JP2008014179A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】筒内で生成した微粒子に起因する吸気バルブのデポジット量を考慮することで、空燃比を精度良く制御することが可能な内燃機関の空燃比制御装置を提供する。
【解決手段】運転領域に応じた筒内PM生成量を算出する(ステップ102)。筒内PM生成量と、IVO及びバルブオーバーラップ量とに基づいて、吸気通路に吹き返されるPM量であるPM吹き返し量を算出する(ステップ104)。このPM吹き返し量に基づいて、吸気バルブに堆積するデポジット量を推定する(ステップ106)。その後、デポジット量の積算値に基づいて、筒内吸入空気量を増量補正する(ステップ110)。
【選択図】図6

Description

本発明は、筒内燃料噴射型の内燃機関の空燃比制御装置に係り、特に、筒内で生成した微粒子に起因する吸気バルブのデポジット量を考慮した空燃比制御装置に関する。
内燃機関の運転状態から吸気バルブに付着するデポジット量を予測し、デポジット量に応じて空燃比を制御する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−44527号公報 特開2003−227375号公報 特開平9−303165号公報 特開2002−47990号公報
吸気バルブにデポジットが付着すると、吸気バルブ傘部とバルブシートとのクリアランスが狭くなる。この場合、吸気バルブのリフト量が小さくなることと同視し得るため、所望の筒内吸入空気量が得られなくなる。そうすると、所望のエンジン出力が得られず、ドライバビリティが悪化してしまう可能性がある。よって、吸気バルブのデポジット量を精度良く推定することが望ましい。
しかしながら、上記特許文献1の装置によれば、運転状態に基づく吸気バルブのデポジットが考慮されているものの、筒内で生成した微粒子に起因する吸気バルブのデポジットが考慮されていない。筒内噴射型の内燃機関では、ポート噴射型の内燃機関に比して、筒内で生成する微粒子量が多い。このため、上記特許文献1の装置では吸気バルブに堆積するデポジット量を精度良く推定することができず、空燃比を精度良く制御することができないため、ドライバビリティの悪化を招来する可能性がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、筒内で生成した微粒子に起因する吸気バルブのデポジット量を考慮することで、空燃比を精度良く制御することが可能な内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、筒内燃料噴射型の内燃機関の空燃比制御装置であって、
気筒内に直接燃料を噴射する筒内インジェクタと、
前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記気筒内で生成される微粒子量である生成微粒子量を推定する生成微粒子量推定手段と、
前記気筒内で生成された後に吸気通路に吹き返される微粒子量である吹き返し量を推定する吹き返し微粒子量推定手段と、
前記吹き返し量に基づいて、吸気バルブに堆積するデポジット量を推定するデポジット量推定手段と、
前記デポジット量に基づいて、前記気筒内に吸入される空気量を補正する空気量補正手段とを備えたことを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、燃料噴射時期が排気バルブ閉弁時期よりも早い場合には、前記デポジット量に基づいて、前記筒内インジェクタから噴射される燃料量を補正する燃料噴射量補正手段を更に備えたことを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、吸気バルブ温度を取得する吸気バルブ温度取得手段を更に備え、
前記デポジット量推定手段は、前記吹き返し量と前記吸気バルブ温度とに基づいて、前記デポジット量を推定することを特徴とする。
また、第4の発明は、第1の発明において、前記吸気バルブのリフト量を取得するリフト量取得手段を更に備え、
前記デポジット量推定手段は、前記吹き返し量と前記リフト量とに基づいて、前記デポジット量を推定することを特徴とする。
また、第5の発明は、第1の発明において、前記吸気通路に供給されるオイル量を推定するオイル量推定手段を更に備え、
前記デポジット量推定手段は、前記吹き返し量と前記オイル量とに基づいて、前記デポジット量を推定することを特徴とする。
また、第6の発明は、第1の発明において、EGR率を取得するEGR率取得手段を更に備え、
前記デポジット量推定手段は、前記吹き返し量と前記EGR率とに基づいて、前記デポジット量を推定することを特徴とする。
また、第7の発明は、第1の発明において、前記吹き返し微粒子量推定手段は、前記生成微粒子量と、前記吸気バルブの開弁時期と、前記吸気バルブと排気バルブとが共に開弁されているバルブオーバーラップ量とに基づいて、前記吹き返し量を推定することを特徴とする。
第1の発明によれば、気筒内で生成された後に吸気通路に吹き返される微粒子量である吹き返し量に基づいて、吸気バルブに堆積するデポジット量が推定される。筒内燃料噴射型の内燃機関では、ポート燃料噴射型の内燃機関に比して、気筒内で生成される生成微粒子量が多い。第1の発明によれば、この生成微粒子量から求められた吹き返し量を考慮することで、吸気バルブに堆積するデポジット量を精度良く求めることができる。さらに、このデポジット量に基づいて、気筒内に吸入される空気量が補正される。よって、空燃比を精度良く制御することができる。これにより、ドライバビリティの悪化並びにエミッション特性の悪化を防止することができる。
