JPS6211303Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は、シリンダブロツクとオイルシールリ
テーナとがなす空間にオイルポンプとリリーフ弁
とオイルセパレータとを設け、エンジンのオイル
セパレータ装置のコンパクト化を達成でき、かつ
オイルセパレータのオイルの分離能率を向上させ
うるエンジンのオイルシールリテーナの構造に関
する。

〔背景技術〕 シリンダからシリンダブロツク下部のクランク
ケース内に洩れるブローバイガスは、公害防止上
インテークマニホールド等の吸気系に導かれ燃焼
室にて燃焼されるが、吸気系への送給に先立ち、
ブローバイガス中に飛散され浮遊するオイルミス
トを分離することによつてその浪費をさけ、かつ
燃焼室へのカーボンの堆積等を防ぐ必要がある。
一方、このような目的のために用いられるオイル
セパレータａは、従来第３図に示すように、シリ
ンダヘツドカバーｂの上壁に設けるか、又は実開
昭55−114308号公報が開示するように、オイルセ
パレータａをエンジンのオイルセパレータ装置の
クランクケースｃに別置、側設しかつエンジンの
オイルセパレータ装置クランクケースｃにベンチ
レーシヨンホースｄを介して連通せしめていた
（第４図に示す）。しかし前者のものは、シリンダ
ヘツトカバーｂにオイルセパレータａを設けるた
め、エンジン高さが増大するという問題がある。
又後者のものは、コンロツドｈの大端部ｊの摺動
ブロツクから洩れるオイル又は大端部ｊおよびバ
ランスウエイトｋによる油面のかき上によつて飛
散されミスト上となつたオイルがクランクケース
ｃに充満しており、従つて該クランクケースｃに
オイルセパレータａを連通することは、オイルセ
パレータａて分離すべきオイル量を増し、オイル
セパレータの容量を増大させ又未分離のオイルが
吸気系に導入去れやすい等の欠点がある。さらに
いずれの場合もオイルセパレータａの形成のため
には、前者においてはその下板ｌ等、後者におい
てはその箱体ｍおよび内部部品等を必要とし、エ
ンジンが大型となる他、部品コストを増大させ、
又組立の手間を増す。

〔考案の目的〕

本考案はオイルの飛散が少ないシリンダブロツ
クとオイルシールリテーナとの間の通常無為に放
置される空間にオイルポンプとリリーフ弁とオイ
ルセパレータとを設けることによつてオイルシー
ルリテーナ自体の強度を高め、エンジンをコンパ
クト化できかつオイルセパレータがミストの分離
性能を向上しうるとともに、オイルセパレータ形
成のための付加部品をなくすることによつてコス
トダウンをも可能とし前記問題点を解決しうるエ
ンジンのオイルシールリテーナの構造（以下構造
という）の提供を目的としている。

〔考案の開示〕

(1) 本考案の構造は、一端面でクランク軸１４を
突出するシリンダブロツク２と、前記一端面ｘ
に取付られ該クランク軸１４を軸封するオイル
シール２２を外面に具えるオイルシールリテー
ナ３とがなす空間４に、前記オイルシールリテ
ーナ３に取付られかつクランク軸１４により駆
動される内接歯車型のオイルポンプ２０を該空
間の略中央部に配しており、さらに前記空間４
のオイルポンプ２０の一方の側方に該オイルポ
ンプ２０に通じるリリーフ弁３０を、又前記空
間４の他方の側方にオイルセパレータ５をそれ
ぞれ設けている。

従つてオイルセパレータ５はシリンダブロツ
ク４のクランクケース内で回転するクランク軸
１４の大端部、バランスウイト等の回転体の油
の飛散面とは距離を隔てる位置に形成され、飛
散したオイルのオイルセパレータへの侵入を防
止できるとともに、リリーフ弁３０から飛散す
るオイルもオイルポンプ２０自体が仕切壁とし
て機能し、オイルセパレータ５への流入を抑制
できる。

〔実施例〕

以下本考案の構造の一実施例を図面に基づき説
明する。

図においてシリンダブロツク２と、該シリンダ
ブロツク２のクランク軸１４と直角な一端面Ｘに
取りつけられるオイルシールリテーナ３との間に
形成される空間４に、オイルポンプ２０とリリー
フ弁３０とオイルセパレータ５とを設けている。

シリンダブロツク２は、シリンダ６を穿設した
胴体７シリンダブロツクにスカート状に広がるク
ランクケース９を有し、かつその一端面ｘに、オ
イルシールリテーナ３の外縁形状に合致して折曲
がる座面１０を具える。又シリンダブロツク２は
該座面１０から引込みかつ座面１０の内側に凹部
１１を形成する内壁を設けるとともに、その内壁
には、メインベアリングキヤツプ１３と協働して
クランク軸１４の先端部を枢支しうる半割り状の
軸受部１５を設ける。オイルシールリテーナ５
は、その外縁がなす座面１７内部でオイルポンプ
２０を略中央部で納装する凹部２１を形成すると
ともに、その中央部て突出するボス部の外面に取
付くオイルシール２２によつて、クランク軸１４
を軸封する。又オイルシールリテーナ３はオルタ
ネータ（図示せず）をその前面に取付けるため
の、比較的小さい三角状の延長部３５を具え、シ
リンダブロツク２にも奥行きが比較的深い同一形
状の延長部３６を形成している。

