JP2008012877A - 延伸フィルムならびにその成型品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、高温雰囲気下でフィルムが再延伸された際に、光学特性が変化しない延伸フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)が交互に50層以上積層されてなる延伸フィルムであり、かつ230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸したときの密度の変化量が0.4%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂からなる層を積層した延伸フィルムとその成型品に関するものである。
特定の波長の光のみを透過もしくは反射する性質をもつ製品は、様々な用途に用いられている。例えば、可視領域の光を高い割合で反射するものはコールドミラーとして、特定の狭い帯域の光のみを反射するものはダイクロイックミラーとして、赤外領域の光を反射するものは熱線カットフィルターとして広く利用されている。
また、それらの成型品も様々な分野に用いられており、例えば、可視領域の光を反射する成型品は金属と同様の概観を有することから、自動車関係の装飾部品をはじめとして各種家電機器、建築部材などの製品(部品)に用いられている。
各種成形部品へ特定波長を透過もしくは反射するという特性を付与する手法としては、最も一般的に用いられる手法は塗装である。塗装は容易に概観を調整することができる反面、様々な化学薬品を使用することが多く環境に与える影響が大きい。また、塗膜の影響でリサイクルが容易にできないこともあり、昨今の環境問題の高まりのなかで塗装工程の存在が問題視されている。
また、別の手法として金属のメッキや蒸着などがある。メッキや蒸着の場合も、金属層のためにリサイクルが困難であったりする問題があるが、特にメッキの場合には重金属による環境への影響が大きいため、その代替えが強く求められている。さらに、メッキや蒸着などの場合、その金属層のために電磁波シールド性が発生するため、自動車や携帯電話などの加飾材料として用いると、電波障害を生じたりする場合があり問題になりつつある。
一方、熱可塑性樹脂を多層に積層したフィルムは、種々提案されており、例えば、耐引裂性に優れた多層に積層したフィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止できるものとして利用されている(たとえば特許文献1〜3参照)。
また、屈折率の異なる樹脂層を交互に多層に積層することより、選択的に特定の波長を反射するフィルム(たとえば特許文献4〜6参照)等が存在する。これらの中で選択的に特定の波長を反射するフィルムは、特定の光を透過あるいは反射するフィルターとして作用し、液晶ディスプレイなどのバックライト用のフィルムとして利用されている。これらのフィルムは、リサイクルが可能であり、重金属を使用しないなど環境負荷を低減することが可能である。
しかしながら、このような手法で作製された多層積層フィルムは、成型加工の工程において高温雰囲気下でフィルムが微小ながらも再延伸されることで、フィルムの光学特性が変化し望んでいる性能を得られないという問題が生じている。
特開平6-190995号公報(第2頁) 特開平6-190997号公報(第2頁) 特開平10-76620号公報(第2頁) 特開2005-352237号公報(第2頁) 特開2005-313586号公報(第2頁) 特開2005-288784号公報(第2頁)
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、高温雰囲気下でフィルムが再延伸された際に、光学特性が変化しない延伸フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)が交互に50層以上積層されてなる延伸フィルムであり、かつ230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸したときの密度の変化量が0.4%以下であることを特徴とする延伸フィルムであることを特徴とする。
本発明は、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)が交互に50層以上積層されてなる延伸フィルムであり、かつ230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸したときの密度の変化量が0.4%以下であることを特徴とする延伸フィルムであることから、高温雰囲気下での延伸工程においてフィルムが再延伸された際に、光学特性が変化しない延伸フィルムを提供できるようになるものである。
また、250nm〜2600nmにおける最大反射率が60%以上である延伸フィルムであるころから、反射フィルターとして十分な性能を付与させることができるようになるものである。
上記目的を解決するため、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)が交互に50層以上積層されてなる延伸フィルムであり、かつ230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸したときの密度の変化量が0.4%以下であることを特徴とする延伸フィルムであることを特徴とする。
本発明の延伸フィルムは、230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸したときの密度の変化量が0.4%以下である必要がある。密度は延伸過程における配向結晶化の程度に関係しており、密度の変化量が低いということは、すなわち延伸過程での配向結晶化の程度が小さいということを意味している。一般的な樹脂は、配向結晶化する事により屈折率が上昇するが、本発明の積層フィルムは屈折率の変化に対応して反射特性が変化するという特徴を有しているため、配向結晶化に伴い反射特性が変化する。真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形工程では、高温雰囲気下での部分的なフィルムの延伸が生じるため、配向結晶化が生じることで部分的な反射特性の変化が生じる。そこで、密度変化が生じにくい延伸フィルムを提供することにより、各種成形加工において色目、反射特性がほとんど変化しない積層フィルムを提供することが可能となる。より好ましくは、密度の変化量が0.2%以下であり、この場合には各種成形加工において反射特性の変化がない成形加工に適した延伸フィルムを提供することが可能となる。
