JP4415509B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットル開度を電子的に制御するいわゆる電子スロットルシステムを搭載した内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の電子スロットルシステム付き内燃機関(エンジン)においては、運転者のアクセル操作に即応した応答性の良いドライバビリティを実現するために、例えば特開平10−103116号公報に示すように、吸気系モデルを用いて要求空気流量(エンジンに供給すべき空気流量)を演算すると共に、実際の吸気圧(実吸気圧)を吸気圧センサで検出し、要求空気流量と実吸気圧に基づいて目標スロットル開度を演算し、この目標スロットル開度に応じてスロットルバルブを駆動するモータを制御して実スロットル開度を目標スロットル開度に一致させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スロットル開度と吸気圧から決まる空気流量特性(図6参照)は、システムの製造ばらつき等によってばらつきが生じる。これにより、図7に示すように、例えば、同じスロットル開度で空気流量が増加する方向にばらつきが発生した場合には、吸気マニホールドに流入する実空気流量が要求空気流量よりも多くなるため、実吸気圧がばらつきのない場合の吸気圧よりも高くなる。その結果、EGR流量(排気環流量)が減少して実吸気圧の変化が助長されるため、実吸気圧を用いて演算した目標スロットル開度が、ばらつきのない場合の吸気圧を用いて演算した目標スロットル開度よりも大きくなってしまい、それによって、実空気流量が要求空気流量よりも益々多くなるという悪循環に陥る。要するに、実吸気圧を用いて目標スロットル開度を演算すると、実空気流量のばらつきを更に助長する方向に目標スロットル開度が演算されてしまい、要求空気流量に対する実空気流量の制御精度(スロットル制御精度)が益々低下するという悪循環に陥る。
【0004】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、システムの製造ばらつき等によるスロットル開度−空気流量特性にばらつき(個体差)があっても、それによる誤差を助長することなく、目標スロットル開度を演算することができ、空気流量制御精度(スロットル制御精度)を向上することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の制御装置は、図1に例示するように、運転者が操作したアクセル開度等に基づいて内燃機関の燃焼によって発生すべき要求図示トルクを要求図示トルク演算手段1によって演算し、この要求図示トルク等に基づいて要求空気流量を要求空気流量演算手段2によって演算すると共に、この要求空気流量等に基づいて目標吸気圧を目標吸気圧演算手段4によって演算する。そして、目標スロットル開度演算手段5によって、実吸気圧を用いずに要求空気流量と目標吸気圧に基づいて目標スロットル開度を演算し、この目標スロットル開度に応じた制御信号をスロットルバルブ駆動手段6に出力して、スロットル開度を目標スロットル開度に一致させるように制御する。
【0006】
本発明は、システムの製造ばらつき等によるスロットル開度−空気流量特性のばらつきによって実吸気圧にばらつきが発生することを考慮し、更に、要求空気流量等に基づいて演算する目標吸気圧は、スロットル開度−空気流量特性のばらつきの影響を受けないことを考慮して、目標スロットル開度を演算する際に、実吸気圧を用いずに、目標吸気圧を用いて目標スロットル開度を演算するため、たとえ、スロットル開度−空気流量特性にばらつきがあっても、それによる誤差を助長することなく、目標スロットル開度を演算することができ、空気流量制御精度(スロットル制御精度)を向上することができる。
【0007】
また、排気環流量(EGR流量)を制御する排気環流制御弁(EGR制御弁)及び/又はバルブタイミング(VVT進角値)を可変する可変バルブタイミング機構を備えたシステムに本発明を適用する場合は、請求項2のように、排気環流量及び/又はバルブタイミングを考慮して目標吸気圧を演算するようにすると良い。つまり、吸気圧を変化させる要因となるエンジン制御パラメータは、空気流量のみではなく、排気環流量やバルブタイミングも、吸気圧を変化させる要因となるため、排気環流制御弁及び/又は可変バルブタイミング機構を備えたシステムでは、請求項2のように、排気環流量及び/又はバルブタイミングを考慮して目標吸気圧を演算すれば、排気環流量及び/又はバルブタイミングによる吸気圧変化分を考慮して目標吸気圧を演算することができ、目標吸気圧の演算精度を向上することができる。
