JPS6215450Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は縦軸エンジンのクランク室ブレザ装置
に関し、ブレザ装置のオイル分離性能を向上させ
るとともに、傾斜性能の向上を図ることを目的と
する。

従来、縦軸エンジンのブレザ装置はクランク室
に洩れ出たブローバイガスを、クランク室とタペ
ツト室を区画する区画壁に設けた連通孔からタペ
ツト室に流入させタペツト室の上方に設けたブレ
ザでブローバイガス中の油を分離してガス成分だ
けを吸気系路中に吸入させるようになつていた。

ところが、クランク室内の潤滑油掻上げ装置で
掻上げられた潤滑油沫が連通孔に直接、しかも多
量に飛び込むことからブレザで充分に油分離する
ことができず油分離性能が悪かつた。

そこで、本出願人は第５図に示すように、連通
孔２６の前方に防油壁２７をクランクケース２８
の上壁２８ａから下方に延出形成して潤滑油飛沫
が直接連通孔２６に流入しないようにするものを
先に提案した。

しかし、エンジンを小形管理機に搭載して45゜
以上もの急な角度に傾斜させて使用する場合に、
防油壁２７で区画された防油室２９の下端開口部
２９ａが油中に浸かり、クランク室３０内の圧力
で潤滑油が防油室２９内に押し上げられて、タペ
ツト室３１に流入し、ブレザ３２から潤滑油が噴
き出してしまうという問題があつた。

本考案は上記欠点を悉く解決するために提案さ
れたもので、連通孔の前方に防油壁を形成して、
潤滑油飛沫が連通孔に直接流入しないようにし、
ブレザの油分離性能を高めるとともに、防油壁の
上部に圧力バランス孔を明けることにより、エン
ジンが傾斜して防油室の下部開口が潤滑油中に浸
つても、クランク室内と防油室とを圧力バランス
孔で圧力バランスさせることにより、クランクケ
ース内のブローバイガス圧で防油室内の油面が押
し上げられるのを防止して、エンジンの傾斜性能
を高めるようにするものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は、小形管理機の側面図を示し、この管
理機１は、エンジン２の動力を伝動ケース３を介
して耕耘軸４に伝えて耕耘爪５を回転駆動するよ
うになつており、伝動ケース３からはハンドル６
が斜め上方に向けて立ち上げてある。

このエンジン２は、第２図に示すように、クラ
ンク軸７をクランク室８を形成するクランクケー
ス９の上下両壁９ａ，９ｂに亘つて枢支させたい
わゆる縦軸エンジンであり、クランク軸７の下端
部は伝動ケース３内に突入し、図外の連動装置で
耕耘軸４に連動連結させてある。

クランクケース９の一側壁９ｃには第３図に示
すように、シリンダブロツク１０が形成してあ
り、シリンダブロツク１０のシリンダ１１にはピ
ストン１２を摺動自在に収容させてある。

また、クランクケース９にはピストン１２の上
方に形成される燃焼室１３からクランク室８内に
洩れ出たブローバイガスを処理するブレザ装置Ｂ
がクランクケース９の上壁９ａの一側部に設けて
ある。

即ち、このブレザ装置Ｂはシリンダブロツク１
０と一体に形成された吸排気ブロツク１４のタペ
ツト室１５に近い部分のクランクケース９の上壁
９ａ上にブレザ室１６を凹設し、このブレザ室１
６の上部開口をブレザ１７で蓋するとともに、ブ
レザ室１６とタペツト室１５とを区画する区画壁
１８には通気孔１９が明けてある。

そして、タペツト室１５寄りのクランク室８内
には、クランクケース９の上壁９ａから一体に防
油壁２０を垂下して防油室２１を形成してある。

この防油室２１とタペツト室１５とは、タペツ
ト室１５の内側壁２２の上下２個所に明けた連通
孔２３で連通され、下方の連通孔２３は主にブレ
ザ装置Ｂで分離された油分の還流孔に利用され
る。

また、防油壁２０の上部にはクランクケース９
側を防油カバー２４で覆つた圧力バランス孔２５
が明けてある。

この圧力バランス孔２５は、防油壁２０の下端
部２０ａ、つまり防油室２１とクランク室８との
連通部２１ａがエンジン２の傾斜で潤滑油中に浸
かつた時にクランク室８内と防油室２１内とを圧
力バランスさせてクランク室８内のブローバイガ
ス圧で防油室２１内の潤滑油面が上昇してブレザ
装置Ｂから噴き出すのを防止する。

本考案は以上に述べたように構成され、作用す
るので次の効果を奏する。

即ち、クランクケース内の潤滑油掻き上げ装置
で掻き上げられた多量の飛散潤滑油がブレザ室に
直接流入するのを防油壁が防止し、ブレザ室に流
入するブローバイガス中の潤滑油分を大巾に減ら
せる。従つて、潤滑油分の少ないブローバイガス
をさらにブレザで気液分離するのでブレザ装置の
オイル分離性能が格段に向上する。

しかも、エンジンが大きく傾き、防油室とクラ
ンク室との連通部が潤滑油中に浸かつても、防油
壁の上部に設けた圧力バランス孔が防油室とクラ
ンク室とを圧力バランスさせ、クランク室内のブ
ローバイガス圧で潤滑油が防油室を上昇してブレ
ザ装置から噴き出るのを防止するのでエンジンの
傾斜性能が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は小形管理機の側面図、第２図はエンジ
ン部分の一部切欠き側面図、第３図は第２図−
線断面図、第４図は第３図−線断面図であ
り、第５図は本出願人が先に提案したものの第２
図相当図である。 ２……エンジン、８……クランク室、９……ク
ランクケース、１５……タペツト室、１６……ブ
レザ室、１９……通気孔、２０……防油壁、２１
……防油室、２２……内側壁、２３……連通孔、
２５……圧力バランス孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 縦軸エンジン２のクランクケース９のタペツト
   室１５に近い上部にブレザ室１６を形成し、ブレ
   ザ室１６とタペツト室１５との区画壁１８に通気
   孔１９を明け、タペツト室１５の内側壁２２の上
   部と下部に連通孔２３を明け、両連通孔２３の前
   側を覆う防油壁２０をクランク室８内に下向き開
   口状に形成して、防油壁２０の内側に防油室２１
   を形成し、シリンダ１１からクランク室９内に漏
   洩したブローバイガスを、防油室２１、連通孔２
   ３、タペツト室１５及び通気孔１９を順に通つて
   ブレザ室１６に流出するように構成し、防油壁２
   ０の上部に圧力バランス孔２５を明け、この圧力
   バランス孔２５で防油壁２１をクランク室８に常
   時同圧になるように連通させた事を特徴とする縦
   軸エンジンのクランク室ブレザ装置。