JP2007527841A - フッ化カルボニルの製法 - Google Patents

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Abstract

塩素の存在下で、光、好ましくは280nm以上の波長を有する光によるクロロジフルオロメタン又はトリフルオロメタンの光化学酸化によって生成される、エッチングガスとして使用可能なフッ化カルボニル。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、光化学酸化によるフッ化カルボニル(フルオロホスゲン)の製法に関する。 フッ化カルボニルは、CVD反応器の洗浄用の新しいエッチングガスとして提案されている。モノハロジフルオロメタンを加熱することによって工業的な調製が可能である(EP-A-0 310255参照)。科学出版物は、塩素の存在下でのクロロジフルオロメタンの光化学酸化についても記載している(E.O. Edney and D.J. Driscoll, Int. Journal of Chemical Kinetics, vol. 24(1992), 1067〜1081ページ参照)。照射セル内のHCFC-22の含量はppm範囲内であり;圧力は93325.4Pa(700トル)だった。この目的は、種々のハロハイドロカーボンの対流圏分解についての情報を得ることだった。
V.A. Kuzmenko in Zhurnal Fizicheskoi Khimii 63 (1989)の出版物、1911及び1912ページには、HCFC-22、酸素及び塩素を含む混合物をIRレーザーを用いて照射した。
Journal of Geophysical Research 81 (1976)、5765〜5770ページでは、R. Atkinson, G.M. Breuer, J.N. Pitts, jr.及びH.L. Sandovalが、HCFC-22の光酸化をこの化合物の対流圏と成層圏における挙動に関して述べている。低圧かつ二酸化窒素及び任意的にN2Oの存在下で20〜80時間反応を行った。
他の著者らは、過酸化水素の存在下でのHCFC-22の光酸化について記載している。
フッ化カルボニル、C(O)F2を調製するための技術的に有利に実施可能な方法を特定することが本発明の目的だった。この目的は、本発明の方法で達成される。
本発明の方法は、CHClF2又はCHF3を酸素で光酸化することによるC(O)F2の調製を想定する。使用する放射線源は、好ましくはレーザーラジエーターでない。単一波長から成るのではなく、むしろ少なくとも50nmで包囲するスペクトル範囲を有する入射光(すなわち、最低波長の光フラクションと最高波長の光フラクションが少なくとも50nm離れている)を使用することが好ましい。放射線の少なくともいくらかは、好ましくは280nmから可視光の長波長端まで、すなわち約750nmまでの範囲内である。しかし、これは、放射線が全範囲にわたって連続的に放出されなければならないことを意味しない。この文脈では、用語“光”は、“可視光”に限定されるようには使用されず;可視光の範囲外の放射線をも包含する。
CHClF2(HCFC-22)の使用が好ましく、かつ本発明のさらなる説明に役立つ。
反応器内の圧力は、好ましくは少なくとも周囲圧力、すなわち1バール(絶対)に相当する。圧力は、より高くてもよい。圧力は、好ましくは1バール(絶対)〜11バール(絶対)の範囲である。温度は、好ましくは20〜300℃の範囲、特に30〜300℃の範囲、特に30〜90℃の範囲、非常に詳しくは50〜90℃の範囲である。有利には、圧力と温度についての条件は、反応混合物がガスの状態を維持するように選択される。
非常に特に好ましくは無圧条件下で行うことである。本発明の文脈では、用語“無圧”は、周囲圧力(すなわち約1バール)、ハロハイドロカーボン出発化合物及び酸素ガス(又は酸素性ガス;例えば、空気若しくは酸素/不活性ガス混合物を使用しうる)及び使用する塩素のデリバリー圧力並びに反応で生成される塩化水素ガスの結果として生じるいずれの圧力をも除いてはさらなる圧力が反応混合物に作用しないことを意味する。従って、反応器内の全圧力は、明らかに2バール(絶対)未満、デリバリー圧力によっては1.5バール(絶対)未満でさえあるが、周囲圧力より高い。
先行技術と異なり、本発明では反応器内にppm範囲であるが有意な量でHCFC-22が存在する。ここで、反応混合物中のHCFC-22の含量は、好ましくは少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%である。
