JP2006308483A - 多層膜及び多層膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Si層とMo層を繰り返し積層して構成された多層膜において、これらSi層とMo層との間に中間層を設けた場合においても、所望の膜厚のもとで高い反射率を得ることが可能となる多層膜及び多層膜の製造方法を提供する。
【解決手段】Si層2とMo層4を繰り返し積層し、これらSi層とMo層との間に中間層3を設けた多層膜において、前記Mo層は、結晶化したMo層で構成される。その際、結晶化したMo層の膜厚を2.5nmから5nmとする。
【選択図】図1
【解決手段】Si層2とMo層4を繰り返し積層し、これらSi層とMo層との間に中間層3を設けた多層膜において、前記Mo層は、結晶化したMo層で構成される。その際、結晶化したMo層の膜厚を2.5nmから5nmとする。
【選択図】図1
Description
本発明は多層膜及び多層膜の製造方法に関し、特に軟X線の反射鏡として用いられる多層膜及び多層膜の製造方法に関するものである。
軟X線波長域(11〜14nm)の光に対しては、物質の屈折率は、n=1−δ−iβ(δ、β:正の実数)と表され、δ、βともに1に比べて非常に小さい(屈折率の虚部βはX線の吸収を表す)。
従って、屈折率がほぼ1に近くなりX線はほとんど屈折せず、また、必ずX線を吸収する。そのため、可視光領域の光のように屈折を利用したレンズはX線波長域の光には使用できない。そこで、反射を利用した光学系が用いられるが、やはり屈折率が1に近いために反射率は非常に低く、大部分のX線は透過するか或いは吸収されてしまう。
以上の問題を解決するために、使用するX線の波長域での屈折率と真空の屈折率(=1)との差が大きい物質と、差の小さい物質とを交互に何層も積層することでそれらの界面である反射面を多数設け、それぞれの界面からの反射波の位相が一致するように光学的干渉理論に基づいて各層の厚さを調整した多層膜による反射鏡が開発された。
従って、屈折率がほぼ1に近くなりX線はほとんど屈折せず、また、必ずX線を吸収する。そのため、可視光領域の光のように屈折を利用したレンズはX線波長域の光には使用できない。そこで、反射を利用した光学系が用いられるが、やはり屈折率が1に近いために反射率は非常に低く、大部分のX線は透過するか或いは吸収されてしまう。
以上の問題を解決するために、使用するX線の波長域での屈折率と真空の屈折率(=1)との差が大きい物質と、差の小さい物質とを交互に何層も積層することでそれらの界面である反射面を多数設け、それぞれの界面からの反射波の位相が一致するように光学的干渉理論に基づいて各層の厚さを調整した多層膜による反射鏡が開発された。
このような多層膜反射鏡の代表的なものとして、W(タングステン)/C(炭素)、あるいはMo(モリブデン)/Si(シリコン)等の組み合わせが知られている。そして、これらの多層膜はスパッタリング、真空蒸着、CVD等の薄膜形成技術によって作製されていた。
最近においては軟X線多層膜反射鏡の開発が進むに従い、多層膜の評価が行われるようになり、いくつかの材料の組み合わせについてその実用性が明らかにされつつある。例えば、前記Mo/Siの組み合わせの多層膜は、123Åというシリコンの吸収端の長波長側で高い反射率を示すため、軟X線縮小投影露光装置の反射光学系に用いる多層膜反射鏡として優れている。しかし、SiとMoは反応しやすいために、Mo/Si界面においてモリブデンシリサイドを形成し、反射率の低下を招いていた(モリブデンシリサイド形成については、D.G.Sterns et.al.,J.Appl.Phys.67(1990)2415.参照)。
最近においては軟X線多層膜反射鏡の開発が進むに従い、多層膜の評価が行われるようになり、いくつかの材料の組み合わせについてその実用性が明らかにされつつある。例えば、前記Mo/Siの組み合わせの多層膜は、123Åというシリコンの吸収端の長波長側で高い反射率を示すため、軟X線縮小投影露光装置の反射光学系に用いる多層膜反射鏡として優れている。しかし、SiとMoは反応しやすいために、Mo/Si界面においてモリブデンシリサイドを形成し、反射率の低下を招いていた(モリブデンシリサイド形成については、D.G.Sterns et.al.,J.Appl.Phys.67(1990)2415.参照)。
このため、界面における反応及び拡散を防止してX線反射率を向上させる目的で、多層膜を形成している互いに屈折率の異なる物質からなるA層とB層の間に拡散防止のための中間層C層を設けた多層膜反射鏡が提案された。
