JP2004225652A - 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】デポジットの堆積量が気筒毎に異なることに起因する失火等の不具合を解消する。
【解決手段】燃料噴射制御装置は、少なくともピストン16が下降する吸気行程で各気筒11の燃焼室12内に燃料を直接噴射する筒内噴射火花点火式のエンジン10に適用される。電子制御装置36は、各気筒11の吸気系に堆積するデポジット37の堆積量を推測し、各気筒11の吸気行程における燃料の噴射時期を、前記のようにして推測したデポジット37の堆積量に応じて補正する。例えば、所定気筒11でのデポジット37の堆積量が他の気筒11での堆積量よりも多いとき、その所定気筒11の燃料噴射時期を遅角補正する。また、所定気筒11でのデポジット37の堆積量が他の気筒11での堆積量よりも少ないとき、その所定気筒11の燃料噴射時期を進角補正する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の気筒を有し、かつ少なくとも吸気行程で各気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の一形態として、気筒(燃焼室)内に燃料を直接噴射し、この燃料と空気との混合気を火花により着火及び燃焼させ、その燃焼に伴い生じた燃焼ガスによりピストンを往復動させるようにした筒内噴射式内燃機関が知られている。
【0003】
また、近年では、吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の最大リフト量を機関運転状態に応じて可変とする最大リフト量可変機構を内燃機関に搭載することが提案・実用化されている。この技術によれば、例えば低回転低負荷域では、吸気バルブの最大リフト量を小さくして吸入空気量を制御することで、スロットルバルブの開度制御によって生ずるポンピングロスを小さくし、燃費の向上を図ることができる。また、高回転高負荷域では最大リフト量を大きくし、吸気充填効率の向上により出力の増加を確保することができる。
【0004】
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、以下の特許文献1〜特許文献4が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】
特許第2914341号公報
【特許文献2】
特開2001−263015号公報
【特許文献3】
特開平10−176562号公報
【特許文献4】
特開平7−224711号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述した筒内噴射式の内燃機関では、吸気行程で気筒内に燃料を直接噴射すると、デポジットが吸気系に堆積して吸入空気量に影響を及ぼす。この現象は次のようにして起るものと考えられる。噴射された燃料は、燃焼室内で霧化するほかピストンの頂面に液状に付着する。これらの燃料は全て燃焼されるべきであるが、実際には、燃焼室内の酸素が主として霧化した燃料の燃焼に使用されてしまい、ピストンに付着した燃料が完全に燃焼されず微粒子(PM)となって燃焼室内を浮遊する。この微粒子は、排気行程の後半で吸気バルブが開弁する際等に、既燃ガスとともに燃焼室から吸気通路に吹き返される。そして、ブローバイガス還元装置によって吸気通路へ戻されたブローバイガス中のオイル等に前記の吹き返された微粒子が付着し、これがデポジットとして吸気バルブの傘部、吸気ポート等に堆積する。そして、このデポジットが吸入空気の抵抗となり、デポジットのない場合に比べて吸入空気量を減少させる。
【0007】
ここで、デポジットの堆積量が気筒間で略均一であれば、全気筒の平均空燃比が所定の値(理論空燃比)となるようにフィードバック制御することで、どの気筒の空燃比についても所定値近傍の値にすることができる。しかし、デポジットの堆積量は通常気筒毎に異なる。従って、デポジットの堆積量が気筒間で大きく異なると、前述した空燃比フィードバック制御を行っても、デポジットが多く堆積した気筒では空燃比がリッチとなり、デポジットの堆積量が少ない気筒では空燃比がリーンとなる場合がある。そして、空燃比が極端にリッチ又はリーンになると失火を招くおそれがある。
【0008】
この不具合は、前述した最大リフト量可変機構を搭載した筒内噴射式の内燃機関で特に問題となりやすい。これは、最大リフト量が小さいときには、少しのデポジットでも吸入空気量が大きく変化し、本来通過すべき吸入空気の量に対しデポジットによる吸入空気の減少量の占める割合が、最大リフト量が大きいときに比べ非常に大きくなるからである。
【0009】
なお、特許文献1には、吸気バルブの傘部背面に付着するデポジットの量を、内燃機関の運転状態に基づいて推測する技術が提案されている。しかし、推測した堆積量を内燃機関の制御にどのように反映させるかについて考慮されていないため、前述した不具合は解消されない。
【0010】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、デポジットの堆積量が気筒毎に異なることに起因する失火等の不具合を解消できる筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、複数の気筒を有し、かつ少なくとも吸気行程で各気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射式内燃機関に用いられる燃料噴射制御装置であって、前記各気筒の吸気系に堆積するデポジットの堆積量を推測する推測手段と、前記各気筒の吸気行程における燃料の噴射時期を、前記推測手段により推測されるデポジットの堆積量に応じて補正する噴射時期補正手段とを備えている。