第2の発明によれば、燃料噴射時期が排気バルブ閉弁時期よりも早い場合には、すなわち、気筒内に噴射された燃料の一部が吸気通路に吹き返される場合には、デポジットによる燃料の吸着を考慮して、燃料噴射量が補正される。よって、空燃比を精度良く制御することができる。
第3の発明によれば、吸気バルブにおける微粒子のデポジット化に対して影響する吸気バルブ温度を考慮して、吸気バルブに堆積するデポジット量が推定される。これにより、特に、微粒子が焼き固められる温度範囲において、デポジット量をより精度良く推定することができる。
第4の発明によれば、吸気バルブにおける微粒子のデポジット化に対して影響する吸気バルブのリフト量を考慮して、吸気バルブに堆積するデポジット量が推定される。ここで、吸気バルブのリフト量に応じて、吸気バルブの開口を通過するガスの流速が異なる。よって、ガスの流速に基づいて吸気バルブへの微粒子の付着しやすさを考慮し、デポジット量を精度良く推定することができる。
第5の発明によれば、吸気バルブにおける微粒子のデポジット化に対して影響するオイル量を考慮して、吸気バルブに堆積するデポジット量が推定される。これにより、特に、オイルを含むブローバイガス量が吸気通路に多く還元される運転領域(高負荷運転領域)において、デポジット量をより精度良く推定することができる。
第6の発明によれば、吸気バルブにおける微粒子のデポジット化に対して影響するEGR率を考慮して、吸気バルブに堆積するデポジット量が推定される。特に、EGR率が高い場合には、吸気通路に供給される既燃ガスに含まれる微粒子量が多くなることが考慮されるため、デポジット量をより精度良く推定することができる。
第7の発明によれば、吸気バルブ開弁時期とバルブオーバーラップ量を考慮することで、吸気通路に吹き返される微粒子量を精度良く推定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
[システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。本実施の形態1のシステムは、筒内燃料噴射型の内燃機関1を備えている。内燃機関1は複数の気筒を有しているが、図1には、そのうちの1気筒のみを示している。
内燃機関1は、内部にピストン2を有するシリンダブロック4を備えている。ピストン2は、クランク機構を介してクランク軸8と接続されている。クランク軸8は、シリンダブロック4の一部をなすクランクケース6の内部に設けられている。クランク軸8の近傍には、クランク角センサ10が設けられている。クランク角センサ10は、クランク軸8の回転角度(クランク角)を検出するように構成されている。また、シリンダブロック4には、内燃機関1の冷却水温Twを検出する冷却水温センサ12が設けられている。クランクケース6の底部には、オイル13を貯留するオイルパン14が設けられている。
シリンダブロック4の上部にはシリンダヘッド16が組み付けられている。シリンダヘッド16は、シリンダヘッドカバー17により覆われている。ピストン2上面からシリンダヘッド16までの空間は燃焼室18を形成している。シリンダヘッド16には、燃焼室18内(以下「筒内」ともいう。)に直接燃料を噴射するインジェクタ20が設けられている。また、シリンダヘッド16には、燃焼室18内の混合気に点火する点火プラグ22が設けられている。
シリンダヘッド16は、燃焼室18と連通する吸気ポート24を備えている。吸気ポート24と燃焼室18との接続部には吸気バルブ26が設けられている。吸気バルブ26は、可変動弁機構28に接続されている。可変動弁機構28は、吸気バルブ26の開弁特性(開閉弁時期,作用角)を変更可能に構成されている。
吸気ポート24には、吸気通路30が接続されている。吸気通路30の途中にはサージタンク32が設けられている。サージタンク32の上流にはスロットルバルブ34が設けられている。スロットルバルブ34は、スロットルモータ35により駆動される電子制御式のバルブである。スロットルバルブ34は、アクセル開度センサ37により検出されるアクセル開度AAに基づいて駆動されるものである。スロットルバルブ34の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ36が設けられている。スロットルバルブ34の上流には、エアフロメータ38が設けられている。エアフロメータ38は吸入空気量Gaを検出するように構成されている。エアフロメータ38の上流にはエアクリーナ39が設けられている。
また、シリンダヘッド16は、燃焼室18と連通する排気ポート40を備えている。排気ポート40と燃焼室18との接続部には排気バルブ42が設けられている。排気バルブ42は、可変動弁機構44に接続されている。可変動弁機構44は、排気バルブ42の開弁特性(開閉弁時期,作用角)を変更可能に構成されている。
排気ポート40には排気通路46が接続されている。排気通路46には、排気ガスを浄化する触媒48が設けられている。触媒48の上流には、排気空燃比を検出する空燃比センサ50が設けられている。