以上のような中間層を設けた多層膜反射鏡としては、例えば、特許文献1では中間層として炭化ホウ素(B4C)層を設けた多層膜反射鏡が提案されている。また、特許文献2では中間層として、ホウ化物、炭化物、ケイ化物、窒化物/Be等を設けた多層膜反射鏡が、また、特許文献3ではSiO2を設けた多層膜反射鏡が提案されている。
特開昭60−7400号公報
特開昭63−88503号公報
特開2002−277589号公報
以上のような中間層を設けた多層膜反射鏡としては、例えば、特許文献1では中間層として炭化ホウ素(B4C)層を設けた多層膜反射鏡が提案されている。また、特許文献2では中間層として、ホウ化物、炭化物、ケイ化物、窒化物/Be等を設けた多層膜反射鏡が、また、特許文献3ではSiO2を設けた多層膜反射鏡が提案されている。
上記従来例のMo/Siの組合せによる軟X線用多層膜ミラーでは、Mo約3nm、Si約4nmを交互に積層することで、波長約13.5nmにおいて高反射率が得られる。
ところで、上記従来例で述べたように界面拡散、反応を防ぐために中間層を挿入すると、中間層によって多層膜の膜厚が厚くなる。したがって、所望の膜厚を得るためにはMo、Siの膜厚は中間層の分だけ薄く成膜しなければならない。
しかしながら、Moは膜厚約2nmで非結晶−結晶転移点を持つ(Sasa Bajt et.al:JOURNAL OF APPLIED PHYSICS ,Vol.90 No.2 [2001]参照)。そのため、Mo/Si軟X線用多層膜ミラーに上記したように界面拡散、反応を防ぐために中間層を挿入し、所望の膜厚を得るために膜厚を薄くした場合、Moが薄くなりすぎて結晶化し難くなるという点に問題があった。すなわち、Moは結晶化することで密度が増し、Siとの屈折率差が広がり高反射率化につながることから、結晶状態にある方が望ましい。
ところで、上記従来例で述べたように界面拡散、反応を防ぐために中間層を挿入すると、中間層によって多層膜の膜厚が厚くなる。したがって、所望の膜厚を得るためにはMo、Siの膜厚は中間層の分だけ薄く成膜しなければならない。
しかしながら、Moは膜厚約2nmで非結晶−結晶転移点を持つ(Sasa Bajt et.al:JOURNAL OF APPLIED PHYSICS ,Vol.90 No.2 [2001]参照)。そのため、Mo/Si軟X線用多層膜ミラーに上記したように界面拡散、反応を防ぐために中間層を挿入し、所望の膜厚を得るために膜厚を薄くした場合、Moが薄くなりすぎて結晶化し難くなるという点に問題があった。すなわち、Moは結晶化することで密度が増し、Siとの屈折率差が広がり高反射率化につながることから、結晶状態にある方が望ましい。
本発明は、上記課題に鑑み、Si層とMo層を繰り返し積層して構成された多層膜において、これらSi層とMo層との間に中間層を設けた場合においても、所望の膜厚のもとで高い反射率を得ることが可能となる多層膜及び多層膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を達成するために、以下のように構成した多層膜及び多層膜の製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明の多層膜は、Si層とMo層を繰り返し積層し、これらSi層とMo層との間に中間層を設けた多層膜において、前記Mo層が、結晶化したMo層で構成されていることを特徴としている。
また、本発明の多層膜の製造方法は、SiとMoからなる材料層を繰り返し積層するに際し、これらSi層とMo層との間に中間層を設けるようにした多層膜の製造方法において、前記Mo層を所望の厚さに成膜し結晶化した後、該Mo層を所望の膜厚にエッチングする工程を有することを特徴としている。
すなわち、本発明の多層膜は、Si層とMo層を繰り返し積層し、これらSi層とMo層との間に中間層を設けた多層膜において、前記Mo層が、結晶化したMo層で構成されていることを特徴としている。
また、本発明の多層膜の製造方法は、SiとMoからなる材料層を繰り返し積層するに際し、これらSi層とMo層との間に中間層を設けるようにした多層膜の製造方法において、前記Mo層を所望の厚さに成膜し結晶化した後、該Mo層を所望の膜厚にエッチングする工程を有することを特徴としている。
本発明によれば、Si層とMo層を繰り返し積層して構成された多層膜において、これらSi層とMo層との間に中間層を設けた場合においても、所望の膜厚のもとで高い反射率を得ることが可能となる多層膜及び多層膜の製造方法を実現することができる。
本発明は、上記構成により本発明の課題を達成することができるが、その実施の形態として、具体的にはつぎのように軟X線用多層膜反射鏡Aを形成することができる。
