JP2008003537A - 染料系偏光膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(I)で示されるポリアゾ化合物、及び式(II)で示されるアゾ化合物を含む偏光膜染料を有してなる偏光膜。
(式中、Xは、1〜3個のスルホを有し、さらに低級アルキル及び/又は低級アルコキシを有していてもよいナフチルを表す。Yは、1〜2個のスルホを有するフェニル、又は、1〜3個のスルホを有するナフチルを表す。Yは、さらに、低級アルキル及び/又は低級アルコキシを有していてもよい。R1、R2及びR4は、それぞれ独立に、水素、低級アルキル又は低級アルコキシを表し、R3は、アミノまたは水酸基を表す。X及びYに含まれるスルホの塩、Q1並びにQ2は、それぞれ独立に、水素、アルカリ金属塩、有機アミン塩又はアンモニウム塩を表す。)
【選択図】なし
Description
偏光膜は、例えば、延伸配向したポリビニルアルコール系のフィルムの偏光膜基材に、偏光素子としてヨウ素や染料を含有させて製造される。このようなヨウ素系偏光膜は、熱に対する耐久性が劣るため、高温状態における耐光性が悪化するという問題がある。
一方、偏光子として染料を用いた染料系偏光膜は、ヨウ素系偏光膜に比べて熱に対する耐久性に優れることから最近、使用されるようになってきた。
具体的には、特許文献1の実施例1には、染料として式(I-1)で表される化合物を偏光膜基材に含有する偏光膜が開示され、そのλmax(偏光膜に光を照射して、偏光膜の配向方向に透過した光の透過率が最小となる波長。以下、同じ。)が610nmを与えることが例示されている。また、特許文献2の実施例1には、染料として式(II-1)で表される化合物を含有する偏光膜が開示され、そのλmaxが616nmを与えることが例示されている。
本発明者が検討したところ、化合物(I-1)を偏光膜基材に含有する偏光膜の直交透過率は550〜700nm、特に700nmにおいて十分に低くならず、結果として、光漏れが認められるという問題が明らかになった。また、化合物(II-1)を偏光膜基材に含有する偏光膜の直交透過率は550〜570nmにおいて十分に低くならず、光漏れが認められ、さらに、耐光性については一層の改良が求められることが明らかになった。
本発明の目的は、700nmも含めて、550〜700nmの波長領域で、直交透過率が一様に低いという特性を有し、かつ、耐光性に優れる偏光膜を提供することにある。
Xは、1〜3個のスルホを有するナフチルを表す。該ナフチルは、さらに低級アルキル及び/又は低級アルコキシを有していてもよい。ここで、低級アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル等の炭素数1〜4程度のアルキルが挙げられ、中でもメチルが好ましい。低級アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等の炭素数1〜4程度のアルコキシが挙げられ、中でもメトキシが好ましい。
スルホは、水素原子を有するスルホン酸基であっても、スルホン酸基の水素原子が、アルカリ金属塩、有機アミン塩又はアンモニウム塩に置換されていてもよい。ここで、アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられ、有機アミン塩としては、例えば、エタノールアミン塩、アルキルアミン塩などが挙げられる。中でもスルホがナトリウム塩であると偏光膜基材に含有させやすい傾向があることから好ましい。
Xとしては、染色性の観点から、スルホを2〜3個有するナフチルが好ましく、1,5−ジスルホ−2−ナフチル、6,8−ジスルホ−2−ナフチル、4,8−ジスルホ−2−ナフチル、5,7−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−2−ナフチルが特に好ましい。
ここで、低級アルキル、低級アルコキシ、1〜3個のスルホを有するナフチルは前記と同じ意味を表す。
低級アルキル及び/又は低級アルコキシを有していてもよい1〜2個のスルホを有するフェニルとしては、例えば、2−スルホフェニル、3−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2−メチル−4−スルホフェニル、3−メチル−4−スルホフェニル等のスルホを1個有するフェニル;2,4−ジスルホフェニル、2,5−ジスルホフェニル等のスルホを2個有するフェニルなどが挙げられる。