また、本実施の形態1のシステムは、ブローバイガスを還元するブローバイガス還元機構を有している。ブローバイガスとは、ピストン2とシリンダ壁面との隙間を通って、すなわち、ピストンリングの背面を通ってクランクケース6内に流れ込むガスである。ブローバイガスは、未燃燃料やオイルミストを含むガスである。このブローバイガス還元機構は、ブローバイガス通路5を備えている。ブローバイガス通路5は、シリンダヘッドカバー17の内部とクランクケース6の内部とを連通するように形成されている。シリンダヘッドカバー17には、PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブ51が設けられている。PCVバルブ51は、負荷KLが高いほど、ECU60により大きな開度にされる流量制御弁である。PCVバルブ51には、PCV通路52の一端が接続されている。PCV通路52の他端は、サージタンク32よりも下流の吸気通路30と連通している。また、シリンダヘッドカバー17には、PCV通路52とは独立した通路53の一端が接続されている。通路53の他端は、スロットルバルブ34よりも上流の吸気通路30と連通している。
クランクケース6の内部にブローバイガスが流れ込むと、このブローバイガスは、ブローバイガス通路5を通ってシリンダヘッドカバー17の内部に流れ込む。PCVバルブ51が開弁されると、シリンダヘッドカバー17内部のブローバイガスがPCV通路52を通って吸気通路30に戻される(還元される)。高負荷運転時には、シリンダヘッドカバー17内部のブローバイガスは、PCV通路52だけでなく、通路53を通って吸気通路30に戻される。シリンダヘッドカバー17若しくはPCV通路52には、ブローバイガス中のオイルを分離するオイルトラップ機構(図示せず)が設けられているが、完全にオイルを分離することはできない。このため、吸気通路30に戻されたブローバイガスは、オイル成分を含んでいる。この吸気通路30に戻されたブローバイガスは、新気と共に燃焼室22内に吸入される。
また、低負荷運転時には、通路53を介してクランクケース6内に新気を導入することで、クランクケース6内の空気浄化性が高められる。
また、排気通路46には、EGR通路54の一端が接続されている。EGR通路54の他端は、サージタンク32に接続されている。EGR通路54の途中には、EGRクーラ55が設けられている。EGRクーラ55は、EGR通路54を流れる排気ガスを冷却するように構成されている。EGRクーラ55よりもサージタンク32側のEGR通路54には、EGRバルブ56が設けられている。EGRバルブ56は、例えば、ステッピングモータにより開閉操作される流量制御弁である。このEGRバルブ56が開弁されると、排気通路46を流れる排気ガス(既燃ガス)の一部が、EGR通路54及びEGRクーラ55を通って吸気通路30に環流される。
また、本実施の形態1のシステムは、制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)60を備えている。ECU60の出力側には、インジェクタ20、点火プラグ22、可変動弁機構28,44、スロットルモータ35、PCVバルブ51、EGRバルブ56等が接続されている。ECU60の入力側には、クランク角センサ10、冷却水温センサ12、スロットル開度センサ36、アクセル開度センサ37、エアフロメータ38、空燃比センサ50等が接続されている。
ECU60は、クランク角センサ10の出力に基づいて、エンジン回転数NEを算出する。また、ECU60は、アクセル開度AAやスロットル開度TA等に基づいて、内燃機関1に要求される負荷KLを算出する。
ECU60は、各センサの出力に基づいて、所望のエンジン出力及び空燃比を実現すべく、インジェクタ20からの燃料噴射量を算出する。また、ECU60は、冷却水温Twが低い場合には、燃料の揮発性が低いことを考慮して、燃料噴射量を増量補正する冷間時増量補正を実行する。また、ECU60は、負荷KLが高い場合には、燃料噴射量を増量するパワー増量補正を実行する。
また、ECU60は、内燃機関1の運転状態に応じて、所望のEGR率を得るべく、EGRバルブ56の制御を実行する。
[実施の形態1の特徴]
上記の筒内噴射型システムにおいては、インジェクタ20から高圧燃料を筒内に直接噴射している。このため、ポート噴射型システムとは異なり、ピストン頂面やシリンダ壁面等に液状の燃料が付着することとなる。冷間運転時には、ピストン2やシリンダ壁面の温度が低いため、筒内に付着した液状燃料の揮発性が悪くなる。また、温間運転時であっても、特に高負荷運転時には燃料噴射量が多くされる(すなわち、上記パワー増量が実行される)。また、筒内噴射型システムでは、ポート噴射型システムに比して、燃料噴射時期から点火時期までの時間が短いため、液状燃料が揮発する時間が短くなる。このような理由により、揮発せず筒内に付着したままの液状燃料量が多くなる。この液状燃料は、空気と接する表面部分から徐々に燃焼していく。しかし、液状燃料の中心部分まで燃えきらない場合には、筒内に付着した液状燃料が高圧・高温条件下に晒されることとなる。そうすると、液状燃料が焼き固められてしまい、筒内においてカーボンを主成分とする浮遊粒子状物質(Particulate matter material;以下「PM」という。)が生成される。
