JP4468636B2 - 筒内直接噴射式内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内に燃料噴射弁から燃料を直接噴射する筒内直接噴射式内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
リーンバーンエンジン等の筒内直接噴射式内燃機関では、空気を多量に吸入したシリンダ内(筒内)にインジェクタ(燃料噴射弁)からガソリン(燃料)を直接噴射する。特に、リーンバーンエンジンでは、低負荷時に、リーンな空燃比の混合ガスにより成層運転を行っている。成層運転では、点火プラグ近傍にのみガソリンの割合が多い混合ガスを集める必要があるので、直接噴射によりインジェクタからの噴霧の拡散を抑制し、ガソリンの噴霧形状を塊として保っている。
【0003】
筒内直接噴射式内燃機関では、噴射されたガソリンの一部を燃焼することなく、インジェクタに付着したままになる場合がある。ガソリンが付着すると、ガソリンの揮発性の高い成分が機関本体やインジェクタの熱によって蒸発し、ガソリン中の炭化成分がデポジットとしてインジェクタに堆積する。デポジットが堆積すると、インジェクタの噴射特性が劣化するので、ガソリンが全量燃焼しなくなり、燃焼状態が悪化する。燃焼状態が悪化すると、出力が低下したりあるいは排気ガスの有害成分が増加し、車両振動等を伴ってドライバビリティの悪化を招く。そこで、デポジットを除去する方法が提案されている。その方法の1つとしては、燃料噴射パルス幅を検出し、そのパルス幅が設定値より大きくなった場合には、ガソリンの噴射圧力を上昇させてデポジットを除去する方法がある(特許文献1参照)。この方法では、デポジットによってインジェクタの噴孔部が塞がれると、単位時間当たりの燃料噴射量が少なくなり、燃料噴射パルス幅が大きくなることを利用してデポジットを検出している。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−339196号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、デポジットが堆積すると、単位時間当たりの燃料噴射量は変化しないが、噴霧形状が変化する場合がある。噴霧形状が変化すると、ガソリンを必要とする場所に集めることができないので、燃焼状態が悪化し、その悪化が進むとドライバビリティの悪化を招く。しかし、従来の除去方法では、燃料噴射パルス幅に基づいて検出しているので、デポジットによって単位時間当たりの燃料噴射量が変化した場合にはデポジットを検出できるが、変化しない場合には検出できない。したがって、従来の除去方法では、デポジットによる噴霧形状の変化を検出することができない。
【0006】
ちなみに、筒内直接噴射式内燃機関には、ピストンのヘッドにガソリンを直接噴射し、ピストンのヘッドの形状を利用して所定の噴霧形状を形成しているものがある。このような内燃機関では、インジェクタ以外のピストンヘッド等のシリンダの内部にデポジットが付着した場合も噴霧形状が変化する場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、燃料噴射弁等へのデポジットの付着を高精度に検出することができる筒内直接噴射式内燃機関を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る筒内直接噴射式内燃機関は、筒内に燃料噴射弁から燃料を直接噴射する筒内直接噴射式内燃機関であって、所定の燃焼条件における内燃機関の出力変動に基づいて燃料噴射弁及び/又は筒の内部へのデポジットの付着の有無を検出することを特徴とする。
【0009】
