JP2008010511A - 磁気記憶装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】消費電力が大幅に低減された磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】任意方向に延在する配線5の一部を覆うようにヨーク20を配置し、配線の近傍には、配線5から生じる磁界によって情報の書込みが可能な磁気抵抗効果素子4を配置し、更に、ヨーク20の磁気抵抗をR、配線5に必要な書込み電流値をIwとした場合に、Iw≦a・R+b 但し、a(mA・H)=7.5E−11、b(mA)=0.1を満たすようにした。
【選択図】図5

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子に情報を記憶する磁気記憶装置に関するものである。
近年、コンピュータや通信機器等の情報処理装置に用いられる記憶デバイスとして、MRAM(Magnetic Random Access Memory)が注目されている。MRAMは、磁気によってデータを記憶することから、電気的な手段を用いなくてもその磁化方向が維持することができるので、揮発性メモリであるDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static RAM)のように電源断によって情報が失われるといった不都合を回避できる。また、従来のフラッシュEEPROMやハードディスク装置のような不揮発性記憶手段と比較して、MRAMはアクセス速度、信頼性、消費電力等において優れている。従って、MRAMは、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリとしての機能と、フラッシュEEPROMやハードディスク装置などの不揮発性記憶手段の機能のすべてを代替できると言われている(特許文献1)。
例えば、どこにいても情報処理を可能とするいわゆるユビキタスコンピューティングを目指した情報機器を開発する場合、高速処理に対応可能としながらも消費電力を小さくし、そして、電源断が生じても情報消失を回避できるような記憶装置が求められるが、MRAMはこのような要求を同時に満足できる可能性があり、今後、多くの情報機器に採用されることが期待されている。
特に、日常持ち歩くカードや携帯情報端末等については、十分な電源を確保できない場合が多い。従って、厳しい利用環境において大量の情報処理を実行するには、低消費電力とされるMRAMであっても、情報処理中の電力消費を一層低減させることが求められている。
MRAMにおける低消費電力化を進展される技術の一例として、例えば特許文献2又は特許文献3に記載された磁気記憶装置がある。これらの磁気記憶装置は、各記憶領域(メモリセル)毎に、ビット線と、ビット線と直行するように配置されたワード線と、このビット線とワード線の間であって、且つ交差する位置に配置されたトンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunneling Magneto−Resistive)素子等を備える。更にこれらの磁気記憶装置では、ビット線又はワード線におけるTMR素子近傍に、これら配線の周りを取り囲むヨーク(磁界制御層)が配置されている。ヨークは高透磁率の強磁性体によって構成されており、ビット線又はワード線から生じる磁束の漏れを低減させ、TMR素子に磁束を集中させる役割を果たす。この結果、TMR素子の磁化状態の反転に必要な磁界が、低消費電力でも得ることが出来る。また、磁束をTMR素子に集中させることができる。
なお、TMR素子とは、外部磁界によって磁化方向が変化する第1磁性層(感磁層)と、磁化方向が固定された第2磁性層と、第1磁性層と第2磁性層との間に挟まれた非磁性絶縁層とを備え、第1磁性層の磁化方向が第2磁性層の磁化方向に対して平行または反平行に制御されることにより二値データを記憶する素子である。
特許第3466470号公報 特開2000−90658号公報 特開2004−128430号公報
しかし、これらの磁気記憶装置に用いられるTMR素子は、サイズを小さくすればするほど、内部に生じる反磁界の影響が増大するので、書込み用の磁界を強めなければならない。従って、磁気記憶装置の集積度を高めようとすると、書込み電流値を大きくしなければならないという矛盾が生じ、磁気記憶装置の小型化・高記録密度化が困難であると一般的にいわれている。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、磁気記憶装置においても、大幅に小型化できることを明らかにし、消費電力の低減を達成する事を目的とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、磁気記憶装置についてスケーリイング法則が成立することを実験的・理論的に見出した。このスケーリイング法則を利用することで、上記目的は下記手段によって達成される。
(1)任意方向に延在する配線と前記配線の一部を覆う磁性層から成るヨークと、前記配線の近傍に配置され、前記配線から生じる磁界によって情報の書込みが可能な磁気抵抗効果素子と、を備え、前記ヨークの磁気抵抗をR(1/H)、前記配線に必要な書込み電流値をIw(mA)とした場合に、Iw≦a・R+b 但し、a(mA・H)=7.5E−11、b(mA)=0.1を満たす事を特徴とする磁気記憶装置。
