JP2008026093A - 多層膜反射鏡およびその製造方法 - Google Patents

多層膜反射鏡およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軟X線用の多層膜反射鏡の膜応力を低減する。
【解決手段】Mo薄膜12とSi薄膜13の交互多層膜からなる多層膜反射鏡において、Mo薄膜12に重元素を添加することによって非晶質状態で成膜し、その非晶質薄膜にイオンビームを照射することで、Mo薄膜12の引張応力を強化する。その上にSi薄膜13を積層した膜構成により、Si薄膜13の膜応力(圧縮応力)をMo薄膜12の膜応力(引張応力)によって相殺し、交互多層膜全体の膜応力を低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軟X線用ミラーとして用いられる多層膜反射鏡およびその製造方法に関するものである。
X線波長域の光に対しては、物質の屈折率は、n=1−δ−iβ(δ、β:正の実数)と表され、δ、βともに1に比べて非常に小さい(屈折率の虚部βはX線の吸収を表す)。従って、屈折率がほぼ1に近くなりX線はほとんど屈折せず、また、必ずX線を吸収する。そのため、可視光領域の光のように屈折を利用したレンズはX線波長域の光には使用できず、反射を利用した光学系が用いられるが、やはり屈折率が1に近いために反射率は非常に低く、大部分のX線は透過するか或いは吸収されてしまう。そこで、使用するX線の波長域での屈折率と真空の屈折率との差が大きい物質と差の小さい物質とを交互に何層も積層することでそれらの界面である反射面を多数設け、反射率が高くなるように光学的干渉理論に基づいて各膜厚を調整した反射鏡が開発された。
このような多層膜反射鏡の代表的なものとして、W(タングステン)/C(炭素)、Mo(モリブデン)/Si(シリコン)等の組み合わせが知られている。そして、これらの多層膜はスパッタリング、真空蒸着、CVD等の薄膜形成技術によって作製されていた。
最近、X線用の多層膜反射鏡の開発が進むに従い多層膜の評価が行われるようになり、いくつかの材料の組み合わせについてその実用性が明らかにされつつある。例えば、前記Mo/Siの組み合わせの多層膜は、123Åというシリコンの吸収端の長波長側で高い反射率を示すため、軟X線縮小投影露光装置の反射光学系に用いる多層膜反射鏡として優れている。この軟X線縮小投影露光装置は半導体回路の微細化要求に応じるための有効な手段と目されており、研究開発が盛んに行われている。
一方、前記多層膜反射鏡の実用化に向けては、反射率の低下、耐久性、膜厚制御、膜応力等、多くの課題が残っている。特に膜応力に関しては、光学設計に応じて表面形状を精密に研磨したミラー基板の表面形状を変形させることになり、露光装置の光学性能を大いに低下させるため、重要な課題であると言える。この膜応力対策としてはつぎのような方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、基板と多層膜の熱膨張係数差を鑑み、多層膜成膜後の基板変形量を低減又はキャンセルするような熱膨張係数を有する基板材料を利用する方法が提案されている。
また、例えば、特許文献2等では、多層膜ミラー中の重元素層の少なくとも一層をRu、又はRu/Mo/Ru構成にする方法や、多層膜中の界面に粒子線を照射し多層膜応力を低減する方法が提案されている。
また、例えば、特許文献3では、基板上に正反対の応力を有する2つの異なる多層物質の組から構成される多層膜反射鏡を付着させ多層膜成膜後の基板変形量を低減又はキャンセルする方法が提案されている。
また、例えば、特許文献4では、つぎのような応力緩和層を基板と多層膜反射鏡の間に挿入し多層膜成膜後の基板変形量を低減又はキャンセルする方法が提案されている。
この応力緩和層は、多層膜反射鏡と正反対の応力を有するMo/Si多層フィルム、Mo/Be多層フィルム、Mo/Y多層フィルム、Mo2 C/Si多層フィルム、Mo/C多層フィルム等の群から選ばれる多層フィルムにより構成されている。あるいは、Mo/Sr多層フィルム、Mo2 C/Be多層フィルム、a−Si、およびa−Cフィルム等の群から選ばれる多層フィルムにより構成されている。
また、特許文献5、6、7では、重原子層と軽原子層を交互に積層した多層膜において、重原子層を合金化することにより非晶質化し、結晶粒生成による粗さの増加を防ぐ提案がなされている。さらにこの方法では、従来結晶状態である層が非晶質化することにより、幾分応力が低下することが期待されている。
