとの搬送ベルト52はさらに回転されつつ、ベルトクリーナ82により、表面に残った不所望なトナーが除去され、再び、カセット70から給送される用紙Pの搬送に利用される。
なお、本発明の内容はここに記述した形態だけに限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、他にも様々な形態を取り得ることはいうまでもない。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
1…マルチビーム光走査装置、3…半導体レーザ素子、5…光偏向装置、7…偏向前光学系、9…有限焦点レンズ、11…ハイブリッドシリンダレンズ、13…ミラーブロック、15…保持部材、17…プラスチックシリンダレンズ、19…ガラスシリンダレンズ、21…偏向後光学系、23…水平同期検出器、25…水平同期用折返しミラー、27…第1の結像レンズ、29…第2の結像レンズ、31…第3の結像レンズ、33…第1の折返しミラー、35…第2の折返しミラー、37…第3の折返しミラー、39…防塵ガラス、41…ばね、43…止めねじ、45a,45b…傾き調整ねじ。