このように筒内で生成されたPM(微粒子)の全てが排気通路46に排出されるのではなく、例えば、バルブオーバーラップ期間中に、PMの一部は吸気通路30に吹き返される。その結果、吸気バルブ26の周りにPMが浮遊することとなる。吸気通路30に存在するオイル成分をバインダーとして、吸気バルブ26の傘部にPMが付着することとなる。この付着したPMがシリンダからの熱により焼き固められると、吸気バルブ26の傘部にデポジットが堆積することとなる。また、吸気通路30の壁面にデポジットが堆積してしまう場合もある。
吸気バルブ26にデポジットが堆積すると、吸気バルブ26とバルブシートとの隙間が狭くなる。これは、吸気バルブ26のリフト量が小さくなることと同視し得る。そうすると、所望の吸入空気量を得ることができないため、所望のエンジン出力を得ることができず、ドライバビリティが悪化する可能性がある。特に過渡時において、所望の加速性を得ることができず、車両運転者による更なるアクセル操作が必要となってしまう。また、所望の空燃比を実現できないため、エミッション特性が悪化する可能性もある。
また、排気バルブ閉弁時期よりも燃料噴射時期が早い場合には、バルブオーバーラップ期間中に、筒内に噴射された燃料の一部が吸気通路30に吹き返され、再度筒内に吸入される。しかし、上記のように吸気バルブ26にデポジットが堆積している場合には、このデポジットにより燃料が吸着されてしまう。そうすると、所望のエンジン出力を得ることができず、ドライバビリティが悪化する可能性がある。特に、過渡時において、パワー増量を行っているにも関わらず、所望の加速性を得ることができず、車両運転者による更なるアクセル操作が必要となってしまう。また、この場合も、所望の空燃比を実現できないため、エミッション特性が悪化する可能性もある。
既述した特許文献1によれば、運転状態に基づく吸気バルブのデポジットを考慮して空燃比が制御されている。しかし、上述したように、筒内噴射型の内燃機関では、ポート噴射型の内燃機関に比して、筒内で生成されるPMの量が多い。よって、このPMに起因する吸気バルブのデポジットを考慮しなければ、空燃比を精度良く制御することができない可能性がある。そうすると、ドライバビリティ悪化やエミッション特性悪化を招来する可能性がある。
そこで、本実施の形態1では、先ず、筒内で生成されるPMの量(以下「筒内PM生成量」という。)を推定する。図2は、軸トルク及びエンジン回転数に対する筒内PM生成量の等高線を示す図である。例えば、軸トルクとエンジン回転数が共に低い場合のように、燃焼状態が比較的悪い場合には、筒内PM生成量が多くなる。かかる図2に示された関係をECU60に取り込むため、図3に示すような二次元のテーブルを予め作成しておく。
図3は、筒内PM生成量を推定するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。図3に示すマップでは、エンジン回転数NEと負荷KLにより定められる運転領域毎に筒内PM生成量がそれぞれ定められている。
そして、上記のように推定された筒内PM生成量に基づいて、吸気通路30に吹き返されるPMの量(以下「PM吹き返し量」という。)を推定する。すなわち、吸気バルブ26の傘部付近に存在するPMの量を推定する。図4は、PM吹き返し量を推定するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。図4に示すマップには、筒内で生成されたPMが吸気通路30に吹き返される割合(以下「吹き返し率」という。)が、吸気バルブ開弁時期(IVO)とバルブオーバーラップ量との関係で定められている。ここで、バルブオーバーラップ量は、吸気バルブ26と排気バルブ42とが共に開弁されている期間(クランク角)である。図4に示すマップでは、バルブオーバーラップ量が多いほど、吹き返し率が高く設定されている。また、吸気バルブ開弁時期がTDCよりも早い場合には、遅い場合に比して、吹き返し率が高く設定されている。
図4に示すマップを参照してPM吹き返し率を求め、この求めたPM吹き返し率を上記筒内PM生成量に乗ずることにより、PM吹き返し量を推定することができる。
そして、上記のように推定されたPM吹き返し量に基づいて、吸気バルブ26に堆積するデポジット量を推定する。図5は、吸気バルブ26に堆積するデポジット量を推定するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。図5に示す関係は、実車を用いて予め行われた数多くの耐久試験から車種毎に求めることができる。図5に示すマップによれば、PM吹き返し量が多いほど、吸気バルブ26に多量のデポジット量が堆積すると推定される。
さらに、上記のように推定されたデポジット量に基づいて、筒内吸入空気量を補正する。ここで、吸気バルブ26に堆積するデポジット量が多いほど、吸気バルブ26とバルブシートとの隙間が狭くなるため、筒内吸入空気量はより少なくなる。このため、デポジット量が多いほど、筒内吸入空気量の増量補正量がより多くされる。なお、筒内吸入空気量を増量補正する方法としては、スロットル開度TAを大きくする方法のほか、可変動弁機構28を用いて吸気バルブ26の作用角及び/又はリフト量を大きくする方法等がある。
また、燃料噴射時期が排気バルブ閉弁時期(EVC)よりも早い場合には、筒内に噴射された燃料の一部が吸気通路30に吹き返される。吸気バルブ26に堆積したデポジットはカーボンを主成分とする他孔性物質である。このため、吸気通路30に吹き返された燃料の一部が、吸気バルブ26に堆積したデポジットにより吸着されてしまう。そこで、本実施の形態1では、このデポジットによる燃料の吸着を考慮して、上記の推定されたデポジット量に基づいて、燃料噴射量を増量補正する。具体的には、デポジット量が多いほど燃料吸着量も多くなるため、燃料噴射量の補正量も多くされる。
