JP2008019794A - 内燃機関のブローバイガス回収構造及びそのブローバイガス回収構造に使用されるチェーンカバーユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】ブローバイガス回収経路途中での結露水の発生を抑制し、これによってスラッジの発生を回避することができる内燃機関のブローバイガス回収構造及びそのブローバイガス回収構造に使用されるチェーンカバーユニットを提供する。
【解決手段】チェーンカバー本体11とオイルポンプカバー12とによってチェーンカバーユニット10を構成し、このチェーンカバーユニット10をシリンダブロックに取り付けることでこの両者間で形成される空間をブローバイガス回収経路Aとして利用する。オイルポンプカバー12におけるオイル吐出口12eの周辺にブローバイガス回収経路Aを狭くしてブローバイガスの流速を低下させるリブ12g,12gを一体形成する。これにより、オイル分離機能を発揮させる部位をエンジンオイルによって加熱することができ、ブローバイガス中に含まれている水分の結露が防止できる。
【選択図】図8
【解決手段】チェーンカバー本体11とオイルポンプカバー12とによってチェーンカバーユニット10を構成し、このチェーンカバーユニット10をシリンダブロックに取り付けることでこの両者間で形成される空間をブローバイガス回収経路Aとして利用する。オイルポンプカバー12におけるオイル吐出口12eの周辺にブローバイガス回収経路Aを狭くしてブローバイガスの流速を低下させるリブ12g,12gを一体形成する。これにより、オイル分離機能を発揮させる部位をエンジンオイルによって加熱することができ、ブローバイガス中に含まれている水分の結露が防止できる。
【選択図】図8
Description
本発明は、例えば自動車等に搭載されるエンジン(内燃機関)においてブローバイガスを回収するための構造及びそのブローバイガス回収構造に使用されるチェーンカバーユニット(例えばチェーンカバー本体とオイルポンプカバーとにより構成されるユニット)に係る。特に、本発明は、ブローバイガス回収経路途中に、ブローバイガス中に含まれるオイル(潤滑油)を分離回収する構造を備えたものの改良に関する。
従来より、自動車用エンジンには、シリンダとピストンとの隙間からクランクケース内に吹き抜けたブローバイガスを吸気系に導くためのPCV(Positive Crankcase Ventilation)装置が備えられている。つまり、このPCV装置によって、一酸化炭素や炭化水素等を含むブローバイガスをエンジンの吸気系を経て燃焼室に送り込み、このブローバイガスの大気中への放出を防止している。
また、下記の特許文献1にも開示されているように、このPCV装置はオイルセパレータを備えている。このオイルセパレータによって、ブローバイガス中に含まれているオイルミストが分離され、このオイルがオイルパン等のオイル溜まり部へ送られる一方、オイルミストが分離除去された後のブローバイガスがエンジンの吸気系に還流されるようになっている。
また、上記オイルセパレータへのオイル流入量を削減するために、クランクケース内からオイルセパレータへ亘るブローバイガス回収経路の途中にオイル分離構造を備えさせることが行われている。例えば下記の特許文献2には、シリンダブロックとチェーンカバーとの間の空間に複数のリブにより構成される蛇行通路を備えさせ、クランクケース内から回収されるブローバイガスを蛇行通路に流すことでその流速を低下させてブローバイガス中のオイルを分離回収する構成が開示されている。また、特許文献3には、ブローバイガス回収経路の途中にブローバイガス減速チャンバを備えさせ、クランクケース内から回収されるブローバイガスをブローバイガス減速チャンバに通過させ、その流速を低下させてブローバイガス中のオイルを分離回収する構成が開示されている。
実公平6−45611号公報
実開平11−200831号公報
特開2003−27955号公報
ところで、上述したようなクランクケース内からオイルセパレータへ亘るブローバイガス回収経路は、シリンダブロックとチェーンカバーとの間の空間を利用して形成されるものが一般的である。このため、この空間を形成するチェーンカバーは外気(エンジンルーム内の空気)に晒されており、このチェーンカバーの温度は外気温度に略等しくなっている。つまり、このブローバイガス回収経路は比較的低い温度(例えば冬期であれば5℃程度)になっている。
このため、クランクケース内から回収されるブローバイガスが、このブローバイガス回収経路を流れていく際に、外気温度の影響を受けたチェーンカバーによって冷却されることになる。特に、上述した如くブローバイガス回収経路の途中にオイル分離構造が備えられたものにあっては、このオイル分離構造が配設された箇所(上記特許文献2における蛇行通路の配設箇所や特許文献3におけるブローバイガス減速チャンバの配設箇所)でのブローバイガスの流速の低下に伴いその温度降下が進み、それに伴ってブローバイガス中に含まれている水分がブローバイガス回収経路の途中で結露してブローバイガス回収経路内に結露水が発生してしまう可能性が高くなる。
このような状況では、ブローバイガス中の酸化窒素成分(NOx)と結露水とが結合してスラッジが発生する可能性がある。そして、このスラッジが大量に発生した場合には、ブローバイガス回収経路や、分離後のオイルをオイルパンへ戻すためのオイル戻し通路がスラッジによって閉塞され、ブローバイガス回収動作やオイルパンへのオイル戻し動作が円滑に行えなくなるといった状況を招いてしまう。