本発明の延伸フィルムは、延伸前のフィルムの反射率と230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸した後の反射率との差が25%以下であることが望ましい。再延伸後の屈折率の差が20%以下であれば、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形過程において延伸フィルムが部分的に再延伸された場合に延伸割合に対応して層の屈折率が変化し、その結果、反射帯域のシフトや反射率の変化が生じることを抑えることが可能となり、各種成形加工において色目、反射特性がほとんど変化しない積層フィルムを提供することが可能となる。好ましくは反射率の差が15%以下であり、より好ましくは5%以下である。再延伸後の屈折率の差が5%以下であると、各種成形加工において反射特性の変化がない成形加工に適した延伸フィルムを提供することが可能となる。
本発明の延伸フィルムは、A層もしくはB層に、光弾性係数が100×10―12Pa−1以下である熱可塑性樹脂からなる層を含まなければならない。光弾性係数が100×10―12Pa−1以上であると、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの高温雰囲気下での各種成形工程において延伸フィルムが再延伸された際にかかる応力により屈折率が変化し、その結果、延伸フィルム上での部分的な反射帯域のシフトや反射率の変化が生じるためである。好ましくは、A層もしくはB層に、光弾性係数が50×10―12Pa−1以下である熱可塑性樹脂が含まれることが望ましい。光弾性係数が小さくなるに従い、各種成形加工において反射特性の変化がない成形加工に適した延伸フィルムを提供することが可能となる。
本発明の延伸フィルムは、250〜2600nmにおける最大反射率が60%以上であることが望ましい。最大反射率が60%以上であると、特定帯域において、十分なフィルターもしくはミラーとしての性能を発揮することができる。好ましくは最大反射率が70%以上であり、より好ましくは80%以上である。最大反射率が80%以上であると、設計帯域の光はほぼ反射することが可能であり、良質のフィルターもしくはミラーとしての性能を発揮する。
本発明の樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を含むとは、A層とB層を厚み方向に交互に積層した構造を有している部分が存在することと定義される。すなわち、本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことが好ましく、A層とB層以外の第3の層以上についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。また、A層、B層、樹脂CからなるC層を有する場合には、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順列で積層されることがより好ましい。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
また、本発明では樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互に50層以上含まなければならない。A層とB層を50層以上積層した構造を含まないと、十分な反射率が得られなくなり、反射フィルターとして十分な性能を付与することができない。より好ましくは、200層以上であり、さらに好ましくはA層とB層の総積層数が600層以上である。A層とB層を積層した層数が増えるにつれて反射率を高めたり、反射帯域を広げたりすることが可能となり、A層とB層の総積層数が600層以上であると、波長帯域400nm〜1000nmの反射率を60%以上とすることが容易となる。また、積層数の上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、1500層以下であることが好ましい。
本発明における樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは、成形性が良好であるため、熱可塑性樹脂である。また、各樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。
本発明で言うポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸骨格を有する成分とジオール骨格を有する成分とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格を有する成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。グリコール骨格を有する成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。
本発明の延伸フィルムでは、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートからなり、熱可塑性樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることが望ましい。スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、ジオール骨格としてスピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタラートと比較して延伸過程における配向結晶化が生じにくく、その結果、光弾性係数や高温雰囲気下での再延伸における密度の変化量が小さくなり、各種成形加工において反射特性の変化がない成形加工に適した延伸フィルムを提供することが可能となる。また、他の脂肪族ジオールを含んでなるポリエステルと比較して、ガラス転移点がポリエチレンテレフタレートと近くなるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。