本実施の形態1によれば、運転領域に応じて筒内PM生成量が求められ、この筒内PM生成量とIVO及びバルブオーバーラップ量を考慮してPM吹き返し量が求められる。そして、このPM吹き返し量に基づいて吸気バルブ26に堆積するデポジット量が推定され、このデポジット量を考慮して筒内吸入空気量が補正される。
また、燃料噴射時期が排気バルブ閉弁時期よりも早い場合には、吸気バルブ26に堆積したデポジットによる燃料の吸着を考慮して、燃料噴射量が増量補正される。
このように、筒内で生成したPMに起因する吸気バルブ26のデポジット量を考慮して、筒内吸入空気量及び/又は燃料噴射量を補正することで、空燃比を精度良く制御することができる。よって、ドライバビリティ悪化及びエミッション特性悪化を防止することができる。
[実施の形態1における具体的処理]
図6は、本実施の形態1において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、所定の間隔毎に起動されるものである。
図6に示すルーチンによれば、先ず、エンジン回転数NEと負荷KLとを取得する(ステップ100)。次に、図3に示すマップを参照して、上記ステップ100で取得されたエンジン回転数NEと負荷KLとに対応する運転領域の筒内PM生成量を算出する(ステップ102)。
次に、上記ステップ102で算出された筒内PM生成量と、吸気バルブ開弁時期(IVO)及びバルブオーバーラップ量とに基づいて、吸気通路30へのPM吹き返し量を算出する(ステップ104)。このステップ104では、先ず、図4に示すマップを参照して、吸気バルブ開弁時期及びバルブオーバーラップ量に応じたPMの吹き返し率を求める。そして、この求めた吹き返し率を上記ステップ102で算出された筒内PM生成量に乗ずることにより、PM吹き返し量が求められる。
次に、図5に示すマップを参照して、上記ステップ104で推定されたPM吹き返し量に基づいて、吸気バルブ26に堆積するデポジット量を推定する(ステップ106)。そして、上記ステップ106で推定されたデポジット量を、前回までのデポジット量に積算する(ステップ108)。
その後、上記ステップ108で求めたデポジット量の積算値に基づいて、筒内吸入空気量を増量補正する(ステップ110)。筒内吸入空気量を増量補正する手段としては、スロットル開度TAを大きく補正する方法、可変動弁機構28により吸気バルブ26の作用角及び/又はリフト量を大きく補正する方法のうちで少なくとも1つを選択することができる。
次に、燃料噴射時期が排気バルブ閉弁時期(EVC)よりも早いか否かを判別する(ステップ112)。このステップ112では、筒内に噴射された燃料が吸気通路30に吹き返されるか否かが判別される。このステップ112で燃料噴射時期がEVC以降であると判別された場合には、筒内から吸気通路30への燃料の吹き返しが生じないと判断される。この場合、吸気バルブ26に堆積したデポジットによる燃料の吸着を考慮する必要がないと判断されるため、すなわち、燃料噴射量を補正する必要がないと判断されるため、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ112で燃料噴射時期EVCよりも早いと判別された場合には、筒内から吸気通路30への燃料の吹き返しが生じると判断される。すなわち、吸気通路30に吹き返された燃料の一部がデポジットに吸着されるため、燃料噴射量を補正する必要があると判断される。この場合、上記ステップ108で求められたデポジット量の積算値に基づいて、燃料噴射量を増量補正する。具体的には、デポジット量が多いほど、燃料吸着量が多いため、燃料噴射量の補正量が多くされる。燃料噴射量を増量補正する手段としては、増量係数(冷間増量時,パワー増量時)を増大させる方法、燃料付着率を増大させる方法のうちで、少なくとも1つを選択することができる。
以上説明したように、図6に示すルーチンによれば、運転状態(NE,KL)に基づいて筒内PM生成量が推定され、この筒内PM生成とIVO及びバルブオーバーラップ量に基づいてPM吹き返し量が推定される。そして、このPM吹き返し量に基づいて吸気バルブのデポジット量が推定され、このデポジット量に基づいて筒内吸入空気量が増量補正される。従って、筒内で生成したPMを考慮して空燃比を精度良く制御することができるため、ドライバビリティ悪化やエミッション特性悪化を防止することができる。
また、本実施の形態1では、図3に示すように運転領域を区分しているが、運転領域の区分が異なっていてもよい。
尚、本実施の形態1においては、インジェクタ20が第1の発明における「筒内インジェクタ」に相当している。また、本実施の形態1においては、ECU60が、ステップ102の処理を実行することにより第1の発明における「生成微粒子量推定手段」が、ステップ104の処理を実行することにより第1及び第7の発明における「吹き返し微粒子量推定手段」が、ステップ106及び108の処理を実行することにより第1の発明における「デポジット量推定手段」が、それぞれ実現されている。また、本実施の形態1においては、ECU60が、ステップ114の処理を実行することにより第2の発明における「燃料噴射量補正手段」が実現されている。
実施の形態2.