特開平9−033699号公報 特開2001−027700号公報 特表2002−525698号公報 特表2002−504715号公報 特開平5−89818号公報 特開平4−250400号公報 特公平6−104870号公報
しかしながら、多層膜反射鏡における多層膜の膜応力による基板の変形を防止するための従来技術は、つぎのような問題を有している。
特許文献1の基板の熱膨張係数を選別する方法では、基板材料の種類に制限があるため基板変形量を十分に低減することは困難である。
特許文献2等の多層膜反射鏡中にRu、もしくはRu/Mo/Ruを挿入する方法や、界面に粒子線を照射する方法等では、多層膜反射鏡の反射率低下が生じやすく、反射鏡面内の膜厚均一性を確保することが困難である。
特許文献3の基板上に正反対の応力を有する2つの異なる多層物質の組から構成される多層膜反射鏡を付着させる方法においても、多層膜反射鏡の反射率低下が生じやすいという。
特許文献4の基板と多層膜反射鏡の間に多層膜反射鏡と正反対の応力を有する応力緩和層を挿入する方法においては、応力緩和層の応力が十分に強くないため応力緩和層の膜厚が多層膜反射鏡部分と同程度もしくはそれ以上必要となる。
そのため、面内での膜厚分布にムラが生じやすく基板形状の保持が難しくなったり、膜表面の粗さが増大し、多層膜反射鏡の表面散乱を増加させ、これにより反射率を低下させる、という未解決の課題がある。
また、特許文献5、6、7の、重原子層を合金化することで非晶質状態にする方法では、応力低減効果は僅かながらに留まり、さらに重原子層の組成が大きく変化することで屈折率および光吸収が悪化するという問題を有している。
本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、多層膜の膜応力による変形を抑制することが可能となる軟X線用の多層膜反射鏡およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の多層膜反射鏡は、基板上に、Mo薄膜からなる第1層と、Si薄膜からなる第2層を交互に積層した反射多層膜を有し、前記第1層が、膜厚が2nm以上13nm以下である非晶質のMo薄膜であることを特徴とする。
本発明の多層膜反射鏡の製造方法は、基板上に、Mo薄膜からなる第1層と、Si薄膜からなる第2層を交互に積層した反射多層膜を有する多層膜反射鏡の製造方法であって、前記第1層の成膜工程において非晶質のMo薄膜を成膜する工程と、非晶質のMo薄膜にイオンビームを照射することで膜応力を強化する工程と、膜応力を強化した非晶質のMo薄膜上に前記第2層を成膜する工程と、を有することを特徴とする。
Mo薄膜の引張応力を強化することでSi薄膜の圧縮応力を相殺し、多層膜の膜応力による多層膜反射鏡の変形を抑制する。これによって、軟X線領域の波長を有する光に対して用いられる多層膜反射鏡の光学性能を大幅に向上できる。
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、Si基板(基板)11上に、第1層である膜厚2nm以上13nm以下のMo薄膜12と、第2層である膜厚3nm以上15nm以下のSi薄膜13を交互に複数回積層して軟X線用の反射多層膜を形成する。この多層膜構成において、Mo薄膜12は非晶質状態で成膜される。
膜厚2nm以上のMoの非晶質薄膜を成膜するためには、Ru、Rh、Pd、Y、Be、Sr、Rb、P、C、Pr、Si、Zrの元素よりなる群から選択された少なくとも1種の元素を、0.5原子%以上10原子%以下の割合でMoに含有させる。
Mo薄膜12およびSi薄膜13は、それぞれ、スパッタ法や、蒸着法にて成膜する。その際、非晶質のMo薄膜にイオンビームを照射することで、引張応力の強いMo薄膜12を形成することができる。その上に、圧縮応力の強いSi薄膜13を成膜することを繰り返すことにより、反射多層膜を形成する。
参考のために、Sasa Bajt et.al:JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,Vol.90 No.2[2001]によると、Mo薄膜は膜厚約2nmを境界にして非晶質状態から結晶状態へと明確に変化する。軟X線領域にて使用されるMo/Siの反射多層膜におけるMoは2nm以上13nm以下の膜厚を持つため、通常では結晶状態となる。
一方、本発明者らは、光梃子装置にてMo成膜およびイオンビーム照射と同時に膜応力を観察した結果、非晶質状態−結晶状態の転移膜厚である膜厚2nmを境にイオンビームに対する応力挙動が劇的に変化するという知見を得た。
つぎに、これらについて詳しく説明する。