尚、このような課題は、オイルセパレータに向けてブローバイガスを導入するブローバイガス回収経路の場合に限らず、オイルセパレータを備えていないブローバイガス回収構造におけるブローバイガス回収経路においても同様に生じている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブローバイガス回収経路途中での結露水の発生を抑制し、これによってスラッジの発生を回避することができる内燃機関のブローバイガス回収構造及びそのブローバイガス回収構造に使用されるチェーンカバーユニットを提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、クランクケースから回収されるブローバイガスの回収経路の途中に、ブローバイガスの流速を低下させたり慣性衝突作用を利用するなどしてブローバイガス中のオイルを分離回収するオイル分離部を備えた構成に対し、このオイル分離部に対して高温の流体(例えばエンジンオイル)からの熱が容易に伝達されるようにし、このオイル分離部における結露水の発生を回避している。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、クランクケースから回収されるブローバイガスの回収経路の途中に、ブローバイガスの流速を低下させたり慣性衝突作用を利用するなどしてブローバイガス中のオイルを分離回収するオイル分離部を備えた構成に対し、このオイル分離部に対して高温の流体(例えばエンジンオイル)からの熱が容易に伝達されるようにし、このオイル分離部における結露水の発生を回避している。
−解決手段−
具体的に、本発明は、クランクケース内のブローバイガスを回収するブローバイガス回収経路の途中にラビリンス構造で成るオイル分離部が設けられた内燃機関のブローバイガス回収構造を前提とする。このブローバイガス回収構造に対し、上記ブローバイガス回収経路を、内燃機関本体と、この内燃機関本体に取り付けられるカバー部材との間の空間を利用して形成する。また、上記カバー部材を、カバー部材本体と、内燃機関の駆動に伴って温度上昇する流体を流すための流体通路を形成する流路形成用カバーとを備えた構成とする。そして、上記オイル分離部を、上記流路形成用カバーに熱伝導可能に配設すると共に、このオイル分離部の配設位置を上記流体通路の近傍位置に設定している。より具体的には、上記オイル分離部を、上記流路形成用カバーに一体形成する。
具体的に、本発明は、クランクケース内のブローバイガスを回収するブローバイガス回収経路の途中にラビリンス構造で成るオイル分離部が設けられた内燃機関のブローバイガス回収構造を前提とする。このブローバイガス回収構造に対し、上記ブローバイガス回収経路を、内燃機関本体と、この内燃機関本体に取り付けられるカバー部材との間の空間を利用して形成する。また、上記カバー部材を、カバー部材本体と、内燃機関の駆動に伴って温度上昇する流体を流すための流体通路を形成する流路形成用カバーとを備えた構成とする。そして、上記オイル分離部を、上記流路形成用カバーに熱伝導可能に配設すると共に、このオイル分離部の配設位置を上記流体通路の近傍位置に設定している。より具体的には、上記オイル分離部を、上記流路形成用カバーに一体形成する。
この特定事項により、内燃機関の駆動時に、シリンダとピストンとの隙間からクランクケース内に吹き抜けたブローバイガスは、クランクケース内からブローバイガス回収経路に流れ込む。このブローバイガス回収経路を流れるブローバイガスは、このブローバイガス回収経路の途中に設けられたラビリンス構造で成るオイル分離部において流速が低下し、また慣性衝突作用によりブローバイガス中のオイルが分離され、例えばオイルパンに回収される。本解決手段では、オイル分離部が、高温度の流体(例えば80℃のエンジンオイル)が流れている流体通路の近傍位置に配設されているため、この流体からの伝熱によりオイル分離部は比較的高温度となっている。このため、ブローバイガスが外気温等の影響を受けて冷却されることはなく、このブローバイガス中に含まれている水分がブローバイガス回収経路の途中で結露してしまうといった状況を回避できる。従って、ブローバイガス回収経路内で発生した結露水がブローバイガス中の酸化窒素成分(NOx)と結合してスラッジが発生してしまうといった状況を回避できる。その結果、ブローバイガス回収経路や、分離後のオイルをオイルパンへ戻すためのオイル戻し通路がスラッジによって閉塞されてブローバイガス回収動作やオイルパンへのオイル戻し動作が円滑に行えなくなるといった状況を招くことがなくなる。
カバー部材本体、流路形成用カバー及びオイル分離部の具体構成としては以下のものが挙げられる。つまり、カバー部材本体を、内燃機関本体のクランクシャフトとカムシャフトとに亘って掛け渡されたタイミングチェーンを覆うチェーンカバー本体とする。また、流路形成用カバーを、チェーンカバー本体との間で潤滑油通路を形成するオイルポンプカバーとする。そして、ラビリンス構造で成るオイル分離部として、上記オイルポンプカバーにおいて上記潤滑油通路から内燃機関本体のメイン潤滑油通路に向けて潤滑油を排出するための排出口の外周縁部に形成されたリブを備えた構成としている。
この構成によれば、内燃機関の駆動に伴って温度上昇する潤滑油の熱は、オイル分離部を構成するリブに与えられる。そして、ブローバイガス回収経路を流れてきたブローバイガスは、このリブに衝突してオイルが分離されることになるが、この際、上述した如くリブには潤滑油によって加熱されているため、ブローバイガスがリブに衝突したことでその流速が低下しても冷却されるといったことはなく、結露水の発生は防止される。このように本解決手段によれば、既存の高温流体である潤滑油の熱を有効に利用して、ブローバイガス回収経路内での結露水の発生を防止することができる。