オイルシールリテーナ３とシリンダブロツク２
とを、座面１０，１７を合わせて結合、合体させ
ることによつて、その間に凹部１１，２１からな
る前記空間４が形成される。

空間４には、前記オイルポンプ２０がその中央
部に配される。

オイルポンプ２０は、内接歯車型のポンプであ
つて、その可動メンバー２３はクランク軸１４に
係着され駆動される。又オイルポンプ２０には、
ストレーナ２５を具える吸上げ管２６と、オイル
吐出口２７に通じる導管部２９とが設けられ、又
導管部２９には前記空間４の該オイルポンプ２０
の一方の側方に位置して配されるリリーフ弁３０
が分岐する。本実施例ではリリーフ弁３０のオイ
ルが逃がし孔３１直前にオイルポンプカバー３２
の突片３３を近設することにより、オイル逃がし
孔３１から噴射するオイルを、突片３３で案内し
その拡散霧化前に下方に流下させうる。

オイルセパレータ５は、前記空間４の各延長部
３５，３６に他方の側方、即ちリリーフ弁３０と
対向位置に設けられる。又本実施例では、各延長
部３５，３６には夫々対称位置に、オイルポンプ
２０に近接する垂直片４０ａ，４０ｂの上下に外
方に折曲がる上片４１ａ，４１ｂ、下片４２ａ，
４２ｂを有するコ字状の第１のリブ４３ａ，４３
ｂと、オイルポンプ２０に向かい斜め上方に傾斜
する第２のリブ４４ａ，４４ｂと、水平片４６
ａ，４６ｂの前後に立上げ片４７ａ，４７ｂと立
下げ片４９ａ，４９ｂとを設けた横Ｚ字状の第３
のリブ５０ａ，５０ｂとを座面１０，１７と面一
となる高さに設けている。なお第１のリブ４３
ａ，４３ｂの上片４１ａ，４１ｂは上のボルト座
５２ａ，５２ｂに連結され、第１のリブ４３ａ，
４３ｂの下片４２ａ，４２ｂと第２のリブ４４
ａ，４４ｂとはその間に流入口５５を形成する。
さらに第３のリブ５０ａ，５０ｂの立下げ片４９
ａ，４９ｂの下端を下方のボルト座５６ａ，５６
ｂに連結する。なおシリンダブロツク側２の延長
ブロツク３６外壁に出口孔５７を穿設した凸部６
０を設ける。従つてシリンダブロツク２とオイル
シールリテーナ３とを合体した際、互いに当接す
る第１〜３のリブ４３ａ，４３ｂ，４４ａ，４４
ｂ，５０ａ，５０ｂによつて流入口５５と出口孔
５７とを具えるとともに上下、左右に屈曲する迷
路６１を有するオイルセパレータ５を形成する。
なおシリンダブロツク２のスカートブロツク下端
のフランジ６１はオイルシールリテーナ３のフラ
ンジ６２と滑らかに弧状に連設でき、その下面に
オイルパン６３を固定できる。

然して装置１において、オイルセパレータ５
は、オイルミストを含んだブローバイガスを、前
記流入口５５から取入れ、迷路６１を通り出口孔
５７から流出させる迄の間、第１〜３のリブ４３
ａ，４３ｂ，４４ａ，４４ｂ，５０ａ，５０ｂお
よび延長ブロツク３５，３６の外壁とに衝突を取
り返し順次オイルを分離する。さらに本実施例で
は迷路６１は垂直片４０ａ，４０ｂ、立上げ片４
７ａ，４７ｂ立下げ片４９ａ，４９ｂによつてブ
ローバイガスを上下に折返して流過でき、その上
下動によつてオイルミストを効率よく沈降させオ
イルを能率よく分離する。なお分離されたオイル
はオイルシールリテーナ３の第２，第３のリブ４
４ａ，５０ａの下端根元に形成される小さな切欠
溝４４ｃ，５０ｃからオイルパン６３内に流下す
る。

又オイルセパレータ５が形成されるシリンダブ
ロツク２とオイルシールリテーナ３との間の空間
４は、クランク軸１４に枢支されるコンロント７
０の大端部７１およびバランスウエイト７２の各
回転面とは隔置されしかもその間に、前段の軸受
けブロツク１５およびその下端に取りつくメイン
ベアリングキヤツプ１３とがなす仕切部７４によ
つて仕切られており、従つて大端部７１の回転と
ともにその摺動部から飛散するオイルおよびバラ
ンスウエイト７２の下端が床面をかき上げること
により生じる飛散したオイルが直接前記空間４内
に侵入するのを防ぎ、さらに回転およびかき上げ
によつて生じるオイルミストも該仕切部７４によ
つて遮られ、クランクケース９内に滞溜する間凝
集、加工し、従つてオイルミストか比較的希薄と
なつたブローバイガスが仕切部７４下方の通路を
とおり空間４に流入する。従つてオイルセパレー
タ５は比較的小容量のものであつてもオイルミス
トの充分な分離が可能となる。