この筒内直接噴射式内燃機関では、所定の燃焼条件で各筒において燃料を爆発燃焼している際に、内燃機関の出力変動を検出する。そして、この内燃機関では、その検出した出力変動が燃焼状態安定時の出力変動とは異なる変動を示す場合には、燃料噴射弁及び/又は筒の内部にデポジットが付着していると判定する。燃料噴射弁及び/又は筒の内部へのデポジットの付着によって燃料の噴霧形状が変化すると、その付着によって燃料噴射量が変化していない場合でも、燃焼状態安定時と同一の燃焼条件でも燃焼状態が悪化し、内燃機関の出力変動が大きくなる(例えば、内燃機関における回転数の低下やトルクの低下)。そのため、この内燃機関では、内燃機関の出力変動に基づいて噴霧形状の変化を伴うデポジットの付着の有無を検出することができる。ちなみに、燃料噴射弁へのデポジットの付着によって燃料噴射量が変化した場合も燃焼状態安定時と同一の燃焼条件でも燃焼状態が悪化するので、燃料噴射量の変化を伴うデポジットの付着も検出可能である。したがって、この内燃機関では、燃料噴射量の変化のみならず噴霧形状が変化した場合もデポジット付着の有無を検出することができるので、検出精度が非常に高い。
【0010】
なお、所定の燃焼条件は、内燃機関における燃焼状態が安定となる(例えば、ストイキ燃焼時の)燃焼条件であり、燃焼条件としては空燃比、燃料の噴射時期、点火時期等がある。また、内燃機関の出力変動としては、例えば、内燃機関の回転数の変化、内燃機関によって発生するトルクの変化がある。また、筒の内部は、燃料噴射弁から噴射された燃料が閉じ込まれる空間を形成している各部であり、例えば、筒の内面、燃焼室内面、ピストンヘッド、排気バルブ、吸気バルブである。
【0011】
本発明の上記筒内直接噴射式内燃機関では、所定の燃焼条件より燃焼安定性の悪い燃焼条件における内燃機関の出力変動と所定の燃焼条件における内燃機関の出力変動との差に基づいて燃料噴射弁及び/又は筒の内部へのデポジットの付着の有無を検出する構成としてもよい。
【0012】
この筒内直接噴射式内燃機関では、所定の燃焼条件で各筒において燃料を爆発燃焼している際に、内燃機関の出力変動を検出する。さらに、この内燃機関では、燃焼条件を所定の燃焼条件より燃焼安定性の悪い燃焼条件に変更し、その燃焼条件で各筒において燃料を爆発燃焼している際に、内燃機関の出力変動を検出する。そして、この内燃機関では、その検出した各燃焼条件における出力変動の差を算出し、その出力変動の差が大きい場合には燃料噴射弁及び/又は筒の内部にデポジットが付着していると判定する。燃焼安定性が悪い燃焼条件の場合、デポジットの付着によって噴霧形状が変化したりあるいは燃料噴射量が変化すると、燃焼安定性が悪い燃焼条件に燃焼状態の悪化も加味されるので、内燃機関の出力変動は所定の燃焼条件の場合よりも著しく変化する。そのため、所定の燃焼条件時と燃焼安定性が悪い燃焼条件時との出力変動の差に燃焼状態の悪化が顕著に表われ、デポジット付着の有無の検出精度が更に向上する。
【0013】
なお、燃焼安定性の悪い燃焼条件は、燃焼状態が所定の燃焼条件時よりも悪化する側の燃焼条件であり、例えば、空燃比としてはストイキ燃焼時の空燃比からリッチ又はリーンな空燃比としたり、あるいは、噴射時期としては進角又は遅角させたりする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る筒内直接噴射式内燃機関の実施の形態を説明する。
【0015】
本実施の形態では、本発明に係る筒内直接噴射式内燃機関を、自動車に搭載されるリーンバーンエンジンに適用する。本実施の形態に係るリーンバーンエンジンは、4サイクルの直噴エンジンであり、ガソリンの噴霧形状を所定の形状に形成することができる。
【0016】
図1〜図3を参照して、リーンバーンエンジン1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るリーンバーンエンジンの構成図である。図2は、本実施の形態に係るインジェクタから噴射するガソリンの噴霧形状を示し、(a)が噴霧形状が正常の場合であり、(b)が噴霧形状が異常の場合である。図3は、本実施の形態に係るリーンバーンエンジンにおける運転条件(空燃比、噴射時期)と燃焼状態との関係を示す図である。
【0017】