【0008】
ところで、内燃機関の筒内に吸入される空気量が少なくなり過ぎると、筒内の圧力が低くなり過ぎて、ピストンの隙間からエンジンオイルを筒内に吸い上げる現象(以下「オイル吸い上げ現象」という)が発生して、オイル消費量増加、排気エミッション悪化を招く可能性がある。
【0009】
この対策として、請求項3のように、要求空気流量の下限値を最低空気流量ガード手段3(図1参照)で制限して目標スロットル開度を演算するようにすると良い。このようにすれば、要求空気流量の下限値を、オイル吸い上げ現象が発生しない範囲内に制限することが可能となり、要求空気流量が最低となる運転条件のときでも、オイル吸い上げ現象の発生を防止できて、オイル吸い上げ現象によるオイル消費量増加、排気エミッション悪化の問題を解消することができる。
本発明は、請求項4のように、要求空気流量と目標吸気圧とから決まる空気流量特性マップに基づいて目標スロットル開度を演算するようにすると良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を筒内噴射式エンジンに適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
まず、図2に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。筒内噴射式内燃機関である筒内噴射式エンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ(図示せず)が設けられ、このエアクリーナの下流側には、吸入空気量を検出するエアーフローメータ13が設けられている。このエアーフローメータ13の下流側には、DCモータ等のモータ14(スロットルバルブ駆動手段)によって開度調節されるスロットルバルブ15が設けられている。このモータ14がエンジン電子制御回路(以下「ECU」と表記する)16からの出力信号に基づいて駆動されることで、スロットルバルブ15の開度(スロットル開度)が制御され、そのスロットル開度によって各気筒ヘの吸入空気量が調節される。
【0012】
このスロットルバルブ15の下流側にはサージタンク17が設けられ、このサージタンク17に、吸気圧を検出する吸気圧センサ18が取り付けられている。サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が接続され、各気筒の吸気マニホールド19内には、エンジン11の筒内のスワール流を制御するためのスワールコントロールバルブ20が設けられている。
【0013】
エンジン11の各気筒の上部には、燃料を筒内に直接噴射する燃料噴射弁21が取り付けられ、燃料タンク22内の燃料が燃料ポンプ23によって高圧に加圧されて各気筒の燃料噴射弁21に供給され、その燃料の圧力(燃圧)が燃圧センサ24によって検出される。エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ25が取り付けられ、各点火プラグ25の火花放電によって筒内の混合気に点火される。
【0014】
エンジン11の吸気バルブ26と排気バルブ27は、それぞれカム軸28,29によって駆動され、吸気側のカム軸28には、運転状態に応じて吸気バルブ26の開閉タイミング(VVT進角値)を可変する油圧式の可変バルブタイミング機構30が設けられている。この可変バルブタイミング機構30を駆動する油圧は、油圧制御弁31によって制御される。エンジン11の各気筒のピストン32の往復運動によってクランク軸33が回転駆動され、このクランク軸33の回転トルクによって補機類34(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)と車両駆動系が駆動される。エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する水温センサ35が取り付けられている。
【0015】