本発明の延伸フィルムでは、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートからなり、熱可塑性樹脂Bがイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、シクロヘキサンジガルボン酸、アジピン酸を含んでなるポリエステルであることが望ましい。イソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、シクロヘキサンジガルボン酸、アジピン酸を含んでなるポリエステルとは、モノマーとしてこれらを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。これらのモノマーを含むポリエステルは、ポリエチレンテレフタラートと比較して延伸過程における配向結晶化が生じにくく、その結果、光弾性係数や高温雰囲気下での再延伸における密度の変化量が小さくなり、各種成形加工において反射特性の変化がない成形加工に適した延伸フィルムを提供することが可能となる。より好ましくは、これらのモノマーを2種類以上含んでなることである。これらのモノマーを2種類以上含んでなることにより、より顕著にその効果が発現するようになり、さらに、ガラス転移点や屈折率の調整が容易になる。ガラス転移点を調整することで成形時に過延伸になりにくくかつ層間剥離もしにくくでき、屈折率を調整することで望まれる反射特性を発現させることが可能となるために好ましい。
本発明の延伸フィルムは、少なくとも230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸した際の融点Tmが延伸前と比較して2℃以上上昇する熱可塑性樹脂Aを含んでなることが望ましい。融点が上昇するということは、樹脂の結晶化度が上昇していることを示しており、結果として、樹脂の屈折率が上昇すること示している。樹脂Aからなる層の屈折率の上昇幅が樹脂Bからなる層の屈折率の上昇幅と比較して大きい場合、各層の面内屈折率の差が大きくなるため、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形時の反射率の低下を防ぐことができる。
本発明で言うA層とB層については、A層の面内平均屈折率はB層の面内平均屈折率より相対的に高いものである。また、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。
本発明における樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、樹脂Aと樹脂BのSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、樹脂Aからなる層と樹脂Aと同一の基本骨格を含む樹脂Bからなる層を有していることが好ましい。ここで基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また別の例としては、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。樹脂Aと樹脂Bが同一の基本骨格を含む樹脂であると、さらに層間での剥離が生じにくくなるものである。
樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、第二としては、樹脂Aと樹脂Bのガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、望んでいる光学特性が得られなくなる。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
本発明の延伸フィルムは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下であることが好ましい。このような場合、成形性に優れたものとなり、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。より好ましくは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上50MPa以下である。このような場合、より高い絞り比でも成形可能となる。150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下とするためには、樹脂Aが結晶性樹脂であり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコールなどの嵩高い基を有する非晶性樹脂であることが好ましい。このような場合、二軸延伸後においても樹脂Bはほとんど配向および結晶化していないため、引張応力が低くなるものである。
本発明の延伸フィルムでは、少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有することが好ましい。より好ましくは、5μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有する。また、両面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有するとさらに好ましい。3μm以上のポリエチレンテレフタレートからなる層がない場合には、表面に傷が入った場合などに、傷が非常に見えやすくなるため好ましくない。
本発明の延伸フィルムでは、その表面に易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
本発明の成形体としては、上記延伸フィルムを含んでなければならない。本発明の延伸フィルム以外に、ハードコート層、エンボス層、耐候層(UVカット層)、着色層、接着層、基材樹脂層などのいずれかを含んでなることも好ましい。このよう成形体は、ポリマーのみから構成することが可能であり、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。また、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成型法が適用できるため、低コストで成形体を得ることが可能である。本発明の成形体は、自動車内装や外装、携帯電話、各種家電製品、建材部品などの金属調装飾材として好適である。