【0012】
上記の構成によれば、吸気行程で噴射された燃料の一部がピストンの頂面に液状に付着すると、この燃料は完全に燃焼されず微粒子となって燃焼室内を浮遊し、既燃ガスとともに燃焼室から吸気通路に吹き返され、デポジットとして吸気系に堆積する場合がある。ここで、燃料噴射時期が変化すると、燃料が噴射されるときのピストンの位置が異なる。そのため、ピストンの頂面に付着する燃料の量が変化し、吹き返される微粒子の量、ひいては堆積するデポジットの量が変化する。従って、推測手段によって推測されるデポジットの堆積量に応じて、各気筒の吸気行程における燃料噴射時期を補正することで、デポジットの堆積量の気筒間ばらつきを小さくすることが可能となる。その結果、デポジットの堆積量が気筒毎に異なることに起因する不具合を解消することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記噴射時期補正手段は、前記推測手段により推測される所定気筒でのデポジットの堆積量が他の気筒での堆積量よりも多いとき、前記所定気筒での燃料の噴射時期を遅角補正するものであるとする。
【0014】
上記の構成によれば、上記筒内噴射式内燃機関では、吸気行程での燃料噴射時期が遅角されると、ピストンがより下降したときに燃料が噴射されることからピストンの頂面に付着する燃料の量が少なくなり、既燃ガスとともに燃焼室から吸気通路に吹き返される微粒子の量が減少し、デポジットの堆積量が減少する。従って、推測手段によって推測されるデポジット堆積量の多い気筒について、燃料噴射時期が遅角補正されることで、デポジットの堆積が抑制される。この抑制により、堆積量の少ない他の気筒とのデポジットの堆積量についての差が少なくなり、同堆積量の気筒間ばらつきが小さくなる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記噴射時期補正手段は、前記推測手段により推測される所定気筒でのデポジットの堆積量が他の気筒での堆積量よりも少ないとき、前記所定気筒での燃料の噴射時期を進角補正するものであるとする。
【0016】
上記の構成によれば、上記筒内噴射式内燃機関では、吸気行程での燃料噴射時期が進角されると、ピストンが比較的高い位置にあるときに燃料が噴射されることからピストンの頂面に付着する燃料の量が多くなり、既燃ガスとともに燃焼室から吸気通路に吹き返される未燃の微粒子の量が増大し、デポジットの堆積量が増加する。従って、推測手段によって推測されるデポジットの堆積量が少ない気筒について、燃料噴射時期が進角補正されることで、デポジットの堆積が促進される。この促進により、堆積量の多い他の気筒とのデポジットの堆積量についての差が少なくなり、同堆積量の気筒間ばらつきが小さくなる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記推測手段は、気筒毎の空燃比を算出する空燃比算出手段と、前記空燃比算出手段による全気筒の空燃比が所定値となるように各気筒の燃料噴射量を補正する噴射量補正手段とを備え、前記噴射量補正手段により補正される気筒毎の噴射量又はその噴射量の燃料噴射に対応して変化する機関情報に基づきデポジットの堆積量を推測するものであるとする。
【0018】
上記の構成によれば、吸入空気量がデポジットの堆積の影響を受けて減少すると、それに応じて空燃比が変化する。例えば、デポジットの堆積量の増加に伴い吸入空気量が減少するほど空燃比がリッチになる。従って、デポジットの堆積量が気筒毎に異なると空燃比もまた気筒毎に異なる。この気筒毎の空燃比は空燃比算出手段によって算出される。そして、算出された気筒毎の空燃比がいずれも所定値となるように、噴射量補正手段によって各気筒の燃料噴射量が補正される。この際の気筒毎の燃料噴射の補正量はデポジットの堆積量に応じて異なる。また、前記の補正により燃料噴射量が変化すると、それに伴って内燃機関の運転状態も変化する。この補正後の噴射量の燃料噴射に対応して変化する機関情報もまた、デポジットの堆積量に応じて異なる。従って、これらの補正後の気筒毎の噴射量又は機関情報に基づきデポジットの堆積量を推測することが可能である。
【0019】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記機関情報は気筒毎の出力トルクであるとする。
上記の構成によれば、空燃比を所定値にするために燃料噴射量が減量補正されると、その気筒での出力トルクは低下する。これとは逆に、空燃比を所定値にするために燃料噴射量が増量補正されると、その気筒での出力トルクは増加する。従って、気筒毎の出力トルクを機関情報として用いることにより、気筒毎のデポジットの堆積量を推測することが可能である。
【0020】
請求項6に記載の発明では、請求項4又は5に記載の発明において、前記噴射時期補正手段は、前記推測手段による前記気筒毎の噴射量又は前記機関情報と所定の判定値との偏差に応じて前記燃料の噴射時期の補正量を変更するものであるとする。
【0021】
上記の構成によれば、気筒毎の噴射量又は機関情報と判定値との偏差に応じた補正量によって燃料噴射時期が補正される。従って、気筒毎のデポジットの堆積量に応じた補正量によって噴射時期を適切に補正することが可能となり、予め定めた一定量ずつ燃料噴射時期を補正する場合よりも早期に気筒毎の堆積量のばらつきを小さくすることが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記筒内噴射式内燃機関は、吸気バルブの最大リフト量を可変とするための最大リフト量可変機構を備えるものであるとする。