(2)前記ヨークの磁気抵抗をR(1/H)、前記配線に必要な書込み電流値をIw(mA)とした場合に、更に、Iw≦a・R+b 但し、a(mA・H)=6.0E−11、b(mA)=0を満たす事を特徴とする上記(1)記載の磁気記憶装置。
(3)前記ヨークの断面積Sが、2E+5nm以下に設定されていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の磁気記憶装置。
(4)前記ヨークにおける周方向の一部に空隙が形成されており、前記空隙内又は前記空隙間に前記磁気抵抗効果素子が配置されていることを特徴とする上記(1)、(2)又は(3)記載の磁気記憶装置。
(5)前記空隙を形成する前記ヨークの端部と、前記空隙に収容される前記磁気抵抗効果素子の間の距離が、30nm以下に設定されていることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか記載の磁気記憶装置。
(6)前記磁気抵抗効果素子の前記磁界方向の長さが、800nm以下に設定されていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか記載の磁気記憶装置。
本発明によれば、書込み電流を大幅に小さくすることが可能になると共に、量産時等において、各磁気記憶装置間の書込み電流値のばらつきを低減させることができるという優れた効果を奏し得る。
以下、実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る磁気記憶装置1の全体構成を示す概念図である。磁気記憶装置1は、記憶部2、ビット選択回路11、ワード選択回路12、ビット配線13、14、並びにワード配線15、16を備える。記憶部2には、複数の記憶領域3がm行n列(m、nは2以上の整数)の二次元状(アレイ状)に配列されている。図2に拡大して示されるように、各記憶領域3は、TMR素子4、書込み配線5、読み出しトランジスタ6A、書込みトランジスタ6B、読み出し配線7a、7b、強磁性ヨーク20等を有する。なお、書込み配線5は、ビット配線13から引き込まれるように配設されていることから、記憶領域3毎に、書込み配線5、強磁性ヨーク20などが独立して配設されるようになっている。また、読み出し配線7a、7bは、本実施形態では書込み配線5から分岐するようにして配置されており、一方の読み出し配線7aと他方の読み出し配線7bの間にTMR素子4が介在するようになっている。
TMR(磁気抵抗効果)素子4は、磁化方向を変化させると、それに基づいて自身の抵抗値が変化する機能を有する。この抵抗値の変化状態によって、TMR素子4に二値データが書き込まれる。このTMR素子4の磁化方向を変化させる外部磁界は、書込み配線5によって発生させる。
ビット配線13から引き込まれるように配設される書込み配線5の他端は、ビット配線14に電気的に接続される。書込みトランジスタ6Bは、書込み配線5における書込み電流の導通を制御するためのスイッチ手段であり、ドレイン及びソースが書込み配線5の途中に介在するようになっている。ゲートはワード配線16に接続される。これにより、ワード配線16に電流を流すことで書込みトランジスタ6Bを導通状態にできる。
読み出し配線7aの一端はTMR素子4に接続されると共に、他端は書込み配線5(又はビット配線13)に接続される。また、読み出し配線7bの一端は、TMR素子4に接続されると共に、他端はワード配線15接続される。読み出しトランジスタ6Aは、読み出し配線7a、7bにおける読み出し電流の導通を制御するためのスイッチ手段であり、ドレイン及びソースは読み書き配線7bの途中に介在する。ゲートはワード配線16に接続される。これにより、ワード配線16に電流を流すことで、読み出しトランジスタ6Aを導通状態にできる。
ビット配線13、14は、アレイ状に配置される複数の記憶領域3の列毎に配設されている。ビット配線13は、対応列に属する全ての記憶領域3の書込み配線5に接続される。また、ビット配線14も同様に、対応列に属する全ての記憶領域3の書込み配線5に接続される。従って、対をなす特定のビット配線13、14間に電位差を付与しつつ、書込みトランジスタ6Bによって導通を許可すれば、書込み配線5に書込み電流が流れるようになる。
ワード配線15、16は、記憶領域3の各行に配設される。ワード配線16は、対応行に属する全ての記憶領域3において、読み出しトランジスタ6A及び書込みトランジスタ6Bの各ゲートに接続されている。つまり、ワード配線16は、双方のトランジスタ6A、6Bの導通を許可するための配線となる。また、ワード配線15は、対応行に属する全ての記憶領域3において、読み出し配線7bに接続される。従って、対をなす特定のビット配線13とワード配線15間に電位差を付与しつつ、書込みトランジスタ6Aによって導通を許可すれば、読み出し配線7a、7bに読み出し電流が流れる。
図1に戻って、ビット選択回路11は、各記憶領域3の書込み配線5に正または負の書込み電流を提供する機能を備える。具体的にビット選択回路11は、内部または外部から指示されたアドレスに応じて、アレイ状に配置される記憶領域3から所定列を選択するアドレスデコーダ回路と、この選択した所定列に対応する一対のビット配線13、14間に正または負の電位差を付与して、この所定列のビット配線13、14間に設置される書込み配線5に書込み電流を供給するカレントドライブ回路を含んでいる。