本方法は、バッチ形式で行うこともできるが、好ましくは連続的に行う。手順は、好ましくは出発原料(適切な出発化合物、空気又は純粋な酸素のような酸素含有ガス及び任意的に塩素)を流動装置に連続的に供給することと、供給量に応じて反応生成物又は反応混合物を連続的に排出することである。反応容器内の平均滞留時間は、有利には0.01〜30分、好ましくは0.1〜3分、さらに好ましくは0.3〜1.5分である。最適な平均滞留時間は、ランプのタイプ、ランプの放射出力及び照射装置の幾何学的なパラメーターによって決まり、簡単な手動実験によって、また例えば、ガスクロマトグラフィーによる生成物流の分析によって決定することができる。例えば、反応器内の適切な内部手段によって、反応混合物に完全に渦を巻かせることも有利だろう。バッチ形式実施の場合の最適な滞留時間も同様に決定することができる。
本方法は、2つの好ましい態様で実施することができ、具体的には、塩素の非存在下、又は好ましくはイニシエーターとして塩素の存在下で行うことができる。イニシエーターとして塩素の存在下では、特定の波長範囲、具体的には280nm未満の波長を反応混合物に作用させないことが望ましい。以下、両態様について説明する。
従って、一態様は、塩素又は他のフリーラジカルイニシエーター若しくはアクチベーターの非存在下での光酸化を想定する。例えば、石英ガラスを介して照射を行うことができ;光源と反応混合物の間に配置されない、反応器の他の成分は、当然いかなる成分でもよく、例えばホウケイ酸ガラス(特定の放射線フラクションをろ過する;以下参照)で構成されていてもよい。適切なラジエーターとして、例えば250〜400nmの範囲又は600nmまでの放射線でさえ放出する(スペクトルは上限又は下限を越えて、例えば可視光、約750nmの範囲まで広がりうる)普通のラジエーターが挙げられる。塩素の非存在下では、280nm未満の光が反応混合物に作用しても批判的でない。
さらに好ましい態様は、元素の塩素の存在下での280nm以上の波長の光による照射を想定する。この場合、反応混合物中に、CHClF21モル当たり0.5モル以下の元素の塩素が存在する。CHClF21モル当たり0.01〜0.50モルの塩素、好ましくは0.03〜0.25モル、特に0.05〜0.20モルの元素の塩素を使用することが好ましい。
過酸化水素、オゾン又はN2O若しくはNO2のような酸化窒素は、好ましくは反応混合物に添加されない。
元素の塩素の存在下でHCFC-22と酸素を転換させ、かつ活性化照射を280nm以上の波長λの光で行うと、転化率、収率及び選択性が特に高い。そこで、280nm未満の波長の振動数を振動数スペクトルから本質的に遮蔽する。これは、280nm以上の波長の光だけを発する照射ランプを用いることによってもたらされ、及び/又は発された光から280nm未満の波長の振動数を遮蔽する手段を使用する。例えば、280nm以上の波長の光に対してのみ透明、すなわち、より短い波長の放射線フラクションをろ過するガラスを介して照射することができる。この目的に好適なガラスは、例えばホウケイ酸ガラスである。好適なガラスは、例えば、7〜13%のB23、70〜80%のSiO2、また2〜7%のAl23と4〜8%のNaO2+K2O、さらに0〜5%のアルカリ土類金属酸化物(各場合質量%)を含む。ホウケイ酸ガラスの公知ブランドはDuran、Pyrex及びSolidexである。
照射のためには、280nm以上の波長の(UV)光だけを発する照射ランプが特に好ましい。特に蛍光管(例えば、Philips製)が非常に好適である。このようなランプで石英ガラスを介して照射を行うことができるが、相対的に短波長の放射線フラクションをろ過する上記ガラスを介しても行える。当然、使用するランプ又は管も元素の塩素の吸収範囲内で発光することが必須である。特に好適な蛍光管とは別に、例えば、照射ランプ(例えば、中圧又は高圧水銀ラジエーター)も使用でき;例えば280nm以上の波長の光だけに対して透明なガラスを介して照射することによって、280nm未満の領域のいずれのラインもろ過される。使用可能なガラスについては上述した。例えば、高圧水銀ランプも非常に好適なランプであり、ドーパントにより、280nm以上の好ましい波長範囲内で優先的に又はこの範囲内だけで発光する。高圧水銀ラジエーターは、例えば、上述したように、例えばホウケイ酸ガラスによってろ過されうる254nmの領域内に非常に強いバンドを有する。金属ヨウ化物でドープされた高圧水銀ラジエーターの場合、このラインが高度に抑制される。このようなドープドラジエーターを用いると多くの場合転化率が比例的増加を超えることは驚くべきことである。特に好適なラジエーターは、ヨウ化ガリウム、特にヨウ化タリウム又はヨウ化カドミウムでドープされた高圧水銀ラジエーターである。このようなドープド照射ランプを使用すると、例えばホウケイ酸ガラス内で操作することによって、λ<280nmの相対的に短波長の放射線もろ過される。
