JPH09230098A - 多層膜x線反射鏡 - Google Patents

多層膜x線反射鏡

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JPH09230098A
JPH09230098A JP3324996A JP3324996A JPH09230098A JP H09230098 A JPH09230098 A JP H09230098A JP 3324996 A JP3324996 A JP 3324996A JP 3324996 A JP3324996 A JP 3324996A JP H09230098 A JPH09230098 A JP H09230098A
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multilayer film
layer
ray
intermediate layer
reflectance
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JP3324996A
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Inventor
Hisataka Takenaka
久貴 竹中
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】X線反射特性と耐熱性を向上させた多層膜X線
反射鏡を提供することを目的としている。 【解決手段】複数の物質層を周期的に積層した多層膜X
線反射鏡において、重元素層1と軽元素層2の中間に中
間層3を形成し、中間層3として、少なくとも一つの重
元素層1、軽元素層2の構成物質よりも融点の高い物質
を使用する。また、中間層3として、少なくとも一つの
重元素層1、軽元素層2の構成物質よりも融点の高い、
硼素、炭素の少なくとも一種からなる材料を使用する。
また、中間層3として、少なくとも一つの重元素層1、
軽元素層2の構成物質よりも融点の高い、酸化物あるい
は窒化物からなる物質を使用する。さらに、中間層3の
厚みを1Å以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体材料など各種
の材料の化学状態、化学組成、不純物濃度を分析する装
置、なかでも軽元素を高感度で分析する装置、微細加工
装置、X線顕微鏡、X線望遠鏡などに用いられる多層膜
X線反射鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多層膜X線反射鏡はシリコンや石英など
の基板の上に一般には軽元素層と重元素層を数10Å〜
数100Åの一定の厚みで規則正しく積層させて形成さ
れている。このような多層膜X線反射鏡は特に軟X線波
長領域で回折格子や結晶に比べて反射率が高いという利
点を有している。従来の単層膜では垂直入射に近づくに
つれて反射しなくなり、反射率は0.000001以下
とほとんど反射しないが、例えば波長が約13nm程度
では重元素層にMoを使用し、軽元素層にSiを使用し
た多層膜(Mo/Si多層膜)が直入射においても計算
上約80%という高い反射率が得られ、また、実際に作
製されたMo/Si多層膜X線反射鏡においても50〜
64%程度の軟X線反射率が得られるため蛍光X線分析
装置やX線顕微鏡などに適用されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
Mo/Si多層膜においてはSiの融点が約1414℃
と低いこと、また、一般に物質の融点は数10Åの膜厚
ではバルクの融点よりも更に下がるため、Mo層とSi
層の界面で拡散が生じ易くなる。
【0004】軟X線波長領域を中心とした波長領域のX
線・軟X線・紫外線などを反射させる場合、多層膜X線
反射鏡では多層膜の界面の拡散が少ないほどX線・軟X
線・紫外線の反射率が大きくなるため、反射後のX線・
軟X線・紫外線を使用して、分析や加工を行う場合に感
度が向上し、加工性が向上する。しかし、例えば、この
Mo/Siの組み合わせの多層膜を用いた場合、成膜時
の基板温度の上昇や多層膜X線反射鏡使用時の温度の上
昇などの理由で組成物質の拡散が生じ、多層膜X線反射
鏡への軟X線などの入射強度に対する多層膜X線反射鏡
からの軟X線などの出射強度の比(反射率)が小さくな
り、特性が悪くなる。例えばMoとSiからなる多層膜
において周期長70Å、層厚比2:3、Mo層とSi層
のペア数30の場合ではMoの融点が約2600℃、S