次に、本発明の延伸フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
2種類の樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された樹脂AおよびBは、次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。本発明の特徴である樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互に50層以上積層した構造を含んでなることを達成するためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも1個有するフィードブロックを用いることが好ましい。さらに、本発明の効果を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロック(図1〜図4)を用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。このため、本発明の好ましい態様である以下の構成を達成することが容易になる。
a)樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)の総積層数が600層以上である。
b)波長帯域250nm〜2600nmにおける最大反射率が60%以上である
c)少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有する。
ここで、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックについて詳しく以下に説明する。図1は、当該フィードブロックにおいて別個に供給される樹脂A,Bから積層を形成する部分(「積層装置」と呼ぶ。)を示したものである。図1において、部材1〜9がこの順に重ねられ、積層装置10を形成する。
図1の積層装置10は、樹脂導入部材2,4,6,8に由来して4つの樹脂導入口を有するが、例えば樹脂Aを樹脂導入部材2,6の導入口11から供給し、樹脂Bを樹脂導入部材4,8の導入口11から供給する。
すると、スリット部材3は、樹脂導入部材2から樹脂A、樹脂導入部材4から樹脂Bの供給を受け、スリット部材5は、樹脂導入部材6から樹脂A、樹脂導入部材4から樹脂Bの供給を受け、スリット部材7は、樹脂導入部材6から樹脂A、樹脂導入部材8から樹脂Bの供給を受けることになる。
ここで、各スリットに導入される樹脂の種類は、樹脂導入部材2,4,6,8における液溜部12の底面とスリット部材における各スリットの端部との位置関係により決定される。すなわち、図3に示すように、スリット部材における各スリットの頂部の稜線13は、スリット部材の厚み方向に対して傾斜を有する(図2(b),(c))。そして、樹脂導入部材2,4,6,8における液溜部12の底面の高さは、前記稜線13の上端部14と下端部15との間の高さに位置する。このことにより、前記稜線13が上がった側からは樹脂導入部材2,4,6,8の液溜部12から樹脂が導入されるが(図3中16)、前記稜線13が下がった側からはスリットが封鎖された状態となり樹脂は導入されない。かくして各スリット毎に樹脂AまたはBが選択的に導入されるので、積層構造を有する樹脂の流れがスリット部材3,5,7中に形成され、当該部材3,5,7の下方の流出口17より流出する。
スリットの形状としては、樹脂が導入される側のスリット面積と樹脂が導入されない側のスリット面積が同一ではないことが好ましい。このような構造とすると、樹脂が導入される側と樹脂が導入されない側での流量分布を低減できるため、幅方向の積層精度が向上する。さらには、(樹脂が導入されない側のスリット面積)/(樹脂が導入される側のスリット面積)が0.2以上0.9以下であることが好ましい。より好ましくは0.5以下である。また、フィードブロック内の圧力損失が1MPa以上となることが好ましい。また、スリット長(図1中Z方向スリット長さの内、長い方)を20mm以上とすることが好ましい。一方、スリットの間隙や長さを調整することにより、各層の厚みを制御することが可能である。
また、各スリットに対応したマニホールドを有していることも好ましい。マニホールドにより、スリット内部での幅方向(図1中Y方向)の流速分布が均一化するため、積層されたフィルムの幅方向の積層比率を均一化することができ、大面積のフィルムでも精度良く積層することが可能となり、反射ピークの反射率を精度良く制御することができる。
また、一つの液溜部から二つ以上のスリット部材へ樹脂を供給することがより好ましい。このようにすると、例えわずかにスリット内部で幅方向に流量分布が生じていたとしても、次に説明する合流装置にてさらに積層されるため、積層比率としてはトータルでは均一化されるため、高次の反射帯域のむらを低減することが可能となる。
図1に示すようにスリット部材3,5,7の下方の流出口17は、3つの樹脂流れの積層構造が並列となる位置関係で配置され、また、樹脂導入部材4,6によって互いに隔てられている(図4中19L,20L,21L)。そこで、図4に示すような合流装置18により、中L−L’からM−M’にかけてのような、流路の規制による配置の転換が行われ(図4中19M,20M,21M)、3者の樹脂流れの積層構造も直列となる。当該樹脂流れは図4中M−M’からN−N’にかけて拡幅され、図4中N−N’より下流にて合流する。
かくして、極薄の樹脂層の任意かつ高精度な積層が可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。一方、従来の装置では、300層以上の積層を達成するためには、スクエアーミキサーを併用することが一般的であったが、このような方法では積層流が相似形で変形・積層されるために、任意の層厚みを達成することが困難であった。
次に、本発明の特徴である波長帯域250nm〜2600nmにおける最大反射率が60%以上とするためには、各層の層厚みを、下記式1に基づいて少なくとも波長帯域250nm〜2600nmの一部にて反射が起こるように設計する必要がある。また、反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
最大層対厚みから最小層対厚みまで徐々に厚みが薄くなる層構成に設計することが好ましい。この際、わずかな積層むらについては許容される。