ワード選択回路12は、内部または外部から指示されたアドレスに応じて、アレイ状に配置される記憶領域3から所定行を選択するアドレスデコーダ回路と、この所定行に対応するワード配線15、16に所定の電圧を供給するカレントドライブ回路を含んでいる。従って、ワード選択回路12を用いて、所定行に相当するワード配線16に制御電圧を印加すれば、読み出しトランジスタ6A、書込みトランジスタ6Bを導通状態にできる。
書込み作業時には、ビット選択回路11によって選択されたアドレスのビット配線13、14間に正または負の電位差を印加し、ワード選択回路12によって選択されたアドレスの書込みトランジスタ6BをONにする。この結果、ビット側アドレスとワード側アドレスの交差する記憶領域3に限定して書込み電流を流すことができる。なお、書込み作業時では、ビット配線13とワード配線15間の電位差を零にすることで、読み出し配線7側に電流が流れないようにしておく。
読み出し作業時には、ビット選択回路11において、内部または外部から指示されたアドレスに対応する列をアドレスデコーダ回路によって選択し、そのビット配線13に所定電圧を印加する。これと同時に、ワード選択回路12では、アドレスデコーダ回路によってアドレスに対応する行を選択して、その行に対応するワード配線15に所定電圧を印加する事で、ビット配線13とワード配線15との間に読み出し電流を供給し、更に、ワード配線16の両端に電位差を生じさせることで、読み出しトランジスタ6AをONにする。この結果、ビット側アドレスとワード側アドレスの交差する記憶領域3に限定して読み出し電流を流すことができる。なお、読み出し作業時には、ビット配線13、14の電位差を零にすることで、書込み電流が流れないようにしておく。
次に、この磁気記憶装置1における記憶領域3の具体的構造について詳細に説明する。図3は、記憶領域3の配線状態等を立体的に示した斜視図である。記憶領域3は、大きくは下側から半導体層、配線層、磁性材料層を備えている。半導体層は特に図示しない半導体基板を含み、記憶領域3全体の機械的強度を維持しながら、読み出しトランジスタ6A、書込みトランジスタ6B等の半導体デバイスが形成される。最上位の磁性材料層には、TMR素子4、TMR素子4に磁界を効率的に与えるための強磁性ヨーク20といった磁性素材による構成物が主として形成される。中間に位置する配線層は、ビット配線13及び14並びにワード配線15及び16、書込み配線5の一部、読み出し配線7b等が形成される。
半導体層における読み出しトランジスタ6A及び書込みトランジスタ6Bは、それぞれが絶縁領域に取り囲まれるように形成されている。絶縁領域には、例えばSiO2といった絶縁性材料が用いられる。又トランジスタの半導体基板としては、例えばSi基板から用いられており、そこにp型またはn型の不純物がドープされた状態となっている。
図4に拡大して示されるように、読み出しトランジスタ6Aは、半導体基板30の反対導電型となるドレイン領域6Aa、ソース領域6Ab、ゲート電極6Ac等によって構成されている。従って、ドレイン領域6Aaとソース領域6Abの間には半導体基板30が介在しており、その半導体基板30上に所定の間隔を空けてゲート電極6Acが配置されている。このゲート電極6Acは、ワード配線16によって構成されており、この構成により、ワード配線16に電圧が印加されると、読み出しトランジスタ6Aのドレイン領域6Aa及びソース領域6Abが互いに導通して、ビット配線13から供給される読み出し電流が、読み出し電流7a、TMR素子4、読み出し電流7bを流れる。なお、書込みトランジスタ6Bも、略同様な構成であるので、ここでの説明は省略する。
図3に戻って、配線層におけるビット配線13及び14、ワード配線15及び16、読み出し配線7b等の配線を除いた領域は、すべて絶縁領域によって占められる。この絶縁領域の材料としては、半導体層の絶縁領域と同様に、SiO2といった絶縁性材料を用いる。また、配線の材料としては例えばWやAlを用いることができる。
TMR素子4に隣接する書込み配線5は、記憶領域3のアレイ面(平面)方向に延在しながらも、この平面内でL字上に屈曲した形状となっている。また、この書込み配線5の両端は平面に対して垂直方向に屈曲して垂直配線となっており、一方の垂直配線の下端はビット配線13に接続される。他方の垂直配線の下端は、水平配線を経由して書込みトランジスタ6Bのドレイン領域6Baとオーミック接合される。また、ビット配線14には、各記憶領域3に対応した引き込み線14Aが垂直方向に分岐形成されており、その下端が書込みトランジスタ6Bのソース領域6Bbにオーミック接合される。この結果、書込み配線5は、書込みトランジスタ6Bを介在させた状態で、一対のビット配線13、14間を橋渡しするように配置される。
また、読み出し配線7aは平面方向に延在し、一端側がTMR素子4に電気的に接続されると共に他端が書込み配線5に接続される。読み出し配線7bは、一端側がTMR素子4に電気的に接続されると共に、他端側は垂直方向に屈曲して垂直配線となっている。この垂直配線の下端は、読み出しトランジスタ6Aのソース領域6Abとオーミック接合される。また、ワード配線15には、各記憶領域3に対応した引き込み線15Aが垂直方向に分岐形成されており、その下端が読み出しトランジスタ6Aのドレイン領域6Aaにオーミック接合される。この結果、ビット配線13とワード配線16間は書込み配線5の一部、読み出し配線7a、TMR素子4、読み出し配線7b、読み出しトランジスタ6Aがこの順に配置されることで電気的に接続される。