iの融点が約1414℃であるが、この多層膜を真空中
400℃で1時間熱処理すると、X線反射率は初期値の
50%から60%程度に、また、真空中600℃で1時
間熱処理すると、X線反射率は初期値の10%〜20%
程度に低下してしまい、耐熱性が悪い。特に現在、高輝
度のX線・軟X線・紫外線源として放射光やレーザプラ
ズマなどが使用されているが、高輝度であるため、これ
ら軟X線などの照射される部分の多層膜の温度上昇は特
に激しい。このため、実際にこのこれらのX線・軟X線
・紫外線を多層膜X線反射鏡に照射させると照射部の多
層膜の界面に拡散が生じて、反射率が大幅に低下してし
まうという大きな問題が生じていた。多層膜X線反射鏡
にこれらのX線・軟X線・紫外線が照射され、反射率が
低下すると、分析応用の場合は反射率が変化すると分析
の精度や確度が悪くなるという問題が、また、X線リソ
グラフィーなどにこのような反射鏡を適用していた場合
は、レジストを適性時間露光することが困難になるとい
う問題が生じており、また、多層膜そのものの寿命が短
いなどの問題が生じていた。
【0005】本発明は前述の問題点を解決するためにな
されたもので、X線反射特性と耐熱性を向上させた多層
膜X線反射鏡を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては、複数の物質層を周期的に積層し
た多層膜X線反射鏡において、上記物質層の各層間に中
間層を形成し、上記中間層として、少なくとも一つの上
記物質層よりも融点の高い物質を使用する。
【0007】また、上記中間層として、硼素、炭素の少
なくとも一種からなる材料を使用する。
【0008】また、上記中間層として、酸化物あるいは
窒化物からなる物質を使用する。
【0009】さらに、上記中間層の厚みを1Å以上とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る多層膜X線反
射鏡の実施の形態を示す概念図である。図に示すよう
に、ブラッグ反射を起こす周期構成物質層4は、例えば
Moのような重元素層1と例えばSiのような軽元素層
2の2種の物質層から構成されており、さらに、重元素
層1と軽元素層2の間には中間層3が設けられている。
中間層3には、重元素層1、軽元素層2の少なくとも一
つの層を構成する物質の融点よりも高い物質を使用す
る。その中間層3としては、硼素、炭素の少なくとも一
種からなる物質を用いる場合もあり、酸化物あるいは窒
化物からなる物質を用いている場合もある。これらの物
質の融点は、重元素層1、軽元素層2の少なくとも一つ
の層を構成する物質の融点よりも高いため、中間層3が
無い場合に比べ、重元素層1、軽元素層2の間の拡散が
抑制され、周期構成物質層4の耐熱性が向上し、X線反
射率が向上する。
【0011】また、中間層3の厚さを1Å以上とする
と、重元素層1と軽元素層2との間の拡散の抑制効果、
多層膜の耐熱性、X線反射率が更に向上する。
【0012】このような多層膜X線反射鏡においては、
次のような効果が期待できる。(1)X線・軟X線を利
用した各種分析に適用した場合、多層膜X線反射鏡の耐
熱性が向上するため、反射率の変化が中間層3の無い多
層膜X線反射鏡よりも少なくなり、精度や確度が向上す
る。(2)X線リソグラフィーに適用した場合、中間層
のない多層膜X線反射鏡よりも(1)と同様の理由で反
射率の変化が少なくなり、適性露光時間を中間層3のな
い多層膜X線反射鏡を使用した場合に比較し、正確に決
められる。(3)多層膜X線反射鏡自身の寿命が延びる
などの効果を有する。また(4)中間層3の厚みを適切
に選択すると多層膜X線反射鏡の反射率が向上し感度や
精度の向上、露光時間の短縮などの効果が生じる。
【0013】上記の実施の形態では、2種類の層が繰り
返される多層膜の各層の間に中間層を形成する例を述べ
たが、当然3種類以上の層が繰り返される多層膜の各層
の間に中間層を形成しても同様の効果があることはいう
までもない。
【0014】
【実施例】次に本発明の代表的な実施例について説明す
る。
【0015】(実施例1)スパッタリング法により重元
素層にMoを用い、軽元素層にSiを用いてMo/Si
多層膜を作製した。Mo/Si多層膜の周期長は67
Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は2:3、重元素
層と軽元素層のペアの数は30であった。また、これと
同一構造のMo/Si多層膜の各層界面に中間層として
Cを使用し、C層の厚みを1〜12Åのいずれかの値と
したMo/C/Si/C多層膜を作製した。これらをA