一方、エンジン11の排気管36には、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒37が設けられ、この触媒37の上流側に排出ガスの空燃比(又はリッチ/リーン)を検出する空燃比センサ38(又は酸素センサ)が設けられている。排気管36のうちの空燃比センサ38の上流側とサージタンク17との間には、排出ガスの一部を吸気側に環流させるためのEGR配管39が接続され、このEGR配管39の途中に排気環流量(EGR量)を制御するEGRバルブ40(排気環流制御弁)が設けられている。
【0016】
エンジン運転状態を制御するECU16は、マイクロコンピュータを主体として構成され、そのROM(記憶媒体)に記憶された図3のスロットル制御プログラムを実行することで、図1に示す要求図示トルク演算手段1、要求空気流量演算手段2、最低空気流量ガード手段3、目標吸気圧演算手段4、目標スロットル開度演算手段5の各機能を実現する。
【0017】
要求図示トルク演算手段1は、アクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ41の出力等に基づいて要求図示トルクを算出する。ここで、要求図示トルクは、図示トルクの要求値(目標値)であり、図示トルクは、エンジン11の燃焼によって発生するトルク、つまりエンジン11の内部損失トルクや外部負荷損失トルク(補機類34の負荷)を含めたトルクである。従って、図示トルクから内部損失トルクや外部負荷損失トルクを差し引いたトルクは、クランク軸33から取り出される軸トルク(正味トルク)となり、この軸トルクによって車両駆動系が駆動される。
【0018】
要求図示トルク演算手段1は、アクセルセンサ41の出力(アクセル開度)、エンジン回転速度Ne 等に基づいてマップ又は数式によって要求軸トルクTdrv を算出し、この要求軸トルクTdrv に各種の損失トルクTloss(=内部損失トルク+外部負荷損失トルク)を加算して要求図示トルクTind を求める(Tind =Tdrv +Tloss)。
【0019】
ここで、内部損失トルクは、機械摩擦損失とポンピング損失であり、機械摩擦損失は、エンジン回転速度Ne と冷却水温THWとに基づいてマップ又は数式によって算出され、ポンピング損失は、エンジン回転速度Ne と吸気圧Pmとに基づいてマップ又は数式によって算出される。また、外部負荷損失トルクは、エンジン11の動力で駆動される補機類34(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、パワーステアリングのポンプ等)の負荷トルクであり、エアコン信号、オルタネータの負荷電流等に応じて算出される。
【0020】
尚、要求図示トルクTind を演算する際に、アイドルスピードコントロール(ISC制御)によるトルク増減分を補正して要求図示トルクTind を求めるようにしたり、或は、上記以外の損失・負荷を追加したり、反対に、上記の内部損失や外部負荷から一部の損失・負荷を無視して演算処理を簡略化するようにしても良い。
【0021】
一方、要求空気流量演算手段2は、要求図示トルク演算手段1で演算した要求図示トルクTind とエンジン回転速度Ne に基づいてマップ又は数式により要求空気流量Gareqを演算する。
【0022】
また、最低空気流量ガード手段3は、要求空気流量Gareqの下限値を制限するのに用いる最低空気流量Gaminを次式により演算する。
Gamin=η×Vc ×Pm ×Ne /(120×R×To )
η:充填効率
Vc :シリンダ容積
Pm :吸気圧
Ne :エンジン回転速度
R:気体定数
To :大気温度
この最低空気流量Gaminは、筒内圧力の極端な低下によるオイル吸い上げ現象が発生するのを防止するための下限ガード値としての役割を果たす。
【0023】
そして、最低空気流量ガード手段3は、要求空気流量演算手段2で演算した要求空気流量Gareqを最低空気流量Gaminと比較し、要求空気流量Gareqと最低空気流量Gaminのうちの大きい方を最終的な要求空気流量Gacylreq として選択する。
【0024】
Gacylreq =max(Gareq,Gamin)
つまり、Gareq≧Gaminの場合
Gacylreq =Gareq
Gareq<Gaminの場合
Gacylreq =Gamin
