JP2007515179A - 新規アルカリプロテアーゼおよび、該新規アルカリプロテアーゼを含有する洗浄および清浄製品 - Google Patents

新規アルカリプロテアーゼおよび、該新規アルカリプロテアーゼを含有する洗浄および清浄製品 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規アルカリプロテアーゼに関し、水底土壌サンプルから得られるそれらのDNA、少なくとも40%同一性である全てのアルカリプロテアーゼ、関連した核酸と少なくとも相同な50%同一性を有する全ての核酸に関する。本発明は、該プロテアーゼのフラグメントに関し、それはアミノ酸位置108〜325、さらにそれらをコードしている遺伝子フラグメントを含んでおり、少なくとも60%の同一性である全てのアルカリプロテアーゼまたは少なくとも70%同一である核酸に関する。さらに、本発明は、該プロテアーゼを使用するための技術的可能性を明示するものであり、特に洗浄または清浄製品におけるその使用を記載するものである。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、土壌サンプルから得た新規アルカリプロテアーゼのDNA配列に関し、全ての十分類似性のあるアルカリプロテアーゼおよび核酸、およびこのようなプロテアーゼ、特に洗浄および清浄製品におけるそれらの有効性のための工業的用途の可能性に関する。
プロテアーゼは、全ての酵素の中で最も技術的に有意なものの一つである。それらの中で、スブチリシン型のプロテアーゼ(スブチラーゼ、スブチロペプチダーゼ、EC3.4.21.62)は、触媒活性なアミノ酸であるために、セリンプロテアーゼに属すると分類されており、これら同様、特に重要である。それらは、非特異的なエンドペプチダーゼとして作用する、即ちそれらは、ペプチドまたはタンパク質の内部に位置する任意の酸アミド結合を加水分解する。それらの至適pHは、通常明らかにアルカリ性の範囲にある。このファミリーの概説は、例えば標題"スブチラーゼ:スブチリシン様プロテアーゼ"として、"スブチリシン酵素"(R. Bott and C. Betzel, New York, 1996編)のp.75-95においてR. Siezenによって提供され得る。スブチラーゼは微生物によって天然に形成される;それらの中で、Bacillus 種によって形成され、分泌されるスブチリシンは、スブチラーゼにおいて特に最も有意な群として記載され得る。
プロテアーゼは、他の酵素と共に、洗浄および清浄製品の十分確立された活性成分であり、洗浄される材料上のタンパク質含有汚れを分解する。理想的には、相互効果が、関連のある製品の酵素と他の成分との間で生じる。洗浄および清浄製品のプロテアーゼのなかで、それらの有利な酵素的特性、例えば安定性または至適pHから、スブチラーゼは優れた位置を占める。さらに、それらは、その他非常に多くの工業的用途の可能性、例えば化粧品成分として、または有機化学合成に好適である。
新規酵素を得るための従来方法は、微生物含有サンプルを天然環境から採取し、適当と見なされる条件、例えばアルカリ性環境で、それらを培養する方法である。こうして、ある見込みをもって、適当な条件で活性である酵素(アルカリプロテアーゼを包含する)も含有する富化微生物培養物を得る。能力が最も高い酵素を有する微生物が選択され(例えばタンパク質含有寒天プレート上に播種し、形成する分解孔を測定することによって)、精製され、適当な遺伝子がクローニングされる。
この種の方法は、例えば"Alkalophilic Microorganisms. A New Microbial World," by K. Horikoshi and T. Akiba (1982), Japan Scientific Societies Press, Springer-Verlag, New York, Heidelberg, Berlin, ISBN 0-387-10924-2, Chapter 2, pp. 9-26に記載されている。また、WO00/24882 A1は、例えば、任意の環境、例えばルーメンからの微生物含有サンプルが、目的とする条件下で培養され、それによって富化され、目的とする核酸がそこから単離され、クローニングされるという行為によって得られるジーンバンクを作成するための方法を開示している。
天然に、好ましくは細菌的に形成されたアルカリプロテアーゼは、洗浄および清浄製品においてすでに使用されてきた。国際特許出願公開 WO93/07276 A1によれば、例えばBacillus 種164−A1から得られ得るプロテアーゼ164-A1(Chemgen Corp., Gaithersburg, MD, USA, and Vista Chemical Company, Austin, TX, USA)は、洗浄および清浄製品において使用するのに適切である。他の例は、Bacillus sp. PD138由来のアルカリプロテアーゼであるNCIMB 40338(Novozymes A/S, Bagsvaerd, Denmark, (WO 93/18140 A1))、Bacillus sp. ferm. BP-3376(US Patent 5,344,770)由来のプロテイナーゼK-16(Kao Corp., Tokyo, Japan)、ならびにWO96/25489 A1によれば、好冷生物 Flavobacterium balustinum由来のプロテアーゼ(Procter & Gamble, Cincinnati, OH, USA)である。
天然のプロテアーゼは、自体既知である突然変異誘発方法によって、例えば洗浄および清浄製品における使用のために至適化される。これらは、点突然変異誘発、欠失、挿入または他のタンパク質またはタンパク質の一部分との融合による、またはその他の修飾法による方法を包含する。例えばスブチリシンの洗浄能を改善するために、既知の分子に計画的な点突然変異を導入するためのストラテジーは、「合理的タンパク質設計」とも言われる。同様の性能改善ストラテジーは、表面電荷および/または分子等電点を修飾すること、そしてそれによって、基質とそれらの相互作用を修飾することからなる。点突然変異を用いると、例えばスブチリシンの正味電荷は、基質結合に影響するように、特に洗浄および清浄製品の使用のために修飾され得る。さらに、特に補足的ストラテジーは、適当なプロテアーゼの安定性の増加、すなわちそれらの効果の増加からなる。ポリマーとの結合による安定化は、化粧品用のプロテアーゼについて、例えば米国特許5230891に記載されている;それは良好な皮膚適合性に関連する。洗浄および清浄製品のためには、特に点突然変異法による安定化はより一般的である。
酵素開発におけるある現在の傾向は、統計学的方法を用いて既知の相互に関係するタンパク質からの要素を組合せて、従来では達成されていない特性を有する新規酵素を得ることである。このような方法は、一般的総称「定方向進化」でまとめられている。これらは、例えば次の方法を包含する:StEP方法(Zhao et al. (1998), Nat. Biotechnol., Vol. 16, pp. 258-261);ランダムプライミング組換え法 (Shao et al., (1998), Nudleic acids Res., Vol. 26, pp. 681-683);DNAシャッフリング(Stemmer, W.P.C. (1994), Nature, Vol. 370, pp. 389-391);またはRACHITT(Coco, W.M. et al. (2001), Nat. Biotechnol., Vol. 19, pp. 354-359)。さらにシャッフリング方法は、WO 00/09679 A1に記載された「組換え化ライゲーション反応」(RLR)として示されている。
スブチリシン型の工業的に最も重要なアルカリプロテアーゼの概説は、下記に提供される。Bacillus amyloliquefaciens または B. subtilisから得られるスブチリシン BPN’は、Vasantha ら(1984)[J. Bacteriol., Volume 159, pp. 811-819]およびJ. A. Wellsら(1983)[nucleic acids Research, Volume 11, pp. 7911-7925]の研究において開示されている。スブチリシンBPN’は、特に位置の番号付与に関して、スブチリシンの参照酵素として役立つ。
例えば、全てのスブチリシンに言及している欧州特許出願 EP 251446 A1の点突然変異も、BPN’の番号付与を用いて示され、同出願の主題は、Procter & Gamble Corp., Cincinnati, Ohio, USAによって「プロテアーゼB」と呼ばれる。欧州特許出願 EP 199404 A1のBPN’変異体は、Procter & Gamble Corp.によって「プロテアーゼA」と呼ばれる。「プロテアーゼ C」は、国際出願公開 WO91/06637に従って、BPN’の別の点突然変異によって特徴づけられる。「プロテアーゼ D」は、WO 95/10591 A1によれば、Bacillus lentus由来のプロテアーゼの変異体をいう。
プロテアーゼスブチリシンカールスバーグは、E.L.Smithら(1968)[J.Biol.Chem., 第243巻, 第2184-2191頁]およびJacobsら(1985)[Nucl.Acids Res., 第13巻, 第8913-8926頁]による文献に記載される。それは、Bacillus licheniformisによって天然に形成され、Maxatase(登録商標)(Genencor International Inc., Rochester, New York, USA)の商品名で、Alcalase(登録商標)(Novozymes A/S, Bagsvaerd, Denmark)の商品名で入手可能である。
プロテアーゼ PB92は、好アルカリ性細菌Bacillus nov. spec. 92によって天然に産生され、Maxacal(登録商標)(the Gist-Brocades company, Delft, Netherlands)の商品名で入手できる。それは、欧州特許出願 EP 283075 A2において、初めて配列を記載している。
スブチリシン147および309は、NovozymesによってEsperase(登録商標)およびSavinase(登録商標)の各々商品名の下で市販される。それらは、英国特許出願GB 1243784 Aに開示されているBacillus 株から元来由来し得る。
スブチリシンDYは、初めてNedkov ら(1985)[Biol. Chem Hoppe-Seyler, Volume 366, pp. 421-430]によって記載された。
B.lentus由来のアルカリプロテアーゼは、国際出願公開 WO91/02792 A1に記載のBacillus 種由来のアルカリプロテアーゼである。プロテアーゼそれ自身が、酸化に関して比較的十分な安定性および洗浄作用をすでに持っている。国際出願公開 WO91/02792 A1および欧州特許出願 EP 493398 B1および米国特許US 5352604では、宿主B.licheniformis ATCC 53926におけるその異種発現を記載している。前記米国特許の請求項には、B.lentus アルカリプロテアーゼの特性として位置208、210、212、213および268を示す;それらは、成熟タンパク質の番号付与では、位置97、99、101、102および157に対応し、この点でこの酵素は、成熟スブチリシン309(Savinase(登録商標))とは異なる。この酵素の3次元構造は、Goddette(1992)らの文献[J. Mol. Biol., Volume 228, pp. 580-595:"The Crystal structure of the Bacillus lentus Alkaline protease, Subtilisin BL, at 1.4Å resolution."]に記載されている。点突然変異によって安定され、特に洗浄および清浄製品における使用のために適当であるこの酵素の工業的に重要な変異体は、特に国際出願公開 WO92/21760 A1、WO 95/23221 A1、WO 02/088340 A2およびWO 03/038082 A2に開示されている。
ドイツ特許出願 DE 19857543 A1は、例えば、液体からゲル状のプロテアーゼを有する洗浄および清浄製品、例えばWO 95/23221 A1で明らかにされた製品を開示している。
Thermoactinomyces vulgarisによって天然に形成された酵素サーミターゼ(thermitase)は、Melounら (FEBS Lett. 1983, pp. 195-200) によって初めて記載された。これは、他のスブチリシンと比較して、相当な配列不一致を示す分子である。サーミターゼとB.lentus DSM 5483(下記を参照されたい)由来のアルカリプロテアーゼとの間のホモロジーは、成熟タンパク質としては、例えば45%の同一性(62%アミノ酸類似性)である。
プロテイナーゼKは、B.lentus由来のアルカリプロテアーゼに対して相当低いホモロジーを示すプロテアーゼである:成熟タンパク質レベルでわずか33%のみの同一性(46%アミノ酸類似性)である。プロテイナーゼKは、微生物Tritirachium album Limberから得られた初めてのものであり、K.D. Jany および B. Mayer (1985)[Biol. Chem. Hoppe-Seyler, Vol. 366, pp. 485-492]によって記載されている。
WO 88/07581 A1は、特に洗浄および浄化製品において使用するための、極めて類似したプロテアーゼTW3およびTW7を開示している。
Bacillus subtilis 由来のバシロペプチダーゼ(Bacillopeptidase)Fは、アミノ酸レベルでB.lentus アルカリプロテアーゼに対して30%の同一性しか持たなかった。この酵素は、上記研究においてSiezen らによって議論されているが、洗浄および清浄製品における使用について記載されておらず、また請求されていない。
国際出願公開 WO01/68821 A2は、卵の汚れに関して良好な性能を有する新規スブチリシンを記載している。
天然環境から単離され得る微生物から形成される別のアルカリプロテアーゼは、例えば国際出願公開 WO03/054185A1(Bacillus gibsonii由来(DSM 14391))、WO 03/056017 A2(Bacillus sp.由来(DSM 14390))、WO 03/055974 A2(Bacillus sp.由来(DSM 14392))およびWO 03/054184 A1(Bacillus gibsonii由来(DSM 14393))から明らかである。全てのこれら出願は、これらの新規アルカリプロテアーゼを含有する同等の洗浄および清浄製品を開示する。
国際出願公開 WO2004/085639 A1は、微生物 Nesternkonia sp. nov. 株(DSM 15380)由来のpH10で最高活性を有するセリンプロテアーゼ、それをコードししている遺伝子と共に開示している。
工業的に重要なプロテアーゼのさらなる群は、コファクターとして金属カチオンを必要とするメタロプロテアーゼに代表される。それらの代表的なものは、スブチラーゼファミリーに分けられ得る。US 2003/0113895 A1は、例えば、グラム陽性細菌、例えばB.subtilis由来、またS.cerevisiae、S.pombe、E.coliおよびH.influenzae由来のメタロプロテアーゼを記載する。メタロプロテアーゼを有する洗浄および清浄製品は、例えば国際出願公開 WO 00/60042 A1およびWO 02/36727 A1に開示されている。後者において、製品中のその活性を保証するために、特定のカルシウム濃度は維持されるべきである。最後に、欧州特許出願 EP 1288282 A1は、食器洗浄用製品においてセリンプロテアーゼおよびメタロプロテアーゼの混合物を開示している。
さらに、既知のプロテアーゼは、Novozymesから、商品名 Durazym(登録商標)、Relase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Nafizym、Natalase(登録商標)およびKannase(登録商標)として、Genenncorから、商品名 Maxapem(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect OxP(登録商標)およびProperase(登録商標)として、BioChemicals Ltd. Thane(インド)から、商品名 Protosol(登録商標)として、およびWuxi Snyder Bioproducts Ltd.(中国)から、商品名Wuxi(登録商標)として入手可能な酵素である。
長い時間をかけて為されてきたあらゆるこれらの努力によって示されるように、ある場合において極端に、他の場合においてはいくつかの部分にのみ、以前から知られているプロテアーゼとは異なる工業的に使用し得るプロテアーゼについての多大な需要が存在する。それらは、特に、大規模な適用セクターを示す洗浄および清浄製品において、それらの使用に関連して、広範囲にわたる性能の相違をカバーすることを意図する。洗浄または清浄製品のための適当なプロテアーゼは、対応する条件(例えば、本来的な変性界面活性剤、漂白、高温など)に対するある非感受性によっておよび対応する基質、例えば食品残留物に存在するタンパク質などの良好な性能によって区別されるのが好ましい。
それ自体で即時使用できる、突然変異誘発の様々な可能性によってさらに特異的に至適化され得る新規アルカリプロテアーゼについて活発な要望がいまだ存在することは、同じく、明らかである。このような新規のプロテアーゼは、現在まで知られていなかったヌクレオチド配列(関連する酵素それ自身が比較的穏やかな性能を提供するとしても)が、新規のシャッフリング方法について(例えば既知配列を用いて)または完全に新規の人為的酵素についての変動範囲を広げるので、非常に最近確立されたシャッフリング技術の脚光を浴びて特に注目されている。
そのため、本発明の基本的な対象は、新規のアルカリプロテアーゼを発見することにある。この目的は、特に、洗浄または清浄製品の性能における改善についてすでに天然にもたらされたものを見出すことであった。
この目的に関連して、このようなプロテアーゼを単離するための適当な方法を確立することを次なる目的とした。この目的は、この種のプロテアーゼをコードする核酸を利用し得るようにすることにあり、それによって、このようなプロテアーゼを再生させ、さらなる開発に使用され、可能であればシャッフリング方法に導入され得る、遺伝子工学および微生物学的要素を得るようにすることができる。別の目的は、対応する製品、特に洗浄および清浄製品、対応する洗浄および清浄方法、およびこのようなプロテアーゼについての対応する方法および適用能力を利用可能にすることである。最終的な目的は、発見されたプロテアーゼに対する工業的な利用可能性を明示することであった。
目的を達成するために使用されるアプローチは、決して現在までにはとられなかったものである。例えば、好アルカリ性微生物のための従来の集積培養として上記に示したことを設定するために行う努力は必要ない;かわりに、アルカリプロテアーゼをコードする核酸それ自身を、土壌サンプルから直接(即ち、株の単離により遠回りすることがない)単離する試験を行った。核酸は、起源に応じて特定の株、即ち特定ゲノムに割り当てられ得ないので、ここで包含されるものはいわゆるメタゲノムDNAである。
上記目的は、配列番号:4に示したアミノ酸配列と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を有するアルカリプロテアーゼによって達成される。
それらに関連した本発明の別の目的は、適切な核酸、対応する天然細胞、その核酸に基づいたそれらを同定するための適当な方法、特に分子生物学的方法および方法工程、ならびに製品、洗浄および清浄製品、洗浄および清浄方法、対応するプロテアーゼの方法によって特徴づけられる適用能力である。
具体的な例としては、配列番号:4に示した酵素、および製品を洗浄および清浄するために使用し得るタンパク質分解活性をすでに示すそれらから得られた成熟酵素、を示す。これは、必ずしもメタロプロテアーゼと予測されなかった(これは、ここで配列比較に基づいた対象である)、これは、酵素がコファクターとして必要とするカチオンが、通常の洗浄製品成分、特にビルダーによって錯体化された、すなわち酵素から奪われるためである。提供されたDNAを基にして、この酵素のさらなる至適化は、例えば、別の点突然変異によっても可能である。このDNAは、さらにシャッフリング活性に移入され、それによって、完全に新規なプロテアーゼを作成するために使用され得る。
「タンパク質」とは、本発明の目的については、天然のアミノ酸からなるポリマーであって、実質的に線状構造を有し、ほとんどの場合、その機能を発揮するために3元構造をとるポリマーを意味する。本明細書においては、19個のタンパク質原性の天然に存在するLアミノ酸が、国際的に用いられ1文字コードおよび3文字コードによって示される。数字によるこれらの記号表示の組合せは、個々のタンパク質について、アミノ酸基が、各々の位置においてそれを担持することを示す。類似の記号表示は、点突然変異のために定めた。規定されなければ、点の表示は、適切なタンパク質、即ちシグナルペプチドを含まない(下記を参照されたい)各々成熟形態を示す。
「酵素」は、本発明の目的のために、特異的生物化学的機能を実施するタンパク質として解されるべきである。「タンパク質分解酵素」またはタンパク質分解機能を有する酵素、例えば、タンパク質の酸-アミド結合を加水分解するものとして一般的に解されるべきである。
多くのタンパク質は、いわゆる「プレタンパク質」として、すなわち「シグナルペプチド」とともに産生される。即ち、後者とは、タンパク質のN末端部分として解され、その機能は、通常、産生されたタンパク質の産生細胞から細胞周辺腔または周囲培地への移動および/またはその正確な折り畳みを確実にすることである。天然の条件下で、このシグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼによって残りのタンパク質から切断され、その結果このタンパク質は、最初に存在していたN末端アミノ酸なしに、その実際の触媒活性を発揮する。
工業的適用においては、「成熟ペプチド」(すなわち、その産生後にプロセシングされた酵素)が、その酵素活性のゆえにプレタンパク質よりも好まれる。
「プロタンパク質」は、タンパク質の不活性前駆体である。シグナル配列を有するその前駆体は、「プレプロタンパク質」と呼ばれる。
「核酸」とは、本発明の目的のためには、天然にヌクレオチドから構成され、情報担体として働き、タンパク質または酵素の直線状アミノ酸配列をコードする分子を意味する。それらは、一本鎖の形態であっても、この一本鎖に相補的な一本鎖の形態であっても、または二本鎖の形態であっても存在しうる。分子生物学の研究のためには、天然の比較的耐久性の高い情報担体として、核酸DNAが好ましい。RNAが、天然環境において、例えば発現細胞において本発明を実施するために産生される;また、本発明に必須のRNA分子は、本発明の実施態様を表す。それらから、順に(c)-DNA分子が、例えば逆転写によって得られる。