尚、上述した各解決手段のうち何れか一つに記載のブローバイガス回収構造に使用されるチェーンカバーユニットも本発明の技術的思想の範疇である。つまり、内燃機関本体のクランクシャフトとカムシャフトとに亘って掛け渡されたタイミングチェーンを覆うチェーンカバー本体と、このチェーンカバー本体との間で潤滑油通路を形成するオイルポンプカバーとが一体的に組み付けられて成ると共に、上記オイルポンプカバーにオイル分離部が一体形成されて成るチェーンカバーユニットである。
本発明では、クランクケース内から回収されるブローバイガスの回収経路の途中に、ブローバイガス中のオイルを分離回収するオイル分離部を備えた構成に対し、このオイル分離部にエンジンオイル等の高温の流体の熱が容易に伝達されるようにしておき、これによってブローバイガスが冷却されることを防止している。このため、ブローバイガス中に含まれている水分がブローバイガス回収経路の途中、特にオイル分離部の周辺で結露してしまうといった状況を回避でき、ブローバイガス回収経路や、分離後のオイルをオイルパンへ戻すためのオイル戻し通路がスラッジによって閉塞されてブローバイガス回収動作やオイルパンへのオイル戻し動作が円滑に行えなくなるといった状況を回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係るブローバイガス回収構造を自動車用V型8気筒エンジン(内燃機関)に適用した場合について説明する。
−エンジン全体構成の説明−
ブローバイガス回収構造を説明する前に本実施形態に係るエンジンの全体構成について説明する。
ブローバイガス回収構造を説明する前に本実施形態に係るエンジンの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るV型エンジンEをクランクシャフトCの軸心に沿った方向から見たエンジン内部の概略構成を示す図である。また、図2は、このエンジンE及び吸排気系の概略を示すシステム構成図である。
これら図に示すように、V型エンジンEは、内燃機関本体を構成するシリンダブロック1の上部にV型に突出した一対のバンク2L,2Rを有している。各バンク2L,2Rは、シリンダブロック1の上端部に設置されたシリンダヘッド3L,3Rと、その上端に取り付けられたヘッドカバー4L,4Rとをそれぞれ備えている。上記シリンダブロック1には複数のシリンダ5L,5R,…(例えば各バンク2L,2Rに4個ずつ)が所定の挟み角(例えば90°)をもって配設されており、これらシリンダ5L,5R,…の内部にピストン51L,51R,…が往復移動可能に収容されている。また、各ピストン51L,51R,…はコネクティングロッド52L,52R,…を介してクランクシャフトCに動力伝達可能に連結されている。更に、シリンダブロック1の下側にはクランクケース6が取り付けられており、上記シリンダブロック1内の下部からクランクケース6の内部に亘る空間がクランク室61となっている。また、このクランクケース6の更に下側にはオイル溜まり部となるオイルパン62が配設されている。
また、上記シリンダヘッド3L,3Rには吸気ポート31L,31Rを開閉するための吸気バルブ32L,32R及び排気ポート33L,33Rを開閉するための排気バルブ34L,34Rがそれぞれ組み付けられており、シリンダヘッド3L,3Rとヘッドカバー4L,4Rとの間に形成されているカム室41L,41Rに配置されたカムシャフト35L,35R,36L,36Rの回転によって各バルブ32L,32R,34L,34Rの開閉動作が行われるようになっている。
また、本実施形態に係るエンジンEのシリンダヘッド3L,3Rは分割構造となっている。詳しくは、シリンダブロック1の上面に取り付けられるシリンダヘッド本体37L,37Rと、このシリンダヘッド本体37L,37Rの上側に組み付けられるカムシャフトハウジング38L,38Rとによりシリンダヘッド3L,3Rが構成されている。このような分割構造とした理由は、エンジン構成部品の組み付け作業性を良好にするためである。つまり、シリンダヘッド本体37L,37Rに上記吸気バルブ32L,32R、排気バルブ34L,34R、動弁機構の各種部品を組み付けておく一方、カムシャフトハウジング38L,38Rにカムシャフト35L,35R,36L,36Rを支持させておく。その後、シリンダヘッド本体37L,37Rの上側にカムシャフトハウジング38L,38Rをボルト止め等の手段によって一体的に組み付けることで動弁機構が組み付けられたシリンダヘッド3L,3Rが完成する。これにより、エンジン構成部品の組み付け作業性が良好になる。
一方、上記各バンク2L,2Rの内側(バンク間側)の上部には各バンク2L,2Rに対応する吸気マニホールド7L,7Rが配設されており、各吸気マニホールド7L,7Rの下流端が各吸気ポート31L,31R,…に連通している。また、この吸気マニホールド7L,7Rは、各バンク共通のサージタンク71(図2参照)及びスロットルバルブ72を備えた吸気管73に連通されており、この吸気管73の上流側にはエアクリーナ74が設けられている。これにより、上記エアクリーナ74から吸気管73内に導入された空気は、サージタンク71を通じて各吸気マニホールド7L,7Rに導入される。
上記シリンダヘッド3L,3Rの吸気ポート31L,31Rにはポート噴射インジェクタ(ポート噴射燃料噴射弁)75L,75Rがそれぞれ設けられており、このポート噴射インジェクタ75L,75Rからの燃料噴射時にあっては、吸気マニホールド7L,7R内に導入された空気と、このポート噴射インジェクタ75L,75Rから噴射された燃料とが混合されて混合気となり、吸気バルブ32L,32Rの開弁に伴って燃焼室76L,76Rへ導入されることになる。