これにより、最終的な要求空気流量Gacylreq の下限値が最低空気流量Gaminで制限(ガード処理)される。
【0025】
一方、目標吸気圧演算手段4は、要求空気流量Gareq、EGR流量Megr 、エンジン回転速度Ne 、充填効率ηVol 、大気温度To 、シリンダ容積Vc 、気体定数R等を用いて次式により目標吸気圧Pmtg を演算する(図4参照)。
Pmtg =(120/Ne )・(R・To /Vc )・(1/ηVol )・(Gareq+Megr )
ここで、(Gareq+Megr )は、要求空気流量GareqにEGR流量Megr を加算した空気流量であり、吸気マニホールド19内を流れて筒内に流入する空気流量に相当する。
【0026】
また、図5に示すように、EGR流量Megr は、EGR開度θegr 、吸気圧Pm 、排気圧力Pe 、排気温度Te を用いて、次式により演算する。
Megr =g(θegr )・Pe /√Te ・Φ(Pm /Pe )
【0027】
ここで、g(θegr )は、EGR開度θegr に応じてEGR開度−EGR流量特性のマップにより演算する流量特性値である。また、Φ(Pm /Pe )は、吸気圧Pm と排気圧力Pe との比に応じてマップ等により演算する圧力特性値である。尚、図4のシステムでは、吸気圧Pm は、目標吸気圧Pmtg を一次遅れ処理して求めるようにしているが、吸気圧センサ18の検出値(実吸気圧)を用いるようにしても良い。
【0028】
また、充填効率ηVol は、エンジン回転速度Ne と吸気圧Pm に基づいてマップにより演算される。この際、吸気バルブタイミング(VVT進角値)も考慮して、充填効率ηVol を演算するようにしても良い。
【0029】
一方、目標スロットル開度演算手段5は、要求空気流量Gacylreq と目標吸気圧Pmtg 等に基づいて目標スロットル開度Tthtgを次のようにして演算する。
【0030】
まず、要求空気流量Gacylreq 、目標吸気圧Pmtg 、大気圧力Po に基づいて空気流量特性値f(Thr)を次式により演算する。
【0031】
【数1】
【0032】
ここで、Φ(Pmtg /Po )は、目標吸気圧Pmtg と大気圧力Po との比に応じてマップ等により演算する圧力特性値である。
そして、空気流量特性値f(Thr)に基づいて、スロットル開度−空気流量特性の逆特性マップにより目標スロットル開度Tthtgを演算する。
【0033】
以上説明した方法で目標スロットル開度Thrtgを演算する処理は、図3に示すスロットル制御プログラムによって実行される。本プログラムは、ECU16により所定時間毎又は所定クランク角毎に実行される。本プログラムが起動されると、まずステップ101で、アクセル開度とエンジン回転速度Ne に基づいてマップ又は数式により要求軸トルクTdrv を演算する。この際、車速等の他の運転条件も考慮して要求軸トルクTdrv を演算するようにしても良い。
【0034】
そして、次のステップ102で、内部損失トルク(機械摩擦損失、ポンピング損失)と、外部負荷損失トルク(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、パワーステアリングのポンプ等の負荷トルク)を演算して、それらを合計した損失トルクTlossを求める。
Tloss=内部損失トルク+外部負荷損失トルク
【0035】
この後、ステップ103に進み、要求軸トルクTdrv に損失トルクTlossを加算して要求図示トルクTind を求める。
Tind =Tdrv +Tloss
【0036】
そして、次のステップ104で、要求図示トルクTind とエンジン回転速度Ne に基づいてマップ又は数式により要求空気流量Gareqを演算した後、ステップ105に進み、エンジン回転速度Ne と吸気圧Pm に基づいて充填効率ηVol をマップにより演算する。この際、吸気バルブタイミング(VVT進角値)も考慮して、充填効率ηVol を演算するようにしても良い。
【0037】
この後、ステップ106に進み、EGR開度θegr 、排気圧力Pe 、吸気圧Pm 、排気温度Te を用いて、次式によりEGR流量Megr を演算する。
Megr =g(θegr )・Pe /√Te ・Φ(Pm /Pe )