なお、行方向に延びるワード配線16は、その一部が、各トランジスタ6A、6Bのゲート電極6Ac、6Bcを同時に兼ねている。このことは、ワード配線16が各トランジスタ6A、6Bのゲート電極6Ac、6Bcに電気的に接続されることと同義である。
次に、図5等を用いて磁性材料層について説明する。磁性材料層は、TMR素子4と、強磁性ヨーク20と、書込み配線5の一部と、読み出し配線7a等を有する。なお、磁性材料層においては、以下に説明する構成や他の配線以外の領域は、絶縁領域24によって占められている。
図6に拡大して示されるように、TMR素子4は、外部磁界によって磁化方向が変化する第1磁性層(フリー層/感磁層)4Aと、磁化方向が固定された第2磁性層(ピンド層)4Bと、第1磁性層4A及び第2磁性層4Bに挟まれた非磁性絶縁層(絶縁体層)4Cと、第2磁性層の磁化方向を固定(ピン止め)する反強磁性層4Dとを備える。このTMR素子4は、外部磁界を受けて第1磁性層4Aの磁化方向が変化すると、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bとの間の抵抗値が変化するようになっている。この抵抗値の差によって、二値データを記録することができる。なお、第1磁性層4Aの材料としては、例えばCo、CoFe、NiFe、NiFeCo、CoPtなどの強磁性材料を用いることができる。
第2磁性層4Bは、反強磁性層4Dによって磁化方向が固定されている。すなわち、反強磁性層4Dと第2磁性層4Bとの接合面における交換結合によって、第2磁性層4Bの磁化方向が一方向に配向された状態で安定化されている。第2磁性層4Bの磁化容易軸方向は、第1磁性層4Aの磁化容易軸方向に沿うように設定される。第2磁性層4Bの材料としては、例えばCo、CoFe、NiFe、NiFeCo、CoPtなどの強磁性材料を用いることができる。また、反強磁性層4Dの材料としては、IrMn、PtMn、FeMn、PtPdMn、NiO、またはこれらを任意の組み合わせた材料を用いることができる。
非磁性絶縁層4Cは、非磁性且つ絶縁性の材料からなる層であり、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bとの間に介在して、トンネル磁気抵抗効果(TMR)が生じるようにしている。詳細には、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bの磁化方向との相対関係(即ち、平行または反平行)によって、電気抵抗値が異なる特性を有している。非磁性絶縁層4Cの材料としては、例えばAl、Zn、Mgといった金属の酸化物または窒化物が好適である。
第1磁性層4Aは読み出し配線7aと電気的に接続される。また、反強磁性層4Dは、読み出し配線7bと電気的に接続される。この構成により、読み出し電流を、読み出し配線7aからTMR素子4を介して読み出し配線7bへ流すことが可能となり、TMR素子4の抵抗値の変化を検出する事が出来る。なお、強磁性ヨーク20は、書込み配線5におけるTMR素子4との隣接領域を覆うように配置されている。なお、TMR素子4の第1磁性層4Aの磁化容易軸は、書込み配線5の長手方向と交差する方向(すなわち、書込み電流の方向と交差する方向)に沿うように設定される。
なお、特に図示しないが、TMR素子4を、第1磁性層(フリー層/感磁層)、非磁性絶縁層(絶縁体層)、第2磁性層、非磁性金属層、第3磁性層、反強磁性層をこの順に備えているようにしてもよい。反強磁性層が第3磁性層の磁化方向を固定(ピン止め)すると共に、非磁性金属層の膜厚を調整することにより、第2磁性層の磁化方向が、第3磁性層の磁化方向と反平行となる。これは第2磁性層と第3磁性層の間に生じる交換相互作用を利用する。
図5に戻って、強磁性ヨーク20は、延在する書込み配線5におけるTMR素子4側に近接配置される素子側ヨーク20Aと、書込み配線5におけるTMR素子4の反対側に近接配置される反素子側ヨーク20Bを備える。又、素子側ヨーク20Aの両端と反素子側ヨーク20Bの両端には、両者を連結して略環状とする一対のヨーク接合部20C、20Cが構成されている。従って、TMR素子4を基準に考えると、素子側ヨーク20AがTMR素子4に近接しており、反素子側ヨーク20BはTMR素子4から離れている。又、この強磁性ヨーク20自体は書込み配線5の外周の一部を覆っていることになる。反素子側ヨーク20Bは、書込み配線5の上方に位置するトップ領域20Tと、このトップ領域20Tの両端側、即ちヨーク接合部20C、20Cの近傍に位置するする傾斜領域20S、20Sとを備えて構成される。なお、強磁性ヨーク20は、TMR素子4に悪影響を与える外部磁界から保護する機能も有している。
素子側ヨーク20Aは、環状方向の中間に空隙20Eが形成されており、その空隙20EにTMR素子4が介在配置されている。従って、強磁性ヨーク20を軸視した場合、周方向の一部に開放端20Ea、20Ebを備えた略C字形状となっている。この開放端20Ea、20Ebは、素子側ヨーク20Aの突端としてTMR素子4の側面近傍に配置されることになる。