次に、図7から図14を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU60に、後述する図14に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
[実施の形態2の特徴]
上記実施の形態1で説明したように、筒内で生成されたPM(微粒子)の一部が吸気通路30に吹き返され、吹き返されたPMがオイル成分をバインダーとして吸気バルブ26に付着する。そして、この付着したPMがシリンダの熱により焼き固められることで、吸気バルブ26にデポジットが堆積する。よって、吸気通路30内(すなわち、吸気バルブ26の近く)にPMが多く供給される条件や、吸気バルブ26にPMが付着しやすい条件(例えば、オイル成分が多く供給される条件)では、吸気バルブ26に堆積するデポジット量が多くなると考えられる。
そこで、本実施の形態2では、これらの条件を考慮して、PM吹き返し量を補正する。以下、この補正値を「デポジット化影響量」という。すなわち、このデポジット化影響量は、筒内PM生成量とIVO及びバルブオーバーラップ量に基づいて求められたPM吹き返し量に、吸気バルブ26におけるPMのデポジット化に対する影響度が考慮されたものである。
本実施の形態2では、上記実施の形態1のようにPM吹き返し量に基づいてではなく、上記のように求められたデポジット化影響量に基づいて、吸気バルブ26に堆積するデポジット量を推定する。図13は、デポジット化影響量に基づいてデポジット量を推定するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。図13に示すマップによれば、デポジット化影響量が多いほど、デポジット量が多く推定される。
ここで、図13に示すマップの特性と、図5に示すマップの特性とは同じである。よって、吸気バルブ26の近くにPMが多く供給される場合や吸気バルブ26に対してPMが付着しやすい場合には、PM吹き返し量よりもデポジット化影響量の値の方が大きくなる。この場合、上記実施の形態1のようにPM吹き返し量に基づいてデポジット量を推定する場合に比して、より多くのデポジット量が堆積すると推定される。
一方、吸気バルブ26に対してPMが付着しにくい場合(例えば、吸気バルブ26のリフト量が小さい場合等)には、PM吹き返し量よりもデポジット化影響量の値の方が小さくなる。この場合、上記実施の形態1のようにPM吹き返し量に基づいてデポジット量を推定する場合に比して、より少ないデポジット量が堆積すると推定される。
このように、本実施の形態2では、PM吹き返し量に、吸気バルブ26におけるPMのデポジット化に対する影響度合を考慮して求めたデポジット化影響量に基づいて、吸気バルブ26に堆積するデポジット量が推定される。このため、上記実施の形態1に比して、デポジット量をより精度良く推定することができる。よって、筒内吸入空気量の増量補正及び/又は燃料噴射量の増量補正を、精度良く実行することができ、空燃比の制御性を更に向上させることができる。
次に、吸気バルブ26におけるPMのデポジット化に対する影響度について説明する。
先ず、吸気バルブ26の温度が所定の温度範囲内である場合に、PMが焼き固められやすくなり、デポジット化しやすくなる。図7は、軸トルク及びエンジン回転数に対する吸気バルブ温度の等高線を示す図である。図7において特に丸印Aで囲まれる部分の吸気バルブ温度で、PMが焼き固められやすい傾向がある。また、吸気バルブ温度が非常に高い場合には、PMが焼き固められる前に、焼き飛ばされることとなり、デポジット化しにくい。かかる図7に示された関係をECU60内に取り込むため、図8に示すようなマップを予め作成しておく。
図8は、吸気バルブ温度補正係数Ktを取得するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。吸気バルブ温度補正係数Ktは、デポジット化に対する吸気バルブ温度の影響度を示す補正係数である。図8に示すマップによれば、PMが焼き固められやすい吸気バルブ温度となる運転領域については数値「0.4」が、吸気バルブ温度係数Ktとして取得される。本実施の形態2では、取得された補正係数Ktに相当する分だけPM吹き返し量が増量されるため、デポジット量も増量される(後述する他の補正係数Kl,Ko,Keについても同様)。
また、可変動弁機構28により吸気バルブ26のリフト量は変更可能である。吸気バルブ26のリフト量が小さい場合には、リフト量が大きい場合に比して、吸気バルブ26の開口部分を通過する吸気の流速が速くなる。吸気の流速が速い場合には、吸気バルブ26にPMが付着しにくいだけでなく、一旦吸気バルブ26に付着したPMが吸気により持ち去られてしまう。よって、この場合、吸気バルブ26においてPMがデポジット化しにくくなる。
図9は、吸気バルブリフト量補正係数Klを取得するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。吸気バルブリフト量補正係数Klは、デポジット化に対する吸気バルブリフト量の影響度を示す補正係数である。図9に示すマップによれば、吸気バルブのリフト量が小さいほど、吸気バルブリフト量補正係数Klの数値が小さくされる。
また、バインダーとしてのオイル成分が吸気通路30に多く供給される場合には、PMが吸気バルブ26に付着しやすくなる。図10は、軸トルク及びエンジン回転数に対して、吸気通路30に供給されるオイル量(以下「吸気通路供給オイル量」という。)を示す等高線図である。図10において、軸トルクが大きい場合(高負荷運転時)には、圧縮もれによるブローバイガスの量が増えるため、PCVバルブ51の開度が大きくされる。そうすると、吸気通路30に還元されるブローバイガス量が増加する。このブローバイガスは、オイルトラップ機構を通ってもなおミスト状のオイルを含んでいる。よって、PCVバルブ51の開度が大きいほど、吸気通路30に還元されるブローバイガス量が多くなるため、吸気通路供給オイル量も多くなる。従って、軸トルクが大きい場合には、吸気通路供給オイル量が多くなる。
かかる図10に示された関係をECU60内に取り込むため、図11に示すようなマップを予め作成しておく。図11は、吸気通路供給オイル量補正係数Koを取得するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。吸気通路供給オイル量補正係数Koは、デポジット化に対する吸気通路供給オイル量の影響度を示す補正係数である。図10に示すマップによれば、吸気通路供給オイル量が多い高負荷運転領域については数値「0.15」が吸気通路供給オイル量補正係数Koとして取得される。