タンパク質に対応する核酸情報単位も、本発明の目的のために、「遺伝子」とみなされる。DNAの場合には、両方の相補鎖の配列が、各々の場合において3つの可能な読み取りパターン全てを考慮されなければならない。異なるコドントリプレットが、同じアミノ酸をコードすることができるので、その結果特定のアミノ酸配列が、同一性がほとんどない複数の異なるヌクレオチド配列から得られる(遺伝子コードの縮重)という事実も考慮しなければならない。さらに、種々の生物体は、これらのコドンがどのように使用されるかにおいて相違を示す。これらの理由から、アミノ酸配列およびヌクレオチド配列の両方が、発明の保護範囲に包含されなければならず、示したヌクレオチド配列は、各々の場合において、特定のアミノ酸配列をコードする単なる一例であるとみなされるべきである。
当業者は、現在一般に既知である方法、化学合成またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などと、分子生物学および/またはタンパク質化学などの標準的な方法とを組み合わせて、既知のDNA配列および/またはアミノ酸配列に基づいて完全な遺伝子を作成することが可能である。このような方法は、例えば「Lexikon der Biochemie(生化学百科事典)」、Spektrum Akademischer Verlag、Berlin、1999、第1巻、267〜271頁、および第2巻、227〜229頁から知られる。これは、特に、株収集において寄託された株を入手する場合に利用できる。このような株から、例えば、既知配列に基づいて合成し得るPCRプライマーを用いておよび/または単離したmRNA分子を介して、合成し、クローニングすること、所望によりさらに好ましい遺伝子を処理すること(例えば、突然変異を誘発させる)も可能である。
ヌクレオチド配列に対する修飾、例えば、分子生物学的な自体既知の方法を用いてもたらされ得る修飾は、「突然変異」と呼ぶ。既知の型は、例えば、変更の性質によって、「欠失」突然変異、「挿入」突然変異、または「置換」突然変異であるか、または遺伝子または遺伝子の一部が異なるものが別のものと「融合」されたもの(シャッフリング)である;これらは遺伝子突然変異である。関連のある生物を突然変異体という。変異導入された核酸から得たタンパク質は、「改変体」である。例えば融合および欠失、挿入、または置換変異体は、融合遺伝子または欠失-、挿入-、または変異導入された置換遺伝子を生じさせ、タンパク質レベルでは、各々、対応する融合タンパク質または欠失突然変異体、挿入突然変異体または置換突然変異体を生じさせる。
正確に1つのアミノ酸位置(アミノ酸交換)を包含する「点突然変異の記載」について、次の慣例が用いられる:まず、天然に存在するアミノ酸が、国際的に認められた1文字コードの形式で明記され、次いで関連する配列位置、最後に挿入されたアミノ酸によって明記される。同じポリペプチド鎖内での複数交換は、各々スラッシュによってそれぞれが区別される。
本発明の目的のために、「ベクター」とは、核酸からなるエレメントであって、かつ特徴的な核酸領域として目的の遺伝子を含むエレメントと解される。それらは、数世代または細胞分裂にわたって、種または細胞系で残りのゲノムとは独立して複製する安定な遺伝的エレメントとして、目的の遺伝子を確立することができる。ベクターとは、特に細菌において用いられる場合、特定のプラスミドであって、即ち環状の遺伝子エレメントである。遺伝子操作において、一方において、貯蔵のために使用され、ある程度までは遺伝子操作の研究のために使用されるベクターである「クローニングベクター」と、他方において、宿主細胞において目的の遺伝子を確立する機能、即ち、該当タンパク質の発現を可能にする機能を発揮するベクターとの間を区別する。これらのベクターは、「発現ベクター」と呼ばれる。
上記ベクターを含有する細菌細胞および真核細胞の両方の細胞は、一般的に、相違に関係なく「細胞」という。ベクター、特に発現ベクターを含有し、そしてトランスジーンを発現するために刺激され得る細胞は、それらが適当な遺伝子系の宿主として機能するため、宿主細胞と呼ばれる。
ホモロジー決定(Homologation)は、既知遺伝子またはタンパク質の配列と、核酸またはアミノ酸配列の比較である。それは、例えばアラインメントによって行われる。ホモロジーは%同一性であり、例えば、D. J. Lipman および W. R. Pearson(1985)[Science 227, pp. 1435-1441]によって記載された方法に従って測定され得る。これは、現在、市販入手し得るコンピュータープログラムによって適用されるアルゴリズムを介して為されるのが好ましい。これらは、例えば、ベクターNTI(登録商標)Suite 7.0(InforMax, Inc., Bethesda, USAから入手し得る)と呼ばれるプログラムを包含し、好ましくは予め定義されたデフォルト(即ち、標準的)パラメーターを用いる。ホモロジー表示とは、完全タンパク質または分配された個々の領域を示す。さらに定義される相同な「類似性」なる用語は、通常、それらアミノ酸が該タンパク質において同様の化学活性を為すために、保存された改変、即ち同様の化学活性を持つアミノ酸も考慮に含む。核酸の場合には、同一性の割合(%)だけが知られる。
ホモロジー決定は、アミノ酸またはヌクレオチド配列から、考えられる個々の配列領域の「機能」、さらに完全な酵素の酵素活性の推測を可能にする。異なるタンパク質の相同領域とは、同等の機能を有する領域であり、一次アミノ酸配列における同一性または保存された交換によって認められるものである。それらは、個々のアミノ酸から、数個のアミノ酸鎖長である非常に小さな領域(いわゆるボックス)に、一次アミノ酸配列の長い領域にまたがる。即ち、相同領域の機能は、完全タンパク質によって発揮される機能の極めて副次的な部分的機能、例えば、個々の水素結合の形成または基質または遷移錯体の複合化などを含むと理解すべきである。実際の酵素反応に関与しないタンパク質の他の領域は、反応を定性的または定量的に修飾することができる。これは、特に酵素安定性、活性、反応条件、または基質特異性にあてはままる。
従って、用語「タンパク質分解酵素」または「プロテアーゼ」は、触媒活性中心の少数のアミノ酸基の機能だけでなく、実際の触媒活性領域上の残りのタンパク質全体または残りのタンパク質の1またはそれ以上の部分の作用から生じる付加的なあらゆる機能を意味する。さらに、それは、他のプロテアーゼの活性が、例えば本発明のタンパク質の1以上の部分によって定性的または定量的に修飾されることも可能である。他のファクターに対するこのような影響も、同様にタンパク質分解活性と見なされる。タンパク質分解に活性な酵素は、それらのプロテアーゼである。また、タンパク質分解に活性な酵素とは、その活性が所定の時点で、例えば阻害剤によって遮断されるようなプロテアーゼである。対応するタンパク質分解反応に対する主なそれらの適合性は、重要である。
「フラグメント」とは、天然のタンパク質または完全に翻訳された遺伝子に相当するタンパク質よりも小さく、例えば合成によっても得ることができる全てのタンパク質またはペプチドを意味する。フラグメントは、それらのアミノ酸配列に基づいて対応する完全なタンパク質に割り当てられ得る。これらは、例えば、同一の構造をとることもでき、またタンパク質分解活性または部分活性を発揮することもできる。出発タンパク質のフラグメントおよび欠失改変体は、基本的には類似しているが、フラグメントとは、比較的かなり小さい小片を示すが、欠失変異体は、短い領域を欠いているだけであり、そのため個々の部分的機能のみを欠く傾向がある。
「キメラ」または「ハイブリッド」タンパク質とは、本発明の目的については、同じ生物体由来または異なる生物体由来の異なるポリペプチド鎖に天然に由来するエレメントから構成されるタンパク質であると解される。この方法はまた、「シャッフリング」または「融合突然変異誘発」とも呼ばれる。このような融合の目的とは、例えば本発明の融合されたタンパク質部分の助けを借りて特定の酵素機能をもたらすか、または修飾し得ることである。
「挿入突然変異」によって得られたタンパク質とは、それ自体既知の方法によって、出発配列にタンパク質フラグメントまたは核酸フラグメントを挿入することによって得られた改変体であると解される。原則的に、それらの類似性の故に、それらはキメラタンパク質に分類されるべきである。これらは、単に、完全なタンパク質のサイズに対する未修飾タンパク質部分のサイズの点で、後者とは異なる。このような挿入突然変異されたタンパク質における外来タンパク質の割合は、キメラタンパク質における割合よりも低い。
「逆位突然変異誘発」、すなわち、配列の部分的逆位は、欠失および挿入の両方の特別な例とみなすことができる。同じことが、元のアミノ酸配列から逸脱する種々の分子部分の再編成に当てはまる。このような再編成は、元のタンパク質の欠失変異体、挿入変異体およびシャッフリング変異体とみなすことができる。
「誘導体」とは、本発明の目的については、純粋なアミノ酸鎖が、化学的に修飾されているタンパク質を意味する。このような誘導体化は、例えば、宿主生物によるタンパク質生合成と関連して生物学的に行い得る。この目的のために、分子生物学の方法、例えば、対応する修飾を実施する遺伝子を用いる同時形質転換を使用することができる。しかし、しかし、誘導体化を、化学的に、例えば、アミノ酸側鎖の化学的転換によって、あるいはタンパク質への別の化合物の共有結合によって行うこともできる。このような化合物は、例えば、本発明のタンパク質に対して、例えば二官能性化合物を介して結合される他のタンパク質も包含し得る。このような修飾は、例えば、基質特異性または基質に対する結合の強度に影響し得るか、または結合する物質が阻害剤である場合には酵素活性の一時的な遮断をもたらし得る。これは、例えば、貯蔵期間にとって有用である。「誘導体化」とは、同様に、巨大分子支持体に対する共有結合としても解されるべきである。
本発明の目的のためには、全ての酵素、タンパク質、フラグメントおよび誘導体は、それらがそうであると明確に言及される必要がなければ、一般的用語「タンパク質」に含まれる。
「酵素の性能」とは、考慮される技術領域におけるその効力、好ましくは対応して指向される製品の範囲内でのその効力と解する。この性能は、実際の酵素活性に基づくが、さらに、特定のプロセスに関連するさらなる要因に依存する。これらの要因としては、例えば、安定性、基質結合、基質を担持する物質との相互作用、または他の成分との相互作用、特に相乗作用が包含される。
「洗浄または清浄製品の洗浄性能または清浄性能」とは、本発明にとっては、汚れた物品(例えば、織物または硬表面を有する物体)に対して、目的とする製品によって発揮される効果として解される。酵素の酵素的特性が、製品の洗浄性能に対する該酵素の寄与を推定することが容易にはできない場合もあるので、このような製品の個々の成分、例えば個々の酵素が、全洗浄または清浄製品の洗浄または清浄性能に対する該酵素の寄与という点について評価される。ここで役割を担う他のファクターは、例えば、安定性、基質結合性、洗浄される物品への結合、または洗浄または清浄製品の他成分との相互作用(特に汚れを取り除くという意味で相乗作用)である。
配列番号:4に示されるアミノ酸配列は、本発明の実施例において記載のように、土壌サンプルから単離した核酸から得られる。文字配列は、配列番号:3に示される。得られたタンパク質は、本発明に従って「プロテアーゼ HP23」と呼ぶ。
実施例3に示したとおりに、以前から知られているプロテアーゼとのホモロジー比較を、プロテアーゼHP23について "non-redundant Gene bank" (Altschul, Stephan F., Thomas L. Madden, Alejandro A. Schaffer, Jinghui Zhang, Hheng Zhang, Webb Miller, and David J. Lipman (1997) : "Gapped BLAST and PSI-BLAST:タンパク質データベースサーチプログラムの新規生成" Nucleic Acids Res., 25, pp. 3389-3402)により行った。表1に示したほとんどの推定アミノ酸配列は、これに関連して見出された。一方で、単離されたDNAは、実施例における活性試験によって示したように、機能的タンパク質をコードした。
先行技術に記載された酵素は、GenBank (National Center for Biotechnology Information, NCBI, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA)において受託番号P80057を持つ、Bacillus licheniformis由来のS2Bファミリーのグルタメート-特異的エンドペプチダーゼと最も類似していることが判った。アミノ酸レベルでの同一性は、InforMax, Inc., Bethesda,USA社からコンピュータープログラムベクターNTI(登録商標)Suite 7.0によって、予め定義されたデフォルト・パラメーターを用いて決定された(これ以降の全てのホモロジー値と同様)。上記推定プロテアーゼのうちで、受託番号NP_693914を有するOceanobacillus iheyensis HTE831からの仮想タンパク質は、最も高いホモロジー、即ち30.3%の同一性を持っている。即ち、発見されたプロテアーゼは新規酵素であり、この最も近親の酵素は非常に低い程度のホモロジーしか示さない。確立されたB.lentus アルカリプロテアーゼ(WO 97/21760 A1)に関して、14.4%の同一性ホモロジーが、このアルカリプロテアーゼの完全長にわたるアミノ酸レベルで存在する。
V8プロテアーゼ(またはS8スブチラーゼ)が、最も類似した酵素であると見出されたという事実は、この明細書に包含されるものが、スブチラーゼであってスブチリシンではないという指標と見なされるべきである;後者は、洗浄製品のプロテアーゼに特に多く含まれるスブチラーゼの下位群である。同時に、V8プロテアーゼに対するその関係から、HP23をメタロプロテアーゼのファミリーに分類することができる。
少なくとも40%同一である全てのアルカリプロテアーゼは、保護範囲に含まれ得る。
それらの中の好ましいものは、同様にスブチラーゼに分類され得る、配列番号:4のアルカリプロテアーゼと類似した機能領域を包括的に示すアルカリプロテアーゼである。
また、好ましいものは、機能的アルカリプロテアーゼ、即ち欠失していないか、または単なる推定上の酵素ではなく、むしろ酵素活性に基づいた工業的用途に実際に使用し得るものである。
より好ましくは、示されたアミノ酸配列と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、92.5%、95%、96%、97%、98%、99%、特に好ましくは100%同一であるようなアルカリプロテアーゼである。
図5に示したベクターから得た実施例2〜4に記載した関連のあるベクターは、名称23−pUC(LP10/03)を得た。それは、2003年11月10日に、the German Microorganism and Cell Culture Collection [Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, DSMZ], Mascheroder Weg 1b, 38124, Braunschweig (http://www.dsmz.de)で命名されたものとして受託され、受託番号DSM 16017である。生存性は、2003年11月11日にDSMZによって確認された。このベクターによってコードされた、最も非常に好ましいプロテアーゼをHP23という。
さらに好ましいものは、ホモロジー値が、配列番号:4に記載のアミノ酸位置32〜327に対応する領域に各々当てはまる本発明のアルカリプロテアーゼである。
これにより意味されることは、それが工業的に適切な機能を果たすことから、実際に活性な成熟タンパク質である。実施例3で説明されるように、現時点では、どのアミノ酸が成熟タンパク質のN末端を示すかを明確に説明することはまだ可能でない。配列番号:4の位置32または35の一つでの、おそらく位置32での開始が、現在のところもっともらしく思われる。異なるアミノ酸がN末端を示すと後になって見出されたなら、請求の範囲にはそれが引用されるものである。同様のことがC末端に関しても言える。配列番号:3のヌクレオチド位置982-984がストップコドンを示すので、位置327は現在のところもっともらしく思われる。しかし、プロセシングのために異なるアミノ酸がC末端を示すことが後に見出されたなら、請求の権利範囲にはそれが引用されるものである。同じことが、基本的に、内部フラグメントがタンパク質の成熟に対して切断され得る場合にも適用される。各場合において成熟タンパク質のアミノ酸配列が特に好ましい。
さらに好ましいものは、配列番号:3に示したヌクレオチド配列と、少なくとも50%、より好ましくは55%、60%、65%、70%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、92.5%、95%、96%、97%、98%、99%、特に好ましくは100%同一であるヌクレオチド配列、特に配列番号:3のヌクレオチド位置94〜984に対応する領域によってコードされる、明細書に記載のアルカリプロテアーゼの各々である。
この理由は、上記理由、特に実施例からの理由から明らかであるように、特に好ましいプロテアーゼが、それ自体、または対応する微生物を介して検出されておらず、むしろ本発明に関連して発見された核酸によってコードされていることである。
図3で説明されるように、比較のために用いた酵素は、即ちB.licheniformis (GenBank DNA受託番号:D10060)由来のグルタメート-特異的エンドペプチダーゼおよびB.lentusアルカリプロテアーゼは、図2の配列番号:3の位置254〜1311の領域、即ち完全タンパク質をコードする領域に対して、各々45.9%および46.2%の同一性を持つ核酸によって天然にコードされる。
配列番号:3に示した核酸によってコードされるプロテアーゼHP23、および成熟タンパク質についての記述に対応するプロテアーゼHP23、具体的には配列番号:3のヌクレオチド位置94〜984から得られる関連のあるプロテアーゼが、特に好ましい。
本発明の別の実施態様は、アミノ酸位置108〜325の領域で配列番号:4に示したアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を有するアルカリプロテアーゼである。
この理由は、説明したように、配列番号:4に示したアミノ酸配列のどの領域が、実際の成熟タンパク質を示すかということに関して、ある疑いが未だ存在していることである。シグナルペプチドに関して、上記に示したような考えは別にして、これに関する結論は、上記した、国際特許出願公開 WO 2004/085639 A1に開示されている微生物 Nesterenkonia sp. nov. 株 (DSM 15380)由来のプロテアーゼとの比較から導かれ得る。このプロテアーゼが、プロテアーゼ HP23よりも非常に小さく、アミノ酸位置110〜325によってホモロジー決定がなされ得ることが、図2のアラインメントから推論できる。最初の2つのアミノ酸(QN)は、アミノ酸AS(位置110および111)と関連する;同様に、それらは、位置108および109(AN)と関連しており、これは(数学的考察に頼らずに)、NおよびN、即ち2つの同一アミノ酸基がそれぞれに対応しているために、もっともらしいと思われ得る。
この理由は、位置108〜325が、プロテアーゼ HP23のタンパク質分解活性フラグメントを示すという可能性が考えられるためである。この種のフラグメントは、完全な酵素に関する利点を示し得るが、特に生物学的製造の成功およびそれらに関連する製造コストに関する利点を示す。
この領域にわたって52.3%同一性のホモロジーを持つNesterenkonia sp. nov. 株 (DSM 15380)由来のプロテアーゼが、最も類似したプロテアーゼを示すことから、上記部分配列によって定義される保護範囲は、それと少なくとも60%同一である全てのこのようなアルカリプロテアーゼを示す。特定のマニュアル再配分が、位置108〜111に対して、確信的な理由から、実施されるべきであるなら、従来技術を超えるこの明確な差違は、ホモロジー計算に関してあるバラツキが考慮される。
為された説明によると、それらの中のより好ましいものは、提示されたアミノ酸配列領域(配列番号:4の位置108〜325)と、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、92.5%、95%、97.5%、98%、99%、特に100%同一であるこれらのアルカリプロテアーゼである。
さらに、それらの中の好ましいものは、ヌクレオチド位置322〜975の領域において、配列番号:3に示したヌクレオチド配列と、少なくとも70%、より好ましくは75%、80%、85%、90%、92.5%、95%、97.5%、98%、99%、特に好ましくは100%同一であるヌクレオチド配列によってコードされるこれらのアルカリプロテアーゼである。
アミノ酸レベルに対する同考察は、核酸レベルに対しても用いられ得る。図4におけるアラインメントを基にすると、例えば、Nesterenkonia sp. nov. 株 (DSM 15380)由来のプロテアーゼのDNA配列が、HP23のアミノ酸位置108〜325をコードするヌクレオチド位置の領域、即ち322〜975の領域と63.9%同一性のホモロジーを持つということが認識され得る。即ち、それは、この領域にわたって最も類似したプロテアーゼをコードするDNA配列を示す。
また、好ましいものは、ここで説明された、天然環境から得られるか、天然環境から単離し得る核酸から得られる各アルカリプロテアーゼである。
この理由は、実施例に記載の方法を用いて単離されたDNAが天然の生物によって形成され、また機能タンパク質をイン・ビボでコードすることが考えられることである。それ故に、類似した方法によって、特に、もし包含されるものが偽遺伝子でなく、実際に形成されたタンパク質であるなら、関連酵素それら自身を見出すことも可能である。一方、核酸の単離によって、分子生物学的特性を導入し、そして産生し得る遺伝子を直接導く。さらに、関連する遺伝子が全ての条件下で発現されることが必ずしも予測され得ないし、現時点で翻訳されていない遺伝子でさえも核酸単離を介して入手し得る。
また、好ましいものはここで述べられる各アルカリプロテアーゼであり、これは天然環境から単離し得る生物由来の、プロテーゼそのものかまたはその関連核酸である。
この実施態様は、関連生物それ自身が培養され得るので特に有利である。その細胞抽出物または培養残渣から、本発明のプロテアーゼは有利に単離され、産生され得る。
それらの中の好ましいものは、該生物が微生物、好ましくは真菌類、グラム陰性またはグラム陽性細菌、特に好ましくはそれらの中でBacillus属の一つであるようなアルカリプロテアーゼである。
この理由は、培養方法が、先行技術において、特にこれらの生物について知られており、また確立されているためである。これは、工業的酵素製造において特に卓越した機能を果たすBacilliに適用する。