傾斜領域20S、20S及びヨーク接合部20C、20Cは、トップ領域20Tに生じる磁界を素子側ヨーク20A側(即ちTMR素子4側)に誘導する。従って、トップ領域20Tに生じた内部磁界は、傾斜領域20S、20S及びヨーク接合部20C、20Cを介して反転し、素子側ヨーク20Aでは反対方向の内部磁界となる。又、反素子側ヨーク20Bにおいては、傾斜領域20S、20Sが、素子側ヨーク20A側に傾倒するようになっている。詳細には、トップ領域20Tと傾斜領域20S、20Sの角度P(図7参照)が鈍角に設定され、一方、ヨーク接合部20C、20Cにおける素子側ヨーク20Aと傾斜領域20S、20Sの連結角度が鋭角に設定される。また、傾斜領域20Sの厚みは、素子側ヨーク20Aと比較して大きく設定されている。
反素子側ヨーク20Bのトップ領域20Tの厚みTYzは、素子側ヨーク20Aの厚みBYzと比較して大きく設定されている。例えば厚さTYzは、50nm以上に設定される。厚さTYzの上限は、磁気抵抗の関係からは特に制限ない。また、反素子側ヨーク20Bよりも薄い素子側ヨーク20Aの厚さBYzは10nm以上に設定されている。この厚さBYzの上限は、磁気抵抗の関係からは特に制限はない。また、傾斜領域20Sの厚さTSzは、反素子側ヨーク20Bと素子側ヨーク20Aを磁気抵抗的になるべく不連続とならないように設定される。TMR素子4を基準とした反素子側ヨーク20Bの最大高さHは、例えば300nm以下に設定される。強磁性ヨーク20の幅BYlxは、書込み配線5の幅IWxに依存する。具体的には、BYlx=IWx+700nmの関係を満たすように設定する。従って、ここでは書込み配線5の幅IWxを、0.2μm〜0.8μmに設定しているので、BYlxは、900nm〜1500nmとなる。また、強磁性ヨーク20の奥行き(配線長手方向寸法)BYyは、ここでは特に図示しないが、0.45μm〜0.8μmに設定されている。また、図6に示されるように、読み出し配線7の幅TLxは、例えば500nm〜1400nmの範囲内に設定され、又TMR素子4の幅MTJxは0.2μm〜0.8μmに設定される。特に図示しないが、TMR素子4の奥行きMTJyは0.2μm〜1.6μmに設定される。
なお、この強磁性ヨーク20を製造する際には、傾斜領域20Sとトップ領域20Tを一連のプロセスで一体的に製膜することが好ましく、製造コストを低減することが可能になる。なお、強磁性ヨーク20を構成する強磁性材料としては、例えばNi、Fe、Coのうち少なくとも一つの元素を含む金属が好適である。
次に、本第1実施形態の磁気記憶装置1におけるTMR素子4への情報書込み動作について説明する。
図7の状態において、書込み配線5に電流が流れていない場合、この書込み配線5による磁界が生じない。強磁性ヨーク20の磁化状態Xは、書込み配線5の延在方向と略一致した状態で単磁区化されていることが好ましい。また、磁化状態Xが、各種方向の磁区が複数形成された状態となっている場合は、上層に反強磁性層を形成して強制的に単磁区化することが望ましい。なお、TMR素子4における第2磁性層4Bの磁化方向Bと第1磁性層4Aの磁化方向Aが、ここでは互いに一致している。本実施例では、磁化方向A、Bが一致している場合、二値データの0が書き込まれていると定義する。
図8に示されるように、書込み配線5に書込み電流I1が流れると、書込み配線5の周囲に、周方向磁界F1が発生する。磁界F1によって、その周囲に設けられた強磁性ヨーク20が磁化状態Xの方向に磁化され、素子側ヨーク20Aの端面20Ea、20Ebから磁界が発生する。この磁界は、磁界F1に重畳することで強い合成磁界となり、TMR素子4側誘導される。
この結果、書込み配線5から生じる磁界F1と、強磁性ヨーク20に生じる磁化状態Xによって誘起された磁界とが合成された強い磁界が、素子側ヨーク20Aで集中化され、TMR素子4における第1磁性層4Aに作用してその磁化方向Aを反転させる。この状態で書込み配線5の電流I1を止めると、TMR素子4の磁化方向Aは、図8のように反転したまま維持される。磁化方向A、Bが反対となったまま維持されることから、ここでは二値データの1が書き込まれた事になる。
図9に示されるように、書込み配線5において、I1と反対方向となる書込み電流I2が流れると、書込み配線5の周囲に、周方向磁界F2が発生する。磁界F2に誘導されるようにして、周囲に設けられた強磁性ヨーク20の磁化状態Xが、その方向を90度回転させて磁界F2と同方向となる。
この結果、書込み配線5から生じる磁界F2と、強磁性ヨーク20に生じる磁化状態Xによって誘起された磁界とが合成された強い磁界が、素子側ヨーク20Aで集中化され、TMR素子4における第1磁性層4Aに作用してその磁化方向Aを反転させる。第1磁性層4Aの磁化方向Aは、第2磁性層4Bの磁化方向Bと再び一致する。TMR素子4は、磁化方向A、Bが一致しているので、ここでは二値データの0が再び書き込まれた事になる。
なお、TMR素子4に書き込まれた二値データを読み出す際には、読み出し配線7a、7bの間に読み出し電流を流し、その配線間の電位差の変化を検出する。これによりTMR素子4の抵抗値が明らかとなり、二値データのいずれかを記録しているか(すなわち、第1磁性層4Aの磁化方向Aが第2磁性層4Bの磁化方向Bと平行か反平行か)を判別する。例えば、第1磁性層4Aの磁化方向Aが第2磁性層4Bの磁化方向Bと同方向である場合、非磁性絶縁層4Cにおけるトンネル磁気抵抗効果(TMR)によって、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bとの間の抵抗値が比較的小さくなる。反対に、磁化方向Aと磁化方向Bが対向方向となる場合、トンネル磁気抵抗効果によって、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bとの間の抵抗値が比較的大きくなる。