また、本実施形態に係るエンジンEは、筒内直噴インジェクタ(筒内直噴燃料噴射弁)78L,78Rも備えており、この筒内直噴インジェクタ78L,78Rからの燃料噴射時にあっては、燃焼室76L,76Rへ燃料が直接噴射されるようになっている。
尚、上記ポート噴射インジェクタ75L,75R及び筒内直噴インジェクタ78L,78Rの燃料噴射形態の一例として、エンジンEの低中負荷時には、両インジェクタ75L,75R,78L,78Rからの燃料噴射を行って均質な混合気を生成し、燃費の改善及び低エミッション化を図るようにする。また、エンジンEの高負荷時には、筒内直噴インジェクタ78L,78Rのみからの燃料噴射を行って吸気冷却効果による充填効率の向上及びノッキングの抑制を図るようにしている。これらインジェクタ75L,75R,R78L,78Rの燃料噴射形態としてはこれに限るものではない。
上記燃焼室76L,76Rの頂部には点火プラグ77L,77Rが配設されている。上記燃焼室76L,76Rにおいて、点火プラグ77L,77Rの点火に伴う混合気の燃焼圧力はピストン51L,51Rに伝えられ、ピストン51L,51Rを往復運動させる。このピストン51L,51Rの往復運動はコネクティングロッド52L,52Rを介してクランクシャフトCに伝えられ、回転運動に変換されてエンジンEの出力として取り出されることになる。また、上記各カムシャフト35L,35R,36L,36Rは、クランクシャフトCから取り出される動力がタイミングチェーンによって伝達されて回転駆動され、この回転によって上記各バルブ32L,32R,34L,34Rの開閉動作を行わせる。
上記燃焼後の混合気は排気ガスとなり、排気バルブ34L,34Rの開弁に伴い排気マニホールド8L,8Rに排出される。排気マニホールド8L,8Rには排気管81L,81Rがそれぞれ接続され、更に、排気管81L,81Rには三元触媒等を内蔵した触媒コンバータ82L,82Rが取り付けられている。この触媒コンバータ82L,82Rを排気ガスが通過することにより、排気ガス中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び酸化窒素成分(NOx)が浄化されるようになっている。また、上記排気管81L,81Rの下流端側は合流されてマフラ83に接続されている。
−PCV装置の説明−
次に、PCV装置9について説明する。このPCV装置9は、シリンダ5L,5Rの内面とピストン51L,51Rの外面との隙間からクランク室61内に吹き抜けたブローバイガスを吸気系に導くためのものである。
次に、PCV装置9について説明する。このPCV装置9は、シリンダ5L,5Rの内面とピストン51L,51Rの外面との隙間からクランク室61内に吹き抜けたブローバイガスを吸気系に導くためのものである。
上記PCV装置9は、シリンダブロック1上の各バンク2L,2R間に配置されたオイルセパレータ91を備えている。また、このオイルセパレータ91は、セパレータケース92、このセパレータケース92にそれぞれ接続されるオイル排出配管93及びブローバイガス排出ホース94を備えている(図3〜図6を参照)。図3及び図4は、シリンダブロック1上にオイルセパレータ91が設置された状態を示す斜視図であって、図3はエンジン前側から見た図であり、図4はエンジン後側から見た図である。また、図5及び図6は、上記オイルセパレータ91が各バンク2L,2R間に設置された状態を示しており(エンジンEの外形及びクランク室61の形状を仮想線で示している)、図5はエンジンEを前側から見た図であり、図6はエンジンEを後側から見た図である。更に、図7はオイルセパレータ91の斜視図である。
以下、クランク室61内に吹き抜けたブローバイガスを上記オイルセパレータ91に導くための構成及びオイルセパレータ91を構成する各部材について説明する。
(ブローバイガス回収経路Aの構成)
先ず、クランク室61内に吹き抜けたブローバイガスをオイルセパレータ91に向けて導くため通路であるブローバイガス回収経路Aについて説明する。このブローバイガス回収経路Aは、上記シリンダブロック1と、このシリンダブロック1の前面側に取り付けられたチェーンカバーユニット(カバー部材)10との間の空間(上記タイミングチェーンが配設される空間)を利用して形成されている。
先ず、クランク室61内に吹き抜けたブローバイガスをオイルセパレータ91に向けて導くため通路であるブローバイガス回収経路Aについて説明する。このブローバイガス回収経路Aは、上記シリンダブロック1と、このシリンダブロック1の前面側に取り付けられたチェーンカバーユニット(カバー部材)10との間の空間(上記タイミングチェーンが配設される空間)を利用して形成されている。
図8は、チェーンカバーユニット10の内面(シリンダブロック1に取り付けられる側の面)を示している。このチェーンカバーユニット10は、チェーンカバー本体(カバー部材本体)11と、このチェーンカバー本体11の中央下部にネジ止めされたオイルポンプカバー(流路形成用カバー)12とにより構成されている。
チェーンカバー本体11は、その外縁形状が上記シリンダブロック1の外縁形状に略一致しており、この外縁部に形成されたフランジ部11a,11aによってシリンダブロック1にボルト止めされる。また、このチェーンカバー本体11の内面(図8における手前側の面)には、このチェーンカバー本体11の剛性を十分に得るための複数の補強リブ11b,11b,…が形成されている。更に、このチェーンカバー本体11の中央下部であって上記エンジンEのクランクシャフトCの配設位置に対応して開口11cが形成されている。