また、好ましいものは、フラグメント化または欠損突然変異誘発により、少なくとも100、より好ましくは、少なくとも150、200、250、および特に好ましくは少なくとも300個の、出発分子中にすでに連続的に結合されたアミノ酸を持つ、本明細書に記載のアルカリプロテアーゼの一つから誘導されたアルカリプロテアーゼまたはタンパク質である。
例えば、タンパク質分解活性を失わないで、酵素の末端またはループから、個々のアミノ酸を削除することも可能である。このような変異は、例えばWO 99/49057 A1に教示されている。WO 01/07575 A2は、このような欠失方法によって、適当なプロテアーゼのアレルギー誘発性が低下され、それらの全体的な利用性が改善されたことを教示している。フラグメント化は、後に説明されるが、挿入または置換突然変異誘発および/または他の酵素との融合の態様に利点がある。これら酵素の意図された使用に関して、それらが、フラグメント化または欠失突然変異誘発後であっても、タンパク質分解活性を持つならば特に好ましい。
また、好ましいものは、挿入突然変異誘発によって、置換突然変異誘発によって、および/または少なくとも他のタンパク質との融合によって、明細書で述べたアルカリプロテアーゼの突然変異誘発から得られる本発明のアルカリプロテアーゼである。
この理由は、先行技術の多くの文書によって、上記国際特許出願公開WO 99/49057 A1 および WO 01/07575 A2も、スブチラーゼにおいて挿入および置換に関する有利な効果が開示されていることである。それらに含まれるものは、基本的に、アミノ酸の個々の交換であるが、複数の連続したアミノ酸も、別のものと交換され得る。また、それらのものに含まれるものは、より大きな酵素の一部、例えば前記フラグメントと、異なる機能を持つ他のプロテアーゼまたはタンパク質との新規の組合せである。例えば、WO 99/57254 A1を基にして、本発明のタンパク質(またはそれらの部分)に、ペプチドリンカーまたは直接的に融合タンパク質として、他のタンパク質、例えばセルロース結合ドメイン由来の結合ドメインを備えさせて、基質の加水分解をより効果的に為すことも可能である。同様に、本発明のタンパク質は、例えば、二つの機能を果たすために、アミラーゼまたはセルラーゼに結合することもできる。
また、好ましいものは、Bacillus lentus由来のアルカリプロテアーゼの番号付与において、位置3、4、36、42、47、56、61、69、87、96、99、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、199、205、211、224、229、236、237、242、243、255、および268で、1以上のアミノ酸交換を有するアルカリプロテアーゼまたはタンパク質である;これらの位置は、図1または2におけるアラインメントの位置に関連されるべきである。
上記説明および図の説明のように、図1および2のアラインメントは、同じ標準的パラメーターの下で同じコンピュータープログラムを用いて計算された。むしろ穏やかな関係を示すNeisterenkonia sp.由来のプロテアーゼが、図2のアラインメント中へ非常に小さなプロテアーゼの挿入を包含するため、2つのアラインメントが特定の位置において異なる。2つの割り当てのうちどちらが、"正"または"誤"であるかを言うことは出来ないが、双方は根本的に適切なものとして見なされるべきである。
相同位置の関連性に関する最終決定は、比較実験の方法によってのみ最終的に決定でき、この実験では、互いに比較される2つのプロテアーゼにおいて、これらのアラインメントの1つを基にして、互いに関連のある、2つの位置が同じ様式で点突然変異され、そして酵素活性が同じように両方で修飾されたかどうかに関して考察される。例えば、B.lentus アルカリプロテアーゼ(両方のアラインメントでのBLAP)の特定位置でのアミノ酸交換が、Kまたは他の酵素パラメーターの上昇と関連するなら、そしてHP23改変体におけるK値で同じシフトに対して同じ傾向が観察されるなら、それら改変体の個々のアミノ酸交換が、相応して、同じ導入されたアミノ酸によって、図1または2におけるアラインメントの位置によって関連づけることができ、これは本発明のこの態様の確認と考えられるべきである。
次のアミノ酸基は、B.lentus アルカリプロテアーゼ野生型の分子中の該位置に位置する:S3、V4、S36、N42、A47、T56、G61、T69、E87、A96、R99、A101、I102、S104、N114、H118、A120、S130、S139、T141、S142、S154、S157、A188、V193、V199、G205、L211、A224、K229、S236、N237、N242、H243、N255、およびT268。
B.lentus アルカリプロテアーゼは、Bacillus licheniformis由来のアルカリプロテアーゼと共に、新規プロテアーゼおよび点突然変異を説明するための重要な参照分子を示すこと、また該新規プロテアーゼが本明細書で説明され、その配列はこれまでは知られていなかったことから、点突然変異の配置においてこの番号付与が有利であると思われる。一方、番号付与は一般的に成熟タンパク質に関する;そして上記したように、成熟タンパク質を開始させるアミノ酸は、現時点ではいまだ特定されていない。配列番号:4の計測で、これらの位置は、図1から推測されるとおりに、次の位置番号と対応し得る:6、7、37、43、48、56、61、69、86、95、98、100、101、103、113、117、119、136、145、147、148、159、162、193、198、204、210、216、229、234、241、242、247、248、260および280。
例えば、国際特許出願公開 WO 92/21760 A1には、次の位置でのBacillus lentus DSM 5483由来のスブチリシンの1つおよび複数の改変体が開示されている:3、4、36、42、47、56、69、87、96、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、157、188、193、199、205、224、229、236、237、242、243、255、および268。国際特許出願公開 WO95/23221 A1は、位置99、154、および211、特にR99G、R99A、R99S、S154D、S154E、L211D、およびL211Eにおいてこの分子上での交換をさらに開示する。このような改変体は、国際特許出願公開 WO 95/07770 A1によれば、化粧品における使用に特に適当である。他の交換に加え、国際特許出願公開 WO 02/088340 A2は、L211G交換を、そしてWO 03/038082 A2はG61A交換を記載している。
従って、それらの中の好ましいものは、さらなるアミノ酸交換が、1つまたはそれ以上の位置3、4、61、188、193、199、および211位置に存在するものである。
上記したものと関連して、次にそれらの中の好ましいものは、1以上のアミノ酸交換3T、4I、61A、188P、193M、199Iおよび211Dまたは211Gに関するものである、ただし、対応する相同位置がこれらの好ましいアミノ酸の一つによって、すでに天然には占有されていない場合。
特にWO 02/088340 A2に記載のとおり、交換体S3TおよびV4Iは、分子に対する安定化効果によって、おそらく洗浄または清浄製品の洗浄性能に対する後者の寄与における改善をもたらすであろう。この種の二つの交換を持つ変異体を、本発明の実施例7および8において説明している。この理由は、交換体S3T、V4I、A188P、V193M、V199I、およびL211Dによって、先行技術において確立された高性能比較酵素として、本発明の実施例7および8で用いたWO 95/23221 A1で開示されたプロテアーゼがF49として特徴づけられるためである。これに対して、プロテアーゼ HP23は、未修飾の野生型分子であり、この活性が、特に洗浄性能に対する寄与が、これらの全く同一交換体によって明らかに改善される。
また、好ましいものは、特にポリマーに結合することによってさらに安定化されている、前記アルカリプロテアーゼである。
この理由は、貯蔵中および/または使用中の安定性の増加、例えば洗浄過程における安定性の増加は、その活性を長く継続させ、即ち効果を増強させるためである。適当な安定化の可能性は、先行技術に述べられた適切な全ての方法であり、例えばUS 5230891によれば、ポリマーとの共有結合である。
また、別法として、ここで適当なものは、分子それ自身(配列相違のため、上記の実施態様に該当する)の点突然変異によって可能となる安定化作用である。この理由は、これらの安定化作用が、タンパク質回収の後にさらなる操作工程を必要としないためである。これについて適当な幾つかの点突然変異は、先行技術から自体既知である:US 6087315およびUS 6110884に従って、例えば、プロテアーゼは、特定のチロシン基を、他のものに変更することによって安定化され得る。
さらなる可能性は、例えば:
−金属イオンの結合を修飾すること、特にカルシウム結合部位、例えば、国際特許出願公開 WO 88/08028 A1およびWO 88/08033 A1の教示に従う;この前者の文献の教示によると、カルシウム結合において関与する1以上のアミノ酸残基は、負電荷アミノ酸交換に交換することを必要とする;国際出願出願公開 WO 88/08033の教示によると、カルシウム結合を介する安定化のために、点突然変異が2つの基アルギニンまたはグリシンの配列の少なくとも一つに同時に導入される必要がある;
−米国特許US5453372によれば、タンパク質は、表面に対する特異的変異によって、変性剤、例えば界面活性剤の影響から保護され得る。
高温および界面活性剤の作用に関する安定化のための別の可能性は、WO 92/21760 A1、WO 02/088340 A2およびWO 03/038082 A2において、N末端付近に位置するアミノ酸を、分子の残りと接触(おそらく、非共有結合的相互作用を介して)するような分子に交換することによる安定化であり、このようにして球形構造の維持に寄与する。
好ましい実施態様は、分子が複数の方法で安定化される態様である。この理由は、例えば、WO 89/09819 A1によれば、複数の安定化させる突然変異は付加的に作用すると考え得るからである。
また、好ましいものは、さらに誘導体化される前記したアルカリプロテアーゼである。
「誘導体」とは、さらなる修飾によって具体的なタンパク質から得られるタンパク質であると解される。このような修飾は、例えば安定性、基質特異性または基質への結合強度、または酵素活性に影響し得る。また、このような修飾は、アレルギー誘発性および/またはタンパク質の免疫原性を低下させ、こうして例えばそれらの皮膚適合性を増強させる。
このような誘導体化は、産生宿主生物によって、例えば生物学的に、タンパク質生合成などと関連して、達成され得る。低分子量化合物、例えば脂質またはオリゴサッカライドのカップリングは、特に強調されるべきである。
しかし、誘導体化は、化学的に、例えば側鎖の化学的変換によって、またはタンパク質への、別の化合物、例えば巨大分子の共有結合によって行うこともできる。化学修飾は、例えばドイツ特許出願 DE 4013142 A1に記載されている。酵素のカルボキシル基にアミンを結合させて等電点を改変することが、例えばWO 95/26398 A1から明らかである。巨大分子(例えばタンパク質)は、例えば二官能化学結合を介して、本発明のタンパク質に結合させることができる。WO 99/57154 A1の教示によれば、例えば非タンパク質リンカーを用いて、本発明のタンパク質に特異的結合ドメインを持たせることも可能である。このような誘導体は、特に洗浄または清浄製品に使用するために適当である。WO 00/01831 A2と同様にして、プロテアーゼ阻害剤は、リンカー(特にアミノ酸リンカー)を介して、本発明のタンパク質に結合させることもできる。他の巨大分子化合物(例えばポリエチレングリコールとのカップリング)は、さらなる特性、例えば、安定性または皮膚適合性の点で、分子を改良する;これはすでに説明されている。
本発明のタンパク質の誘導体は、最も広い意味で、これら酵素の調製物であると解される。回収、プロセシング、調製に依存して、タンパク質は、例えば産生微生物の培養物から得られるような多様な他の物質と会合することができる。タンパク質は、例えばその貯蔵安定性を増強するために、ある種の他の物質と意図的に混合することもできる。それ故に、本発明のタンパク質の全ての調製物は、本発明に関連するものである。またこれは、特定の調製物において実際に酵素活性が示されるか否かとは無関係である。これは、貯蔵中にはごくわずかの活性しか持たないかまたは全く活性を持たず、使用時にのみタンパク質分解機能を示すのが望ましいこともあるためである。これは、例えば、適当な付随物質によって制御することができる。プロテアーゼ阻害剤とプロテアーゼとをあわせた調製は特に有利であり、先行技術から知られている(WO 00/01826 A2)。
また、好ましいものは、図1または2のアラインメントのうちの一つと関連するが、Bacillus lentus由来のアルカリプロテアーゼの番号付与において、位置3、4、36、42、47、56、61、69、87、96、99、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、199、205、211、224、229、236、237、242、243、255、および268に位置する、特に少なくとも一つのエピトープ領域によって前記に特性づけられたアルカリプロテアーゼまたはタンパク質の一つと共通する少なくとも1つの抗原決定基を有する、前記アルカリプロテアーゼまたはこの種のタンパク質である。
これは、特にこれらの位置での上記変異体に適用される、なぜなら、それらはそのもの自体が好ましく、一方で、これらの領域に対して特異的に形成される抗体によって、これらの位置において野生型分子に対応するプロテアーゼと区別され得る。
配列番号:3に示されたヌクレオチド配列と少なくとも50%同一である核酸は、補助的目的の達成、即ち本発明の独自の目的の達成を表す。
この理由は、実施例に記載したプロテアーゼの検出は、適切なDNAの単離を基にしているためである。一方、核酸は、直接クローニングされて、教示されている酵素の遺伝子産物に導入される。
それらのより好ましいものは、提示されたヌクレオチド配列に対して、より好ましくは少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、92.5%、95%、96%、97%、98%、99%、および特に好ましくは100%同一のものである。
これは、上記と関連して、実施例に記載したように、45.9%および46.2%同一性を有するヌクレオチド配列のみが、配列番号:3と最も類似する配列として、先行技術において見出されたことを理由とする。
また、ホモロジー値が、配列番号:3のヌクレオチド位置94から984に対応する領域に各々あてはまる核酸が好ましい。
ここで意味されるものは、上記したものと関連して、成熟(即ち活性な)タンパク質をコードする領域である。また、ストップコドンの存在により、より大きな望ましくないもはや機能的ではない融合タンパク質の形成が防止されるので、ストップコドンも包含され得る。そのために、クローニングにおいて、C末端を介して計画的にタンパク質融合をもたらす意図がないなら、この点でストップコドンが存在することに注意すべきである。成熟タンパク質が、この配列の一部分のみによって形成されることが、後に見出されれば、本発明の保護範囲は、相応してその部分に適用される。
本発明のさらなる目的は、ヌクレオチド位置322から975に対応する領域において配列番号:3に示されたヌクレオチド配列と、少なくとも70%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸に示される。
この理由は、上記に説明したように、この領域は、配列番号:4においてアミノ酸位置108から325をコードしており、この位置は、図4(DNAについて)および図2(タンパク質について)におけるアラインメントによって、Nesterenkonia sp. nov. 株 (DSM 15380)由来のプロテアーゼと対応する位置と関連付けられるということである。それは、この領域においてDNAレベルで63.9%同一性のホモロジーを示す。
従って、それらの中のより好ましいものは、提示されたヌクレオチド配列領域と75%、80%、85%、90%、92.5%、95%、97.5%、98%、99%および特に100%同一である、それらの核酸である。
また、好ましくは、上記したものとの関連において、本発明の第一目的であるアルカリプロテアーゼまたはそのタンパク質をコードするそれらの核酸である。
この理由は、これらが、本発明によって利用できるようになった唯一のタンパク質であり、そのため不活性タンパク質についてのみコードする核酸は、本発明の目的に関する成果を示さないということである。成熟タンパク質をコードするそれらの核酸、より具体的にはさらに増強した活性な改変体をコードする核酸が好ましい。
また、好ましいものは、核酸のなかの1つまたは好ましくは複数のコドンが同義コドンに置換されている核酸である。
この態様は、関連のあるプロテアーゼの異種発現を示す。各生物、特に産生株は、特定のコドン頻度を持つ。宿主細胞中のトランスジェニック核酸に位置するコドンが、非常に少数の担持tRNAと反対に位置するなら、タンパク質生合成での障害が、これに関連して起こり得る。同義コドンは、一方で、同じアミノ酸をコードし、宿主の機能として良好に翻訳され得る。所望により必要であり得るこの転写は発現系の選択に依存する。対応する順応は、培養できない場合もあり得る未知生物からのサンプルの場合において特に必要とされ得る。
上記した説明に関連して、本発明の核酸を天然に含有している生物細胞は、さらに、保護範囲に組み込まれる。
この理由は、その培養によって、所望の酵素が直接利用できるためである。
特に、それらの中の好ましいものは、本発明の第一の目的であるプロテアーゼを、天然に発現し、好ましくは分泌するそれらの細胞である。
この理由は、適当なプロテアーゼの可能性が直ちに試験でき、この生物の即時培養によって大量に回収され得ることである。
それらの中の好ましい細胞は、微生物、好ましくは真菌、グラム陰性細菌、またはグラム陽性細菌、そしてそのなかで特に好ましいものがBacillus属の細胞である
この理由は、これらの生物を用いて、分子生物学的技術および製造に関して、先行技術で非常に多くの実験を重ねることが可能とされてきた。一方、それらは、確立された産生系と、即ちそれらのコドン頻度と比較的類似している。
さらに本発明の独立した対象は、本発明の第一の目的のアルカリプロテアーゼを同定するための方法を示すものであり、この方法は、天然に密集した生育環境から単離された核酸を基にしている。
この理由は、本発明によって示されたように、新規プロテアーゼの同定は、関連のあるプロテアーゼおよび微生物が、天然から単離されることをかならずしも必要とするものではない。関連のある核酸を直接発見することは、特にショットガンクローニング操作によって、または既知配列モチーフに対するPCRプライマーによって可能である。
そのため、それらの中の好ましいものは、オリゴヌクレオチドが使用されるように、特にポリメラーゼ鎖反応の方法を介した方法である。
適当なプライマーを用いるPCRに基づく比較可能なアプローチは、例えば、α-アミラーゼの実験を用いる、国際特許出願公開 WO03/002711 A2から明らかである。
それらの中の好ましいものは、かわりに、1つ、好ましくはもう一つのものに対して反対方向の2つのオリゴヌクレオチドが使用されるような方法であって、これらのオリゴヌクレオチドは、配列番号:3から得られるものであって、特に好ましくは、配列番号:3に従って位置1または94または322(5’末端として)から、984または981または975(3’末端として)までの領域を含むDNA領域と同一のものある。
この理由は、配列番号:3およびその説明に従う限り、5'末端でのこれらの位置は、成熟タンパク質(94)、特に好ましくはアミノ酸位置108で開始する部分配列(322)のプレタンパク質(位置1)のN末端をコードする;そして、3’末端では、ストップコドンを包含するタンパク質(981)、成熟タンパク質、特に好ましくは部分配列(975)のC末端をコードすることである。これらの領域内でハイブリダイズするPCRプライマーの長さは、溶融温度および選択されるPCR条件に依存する。配列決定のために選択されるM13FおよびM13Rプライマー(配列番号:1および2)は、例えば各々16および17個のヌクレオチド長である。従って、増幅物の外端は、位置1、97、322、および975または984によって定義される。適切なプライマーは、対応するベクターへのライゲーションが可能になる、より外側の追加の塩基を含有し得る。
上記方法の中では、単離核酸がクローニングされる方法が好ましい。
この理由は、この様式において、得られる核酸が、さらなる分子生物学的および生物工学的操作に利用し易くなることである。
また、単離核酸が発現され、そして発現産物のプロテアーゼ活性からプロテアーゼとして同定される方法が好ましい。
この理由は、これらのステップが成功するならば、後の試験で特性が示され得るプロテアーゼが発見されたことを確信できることである。
本発明のさらなる独立した対象は、前記指定された核酸領域を含有するベクターに代表される。
この理由は、本発明に適切な核酸を扱うために、即ち調製のため、特に本発明のタンパク質の製造のために、それらをベクターに連結することは適当であることである。このようなベクター、に加えて関連のある操作方法は、先行技術において徹底的に記載されている。ベクターは、クローニングおよび発現両方のための、非常に多くの、広い範囲の変異体を市販購入し得る。それらには、例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージから、またはウイルスから、または主に合成ベクターから得られるベクターが包含される。ベクターは、例えば、グラム陰性またはグラム陽性細菌のための、酵母のための、または高等真核生物のためのベクターとして確立されたものとなりうる細胞型に関してさらに分けられる。それらは、例えば分子生物学的および生物化学的研究のための、適切な遺伝子または適切なタンパク質を発現するための適当な出発点を構成する。
実施態様において、本発明のベクターはクローニングベクターである。
この理由は、クローニングベクターが、貯蔵、生物学的増幅、または目的とする遺伝子の選択だけでなく、その分子生物学的特性分析に適当であることである。同時に、それらは、本願核酸の輸送可能かつ貯蔵可能な形態を示し、そして細胞に関係されない分子生物工学技術、例えばPCRまたはイン・ビトロ突然変異誘発方法のスターティング・ポイントでもある。
本発明のベクターは、好ましくは発現ベクターである。
この理由は、このような発現ベクターが、対応する核酸を生物学的産生系において認識するための、即ち関連タンパク質を産生するための基礎であることである。本発明のこの目的の好ましい実施態様は、発現に必要な遺伝子エレメント、例えば、本来その遺伝子のまえに位置する天然プロモーターまたは異なる生物由来のプロモーターを担持する発現ベクターである。これらのエレメントは、例えばいわゆる発現カセットの形態で配置され得る。あるいは、個々の調節エレメント、またはそれらの全てが、各宿主細胞によって利用できるようにされる。特に好ましくは、発現ベクターは、さらなる特性、例えば選択された発現系、特に宿主細胞(下記を参照されたい)に対する至適複製数に適合する。