リーンバーンエンジン1では、低負荷時にはリーンバーン(希薄燃焼)(理想空燃比より空気の割合が多い空燃比での燃焼)により成層運転を行い、高負荷時にはストイキ燃焼(理想空燃比近辺での燃焼)により均質運転を行う。また、リーンバーンエンジン1では、シリンダ内にガソリンを直接噴射し、所定の噴霧形状を形成している(図2(a)参照)。特に、成層運転時には、リーンバーンエンジン1では、点火プラグの下部にガソリンを集め、点火プラグ周辺にガソリンの割合の多い混合ガスを集中させる。このリーンバーンエンジン1は、主なものとして、エンジン本体2、燃料噴射装置3及びエンジンECU[Electronic Control Unit]4を備えている。
【0018】
エンジン本体2は、複数の筒としてのシリンダ2aを有している。各シリンダ2aのヘッド2bの側部には、燃料噴射装置3のインジェクタ3aが配設されている(図2参照)。このインジェクタ3aは、噴孔部を含む先端部がシリンダ2aの内部に配置される。したがって、各シリンダ2aでは、インジェクタ3aからガソリンが直接噴き込まれる。また、各シリンダ2aのヘッド2bの中央部には、点火プラグ2cが配設されている。
【0019】
図2(a)に示すように、通常、インジェクタ3aから噴射されるガソリンは、点火プラグ2cの下部にガソリンが集中するように、拡散が抑制された噴霧形状A1を形成している。一方、図2(b)に示すように、ガソリン中の炭化成分がデポジットDとしてインジェクタ3aの噴孔部周辺やピストン2dのヘッド部分に付着した場合、インジェクタ3aから噴射されるガソリンは、シリンダ2a内で拡散し、噴霧形状A2を形成する。この噴霧形状A2の場合、噴霧形状A1の時のように正常に爆発燃焼できないので(ガソリンが全量燃焼しなくなるので)、燃焼状態が悪化し、ドライバビリティの悪化を招く。特に、成層運転を行っている場合には、点火プラグ2bの周辺にガソリンを集めることができないので、成層運転を正常に行うことができない。
【0020】
エンジン本体2では、点火プラグ2cの点火時期、排気バルブ(図示せず)や吸気バルブ(図示せず)の開弁時期及び閉弁時期等がエンジンECU4によって制御されており、エンジンECU4からのエンジン制御信号ES等に基づいて各部が動作する。また、エンジン本体2は、各部に各種センサが設けられており、各種センサからエンジンECU4に検出信号を送信している。この検出信号としては、例えば、クランクシャフト(図示せず)に設けられた電磁ピックアップ式のセンサによって検出されたクランクシャフトの単位時間当たりの回転角度(あるいは、回転数)を示す回転信号RSがある。
【0021】
燃料噴射装置3は、シリンダ2a毎に燃料噴射弁としてのインジェクタ3aを備えており、各インジェクタ3aにガソリンタンク(図示せず)に接続する高圧ポンプ(図示せず)からガソリンを送り込んでいる。燃料噴射装置3は、電子制御式であり、インジェクタ3aにおける噴射量、噴射圧、噴射パルス幅(噴射時間)、噴射時期等がエンジンECU4によって制御されており、エンジンECU4からのインジェクタ制御信号ISに基づいて各インジェクタ3aからガソリンGを噴射する。また、燃料噴射装置3は、各インジェクタ3aにおける動作を検出しており、検出した噴射パルス幅等を示す検出信号DSをエンジンECU4に送信している。
【0022】
エンジンECU4は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等からなる電子制御ユニットである。エンジンECU4は、各種センサが接続され、各種センサからの検出値に基づいて各種制御量等を設定し、エンジン本体2及び燃料噴射装置3等のエンジン本体2に関連する各部を制御する。エンジンECU4では、アクセルペダルの開度や踏込速度等に基づいてエンジンの運転条件(空燃比、噴射時期、点火時期等)を決定し、インジェクタ制御信号ISやエンジン制御信号ES等を送信する。また、エンジンECU4では、エンジン負荷等に基づいて成層運転かあるいは均質運転かを決定し、各運転に応じて運転条件を決定する。
【0023】