又オイルポンプ２０のリリーフ弁３０の油逃が
し孔３１から洩れるオイルは、オイルポンプカバ
ー３２の突片３３によつて直に下方に流下しその
飛散を最小限に抑止し、又飛散するオイルもオイ
ルポンプ２０自体が仕切壁として機能しオイルセ
パレータ５への流入を最小限に抑制できる。

又本実施例では、空間４から直接ブローバイガ
スを吸気系に送給すると同時に、分離されたオイ
ルは直にオイルパン６３内に流過でき、従つて第
３図に示すようなシリンダヘツドカバーａにオイ
ルセパレータｂを設けるエンジンにおいて必要と
なるシリンダブロツク内のブローバイガスの通路
ｇを省略でき、シリンダブロツクの小型化も達成
できる。

さらに延長部３５，３６に形成される第１〜３
のリブを用いてオイルセパレータ５を形成すると
きには、オイルシールリテーナ３の取付と同時に
オイルセパレータ５が形成でき、従つて第３図に
示したオイルセパレータ用のシリンダ板ｌ又は第
４図に示したオイルセパレータ形成用の箱体ｍ等
の各部品およびその取付に伴う手間を除き、エン
ジンの大巾なコストダウンも可能とする。さらに
本考案はの装置においてはオイルセパレータが本
考案の装置においてはオイルセパレータが上下に
折返す迷路に形成することが容易となり、従つて
オイルセパレータの油分離性能をも向上できる。

なおリブは前記実施例に示したものの他種々な
形状の迷路を有するように変形しうるとともに、
迷路は空間に挿入される別部材を用いて形成する
こともできる。さらにシリンダブロツク又はオイ
ルシールリテーナの一方を凹設することによりオ
イルセパレータを形成しうる。

〔考案の効果〕

叙上の如く本考案の構造は、シリンダブロツク
とオイルシールリテーナとがなす空間に、オイル
ポンプとリリーフ弁とオイルセパレータとを設け
たため、オイルシールリテーナをリブ等により補
強することなく、又従来無為に放置された前記空
間を活用できる結果、エンジンの全長を増大する
ことなくオイルセパレータを形成でき、前記第３
図に示した構成のものに比して、エンジンの全高
さをも低下しうる。

又、空間のオイルポンプの一方の側方にリリー
フ弁を空間の他方の側方にオイルセパレータを配
したため、リリーフ弁から吐出され飛散するオイ
ルはオイルポンプが仕切壁として機能し、該オイ
ルのオイルセパレータへの流入を抑制できる。さ
らに、オイルセパレータを前記空間に設けたた
め、シリンダ部のクランクケース内で回転するク
ランク軸の大端部およびバランスウエイト等の回
転面である油の飛散面とは距離を隔てる位置に該
オイルセパレータが形成されることとなり、従つ
て飛散したオイルのオイルセパレータへの侵入を
防止できかつ通常シリンダ部の一端面近傍に設け
られる軸受部が仕切部として機能することによ
り、比較的油分離のすすんだブローバイガスのみ
がオイルセパレータに侵入しオイル分離性能を向
上するとともに、オイルセパレータの容量を減じ
ることも可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の要部断面図、第２
図は本考案の一実施例を示す分解斜視図、第３〜
４図は従来装置を示す断面図である。 ２……シリンダブロツク、３……オイルシール
リテーナ、４……空間、５……オイルセパレー
タ、１４……クランク軸、２０……オイルポン
プ、２２……オイルシール、３０……リリーフ
弁、４３ａ，４３ｂ……第１のリブ、４４ａ，４
４ｂ……第２のリブ、５０ａ，５０ｂ……第３の
リブ、ｘ……一端面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一端面でクランク軸を突出するシリンダブロ
   ツクと、前記一端面に取付られ、該クランク軸
   を軸封するオイルシールリテーナとがなす空間
   に、前記オイルシールリテーナに取付られかつ
   前記クランク軸により駆動される内接歯車型の
   オイルポンプを該空間の略中央部に配するとと
   もに、該オイルポンプの一方の側方に該オイル
   ポンプに通じるリリーフ弁を、又前記空間の前
   記オイルポンプの他方の側方にオイルセパレー
   タをそれぞれ設けたことを特徴とするエンジン
   のオイルシールリテーナの構造。 (2) 前記オイルセパレータが、シリンダブロツ
   ク、オイルシールリテーナの少なくとも一方か
   ら突出するリブを用いて形成された実用新案登
   録請求の範囲第１項のエンジンのオイルシール
   リテーナの構造。