本発明の別の目的は、遺伝子工学的修飾の後に、前記した本発明の核酸領域の一つを含有する細胞によって構成される。
この理由は、これらの細胞が、本発明のタンパク質の合成のための遺伝子情報を含有することである。それらの中で意味されることは、請求項に記載したものと同様の上記天然のプロデューサーに対して、自体既知の方法を用いて、本発明の核酸を備えるか、またはこのような細胞から得られるような細胞である。従って、比較的容易に培養され得るおよび/または高い産物収率を提供し得る宿主細胞を選択することは適切である。
それらは、例えば、対応する遺伝子の増幅、突然変異誘発またはそれらの転写および翻訳、そして適切なタンパク質の究極の生物工学的製造を可能にする。この遺伝子情報は、別々の遺伝子エレメント(即ち、細菌の場合には、プラスミド局在性)として染色体外に存在し得るか、染色体に導入され得るかいずれかである。適当な系の選択は、例えば、どのように、およびどの程度長い遺伝子または生物が格納されるかなどの問題、または突然変異誘発法または選抜法の型による。従来技術は、洗浄製品の酵素の改良のために、例えばバクテリオファージおよびそれらの特異的宿主細胞を基にした突然変異誘発および選抜方法を説明する(WO 97/09446 A1)。
上記核酸領域は、上記に指定された本発明のベクター、特にクローニングまたは発現ベクターの一つの好ましい部分である。
この理由は、それらが本発明の実施に適切となるためである。
また、好ましいものは、本発明の第一の目的のアルカリプロテアーゼを発現し、好ましくは分泌する細胞である。
この理由は、タンパク質の生物工学的製造は、それらを形成する宿主細胞によってのみ可能である。全ての生物は、基本的には、タンパク質発現のための宿主細胞としては適当である、即ち原核生物、真核生物、または藍色植物は適当である。遺伝子的に取扱いが容易であるそれらの宿主細胞、例えば単細胞性の真菌または細菌は好ましい;これは、例えば、発現ベクターを用いる形質転換、それらの安定な確立性、および発現調節を示す。好ましい宿主細胞は、さらに、良好な微生物学的および生物工学的操作性によって区別される。これは、例えば、培養容易性、高増殖速度、発酵培地に対する低要求性、および外来タンパク質に対する良好な産生および分泌速度を示す。発現を目的とする研究室の菌株を選択するのが好ましい。これらは、商業的に得られるか、または一般的に入手し得る株寄託機関から得られる。本発明のタンパク質は、それぞれ、複数の宿主生物から、このようにして、理論的には多数の宿主生物から得ることができる。先行技術に従って利用し得る多数の様々な系から、個々の場合に対する最適な発現系は、実験的に判断されるべきである。
宿主自身がプロテアーゼに陰性である、即ち形成されたタンパク質を分解しない宿主細胞が、特に有利である。
好ましい実施態様は、適当な遺伝子エレメントのゆえに、例えば化学物質の制御された添加によって、培養条件の修飾によって、または特定の細胞密度の機能によって、活性を調節することができる宿主細胞に代表される。この制御可能な発現は、目的とするタンパク質の極めて経済的な製造が可能にした;それは、例えば関係のあるベクターに対して、対応するエレメントによって実施され得る。遺伝子、発現ベクターおよび宿主細胞は、それぞれと一致することが適切である;これは、例えば発現(リボゾーム結合部位、プロモーター、ターミネーター)に必要な遺伝子エレメント、コドン頻度に関連する。
それらの中の好ましいものは、結果として、それが比較的簡単に処理され得るので、一旦形成したタンパク質を周辺培地に分泌する発現宿主である。
また、好ましい宿主細胞は細菌である。
この理由は、細菌は短い製造時間および培養条件に対する低い要求性を特徴とし、結果としてコスト効果の高い方法が確立できることである。さらに、細菌発酵技術における豊富な経験が利用できる。特定の製造に、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌が、様々な理由(個々の場合に実験的に決定すべき)、例えば栄養供給源、生成物の形成速度、所要時間などのために適当である。
好ましい実施態様において、細菌はグラム陰性細菌、特にEscherichia coliまたはKlebsiella種の細菌、より特別にはE. coli K12、E. coli B、またはKlebsiella planticolaa株、およびEscherichia coli BL21 (DE3)、E. coli RV308、E. coli DH5α、E.coli JM109、E. coli XL-1、またはKlebsiella planticola (Rf) 株の細菌である。
この理由は、グラム陰性細菌(例えば大腸菌など)は、多数のタンパク質をペリプラズマ空間に分泌することである。これは、特定の適用にとって有利であり得る。国際出願公開 WO01/81597 A1は、グラム陰性細菌が発現したタンパク質を外部に移動させるという結果をもたらす方法を開示している。好ましいこのような系は、本発明のタンパク質産生のために適当でもある。列挙したグラム陰性細菌は、一般的に、即ち市販のまたは公的な株寄託機関によって、容易に入手しでき、そして他成分(多くの数を同じく利用できる)、例えばベクターとの相互作用において、特定の製造条件を至適化し得る。
あるいは、好ましい実施態様において、細菌は、グラム陽性細菌であること、特にBacillus、Staphylococcus または Corynebacterium属の一つ、特に種 Bacillus lentus、B. licheniformis、B. amyloliquefaciens、B. subtilis、B. globigii または B. alcalophilus、Staphylococcus carnosus、またはCorynebacterium glutamicumのものである。
この理由は、グラム陽性細菌は、グラム陰性細菌に関して、分泌されたタンパク質を細胞周辺の栄養培地に直接的に放出し、所望により発現された本発明のタンパク質を栄養培地から直接精製することができるという基本的な区別を持つことである。さらに、それらは、工業的に重要なスブチリシンに対する最も起源的な生物に関連するかまたは同一であり、ほとんどの場合それ自体が同等のスブチリシンを形成し、それらは類似のコドン頻度を有し、それらのタンパク質合成系は天然に適応している。さらなる利点は、この方法を用いて、本発明のタンパク質と、宿主細胞によって内生的に形成されるスブチリシンとの混合物が得られるという事実であり得る。このような共発現は、国際特許出願公開 WO 91/02792から同様に明らかである。それが所望されないなら、宿主細胞において天然に存在するプロテアーゼ遺伝子は永久または一時的に不活性化されている必要がある。
また、好ましい宿主細胞は、これは真核細胞、好ましくは属 Saccharomycesである。
それらの実施例は、真菌、例えば放線菌または酵母、例えばSaccharomycesまたはKluyveromycesである。好熱性真菌の発現系は、例えばWO 96/02653 A1に示されている。このような系は、特に、温度耐性変異体の発現に適当である。真核性の系が特にタンパク質合成に関連して行う修飾には、例えば低分子量化合物(例えば、膜アンカーまたはオリゴサッカライドなど)の結合がある。このようなオリゴサッカリド修飾は、例えばアレルギー誘発性を低下させるために望ましいだろう。このような細胞によって天然に形成された酵素、例えばセルラーゼとの共発現も有利であり得る。
本発明の独立した目的は、本発明の第一目的に従って、アルカリプロテアーゼを産生するための方法に代表される。
これらには、上記した本発明のタンパク質の製造のためのあらゆる方法、例えば化学合成方法を包含する。
しかし、それらに対して好ましいものは、先行技術において確立され、すでに個々の態様において上記に挙げられた全ての分子生物学的、微生物学的または生物工学的製造方法であり上記に提示した本発明の核酸を作成する方法である。上記したことに従って、この目的のために、例えば配列番号:3の下で配列プロトコールに示された核酸に、または対応するそれらから得られる突然変異体またはそれらの部分配列に手段を求めることも可能である。
これらは、好ましくは以前に明示されたベクターを使用して実施される方法であり、特に好ましくは以前に明示された細胞を用いて、有利には遺伝子工学によって、修飾される方法である。この理由は、それにより対応して好ましい遺伝子情報が微生物学的に開発できる形態で利用できるようにするためである。
また、インビトロでタンパク質生合成を行う細胞不含の発現系も、対応する核酸配列に基づいて、本発明の態様になりうる。上記において既に議論されてきた全てのエレメントは、本発明のタンパク質を産生するために、新規方法と組合せられることもできる。これに関連して、それぞれの本発明のタンパク質のための方法行程の多数の可能な組合せが考えられるので、最適な方法は、それぞれの特定の個々の場合のために、実験的に決定しなければならない。
上記してきたことに対応して、上記方法のなかで、該ヌクレオチド配列が、1つのコドン、好ましくは複数コドンにおいて、宿主株のコドン頻度に適合されているような方法が好ましい。
本発明の独立した対象は、上記した本発明のアルカリプロテアーゼを含有する製品に代表される。
上記した本発明のタンパク質の添加によって利用性が改良される製品の全ての型、特に混合物、調剤、溶液などが、本発明の保護範囲内に包含される。これらは、例えば適用分野に依存して、固体混合物、例えば、凍結乾燥タンパク質またはカプセル化されたタンパク質を含む粉末、またはゲル化または液体製品であってよい。好ましい調製物は、例えば緩衝物質、安定剤、反応パートナーおよび/またはプロテアーゼのコファクターおよび/またはプロテアーゼと相乗効果を有する他の成分を含有する。これらは、特に、後記に列挙する適用範囲の製品を含んでいると解すべきである。別の適用範囲は、先行技術から明らかであり、例えば、H. Uhlig, Wileyのマニュアル"Industrial enzyme and their applications "(New York, 1998)に記載されている。
それらが洗浄または清浄製品であるような製品は、好ましい実施態様として本発明のこの対象に挙げられる。
この理由は、本発明の実施態様に示したように、驚くべきことに、本発明のプロテアーゼを含まない製品と比較して、性能が高くなった本発明の好ましいプロテア−ゼを有する洗浄および清浄製品を明示できることである。
本発明のこの対象には、産業規模で洗浄機械において使用するために、あるいは、手による洗濯または浄化のために、濃縮物および希釈されずに使用される製品の両方の全ての考えられる種類の清浄製品である。これらには、例えば、織物、カーペット、または天然繊維のための洗浄製品が包含され、これらに対して、本発明においては用語「洗浄製品」を使用する。これらのものは、例えば、機械食器洗浄用または手による食器洗浄用の洗浄製品、または硬表面(例えば、金属、ガラス、磁器、セラミック、タイル、石、彩色表面、プラスチック、木材または皮革)のための洗浄製品も包含し;これらに対して、本発明においては用語「清浄製品」を使用する。
本発明の実施態様には、先行技術によって確立され、そして/または適切である発明の洗浄または清浄製品のあらゆる提供形態が包含される。これらには、例えば固体、粉末、液体、ゲル状またはペースト状製品が包含され、また所望であれば、複数の相からなるか、圧縮されているか、または圧縮されていなくてよい;また、さらなる例には、押出物、顆粒、錠剤またはパウチ、大きな容器に充填されたものか小分けされたもの、が含まれる。
好ましい実施態様において、本発明の洗浄または清浄製品は、製品1gあたり2μg〜20mg、好ましくは5μg〜17.5mg、特に好ましくは20μg〜15mg、特に好ましくは50μg〜10mgの上記したスブチリシン型の本発明のアルカリプロテアーゼを含有する。これらの各々数値の間にある全ての整数および整数でない値が包含される。
このような製品中のプロテアーゼ活性は、Tenside, Volume 7 (1970), pp. 125-132に記載した方法によって確かめられる。従って、それはPU(プロテアーゼ単位)で示される。
2つの洗浄製品の酵素性能を比較する場合、例えば本発明の実施例において、タンパク質-均等化と活性-均等化アプローチとの間に区別が為されるべきである。タンパク質-均等化アプローチは、特に、二次活性をほぼ含まない遺伝子工学によって得られた調製という点で適用される。この理由は、同じタンパク質量が−発酵の製造収率の測定として−同等の結果をもたらすかどうかに関して結論が導き出され得ることである。全タンパク質と活性物質との各比率(比活性値)が異なるなら、この様式において各酵素的活性が比較され得るため、活性-均等化の比較が推奨される。低い比活性がより大量のタンパク質を添加することで補償され得るということは一般的に正しい。ここでの考慮すべき点は、最終的には経済的な点である。
スブチリシン型の本発明のアルカリプロテアーゼに加えて、本発明の洗浄または清浄製品は、適用し得る場合、別の成分、例えば別の酵素、酵素安定剤、界面活性剤(例えばノニオン、アニオンおよび/または両性界面活性剤)、および/または漂白剤、および/またはビルダー、ならびに適用し得る場合、下記に述べるような別の一般的な成分を含有する。
使用されるノニオン界面活性剤は、アルコキシル化、有利にはエトキシル化された、特に好ましくは8−18個のC原子およびアルコール1molあたり平均1〜12 molのエチレンオキシド(EO)を含有するのが、好ましい特に第一級アルコールであって、このアルコール成分は、直線であるか、または好ましくは2位でメチル分枝していてよく、またはオキソアルコール残基に一般に存在する混合物形態の直鎖残基およびメチル分岐残基を含有していてよい。しかし、しかし、12〜18個の炭素原子を有する天然由来アルコール、例えば、ココヤシ油、パーム核油、獣脂またはオレイルアルコールの直鎖残基、およびアルコール1モルにつき平均2〜8EOを有するアルコールエトキシレートが特に好ましい。好ましいエトキシル化アルコールは、例えば、3EOまたは4EOを有するC12-14アルコール、7EOを有するC9-11アルコール、3EO、5EO、7EOまたは8EOを有するC13-15アルコール、3EO、5EOまたは7EOを有するC12-18アルコール、およびそれらの混合物、例えば3EO有するC12-14アルコールおよび5EOを有するC12-18アルコールの混合物を包含する。記載したエトキシル化度は統計的平均値を表し、特定の生成物に関しては、整数または分数になりうる。好ましいアルコールエトキシレートは、狭い同族体分布を有する(狭範囲エトキシレート、NRE)。これらのノニオン界面活性剤に加えて、12EOより大きな脂肪アルコールも使用してよく、その例は、14EO、25EO、30EOまたは40EOを有する獣脂脂肪アルコールである。
単独ノニオン界面活性剤としてまたは他のノニオン界面活性剤と組み合わせて使用しうる他の種類の好ましいノニオン界面活性剤は、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化またはエトキシル化およびプロポキシル化した、アルキル鎖に好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する脂肪酸アルキルエステル、特に脂肪酸メチルエステルである。
有利に使用できる他の種類のノニオン界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APG)である。使用し得るアルキルポリグリコシドは一般式RO(G)で表され、式中、Rは、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖、特に2位でメチル分岐した飽和または不飽和脂肪族基であり、Gは、5または6個の炭素原子を有するグリコース単位、好ましくはグルコースを表す。グリコシド化度zは1.0〜4.0、好ましくは1.0〜2.0、特に1.1〜1.4である。直鎖アルキルポリグルコシド、即ち、ポリグリコシル基がグルコース単位であり、アルキル基がn−アルキル基であるアルキルポリグリコシドを使用するのが好ましい。
アミンオキシド型、例えばN−ココアルキル−N,N−ジメチルアミンオキシドおよびN−獣脂アルキル−N,N−ジヒドロキシエチルアミンオキシド、ならびに脂肪酸アルカノールアミド型のノニオン界面活性剤も適当である。これらノニオン界面活性剤の割合は、エトキシル化脂肪アルコールが使用される量より少ないのが好ましく、その量の半分以下であるのが特に好ましい。
他の好適な界面活性剤は、式(II)で示されるポリヒドロキシ脂肪酸アミドである:
Figure 2007515179
[式中、RCOは、R4COは、6〜22個の炭素原子を有する脂肪族アシル基であり;Rは、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり;そして[Z]は、3〜10個の炭素原子および3〜10個のヒドロキシル基を有する直鎖または分岐鎖ポリヒドロキシアルキル基である]。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、アンモニア、アルキルアミンまたはアルカノールアミンでの還元糖の還元アミノ化、次に、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸塩化物でのアシル化によって通常得られる既知の物質である。
ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの群に属する化合物は、式(III)の化合物である:
Figure 2007515179
[式中、
Rは、7〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基であり;Rは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状アルキル基またはアリール基であり;Rは、1〜8個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状アルキル基またはアリール基またはオキシアルキル基であり、C1−4アルキルまたはフェニル基が好ましく;[Z]は、そのアルキル鎖が少なくとも2個のヒドロキシル基で置換された直鎖ポリヒドロキシアルキル基、またはアルコキシル化、好ましくはエトキシル化またはプロポキシル化されたその基の誘導体である]。
[Z]は、還元糖、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノースまたはキシロースの還元アミノ化によって得るのが好ましい。N−アルコキシ−またはN−アリールオキシ−置換化合物を、触媒としてのアルコキシドの存在下に、脂肪酸メチルエステルと反応させることによって、所望のポリヒドロキシ脂肪酸アミドに変換しうる。
使用されるアニオン界面活性剤は、例えば、スルホネートおよびスルフェート型のものである。可能なスルホネート型界面活性剤は、好ましくは、C9-13アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、即ちアルケンおよびヒドロキシアルカンスルホネートの混合物、ならびに例えば末端または内部二重結合を有するC12-18モノオレフィンから、気体状三酸化硫黄でのスルホン化、次いでスルホン化生成物のアルカリまたは酸加水分解によって得られるものである。また、適当なスルホネート型界面活性剤は、C12-18アルカンから、例えば、スルホ塩素化またはスルホキシド化、次に加水分解または中和によって得られるアルカンスルホネートである。2−スルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホネート)、例えば、水素化ココヤシ油、パーム核油または獣脂脂肪酸の2−スルホン化メチルエステルも同様に適当である。
他の適当なアニオン界面活性剤は、スルホン化脂肪酸グリセロールエステルである。「脂肪酸グリセロールエステル」とは、1〜3モルの脂肪酸でのモノグリセロールのエステル化によって、または0.3〜2モルのグリセロールでのトリグリセリドのエステル交換において、生成した場合に得られるモノエステル、ジエステルおよびトリエステルならびにそれらの混合物であると解される。好ましいスルホン化脂肪酸グリセロールエステルは、6〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、デカノイン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸のスルホン化生成物である。
好ましいアルキル(アルケニル)スルフェートは、アルカリ金属塩、特に、C12-18脂肪アルコール、例えば、ココ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリル、ミリスチル、セチルまたはステアリルアルコールまたはC10−20オキソアルコールの硫酸セミエステルの、およびそれらと同じ鎖長を有する第二級アルコールのそれらのセミエステルの、ナトリウム塩である。また、好ましいものは、石油化学製品に基づく合成直鎖アルキル鎖を有し、その分解挙動において油脂化学原料に基づく対応する化合物と同様である、記載した鎖長のアルキル(アルケニル)スルフェートである。洗浄技術の目的として、C12-16アルキルスルフェート、C12-15アルキルスルフェートおよびC14-15アルキルスルフェートは好ましい。2,3−アルキルスルフェートもまた適当なアニオン界面活性剤である。
1〜6モルのエチレンオキシドでエトキシル化した直鎖または分岐鎖C7-21アルコール、例えば、平均3.5モルのエチレンオキシド(EO)を含有する2−メチル−分岐C9−11アルコール、または1〜4EOを有するC12-18脂肪アルコールの、硫酸モノエステルも好適である。それらの高発泡特性を考慮して、それらは比較的少量、例えば1〜5重量%の量で清浄製品に使用される。
他の好適なアニオン界面活性剤は、アルキルスルホコハク酸の塩であり、これは、スルホスクシネートまたはスルホコハク酸エステルともいわれ、そしてスルホコハク酸と、アルコール、好ましくは脂肪アルコール、特にエトキシル化脂肪アルコールとのモノエステルおよび/またはジエステルを示す。好ましいスルホスクシネートは、C8-18脂肪アルコール残基またはそれらの混合物を含有する。特に好ましいスルホスクシネートは、それ自体代表的なノニオン界面活性剤と考えられるエトキシル化脂肪アルコールから得られる脂肪アルコール基を含有する(説明については上記参照)。スルホスクシネートの中で、その脂肪アルコール酸基が、制限された範囲の同族体分布を有するエトキシル化した脂肪アルコールから得られたものが、同様に特に好ましい。同様に、アルキル(アルケニル)鎖に好ましくは8〜18個の炭素原子を有するアルキル(アルケニル)コハク酸またはその塩も使用しうる。
他の好適なアニオン界面活性剤は、特に石鹸である。飽和脂肪酸石鹸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化エルカ酸およびベヘン酸の塩であって、および特に天然脂肪酸、例えば、ココヤシ油、パーム核油または獣脂脂肪酸から誘導された石鹸混合物である。