次に、この磁気記憶装置1の書込み電流Iwの値等について説明する。磁気記憶装置1における強磁性ヨーク20の磁気抵抗をRとした場合、この磁気記憶装置1の書込み電流Iwは下記の式(1A)を満たすようになっている。
Iw≦a・R+b(但し、a(mA・H)=7.5E−11、b(mA)=0.1)…(1A)
また、より望ましくは下記式(1B)を満たすようにする。
Iw≦a・R+b(但し、a(mA・H)=6E−11、b(mA)=0)…(1B)
なお、磁気抵抗Rは、各部位の磁路長をL、断面積をS、透磁率をμとした場合にR=L/(Sμ)で表現できる。従って強磁性ヨーク20の磁気抵抗Rとは、トップ領域20Tの磁気抵抗R1、傾斜領域20Sの各磁気抵抗R2、R2、2つに分断された素子側ヨーク20Aの各磁気抵抗R3、R3の総和(R1+R2×2+R3×2)となる。
具体的に、この強磁性ヨーク20の奥行き(配線方向長さ)BYyを900nm、トップ領域20Tの厚みTYzを100nm、素子側ヨーク20Aの厚みBYzを20nm、トップ領域20Tの磁路長L1を1200nm、傾斜領域20Sの各磁路長L2を300nm、反素子側ヨーク20の各磁路長L3を350nmとすると、合計磁路長Lが2500nmとなり、強磁性ヨーク20全体の磁気抵抗Rが4E+10(1/H)となる(後述する実施例における図14のNo.1サンプル参照)。この実施例では、書込み電流Iが2.34mAという結果が得られ、上記式(1A)(1B)の双方を満たしていることになる。
この式(1A)を満たす必要性について説明する。
本発明者らは、本実施形態のようなヨーク構造の磁気記憶装置1では、強磁性ヨーク20の磁気抵抗の値Rが重要である事を明らかにした。具体的に、磁気記憶装置1の書込み配線5の周囲に強磁性ヨーク20を配置する場合、その形状を適宜設定する事で、サイズを小さくするほど、書込み電流値Iwが小さくなるというスケーリイング法則を見出した。
ヨーク構造を採用した磁気記憶装置1について、強磁性ヨーク20の磁路長と書込み電流の関係について分析した結果を図10に示す。図10から明らかなように、強磁性ヨーク20の磁路長が短いほど、即ち、強磁性ヨーク20が小さくなるほど書込み電流が小さくなる。一方で、これらの分析によって得られる回帰曲線Aによれば、磁路長を1500nmにすると書込み電流が零になってしまうが、実際にそのような状況は有り得ない。つまり、図10のような磁路長のみに基づいた分析では、本来のスケーリイング法則が成立しない。
そこで、本発明者らは、強磁性ヨーク20の磁気抵抗Rに着目し、磁気抵抗Rと書込み電流Iwの関係について分析した。この結果を図11に示す。図で明らかなように、磁気抵抗Rが小さいほど、書込み電流が小さくなることが分かる。また、図11の回帰曲線Bを分析すると、磁気抵抗Rと書込み電流値Iを零近傍に収束させる事が可能であることも分かる。磁気記憶装置1では成立しないと考えられていたスケーリイング法則が、実際には成立することになり、この法則を有効活用することで、磁気記憶装置の省電力化を達成できる。
このスケーリイング法則が成立するのは下記の理論に基づくと推測される。
図12に示されるように、強磁性ヨーク20の磁路長をLm、強磁性ヨーク20の内部磁場をHm、強磁性ヨーク20の空隙20Eの長さをLx、空隙中の磁場をHg、書込み電流をIwとし、この空隙20Eに何も存在しない状態を考える。Maxwellの方程式を、ベクトル解析式を使って周回積分に直すことによって、下記式(1)が得られる。これは、強磁性ヨーク20が磁気回路として正常に機能している場合、書込み電流Iwによって発生した磁場は、全て強磁性ヨーク20に閉じ込められるので、磁場の周回経路は強磁性ヨークに沿うからである。
rotH=j→Hm*Lm+Hg*Lx=Iw ,divB=0→Hg=M/μ0 …式(1)
更に、図13に示されるように、強磁性ヨーク20の磁路長をLm、強磁性ヨーク20の内部磁場をHm、強磁性ヨーク20の空隙20Eに挿入されるTMR素子4の長さをLt、強磁性ヨーク20とTMR素子4の各ギャップ幅をLg/2、空隙中の磁場をHg、TMR素子4の反磁場をHd、書込み電流をIwとした場合、Maxwellの方程式から下記式(2)が成立する。これは、TMR素子4も磁気回路の一部になると共に、このTMR素子4の内部では反磁場が発生し、その方向は書込み電流Iwによって発生した磁路と逆向きになるからである。
rotH=j→Hm*Lm+Hg*Lg+(Hg−Hd)Lt=Iw ,divB=0→Hg=M/μ0…式(2)
つまり、同じ書込み電流Iw下では、TMR素子4が磁気回路中に存在しなかったときより、存在している場合の方が、大きな磁場が空隙20E(TMR素子4)に作用する。従って、強磁性ヨーク20の磁気回路中に配置されたTMR素子4は、自らの存在によって磁場を強め、小さい電流で磁化反転することができる。また、別の観点から考えると、TMR素子4は比透磁率が1より大きいので、磁気回路中での磁気抵抗が空気(空隙20Eそのもの)より小さくなり、同じ電流(起磁力)に対して大きな磁束密度(磁場*μ)が流れるといえる。なお、磁気回路中にTMR素子4を配置せず、単なる外部磁場によって磁化反転させようとするとこの議論は成り立たないことになる。