なお、図3に示すように、運転条件としては、燃焼状態が安定となる噴射時期と空燃比の領域がある。この安定な領域から噴射時期を遅角側又は進角側に運転条件を変えた場合、燃焼状態が不安定となり、遅角側又は進角側の度合いが大きくなるとドライバビリティが悪化する。また、この安定な領域から空燃比をリッチ側又はリーン側に運転条件を変えた場合、燃焼状態が不安定となり、リッチ側又はリーン側の割合が大きくなるとドライバビリティが悪化する。特に、噴射時期を進角側あるいは空燃比をリーン側に運転条件を変えた場合、燃焼状態が不安定になり易い。また、噴霧形状が正常な状態から異常な状態に変化すると、燃焼状態が安定な運転条件の場合でも燃焼状態が不安定となり、さらに、燃焼状態が不安定な運転条件の場合にはドライバビリティの悪化を招く。
【0024】
さらに、エンジンECU4では、インジェクタ3aやシリンダ2aの内部にデポジットが付着しているか否かを検出し、付着している場合には燃焼状態の悪化を防止するための制御を行う。
【0025】
エンジンECU4では、アイドル状態で、燃焼状態が最も安定した運転条件(所定の燃焼条件に相当)の時にデポジットの付着検出を行う。最も安定した運転条件とは、図3に示すように、燃焼状態が安定な運転条件の中でも最も安定した運転条件Cであり、噴射時期が最適な時期であり、空燃比が理想空燃比近辺である。エンジンECU4では、空燃比(燃料噴射量と吸入空気量)、噴射時期、噴射パルス幅、点火時期、ISC[idle Speed Control]流量等が運転条件Cとなる値に設定し、各種制御信号を送信する。ちなみに、デポジットの付着検出をアイドル状態で行うのは、この検出では燃焼状態が不安定となる運転条件に変更するので、走行中等に行うとドライバビリティの悪化を招く場合があり、エンジンが最も安定しているアイドル状態の時に行う。また、最も安定した運転条件とするのは、その運転条件の時の出力変動と燃焼状態が不安定な運転条件の時の出力変動との差に燃焼状態の悪化が顕著に表われるからである。
【0026】
そして、エンジンECU4では、運転条件を噴射時期を所定量遅角させた運転条件(所定の燃焼条件より燃焼安定性の悪い燃焼条件に相当)に変更する。エンジンECU4では、この遅角の前後でエンジン回転数の変動レベルを算出する。エンジン回転数の変動レベルは、エンジン本体2からの回転信号RSに基づいて算出され、単位時間当たりのクランクシャフトの回転数(すなわち、単位時間当たりのエンジン回転数)である。なお、遅角させる所定量は、デポジットの付着の影響による燃焼状態の悪化がエンジンの出力変動の変化として確実に検出可能な遅角量であり、例えば5°〜10°程度である。
【0027】
このように噴射時期を遅角させると、燃焼状態が悪化し、エンジン回転数やエンジントルク等の出力変動が変化する。さらに、デポジットの付着によってインジェクタ3aの噴射量が変化したりあるいは噴霧形状が変化した場合、エンジンの出力変動が大きく変化する。特に、成層運転の場合、噴霧形状が変化すると、燃焼状態が悪化するので、エンジンの出力変動が顕著に変化する。そこで、噴射時期を遅角させて、その遅角前後でのエンジンの出力変動の変化を検出することによって、デポジットの付着有無の検出精度を向上させている。また、噴射時期を遅角させた場合は、噴射時期を進角させた場合に比べて燃焼状態が不安定となりにくい。つまり、デポジットの付着検出時には、検出精度を上げるとともに燃焼状態の不安定になるのも抑えている。
【0028】
さらに、エンジンECU4では、その遅角前後のエンジン回転数の変動レベルの差を算出し、その変動レベル差が許容レベル差より大きいか否かを判定する。噴射時期を遅角させた場合、上記したように燃焼状態が不安定となり、遅角させない場合に比べてエンジンの出力変動レベルも多少変化する。そのため、デポジットが付着していない場合でも遅角前後で変動レベル差が発生するので、この変動レベル差をデポジットの付着と検出しないように許容レベル差を設けている。
【0029】
そして、エンジンECU4では、変動レベル差が許容レベル差より大きい場合にはデポジットが付着していると判定し、変動レベル差が許容レベル差以下の場合にはデポジットが付着していないと判定する。デポジットの付着と判定した場合、エンジンECU4では、噴射時期を吸気行程固定に運転条件を変更する。この場合、エンジンECU4では、均質運転として各部を制御する。デポジットの未付着と判定した場合、エンジンECU4では、噴射時期を燃焼状態が最も安定した運転条件Cの時の噴射時期に戻す。