図2に、本実施の形態における多層膜反射鏡の製造に用いられる膜形成装置であるイオンビームスパッタ装置の概略構成を示す。
図2の装置は、真空チャンバー21内に、アシストイオン源22、スパッタイオン源23、ターゲットホルダー24、ターゲット25a〜25cを有する。基板26は基板ホルダー27に保持され、イオンビーム(スパッタイオンビーム)28によってスパッタされたターゲット粒子29を基板26に被着させて、Mo薄膜、Si薄膜等を成膜する。
スパッタイオン源23に導入されたガスは、スパッタイオン源23内でイオン化され、電極に印加された電圧によって加速されてイオンビーム28となり、ターゲット25a〜25cに衝突する。
イオンビーム28によってスパッタされたターゲット粒子29は、基板26の方向に飛散し、基板26上に薄膜として堆積する。基板ホルダー27には角度可変機構、自転機構が設けられており、ターゲット粒子29の入射角度を変えることができる。
なお、ターゲットホルダー24も回転可能となっており、ターゲットホルダー24のそれぞれの面に異なる物質のターゲットを配置することが可能になっている。
そして、このターゲットホルダー24を回転させて所望のターゲットにスパッタイオン源23からのイオンが衝突できるようにして、所望の物質を基板26上に成膜することを可能としている。
また、物質の種類に合わせて、スパッタガスの種類、流量を制御し、成膜を行う。
同様に、アシストイオン源22に導入されたガスは、アシストイオン源22内でイオン化され、電極に印加された電圧によって加速されてイオンビーム(アシストイオンビーム)となり、基板26上の薄膜に照射される。アシストイオン源22のガスの種類、流量は、スパッタイオン源23と同様に制御されている。
但し、スパッタ装置は上記の構成に限定するものではなく、本発明の目的が達成される範囲で変更自在である。
図2のイオンビームスパッタ装置によって成膜を行う際、in−situにて膜応力の挙動を観察するために、光梃子装置を用いた。
図3に、膜応力の挙動を観察するために用いる光梃子装置の概略図を示す。
図3の装置は、真空チャンバー31、光導入窓32、He−Neレーザー発信機33、偏光ビームスプリッター34、成膜用の基板35、折り返しミラー36、スクリーン37を有する。レーザー光の反射光38はスクリーン37にスポット39として入射する。
真空チャンバー31には、光導入窓32が設置されており、He−Neレーザー発信機33より放出されたレーザー光が偏光ビームスプリッター34を経て基板35に照射される。その反射光38は、偏光ビームスプリッター34と折り返しミラー36を経てスクリーン37上にスポット39として投影される。
この際、基板35は薄い短冊状のガラスからなり片方のみを固定されているために、成膜された薄膜の応力により反りを生じる。わずかな反りでもあれば、反射光38は膜成長に伴い反射光310となり、スクリーン37上のスポット39はスポット311へと移動する。この光梃子装置を用いることによって、基板35のヤング率、ポアソン比、形状、および反射光の光路長、スポットの移動距離等から膜応力の成長を算出し、観測することができる。
図4は、図2のイオンビームスパッタ装置、図3の光梃子装置を用いて、Mo単層の膜成長に伴う応力挙動を観測した結果を示す。図4において、横軸は膜厚を示し、縦軸は応力を示す。
グラフ41はMoを膜厚0.8nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。グラフ42はMoを膜厚1.2nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。グラフ43はMoを膜厚1.5nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。グラフ44はMoを膜厚1.8nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。グラフ45はMoを膜厚2.1nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。グラフ46はMoを膜厚2.3nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。グラフ47はMoを膜厚2.6nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。グラフ48はMoを膜厚3.0nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。グラフ49はMoを膜厚3.3nmまで成膜し、その後イオンビームを照射した際のMo応力挙動を示すデータである。