まず、本実施の形態による軟X線用多層膜反射鏡Aを作成する前に、所望の膜構成、周期長を有する軟X線用多層膜反射鏡を形成すべく、中間層による膜厚の増加分を考慮してMo層の層厚を薄くしてMoが結晶化されていない状態のもとで、Si/中間層/Mo/中間層成膜の順に工程を踏み、これを複数回繰り返り返して軟X線用多層膜反射鏡A’を作成した。その際、所望の膜構成、周期長の多層膜を得るためには、周期長等を測定してそれらの評価を行いながら多層膜を作成する。このような軟X線用多層膜反射鏡中の一周期分の膜厚である周期長を調べる手段として、一般的に小角X線回折測定法が用いられる。この測定法によれば、軟X線用多層膜に対する小角X線回折測定によって、周期長を反映したブラッグ反射ピークを観測し、そのピーク間隔より周期長を算出することができる。
まず、本実施の形態による軟X線用多層膜反射鏡Aを作成する前に、所望の膜構成、周期長を有する軟X線用多層膜反射鏡を形成すべく、中間層による膜厚の増加分を考慮してMo層の層厚を薄くしてMoが結晶化されていない状態のもとで、Si/中間層/Mo/中間層成膜の順に工程を踏み、これを複数回繰り返り返して軟X線用多層膜反射鏡A’を作成した。その際、所望の膜構成、周期長の多層膜を得るためには、周期長等を測定してそれらの評価を行いながら多層膜を作成する。このような軟X線用多層膜反射鏡中の一周期分の膜厚である周期長を調べる手段として、一般的に小角X線回折測定法が用いられる。この測定法によれば、軟X線用多層膜に対する小角X線回折測定によって、周期長を反映したブラッグ反射ピークを観測し、そのピーク間隔より周期長を算出することができる。
つぎに、本実施の形態による軟X線用多層膜反射鏡Aを以下のように形成する。
上記軟X線用多層膜反射鏡A’と同一の周期長のSi/中間層/Mo/中間層による多層膜を形成するに当たり、Mo層の形成に際して膜厚が2.5nm〜5nmになるまでMo層の成膜時間を延長し、Moが十分結晶化した後に、所望の膜厚までエッチングを行う。すなわち、上記軟X線用多層膜反射鏡A’での中間層による膜厚の増加分を考慮して薄くしたMo層と同様の膜厚までエッチングを行い、上記軟X線用多層膜反射鏡A’と周期長及びMo層の膜厚が同じ膜構成のものを作成する。
このような、Si成膜/中間層成膜/Mo成膜/エッチング/中間層成膜の順に工程を踏み、これを複数回繰り返すことによって、図1に示す軟X線用多層膜反射鏡Aを製造する。図1において、1は基板、2はSi層、3は中間層、4はMo層である。
上記軟X線用多層膜反射鏡A’と同一の周期長のSi/中間層/Mo/中間層による多層膜を形成するに当たり、Mo層の形成に際して膜厚が2.5nm〜5nmになるまでMo層の成膜時間を延長し、Moが十分結晶化した後に、所望の膜厚までエッチングを行う。すなわち、上記軟X線用多層膜反射鏡A’での中間層による膜厚の増加分を考慮して薄くしたMo層と同様の膜厚までエッチングを行い、上記軟X線用多層膜反射鏡A’と周期長及びMo層の膜厚が同じ膜構成のものを作成する。
このような、Si成膜/中間層成膜/Mo成膜/エッチング/中間層成膜の順に工程を踏み、これを複数回繰り返すことによって、図1に示す軟X線用多層膜反射鏡Aを製造する。図1において、1は基板、2はSi層、3は中間層、4はMo層である。
以上の本実施の形態による軟X線用多層膜反射鏡Aによれば、Mo層は一度結晶化した後に所望の膜厚までエッチングされたものであることから、結晶化しており、Moの密度は向上したものとなっている。そのため、上記軟X線用多層膜反射鏡A’と同様の周期長及びMo層の膜厚を備える一方、Siに対する屈折率差を広げることができ、高い反射率、バンド幅を得ることが可能となる。
なお、ここで中間層の材料としては、炭化物、ホウ化物、窒化物、酸化物等の安定な材料のうち、光学特性を考慮して高い反射率が得られる材料を選択することが望ましい。
また、上記エッチングに際しては、イオンビームを用いることにより真空装置内で成膜工程と連続的に処理を行うことができる。
また、エッチングイオンビームに不活性ガスを用いることによって、エッチングによる表面粗さの増大を抑制し、散乱による反射率の低下を防ぐことができる。
なお、ここで中間層の材料としては、炭化物、ホウ化物、窒化物、酸化物等の安定な材料のうち、光学特性を考慮して高い反射率が得られる材料を選択することが望ましい。
また、上記エッチングに際しては、イオンビームを用いることにより真空装置内で成膜工程と連続的に処理を行うことができる。
また、エッチングイオンビームに不活性ガスを用いることによって、エッチングによる表面粗さの増大を抑制し、散乱による反射率の低下を防ぐことができる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。本実施例においては、本発明を適用し、Arガスをイオン種とするイオンビームスパッタ装置を用いて軟X線用多層膜反射鏡aを作製した。