一方、オイルポンプカバー12は、上記チェーンカバー本体11の内面にネジ止めされることで、このチェーンカバー本体11との間でロータ収容室12a及びオイル通路(流体通路)12bを形成している。つまり、このオイルポンプカバー12には、エンジンEのクランクシャフトCの配設位置に対応して開口12cが形成されており、この開口12cにクランクシャフトCが挿通されると共に、この開口12cの周囲に形成した上記ロータ収容室12aの内部に多数歯トロコイドロータが収容されている。また、このオイルポンプカバー12の下端部には上記オイルパン62からのエンジンオイルを、ストレーナを経て導入するオイル吸い込み口12dが形成されている。更に、このオイルポンプカバー12の上端部には上記オイル通路12bの下流端開口となるオイル吐出口(排出口)12eが形成されている。このオイル吐出口12eは、シリンダブロック1に形成されているメインオイルホール1d(図3参照)に対向する位置に形成されており、チェーンカバーユニット10がシリンダブロック1の前面側に取り付けられた状態では、オイルポンプカバー12のオイル吐出口12eとシリンダブロック1のメインオイルホール1dとが連通する構成となっている。
このため、クランクシャフトCの回転に伴う多数歯トロコイドロータの回転により、オイル吸い込み口12dから吸い込んだエンジンオイルを一旦オイルフィルタ(例えばチェーンカバーユニット10の下側に配設されている)で浄化した後にオイル通路12bに向けて圧送し、このオイル通路12bを流れたオイルが、その後、オイル吐出口12eからシリンダブロック1のメインオイルホール1dに供給される構成となっている。
このような構成とされたチェーンカバーユニット10がシリンダブロック1の前面に取り付けられることで、これらチェーンカバーユニット10とシリンダブロック1との間にブローバイガス回収経路Aが形成されている。
このブローバイガス回収経路Aは、その下端がクランク室61内に連通しており、クランク室61内に吹き抜けたブローバイガスが、クランク室61の内部圧力とセパレータケース92の内部圧力との差圧によりブローバイガス回収経路Aを上向きに流れるようになっている。
また、シリンダブロック1には、図5に示すように一端が上記ブローバイガス回収経路Aに、他端がバンク2L,2R間の上面に開口するブローバイガス通路1aが形成されており、後述するセパレータケース92のブローバイガス導入口92eが、このブローバイガス通路1aに連通されている。これにより、ブローバイガス回収経路A内のブローバイガスが、このブローバイガス通路1a及びブローバイガス導入口92eを経てセパレータケース92内に導入される構成となっている。
(セパレータケース92)
セパレータケース92は、クランク室61からブローバイガス回収経路Aを経て抜き出されたブローバイガスからオイルミストを分離するためのものであって、シリンダブロック1上の各バンク2L,2R間の上面にボルト止め等の手段によって取り付けられている。
セパレータケース92は、クランク室61からブローバイガス回収経路Aを経て抜き出されたブローバイガスからオイルミストを分離するためのものであって、シリンダブロック1上の各バンク2L,2R間の上面にボルト止め等の手段によって取り付けられている。
図7に示すように、セパレータケース92は、樹脂製のロアケース92aとアッパケース92bとが振動溶着等の手段によって一体的に組み付けられて内部にブローバイガス流路が形成されている。詳しくは、図3及び図4に示すように、セパレータケース92は、クランクシャフトCの軸心に沿う方向を長手方向とする容器で成り、その内部には、パンチングプレートやバッフルプレート等で成るオイル分離機構が収容されている。
そして、このセパレータケース92の長手方向の一方側(エンジンEの前側)はブローバイガス導入部92c及びブローバイガス排出部92dに分岐されている。このブローバイガス導入部92cの底面には上記ブローバイガス導入口92eが形成されている一方、ブローバイガス排出部92dの上面にはブローバイガス排出口が形成されている。また、このセパレータケース92の長手方向の他方側(エンジンEの後側)の側面にはオイル排出口が形成されている。そして、上記ブローバイガス排出部92dのブローバイガス排出口には上記ブローバイガス排出ホース94が、オイル排出口には上記オイル排出配管93がそれぞれ接続されている。
つまり、このセパレータケース92の内部において上記オイル分離機構によりブローバイガスからオイルミストが分離され、その後、ブローバイガスは、ブローバイガス排出口からブローバイガス排出ホース94に流出されるようになっている。
一方、分離後のオイルはオイル排出口に達し、オイル排出配管93によりオイルパン62に向けて流下されることになる。このオイル回収のための構成については後述する。
尚、上記セパレータケース92の容量、各開口の寸法は、エンジンEの排気量やブローバイガスの発生量等に適したブローバイガス回収能力が発揮できるように適宜設計されている。
(ブローバイガス排出ホース94)
ブローバイガス排出ホース94は、上記セパレータケース92においてオイルが分離除去された後のブローバイガスを吸気系に導くための配管であって、上流端が上記ブローバイガス排出部92dのブローバイガス排出口に接続され、下流端がサージタンク71に接続されている。これにより、ブローバイガスを、サージタンク71を介してエンジンEの吸気系に戻すようにしている。