石鹸を包含するアニオン界面活性剤は、そのナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩の形態において、およびモノ−、ジ−またはトリエタノールアミンのような有機塩基の可溶性塩として存在しうる。アニオン界面活性剤は、好ましくはそのナトリウムまたはカリウム塩の形態、より好ましくはそのナトリウム塩の形態で存在する。
本発明の清浄または洗浄製品中に含有され得る界面活性剤は、完成製品を基準に合計含有量、好ましくは5重量%〜50重量%、特に8重量%〜30重量%である。
本発明の洗浄または清浄製品は、漂白剤を含有し得る。漂白剤として作用する水中でH22を生じる化合物の中で、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム四水化物および過ホウ酸ナトリウム一水化物が特に重要である。他の使用し得る漂白剤は、例えば、ペルオキシピロリン酸塩、クエン酸塩過水和物およびH22生成過酸塩または過酸(例えば、過硫酸塩または過硫酸)である。式:HnN-CO-NH2・H22で示される尿素ペルオキシ水和物ペルカルバミドも使用し得るものである。特に製品が、硬表面を洗浄するの場合、例えば食器洗浄機において使用する場合、所望により、有機漂白剤の群からの漂白剤を含むこともできるが、基本的に洗濯用製剤においても使用することもできる。一般的な有機漂白剤は、過酸化ジアシル、例えば過酸化ジベンゾイルである。他の一般的な有機漂白剤はペルオキシ酸であり、例としてアルキルペルオキシ酸およびアリールペルオキシ酸が特に挙げられる。ここで使用しうる好ましい代表例は、ペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸;しかし、ペルオキシ−α−ナフトエ酸および一過フタル酸マグネシウム、脂肪族または置換脂肪族のペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸、およびN−ノネニルアミドペルコハク酸、ならびに、脂肪族および芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば、1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、N,N−テレフタロイル−ジ(6−アミノペルカプロン酸)である。
洗浄または清浄製品の漂白製品含量は、1〜40重量%、特に10〜20重量%であり、過ホウ酸塩一水和物または過炭酸塩が有利に使用される。
60℃以下の温度で洗浄する場合に、特に洗濯の前処理の場合に、改善された漂白作用を達成するために、本製品は、漂白活性化剤を含んでいてもよい。過加水分解条件下において、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸および/または所望により置換されていてもよい過安息香酸を与える化合物は、漂白活性化剤として使用し得る。前記の炭素原子数および/または所望により置換されていてもよいベンゾイル基を有するO−およびN−アシル基を有する物質が好適である。以下のものが好適である:ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキシヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル類、特に1,3,4,6-テトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド類、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn-ノナノイルオキシベンゼンスルホネートもしくはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-NOBSもしくはイソ-NOBS)、アシル化ヒドロキシカルボン酸、例えばトリエチル O-アセチルシトレート(TEOC)、カルボン酸無水物、特に無水フタル酸、無水イサトイン酸および/または無水コハク酸、カルボキサミド、例えばN-メチルジアセトアミド、グリコリド、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート、イソプロペニルアセテート、2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、およびエノールエステル(ドイツ特許出願 DE19616693およびDE19616767に開示される)、ならびにアセチル化ソルビトールおよびマンニトール、またはこれらの混合物[欧州特許出願 EP0525239(SORMAN)に記載される]、アシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロースおよびオクタアセチルラクトース、ならびに、アシル化され所望によりN-アルキル化されたグルカミンまたはグルコノラクトン、トリアゾールもしくはトリアゾール誘導体、および/または特にカプロラクタムおよび/またはカプロラクタム誘導体、好ましくはN-アシル化ラクタム、例えばN-ベンゾイルカプロラクタムおよびN-アセチルカプロラクタム(国際特許出願公開 WO 94/27970、WO 94/28102、WO 94/28103、WO 95/00626、WO 95/14759、およびWO 95/17498に記載される)。ドイツ特許出願 DE 196 16 769に開示される親水性置換されるアシルアセテートおよびドイツ特許出願 DE 196 16 770および国際特許出願公開 WO 95/14075に記載のアシルラクタムも、同様に好ましい様式で使用される。ドイツ特許出願 DE 44 43 177に開示される従来の漂白活性化剤の組合せも使用することができる。ニトリル誘導体、例えばシアノピリジン、ニトリルクワット、例えばN−アルキルアンモニウムアセトニトリル、および/またはシアノアミド誘導体も同様に使用される。好ましい漂白活性化剤は、4-(オクタノイルオキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−ノナノイルまたはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−およびイソ-NOBS)、ウンデセノイルオキシベンゼンスルホネート(UDOBS)、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート酸ナトリウム(DOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(DOBA,OBC 10)および/またはドデカノイルオキシベンゼンスルホネート(OBS 12)、ならびに、N−メチルモルホリニウムアセトニトリル(MMA)である。このような漂白活性化剤は、全組成物を基準に、通常、0.01〜20wt%、好ましくは0.1〜15 重量%、特に1重量%〜10 重量%の量の量の範囲で存在し得る。
従来の漂白活性化剤に加えて、いわゆる漂白触媒を含有してもよい。これらの物質は、漂白を促進する遷移金属塩または遷移金属錯体、例えば、Mn、Fe、Co、RuまたはMo塩の錯体またはカルボニル錯体である。窒素含有三脚リガンドを有するMn、Fe、Co、Ru、Mo、Ti、VおよびCu錯体、同様にCo、Fe、CuおよびRuアミン錯体もまた好適であり、ドイツ特許出願DE 19709284 A1に記載の化合物は好ましい様式で使用され得る。
本発明の洗浄または清浄製品は、一般的に1以上のビルダー、特にゼオライト、シリケート、カーボネート、有機コビルダーを含有し、またその使用に生態学的に問題がないことを条件場合にホスフェートも含有しうる。後者は、好ましい様式で、特に自動食器洗浄機用の清浄製品で使用されるべき洗浄性ビルダーである。
ここで挙げることができる化合物は、一般式:NaMSixO2x+1・HO[式中、Mはナトリウムまたは水素であり、xは1.9〜4の数値であり、yは0〜20の数値であり、好ましいxの数値は2、3または4である]で示される結晶性の層状ケイ酸ナトリウムである。この種の結晶性の層状ケイ酸塩が、例えば欧州特許出願 EP 164514に記載されている。好ましい上記一般式の結晶性の層状ケイ酸塩は、式中、Mがナトリウムであり、xが2または3の数値である、結晶質ケイ酸塩である。特に、β−およびδ−ナトリウムジシリケート、Na2Si25・yH2Oの両方が好ましい。このような化合物は、SKS(登録商標)(Clariant Co.)の名称で市販されている。SKS−6(登録商標)は、主に式Na2Si25・yH2Oで表されるδ−ナトリウムジシリケートが主であり、およびSKS−7(登録商標)は主にβ−ナトリウムジシリケートである。酸(例えばクエン酸または炭酸)とδ−ナトリウムジシリケートとの反応から、各々SKS−9(登録商標)の名称およびSKS−10(登録商標)の名称で市販購入し得る、カナマイト(NaHSi25・yH2O)が得られる。また、これらの層状ケイ酸塩の化学修飾体を使用するのが有利でもある。例えば、層状シリケートのアルカリ度が、至適となるようにする。リン酸塩または炭酸塩を用いてドープ処理された層状シリケートは、δ-ナトリウムジシリケートと比較して変化した結晶形態を示す。δ-ナトリウムジシリケートと比較して、より迅速に溶解し、高いカルシウム結合能を示す。一般的実験式:x NaO・y SiO・z P[x対yの比は0.35〜0.6の数に対応する、x対zの比は1.75〜1200の数に対応し、yからzの比は4〜2800の数に対応する]で示される層状ケイ酸塩は、例えばドイツ特許出願 DE 196 01 063に記載されている。層状ケイ酸塩の溶解性を、特に細かく造粒された層状ケイ酸塩を利用することによって増大させる。他の成分と結晶性層状ケイ酸塩とのコンパウンドも使用され得る。崩壊作用に関して利点を示すセルロース誘導体を含有するコンパウンドが使用され、具体的には、特に洗浄錠剤、クエン酸などのポリカルボキシレート、またはアクリル酸コポリマーなどの重合性ポリカルボキシレートを含有する化合物が挙げられる。
有用なものは、NaO:SiO組成比が1:2から1:3.3、好ましくは1:2から1:2.8、特に1:2から1:2.6である無定形ケイ酸ナトリウムであって、遅延溶解および二次洗浄特性を示す。従来の無定形ケイ酸ナトリウムと比較した場合の溶解遅延は、種々の方法において、例えば、例えば、表面処理、配合、圧密/圧縮によって、または過乾燥によって得ることができる。本発明の範囲において、用語「無定形」とは、「X線無定形」を意味すると考えられる。このことは、X線回折実験において、ケイ酸塩は、結晶性物質に典型的な鋭いX線屈折を生じないが、代わりに、せいぜいこれら散乱X線の1またはそれ以上の最大値(数度単位の回折角度の幅を有する)を与えることを意味する。しかし、特に良好なビルダー特性は、電子回折実験において、ケイ酸塩粒子が、十分に規定されないかまたは鋭い回折最大値を与える場合であっても、容易に得られるであろう。これは、製品が、10nm〜数百nmの大きさの微晶質領域、多くて50nmまで、特に多くて20nmまでの数値が好ましいという意味と解釈され得る。圧縮/圧密された無定形ケイ酸塩、コンパウンド化された無定形ケイ酸塩、および過剰乾燥されたX線無定形ケイ酸塩が特に好ましい。
任意に使用される結合水を含有する微晶質合成ゼオライトは、好ましくはゼオライトAおよび/またはゼオライトPである。Zeolite MAP(登録商標)(例えば、Crosfieldから入手できるSoucil A24)は、特にゼオライトPとして好ましいものである。しかし、ゼオライトX、ならびにA、Xおよび/またはPの混合物も好適である。本発明によれば、ゼオライトXおよびゼオライトAの共結晶化物(約80重量%ゼオライトX)を使用するのも好ましく、それはCONDEA Augusta S.p.AによってVEGOBOND AX(登録商標)の名称で市販され、下記の式で示される:
nNa2O・(1-n)KO・Al23・(2-2.5)SiO・(3.5-5.5)H2
好適なゼオライトは、平均粒度10μm未満(容量分布、コールターカウンター法によって測定)を有し、好ましくは18〜22重量%、より好ましくは20〜22重量%の結合水を含有する。
ビルダー物質として広く知られているリン酸塩の使用は、このような使用が環境的な理由から回避されるべきでなければ、当然ながら可能である。多様な市販のリン酸塩の中で、洗浄剤および清浄剤の産業においては、アルカリ金属リン酸塩が最も重要であり、三リン酸五ナトリウムまたは三リン酸五カリウム(トリポリリン酸ナトリウムまたはカリウム)が特に好ましい。
「アルカリ金属リン酸塩」は、種々のリン酸のアルカリ金属塩(特に、ナトリウム塩およびカリウム塩)の総称的な用語であり、メタリン酸(HPO)およびオルトリン酸HPO、ならびに、さらに高分子量のものとの間を区別することができる。これらリン酸塩は、いくつかの利点を兼ね備える:これらは、アルカリの担体として働き、機械部品上の石灰分の沈着および織布における石灰分の付着を妨ぎ、そしてさらに清浄性能に関与する。
リン酸二水素ナトリウムNaHPOは、二水和物(密度1.91g/cm、融点60℃)および一水和物(密度2.04g/cm)として存在する。両方の塩とも白色粉末であり、水に極めて容易に溶解し、加熱によってその結晶水を失い、200℃で弱い酸性の二リン酸(二リン酸水素二ナトリウムNa)に転化し、高温で三メタリン酸ナトリウム(Na)およびMaddrellの塩(以下を参照)に転化する。NaHPOは酸性として反応する;それは、リン酸が水酸化ナトリウム溶液でpH4.5に調整された時に作られ、このドロ状物(mash)が噴霧乾燥される。リン酸二水素カリウム(第一または一塩基性のリン酸カリウム、二リン酸カリウム、KDP)KHPOは、密度2.33g/cmの白色塩であり、253゜の融点を有し[ポリリン酸カリウム(KPO)の形成を分解する]、そして水中で容易に溶解する。
リン酸水素二ナトリウム(第二リン酸ナトリウム)NaHPOは、無色結晶性の塩であり、水に極めて容易に溶解する。これは、無水型で、ならびに、2モルの水(密度2.066g/cm、95゜で水を損失)、7モルの水(密度1.68g/cm、融点48゜、5HOの損失を伴う)、および12モルの水(密度1.52g/cm、融点35゜、5HOの損失を伴う)と共に存在し、100゜で無水になり、さらに強力な加熱によって二リン酸塩Naに転化する。リン酸水素二ナトリウムは、指示薬としてフェノールフタレインを用いて、炭酸ナトリウム溶液によってリン酸を中和することで調製される。リン酸水素二カリウム(第二または二塩基性のリン酸カリウム)KHPOは、無定形の白色塩であり、水に容易に溶解する。
リン酸三ナトリウム(第三リン酸ナトリウム)NaPOは、無色の結晶であり、これは、12水和物型では、1.62g/cmの密度、および73〜76℃の融点(分解)を有し、10水和物型(19〜20%Pに対応する)では、100℃の融点を有し、無水型(39〜40%Pに対応する)では、2.536g/cmの密度を有する。リン酸三ナトリウムは、アルカリ性反応を伴って水に容易に溶解し、正確に1モルのリン酸二ナトリウムおよび1モルのNaOHの溶液を蒸発させることによって調製される。リン酸三カリウム(第三または三塩基性のリン酸カリウム)KPOは、白色であり、密度2.56g/cmの潮解性の顆粒粉末であり、1340゜の融点を有し、アルカリ性反応を伴って水に容易に溶解する。これは、例えば、塩基性スラグを炭素および硫酸カリウムと加熱したときに生成する。価格が高いにもかかわらず、より容易な溶解性であり、そのため非常に活性なリン酸カリウムは、洗浄製品産業界においては、対応するナトリウム化合物よりも好ましいことが多い。
二リン酸四ナトリウム(ピロリン酸ナトリウム)Naは、無水型(密度2.534g/cm、融点988゜、また880゜としても表示される)で、および10水和物(密度1.815〜1.836g/cm、融点94℃で水を損失)として存在する。両物質とも無色の結晶であり、アルカリ性反応を伴って水に溶解する。Naは、リン酸二ナトリウムを、>200゜に加熱したときに生成するか、またはリン酸と炭酸ナトリウムを化学量論比で反応させ、この溶液を噴霧により脱水することによって生成する。この10水和物は、重金属塩および硬度成分を錯化し、これにより水の硬度を低下させる。二リン酸カリウム(ピロリン酸カリウム)Kは、三水和物型で存在しており、無色の密度2.33g/cmの吸湿性粉末であり、水に可溶性であり、25゜で1%濃度の溶液のpHが10.4である。
NaHPOおよびKHPOの縮合によって、それぞれ、高分子量のリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが生成する。これらの中で、代表的な環状物(メタリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウム)と、鎖状型物(ポリリン酸ナトリウムおよびポリリン酸カリウム)とは、区別することができる。特に後者については、多様な名称が用いられている:即ち、溶融リン酸塩またはサーマルリン酸塩、グラハムの塩、クロールの塩、およびマドレールの塩)。全ての高級リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムは、「縮合」リン酸塩として総称する。
工業的に重要な三リン酸五ナトリウムNa10(トリポリリン酸ナトリウム)は、非吸湿性の白色の水溶性塩であり、これは、無水または6HOを有する結晶であり、一般式:NaO-[P(O)(ONa)-O]-Na(ここでn=3)の塩である。100gの水中で、結晶水を含まない約17gの塩が室温で溶解し、60℃で約20gが溶解し、100゜で約32gが溶解する。この溶液を100゜で2時間加熱すると、約8%のオルトリン酸塩および15%の二リン酸塩が加水分解により生成する。三リン酸五ナトリウムの製造の際には、リン酸を、炭酸ナトリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液と化学量論比で反応させ、この溶液を噴霧によって脱水する。グラハムの塩および二リン酸ナトリウムと同様に、三リン酸五ナトリウムは、多くの不溶性の金属化合物(石灰石鹸などを含む)を溶解する。三リン酸五カリウムK10(トリポリリン酸カリウム)は、例えば、50重量%濃度の溶液(>23%P、25%KO)の形態で市販されている。ポリリン酸カリウムは、洗浄剤および清浄剤の産業において広範に使用されている。さらに、本発明の範囲内で同様に使用しうるトリポリリン酸ナトリウムカリウムも存在する。これらは、例えばトリメタリン酸ナトリウムをKOHで加水分解したときに、以下のように生成する:
(NaPO+2KOH→Na10+H
本発明によれば、これらを、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、またはこれら2つの混合物と全く同様に使用することができる。また、トリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物、またはトリポリリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物、またはトリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物を、本発明に従って使用することもできる。
本発明の洗浄および清浄製品において、ポリカルボキシレートまたはポリカルボン酸、特に重合性ポリカルボキシレート、ポリアスパラギン酸、ポリアセタール、デキストリン(所望により酸化される)、さらなる有機補助ビルダー(以下を参照)、およびホスホネートは、有機補助ビルダーとして使用しうる。これらの物質群を以下に説明する。
使用しうる有機ビルダー物質は、例えば、ナトリウム塩の形態で使用しうるポリカルボン酸である。用語「ポリカルボン酸」とは、1を越える酸官能基を保持するカルボン酸と解される。これらは、例えば、その使用が環境上の理由から回避されるべきでない限り、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、およびこれらの混合物、である。好ましい塩は、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸、およびこれらの混合物のようなポリカルボン酸の塩である。
酸自体を使用することもできる。酸は、そのビルダー作用に加えて、酸性化成分の特性をも有するのが普通であり、これにより、残りの成分の混合物に起因するpHが望ましくない場合、洗浄剤または清浄剤の低いpHおよび中程度のpHの調整に作用する。系に適合し、環境的に適合し得る酸を、ここで具体的に挙げると、例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、およびこれらのあらゆる混合物である。しかし、無機酸、特に硫酸、または塩基、特にアンモニウム、またはアルカリ金属の水酸化物も、pH調整剤として働くことができる。、このような調整剤を、好ましくは20重量%以下、特に1.2〜17重量%の量で本発明の製品に含有することができる。
また、コポリマーポリカルボキシレートは、ビルダーとして好適である;これらには、
ポリアクル産またはポリメタクリル酸のアルカリ金属塩、例えば500〜70000g/molの相対分子量を有するものである。
本明細書の目的として、高分子ポリカルボキシレートに関して記載した分子量は、特定の酸形態の重量平均分子量Mwであり、それは基本的にUV検出器を使用してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定された。測定は、外部ポリアクリル酸標準に対して行った。これは調べらるポリマーが構造的に関連しており、実際の分子量を与えるためである。これらの数値は、ポリスチレンスルホン酸を標準として使用した分子量とかなり異なる。通常、ポリスチレンスルホン酸に関して測定した分子量は、本明細書に記載した分子量よりかなり高い。
好適なポリマーは、特に、好ましくは分子量2000〜20000g/molを有するポリアクリレートである。優れた溶解性のゆえに、この群の好ましい代表例は、2000〜10000g/モル、特に3000〜5000g/モルの分子量を有する短鎖ポリアクリレートである。
他の適する共重合性ポリカルボキシレートは、特に、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、およびアクリル酸またはメタクリル酸とマレイン酸とのコポリマーである。50〜90重量%のアクリル酸および50〜10重量%のマレイン酸を含むアクリル酸とマレイン酸のコポリマーが特に適することがわかった。これらの相対分子量は、遊離酸に基づいて、通常は2000〜70000g/モル、好ましくは20000〜50000g/モル、特に30000〜40000g/モルの範囲内である。(共)重合性のポリカルボキシレートは、粉末または水溶液の形態で使用することができる。製品の(コ)重合性ポリカルボキシレート含量は、好ましくは0.5〜20重量%、特に1〜10重量%である。
水への溶解度を増すために、ポリマーは、アリルスルホン酸、例えばアリルオキシベンゼンスルホン酸およびメタリルスルホン酸もモノマーとして含有しうる。
他の特に好ましいポリマーは、2を超える異なるモノマー単位の生分解性ポリマー、例えば、モノマーとしてアクリル酸およびマレイン酸の塩ならびにビニルアルコールもしくはビニルアルコール誘導体を含む生分解性ポリマー、あるいは、アクリル酸および2-アルキルアリルスルホン酸の塩および糖誘導体ををモノマーとして含有する生分解性ポリマーである。