図2及び図4に本実施例で用いたイオンビームスパッタ装置の構成を示す。
図2及び図4において、5は真空チャンバー、6はエッチングイオン源、7はスパッタリングイオン源である。
8はターゲットホルダ、9は第1ターゲット、10は第2ターゲット、11は第3ターゲットである、12は成膜基板、13は成膜基板ホルダ、14はスパッタイオンビーム、15はスパッタされたターゲット粒子、16はエッチングイオンビームである。
図2及び図4に本実施例で用いたイオンビームスパッタ装置の構成を示す。
図2及び図4において、5は真空チャンバー、6はエッチングイオン源、7はスパッタリングイオン源である。
8はターゲットホルダ、9は第1ターゲット、10は第2ターゲット、11は第3ターゲットである、12は成膜基板、13は成膜基板ホルダ、14はスパッタイオンビーム、15はスパッタされたターゲット粒子、16はエッチングイオンビームである。
まず、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡aを作成する前に、所望の膜構成、周期長を有する軟X線用多層膜反射鏡を形成すべく、上記装置によるイオンビームにてスパッタリングによって、中間層による膜厚の増加分を考慮してMo層の層厚を薄くしてMoが結晶化されていない状態のもとで、Si(3.6nm)/B4C(0.5nm)/Mo(2.4nm)/B4C(0.5nm)の周期長を持つ軟X線用多層膜反射鏡a’を、つぎのようにして作成した。
すなわち、Arガスをイオン種とするスパッタリングイオン源7で生成されたスパッタイオンビーム14を第1ターゲット9,第2ターゲット10,第3ターゲット11に照射し、スパッタされたターゲット粒子15を放出させ、成膜基板12に堆積させて成膜するイオンビームによるスパッタリングで、Si(3.6nm)/B4C(0.5nm)/Mo(2.4nm)/B4C(0.5nm)の周期長を持つ軟X線用多層膜反射鏡a’を作成した。
図3は、この軟X線用多層膜反射鏡a’について小角X線回折測定法を用いたX線回折により、Moの結晶評価を行った結果である。
図3に示されている2θ=69°の鋭いピークは、Si基板のSi[100]によるものである。また、2θ=40°付近に緩やかなピークが観測された。これはMo[110]由来のピークである。しかし、このピークは非常に弱いことからも、ここでのMoはほとんど結晶化していないことが分かる。
すなわち、Arガスをイオン種とするスパッタリングイオン源7で生成されたスパッタイオンビーム14を第1ターゲット9,第2ターゲット10,第3ターゲット11に照射し、スパッタされたターゲット粒子15を放出させ、成膜基板12に堆積させて成膜するイオンビームによるスパッタリングで、Si(3.6nm)/B4C(0.5nm)/Mo(2.4nm)/B4C(0.5nm)の周期長を持つ軟X線用多層膜反射鏡a’を作成した。
図3は、この軟X線用多層膜反射鏡a’について小角X線回折測定法を用いたX線回折により、Moの結晶評価を行った結果である。
図3に示されている2θ=69°の鋭いピークは、Si基板のSi[100]によるものである。また、2θ=40°付近に緩やかなピークが観測された。これはMo[110]由来のピークである。しかし、このピークは非常に弱いことからも、ここでのMoはほとんど結晶化していないことが分かる。
つぎに、本実施例による軟X線用多層膜反射鏡aを以下のように形成した。
図2のようにして、上記軟X線用多層膜反射鏡a’と同一の周期長(Si(3.6nm)/B4C(0.5nm)/Mo(2.4nm)/B4C(0.5nm))の多層膜を形成するに当たり、Mo層の形成に際して膜厚が3nmになるまでMo層の成膜時間を延長し、Moが十分結晶化した後に、図4のようにArガスをイオン種とするイオンビームにてMo層の膜厚が上記軟X線用多層膜反射鏡a’と同じ膜厚の2.4nmになるまでエッチングを行った。これにより上記軟X線用多層膜反射鏡a’と周期長及びMo層の膜厚が同じ膜構成のものを作成した。
図2のようにして、上記軟X線用多層膜反射鏡a’と同一の周期長(Si(3.6nm)/B4C(0.5nm)/Mo(2.4nm)/B4C(0.5nm))の多層膜を形成するに当たり、Mo層の形成に際して膜厚が3nmになるまでMo層の成膜時間を延長し、Moが十分結晶化した後に、図4のようにArガスをイオン種とするイオンビームにてMo層の膜厚が上記軟X線用多層膜反射鏡a’と同じ膜厚の2.4nmになるまでエッチングを行った。これにより上記軟X線用多層膜反射鏡a’と周期長及びMo層の膜厚が同じ膜構成のものを作成した。