【0023】
最大リフト量可変機構を備える筒内噴射式内燃機関では、同可変機構によって最大リフト量が小さな値に調整されているときに、デポジットの堆積による吸入空気量の不足分の必要とされる吸入空気量全体に占める割合が大きなものとなり、デポジットが空燃比に大きな影響を及ぼす。このため、デポジットの堆積量が気筒間でばらついていると、全気筒の平均空燃比が所定の値に制御されていても、各気筒の空燃比がばらつく。そして、空燃比が極端にリッチ又はリーンである気筒では、失火を引き起こすおそれがある。これに対し、前記のように、吸気行程における燃料の噴射時期をデポジットの堆積量に応じて補正することにより、デポジットの堆積量の気筒間ばらつきが小さくなると、気筒間での空燃比のばらつきが小さくなる。そのため、吸入空気量がデポジットの影響を受けやすいものの、空燃比が極端にリッチ又はリーンになることが確実に抑制され、失火の発生が効果的に解消される。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を、車両に搭載される筒内噴射火花点火式ガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)に具体化した第1実施形態を、図1〜図3に従って説明する。
【0025】
図1に示すエンジン10は、複数の気筒11(図1では1つのみ図示)を有している。このエンジン10においては、各気筒11の燃焼室12に吸気通路13を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁14から燃料が直接噴射供給される。この燃料と空気の混合気に対し点火プラグ15による点火が行われると、その混合気が燃焼してピストン16が往復動し、エンジン10の出力軸であるクランクシャフト17が回転する。そして、燃焼後の混合気は排気として各燃焼室12から排気通路18へ排出される。
【0026】
エンジン10の出力調整は、吸気通路13に設けられたスロットルバルブ19をアクチュエータ20等によって駆動して、そのスロットルバルブ19の開度(スロットル開度)を調節することによって実現される。すなわち、スロットル開度を調整すると、エンジン10の吸入空気量が変化し、その変化に対応して燃料噴射量が制御され、燃焼室12に充填される混合気の量が変化してエンジン10の出力が調整される。なお、スロットル開度は、運転者によって操作されるアクセルペダル21の踏込み量(アクセル踏込み量)に応じてアクチュエータ20を駆動することにより調整される。
【0027】
エンジン10において、燃焼室12と吸気通路13との間(吸気ポート13a)は吸気バルブ22によって開閉され、燃焼室12と排気通路18との間は排気バルブ23によって開閉される。これら吸・排気バルブ22,23は、クランクシャフト17の回転が伝達されて回転する吸気カムシャフト24及び排気カムシャフト25等によって動作する。
【0028】
エンジン10には、クランクシャフト17に対する吸気カムシャフト24の相対回転位相を調節して吸気バルブ22のバルブタイミング(開閉期間)を進角又は遅角させるバルブタイミング可変機構26が設けられている。また、吸気カムシャフト24と吸気バルブ22との間には、同吸気バルブ22の最大リフト量を連続的に可変とする最大リフト量可変機構27が設けられている。
【0029】
最大リフト量可変機構27としては、例えば仲介駆動機構及び仲介位相差可変手段を備えたもの(特開2001−263015号公報参照)を用いることができる。仲介駆動機構は、吸気カムシャフト24とは異なる軸28によって揺動可能に支持された入力部29及び出力部30を有している。この仲介駆動機構では、吸気カムシャフト24のカムにより入力部29が押下げられると、出力部30によって吸気バルブ22が押下げられる。そして、仲介位相差可変手段によって入力部29及び出力部30の相対位相差が変更されると、吸気バルブ22の最大リフト量が変化する。
【0030】
また、エンジン10には一般的なエンジンと同様にブローバイガス還元装置(図示略)が設けられている。同装置は、燃焼室12からピストン16と気筒11の壁面との隙間を通ってクランクケースへ漏れ出るガス(ブローバイガス)を再びエンジン10の吸気系に戻し、ブローバイガスの大気への放出を防止するための装置である。
【0031】
さらに、車両には、各部の状態を検出するセンサが種々取付けられている。これらのセンサとしては、例えばクランクポジションセンサ31、アクセルポジションセンサ32、スロットルポジションセンサ33、エアフロメータ34、空燃比センサ35等が用いられている。
【0032】
クランクポジションセンサ31はクランクシャフト17の回転に対応した信号を出力し、アクセルポジションセンサ32は、運転者によるアクセルペダル21の踏込み量(アクセル踏込み量)を検出する。スロットルポジションセンサ33はスロットル開度を検出し、エアフロメータ34は吸気通路13を通過する空気の流量を検出する。空燃比センサ35は、各気筒11の燃焼室12から排出される排気の酸素濃度を検出し、その酸素濃度に対応した信号を出力する。
【0033】
車両には、前記各種信号に基づいて、エンジン10の各部を制御する電子制御装置36が搭載されている。電子制御装置36はマイクロコンピュータを中心として構成されており、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラム、初期データ、制御マップ等に従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。CPUによる演算結果は、ランダムアクセスメモリ(RAM)において一時的に記憶される。