ブローバイガス排出ホース94は、上記セパレータケース92においてオイルが分離除去された後のブローバイガスを吸気系に導くための配管であって、上流端が上記ブローバイガス排出部92dのブローバイガス排出口に接続され、下流端がサージタンク71に接続されている。これにより、ブローバイガスを、サージタンク71を介してエンジンEの吸気系に戻すようにしている。
また、このブローバイガス排出ホース94の上流端部にはPCVバルブ95が設けられている。このPCVバルブ95が吸気負圧等によって開弁することによりセパレータケース92内のブローバイガスがブローバイガス排出ホース94に流出されてサージタンク71に導入されるようになっている。
(オイル排出配管93)
オイル排出配管93は、上述した如くセパレータケース92内で分離されたオイルをオイルパン62に戻すためのものであって、図4、図6及び図9に示すように(図9ではオイル排出配管93を実線で示し、セパレータケース92及び左バンク2Lをそれぞれ仮想線で示している)、上流端が上記セパレータケース92の側面に形成された上記オイル排出口に接続されている一方、下流端がシリンダブロック1の片側のバンク(本実施形態では左バンク2L)の後方側の面21に接続されている。具体的には、シリンダブロック1の左バンク2Lの内部には、上端がカム室41Lに、下端がクランク室61にそれぞれ開口するオイル戻し通路1bがシリンダヘッド3Lからシリンダブロック1に亘って形成されており、シリンダブロック1の後方側の面21には、このオイル戻し通路1bに対向する位置に接続開口1cが形成されている。このオイル戻し通路1bでは、カム室41L内に供給されて動弁系を潤滑した後のオイルがオイルパン62に向けて流下している。そして、上記オイル排出配管93の下流端は、ユニオンパイプ96を介して上記接続開口1cに接続されている。
オイル排出配管93は、上述した如くセパレータケース92内で分離されたオイルをオイルパン62に戻すためのものであって、図4、図6及び図9に示すように(図9ではオイル排出配管93を実線で示し、セパレータケース92及び左バンク2Lをそれぞれ仮想線で示している)、上流端が上記セパレータケース92の側面に形成された上記オイル排出口に接続されている一方、下流端がシリンダブロック1の片側のバンク(本実施形態では左バンク2L)の後方側の面21に接続されている。具体的には、シリンダブロック1の左バンク2Lの内部には、上端がカム室41Lに、下端がクランク室61にそれぞれ開口するオイル戻し通路1bがシリンダヘッド3Lからシリンダブロック1に亘って形成されており、シリンダブロック1の後方側の面21には、このオイル戻し通路1bに対向する位置に接続開口1cが形成されている。このオイル戻し通路1bでは、カム室41L内に供給されて動弁系を潤滑した後のオイルがオイルパン62に向けて流下している。そして、上記オイル排出配管93の下流端は、ユニオンパイプ96を介して上記接続開口1cに接続されている。
より具体的には、上記オイル戻し通路1b内は二重管構造で構成されており、この二重管構造の外側の空間S1(以下、オイル回収外側通路と呼ぶ)に上記カム室41Lから流下するオイルが、内側の空間S2(以下、オイル回収内側通路と呼ぶ)に上記オイル排出配管93を流れてきたオイル(オイルセパレータ91によって分離されたオイル)がそれぞれ流れ、各オイルが個別にオイルパン62に回収されるようになっている。尚、オイル回収内側通路S2は、上記ユニオンパイプ96からオイルパン62に亘って延び且つ上記オイル戻し通路1b内に挿入されたオイル配管1eにより形成されている。
このようにオイル戻し通路1b内を二重管構造とすることで、オイル排出配管93がオイル回収外側通路S1内の空気層に臨むことがなくなる。上記セパレータケース92の内部にはブローバイガスをエンジンEの吸気系に戻すための吸入負圧が作用しているため、特にエンジンEの高回転時にあってはセパレータケース92の内部圧力はオイル回収外側通路S1の内部圧力よりも低い状況であるが、上述した如く、このオイル回収外側通路S1とセパレータケース92とを連通させないことにより、オイル回収外側通路S1内の空気がオイル排出配管93を経由してセパレータケース92内に流れ込むといった状況が生じないようになっている。このため、セパレータケース92で分離したオイルはオイル排出配管93及びオイル回収内側通路S2を経てオイルパン62に容易に排出されることになる。
−PCV装置9の動作説明−
次に、上述の如く構成されたPCV装置9の動作について説明する。エンジンEの圧縮行程や膨張行程においてシリンダ5L,5Rとピストン51L,51Rとの隙間からクランク室61内に吹き抜けたブローバイガスは、上記シリンダブロック1とチェーンカバーユニット10との間の空間であるブローバイガス回収経路Aを経た後、ブローバイガス通路1a及びブローバイガス導入口92eよりセパレータケース92内に導入される。このセパレータケース92内に流れ込んだブローバイガスは、オイル分離機構によりオイルミストが分離される。
次に、上述の如く構成されたPCV装置9の動作について説明する。エンジンEの圧縮行程や膨張行程においてシリンダ5L,5Rとピストン51L,51Rとの隙間からクランク室61内に吹き抜けたブローバイガスは、上記シリンダブロック1とチェーンカバーユニット10との間の空間であるブローバイガス回収経路Aを経た後、ブローバイガス通路1a及びブローバイガス導入口92eよりセパレータケース92内に導入される。このセパレータケース92内に流れ込んだブローバイガスは、オイル分離機構によりオイルミストが分離される。
そして、オイルミストが分離除去されたブローバイガスは、セパレータケース92におけるブローバイガス排出部92dのブローバイガス排出口に達し、PCVバルブ95の開放動作に伴ってブローバイガス排出ホース94に流出されてサージタンク71より吸気系に導入される。