このようにMoの膜厚を変えてイオンビームを照射する実験を複数回行ったところ、図4のグラフから見て取れるように、Moははじめ引張応力を増加させながら成長してゆく。非結晶−結晶転移膜厚である膜厚2nmよりも薄い時点で成膜をやめ、イオンビーム照射を行うと膜応力は引張応力側に大きくシフトすることがわかる。一方、非結晶−結晶転移膜厚である2nm以上の膜厚のMoに対しイオンビーム照射を行うと、圧縮応力側に大きくシフトすることがわかる。
すなわち、非結晶状態の非晶質Moにイオンビームを照射することにより、引張応力の強いMo薄膜を得ることができる。
通常、Si薄膜は非常に強い圧縮応力を持つことが知られている。そのため、MoとSiの交互多層膜で形成される軟X線用の反射多層膜ではSiの圧縮応力が支配的となり、多層膜全体でも強い圧縮応力を持つことになる。
ところが、非晶質状態のMoにイオンビームを照射することによって、Moの引張応力が強くなり、結果としてMoとSiの交互多層膜で形成される反射多層膜の膜応力は大幅に低減される。
また、通常2nmで結晶化するMoであるが、軟X線領域で使用する多層膜ではMoは膜厚2nm以上まで非晶質状態のまま成長させる必要がある。非晶質を形成する方法としては、オーム社発行「アモルファス金属の基礎」 増本健 鈴木謙爾 藤森啓安 橋本功二著、に詳しく説明されている。Mo層中にRu、Rh、Pd、Y、Be、Sr、Rb、P、C、Pr、Si、Zrの元素よりなる群から選択された少なくとも1種の元素を0.5原子%以上10原子%以下の割合で含有させる手法が特に有効である。Ru、Rh、Pd、Y、Be、Sr、Rb、P、C、Pr、Si、Zrは軟X線領域での吸収係数が小さく、0.5原子%以上10原子%以下の割合で含有させることによりMoは非結晶状態のまま成長し、またMoの屈折率変動を1%以内に抑えることができる。そのため、多層膜反射鏡の光学特性損失を最小限にとどめることができる。
本実施例においては、図2のイオンビームスパッタ装置を用いて、軟X線用多層膜反射鏡を作製した。スパッタガスとしてはArガスを用い、イオン種とした。
まず、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡を作成する前に、比較例としての軟X線用多層膜反射鏡を次のようにして作成した。
Arガスをイオン種とするスパッタイオン源23で生成されたスパッタイオンビーム28を、Moである第1ターゲット25a、Siである第2ターゲット25bに照射し、スパッタされたターゲット粒子29を放出させた。放出されたターゲット粒子29は基板26に堆積され、成膜される。このようなイオンビームによるスパッタリングで、Si(4.12nm)/Mo(2.82nm)の周期長を持つ軟X線用多層膜反射鏡を作成した。
図5は、この比較例による軟X線用多層膜反射鏡について小角X線回折測定法を用いたX線回折により、Moの結晶評価を行った結果である。図5に示されている2θ=69°の鋭いピークはSi基板のSi[100]によるものである。また、2θ=40°付近にピークが観測された。これはMo[110]由来のピークである。このように、Moの非結晶−結晶転移膜厚2nmを超えているため、Moは明確に結晶化している。
つぎに、本実施例による軟X線用多層膜反射鏡を以下のように作成した。
すなわち、Arガスをイオン種とするスパッタイオン源23で生成されたスパッタ用のイオンビーム28を、Moである第3ターゲット25c、Siである第2ターゲット25bに照射し、スパッタされたターゲット粒子29を放出させた。放出されたターゲット粒子29は基板26に堆積され、成膜される。このようなイオンビームによるスパッタリングで、Si(4.12nm)/Mo(2.82nm)の周期長を持つ軟X線用多層膜反射鏡を作成した。
ここで、第3ターゲット25cはMo95原子%、Ru5原子%の比率を持つターゲットである。また、Mo薄膜を成膜した後に、Arガスをイオン種としアシストイオン源22で生成されたアシストイオンビームを基板26表面に向けて照射し、その後にSi薄膜を成膜するという工程を繰り返すことによって、反射多層膜を形成した。
こうして作成された軟X線用多層膜反射鏡の膜構成は、図1に示すように、Si基板11にSi薄膜13と非晶質のMo薄膜12を交互に積層したものである。
図6は、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡について小角X線回折測定法を用いたX線回折により、Moの結晶評価を行った結果である。