【0034】
電子制御装置36が行う制御としては、例えばエンジン10の燃料噴射制御、点火時期制御、スロットル開度制御等が挙げられる。そのほかにも、吸気バルブ22のバルブタイミング制御及び最大リフト量制御が行われる。
【0035】
電子制御装置36は、例えば燃料噴射制御に際し、混合気を所定の空燃比で燃焼させる場合、エンジン回転速度及びエンジン負荷といったエンジン10の運転状態に基づき燃料噴射量及び燃料噴射時期をそれぞれ算出する。
【0036】
ここで、エンジン回転速度は、クランクポジションセンサ31の検出信号に基づき求められ、エンジン負荷はエンジン10の吸入空気量に関係するパラメータとエンジン回転速度とに基づき求められる。エンジン10の吸入空気量に関係するパラメータとしては、例えばエアフロメータ34の検出信号から求められる吸入空気量、アクセルポジションセンサ32の検出信号から求められるアクセル踏込み量、スロットルポジションセンサ33の検出信号から求められるスロットル開度等が用いられる。
【0037】
また、エンジン10が暖機完了後の安定した運転状態にある場合、全気筒11の平均空燃比をその目標値である理論空燃比に的確に合わせ込むための空燃比フィードバック制御を行う。この空燃比フィードバック制御は、空燃比センサ35によって検出される各気筒11の空燃比の平均値(平均空燃比)と理論空燃比との偏差が「0」となるように、前記燃料噴射量を補正することによって行われる。
【0038】
そして、前記のようにして算出した燃料噴射時期になると、補正後の燃料噴射量に対応した時間にわたり燃料噴射弁14に通電する。この通電により燃料噴射弁14が開弁し、高圧の燃料が燃焼室12内へ噴射される。本実施形態では、こういった燃料噴射の少なくとも一部が、ピストン16が下降する吸気行程で行われる。
【0039】
また、スロットルバルブ19の開度制御に際し、電子制御装置36は、エンジン10に対する運転者の出力要求を表すアクセル踏込み量が大となるほどスロットルバルブ19が開き側となるようにアクチュエータ20を駆動制御する。ここで、スロットル開度が大となるほどエンジン10の吸入空気量が多くなり、それに応じて燃料噴射量も大とされるため、燃焼室12に充填される混合気の量が増加してエンジン出力が大となる。そのため、エンジン10に対する運転者の出力要求に対応したエンジン出力が得られる。
【0040】
なお、必要とされる吸入空気量が少なくなる機関運転領域、例えばアイドル運転時等のエンジン低負荷領域では、電子制御装置36はスロットルバルブ19を開き側で保持する。これは、吸入空気量を必要とされる値に調整するためにスロットルバルブ19を閉じ側に制御すると、エンジン10の吸気抵抗が増大してポンピングロスとなり、エンジン10の燃費改善に悪影響を及ぼすからである。ただし、スロットルバルブ19の開き側での保持により、吸気抵抗の増大を抑制して燃費の改善を図ることが可能となる反面、スロットルバルブ19に代えて吸入空気量を調整する手段が別途必要となる。これについては後述する。
【0041】
また、吸気バルブ22の最大リフト量制御に際し、電子制御装置36は、エンジン回転速度、エンジン負荷等に基づき最大リフト量可変機構27を駆動制御することで、吸気バルブ22の最大リフト量をエンジン10の運転状態に適した値に調整する。例えば、エンジン回転速度が一定という条件下では、エンジン負荷が大となるほどエンジン10の吸入空気量を確保しやすくするために、吸気バルブ22の最大リフト量を大きくする。これは、エンジン負荷が大となるほどエンジン出力が要求されていることになり、その出力を得るために必要とされる吸入空気量も多くなるからである。
【0042】
なお、必要とされる吸入空気量が少なくなるエンジン低負荷領域では、吸気バルブ22の最大リフト量を低リフト領域で可変とする。これは、前述したように、エンジン低負荷領域ではスロットルバルブ19が開き側で保持されて吸入空気量を調整できなくなることから、吸気バルブ22のリフトによって吸入空気量を調整しようとするものである。この場合、必要とされる吸入空気量が少ないことから吸気バルブ22の最大リフト量は極小さい値とされる。
【0043】
ところで、前述したように燃料噴射の少なくとも一部が吸気行程で行われる本実施形態では、同行程で噴射された燃料は、燃焼室12内で霧化するほかピストン16の頂面に液状に付着する。これらの燃料のうち、ピストン16に付着した燃料は完全に燃焼されず微粒子(PM)となって燃焼室12内を浮遊する。このPMは、排気行程の後半で吸気バルブ22が開弁する際等に、既燃ガスとともに燃焼室12から吸気通路13に吹き返される。そして、ブローバイガス還元装置によって吸気通路13へ戻されたブローバイガス中のオイル等に前記の吹き返されたPMが付着する。このオイルにPMが付着したものがデポジット37として吸気系、特に吸気バルブ22の傘部22aの背面(吸気ポート13a側の面)、吸気ポート13aにおいて燃焼室12近傍等に堆積する。このデポジット37は、吸気行程における吸入空気の流通の抵抗となって吸入吸気量に影響を及ぼす。すなわち、デポジットの堆積量が多くなるほど吸入空気量が少なくなる。その結果、空燃比が目標値よりも小さくなる。また、この影響の度合は、吸気バルブ22の最大リフト量が大きく、必要とされる吸入空気量が多いときには小さいが、最大リフト量が小さく、必要とされる吸入空気量が少ないときに大きい。しかも、デポジット37の堆積量は気筒11毎に異なるのが通常である。