r雰囲気中、400℃で1時間熱処理し、その時のX線
(1.54Å)反射率の変化を測定した。表1に中間層
を形成しないMo/Si多層膜の反射率と熱処理温度と
の関係を示す。このとき電気炉中に試料を保持し、Ar
雰囲気にし、室温から保持温度まで5分で上昇させ、こ
の温度で1時間保持し、その後加熱を停止し、試料をA
r雰囲気中に放置することで室温にまで冷した。中間層
が無いMo/Si多層膜の場合、Ar雰囲気中、400
℃で1時間保持後ではCuKα線反射率(1次のブラッ
グ反射強度/入射強度)は熱処理前の60%に減少し
た。また、放射光を使用し波長を連続的に変化させなが
ら測定した軟X線反射率(入射角を3度に固定、ピーク
反射率を示す波長における測定値)は熱処理前には62
%であったものが32%にまで減少した。また、Mo/
Si多層膜の周期長を82Åと長くして、重元素層と軽
元素層の層厚の比率を2:3、重元素層と軽元素層のペ
アの数は30とした場合においてもこれらの特性の変化
率は周期長67Åの場合とほぼ±1.5%以内の誤差内
で一致していた。
【0016】
【表1】
【0017】一方、400℃熱処理後の本多層膜のX線
(CuKα線)の1次ブラッグ反射の入射X線強度と反
射X線強度の比を表2に示した。C中間層を形成したM
o/Si多層膜では中間層の厚みが1Å以上になると中
間層の無いMo/Si多層膜にくらべ反射率の変化が少
なくなった。C中間層の厚みが12Å以上では12Åの
時とほぼ同様の値あるいはより大きなX線反射率比を示
した。また、作製したままで熱処理を施さない多層膜に
対し直入射角3度で放射光を入射させた場合の軟X線の
反射率を示す。Cから成る中間層を形成したMo/Si
多層膜では中間層の厚みが中間層が無い場合の周期長の
1割にあたる7Åの厚みになるまで、C中間層が無い場
合に比べ高い軟X線反射率を示した。
【0018】
【表2】
【0019】(実施例2)実施例1と同様、スパッタリ
ング法により重元素層にMoを用い、軽元素層にSiを
用いてMo/Si多層膜を作製した。Mo/Si多層膜
の周期長を67Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は
2:3、重元素層と軽元素層のペアの数は30である。
また、これと同一構造のMo/Si多層膜の各層界面に
中間層としてBNを使用し、BN層の厚みを1〜12Å
のいずれかの値としたMo/BN/Si/BN多層膜を
作製した。これらをAr雰囲気中、400℃で1時間熱
処理し、その時のX線(1.54Å)反射率の変化を測
定した結果と多層膜に対し直入射角3度での波長13n
mの軟X線の反射率を測定した結果を表3に示した。B
N中間層の厚みが0.5Å以下ではX線反射率の変化が
中間層が無い場合と同等で耐熱効果が認められなかった
が、膜厚1Å以上になると熱処理によるX線(1.54
Å)反射率の変化が中間層が無いMo/Si多層膜より
も少なくなって耐熱効果が現れた。膜厚12Å以上では
12Åの時とほぼ同様の耐熱性を示した。
【0020】熱処理を施さない本多層膜X線反射鏡に入
射角3度で放射光軟X線を入射させ、最も高い反射率を
示す波長(ピーク波長)での軟X線反射率については、
中間層が無い場合の周期長の約1割にあたる7Åの厚み
になるまで、BN中間層が無い場合と同等以上の軟X線
反射率を示した。
【0021】
【表3】
【0022】(実施例3)実施例1と同様、スパッタリ
ング法により重元素層にMoを用い、軽元素層にSiを
用いてMo/Si多層膜を作製した。Mo/Si多層膜
の周期長を67Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は
2:3、重元素層と軽元素層のペアの数は30である。
また、これと同一構造のMo/Si多層膜の各層界面に
中間層としてHfO2を使用し、HfO2層の厚みを1〜
12Åのいずれかの値としたMo/HfO2/Si/H
fO2多層膜を作製した。これらをAr雰囲気中、40
0℃熱処理した後のMo/HfO2/Si/HfO2多層
膜のX線(CuKα線)による1次のブラッグ反射の入
射X線強度と反射X線強度の比と熱処理を施さないMo
/HfO2/Si/HfO2多層膜の軟X線反射率の変化
を測定した結果を表4に示した。HfO2中間層を形成
したMo/Si多層膜では中間層の厚みが1Å以上にな
ると中間層の無いMo/Si多層膜に比べ反射率の変化
が少なくなり耐熱性が向上した。HfO2中間層の厚み
が12Å以上では12Åの時とほぼ同様のX線(1.5
4Å)反射率を示した。
【0023】熱処理を施さないこの多層膜X線反射鏡に