出発化合物と酸素とのモル比は広範に変化しうるが、出発化合物1モル当たり少なくとも0.4モルの酸素が好適に使用される。酸素を過剰に用いてもよい。出発化合物と酸素のモル比が1:0.4〜1:5、好ましくは1:0.4〜1:1、特に1:0.4〜1:0.9の範囲のとき、特に良い結果が得られる。述べたように、酸素は空気の形態で使用できる。O2/不活性ガス混合物の形態で酸素を使用することが好ましいが、特に純粋な酸素として使用するのが好ましい。生成物の純度に関しては、反応中に最小量の水が存在することが望ましい(例えば、30ppm未満)。所望により、既知の様式で、例えば分子ふるいの手段によって、反応物から飛沫同伴水(entrained water)を無くすことができる。
本発明の方法の利点は、高い選択性と収率である。
以下の実施例は、本発明を制限することなく本発明を説明する。
実施例1:光化学反応によるフルオロホスゲン(COF2)の調製
反応式:CF2HCl+1/2O2→COF2+HCl
バッチサイズ:個々の実験参照
実験の手順と構成:
用いた反応チャンバーは、冷却フィンガー(Duran)とランプシャフト(石英ガラス)を備え、580mlの容量を有するDuranガラス製反応器だった。反応器の底部にあるガラスフリットを通じてガスを導入した。圧縮空気で高圧水銀蒸気ラジエーターを冷却した。
実験開始時に、まず圧縮空気冷却のスイッチをオンにしてからランプを点火した。約10分後、ラジエーターはその出力に達した(500又は700ワット)。ここでガスの導入を開始した。まず、HCFC-22(R 22)の導入を始め、次に塩素の導入、最後に酸素の導入も始めて、全3種の反応物を反応器内に供給した。
次に、すべてのガスを同時に特定の比率で計量して反応器チャンバーに通した(“小量の塩素”は、1mol/hのCHF2Cl当たり約0.12mol/hの塩素を意味する)。結果の生成ガス流を洗浄ビン(約5%のH22溶液で充填)に通し、過剰の塩素を捕集してそれをHClに転換した。生成ガス流のサンプルを洗浄ビンの上流で引き取った。
実験1:
バッチ:0.5モルのR22/h
0.5モルのO2/h
小量のCl2
手順:ランプ出力700ワット
Figure 2007527841
ガスサンプルの分析評価(すべての分析は空気なしで計算した):
サンプル:
7.45: 45.1% COF2 8.10: 24.5% COF2
44.2% HCl 23.7% HCl
8.6% CO2 10.9% CO2
1.8% R12 3.9% R12
0.3% H2O 37.0% R22
実験2:
バッチ:0.5モルのR22/h
0.5モルのO2/h
小量のCl2
手順:ランプ出力500ワット
Figure 2007527841
分析評価(13.30のサンプルを除き、すべての分析は空気なしで計算した):
サンプル:
7.50: 32.9% COF2 8.45: 43.1% COF2
34.3% HCl 42.7% HCl
5.5% CO2 6.1% CO2
8.6% R12 6.5% R12
0.3% H2O 0.8% R22
18.4% R22
9.45: 44.6% COF2 11.15: 45.6% COF2
41.6% HCl 43.9% HCl
3.1% CO2 5.7% CO2
6.8% R12 3.6% R12
4.0% R22 1.3% R22
12.00: 44.9% COF2 13.00: 42.0% COF2
40.3% HCl 41.8% HCl
11.8% CO2 13.9% CO2
2.6% R12 1.7% R12
0.3% R22 0.5% H2O
13.30: 49.3%空気(O2)
44.0% R22
2.2% HCl
2.2% CO2
2.0% COF2
0.2% H2O
実験3:
バッチ:0.5モルのR22/h
0.5モルのO2/h
小量のCl2
手順:ランプ出力500ワット
Figure 2007527841
分析評価(すべての分析は空気なしで計算した):
サンプル:
8.45: 43.6% COF2 9.45: 46.0% COF2
42.3% HCl 43.2% HCl
10.7% CO2 6.9% CO2
1.7% R12 1.2% R12
1.0% R22 2.2% R22
0.6% H2O 0.6% H2O
11.15: 36.7% COF2 11.45: 41.7% COF2