上記式(2)は、Hg=Hmμsであることから、磁路の断面積をSとすれば、次の式(3A)を経て式(3B)のように変形できる。
(Hg/μs)*Lm+Hg*Lg+(Hg−Hd)Lt=Iw …式(3A)
Hgμ0S*(Lm/(μsμ0S))+Hg*Lg+(Hg−Hd)Lt=Iw …式(3B)
更に、磁気抵抗R=Lm/(μsμS)であることから、上記式(3B)は、式(4)のように変形できる。
Hgμ0S*R+Hg*Lg+(Hg−Hd)Lt=Iw …式(4)
以上の事から、式(5)のようなスケーリイング法則を導く事ができる。
a・R+b=Iw ,(a=Hgμ0S,b=Hg*Lg+(Hg−Hd)Lt) …式(5)
書込み電流Iwは、磁気抵抗Rに対して直線のグラフになり、この傾きaはTMR素子4に作用する磁場Hgに、磁気回路の断面積Sと真空透磁率μをかけたものとなる。また、切片bは、空隙20EとTMR素子4の間のギャップ幅Lg/2や、TMR素子4の長さLtが小さいほど、それに対応して小さくなる。従って、スケーリイング法則における傾きは、TMR素子4に作用する磁場Hgが小さく、強磁性ヨーク20(磁気回路)の断面積Sが小さいほど緩やかになる。また、切片bは、ギャップ長Lg及びTMR素子4の長さLtが短いほど小さくなる。これらの条件は、書込み電流を小さくするための基本指針を与える。
以上の検討から、本実施形態では、書込み電流Iwが磁気抵抗Rに対して線形な関係であることが理論的に明らかとされる。また、既に図11に示したように、実験的にもMaxwell方程式の適用が妥当となっている。
以上の考察の下、本実施形態では、強磁性ヨーク20の断面積Sが、2E+5nm以下に設定されている。既に述べたように、上記式(5)のスケーリイング法則に基づいて、傾きaを小さくするには、強磁性ヨーク20の断面積を小さくすることが効果的だからである。一方、強磁性ヨーク20の機能を高めるためには、この強磁性ヨーク20を肉厚にすることが好ましい。しかし、本実施形態におけるスケーリイング法則から考えると、強磁性ヨーク20の断面積をSできる限り小さくすることが有効であるので、強磁性ヨーク20を肉厚にする場合は、強磁性ヨーク20の幅(奥行き)の縮小が肝要である。この結果、強磁性ヨークが平面方向にコンパクトになるので、磁気記憶装置1の高集積化が可能となる。
また本実施形態では、空隙20Eを形成する強磁性ヨーク20の端部と、この空隙20Eに収容されるTMR素子4の間のギャップ幅Lg/2が10nm以下に設定されている。ギャップ幅は究極は零が好ましく、このようにLgを小さくすることで、上記式(5)のスケーリイング法則に基づく切片bを小さくすることができ、消費電流を低減する事が可能になる。
(実施例)
実施例として、磁気記憶装置1を複数製造して、TMR素子4に情報を書き込む際における、書込み配線5の電流値Iwの計測を行った。全ての磁気記憶装置1において、強磁性ヨーク20とTMR素子4の間のギャップ長(Lg/2)を10nmに設定した。また、これらの全ての磁気記憶装置1については、a=HgμS、b=Hg*Lg+(Hg−Hd)Ltから導かれる傾きa、切片bが、a(mA・H)≦7.5E−11、b(mA)≦0.1となるように設計した。この結果を図14に示す。なお、磁気記憶装置1におけるその他の詳細寸法については、図に示されているので説明を省略する。
図から分かるように、本実施例では、全てにおいて書込み時の電流値Iwが4mA以下、最小で0.54mA程度となっており、極めて電流値が小さくなることが分かった。従って、磁気記憶装置1における省電力化が達成される。また、磁気抵抗の変化に対して、書込み電流値の変化も小さくなるので、このヨークタイプの磁気記憶装置1を量産する場合において、製品間の品質(書込み電流値)のばらつきが低減するので、情報の書込み制御が容易になる。なお、この実施例から導き出された回帰曲線(スケーリイング法則を示す線)は、Iw(mA)=6E−11×Rとなり上記a、bを満たしている。
(比較例)
比較例として、磁気記憶装置を複数製造して、同様にTMR素子4に情報を書き込む際における書込み配線5の電流値Iwの計測を行った。全ての磁気記憶装置1において、強磁性ヨーク20とTMR素子4の間のギャップ長を24nmに設定するようにした。また、これらの全ての磁気記憶装置1については、a=HgμS、b=Hg*Lg+(Hg−Hd)Ltから導かれる傾きa、切片bが、a(mA・H)>1E−10、b(mA)>5となるように設計した。この結果を図15に示す。なお、磁気記憶装置におけるその他の詳細寸法については、この図に示されているので説明を省略する。
この結果から分かるように、本比較では、全てにおいて、書込み時の電流値Iwが10mA以上、最大で26mA程度となっており、電流値が大きいことが分かった。この場合、強磁性ヨーク20の寸法誤差(磁気抵抗値の変化)に対する電流値変動が大きいため、量産に適していない。なお、この比較例の計測結果から導き出された回帰曲線(スケーリイング法則を示す線)はIw(mA)=2E−10×R+7.112となった。