また、EGR率が高い場合、すなわち、既燃ガスの再循環量の割合が高い場合には、該既燃ガス中に含まれるPMが吸気通路30に多く供給されるため、デポジット量が増加しやすくなる。図12は、EGR率補正係数Keを取得するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。EGR率補正係数Keは、デポジット化に対するEGR率の影響度を示す補正係数である。図11に示すマップによれば、EGR率が高い運転領域については、数値「0.1」がEGR率補正係数Keとして取得される。
そして、上述した補正係数Kt,Kl,Ko,Keを加算して合計補正係数Kを求める。続いて、合計補正係数Kを考慮して、すなわち、デポジット化に対する影響度を考慮して、PM吹き返し量を補正する。具体的には、PM吹き返し量を(1+K)倍することで、デポジット化影響量が求められる。上述したように、このデポジット化影響量に基づいてデポジット量を推定することで、上記実施の形態1に比してデポジット量をより精度良く推定することができ、空燃比の制御性を更に向上させることができる。
[実施の形態2における具体的処理]
図14は、本実施の形態2において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、所定の間隔毎に起動されるものである。
図14に示すルーチンによれば、図6に示すルーチンと同様に、エンジン回転数NEと負荷KLとを取得し(ステップ100)、取得されたエンジン回転数NEと負荷KLに対応する運転領域の筒内PM生成量を算出する(ステップ102)。そして、図6に示すルーチンと同様に、筒内PM生成量と、吸気バルブ開弁時期(IVO)及びバルブオーバーラップ量とに基づいて、吸気通路30へのPM吹き返し量を算出する(ステップ104)。
次に、図8に示すマップを参照して、運転領域に応じた吸気バルブ温度補正係数Ktを取得する(ステップ120)。図8に示すマップでは、運転領域毎に、吸気バルブ温度の推定値に応じた吸気バルブ温度補正係数Ktが定められている。よって、このステップ120の処理によれば、図8に示すマップを参照することで、運転領域に応じた吸気バルブ温度が推定され、該吸気バルブ温度に応じた吸気バルブ温度補正係数Ktが取得される。従って、本ステップ120の処理は、上記第3の発明における「吸気バルブ温度取得手段」を含んでいる。
なお、吸気バルブ温度を非接触で検出する吸気バルブ温度センサを設け、該吸気バルブ温度センサにより検出された吸気バルブ温度を取得してもよい。この場合、吸気バルブ温度との関係で吸気バルブ温度補正係数Ktが定められたマップをECU60内に記憶させておくことで、検出された吸気バルブ温度に応じた吸気バルブ温度補正係数Ktを取得することができる。
次に、図9に示すマップを参照して、吸気バルブリフト量補正係数Klを取得する(ステップ122)。図9に示すマップでは、吸気バルブリフト量との関係で吸気バルブリフト量補正係数Klが定められている。このステップ122では、ECU60は、運転領域との関係で吸気バルブリフト量が定められたマップ(図示せず)を参照することで、上記ステップ100で取得された運転領域に応じた吸気バルブリフト量を取得することができる。そして、この取得した吸気バルブリフト量に応じた補正係数Klを、図9に示すマップを参照することで取得することができる。よって、本ステップ122の処理は、上記第4の発明における「リフト量取得手段」を含んでいる。
次に、図11に示すマップを参照して、吸気通路供給オイル量補正係数Koを取得する(ステップ124)。図11に示すマップでは、運転領域毎に、吸気通路に供給されるオイル量の推定値に応じた吸気通路供給オイル量補正係数Koが定められている。このステップ114での処理によれば、図10に示すマップを参照することで、運転領域に応じた吸気通路30に供給されるオイル量(より具体的には、吸気通路30に還元されるブローバイガスに含まれるオイル量)が推定され、該オイル量に応じた吸気通路供給オイル量補正係数Koが取得される。従って、本ステップ124の処理は、上記第5の発明における「オイル量推定手段」を含んでいる。
次に、図12に示すマップを参照して、運転領域に応じたEGR率補正係数Keを取得する(ステップ126)。図12に示すマップでは、運転領域毎に、EGR率に応じたEGR率補正係数Keが定められている。また、ECU60は、運転領域に応じてEGR率を取得することができる。このステップ126では、図12に示すマップを参照することで、運転領域毎に、EGR率に応じたEGR率補正係数Keが取得される。
次に、上記ステップ120,122,124,126で取得された補正係数Kt,Kl.Ko,Keを加算することで、合計補正係数Kを算出する(ステップ128)。そして、上記ステップ128で算出された合計補正係数Kに基づいて、上記ステップ104で算出されたPM吹き返し量を補正する(ステップ130)。具体的には、PM吹き返し量が(1+K)倍される。これにより、デポジット化影響量が求められる。
次に、図13に示すマップを参照して、上記ステップ130で推定されたデポジット化影響量に基づいて、吸気バルブ26に堆積するデポジット量を推定する(ステップ132)。このステップ132では、デポジット化影響量が多いほど、吸気バルブ26に堆積するデポジット量が多く推定される。すなわち、吸気バルブ26におけるPMのデポジット化に対する影響度が大きい場合には、デポジット量が多く推定される。
次に、上記ステップ132で推定されたデポジット量を、前回までのデポジット量に積算する(ステップ108)。その後、図6に示すルーチンと同様に、筒内吸入空気量を増量補正する(ステップ110)。
さらに、図6に示すルーチンと同様に、燃料噴射時期が排気バルブ閉弁時期(EVC)よりも早いか否かを判別し(ステップ112)、燃料噴射時期EVCよりも早いと判別された場合には、上記ステップ108で求められたデポジット量の積算値に基づいて、燃料噴射量を増量補正する。
以上説明したように、図6に示すルーチンによれば、運転領域に応じた筒内PM生成量が算出される。そして、この筒内PM生成量と、IVO及びバルブオーバーラップ量とに基づいてPM吹き返し量が算出される。さらに、このPM吹き返し量が、吸気バルブ温度補正係数Kt,吸気バルブリフト量補正係数Kl,吸気通路供給オイル量補正係数Ko,EGR率補正係数Keの合計値Kに基づき補正され、デポジット化影響量が求められる。続いて、このデポジット化影響量に基づいて、吸気バルブ26に堆積するデポジット量が推定される。
従って、PM吹き返し量に、吸気バルブ26におけるPMのデポジット化に対する影響度を考慮して、吸気バルブ26に堆積するデポジット量が推定される。よって、上記実施の形態1に比して、デポジット量を精度良く求めることができるため、空燃比の制御性を更に向上させることができる。その結果、ドライバビリティ悪化及びエミッション特性悪化を防止することができる。