入射角3度で放射光軟X線を入射させ、最も高い反射率
を示す波長(ピーク波長)での軟X線反射率を測定した
場合、HfO2中間層の厚みが中間層が無い場合の周期
長の約1割にあたる7Åになるまで、HfO2中間層が
無い場合と同等以上の軟X線反射率を示した。
【0024】
【表4】
【0025】(実施例4)実施例1と同様、スパッタリ
ング法により重元素層にRuを用い、軽元素層にSiを
用いてRu/Si多層膜を作製した。Mo/Si多層膜
の周期長を67Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は
9:11、重元素層と軽元素層のペアの数は30であ
る。また、これと同一構造のRu/Si多層膜の各層界
面に中間層としてCを使用し、C層の厚みを1〜12Å
のいずれかの値としたRu/C/Si/C多層膜を作製
した。これらをAr雰囲気中、400℃熱処理した後の
Ru/C/Si/C多層膜のX線(CuKα線)による
1次のブラッグ反射の入射X線強度と反射X線強度の比
と熱処理を施さないRu/C/Si/C多層膜の軟X線
反射率の変化を測定した結果を表5に示した。C中間層
を形成したRu/Si多層膜では中間層の厚みが1Å以
上になると中間層の無いRu/Si多層膜に比べ反射率
の変化が少なくなり耐熱性が向上した。C中間層の厚み
が12Å以上では12Åの時とほぼ同様のX線(1.5
4Å)反射率を示した。
【0026】熱処理を施さないこの多層膜X線反射鏡に
入射角3度で放射光軟X線を入射させ、最も高い反射率
を示す波長(ピーク波長)での軟X線反射率を測定した
場合、C中間層の厚みが中間層が無い場合の周期長の約
1割にあたる7Åになるまで、C中間層が無い場合と同
等以上の軟X線反射率を示した。
【0027】
【表5】
【0028】(実施例5)実施例1と同様、スパッタリ
ング法により重元素層にRhを用い、軽元素層にSiを
用いてRh/Si多層膜を作製した。Mo/Si多層膜
の周期長を67Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は
9:11、重元素層と軽元素層のペアの数は30であ
る。また、これと同一構造のRh/Si多層膜の各層界
面に中間層としてCを使用し、C層の厚みを1〜12Å
のいずれかの値としたRh/C/Si/C多層膜を作製
した。これらをAr雰囲気中、400℃熱処理した後の
Rh/C/Si/C多層膜のX線(CuKα線)による
1次のブラッグ反射の入射X線強度と反射X線強度の比
と熱処理を施さないRh/C/Si/C多層膜の軟X線
反射率の変化を測定した結果を表6に示した。C中間層
を形成したRh/Si多層膜では中間層の厚みが1Å以
上になると中間層の無いRh/Si多層膜に比べ反射率
の変化が少なくなり耐熱性が向上した。
【0029】熱処理を施さないこの多層膜X線反射鏡に
入射角3度で放射光軟X線を入射させ、最も高い反射率
を示す波長(ピーク波長)での軟X線反射率を測定した
場合、C中間層の厚みが中間層が無い場合の周期長の約
1割にあたる7Åになるまで、C中間層が無い場合と同
等以上の軟X線反射率を示した。
【0030】
【表6】
【0031】(実施例6)実施例1と同様、スパッタリ
ング法により重元素層にRuを用い、軽元素層にCaF
2を用いてRu/CaF2多層膜を作製した。Ru/Ca
2多層膜の周期長は40Å、重元素層と軽元素層の層
厚の比率は9:11、重元素層と軽元素層のペアの数は
50である。また、これと同一構造のRu/CaF2
層膜の各層界面に中間層としてBNを使用し、BN層の
厚みを1〜8Åのいずれかの値としたRu/BN/Ca
2/BN多層膜を作製した。これらをAr雰囲気中、
400℃で1時間熱処理し、その時のX線(1.54
Å)反射率の変化を測定した結果と熱処理を施さない本
多層膜に対し、放射光を用いて直入射角3度で軟X線を
入射させ、波長7.4nm以上での軟X線のピーク反射
率を測定した結果を表7に示した。BN中間層の厚みが
0.5Å以下ではX線(CuKα線)反射率の変化に変
わりはなく熱効果が認められなかったたが、膜厚1Å以
上になると熱処理によるX線(1.54Å)反射率の変
化が中間層が無いRu/CaF2多層膜よりも少なくな
って耐熱効果が現れた。
【0032】熱処理を施さないこの多層膜X線反射鏡に
入射角3度で放射光軟X線を入射させ、最も高い反射率
を示す波長(ピーク波長)での軟X線反射率について
は、BN中間層の厚みが中間層が無い場合の周期長の1
割にあたる4Åになるまで、BN中間層が無い場合と同
等以上の軟X線反射率を示した。