38.4% HCl 40.7% HCl
8.4% CO2 7.2% CO2
0.9% R12 0.9% R12
15.4% R22 9.3% R22
0.2% H2O 0.3% H2O
実施例2:光化学反応によるフルオロホスゲン(COF2)の調製
(石英ガラス冷却フィンガーあり、Cl2なし)
実験の手順と構成:
用いた反応チャンバーは、石英製の冷却フィンガーとランプシャフト(石英ガラス)を備え、580mlの容量を有するDuranガラス製反応器だった。反応器の底部にあるガラスフリットを通じてガスを導入した。圧縮空気で高圧水銀蒸気ラジエーターを冷却した。実験開始時に、まず圧縮空気冷却のスイッチをオンにしてからランプを点火した。約10分後、ラジエーターはその出力に達した。まず、HCFC-22を反応器に導入してから酸素のスイッチをオンにした。
次に、2種のガスを同時に特定の比率で計量して反応器チャンバーに通した。結果の生成ガス流を分析した。
実験2.1:
バッチ:0.5モルのR22/h
0.4モルのO2/h
手順:ランプ出力500ワット
Figure 2007527841
分析評価:
サンプル:
9.30: 56.2% O2 10.00: 38.8% COF2
15.6% COF2 34.7% HCl
9.7% HCl 7.7% CO2
1.3% CO2 14.2% R22
16.6% R22 0.4% H2O
0.4% H2O 3.7% COFCl
0.24% COFCl 0.6% R12
0.04% COCl2
10.30: 35.9% COF2 11.00: 35.4% COF2
31.3% HCl 32.3% HCl
6.1% CO2 7.1% CO2
21.4% R22 18.6% R22
0.2% H2O 5.7% COFCl
4.5% COFCl 0.8% R12
0.6% R12 0.07% COCl2
0.05% COCl2
11.30: 33.6% COF2 12.00: 31.2% COF2
33.7% HCl 29.9% HCl
8.1% CO2 7.9% CO2
18.6% R22 24.4% R22
5.7% COFCl 5.7% COFCl
0.7% R12 0.9% R12
0.1% COCl2 0.1% COCl2
13.00: 30.9% COF2 13.30: 27.1% COF2
28.0% HCl 30.4% HCl
6.8% CO2 11.5% CO2
27.3% R22 23.5% R22
0.2% H2O 6.4% COFCl
5.9% COFCl 1.0% R12
0.7% R12 0.2% COCl2
0.1% COCl2
実施例は、塩素の存在下かつ相対的に短波長フラクション(λ<280nm)がろ過された光での実施の場合に特に良い収率と転化率が達成されることを実証している。
実施例3:HCFC-22のO2に対するモル比が1:0.8でのC(O)F2の調製
約580mlの容量の上記反応器に、1.0mol/hのHCFC-22、0.8mol/hのO2及び0.06mol/hのCl2の処理能力でHCFC-22、O2及びCl2を供給して、約1分の滞留時間を生じさせ、相互に50℃で反応させた。
繰り返し実験は0.8mol/hのHCFC-22、0.64mol/hのO2及び0.05mol/hのCl2の処理能力で行った。
良い転化率で、約99.0〜99.3%のC(O)F2の選択性が達成された。
常法、例えば低温蒸留又は加圧蒸留によってフッ化カルボニルを単離できる。

Claims (9)

  1. CHClF2又はCHF3を酸素で光酸化することによるC(O)F2の調製方法。
  2. 塩素の非存在下、280nm未満を含む波長を有していてもよい入射光で照射を行うか、又は元素の塩素の存在下、反応混合物中、CHClF2若しくはCHF31モル当たり0.50モル以下の元素の塩素が存在する場合に280nm以上の波長の光で照射を行う請求項1記載の方法。
  3. CHClF2若しくはCHF31モル当たり0.05〜0.20モルの元素の塩素が存在する請求項1記載の方法。
  4. 20〜300℃、好ましくは30〜300℃、特に50〜90℃の温度で照射を行う請求項1記載の方法。
  5. 1〜11バール(絶対)の圧力で照射を行う請求項1記載の方法。
  6. 反応物がガス状態で存在する請求項1記載の方法。
  7. 反応を連続的に行う請求項1記載の方法。
  8. 反応器内の平均滞留時間が0.1〜3分である請求項7記載の方法。
  9. 出発化合物としてCHClF2を使用する請求項1記載の方法。
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