【0044】
一方、実験によると、PMの排出量と燃料噴射時期との間には、図2に示す関係が見られる。すなわち、PMの排出量は燃料噴射時期が進角されると増加し、同噴射時期が遅角されると減少する。これは、進角されると、ピストン16が高い位置にあるときに燃料が噴射されることから多くの燃料がピストン16の頂面に付着する。また、遅角されると、ピストン16が低い位置にあるときに燃料が噴射されることからピストン16の頂面に付着する燃料が少なくなるためである。PMの排出量とデポジットの堆積量とは略比例関係にある。このことから、デポジットの堆積量は燃料噴射時期の進角により多くなり、遅角により少なくなることがわかる。そこで、本実施形態では、気筒11毎のデポジットの堆積量を推測し、その堆積量に応じて燃料噴射時期を補正して気筒11間の堆積量のばらつきを小さくする制御を行うようにしている。
【0045】
次に、この制御の内容について説明する。図3のフローチャートは、吸気行程での燃料噴射時期を補正するルーチンを示しており、所定の実行条件が成立した場合に実行される。
【0046】
この実行条件が成立すると、電子制御装置36は、まずステップ110において、後述するステップ130の処理(燃料噴射量の補正)が完了しているかどうかを判定する。この判定条件が満たされていない、すなわち燃料噴射量の補正を未だ行っていないと、ステップ120において、空燃比センサ35の検出信号に基づき各気筒11の実際の空燃比を算出する。
【0047】
ここで、前述した空燃比フィードバック制御では、全気筒11の空燃比の平均値(平均空燃比)が理論空燃比となるように燃料噴射量が補正される。従って、噴射時期補正ルーチンが空燃比フィードバック制御中に行われるものであれば、平均空燃比は理論空燃比に近い値となっているはずである。ただし、平均空燃比は全気筒11の空燃比を平均した値である。そのため、例えばデポジット37に起因する吸入空気量の減少により、各気筒11の空燃比が理論空燃比から外れていても平均空燃比は理論空燃比に近い値となり得る。空燃比がデポジット37から受ける影響の度合は、そのデポジット37の堆積量に対応している。そこで、ステップ120では、気筒11毎の空燃比を算出し、その算出結果をデポジット37の堆積量の推測に生かそうとしている。
【0048】
続いて、ステップ130において、全気筒11の実際の空燃比が所定値となるように、気筒毎に燃料噴射量を補正する。ここで、噴射時期補正ルーチンが前述した空燃比フィードバック制御の実行中に行われる場合には、理論空燃比が所定値とされる。また、噴射時期補正ルーチンが空燃比フィードバック制御の非実行中に行われる場合には、そのときのエンジン10の運転状況に応じた値が所定値とされる。そして、気筒11毎に、この所定値に対する実際の空燃比のずれ量(偏差)を求め、このずれ量が「0」となるように燃料噴射量を補正する。この処理を全気筒11について行う。
【0049】
すなわち、所定値よりもリーンな気筒11については、その所定値に対する空燃比のリーン側へのずれ量に対応して燃料噴射量が増量補正される。このときの増量補正量は、上記空燃比のリーン側へのずれ量が大となるほど大きいものとされる。これとは逆に、所定値よりもリッチな気筒11において、その所定値に対する空燃比のリッチ側へのずれ量に対応して燃料噴射量が減量補正される。このときの減量補正量は、上記空燃比のリッチ側へのずれ量が大となるほど大きいものとされる。このように気筒11毎に燃料噴射量を補正することにより、全ての気筒11の空燃比が所定値に近づけられる。そして、この噴射量補正により、各気筒11でのデポジットの堆積量が多いほど燃料噴射量が減量側に大きく補正される。
【0050】
そして、補正後の燃料噴射量に対応した時間にわたり燃料噴射弁14に通電する。この通電により燃料噴射弁14が開弁し、高圧の燃料が燃焼室12内へ噴射される。このステップ130の処理により全気筒11の空燃比が同一(所定値)になる。しかし、補正により燃料噴射量が補正前の値と異なった気筒11では、混合気の燃焼により発生する出力トルクもまた補正前の値と異なってくる。例えば、デポジット37の堆積量が多く吸入空気量の減少している気筒11では、それに応じて燃料噴射量が少なくされるため、燃料噴射量の補正前に比べて出力トルクが低下する。ステップ130の処理を経た後、この噴射時期補正ルーチンを一旦終了する。
【0051】
そして、ステップ130の処理を行うことで、前述したステップ110の判定条件が満たされると、ステップ140へ移行し、後述するステップ150〜170の処理(燃料噴射時期の補正)が完了しているかどうかを判定する。この判定条件が満たされていない、すなわち噴射時期の補正を未だ行っていないと、ステップ150において気筒11毎の出力トルクを算出する。ここで、一般に出力トルクとクランクシャフト17との間には相関関係が見られる。すなわち、出力トルクの増大に伴いクランクシャフト17が速く回転するようになり、そのクランクシャフト17が所定の角度(クランク角)回転するのに要する時間が短くなる。そこで、クランクポジションセンサ31の検出信号に基づきこの時間を求め、所定の演算によって出力トルクを算出する。なお、前記時間を出力トルクの代用値としてそのまま用いてもよい。
【0052】
続いて、ステップ160において、前記ステップ150の気筒11毎の出力トルクを用いて判定値αを算出する。例えば、全気筒11の出力トルクの平均値を求め、これを判定値αとしてもよい。そして、気筒11毎の出力トルクと判定値αとを比較し、その出力トルクが判定値α以下の気筒11を選定する。選定された気筒11は、デポジット37の堆積量が他の気筒11よりも多く、吸入空気量が少なくなっている気筒11であるといえる。