一方、分離後のオイルは、セパレータケース92のオイル排出口に達して、オイル排出配管93に排出され、このオイル排出配管93及び上記二重管構造で構成されているオイル戻し通路1bのオイル回収内側通路S2を流下してオイルパン62に回収される。
尚、エンジンEには、クランク室61内に新気を導入するための新気導入路が形成されており、上述したブローバイガス還元動作に伴って、この新気導入路からクランク室61内に新気が導入されてクランク室61の換気が行われている。この新気導入路として具体的には、例えば上記吸気管73内を流れている空気の一部をクランク室61に導入する構成が挙げられる。
−ブローバイガス回収経路Aにおけるオイル分離構造−
本実施形態の特徴は、上記ブローバイガス回収経路Aを流れるブローバイガス中のオイルの一部を、このブローバイガス回収経路A内で分離除去するための分離構造にある。以下、このオイル分離構造について説明する。
本実施形態の特徴は、上記ブローバイガス回収経路Aを流れるブローバイガス中のオイルの一部を、このブローバイガス回収経路A内で分離除去するための分離構造にある。以下、このオイル分離構造について説明する。
上記オイルポンプカバー12における上記オイル通路12bの下流端であるオイル吐出口12eの周縁部は、シリンダブロック1側に向かって水平方向に延びる軸線を有するボス部12fとして形成されている。つまり、このボス部12fが、シリンダブロック1のメインオイルホール1d側に向かって突出し、その先端面がメインオイルホール1dの開口縁部に当接することで、このオイル通路12bの下流端がメインオイルホール1dに連通した構成となっている。図10は、チェーンカバーユニット10の内面の一部を拡大して示す図である。この図10における矢印Xで示すように、オイル通路12bの下流端に達したエンジンオイルは、上記ボス部12fの内側空間であるオイル吐出口12eからシリンダブロック1のメインオイルホール1dに吐出されることになる。
そして、上記チェーンカバー本体11の内面に形成されている複数の補強リブ11b,11b,…のうち最もオイルポンプカバー12の配設位置に近い補強リブ11b,11bは、上方に向かうに従って上記ボス部12fに近付くように傾斜配置されており、これにより、このボス部12fの周辺部ではブローバイガス回収経路Aの通路断面積が狭くなっている。
そして、上記ボス部12fの外周部のうちの水平方向の両外側にはリブ12g,12gが突設されている。このリブ12g,12gは、補強リブ11b,11bによってブローバイガス回収経路Aの通路断面積が狭くなっている部分に形成されており、この部分でのブローバイガス回収経路Aの通路断面積をよりいっそう狭くする突起として機能する。このリブ12g,12gの形成部分が本発明でいうオイル分離部として構成されている。
尚、このリブ12g,12gの形状としては特に限定されるものではないが、本実施形態では、例えば、正面視が略三角形状であって、その突出寸法(図10における紙面に直交する方向の寸法)は上記ボス部12fの突出寸法よりも僅かに短く設定されている。また、このリブ12g,12gの突出寸法はボス部12fの突出寸法に一致させてもよい。また、本実施形態では、リブ12g,12gをオイルポンプカバー12に一体形成しているが、リブ12g,12gをオイルポンプカバー12とは別部品で構成し、このオイルポンプカバー12に一体的に組み付けるようにしてもよい。
このようにしてオイル分離部が構成されているため、ブローバイガス回収経路Aを流れてきたブローバイガスは、このリブ12g,12gの形成位置において、このリブ12g,12gに衝突することで流速が急激に低下し、これにより、ブローバイガス中のオイルが分離され、分離後のオイルはオイルパン62に向けて落下回収される。図10における矢印Yは、上記リブ12g,12gの周辺部におけるブローバイガスの流れを示している。この矢印Yで示すように、リブ12g,12gの周辺部ではブローバイガス回収経路Aの通路断面積が狭くなっており、この部分をブローバイガスが通過することでブローバイガス中のオイルが効果的に分離されることになる。
そして、この際、上記リブ12g,12gが形成されている上記ボス部12fの内側には高温度(例えば80℃)のエンジンオイルが流れている(図中の矢印Xを参照)。このため、エンジンオイルの熱はボス部12fを介して各リブ12g,12gに伝達され、これにより、各リブ12g,12gは比較的高温度となっている。つまり、この部分では、ブローバイガスが外気温等の影響を受けて冷却されてしまうといったことはなく、このブローバイガス中に含まれている水分がブローバイガス回収経路Aの途中で結露してしまうといった状況は回避される。従って、ブローバイガス回収経路A内で発生した結露水がブローバイガス中の酸化窒素成分(NOx)と結合してスラッジが発生してしまうといった状況を回避できる。その結果、ブローバイガス回収経路Aや、分離後のオイルをオイルパン62へ戻すためのオイル戻し通路がスラッジによって閉塞されてブローバイガス回収動作やオイルパンへのオイル戻し動作が円滑に行えなくなるといった状況を招くことがなくなり、良好なオイル分離回収機能を発揮させることができる。
−その他の実施形態−
以上説明した実施形態では、本発明に係るブローバイガス回収構造を自動車用V型8気筒エンジンに適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動車用直列型エンジン、自動車用水平対向型エンジン等に対しても適用可能である。また、自動車用に限らず、その他のエンジンにも本発明は適用可能である。また、気筒数、V型エンジンEにおけるVバンクの挟み角、その他エンジンEの仕様は特に限定されるものではない。