以上、本実施形態に係る磁気記憶装置を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では磁気抵抗効果素子としてTMR素子を用いているが、CPP(Current Perpendicular to Plane)型の巨大磁気抵抗(GMR:Giant magneto−Resistive)効果を利用したGMR素子を用いてもよい。GMR効果とは、非磁性層を挟んだ2つの強磁性層の磁化方向のなす角度により、積層方向と直交する方向における強磁性層の抵抗値が変化する現象である。すなわち、GMR素子においては、2つの強磁性層の磁化方向が互いに平行である場合に強磁性層の抵抗値が最小となり、2つの強磁性層の磁化方向が互いに反平行である場合に強磁性層の抵抗値が最大となる。なお、TMR素子やGMR素子には、2つの強磁性層の保磁力の差を利用して書込み/読み出しを行う疑似スピンバルブ型と、一方の強磁性層の磁化方向を反強磁性層との交換結合により固定するスピンバルブ型とがある。また、GMR素子におけるデータ読み出しは、積層方向と直交する方向における強磁性層の抵抗値の変化を検出することにより行われる。また、GMR素子におけるデータ書込みは、書込み電流により生じる磁界によって一方の強磁性層の磁化方向を反転させることにより行われる。
また、上記実施形態では、書込み電流及び読み出し電流を制御するためのスイッチ手段としてトランジスタ(読み書き兼用トランジスタ)を用いているが、このスイッチ手段としては、必要に応じて電流を遮断/導通させる機能を有する様々な手段を適用することができる。
なお、本発明でいう素子側ヨークに形成されている空隙は、強磁性ヨーク20の最終的な形状を意味している。従って、連続的な素子側ヨーク20Aを形成した後に、空隙を形成するために分断加工を行うようにしても良く、又例えば各素子側ヨーク20Aを個別に形成するようにしてもよい。
また、本発明の磁気記憶装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明は、磁気抵抗効果素子によって各種情報を記録・保持するような分野で広く利用する事が出来る。
本発明の実施形態に係る磁気記憶装置の全体構成を示す概念図 同磁気記憶装置の記憶領域を拡大して示す概念図 同記憶領域の内部構造を立体的に示す拡大斜視図 同記憶領域におけるトランジスタの構造を拡大して示す断面図 同記憶領域における強磁性ヨークの構造を拡大して示す断面図 同記憶領域に配置されるTMR素子の積層構造を拡大して示す側面図 同記憶領域における強磁性ヨークの磁化状態を模式的に示す部分断面斜視図 同記憶領域における強磁性ヨークの磁化状態を模式的に示す部分断面斜視図 同記憶領域における強磁性ヨークの磁化状態を模式的に示す部分断面斜視図 同磁気記憶装置の磁路長と書込み電流の関係の分析結果を示すグラフ 同磁気記憶装置の磁路抵抗と書込み電流の関係の分析結果を示すグラフ TMR素子が存在しない場合の同磁気記憶装置の理論磁界に示す模式図 TMR素子が存在する場合の同磁気記憶装置の理論磁界に示す模式図 実施例にかかる磁気記憶装置の分析結果を示す表図。 比較例にかかる磁気記憶装置の分析結果を示す表図。
符号の説明
1 ・・・磁気記憶装置
4 ・・・磁気抵抗効果素子
4A ・・・第1磁性層
4B ・・・第2磁性層
4C ・・・非磁性絶縁層
4D ・・・反強磁性層
5 ・・・読み書き兼用配線
13、14 ・・・ビット配線
15、16 ・・・ワード配線
20 ・・・強磁性ヨーク
20A ・・・素子側ヨーク
20B ・・・反素子側ヨーク
20C ・・・ヨーク接合部
20E ・・・隙間
20S ・・・傾斜領域
20T ・・・トップ領域

Claims (6)

  1. 任意方向に延在する配線と
    前記配線の一部を覆う磁性層から成るヨークと、
    前記配線の近傍に配置され、前記配線から生じる磁界によって情報の書込みが可能な磁気抵抗効果素子と、を備え、
    前記ヨークの磁気抵抗をR(1/H)、前記配線に必要な書込み電流値をIw(mA)とした場合に、
    Iw≦a・R+b 但し、a(mA・H)=7.5E−11、b(mA)=0.1
    を満たす事を特徴とする磁気記憶装置。
  2. 前記ヨークの磁気抵抗をR(1/H)、前記配線に必要な書込み電流値をIw(mA)とした場合に、更に、
    Iw≦a・R+b 但し、a(mA・H)=6.0E−11、b(mA)=0
    を満たす事を特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置。
  3. 前記ヨークの断面積Sが、2E+5nm以下に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記憶装置。
  4. 前記ヨークにおける周方向の一部に空隙が形成されており、前記空隙内又は前記空隙間に前記磁気抵抗効果素子が配置されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の磁気記憶装置。
  5. 前記空隙を形成する前記ヨークの端部と、前記空隙に収容される前記磁気抵抗効果素子の間の距離が、30nm以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の磁気記憶装置。
  6. 前記磁気抵抗効果素子の前記磁界方向の長さが、800nm以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の磁気記憶装置。
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