【0053】
次に、ステップ170において、前記ステップ160で選定した気筒11の噴射時期を所定量だけ遅角補正する。ここで、前記ステップ160における判定値αと気筒11毎の出力トルクとの偏差を求め、この偏差に応じた値を所定量として用いる。この所定量の算出のために、例えば、予め実験等により、偏差が大きくなるほど所定量が多くなるような関係を求めておき、これをマップとしてメモリに記憶しておく。このマップを参照して偏差に対応する所定量を求め、これを噴射時期の遅角補正に用いる。
【0054】
そして、遅角補正した燃料噴射時期に基づき、燃料噴射量に対応した時間にわたり燃料噴射弁14に通電する。この通電により、遅角補正前に比べ、吸気行程でピストン16が一層下降したときに燃料噴射弁14が開弁し、高圧の燃料が燃焼室12内へ噴射されることとなる。そのため、遅角補正された気筒11については、ピストン16の頂面に付着する燃料の量が遅角補正前に比べて少なくなる。
【0055】
前記ステップ170の処理を経た後に噴射時期補正ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ170の処理を経ると、以後はステップ140の判定条件が満たされる。この場合には、前述したステップ150〜170の処理を行うことなく噴射時期補正ルーチンを終了する。
【0056】
上述した噴射時期補正ルーチンでは、ステップ120の処理が空燃比算出手段に相当し、ステップ130の処理が噴射量補正手段に相当する。また、ステップ150,160の処理が推測手段に相当し、ステップ170の処理が噴射時期補正手段に相当する。
【0057】
なお、デポジット37が吸入空気量に大きく影響を及ぼすほどに堆積するには、ある程度の時間を要する。従って、前述した噴射時期補正ルーチンは頻繁に行われる必要はなく、例えば、日、週、月等、ある程度の時間間隔をもって行われてもよい。また、一定時間毎ではなく、エンジン10が始動される毎に行われたり、車両が所定距離走行する毎に行われてもよい。
【0058】
上述した第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)筒内噴射式のエンジン10では、燃料噴射時期が変化すると燃料噴射時のピストン16の位置(高さ)が異なり、ピストン16の頂面に付着する燃料の量が変化し、吹き返されるPMの量、ひいては堆積するデポジット37の量が変化する。この点、第1実施形態では、デポジット37の堆積量を間接的に推測し(ステップ150,160)、その推測したデポジット37の堆積量に応じて、各気筒11の吸気行程における燃料噴射時期を補正している(ステップ170)。このため、デポジット37の堆積量の気筒間ばらつきを小さくすることが可能となる。その結果、堆積量が気筒11毎に異なることに起因する不具合、例えば失火の発生を解消することができる。
【0059】
この効果は、必要とされる吸入空気量が少なくなるアイドル運転時等のエンジン低負荷時において、最大リフト量可変機構27により最大リフト量が極小さい値に調整されているときに、特に有効である。この状況下では、デポジット37の堆積による吸入空気量の不足分の必要とされる吸入空気量全体に占める割合が大きなものとなり、少しのデポジット37でも空燃比に大きな影響を及ぼす。このため、デポジット37の堆積量が気筒11間でばらついていると、全気筒11の平均空燃比が所定の値に制御されていても、各気筒11の空燃比が大きくばらつく。そして、空燃比が極端にリッチ又はリーンである気筒11では、失火を引き起こすおそれがある。これに対し、前記のように、吸気行程における燃料の噴射時期をデポジット37の堆積量に応じて補正することにより、デポジット37の堆積量の気筒間ばらつきを小さくすると、気筒11間での空燃比のばらつきが小さくなる。そのため、最大リフト量が小さいときには吸入空気量がデポジット37の影響を受けやすいが、空燃比が極端にリッチ又はリーンになるのを確実に抑制し、失火の発生を効果的に解消することが可能となる。
【0060】
(2)上記(1)に関連するが、筒内噴射式のエンジン10では、吸気行程での燃料噴射時期が遅角されると、ピストン16が低い位置にあるときに燃料が噴射されるため、ピストン16の頂面に付着する燃料の量が少なくなる。既燃ガスとともに燃焼室12から吸気通路13に吹き返されるPMの量が減少し、デポジット37の堆積量が減少する。この点、第1実施形態では、推測される堆積量の多い気筒11について、燃料噴射時期を遅角するようにしている。このため、堆積量の多い気筒11については、それ以上デポジット37が堆積するのを抑制し、堆積量の少ない他の気筒11との堆積量についての差を少なくし、同堆積量の気筒間ばらつきを確実に小さくすることができる。
【0061】
(3)吸入空気量がデポジット37による影響を受けると、それに応じて空燃比が変化する。例えば、デポジット37の堆積量の増加に伴い吸入空気量が減少するほど空燃比がリッチになる。従って、デポジット37の堆積量が気筒11毎に異なると空燃比もまた気筒11毎に異なる。
【0062】
この点、第1実施形態では、気筒11毎の空燃比を算出し、全気筒11について各空燃比が所定値となるように、各気筒11の燃料噴射量を補正するようにしている。この際の気筒11毎の補正量はデポジット37の堆積量に応じて異なる。
【0063】