Yとしては、染色性の観点からは、スルホを1個有するフェニル及びスルホを2〜3個有するナフチルが好ましく、とりわけ、4−スルホフェニル、1,5−ジスルホ−2−ナフチル、6,8−ジスルホ−2−ナフチル、4,8−ジスルホ−2−ナフチル、5,7−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−2−ナフチルが好ましく、中でもとりわけ、4−スルホフェニルが特に好ましい。。
R1およびR2は、水素、メチル及びメトキシからなる群から選ばれる基であることが好ましく、R4はメチル又はメトキシであることが好ましく、とりわけ、メトキシが特に好ましい。
先ず、式(III)
(式中、X、R1およびR2は、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
で示されるビスアゾ化合物(III)を、酸性の水性媒体中、0〜40℃の条件下で亜硝酸ナトリウムと反応させてジアゾ化する。
続いて、式(V)で表される化合物を含む水溶液中に硫酸銅、塩化銅、酢酸銅などの銅塩、好ましくは硫酸銅を加えて、約70〜100℃で加熱して式(I)で表される化合物を製造する方法などが挙げられる。化合物(I)の銅塩には、さらに必要に応じて、炭酸リチウム、炭酸水素リチウムなどのリチウム塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのナトリウム塩、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどのカリウム塩、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ピリジンなどのアミン等を添加してもよい。
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シー・アイ・ダイレクト・オレンジ 107
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このようにして調製した染浴に偏光膜基材を浸漬し、染色を行う。染色温度は、好ましくは40〜80℃である。染料の配向は、染色の前の偏光膜基材または染色された偏光膜基材を延伸することによって行われる。延伸する方法としては、例えば、湿式法または乾式法等で延伸する方法等が挙げられる。
偏光膜の光線透過率、偏光度及び耐光性を向上させる目的で、ホウ酸処理等の後処理が施してもよい。ホウ酸処理は、用いる偏光膜基材の種類や用いる染料の種類によって異なるが、通常、1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%範囲の濃度に調製されたホウ酸水溶液を用いて、30〜80℃、好ましくは50〜80℃の温度範囲で偏光膜基材を浸漬させる。更に必要に応じて、カチオン系高分子化合物を含む水溶液でフィックス処理を併せて行ってもよい。
本発明の偏光膜は耐光性に優れる上、550〜700nmの直交透過率が一様に低く、また、700nmにおける直交透過率も0.1%以下の低い値を与えることから、暗状態における液晶表示の変色が小さくなる。
<化合物(I-1)の製造例>
式(III-1)
で示されるビスアゾ化合物170部と亜硝酸ナトリウム30部を水1500部に加えた後、20〜30℃で35%塩酸120部を加えて2時間攪拌し、ジアゾ化した。過剰の亜硝酸ナトリウムはスルファミン酸を加えて消去し、ジアゾ液を得た。
次いで、炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHを7に維持しながら、式(IV-1)
で示される化合物を含む液中に、上記ジアゾ液を1時間かけて添加した。
式(V-1)で示される化合物25部を水500部に加え、無水硫酸銅6部、モノエタノールアミン8部を加えて95℃に加熱し、12時間反応させた。次いで、30℃までに冷却した後、35%塩酸を加えて、pH7とし、ついで塩化ナトリウムを用いて塩析し、析出した結晶を濾過し、式(I-1)で示される化合物を得た。化合物(I-1)のλmaxは、水性媒体中で598nmを示した。
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム[クラレビニロン#7500、(株)クラレ製品]を5倍に一軸延伸して、偏光膜基材とした。このポリビニルアルコールフィルムを緊張状態に保ったまま、偏光膜染料として前記化合物(I-1)0.175%及び前記化合物(II-1)0.035%を含み、染色助剤として芒硝0.02%を含む73℃の水溶液に浸漬した。次に78℃の7.5%ホウ酸水溶液に5分間浸漬後、取出し、20℃の水で20秒間洗浄し、50℃で乾燥して偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmaxは620nmであった(SHIMADZU UV2450 分光光度計[島津製作所製])。