さて、このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)積層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いても良い。
積層構造の具体的な求め方を、説明する。約4万倍のTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(2)加熱前の最大反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。バンドパスは2nm/servoとし、ゲインは3と設定し、250nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の走査速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として装置付属の酸化アルミニウム板を用い、サンプル測定時は、裏面からの反射による干渉をなくすために、マジックインキで黒塗りした。反射率の最大値とは、波長250〜2600nmにおける分光反射率の最大値のことであり、その波長を反射波長とした。
(3)ガラス転移温度・融点
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まず、はじめに1st Runで、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した後、290℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度・融点は2nd Runにおける値を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
(4)光弾性係数
短辺1cm長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルの厚みをd(μm)とする。このサンプルを(株)島津製作所社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをチェックに挟み長辺方向に1kg/mm(9.81×10Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いて位相差R(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=R/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。
(5)密度
JIS−K−7112(1980年改訂)の密度勾配管法により、臭化ナトリウム水溶液を用いてフィルムの密度を測定した。
(6)加熱試験後の最大反射率の変化量
(2)に記載の方法にて反射率を測定したサンプルを、230℃にて20分間予熱し、ストレッチャーを用いて230℃、10%/minの割合にて縦横同時に1.4倍ずつ再延伸した。このサンプルについて、反射率測定位置が同一となるようにしながら、(2)に記載の方法で反射率を測定した。なお、加熱後の最大反射率は波長250〜2600nmにおける分光反射率の最大値であり、加熱後の最大反射率(R2)/加熱前の最大反射率(R1)を最大反射率の変化量とした。
(7)加熱試験後の融点の変化量
(3)に記載の方法にて融点を測定したサンプルと同様のサンプルについて、230℃にて20分間予熱し、ストレッチャーを用いて230℃、10%/minの割合にて縦横同時に1.4倍ずつ再延伸した。このサンプルについて、(3)に記載の方法で融点を測定した。なお、加熱後の融点(Tm2)−加熱前の融点(Tm1)を融点の変化量とした。
(8)加熱試験後の密度の変化量
(5)に記載の方法にて密度を測定したサンプルを、230℃にて20分間予熱し、ストレッチャーを用いて230℃、10%/minの割合にて縦横同時に1.4倍ずつ再延伸した。このサンプルについて、(5)に記載の方法で密度を測定した。なお、{加熱後の密度(D2)−加熱前の密度(D1)}/D2を密度の変化量とした。
(実施例1)
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。実施例1においては、樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%含むポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた。また、樹脂Bとして、テレフタル酸に対しシクロヘキサンジカルボン酸を29mol%、エチレングリコールに対してスピログリコールを21mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/SPG/CHDC)を用いた。これら樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターを介した後、801層のフィードブロックにて合流させた。801層のフィードブロックとしては、図1および図4に示したような装置を用いた。なお、上記のフィードブロックは267個のスリットを有するスリット部材が3つからなるものであった。合流した樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、樹脂Aが401層、樹脂Bが400層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、各層対の厚みは図5のAのラインを目標とし、ここから各スリット流量を算出、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリットの形状を調整した。また、両表層部分は樹脂Aとなるようにし、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。この設計では、400nm〜1200nmに反射帯域が存在するものとなる。このようにして得られた計801層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した樹脂Aからなる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。