この際、流量特性値g(θegr )は、EGR開度θegr に応じてEGR開度−EGR流量特性のマップにより演算し、圧力特性値Φ(Pm /Pe )は、吸気圧Pm と排気圧力Pe との比に応じてマップ等により演算する。
【0038】
尚、上記ステップ105,106で用いる吸気圧Pm は、目標吸気圧Pmtg を一次遅れ処理して求めるようにしても良いが、吸気圧センサ18の検出値(実吸気圧)を用いるようにしても良い。
【0039】
そして、次のステップ107で、要求空気流量Gareq、EGR流量Megr 、エンジン回転速度Ne 、充填効率ηVol 、大気温度To 、シリンダ容積Vc 、気体定数R等を用いて、次式により目標吸気圧Pmtg を演算する(図4参照)。
Pmtg =(120/Ne )・(R・To /Vc )・(1/ηVol )・(Gareq+Megr )
【0040】
この後、ステップ108に進み、要求空気流量Gareqの下限値を制限するために用いる最低空気流量Gaminを、エンジン回転速度Ne 、吸気圧Pm 、大気温度To 、充填効率ηを用いて次式により演算する。
Gamin=η×Vc ×Pm ×Ne /(120×R×To )
【0041】
そして、前記ステップ104で演算した要求空気流量Gareqを、最低空気流量Gaminと比較し、要求空気流量Gareqと最低空気流量Gaminのうちの大きい方を最終的な要求空気流量Gacylreq として選択する。これにより、最終的な要求空気流量Gacylreq の下限値が最低空気流量Gaminで制限(ガード処理)される。
【0042】
この後、ステップ109に進み、要求空気流量Gacylreq と目標吸気圧Pmtg 等に基づいて目標スロットル開度Tthtgを次のようにして演算する。まず、要求空気流量Gacylreq 、目標吸気圧Pmtg 、大気圧力Po に基づいて空気流量特性値f(Thr)を演算する。その後、この空気流量特性値f(Thr)に基づいて、スロットル開度−空気流量特性の逆特性マップにより目標スロットル開度Tthtgを演算する。
【0043】
そして、次のステップ110で、この目標スロットル開度Tthtgに応じた制御信号をモータ14に出力して、スロットル開度を目標スロットル開度Tthtgに一致させるように制御する。
【0044】
以上説明した本実施形態では、システムの製造ばらつき等によるスロットル開度−空気流量特性のばらつきによって実吸気圧にばらつきが発生することを考慮し、更に、要求空気流量Gacylreq 等に基づいて演算する目標吸気圧Pmtg は、スロットル開度−空気流量特性のばらつきの影響を受けないことを考慮して、目標スロットル開度Tthtgを演算する際に、実吸気圧を用いずに、目標吸気圧Pmtg を用いて目標スロットル開度Tthtgを演算するため、たとえ、スロットル開度−空気流量特性にばらつきがあっても、それによる誤差を助長することなく、目標スロットル開度Tthtgを演算することができ、空気流量制御精度(スロットル制御精度)を向上することができる。
【0045】
しかも、本実施形態では、EGR流量Megr が吸気圧を変化させる要因となることを考慮して、EGR流量Megr も目標吸気圧Pmtg の演算式の中に組み入れるようにしたので、EGR流量Megr による吸気圧変化分を考慮して目標吸気圧Pmtg を演算することができ、目標吸気圧Pmtg の演算精度を向上することができる。
【0046】
尚、目標吸気圧Pmtg の演算式の中に含まれる充填効率ηVol を演算する際に、吸気バルブタイミング(VVT進角値)も考慮して充填効率ηVol を演算するようにすれば、吸気バルブタイミングによる吸気圧変化分も考慮して、目標吸気圧Pmtg を演算することができ、目標吸気圧Pmtg の演算精度を更に向上することができる。また、キャニスタ内に吸着したエバポガス(燃料蒸発ガス)を吸気系にパージするエバポパージシステムを備えたエンジンでは、エバポガスのパージ量も考慮して目標吸気圧Pmtg を演算するようにすれば、エバポガスのパージによる吸気圧変化分も考慮して、目標吸気圧Pmtg を精度良く演算することができる。
【0047】
ところで、エンジン11の筒内に吸入される空気量が少なくなり過ぎると、筒内の圧力が低くなり過ぎて、ピストンの隙間からエンジンオイルを筒内に吸い上げる現象(オイル吸い上げ現象)が発生して、オイル消費量増加、排気エミッション悪化を招く可能性がある。
【0048】