【0030】
ちなみに、吸気行程では、ピストン2dが下降かつ吸気バルブが開き、ガソリンと空気とがミキシング中である。そのため、噴霧形状がどのような形状でも、ガソリンが拡散されるので、燃焼への影響が少ない。したがって、デポジットの付着によって異常な噴霧形状に変化していても、吸気行程中にインジェクタ3aからガソリンを噴射すると、燃焼状態に影響を及ぼさない。なお、このデポジットの付着検出では噴霧形状の変化に対する検出精度が高いので、デポジットを付着検出時には噴霧形状の変化に対する対応処理を行っている。この対応処理に加えて、デポジットを積極的に除去する処理を行ってもよい。
【0031】
図4のフローチャートに沿って、リーンバーンエンジン1におけるデポジット付着検出動作を説明する。図4は、本実施の形態に係るデポジットの付着の有無の検出動作を示すフローチャートである。なお、リーンバーンエンジン1では、このデポジットの付着検出動作を1回の走行で(エンジン始動から停止までの間に)1回だけ行う。
【0032】
エンジンECU4では、検出動作を行うための前提条件としてアイドル状態か否かを判定し(S1)、アイドル状態でない場合には処理を終了する。処理を終了した場合、エンジンECU4では、一定時間後等に再度、S1の処理を実行する。
【0033】
アイドル状態の場合、エンジンECU4では、所定の運転条件として燃焼状態が最も安定した運転条件Cか否かを判定し(S2)、所定の運転条件となっている場合にはステップS4の処理に移る。所定の運転条件でない場合、エンジンECU4では、所定の運転条件となるように各種制御信号を設定し、その制御信号を各部に送信する(S3)。この制御信号を受信すると、燃料噴射装置3等の各部では、所定の運転条件で動作し始める。
【0034】
続いて、エンジンECU4では、エンジン本体2から回転信号RSを取り入れ、回転信号RSに基づいて遅角前の回転変動レベルαを算出する(S4)。
【0035】
そして、エンジンECU4では、運転条件を燃焼状態が悪化する側にするために、噴射時期を所定量遅角側に設定したインジェクタ制御信号ISを設定し、燃料噴射装置3に送信する(S5)。そのインジェクタ制御信号ISを受信すると、燃料噴射装置3では、インジェクタ3の噴射時期を遅らせる(S5)。インジェクタ3の噴射時期が遅くなると、エンジン本体2では燃焼状態が多少不安定となる。
【0036】
続いて、エンジンECU4では、エンジン本体2から回転信号RSを取り入れ、回転信号RSに基づいて遅角後の回転変動レベルβを算出する(S6)。
【0037】
さらに、エンジンECU4では、回転変動レベルβから回転変動レベルαを減算し、回転変動レベル差(β−α)を算出する(S7)。
【0038】
そして、エンジンECU4では、回転変動レベル差(β−α)が許容レベル差より大きいか否かを判定する(S8)。
【0039】
ステップS8にて回転変動レベル差(β−α)が許容レベル差より大きい場合、エンジンECU4では、デポジットが付着していると判定する(S9)。そして、エンジンECU4では、噴射時期を吸気行程とするインジェクタ制御信号ISを設定し、燃料噴射装置3に送信し(S10)、処理を終了する。このインジェクタ制御信号ISを受信すると、燃料噴射装置3では、吸気行程中にインジェクタ3aからガソリンを噴射する(S10)。すると、エンジン本体2の各シリンダ2aでは、ガソリンの噴霧形状に関係なく、ガソリンと空気が混ざり合い、混合ガスとなる。そして、エンジン本体2では、均質運転により、安定した燃焼状態となる。
【0040】
ステップS8にて回転変動レベル差(β−α)が許容レベル差以下の場合、エンジンECU4では、デポジットが付着していないと判定する(S11)。そして、エンジンECU4では、噴射時期を所定の運転条件における噴射時期に設定し、燃料噴射装置3に送信し(S12)、処理を終了する。すると、エンジン本体2では、噴射時期が遅角前の状態となり(S12)、安定した燃焼状態となる。
【0041】