また、前記の補正により燃料噴射量が変化すると、それに伴ってエンジン10の運転状態も変化する。この補正後の噴射量の燃料噴射に対応して変化する機関情報もまた、デポジット37の堆積量に応じて異なる。従って、この機関情報に基づきデポジット37の堆積量を推測することが可能となる。
【0064】
(4)空燃比を所定値にするために燃料噴射量が減量補正されると、その気筒11での出力トルクは低下する。これとは逆に、空燃比を所定値にするために燃料噴射量が増量補正されると、その気筒11での出力トルクは増加する。この点、第1実施形態では、気筒11毎の出力トルクを機関情報として用いるようにしている。そのため、この出力トルクに基づき気筒11毎のデポジットの堆積量を推測することが可能である。
【0065】
(5)気筒毎の出力トルクと判定値αとの偏差に応じて燃料噴射時期の補正量を変更するようにしている(ステップ170)。このため、気筒11毎のデポジット37の堆積量に応じた補正量によって燃料噴射時期を適切に遅角補正することが可能となる。その結果、予め定めた一定量ずつ燃料噴射時期を遅角補正する場合よりも早期に気筒11毎の堆積量のばらつきを小さくすることが可能となる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4に基づいて説明する。第2実施形態は、電子制御装置36による噴射時期補正ルーチンの処理において、デポジット37の堆積量の推測の結果、その堆積量の少ない気筒11については燃料噴射時期を進角補正するようにしている。それ以外の点は第1実施形態と同様である。従って、図4において第1実施形態と同様の処理については同一のステップ数を付して詳しい説明を省略する。
【0067】
噴射時期補正ルーチンにおいて、ステップ110〜150の処理を順に経た後、前記ステップ160に代わるステップ165において、前記ステップ150の気筒11毎の出力トルクを用いて判定値βを算出する。例えば、全気筒11の出力トルクの平均値を求め、これを判定値βとしてもよい。そして、気筒11毎の出力トルクと判定値βとを比較し、その出力トルクが判定値β以上の気筒11を選定する。選定された気筒11は、デポジット37の堆積量が少なく、必要とする吸入空気量に近い吸入空気量の空気が取り込まれている気筒11であるといえる。
【0068】
次に、ステップ175において、前記ステップ165で選定した気筒11の燃料噴射時期を所定量だけ進角補正する。ここで、例えば、前記ステップ165における判定値βと気筒11毎の出力トルクとの偏差を求め、この偏差に応じた値を所定量として用いてもよい。そして、進角補正した燃料噴射時期に基づき、燃料噴射量に対応した時間にわたり燃料噴射弁14に通電する。この通電により、進角補正前に比べ、吸気行程でピストン16が比較的高い箇所に位置しているときに燃料噴射弁14が開弁し、高圧の燃料が燃焼室12内へ噴射されることとなる。そのため、進角補正された気筒11については、ピストン16の頂面に付着する燃料の量が進角補正しない場合に比べて多くなる。
【0069】
前記ステップ175の処理を経た後に噴射時期補正ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ175の処理を経ると、以後はステップ140の判定条件が満たされる。この場合には、前述したステップ150〜175の処理を行うことなく噴射時期補正ルーチンを終了する。
【0070】
上述した噴射時期補正ルーチンでは、ステップ150,165の処理が推測手段に相当し、ステップ175の処理が噴射時期補正手段に相当する。
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した(1),(3),(4)に加え、次の(6),(7)の効果が得られる。なお、(6)は前述した(2)の効果に対応し、(7)は前述した(5)の効果に対応するものである。
【0071】
(6)筒内噴射式のエンジン10では、吸気行程での燃料噴射時期が進角されると、ピストン16が高い位置にあるときに燃料が噴射されるため、ピストン16の頂面に付着する燃料の量が多くなる。既燃ガスとともに燃焼室12から吸気通路13に吹き返されるPMの量が増大し、デポジット37の堆積量が増加する。この点、第1実施形態では、推測される堆積量の少ない気筒11について、燃料噴射時期を進角補正するようにしている。このため、堆積量の少ない気筒11については、デポジット37の堆積を促進し、堆積量の多い他の気筒11との堆積量についての差を少なくし、同堆積量の気筒間ばらつきを小さくすることができる。
【0072】
(7)気筒毎の出力トルクと判定値βとの偏差に応じて燃料噴射時期の補正量を変更するようにしている(ステップ175)。このため、気筒11毎のデポジット37の堆積量に応じた補正量によって燃料噴射時期を適切に進角補正することが可能となる。その結果、予め定めた一定量ずつ燃料噴射時期を進角補正する場合に比べ、より早期に気筒11毎の堆積量のばらつきを小さくすることが可能となる。
【0073】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・燃料噴射量を補正すると、その補正量に応じて気筒11毎の出力トルクも変化する。このことから、ステップ150,160,165において、各気筒11の出力トルクに代えて、ステップ130で補正した気筒11毎の噴射量を用いてもよい。このようにしても、第1及び第2実施形態と同様にしてデポジット37の堆積量を推測することが可能である。
【0074】