他の好ましいコポリマーは、好ましくはアクロレインおよびアクリル酸/アクリル酸塩、またはアクロレインおよびビニルアセテートを、モノマーとして含有するコポリマーである。
同様に、他の好ましいビルダーは、重合性アミノジカルボン酸、その塩またはその前駆体である。ポリアスパラギン酸またはその塩および誘導体が特に好ましい。
他の適当なビルダーは、ポリアセタールであり、これは、ジアルデヒドと5〜7個の炭素原子および少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリオールカルボン酸との反応によって得ることができる。好ましいポリアセタールは、ジアルデヒド、例えばグリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドおよびこれらの混合物から、およびポリオールカルボン酸、例えばグルコン酸および/またはグルコヘプトン酸から得られる。
他の適当な有機ビルダー物質は、デキストリン、例えば、デンプンの部分的加水分解によって得られる炭水化物のオリゴマーまたはポリマーである。この加水分解は、通常の方法、例えば、酸-触媒プロセスまたは酵素-触媒法によって行うことができる。この加水分解生成物は、好ましくは、400〜500000g/モルの範囲の平均分子量を有する。この場合、0.5〜40、特に2〜30の範囲内のデキストロース当量(DE)を有するポリサッカリドが好ましい。ここでDEとは、100のDEを有するデキストロースと比較したときの、ポリサッカリドの還元作用の通常の指標である。3〜20のDEを有するマルトデキストリンおよび20〜37のDEを有するドライグルコースシロップ、ならびに、2000〜30000g/モルの範囲内の高い分子量を有する、いわゆる、黄色デキストリンおよび白色デキストリンを使用することできる。
このようなデキストリンの酸化誘導体は、糖環の少なくとも1つのアルコール官能基をカルボン酸官能基に酸化しうる酸化剤とデキストリンとの反応生成物である。本発明の製品に特に好ましい有機ビルダーは、EP472042、WO97/25399およびEP755944の酸化されたデンプンまたはその誘導体である。
オキシジスクシネートおよびジスクシネートの他の誘導体、好ましくはエチレンジアミンジスクシネートも、適当なコビルダー(cobuilder)である。エチレンジアミン-N,N'-ジスクシネート(EDDS)は、ここで使用され、好ましくはそのナトリウムまたはマグネシウム塩の形態で使用される。また、これに関連して、好ましいものはグリセロールジスクシネートおよびグリセロールトリスクシネートである。ゼオライト含有、炭酸塩含有および/またはケイ酸塩含有の製剤において使用される適当な量は、3〜15重量%である。
他の有効な有機コビルダーは、例えば、アセチル化ヒドロキシカルボン酸およびその塩であり、それは、所望によりラクトン形態で存在してよく、少なくとも4個の炭素原子、少なくとも1個のヒドロキシル基および多くとも2個の酸基を含有する。
コビルダー特性を有する他の種類の物質はホスホネートとして示されるものである。これらは、特にヒドロキシアルカンおよびアミノアルカンホスホネートである。特に、ヒドロキシアルカンホスホネートの中で、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホネート(HEDP)がコビルダーとして特に重要である。それは、好ましくはナトリウム塩の形態で使用され、二ナトリウム塩は中性の反応を示し、四ナトリウム塩はアルカリ性反応(pH9)を示す。適当なアミノアルカンホスホネートは、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)およびそれらの高級同族体である。それらは、中性的に反応するナトリウム塩の形態において、例えば、EDTMPの六ナトリウム塩として、およびDTPMPの八ナトリウム塩として使用するのが好ましい。ホスホネートの種類の中で、HEDPをビルダーとして使用するのが好ましい。アミノアルカンホスホネートは顕著な重金属結合能力も示す。従って、特に本発明の界面活性剤含有製品が漂白剤も含有する場合、アミノアルカンホスホネート、特にDTPMP、または前記ホスホネートの混合物を使用するのが好都合である。
加えて、アルカリ土類金属イオンと錯体を形成することができるあらゆる化合物をコビルダーとして使用しうる。
ビルダー物質を、本発明の洗浄または清浄製品に、適切であれば、90重量%までの量で含有できる。それらは、好ましくは75重量%までの量で含有する。本発明の洗浄製品は、特に、5〜50重量%のビルダー含量を有する。硬表面を清浄するため、特に、食器を機械清浄するための本発明の製品において、ビルダー物質の含量は、特に5〜88重量%であり、好ましくは、このような製品において水不溶性ビルダー物質は使用しない。特に、食器の機械清浄のための本発明の製品の好ましい態様は、20〜40重量%の水溶性有機ビルダー、特にアルカリ金属クエン酸塩、5〜15重量%のアルカリ金属炭酸塩、および20〜40重量%のアルカリ金属二ケイ酸塩を含有する。
洗浄および清浄製品の液体ないしゲル様組成物において使用され得る溶媒は、好ましくは一価もしくは多価アルコール、アルカノールアミンまたはグリコールエーテルの群から得られる、但しこれらが、所定の濃度範囲内で水と混和性である場合。これら溶媒は、好ましくは、エタノール、n-またはi-プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチル、エチルまたはプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、メトキシ、エトキシまたはブトキシトリグリコール、1-ブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコールt-ブチルエーテル、およびこれら溶媒の混合物から選択される。
溶媒は、本発明の液体ないしゲル様の洗浄および清浄製品において、0.1〜20重量%、好ましくは15重量%以下、特に10重量%以下の量で使用することができる。
粘度を調節するために、1またはそれ以上の増粘剤または増粘剤系を、本発明の組成物に添加することができる。これらの高分子量物質、いわゆる膨潤剤は、通常、液体を吸収し、その過程で膨潤し、最終的には粘稠な真のまたはコロイド性の溶液に変換する。
適当な増粘剤は、無機または重合性の有機化合物である。無機の増粘剤には、例えば、ポリケイ酸、粘土鉱物(例えば、モンモリロナイト、ゼオライト、シリカおよびベントナイト)が含まれる。有機増粘剤は、天然ポリマー、修飾された天然ポリマーおよび全合成ポリマーの群から得られるものである。このような天然ポリマーは、例えば、寒天、カラギーナン、トラガカント、アラビアゴム、アルギン酸塩、ペクチン、ポリオース、グア粉末、イナゴマメ種子粉末、デンプン、デキストリン、ゼラチンおよびカゼインである。増粘剤として使用される修飾された天然物質は、主に、修飾されたデンプンおよびセルロースの群からのものである。ここで挙げることができる例は、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロースおよびプロピルセルロースならびに穀物粉末エーテルである。全合成の増粘剤は、ポリマー、例えば、ポリアクリル化合物およびポリメタクリル化合物、ビニルポリマー、ポリカルボン酸、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミドならびにポリウレタンである。
増粘剤は、最終組成物を基準に、5重量%まで、好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の量で存在することができる。
本発明の洗浄および清浄製品は、適切であれば、さらなる通常の成分として、金属イオン封鎖剤、電解質、およびさらなる助剤、例えば、蛍光増白剤、灰色化抑制剤、銀腐食抑制剤、色移行抑制剤、発泡抑制剤、研磨剤、染料および/または芳香剤、および微生物活性物質、UV吸収剤および/または酵素安定剤を含有することができる。
本発明の織物洗浄製品は、蛍光増白剤として、ジアミノスチルベンジスルホン酸の誘導体またはそのアルカリ金属塩を含んでいてもよい。適するのは、例えば、4,4'-ビス(2-アニリノ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-6-アミノ)スチルベン-2,2'-ジスルホン酸または同様に構築された化合物(モルホリノ基の代わりに、ジエタノールアミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基または2-メトキシエチルアミノ基を保持する)である。さらに、置換されたジフェニルスチリル型の増白剤、例えば、4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ジフェニル、4,4'-ビス(4-クロロ-3-スルホスチリル)ジフェニル、または4-(4-クロロスチリル)-4'-(2-スルホスチリル)ジフェニルのアルカリ金属塩が存在することもできる。上記の蛍光増白剤の混合物を使用することもできる。
灰色化抑制剤は、織物繊維から剥落した汚れを、液中に懸濁したまま維持することが目的である。有機性の水溶性コロイドは、通常、自然界では有機物、例えばデンプン、にかわ、ゼラチン、デンプンもしくはセルロースのエーテルカルボン酸またはエーテルスルホン酸の塩、あるいは、セルロースもしくはデンプンの酸性硫酸エステルの塩である。酸性の基を含む水溶性ポリアミドもこの目的に適する。さらに、上記したもの以外のデンプン誘導体、例えば、アルデヒドデンプンを用いることもできる。好ましいのは、セルロースエーテル、例えば、カルボキシメチルセルロース(Na塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、および混合エーテル、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、およびこれらの混合物である。これらは、例えば、製品に基づいて、0.1〜5重量%の量である。
銀腐食保護を実現するために、銀保護剤を、本発明の食器用清浄製品に添加することができる。例えば、ベンゾトリアゾール、塩化鉄(III)またはCoSO4が先行技術から既知である。例えば、欧州特許出願 EP0736084B1から知られるように、酵素と一緒に使用するのに特に適する銀保護剤は、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルトまたはセリウムの塩および/または錯体であり、この錯体の金属は、原子価状態II、III、IV、VまたはVIで存在する。このような化合物の例は、MnSO4、V25、V24、VO2、TiOSO4、K2TiF6、K2ZrF6、Co(NO3)2、Co(NO3)3、およびこれらの混合物である。
「汚れ遊離」活性成分または汚れ忌避剤は、通常はポリマーであり、これは、洗浄製品において使用したときに、洗濯物の繊維に対して汚れ忌避特性を付与し、そして/または他の洗浄成分が汚れを剥落する能力を助ける。また、硬表面用の清浄製品においてこれらを使用したときに、同等の効果を観察することができる。
特に効果的であり、かつ以前から既知である汚れ遊離成分は、ジカルボン酸、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール単位を有するコポリエステルである。これらの例は、ポリエチレンテレフタレートおよびポリオキシエチレングリコールからなる、コポリマーまたは混合ポリマーである(それぞれ、DT1617141およびDT2200911)。ドイツ特許出願公開DT2253063は、特に、二塩基性カルボン酸とアルキレンまたはシクロアルキレンポリグリコールのコポリマーを含有する酸性の製剤を列挙している。ドイツ特許出願 DE2857292およびDE3324258ならびに欧州特許EP0253567は、エチレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレートのポリマー、ならびに、洗浄製品におけるそれらの使用を記載している。欧州特許EP066944は、特定のモル比の、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、芳香族ジカルボン酸、およびスルホン化芳香族ジカルボン酸のコポリエステルを含有する製品に関する。メチル基またはエチル基で末端キャップしたポリエステルであって、エチレンおよび/またはプロピレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレート単位を有するポリエステル、ならびに、このような汚れ遊離ポリマーを含有する洗浄剤は、欧州特許EP0185427に開示されている。欧州特許EP0241984は、オキシエチレン基およびテレフタル酸単位に加えて、置換されたエチレン単位およびグリセロール単位も含むポリエステルを開示している。欧州特許EP0241985は、オキシエチレン基およびテレフタル酸単位に加えて、1,2-プロピレン、1,2-ブチレンおよび/または3-メトキシ-1,2-プロピレン基ならびにグリセロール単位も含み、かつC〜Cアルキル基で末端キャップされたポリエステルを開示している。欧州特許出願 EP0272033は、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリオキシエチレンテレフタレート単位を有するポリエステルであって、C1-4アルキル基またはアシル基によって少なくとも部分的に末端基キャップされたポリエステルを開示している。欧州特許EP0274907は、スルホエチル基で末端キャップされたテレフタレート含有の汚れ遊離ポリエステルを記載している。欧州特許出願 EP0357280によれば、不飽和末端基のスルホン化によって、テレフタレート、アルキレングリコールおよびポリC2-4グリコール単位を有する汚れ遊離ポリエステルが製造されている。国際特許出願公開 WO 95/32232は、酸性の汚れ遊離促進性芳香族ポリエステルに関する。国際特許出願公開 WO 97/31085は、綿からなる材料のための非重合性の汚れ忌避活性成分であって、複数の機能性単位を有するものを開示している:第1の単位は、陽イオン性であってよく、例えば、静電的な相互作用によって綿の表面に吸着することができ、そして第2の単位は、疎水性であり、水/綿の界面に活性成分の保持に関与する。
本発明の洗濯洗浄製品において使用するのに適する色移行抑制剤には、特に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、重合性Nオキシド、例えば、ポリ(ビニルピリジンN-オキシド)、およびビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマーが含まれる。
機械清浄プロセスにおいて使用するためには、関連の製品に発泡抑制剤を添加するのが有利であろう。適当な発泡抑制剤の例は、高い割合のC18-C24脂肪酸を有する天然または合成起源の石鹸である。適当な非界面活性剤型の発泡抑制剤の例は、有機ポリシロキサンおよびこれと微細な所望によりシラン処理されたシリカとの混合物、ならびに、パラフィン、ワックス、微晶質ワックスおよびこれらとシラン処理されたシリカまたはビス-ステアリル-エチレンジアミドとの混合物である。異なる発泡抑制剤の混合物、例えば、シリコーン、パラフィンまたはワックスの混合物を使用するのも有利である。これらの発泡抑制剤、特に、シリコーンおよび/またはパラフィンを含有する発泡抑制剤を、好ましくは、顆粒状の水溶性または水分散性の担体物質に結合させる。この意味において特に好ましいのは、パラフィンおよびビス-ステアリルエチレンジアミドの混合物である。
硬表面のための本発明の清浄製品は、さらに、研磨作用を有する成分(特に、石英粉末、木材粉末、ポリマー粉末、チョークおよびガラスミクロビーズならびにこれらの混合物からなる群からの成分)を含有する。研磨剤は、本発明の清浄製品中に、好ましくは20重量%以下、特に、5〜15重量%で存在する。
製品の審美的な外観を改善するため、ならびに、洗浄および清浄性能に加えて、視覚的かつ感覚的に「典型的かつ錯誤のない」製品を消費者に提供するために、染料および芳香剤を、洗浄および清浄製品に添加する。芳香油および/または芳香剤として、個々の香気化合物、例えば、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成生成物を使用することができる。エステル型の香気化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが含まれ;アルデヒドには、例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびボージュナールが含まれ;ケトンには、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ;アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれ;炭化水素には、主にテルペン(例えば、リモネンおよびピネン)が含まれる。しかし、好ましいのは、一緒になって魅力的な香気を生じる様々な芳香剤の混合物を使用することである。また、このような芳香油は、植物起源から得られるような天然の香気剤混合物、例えば、松根油、柑橘油、ジャスミン油、パチョリ油、バラ油またはイランイラン油を含んでいてもよい。同様に適するのは、マスカテル、セージ油、カモミール油、チョウジ油、レモンバーム油、ミント油、シナモン葉油、リンデン花油、ビャクシン実油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油およびラブダナム油、さらに、オレンジ花油、ネロリ油、オレンジ果皮油およびビャクダン油である。洗浄剤および清浄剤の染料含量は、製品全体の通常は0.01重量%未満であり、芳香剤は製品全体の2重量%までを構成していてよい。
芳香剤は、洗浄および清浄製品中に直接導入することができる。しかし、清浄すべき材料への芳香剤の吸着を増強する担体に芳香剤を適用し、特に処理された織物の芳香を長時間の持続させるために、ゆっくりとした香気放出を確実にすることも有利であろう。例えば、シクロデキストリンは、このような担体として確立された材料である。さらに、シクロデキストリン-芳香剤の複合体を、さらなる助剤で被覆することもできる。芳香剤のための別の好ましい担体は、界面活性剤の代わりにまたは界面活性剤と混合して、芳香剤を吸収することができる上記のゼオライトXである。洗浄および清浄製品は、上記のゼオライトXおよび芳香剤(これは、好ましくは、少なくとも部分的にゼオライト上に吸着されている)を含むのが好ましい。
好ましい染料(その選択は、当業者にとって何の困難もない)は、高い貯蔵安定性および製品の他の成分および光に対する非感受性を有しており、また、織物繊維を染色することがないように、織物繊維に顕著な親和性を有さない。
微生物を制御するため、洗浄および清浄製品は、抗微生物活性成分を含有することができる。ここで、抗微生物スペクトルおよび作用機序に関して、静菌剤と殺菌剤、静菌類剤と殺菌類剤の間などで区別が為される。これらの群の重要な物質の例は、塩化ベンズアルコニウム、アルキルアリールスルホネート、ハロゲンフェノールおよび酢酸フェノール水銀である。「抗微生物作用」および「抗微生物活性成分」なる用語は、本発明の教示の範囲内では、先行技術において通常の意味を有し、これは、例えば、K.H.Wallhaeusserの「Praxis der Sterilisation、Desinfektion-Konservierung: Keimidentifizierung-Betriebshygiene」(第5版、-Stuttgart;ニューヨーク:Thieme、1995)に記載されており、そこに記載された抗微生物作用を有する全ての物質を使用することができる。適当な抗微生物活性成分は、好ましくは、以下の群から選択される。即ち、アルコール、アミン、アルデヒド、抗微生物性の酸またはそれらの塩、カルボン酸エステル、酸アミド、フェノール、フェノール誘導体、ジフェニル、ジフェニルアルカン、尿素誘導体、酸素アセタール、窒素アセタール、ならびに、酸素および窒素のホルマール、ベンズアミジン、イソチオアゾリン、フタルイミド誘導体、ピリジン誘導体、抗微生物性の界面活性化合物、グアニジン、抗微生物性の両性化合物、キノリン、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、ヨード-2-プロピルブチルカルバメート、ヨウ素、ヨードホア、ペルオキソ化合物、ハロゲン化合物、ならびに上記の任意の混合物から選択される。