同じ分光光度計で550nm〜700nmの波長領域における直交透過率を測定し、結果を表1に示した。検出限界以下の直交透過率を0として計算すると、平均直交透過率の値は0.004%であり、この波長領域におけ・る光漏れが、極めて少なかった。また700nmにおける直交透過率の値は、0.04%であり、700nmにおける光漏れが、小さかった。
ΔA(%)=((A(0)−A(96))/ A(0))×100
と定義される。ΔAは小さいほど、耐光性に優れることを示す。
延伸した偏光膜基材が浸漬する水溶液に含まれる偏光膜染料として、化合物(I-1)のみを0.2%用いる以外は実施例1と同様にして、偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmaxは610nmであった。
550nm〜700nmの波長領域における直交透過率を表1に示した。平均直交透過率の値は、検出限界以下の直交透過率を0として計算すると、0.125%であり、この波長領域における光漏れが、大きかった。また、700nmにおける直交透過率の値は、1.32%であり、この波長における光漏れが大きかった。
また実施例1と同様に、ΔAを求めたところ、ΔAの値は、4.0%であり、本発明と耐光性が同等であった。
延伸した偏光膜基材が浸漬する水溶液に含まれる偏光膜染料として、化合物(II-1)のみを0.2%用いる以外は実施例1と同様にして、偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmaxは620nmであった。
550nm〜700nmの波長領域における直交透過率を表1に示した。平均直交透過率の値は、検出限界以下の直交透過率を0として計算すると、0.073%であり、この波長領域における光漏れが、やや大きかった。また700nmにおける直交透過率の値は、0.04%であり、この波長における光漏れが、小さかった。
また実施例1と同様に、ΔAを求めたところ、ΔAの値は、6.0%であり、本発明より耐光性が劣っていた。
Claims (8)
- 式(I)で示されるポリアゾ化合物、及び式(II)で示されるアゾ化合物を含む偏光膜染料を有してなる偏光膜。
(式中、Xは、1〜3個のスルホを有し、さらに低級アルキル及び/又は低級アルコキシを有していてもよいナフチルを表す。Yは、1〜2個のスルホを有するフェニル、又は、1〜3個のスルホを有するナフチルを表す。Yは、さらに、低級アルキル及び/又は低級アルコキシを有していてもよい。R1、R2及びR4は、それぞれ独立に、水素、低級アルキル又は低級アルコキシを表し、R3は、アミノまたは水酸基を表す。X及びYに含まれるスルホの塩、Q1並びにQ2は、それぞれ独立に、水素、アルカリ金属塩、有機アミン塩又はアンモニウム塩を表す。) - R1が、水素、メチル又はメトキシである請求項1に記載の偏光膜。
- R2が、水素、メチル又はメトキシである請求項1又は2に記載の偏光膜。
- R4が、水素、メチル又はメトキシである請求項1〜3のいずれかに記載の偏光膜。
- 偏光膜染料として、式(I)で示される化合物及び式(II)で表される化合物以外の有機染料をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の偏光膜。
- 式(I)で示される化合物及び式(II)で表される化合物以外の有機染料が、下記カラー・インデックス・ジェネリック・ネーム(Color Index Generic Name)で表される有機染料からなる群から選ばれる少なくとも1つの有機染料である請求項5に記載の偏光膜染料。
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シー・アイ・ダイレクト・レッド 247 - 偏光膜が、偏光膜基材としてポリビニルアルコールを含む偏光膜である請求項1〜6のいずれかに記載の偏光膜。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の偏光膜を具備してなる液晶表示装置。
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