【0033】
【表7】
【0034】(実施例7)実施例1と同様、スパッタリ
ング法により重元素層にNiを用い、軽元素層にCaF
2を用いてNi/CaF2多層膜を作製した。Ni/Ca
2多層膜の周期長は28Å、重元素層と軽元素層の層
厚の比率は1:2、重元素層と軽元素層のペアの数は8
0とした。また、これと同一構造のNi/CaF2多層
膜の各層界面に中間層としてBNを使用し、BN層の厚
みを1〜6Åのいずれかの値としたNi/BN/CaF
2/BN多層膜を作製した。これらを実施例1と同様、
Ar雰囲気中、400℃で1時間熱処理し、その時のX
線(1.54Å)反射率の変化を測定した結果と作製し
たままで熱処理無しの本多層膜に対し直入射角6度での
波長4.8nm以上の軟X線のピーク反射率を測定した
結果とを表8に示した。BN中間層の厚みが1Å以上で
は熱処理によるX線(1.54Å)反射率の変化が中間
層が無いNi/CaF2多層膜に比べて向上した。入射
角3度でピークを示す波長での軟X線反射率については
BN中間層が、中間層が無い場合のNi/CaF2多層
膜の周期長の約1割にあたる3Åの厚みになるまで、B
N中間層が無い場合と同等以上の軟X線反射率を示し
た。
【0035】
【表8】
【0036】(実施例8)実施例1と同様、スパッタリ
ング法により重元素層にNiを用い、軽元素層にVを用
いてNi/V多層膜を作製した。Ni/V多層膜の周期
長は28Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は1:
2、重元素層と軽元素層のペアの数は100とした。ま
た、これと同一構造のNi/V多層膜の各層界面に中間
層としてBNを使用し、BN層の厚みを1〜6Åのいず
れかの値としたNi/BN/V/BN多層膜を作製し
た。これらを実施例1と同様、Ar雰囲気中、400℃
で1時間熱処理し、その時のX線(1.54Å)反射率
の変化を測定した結果と作製したままで熱処理無しの本
多層膜に対し直入射角6度での波長4nm以上の軟X線
のピーク反射率を測定した結果とを表9に示した。BN
中間層の厚みが1Å以上では熱処理によるX線(1.5
4Å)反射率の変化が中間層が無いNi/V多層膜に比
べて向上した。入射角3度でピークを示す波長での軟X
線反射率についてはBN中間層が、中間層が無い場合の
Ni/V多層膜の周期長の約1割にあたる3Åの厚みに
なるまで、BN中間層が無い場合と同等以上の軟X線反
射率を示した。
【0037】
【表9】
【0038】(実施例9)実施例1と同様、スパッタリ
ング法により重元素層にNiを用い、軽元素層にTiを
用いてNi/Ti多層膜を作製した。Ni/Ti多層膜
の周期長は28Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は
1:2、重元素層と軽元素層のペアの数は100とし
た。また、これと同一構造のNi/Ti多層膜の各層界
面に中間層としてBNを使用し、BN層の厚みを1〜6
Åのいずれかの値としたNi/BN/Ti/BN多層膜
を作製した。これらを実施例1と同様、Ar雰囲気中、
400℃で1時間熱処理し、その時のX線(1.54
Å)反射率の変化を測定した結果と作製したままで熱処
理無しの本多層膜に対し直入射角6度での波長4nm以
上の軟X線のピーク反射率を測定した結果とを表10に
示した。BN中間層の厚みが1Å以上では熱処理による
X線(1.54Å)反射率の変化が中間層が無いNi/
Ti多層膜に比べて向上した。入射角3度でピークを示
す波長での軟X線反射率についてはBN中間層が、中間
層が無い場合のNi/Ti多層膜の周期長の約1割にあ
たる3Åの厚みになるまで、BN中間層が無い場合と同
等以上の軟X線反射率を示した。
【0039】
【表10】
【0040】(実施例10)実施例1と同様、スパッタ
リング法により重元素層にNiを用い、軽元素層にCを
用いてNi/C多層膜を作製した。Ni/C多層膜の周
期長は33Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は1:
2、重元素層と軽元素層のペアの数は100とした。ま
た、これと同一構造のNi/C多層膜の各層界面に中間
層としてBNを使用し、BN層の厚みを1〜6Åのいず
れかの値としたNi/BN/C/BN多層膜を作製し
た。これらを実施例1と同様、Ar雰囲気中、400℃
で1時間熱処理し、その時のX線(1.54Å)反射率
の変化を測定した結果と作製したままで熱処理無しの本
多層膜に対し直入射角10度での波長4nm以上の軟X