・第1実施形態における判定値α(ステップ160)として、全気筒11の出力トルクのうち最も小さな値を除く他の値を設定してもよい。例えば、最も大きな値を判定値αとしてもよく、この場合、デポジット37の堆積量が最も少なくデポジット37の吸入空気量に及ぼす影響の最も小さな気筒については、噴射時期が遅角補正されず、それ以外の気筒11については遅角補正される。なお、遅角補正の対象となる気筒11の数は、判定値αの大きさに応じて異なってくる。
【0075】
このことは、第2実施形態における判定値β(ステップ165)についても同様である。すなわち、全気筒11の出力トルクのうち最も大きな値を除く他の値を判定値βとして設定してもよい。例えば、最も小さな値を判定値βとしてもよく、この場合、デポジット37の堆積量が最も多くデポジット37の吸入空気量に及ぼす影響の最も大きな気筒11については、噴射時期が進角補正されず、それ以外の気筒11については進角補正される。なお、進角補正の対象となる気筒11の数は、判定値βの大きさに応じて異なってくる。
【0076】
・第1実施形態において噴射時期の遅角補正に用いる所定量、及び第2実施形態において噴射時期の進角補正に用いる所定量をそれぞれ一定の値としてもよい。
【0077】
・図3及び図4の噴射時期補正ルーチンにおいて、ステップ130での燃料噴射量の補正によって出力トルクの気筒間ばらつきが許容範囲を超える場合には、そのばらつきを小さくするための処理、例えば点火時期の補正等を別途行ってもよい。
【0078】
・第1実施形態と第2実施形態とを組合わせてもよい。すなわち、出力トルクが判定値α以下の気筒11については噴射時期を遅角補正し、かつ判定値β(>α)以上の気筒11については噴射時期を進角補正してもよい。このようにすると、より早期に堆積量の気筒間ばらつきを小さくすることが可能となる。
【0079】
・最大リフト量可変機構としては、前述したもの以外にも、カムシャフトのカムを軸方向にプロフィールが変化する三次元カムとし、このカム軸をアクチュエータにより軸方向に変位させることにより、最大リフト量を機関運転状態に応じて変化させるようにしたものを用いてもよい。
【0080】
・本発明は、最大リフト量可変機構を備えない筒内噴射式内燃機関にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態における筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置の構成を示す略図。
【図2】燃料噴射時期とPMの排出量との関係を示す特性図。
【図3】燃料噴射時期を補正する手順を示すフローチャート。
【図4】本発明を具体化した第2実施形態において燃料噴射時期を補正する手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…エンジン、11…気筒、22…吸気バルブ、27…最大リフト量可変機構、36…電子制御装置(推測手段、噴射時期補正手段、空燃比算出手段、噴射量補正手段)、37…デポジット、α,β…判定値。

Claims (7)

  1. 複数の気筒を有し、かつ少なくとも吸気行程で各気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射式内燃機関に用いられる燃料噴射制御装置であって、
    前記各気筒の吸気系に堆積するデポジットの堆積量を推測する推測手段と、
    前記各気筒の吸気行程における燃料の噴射時期を、前記推測手段により推測されるデポジットの堆積量に応じて補正する噴射時期補正手段と
    を備えることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記噴射時期補正手段は、前記推測手段により推測される所定気筒でのデポジットの堆積量が他の気筒での堆積量よりも多いとき、前記所定気筒での燃料の噴射時期を遅角補正するものである請求項1に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記噴射時期補正手段は、前記推測手段により推測される所定気筒でのデポジットの堆積量が他の気筒での堆積量よりも少ないとき、前記所定気筒での燃料の噴射時期を進角補正するものである請求項1又は2に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記推測手段は、
    気筒毎の空燃比を算出する空燃比算出手段と、
    前記空燃比算出手段による全気筒の空燃比が所定値となるように各気筒の燃料噴射量を補正する噴射量補正手段と
    を備え、前記噴射量補正手段により補正される気筒毎の噴射量又はその噴射量の燃料噴射に対応して変化する機関情報に基づきデポジットの堆積量を推測するものである請求項1〜3のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記機関情報は気筒毎の出力トルクである請求項4に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 前記噴射時期補正手段は、前記推測手段による前記気筒毎の噴射量又は前記機関情報と所定の判定値との偏差に応じて前記燃料の噴射時期の補正量を変更するものである請求項4又は5に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 前記筒内噴射式内燃機関は、吸気バルブの最大リフト量を可変とするための最大リフト量可変機構を備える請求項1〜6のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
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