また、本実施の形態2においては、4つの補正係数Kt,Kl,Ko,Keを加算した後にPM吹き返し量を補正しているが、各補正係数Kt,Kl,Ko,Keを取得する毎に、PM吹き返し量を補正するようにしてもよい。
また、本実施の形態2においては、4つの補正係数Kt,Kl,Ko,Keを取得しているが、これらのうちの少なくとも1つの補正係数を取得することができれば、PM切り返し量を補正してデポジット化影響量を求めることができる。その結果、デポジット化影響量に基づいて吸気バルブ26に堆積するデポジット量を推定することができる。
尚、本実施の形態2においては、ECU60が第4の発明における「リフト量取得手段」と第6の発明における「EGR率取得手段」に、それぞれ相当している。
また、本実施の形態2においては、ECU60が、ステップ120の処理を実行することにより第3の発明における「吸気バルブ温度取得手段」が、ステップ120,128〜132の処理を実行することにより第3の発明における「デポジット量推定手段」が、それぞれ実行されている。また、ステップ122の処理を実行することにより第4の発明における「リフト量取得手段」が、ステップ122,128〜132の処理を実行することにより第4の発明における「デポジット量推定手段」が、それぞれ実行されている。また、ステップ124の処理を実行することにより第5の発明における「オイル量推定手段」が、ステップ124及び128〜132の処理を実行することにより第5の発明における「デポジット量推定手段」が、それぞれ実現されている。また、本実施の形態2においては、ECU60が、ステップ126〜132の処理を実行することにより第6の発明における「デポジット量推定手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 軸トルク及びエンジン回転数に対する筒内PM生成量の等高線を示す図である。 筒内PM生成量を推定するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。 PM吹き返し量を推定するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。 吸気バルブ26に堆積するデポジット量を推定するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。 本発明の実施の形態1において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。 軸トルク及びエンジン回転数に対する吸気バルブ温度の等高線を示す図である。 吸気バルブ温度補正係数Ktを取得するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。 吸気バルブリフト量補正係数Klを取得するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。 軸トルク及びエンジン回転数に対して、吸気通路30に供給されるオイル量を示す等高線図である。 吸気通路供給オイル量補正係数Koを取得するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。 EGR率補正係数Keを取得するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。 デポジット化影響量に基づいてデポジット量を推定するためにECU60が記憶しているマップの一例を示す図である。 本発明の実施の形態2において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
2 ピストン
5 ブローバイガス通路
6 クランクケース
10 クランク角センサ
18 燃焼室
20 インジェクタ
26 吸気バルブ
30 吸気通路
32 サージタンク
42 排気バルブ
46 排気通路
51 PCVバルブ
52 PCV通路
56 EGRバルブ
60 ECU

Claims (7)

  1. 筒内燃料噴射型の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    気筒内に直接燃料を噴射する筒内インジェクタと、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記気筒内で生成される微粒子量である生成微粒子量を推定する生成微粒子量推定手段と、
    前記気筒内で生成された後に吸気通路に吹き返される微粒子量である吹き返し量を推定する吹き返し微粒子量推定手段と、
    前記吹き返し量に基づいて、吸気バルブに堆積するデポジット量を推定するデポジット量推定手段と、
    前記デポジット量に基づいて、前記気筒内に吸入される空気量を補正する空気量補正手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    燃料噴射時期が排気バルブ閉弁時期よりも早い場合には、前記デポジット量に基づいて、前記筒内インジェクタから噴射される燃料量を補正する燃料噴射量補正手段を更に備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    吸気バルブ温度を取得する吸気バルブ温度取得手段を更に備え、
    前記デポジット量推定手段は、前記吹き返し量と前記吸気バルブ温度とに基づいて、前記デポジット量を推定することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記吸気バルブのリフト量を取得するリフト量取得手段を更に備え、
    前記デポジット量推定手段は、前記吹き返し量と前記リフト量とに基づいて、前記デポジット量を推定することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記吸気通路に供給されるオイル量を推定するオイル量推定手段を更に備え、
    前記デポジット量推定手段は、前記吹き返し量と前記オイル量とに基づいて、前記デポジット量を推定することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    EGR率を取得するEGR率取得手段を更に備え、
    前記デポジット量推定手段は、前記吹き返し量と前記EGR率とに基づいて、前記デポジット量を推定することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記吹き返し微粒子量推定手段は、前記生成微粒子量と、前記吸気バルブの開弁時期と、前記吸気バルブと排気バルブとが共に開弁されているバルブオーバーラップ量とに基づいて、前記吹き返し量を推定することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
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