図6に示されている2θ=69°の鋭いピークはSi基板のSi[100]によるものである。また、2θ=40°付近に緩やかなピークが観測された。これはMo[110]由来のピークである。しかし、このピークは非常に弱いことからも、ここでのMoはほとんど結晶化していないことが分かる。
これにより、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡と比較例の軟X線用多層膜反射鏡とは周期長およびMo膜厚が同じであるが、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡におけるMo薄膜は非晶質状態であることが確認できた。
つぎに、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡と比較例による軟X線用多層膜反射鏡の、波長13.5nmにおける分光反射率を測定した。その結果、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡の反射率は68.2%であるのに対して、比較例の軟X線用多層膜反射鏡の反射率は68.4%であった。このように、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡は、重原子層であるMo層にRuが含有されるが5%と僅かであるため、光学特性にはほとんど影響を与えないことが確認できた。
つぎに、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡と比較例の軟X線用多層膜反射鏡について、光学干渉計にて成膜前後の基板面形状を測定することにより多層膜の膜応力を測定した。図7は本実施例の軟X線用多層膜反射鏡と比較例の軟X線用多層膜反射鏡の膜応力の測定結果を示したものである。データ71は比較例の軟X線用多層膜反射鏡の膜応力、データ72は本実施例の軟X線用多層膜反射鏡の膜応力を示している。比較例の軟X線用多層膜反射鏡は−121.5[N/m]の圧縮応力、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡は−31.8[N/m]の圧縮応力を持つことが判明した。すなわち、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡においては、多層膜の膜応力は70%低減された。
以上のように、本実施例の構成によれば、Si層とMo層を繰り返し積層して構成される軟X線用多層膜反射鏡において、反射率を大きく損ねることなく膜応力を大幅に低減することが可能となる。
一実施の形態による多層膜反射鏡の膜構成を示す図である。 イオンビームスパッタ装置を示す図である。 膜応力の挙動を観察するために用いる光梃子装置を示す図である。 光梃子装置を用いてMo単層の膜成長とイオンビーム照射に伴う応力挙動を観測したグラフである。 比較例による軟X線用多層膜反射鏡についてX線回折によってMoの結晶評価を行ったグラフである。 本実施例による軟X線用多層膜反射鏡についてX線回折によってMoの結晶評価を行ったグラフである。 本実施例と比較例の軟X線用多層膜反射鏡の膜応力を示したグラフである。
符号の説明
11 Si基板
12 Mo薄膜
13 Si薄膜
21 真空チャンバー
22 アシストイオン源
23 スパッタイオン源
24 ターゲットホルダー
25a、25b、25c ターゲット

Claims (3)

  1. 基板上に、Mo薄膜からなる第1層と、Si薄膜からなる第2層を交互に積層した反射多層膜を有し、前記第1層が、膜厚が2nm以上13nm以下である非晶質のMo薄膜であることを特徴とする多層膜反射鏡。
  2. 前記Mo薄膜中にRu、Rh、Pd、Y、Be、Sr、Rb、P、C、Pr、Si、Zrの元素よりなる群から選択された少なくとも1種の元素が、0.5原子%以上10原子%以下の割合で含有されたことを特徴とする請求項1記載の多層膜反射鏡。
  3. 基板上に、Mo薄膜からなる第1層と、Si薄膜からなる第2層を交互に積層した反射多層膜を有する多層膜反射鏡の製造方法であって、
    前記第1層の成膜工程において非晶質のMo薄膜を成膜する工程と、
    非晶質のMo薄膜にイオンビームを照射することで膜応力を強化する工程と、
    膜応力を強化した非晶質のMo薄膜上に前記第2層を成膜する工程と、を有することを特徴とする多層膜反射鏡の製造方法。
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