以上説明した実施形態では、本発明に係るブローバイガス回収構造を自動車用V型8気筒エンジンに適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動車用直列型エンジン、自動車用水平対向型エンジン等に対しても適用可能である。また、自動車用に限らず、その他のエンジンにも本発明は適用可能である。また、気筒数、V型エンジンEにおけるVバンクの挟み角、その他エンジンEの仕様は特に限定されるものではない。
また、上述した実施形態では、各バンク2L,2R間の上面にセパレータケース92を設置したPCV装置9に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、ヘッドカバー4L,4R内部にセパレータケースを設置したPCV装置に対しても適用可能である。また、オイルセパレータを備えていないブローバイガス回収構造に対しても本発明は適用可能である。
また、上記実施形態では、ブローバイガス回収経路A内のオイル分離部(上記リブ12g,12gの形成箇所)を、オイル通路12bの下流端開口となるオイル吐出口12eの外周囲に設けたが、本発明はこれに限らず、エンジンオイルの熱が容易に伝達されて結露水の発生が回避できる箇所にオイル分離部を設けておけばよく、例えばオイルポンプカバー12のうち上記オイル通路12bを形成している壁面上にオイル分離部を設けるようにしてもよい。
更には、ブローバイガス中に含まれている水分の結露を防止するための加熱源としては、エンジンオイルに限らず、エンジン冷却水を利用するようにしてもよい。
1 シリンダブロック(内燃機関本体)
6 クランクケース
10 チェーンカバーユニット(カバー部材)
11 チェーンカバー本体(カバー部材本体)
12 オイルポンプカバー(流路形成用カバー)
12b オイル通路(流体通路)
12e オイル吐出口(排出口)
12g リブ
35L,35R,36L,36R カムシャフト
A ブローバイガス回収経路
C クランクシャフト
E エンジン(内燃機関)
X エンジンオイルの流れ
Y ブローバイガスの流れ
6 クランクケース
10 チェーンカバーユニット(カバー部材)
11 チェーンカバー本体(カバー部材本体)
12 オイルポンプカバー(流路形成用カバー)
12b オイル通路(流体通路)
12e オイル吐出口(排出口)
12g リブ
35L,35R,36L,36R カムシャフト
A ブローバイガス回収経路
C クランクシャフト
E エンジン(内燃機関)
X エンジンオイルの流れ
Y ブローバイガスの流れ
Claims (4)
- クランクケース内のブローバイガスを回収するブローバイガス回収経路の途中にラビリンス構造で成るオイル分離部が設けられた内燃機関のブローバイガス回収構造において、
上記ブローバイガス回収経路は、内燃機関本体と、この内燃機関本体に取り付けられるカバー部材との間の空間を利用して形成されており、
上記カバー部材は、カバー部材本体と、内燃機関の駆動に伴って温度上昇する流体を流すための流体通路を形成する流路形成用カバーとを備えていて、
上記オイル分離部は、上記流路形成用カバーに熱伝導可能に配設されていると共に、その配設位置は上記流体通路の近傍位置に設定されていることを特徴とする内燃機関のブローバイガス回収構造。 - 上記請求項1記載のブローバイガス回収構造において、
オイル分離部は、流路形成用カバーに一体形成されていることを特徴とする内燃機関のブローバイガス回収構造。 - 上記請求項1または2記載のブローバイガス回収構造において、
カバー部材本体は、内燃機関本体のクランクシャフトとカムシャフトとに亘って掛け渡されたタイミングチェーンを覆うチェーンカバー本体であり、流路形成用カバーは、チェーンカバー本体との間で潤滑油通路を形成するオイルポンプカバーであって、
ラビリンス構造で成るオイル分離部は、上記オイルポンプカバーにおいて上記潤滑油通路から内燃機関本体のメイン潤滑油通路に向けて潤滑油を排出するための排出口の外周縁部に形成されたリブを備えた構成となっていることを特徴とする内燃機関のブローバイガス回収構造。 - 上記請求項1、2または3記載のブローバイガス回収構造に使用され、内燃機関本体のクランクシャフトとカムシャフトとに亘って掛け渡されたタイミングチェーンを覆うチェーンカバー本体と、このチェーンカバーとの間で潤滑油通路を形成するオイルポンプカバーとが一体的に組み付けられて成ると共に、上記オイルポンプカバーにオイル分離部が一体形成されて成ることを特徴とするチェーンカバーユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006192594A JP2008019794A (ja) | 2006-07-13 | 2006-07-13 | 内燃機関のブローバイガス回収構造及びそのブローバイガス回収構造に使用されるチェーンカバーユニット |
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-
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- 2006-07-13 JP JP2006192594A patent/JP2008019794A/ja active Pending
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