抗微生物活性成分は、以下の成分から選択することができる。即ち、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、1,3-ブタンジオール、フェノキシエタノール、1,2-プロピレングリコール、グリセロール、ウンデシレン酸、安息香酸、サリチル酸、ジヒドロ酢酸、o-フェニルフェノール、N-メチルモルホリノアセトニトリル(MMA)、2-ベンジル-4-クロロフェノール、2,2'-メチレンビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、4,4'-ジクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(Diclosan)、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(Triclosan)、クロロヘキシジン、N-(4-クロロフェニル)-N-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、N,N'-(1,10-デカンジイルジ-1-ピリジニル-4-イリデン)-ビス(1-オクタンアミン)ジヒドロクロリド、N,N'-ビス(4-クロロフェニル)-3,12-ジイミノ-2,4,11,13-テトラアザテトラデカンジイミドアミド、グルコプロタミン、抗微生物性の界面活性第四級化合物、グアニジン(ビグアニジンおよびポリグアニジンを含む)、例えば、1,6-ビス(2-エチルヘキシルビグアニドヘキサン)ジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-フェニル-N,N-メチルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,6-ジクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-β-(p-メトキシフェニル)ジグアニド-N,N']ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-α-メチル-β-フェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-p-ニトロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、ω:ω-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')-ジ-n-プロピルエーテルジヒドロクロリド、ω:ω'-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')-ジ-n-プロピルエーテルテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,4-ジクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-p-メチルフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,4,5-トリクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-α-(p-クロロフェニル)エチルジグアニド-N,N']-ヘキサンジヒドロクロリド、ω:ω-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')m-キシレンジヒドロクロリド、1,12-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')ドデカンジヒドロクロリド、1,10-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')デカンテトラヒドロクロリド、1,12-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')ドデカンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、エチレン-ビス(1-トリルビグアニド)、エチレン-ビス(p-トリルビグアニド)、エチレン-ビス(3,5-ジメチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(p-tert-アミルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(ノニルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(フェニルビグアニド)、エチレン-ビス(N-ブチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(2,5-ジエトキシフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(2,4-ジメチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(o-ジフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(混合アミルナフチルビグアニド)、N-ブチルエチレン-ビス(フェニル-ビグアニド)、トリメチレンビス(o-トリルビグアニド)、N-ブチル-トリメチル-ビス(フェニルビグアニド)、ならびに、対応する塩、例えば、酢酸塩、グルコン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩、亜硫酸水素塩、フッ化物、ポリマレイン酸塩、N-ココアルキルサルコシン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、パーフルオロオクタン酸塩、ケイ酸塩、ソルビン酸塩、サリチル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、イミノ二酢酸塩、桂皮酸塩、チオシアン酸塩、アルギン酸塩、ピロメリト酸塩、テトラカルボキシ酪酸塩、安息香酸塩、グルタル酸塩、モノフルオロリン酸塩、パーフルオロプロピオン酸塩、ならびに、これらの任意の混合物から選択することができる。また好適なものは、ハロゲン化キシレンおよびクレゾール誘導体、例えばp-クロロメタクレゾールまたはp-クロロメタキシレン、ならびに植物起源、例えばスパイスまたはハーブ由来、動物起源および微生物起源の天然の抗微生物活性成分である。好ましくは、抗微生物性の界面活性第四級化合物、植物起源の天然の抗微生物活性成分および/または動物起源の天然の抗微生物活性成分、最も好ましくは、カフェイン、テオブロミンおよびテオフィリンを含む群からの植物起源の少なくとも1つの天然の抗微生物活性成分、ならびに、精油(例えば、オイゲノール、チモールおよびゲラニオール)、および/または、酵素(例えば、ミルクタンパク質、リゾチームおよびラクトペルオキシダーゼ)を含む群からの動物起源の少なくとも1つの天然の抗微生物活性成分、および/または、少なくとも1つの抗微生物性の界面活性第四級化合物(アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ヨードニウムまたはアルソニウム基を有する)、ペルオキソ化合物、ならびに塩素化合物を使用することができる。微生物起源の物質「バクテリオジン」を使用することもできる。
抗微生物活性成分として適する第四アンモニウム化合物(QAC)は、一般式:(R)(R)(R)(R)Nを有する[ここで、R〜Rは、同一または異なって、C-C22アルキル基、C-C28アラルキル基または複素環式基であり、ここで、2つの基(またはピリジンのように芳香族結合の場合には3つの基)は、窒素原子と一緒になって、複素環、例えばピリジニウムまたはイミダゾリニウム化合物を形成し、そしてXは、ハロゲンイオン、硫酸イオン、水酸化物イオンまたは同様のアニオンである]。最適の抗微生物作用のためには、これらの基の少なくとも1つは、好ましくは8〜18個、特に12〜16個の炭素原子の鎖長を有する。
QACは、第三アミンとアルキル化剤(例えば、塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸ジメチル、臭化ドデシル、それ以外ではエチレンオキシド)との反応によって調製することができる。1つの長いアルキル基および2つのメチル基を有する第三アミンのアルキル化は特に容易に進行し、2つの長い基および1つのメチル基を有する第三アミンの四級化も、穏やかな条件下で塩化メチルの補助によって行うことができる。3つの長いアルキル基またはヒドロキシ置換アルキル基を有するアミンは、反応性が低く、硫酸ジメチルを用いて四級化するのが好ましい。
適当なQACの例は、塩化ベンズアルコニウム(N-アルキル-N,N-ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、CAS番号8001-54-5)、ベンズアルコンB(m,p-ジクロロベンジルジメチル-C12-アルキルアンモニウムクロリド、CAS番号58390-78-6)、塩化ベンズオキソニウム(ベンジルドデシル-ビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド)、臭化セトリモニウム(N-ヘキサデシル-N,N-トリメチルアンモニウムブロミド、CAS番号57-09-0)、塩化ベンズエトニウム(N,N-ジメチル-N-[2-[2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシ]エトキシ]エチル]ベンジルアンモニウムクロリド、CAS番号121-54-0)、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、例えば、ジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリド(CAS番号7173-51-5-5)、臭化ジデシルジメチルアンモニウム(CAS番号2390-68-3)、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、1-セチルピリジニウムクロリド(CAS番号123-03-5)およびヨウ化チアゾリン(CAS番号15764-48-1)、ならびにこれらの混合物である。特に好ましいQACは、C-C18アルキル基を有する塩化ベンズアルコニウム、特に、C12-C14アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドである。
ハロゲン化ベンズアルコニウムおよび/またはハロゲン化置換ベンズアルコニウムは、例えば、Barquat(登録商標)(Lonzaより)、Marquat(登録商標)(Masonより)、Variquat(登録商標)(Witco/Sherexより)、Hyamine(登録商標)(Lonzaより)、およびBardac(登録商標)(Lonzaより)として市販されている。さらなる市販の抗微生物活性成分は、N-(3-クロロアリル)ヘキサミニウムクロリド、例えばDowicide(登録商標)およびDowicil(登録商標)(Dowより)、塩化ベンズエトニウム、例えばHyamine(登録商標) 1622(Rohm & Haasより)、塩化メチルベンズエトニウム、例えばHyamine(登録商標) 10X(Rohm & Haasより)、塩化セチルピリジニウム、例えば塩化セパコール(Merrell Labsより)である。
抗微生物活性成分は、0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.8重量%、特に好ましくは0.005〜0.3重量%、そして特に0.01〜0.2重量%の量で使用される。
本発明の洗浄または清浄製品は、処理された織物に付着し、繊維の光安定性および/または他の配合物成分の光安定性を改善するUV吸収剤を含有することができる。UV吸収剤とは、紫外線放射を吸収し、吸収したエネルギーを再び長波長放射の形態(例えば、熱)で放出しうる有機物質(光保護フィルター)と解される。
これらの所望の特性を有する化合物は、例えば、無放射の不活性化により有効となった、ならびに、2位および/または4位に置換基を有する、化合物およびベンゾフェノンの誘導体である。さらに、置換されたベンゾトリアゾール、3位でフェニル置換されたアクリレート(2位にシアノ基を有するかまたは有さない桂皮酸誘導体)、サリチル酸塩、有機Ni錯体および天然物質(例えば、ウンベリフェロンおよび内因性ウロカニン酸)も適している。特に重要なものは、ビフェニル誘導体および特にスチルベン誘導体[例えば、EP0728749Aに記載され、Tinsorb(登録商標) FDまたはTinosorb(登録商標) FR (Cibaより)として市販されている]である。UV-B吸収剤として挙げることができるものは、以下のものである:3-ベンジリデンカンフルまたは3-ベンジリデンノルカンフルおよびこれらの誘導体、例えば3-(4-メチルベンジリデン)カンフル(EP0693471B1に記載);4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-オクチルエステルおよび4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシ桂皮酸プロピルエステル、4-メトキシ桂皮酸イソアミルエステル、2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸2-エチルヘキシル(オクトクリレン) エステル;サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸4-イソプロピルベンジルエステル、サリチル酸ホモメンチルエステル;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンズマロン酸ジ-2-エチルヘキシル;トリアジン誘導体、例えばEP0818450A1に記載される2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンおよびオクチルトリアゾンおよびジオクチルブタアミドトリアゾン[Uvasorb(登録商標) HEB];プロパン-1,3-ジオン、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体(EP0694521B1に記載)。さらに適するのは、以下のものである:2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウムの塩;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;3-ベンジリデンカンフルのスルホン酸誘導体、例えば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸ならびにこれらの塩。
適当な代表的UV-Aフィルターは、特にベンゾイルメタンの誘導体、例えばDE19712033A1(BASF)に記載されているような1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、およびエナミン化合物である。また、UV-AおよびUV-Bフィルターは、当然ながら混合物で用いることもできる。このような可溶性物質に加えて、不溶性の光保護顔料、即ち、微細に分散させた好ましくはナノ化された金属の酸化物または塩も、この目的に適する。適当な金属酸化物の例は、特に酸化亜鉛および二酸化チタンであり、さらに、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物ならびにこれらの混合物である。使用しうる塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛である。酸化物および塩は、皮膚ケアおよび皮膚保護エマルジョンおよび美容化粧品の形態で既に使用されている。ここで、粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmの平均直径を有すべきである。これらは、球の形状を有することができるが、楕円形状または球形態からいくらか逸脱した形状を有する粒子を使用することもできる。また、顔料を表面処理することもできる(即ち、親水性または疎水性にすることができる)。代表的な例は、被覆された二酸化チタン[例えば、二酸化チタンT805(Degussa)またはEusolex(登録商標) T2000(Merck)など]である。ここで、適当な疎水性の被覆剤は、好ましくはシリコーンであり、特に好ましくはトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコーンである。ミクロ化した酸化亜鉛を用いるのが好ましい。さらに適するUV光保護フィルターは、P.Finkelによる概説[SOEFW-Journal 122 (1996)、p.543]に見い出すことができる。
UV吸収剤は、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.03wt%〜1重量%の量で一般に使用される。
本発明の製品は、その洗浄力または清浄力を増大させるために、酵素を含有することができ、原則的にこの目的に使用しうることが当分野で確立されているあらゆる酵素を含有できる。これらには、特に、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼまたはオキシドレダクターゼならびに好ましくはこれらの混合物が含まれる。原則的に、これらの酵素は天然起源のものであるが、天然分子に基づく改善された変異体が洗浄剤および清浄剤において使用するために利用可能であり、これらが好ましい。本発明の製品は、酵素を、活性なタンパク質を基準に、1×10-6〜5重量%の合計量で含有しているのが好ましい。
さらなるプロテアーゼの中で、スブチリシン型のものが好ましい。これらの例は、スブチリシンBPN'およびCarlsberg、プロテアーゼPB92、スブチリシン147および309、Bacillus lentus由来のアルカリ性プロテアーゼ、スブチリシンDY、ならびに、スブチラーゼ類の酵素(より厳格な意味においてスブチリシン類とはもはや分類されない)、サーミターゼ、プロテイナーゼKおよびプロテアーゼTW3およびTW7である。さらに開発した形態にあるスブチリシンCarlsbergが、商品名 Alcalase(登録商標)のもとでNovozymes A/S(Bagsvaerd、デンマーク)から入手可能である。スブチリシン147および309は、商品名 Esperase(登録商標)およびSavinase(登録商標)のもとでNovozymes社から市販されている。Bacillus lentus DSM 5483(WO91/02792A1)由来のプロテアーゼから導いた変異体は、BLAP(登録商標)と称され、特に、WO92/21760A1、WO95/23221A1、WO02/088340A2およびWO03/038082A2に記載されており、Bacillus lentus DSM。5483(WO91/02792A1)から得られる。種々のBacillus sp.およびB.gibsoniiに由来する別の使用しうるプロテアーゼが、国際特許出願公開WO03/054185A1、WO03/056017A2、WO03/055974A2およびWO03/054184A1から明らかである。
他の使用しうるプロテアーゼは、例えば、商品名 Durazym(登録商標)、Relase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Nafizym、Natalase(登録商標)、Kannase(登録商標)およびOvozymes(登録商標)のもとでNovozymes社から入手しうる酵素、商品名 Purafect(登録商標)、Purafect(登録商標)OxPおよびProperase(登録商標)のもとでGenencorから入手しうる酵素、商品名 Protosol(登録商標)のもとでAdvanced Biochemicals Ltd.(Thane、インド)から入手しうる酵素、商品名 Wuxi(登録商標)のもとでWuxi Snyder Bioproducts Ltd.(中国)から入手しうる酵素、商品名 Proleather(登録商標)およびProtease(登録商標) PのもとでAmano Pharmaceuticals Ltd.(名古屋、日本)から入手しうる酵素、ならびに、名称 Proteinase K-16のもとでKao Corp.(東京、日本)から入手しうる酵素である。
本発明に係る使用しうるアミラーゼの例は、Bacillus licheniformis由来、B.amyloliquefaciens由来またはB.stearothermophilus由来のα-アミラーゼ、ならびに、洗浄剤および清浄剤において使用するためにさらに改善されたこれらの開発体である。B.licheniformis由来の酵素は、Novozymes社から名称 Termamyl(登録商標)のもとで、およびGenencor社から名称 Purastar(登録商標) STのもとで入手可能である。このα-アミラーゼの他の開発生成物が、Novozymes社から商品名 Duramyl(登録商標)およびTermamyl(登録商標)ultraのもとで、Genencor社から名称 Purastar(登録商標)OxAmのもとで、およびDaiwa Seiko Inc.社(東京、日本)からKeistase(登録商標)として入手可能である。B.amyloliquefaciens由来のα-アミラーゼは、Novozymes社により名称 BANのもとで市販されており、B.stearothermophilus由来のα-アミラーゼから得られた変異体は、名称 BSG(登録商標)およびNovamyl(登録商標)のもとで、これらもNovozymes社から市販されている。
さらに、上記目的のために、国際特許出願公開WO02/10356A2に開示されているBacillus sp. A7-7 (DSM 12368)由来のα-アミラーゼならびにWO02/44350A2に開示されているB.agaradherens (DSM 9948)由来のシクロデキストリン-グルカノトランスフェラーゼ(CGTアーゼ)に注目すべきである。使用し得るものは、α-アミラーゼの配列空間に属し、国際特許出願公開WO03/002711A2に規定されているアミロース分解酵素、ならびに国際特許出願公開WO03/054177A2に記載されている酵素である。同様に、記載された分子の融合生成物、例えば、ドイツ特許出願公開DE10138753A1に記載された融合生成物を使用することもできる。
さらに、Novozymes社から商品名 Fungamyl(登録商標)のもとで入手しうるAspergillus nigerおよびA.oryzae由来のα-アミラーゼのさらなる開発体も適している。他の適する市販生成物は、例えばAmylase-LT(登録商標)である。
本発明の製品は、リパーゼまたはクチナーゼを、特にこれらのトリグリセリド切断活性のゆえに、さらに適当な予備工程から過酸をその場で生成するために、含有することができる。これらには、Humicola lanuginosa (Thermomyces lanuginosus)由来の入手可能かまたはさらに開発されたリパーゼ、特にアミノ酸置換D96Lを有するものが含まれる。これらは、例えば、Novozymes社から商品名 Lipolase(登録商標)、Lipolase(登録商標) Ultra、LipoPrime(登録商標)、Lipozyme(登録商標)およびLipex(登録商標)のもとで市販されている。また、例えばFusarium solani pisiおよびHumicola insolensから初めて単離されたクチナーゼも使用し得る。同様に使用しうるリパーゼは、Amano社から名称 Lipase CE(登録商標)、Lipase P(登録商標)、Lipase B(登録商標)、およびLipase CES(登録商標)、Lipase AKG(登録商標)、Bacillis sp. Lipase(登録商標)、Lipase AP(登録商標)、Lipase M-AP(登録商標)およびLipase AML(登録商標)のもとで入手可能である。Genencor社から入手可能なリパーゼまたはクチナーゼ(その出発酵素がPseudomonas mendocinaおよびFusarium solaniiから初めて単離された)は、使用し得る。列挙し得る他の重要な市販生成物は、Gist-Brocades社からの市販調製物 M1 Lipase(登録商標)およびLipomax(登録商標)、Meito Sangyo株式会社(日本)からの市販酵素 Lipase MY-30(登録商標)、Lipase OF(登録商標)およびLipase PL(登録商標)、ならびに、Genencor社からのLumafast(登録商標)製品である。
本発明の製品は、特にそれらを織物処理に使用するときには、それらの目的に応じてセルラーゼを、純粋酵素として、酵素調製物として、または混合物(個々の成分がそれらの種々の効果を有利に補足する)の形態で含有することができる。これらの効果には、特に、生成物の一次洗浄性能、二次洗浄性能への寄与(再付着防止活性または灰色化抑制)、または増白化(織物に対する効果)、「ストーン・ウォッシュ」効果の発揮が含まれる。
使用しうる菌類由来のエンドグルカナーゼ(EG)に富むセルラーゼ調製物またはそのさらなる開発体は、Novozymes社から商品名 Celluzyme(登録商標)のもとで提供されている。また、H.insolens DSM 1800由来の50kD-EG、43kD-EGにそれぞれ基づく、製品Endolase(登録商標)およびCarezyme(登録商標)もNovozymes社から入手可能である。この後者は国際特許出願公開WO96/29397A1に基づく。改善された性能を有するセルラーゼ変異体が、例えば国際特許出願公開WO98/12307A1に記載されている。同様に、国際特許出願公開WO97/14804A1に記載されているセルラーゼ、例えば、Melanocarpus由来の20kD-EGセルラーゼが、AB Enzymes社(フィンランド)から商品名 Ecostone(登録商標)およびBiotouch(登録商標)のもとで入手可能なものを使用することもできる。AB Enzymes社からの他の市販生成物は、Econase(登録商標)およびEcopulp(登録商標)である。Bacillus sp.由来の他の適するセルラーゼ CBS 670.93およびCBS 669.93が、WO96/34092に開示されており、Bacillus sp.由来のCBS670.93は、Genencor社から商品名 Puradax(登録商標)のもとで入手可能である。Genencor社からのさらなる市販生成物は、「Genencor detergent cellulaseL」およびIndiage(登録商標)Neutraである。