線のピーク反射率を測定した結果とを表11に示した。
BN中間層の厚みが1Å以上では熱処理によるX線
(1.54Å)反射率の変化が中間層が無いNi/C多
層膜に比べて向上した。入射角10度でピークを示す波
長での軟X線反射率についてはBN中間層が、中間層が
無い場合のNi/C多層膜の周期長の約1割にあたる3
Åの厚みになるまで、BN中間層が無い場合と同等以上
の軟X線反射率を示した。
【0041】
【表11】
【0042】(実施例11)実施例1と同様、スパッタ
リング法により重元素層にNiを用い、軽元素層にCを
用いてNi/C多層膜を作製した。Ni/C多層膜の周
期長は33Å、重元素層と軽元素層の層厚の比率は1:
2、重元素層と軽元素層のペアの数は100とした。ま
た、これと同一構造のNi/C多層膜の各層界面に中間
層としてSiCを使用し、SiC層の厚みを1〜6Åの
いずれかの値としたNi/SiC/C/SiC多層膜を
作製した。これらを実施例1と同様、Ar雰囲気中、4
00℃で1時間熱処理し、その時のX線(1.54Å)
反射率の変化を測定した結果と作製したままで熱処理無
しの本多層膜に対し直入射角10度での波長4nm以上
の軟X線のピーク反射率を測定した結果とを表12に示
した。SiC中間層の厚みが1Å以上では熱処理による
X線(1.54Å)反射率の変化が中間層が無いNi/
C多層膜に比べて向上した。入射角10度でピークを示
す波長での軟X線反射率についてはSiC中間層が、中
間層が無い場合のNi/C多層膜の周期長の約1割にあ
たる3Åの厚みになるまで、SiC中間層が無い場合と
同等以上の軟X線反射率を示した。
【0043】
【表12】
【0044】(実施例12)実施例1と同様、スパッタ
リング法により重元素層にRuを用い、軽元素層にCa
2を用いてRu/CaF2多層膜を作製した。Ru/C
aF2多層膜の周期長は36Å、重元素層と軽元素層の
層厚の比率は1:2、重元素層と軽元素層のペアの数は
100とした。また、これと同一構造のRu/CaF2
多層膜の各層界面に中間層としてBNを使用し、BN層
の厚みを1〜6Åのいずれかの値としたRu/BN/C
aF2/BN多層膜を作製した。これらを実施例1と同
様、Ar雰囲気中、400℃で1時間熱処理し、その時
のX線(1.54Å)反射率の変化を測定した結果と作
製したままで熱処理無しの本多層膜に対し直入射角8度
での波長6nm以上の軟X線のピーク反射率を測定した
結果とを表13に示した。BN中間層の厚みが1Å以上
では熱処理によるX線(1.54Å)反射率の変化が中
間層が無いRu/CaF2多層膜に比べて向上した。入
射角8度でピークを示す波長での軟X線反射率について
はBN中間層が、中間層が無い場合のNi/CaF2多層
膜の周期長の約1割にあたる3Åの厚みになるまで、B
N中間層が無い場合と同等以上の軟X線反射率を示し
た。
【0045】
【表13】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る多層
膜X線反射鏡においては、周期構成物質層の各層間に中
間層を形成したとき、中間層のない多層膜X線反射鏡に
比較して耐熱性が向上し、しかも、作製した多層膜X線
反射鏡のX線反射率が向上する。
【0047】また、上記中間層として1Å以上の適切な
膜厚を用いると、更に上記の効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層膜X線反射鏡の実施の形態を
示す概念図である。
【符号の説明】
1 重元素層 2 軽元素層 3 中間層 4 周期構成物質層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の物質層を周期的に積層した多層膜X
    線反射鏡において、上記物質層の各層間に中間層を形成
    し、上記中間層として、少なくとも一つの上記物質層よ
    りも融点の高い物質を使用することを特徴とする多層膜
    X線反射鏡。
  2. 【請求項2】上記中間層として、硼素、炭素の少なくと
    も一種からなる材料を使用することを特徴とする請求項
    1に記載の多層膜X線反射鏡。
  3. 【請求項3】上記中間層として、酸化物あるいは窒化物
    からなる物質を使用することを特徴とする請求項1に記
    載の多層膜X線反射鏡。
  4. 【請求項4】上記中間層の厚みを1Å以上とすることを
    特徴とする請求項1、2または3に記載の多層膜X線反
    射鏡。
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