この対策として、本実施形態では、要求空気流量Gacylreq の下限値を最低空気流量Gaminで制限して目標スロットル開度Tthtgを演算するようにしたので、要求空気流量Gacylreq の下限値を、オイル吸い上げ現象が発生しない範囲内に制限することが可能となり、要求空気流量Gacylreq が最低となる運転条件のときでも、オイル吸い上げ現象の発生を防止できて、オイル吸い上げ現象によるオイル消費量増加、排気エミッション悪化の問題を解消することができる。
【0049】
尚、本実施形態では、可変バルブタイミング機構とEGRシステムの両方を備えているが、これらのうちの片方又は両方のシステムが無いエンジンにも本発明を適用して実施できる。
【0050】
その他、本発明は、筒内噴射式エンジンに限定されず、電子スロットルシステムを搭載した吸気ポート噴射式エンジンにも適用して実施できる等、種々変更して実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスロットル制御系の構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施形態を示す筒内噴射式エンジン制御システム全体の概略構成図
【図3】スロットル制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図4】要求空気流量等から目標スロットル開度を演算するモデルを示すブロック図
【図5】EGR流量を演算するモデルを示すブロック図
【図6】スロットル開度と吸気圧から決まる空気流量特性の一例を示す図
【図7】従来のスロットル開度−空気流量特性のばらつきに起因する問題点を説明する図
【符号の説明】
1…要求図示トルク演算手段、2…要求空気流量演算手段、3…最低空気流量ガード手段、4…目標吸気圧演算手段、5…目標スロットル開度演算手段、6…スロットルバルブ駆動手段、11…筒内噴射式エンジン(内燃機関)、12…吸気管、13…エアフローメータ、14…モータ(スロットルバルブ駆動手段)、15…スロットルバルブ、16…ECU(要求図示トルク演算手段,要求空気流量演算手段,最低空気流量ガード手段,目標吸気圧演算手段,目標スロットル開度演算手段)、17…サージタンク、18…吸気圧力センサ、19…吸気マニホールド、21…燃料噴射弁、30…可変バルブタイミング機構、33…クランク軸、34…外部負荷、36…排気管、40…EGRバルブ(排気環流制御弁)、41…アクセルセンサ。
Claims (4)
- 目標スロットル開度を演算する目標スロットル開度演算手段と、前記目標スロットル開度に基づいてスロットルバルブを駆動するスロットルバルブ駆動手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
運転者が操作したアクセル開度等に基づいて内燃機関の燃焼によって発生すべき要求図示トルクを演算する要求図示トルク演算手段と、前記要求図示トルク等に基づいて要求空気流量を演算する要求空気流量演算手段と、前記要求空気流量等に基づいて目標吸気圧を演算する目標吸気圧演算手段とを備え、
前記目標スロットル開度演算手段は、実吸気圧を用いずに前記要求空気流量と前記目標吸気圧とに基づいて前記目標スロットル開度を演算することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 排気環流量を制御する排気環流制御弁及び/又はバルブタイミングを可変する可変バルブタイミング機構を備え、
前記目標吸気圧演算手段は、前記排気環流量及び/又は前記バルブタイミングを考慮して前記目標吸気圧を演算することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記要求空気流量の下限値を制限する最低空気流量ガード手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記目標スロットル開度演算手段は、前記要求空気流量と前記目標吸気圧とから決まる空気流量特性マップに基づいて前記目標スロットル開度を演算することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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