図5は、本実施例の多層膜反射鏡aについて小角X線回折測定法を用いたX線回折により、Moの結晶評価を行った結果である。図5に示されている2θ=69°の鋭いピークはSi基板のSi[100]によるものである。また、2θ=40°付近のMo[110]由来のピークは多層膜反射鏡Aを測定した際のピーク強度に比べ約6倍の強度を示した。
これにより、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡aと上記軟X線用多層膜反射鏡a’とは周期長及びMo膜厚が同じであるが、本実施例のものではMo成膜時間延長後に、エッチング処理を施したことによって、Moの結晶化が促進することが確認できた。
これにより、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡aと上記軟X線用多層膜反射鏡a’とは周期長及びMo膜厚が同じであるが、本実施例のものではMo成膜時間延長後に、エッチング処理を施したことによって、Moの結晶化が促進することが確認できた。
つぎに、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡aと上記軟X線用多層膜反射鏡a’の軟X線分光反射率を測定したところ、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡aの反射率は69.3%であるのに対して、上記軟X線用多層膜反射鏡a’の反射率は67.2%であった。このように、本実施例の軟X線用多層膜反射鏡aによればMoが結晶化したことによってMoの密度が向上し、Siとの屈折率差が広がったことによって反射率は2.1%増加した。
以上のように、本実施例の構成によれば、Si層とMo層を繰り返し積層して構成された多層膜において、これらSi層とMo層との間に中間層を設けた場合においても、結晶化したMo層によって、所望の膜厚のもとで高い反射率の多層膜を実現することができる。
以上のように、本実施例の構成によれば、Si層とMo層を繰り返し積層して構成された多層膜において、これらSi層とMo層との間に中間層を設けた場合においても、結晶化したMo層によって、所望の膜厚のもとで高い反射率の多層膜を実現することができる。
1:Si[100]基板
2:Si層
3:中間層
4:Mo層
5:真空チャンバー
6:エッチングイオン源
7:スパッタリングイオン源
8:ターゲットホルダ
9:第1ターゲット
10:第2ターゲット
11:第3ターゲット
12:成膜基板
13:成膜基板ホルダ
14:スパッタイオンビーム
15:スパッタされたターゲット粒子
16:エッチングイオンビーム
2:Si層
3:中間層
4:Mo層
5:真空チャンバー
6:エッチングイオン源
7:スパッタリングイオン源
8:ターゲットホルダ
9:第1ターゲット
10:第2ターゲット
11:第3ターゲット
12:成膜基板
13:成膜基板ホルダ
14:スパッタイオンビーム
15:スパッタされたターゲット粒子
16:エッチングイオンビーム
Claims (8)
- Si層とMo層を繰り返し積層し、これらSi層とMo層との間に中間層を設けた多層膜において、
前記Mo層が、結晶化したMo層で構成されていることを特徴とする多層膜。 - 前記結晶化したMo層は、2.5nmから5nmの膜厚を有することを特徴とする請求項1に記載の多層膜。
- 前記中間層は、炭化物、またはホウ化物、または窒化物、または酸化物、等のうちのいずれかにより形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層膜。
- SiとMoからなる材料層を繰り返し積層するに際し、これらSi層とMo層との間に中間層を設けるようにした多層膜の製造方法において、
前記Mo層を所望の厚さに成膜し結晶化した後、該Mo層を所望の膜厚にエッチングする工程を有することを特徴とする多層膜の製造方法。 - 前記Mo層の成膜において、前記膜厚が2.5nmから5nmの厚さとなるまで成膜されることを特徴とする請求項4に記載の多層膜の製造方法。
- 前記中間層は、炭化物、またはホウ化物、または窒化物、または酸化物、等のうちのいずれかにより形成されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の多層膜の製造方法。
- 前記エッチングが、イオンビームの照射により行われることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の多層膜の製造方法。
- 前記イオンビームによるエッチングが、イオン種に不活性ガスを用いて行われることを特徴とする請求項7に記載の多層膜の製造方法。
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