なお、樹脂Aと樹脂Bが合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約8分となるように流路形状および総吐出量を設定した。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に8%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。こうして得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しシクロヘキサンジカルボン酸を50mol%、エチレングリコールに対してスピログリコールを50mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/SPG/CHDC)を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しアジピン酸を29mol%、エチレングリコールに対してスピログリコールを21mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/SPG/A)を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しイソフタル酸を50mol%、エチレングリコールに対してスピログリコールを50mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/SPG/I)を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しイソフタル酸を50mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/I)と、エチレングリコールに対してシクロヘキサンジエタノールを50mol%共重合したポリエチレンテレフタラート(CHDM共重合PET)を50:50の重量比で、二軸押出機にて混練しアロイ化した樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しアジピン酸を25mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/A)と、エチレングリコールに対してシクロヘキサンジエタノールを50mol%共重合したポリエチレンテレフタラート(CHDM共重合PET)を50:50の重量比で、二軸押出機にて混練しアロイ化した樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
樹脂Bとして、エチレングリコールに対しシクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDM共重合PET)[イーストマン製 PETG6763]とポリエチレンテレフタレートを85:15の重量比で、二軸押出機にて混練しアロイ化した樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しシクロヘキサンジカルボン酸を15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/A)を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しイソフタル酸を17.5mol%(PET/I)を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
樹脂Bとして、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2008012877
積層装置およびその構成部品 スリット部 スリット部と樹脂供給部とを連結した状態の断面図 合流装置
符号の説明
1:側板
2:樹脂A供給部
3:スリット部
3a、3b:スリット
4:樹脂B供給部
5:スリット部
6:樹脂A供給部
7:スリット部
8:樹脂B供給部
9:側板
10:積層装置
11:導入口
12:液溜部
18:合流装置

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)が交互に50層以上積層されてなる延伸フィルムであり、かつ230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸したときの密度の変化量が0.4%以下であることを特徴とする延伸フィルム。
  2. 延伸前のフィルムの反射率とかつ230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸した後の反射率の変化量が20%以下である請求項1に記載の延伸フィルム。
  3. A層、B層のうち、少なくとも一方の層の光弾性係数が100×10―12Pa−1以下である請求項1または2のいずれかに記載の延伸フィルム。
  4. 250nm〜2600nmにおける最大反射率が60%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の延伸フィルム。
  5. 230℃、10%/Secの延伸速度で縦横同時に1.4倍ずつ再延伸した後の融点Tmが延伸前と比較して2℃以上上昇する請求項1〜4のいずれかに記載の延伸フィルム。
  6. 熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートからなり、熱可塑性樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルからなる請求項1〜5のいずれかに記載の延伸フィルム。
  7. 熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートからなり、熱可塑性樹脂Bがイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、シクロヘキサンジガルボン酸、アジピン酸から選ばれる少なくとも2種類以上を含んでなるポリエステルからなる請求項1〜5のいずれかに記載の延伸フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の延伸フィルムを用いた成形品。
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