このリーンバーンエンジン1によれば、燃焼状態に応じて変化するエンジンの回転変動レベルに基づいてデポジットの付着を検出するので、噴霧形状の変化等も確実に検出でき、デポジット(ガソリン)のインジェクタ3aあるいはシリンダ2aの内部への付着を高精度に検出できる。さらに、リーンバーンエンジン1では、燃焼状態が安定な運転条件と燃焼状態が不安定な運転条件とにおける回転変動レベルの差を利用しているので、燃焼状態の変化を敏感に検知でき、検出精度が非常に高い。特に、リーンバーンエンジン1では、成層運転時には噴霧形状の変化によって燃焼状態の悪化が激しくなるので、噴霧状態の変化の検出精度が高い。
【0042】
また、このリーンバーンエンジン1では、デポジットが付着していると判定した場合、噴霧形状の変化の影響を受けない吸気行程中に噴射時期を固定するので、噴霧形状が変化していても燃焼状態が悪化しないし、ドライバビリティの悪化も招かない。
【0043】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0044】
例えば、本実施の形態ではリーンバーンエンジンに適用したが、リーン燃焼を行わないストイキ燃焼のみを行うエンジン等の他の直噴式のエンジンにも適用可能である。
【0045】
また、本実施の形態ではエンジンの出力変動としてエンジン回転数の変動レベルに基づいてデポジットの付着の有無を検出する構成としたが、エンジンで発生するトルクの変動レベル等の他のエンジンの出力変動に基づいてデポジットの付着の有無を検出する構成でもよい。また、本実施の形態では燃焼安定性の悪い燃焼条件として噴射時期を遅角させる構成としたが、噴射時期を進角させたり、あるいは、空燃比をリッチな空燃比又はリーンな空燃比とする等、他の燃焼安定性の悪い燃焼条件とする構成でもよい。
【0046】
また、本実施の形態ではデポジットが付着していることを検出した場合には異常になった噴霧形状による燃焼状態の悪化を防止するためにガソリンの噴射時期を吸気行程中に固定する構成としてが、付着を検出した場合には警報ランプを点灯する等してドライバに知らせたり、あるいは、ガソリンの噴射圧や噴射量を増大させて付着したデポジットを積極的に除去するように構成してもよい。
【0047】
また、本実施の形態ではこのデポジットの付着検出処理を1回の走行で1回だけ行う構成としたが、一定時間毎、一定距離走行毎、アイドル状態になる毎等に行ってもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料噴射弁や筒の内部へのデポジットの付着を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るリーンバーンエンジンの構成図である。
【図2】本実施の形態に係るインジェクタから噴射するガソリンの噴霧形状を示し、(a)が噴霧形状が正常の場合であり、(b)が噴霧形状が異常の場合である。
【図3】本実施の形態に係るリーンバーンエンジンにおける運転条件(空燃比、噴射時期)と燃焼状態との関係を示す図である。
【図4】本実施の形態に係るデポジットの付着の有無の検出動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…リーンバーンエンジン、2…エンジン本体、2a…シリンダ、2b…ヘッド、2c…点火プラグ、2d…ピストン、3…燃料噴射装置、3a…インジェクタ、4…エンジンECU
Claims (1)
- 筒内に燃料噴射弁から燃料を直接噴射する筒内直接噴射式内燃機関であって、
所定の燃焼条件における前記内燃機関の出力変動と、前記所定の燃焼条件より燃焼安定性が悪化する空燃比条件又は噴射時期条件へ変えた場合における前記内燃機関の出力変動との差が、デポジットが付着していない場合に前記所定の燃焼条件における前記内燃機関の出力変動と前記所定の燃焼条件より燃焼安定性が悪化する空燃比条件又は噴射時期条件へ変えた場合における前記内燃機関の出力変動との差に基づく許容レベル差よりも大きい場合に、前記燃料噴射弁及び/又は前記筒内にデポジットが付着していると判定することを特徴とする筒内直接噴射式内燃機関。
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