本発明の製品は、具体的な問題である汚れを除去するために、「ヘミセルラーゼ」なる用語としてまとめられる追加の酵素を含有することができる。これらには、例えば、マンナナーゼ、キサンタンリアーゼ、ペクチンリアーゼ(=ペクチナーゼ)、ペクチンエステラーゼ、ペクテートリアーゼ、キシログルカナーゼ(=キシラナーゼ)、プルラナーゼおよびβ-グルカナーゼが含まれる。適するマンナナーゼは、例えば、名称 Gamanase(登録商標)およびPektinex AR(登録商標)のもとでNovozymes社から、名称 Rohapec(登録商標) B1LのもとでAB Enzymesから、および名称 Pyrolase(登録商標)のもとでDiversa Corp.社(San Diego、CA、米国)から入手可能である。B.alcalophilus由来の適するβ-グルカナーゼは、例えば国際特許出願公開WO99/06573A1に開示されている。B.subtilisから回収したβ-グルカナーゼは、名称 Cereflo(登録商標)のもとでNovozymes社から入手可能である。
漂白作用を増大させるために、本発明の洗浄剤または清浄剤は、オキシドレダクターゼ、例えばオキシダーゼ、オキシゲナーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、例えばハロゲン-、クロロ-、ブロモ-、リグニン-、グルコース-またはマンガン-ペルオキシダーゼ、ジオキシゲナーゼまたはラッカーゼ(フェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ)を含有することができる。好適な市販製品は、Novozymes社からのDenilite(登録商標) 1および2である。有利には、関連のオキシドレダクターゼの活性を増強(エンハンサー)するか、または酸化性酵素と汚れの間のレドックス電位において大きな差違がある場合、電子の流れを促進(メディエーター)するために、酵素と相互作用する追加の好ましくは有機の、特に好ましくは芳香族の化合物が添加される。
本発明の製品において使用される酵素は、元々、微生物、例えばBacillus、Streptomyces、HumicolaまたはPseudomonasの種から得られ、そして/または、既知の生物工学的方法に従い、適する微生物、例えば糸状菌類またはBacillus種のトランスジェニック発現宿主によって製造される。
次いで、関連酵素の精製を、確立された既知の方法を用いて、例えば液相の沈殿、沈降、濃縮、濾過、ミクロ濾過、限外濾過、化学物質の作用、脱臭またはこれら工程の適当な組合せを用いて好都合に行う。
本発明の製剤は、先行技術に従ってそれぞれ確立された形態にある添加される酵素を含むことができる。ここで包含されるのは、例えば、顆粒化、押出または凍結乾燥によって得られる固体調製物、あるいは、特に液体製剤またはゲル状製品、酵素溶液(有利には、高濃縮され、無水物であり、そして/または、安定剤と混合されている)である。
あるいは、酵素を、固体および液体の投与形態のために、例えば、好ましくは天然ポリマーと共に酵素溶液を噴霧乾燥または押出することによって、あるいは、カプセルの形態(例えば、酵素が固化されたゲル中に埋入されている形態)で、またはコア-シェル型の形態(酵素含有コアが水-、空気-および/または化学物質-不透性の保護層で被覆されている形態)で、封入することができる。他の活性成分、例えば安定剤、乳化剤、色素、漂白剤または染料を、追加の層で適用することができる。このようなカプセルを、既知の方法を用いて、例えば、振動顆粒化またはロール圧密によって、あるいは、流動床法によって製造する。有利には、このような種類の顆粒は、ほこりが少なく、例えばポリマー皮膜形成剤が適用された結果として貯蔵安定性である。
さらに、単一の顆粒が複数の酵素活性を示すように、2つまたはそれ以上の酵素を一緒に配合することができる。
本発明の製品中のタンパク質および/または酵素を、特に貯蔵中に、品質低下(例えば不活性化、変性または分解などであり、例えば物理的影響、酸化またはタンパク質分解切断から生じる)から保護することができる。特に製品がプロテアーゼをも含有しているときには、タンパク質および/または酵素の微生物回収の点でタンパク質分解の抑制が特に好ましい。本発明の好ましい製品は、この目的のために安定剤を含有する。
安定剤の1つの群は、可逆的プロテアーゼ阻害剤である。このために、ベンズアミジン塩酸塩、ホウ砂、ホウ酸、ボロン酸またはこれらの塩もしくはエステルが使用されることが多く、それらの中で芳香族基を有する主な誘導体、例えばオルト置換、メタ置換またはパラ置換されたフェニルボロン酸、特に、4-ホルミルフェニルボロン酸、または上記化合物の塩またはエステルである。ペプチドアルデヒド、即ち還元されたC末端を有するオリゴペプチド、特に2〜50個のモノマーのオリゴペプチドも適している。特に、オボムコイドおよびロイペプチンが、ペプチド型の可逆的プロテアーゼ阻害剤に属する。また、プロテアーゼ スブチリシンについての特異的な可逆的ペプチド阻害剤ならびにプロテアーゼと特異的ペプチド阻害剤の融合タンパク質も、本目的に適している。
さらなる酵素安定剤は、アミノアルコール(例えば、モノ、ジ、トリエタノールおよびプロパノールアミンならびにこれらの混合物)、C12までの脂肪族カルボン酸、例えばコハク酸、他のジカルボン酸または上記した酸の塩である。また、末端基停止脂肪酸アミドアルコキシレートもこの目的に適する。国際特許出願公開WO97/18287に開示されているように、ビルダーとして使用される特定の有機酸は、含有される酵素をさらに安定化することができる。
低級脂肪族アルコール、特にポリオール(例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはソルビトールなど)は、さらに使用されることが多い酵素安定剤である。また、リン酸ジグリセロールも、物理的影響による変性から保護する。同様に、カルシウム塩および/またはマグネシウム塩も使用される(例えば、酢酸カルシウムまたはギ酸カルシウムなど)。
ポリアミドオリゴマーまたは重合性化合物、例えばリグニン、水溶性ビニルコポリマーまたはセルロースエーテル、アクリルポリマーおよび/またはポリアミドは、酵素調製物を、物理的影響またはpH変動に対して安定化する。ポリアミンN-オキシド含有ポリマーは、酵素安定剤として、および色移行抑制剤として同時に作用する。他の重合性安定剤は直鎖C8-18ポリオキシアルキレンである。また、アルキルポリグリコシドは、本発明の製品の酵素成分を安定化することもでき、さらにその性能をさらに増大させることも好ましい。架橋した窒素含有化合物は、汚れ遊離剤としておよび酵素安定剤として、二重の機能を有利に発揮する。疎水性のノニオン性ポリマーは、特に、所望により含有し得るセルラーゼを安定化する。
還元剤および酸化防止剤は、酸化崩壊に対する酵素の安定性を増大させる。イオウ含有の還元剤は、この目的に対して一般的である。他の例は、亜硫酸ナトリウムおよび還元糖である。
また、安定剤の組合せ、例えば、ポリオール、ホウ酸および/またはホウ砂の組合せ、ホウ酸またはホウ酸塩、還元性塩およびコハク酸または他のジカルボン酸の組合せ(欧州特許出願 EP126505)、あるいは、ホウ酸またはホウ酸塩とポリオールまたはポリアミノ化合物との、および還元性塩との組合せは、特に好ましい。ペプチドアルデヒド安定剤の作用は、ホウ酸および/またはホウ酸誘導体およびポリオールとの組合せによって増大し、二価カチオン、例えばカルシウムイオンの追加作用によってさらに増強される。
本発明の製品は、あらゆる考えられる形態で提供することができるので、任意の製品形態にある本発明の酵素またはタンパク質は、本発明のそれぞれの態様である対応する製品に添加するのに適当である。これらには、例えば、液体配合物、固体粒状物質またはカプセル剤が含まれる。
カプセル化された形態は、酵素または他の成分を他の成分、例えば漂白剤から保護するか、または制御された放出を可能にするために、良好な形態である。これらのカプセルの大きさに依存して、該カプセルはミリカプセル、ミクロカプセルおよびナノカプセルに分けられ、ミクロカプセルが酵素にとって特に好ましい。このようなカプセルは、例えば、特許国際出願公開 WO 97/24177およびDE19918267に開示されている。可能なカプセル化法は、タンパク質溶液とデンプンまたはデンプン誘導体の溶液または懸濁液との混合物から出発して、この物質中でタンパク質をカプセル化することを含む。国際特許出願公開 WO 01/38471は、このようなカプセル化法を記載している。
固体製品の場合、タンパク質を、例えば、乾燥、顆粒化および/またはカプセル化した形態で使用することができる。これらを、別々に、即ち独立した相として、または他の成分と一緒に同じ相において、圧縮するかまたは圧縮せずに添加することができる。ミクロカプセル化した酵素を固体形態に加工するときには、処理によって得られる水溶液から、先行技術から既知の方法、例えば噴霧乾燥、遠心除去または再可溶化を用いて、水を除去することができる。このようにして得られた粒子は、通常、大きさが50〜200μmである。
本発明の液体、ゲル状またはペースト状の製品に、酵素および本発明のタンパク質、タンパク質回収および調製物を、先行技術に従って、濃縮された水溶液もしくは非水性溶液、懸濁液またはエマルジョンにおいて、さらにゲル形態もしくはカプセル化した形態において、または乾燥粉末として添加することができる。通常、本発明のこのような洗浄または清浄製品は、成分を単に混合することによって調製され、成分を固体または溶液として自動ミキサーに導入することができる。
それらの一次洗浄性能に加えて、洗浄製品において含有されるプロテアーゼは、例えば、国際特許出願公開 WO94/29426またはEP747471に開示しているように、タンパク質分解性開裂により他の酵素成分を活性化するか、または適切な接触時間の後にそれらを不活性するさらなる機能を果たしうる。しかし、本発明のタンパク質によって、同程度の調節機能も可能である。本発明の一実施態様は、プロテアーゼ感受性物質から作成されるカプセルを有するような製品であり、カプセルは、例えば本発明のタンパク質によって目的とする時点で加水分解され、それらの内容物を放出する。同程度の効果が、他の複数相の製品によって達成され得る。
さらなる実施態様は、織物素材を処理するための、または織物の手入れのための製品に代表され、この製品は本発明のアルカリプロテアーゼを含有する。
別の実施態様は、天然成分を有する繊維または織物を処理するための製品、特にウールまたはシルクを有する製品に代表される。
この理由は、特に、ウールまたはシルクなどの天然繊維が、特徴的な顕微鏡的な表面構造によって区別される。R.Breierによる先行論文[Melliand Textilberichte、4.1.2000 (p.263)]においてウールについて例示的に議論されており、長期間で望ましくない影響、例えば、フェルト化などを生じる可能性がある。このような影響を回避するために、天然原料を本発明の製品で処理すると、本発明の製品は、例えばタンパク質構造から生じる剥離した表面構造を滑らかにするように寄与し、これによってフェルト化を防ぎうる。
好ましい実施態様において、本発明のプロテアーゼを含有する製品は、例えば、洗浄過程に加えることによって、洗浄後に利用するかまたは洗浄とは独立して適用することによって、ケア剤として定期的に使用されうる方法において考えられる。 所望の効果は、長期間にわたって織物の滑らかな表面構造を得ること、および/または生地の損傷を防止および/または軽減することである。
本発明の別の目的は、織物または硬表面の機械清浄のための方法を示すものであり、この方法では、本発明のアルカリプロテアーゼがこの方法の過程の少なくとも一つにおいて活性である。
それらの中の好ましいものは、本発明のアルカリプロテアーゼが適用あたり40μg〜4g、好ましくは50μg〜3g、特に好ましくは100μg〜2g、なお特に好ましくは200μg〜1gの量で使用され得るそのような方法である。 これらの各数字の範囲にある全ての整数および整数でない値が包含される。
これら方法には、手による方法および機械による方法の両方が含まれるが、機械による方法の方が、例えば使用量および作用時間の点で、より正確に制御することができるので好ましい。
一般に、織物を清浄するための方法は、種々の清浄活性を有する物質を清浄すべき材料に適用することおよび作用時間の後にそれらを洗い流すことを含む複数の工程によって、あるいは、清浄すべき材料が洗浄剤または該製品の溶液によって他のいずれかの方法で処理されることによって区別される。同様に、硬表面なる用語のもとに分類される織物以外の全ての材料を清浄するための方法にも当てはまる。全ての考えられる洗浄または清浄方法は、本発明のタンパク質を含めるために、本発明の過程の少なくとも1つにおいて補完され得る。全ての考えられる洗浄または清浄方法は、本発明のタンパク質に含まれるように、本発明の少なくとも1つ方法の過程に加えることができ、これらの方法は本発明の態様となる。
本発明の好ましい酵素は、既に天然にタンパク質溶解活性を保持しており、また、該活性をそれ以外には洗浄力を持たない媒体、例えば純粋な緩衝液において発揮するので、織物の機械清浄のためのこのような方法の個々の部分工程は、所望により安定化化合物、塩または緩衝物質とともに、本発明の酵素が、単一の清浄活性を持つ成分として適用される事実からなっていてよい。これが、本発明の特に好ましい実施態様である。
このような方法のさらに好ましい態様において、適切な本発明のアルカリプロテアーゼは、本発明の製品、好ましくは本発明の洗浄または清浄製品のための上記記載の調整物のいずれかにおいて使用可能となり得る。
本発明の目的に関する好ましい実施態様は、本発明のアルカリプロテアーゼが、少なくとも一つの本方法の過程において活性となる、織物素材を処理するためのまたは織物の手入れのための方法である。
それらの中の好ましいものは、天然成分を有する織物素材、繊維または織物のための方法であって、特にウールまたはシルクを有する素材のための方法である。
これらには、例えば、材料を織物に処理するための方法、例えば抗フェルト仕上げのために調製する方法、あるいは、例えばケア成分を着古した織物の浄化に添加する方法を包含する。天然のタンパク質含有の原料に対するプロテアーゼの上記作用のゆえに、好ましい実施態様おいて、該方法は、天然成分、特にウールまたはシルクを含有する、織物素材、繊維または織物を処理するための方法を包含する。
本発明の別の目的は、織物または硬表面を清浄するための、本発明の上記本発明のアルカリプロテアーゼの使用である。
上記した濃度範囲は、これらの使用に好ましく当てはまる。
この理由は、本発明のプロテアーゼを、特に、上記した特性および上記した方法に従って、織物または硬表面からタンパク質を含有している汚れを除去するために使用できることである。実施態様は、例えば、織物または硬表面からの汚れの手洗いまたは手による除去、あるいは機械的方法を組み合わせた使用である。
この使用の好ましい実施態様において、適切な本発明のアルカリプロテアーゼが、本発明の製品、好ましくは洗浄または清浄製品のために上記した調整物のいずれかに利用され得る。
本発明のこの対象のさらなる実施態様は、洗浄または清浄製品の成分を活性化または不活性化するために、本発明のアルカリプロテアーゼの使用により代表される。
この理由は、既知のように、洗浄または清浄製品のタンパク質成分を、プロテアーゼの作用によって不活性化することができることである。本発明は、それ以外ではむしろ望ましくない作用を慎重に使用することに関する。同様に、例えば国際特許出願公開 WO 00/01831A2に開示されているように、実際の酵素と、それに対応する阻害剤のハイブリッドタンパク質である場合に、上記したようにタンパク質分解のみによって実際に別の成分が活性化されることもあり得る。この種の制御工程の別の例は、活性成分が、その活性を保護または制御するために、タンパク質分解によって攻撃される材料中にカプセル化様式で存在している場合である。即ち、本発明のタンパク質は、不活性化反応、活性化反応または放出反応のために使用され得る。
上記にしたがって、下記の使用が本発明の実施態様を示す:
-織物製造において、素材または中間製品を再生または処理するために、特に布地から保護層を除去するための、本発明のアルカリプロテアーゼの使用;
-織物素材を処理するため、または織物を手入れするための本発明のアルカリプロテアーゼの使用;および、それらの中の好ましい使用、
-天然成分特にウールまたはシルクを有する織物素材、繊維、または織物に対応する使用。
本発明は、また、本発明のアルカリプロテアーゼを含有しているそれらの製品、すなわち化粧品の形態にあると理解される。全ての型の清浄製品、およびヒトの皮膚または毛髪、特に清浄製品のための調節製品が、それら製品のなかに含まれると解される。
またプロテアーゼは、ヒト皮膚の細胞再生過程において重要な役割を果たすことが[T.Egelrudら、Acta Derm.Venerol.、Vol.71 (1991)、p.471-747]理由である。したがって、プロテアーゼは、乾燥皮膚において増大するデスモソーム構造の分解を助けるために、皮膚ケア製品における生物活性成分としても使用される。位置R99G/A/S、S154D/E および/またはL211D/Eにおいてアミノ酸交換を有するスブチリシンプロテアーゼの化粧用品を目的として使用は、例えばWO97/07770 A1に記載されている。上記してきたことに対して、本発明のプロテアーゼは、対応する点突然変異によってさらに開発されることもできる。本発明のプロテアーゼは、特に、その活性が、例えば突然変異誘発後に、またはそれと相互作用する適当な物質の添加により制御されているプロテアーゼであり、それ故に適当な活性な成分として、皮膚または毛髪清浄製品あるいは調節用製品における活性成分としても適している。特に好ましいのは、上記したように、例えば巨大分子担体への結合によって安定化されており(US5230891を参照)、そして/または、そのヒト皮膚との適合性が増大するように高アレルギー誘発性位置での点突然変異によって誘導体化されている、これらの酵素の調製物である。
従って、化粧目的のため、特に、対応する製品、例えばシャンプー、石鹸または洗浄ローションなど、または例えばクリームの形態で供される調節製品(ケア製品)における、この種のタンパク質分解酵素の使用も、本発明のこの対象に含まれる。また、剥離用医薬品における使用またはその製造も、本発明のこの対象に含まれる。
洗浄および清浄製品および化粧品における使用に加えて、プロテアーゼ、特にスブチラーゼの多くの可能な適用は、先行技術において確立されている。それらの概説は、例えば、例えば、H.Uhligによるマニュアル「Industrial enzymes and their applications」[Wiley出版、New York、1998]において提供される。全ての他の技術分野は、本発明のアルカリプロテアーゼ包含するように補完され得る。本発明のアルカリプロテアーゼを用いてさらに開発しうることがわかったときには、それらは本発明の保護の範囲内に含まれる。包含されるものは、具体的に次の用途範囲である:
- 低分子量化合物またはタンパク質の生物化学的な分析または合成のための、本発明のアルカリプロテアーゼの使用;
- それらの中の好ましい様式において、ペプチド配列分析の範囲において末端キャップ基決定のための使用;
-天然物質または生物学的に有用な物質の、製造、精製または合成のための、好ましくは対応する製品または方法における、本発明のアルカリプロテアーゼの使用;
-タンパク質または他の低分子量化学化合物の合成のための本発明のアルカリプロテアーゼの使用;
-天然素材、特に表面処置のための、特に皮革処理のための方法、好ましくは対応する製品または方法における、本発明のアルカリプロテアーゼの使用;
-写真用フィルムの処理のための、特にゼラチン含有または同様の保護層の除去のための、本発明のアルカリプロテアーゼの使用;および
-食品または動物飼料の製造のための本発明のアルカリプロテアーゼの使用。
適当であることが証明された、全ての他の技術領域においてアルカリプロテアーゼの利用については、基本的に、本発明の請求の範囲に包含される。
本発明はさらに下記で説明される:
実施例
全ての分子生物学的な作業工程は、例えば、Fritsch、SambrookおよびManiatisによるマニュアル「Molecular cloning: a laboratory manual」[Cold Spring Harbour Laboratory Press、New York、1989]あるいは同等の関連研究において示されているような標準法に従う。酵素およびキットは、それぞれの製造元の指示書に従って使用した。
土壌環境から細胞材料を採取すること
土壌サンプルを、ドイツ国内の様々な場所から採取し、水中に置き、30分間静置し、縣濁液を沈殿させた。上清をHSP10の固体培地(0.1g 酵母抽出物(Difco, Heidelberg);0.1g カゼインペプトン、トリプシン-消化物、Difco; 0.1g 可溶性デンプン(Merck, order no. 1.01251); 2g NaCO;1000 mlにするための蒸留水;pH10)を有する5%寒天プレートに播種し、約2週間30℃で培養した。得られる細菌フィルムを寒天表面から機械的に採取した。
発現ジーンバンクの設定
選択した発現系は、Escherichia coli DH12SにおいてベクターpUC18 (GenBank, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA; access no L08752; 図5)であった。このベクターは、IPTGの添加により誘導し得るlacオペロンのβ-ガラクトシダーゼプロモーターを担持し、それによってこれらの細胞での複数のクローニング位置に組み込まれたDNAの制御された発現が可能になる。DH12S株は、lacIq遺伝子型のため、IPTG誘導に適切であり、それが十分に低い内生タンパク質分解活性を示すために、プロテアーゼ活性のスクリーニングに有利である。また、予備実験からE.coli JM109が同じ基準を満たすことも明らかとなった。
実施例1に従って得られたサンプル由来のDNA処理を、Zhouら [(1996), Appl. Environ. Microbiol., Volume 62, pp. 316-322]に従って行った。この精製メタゲノムDNA(下記を参照されたい)を、5〜10 kbの範囲にあるフラグメントサイズが存在するために制限酵素AluIを用いて分取用の部分制限に供した。
この目的のために、まず、至適制限インキュベーション持続時間を、酵素速度を記録することによって決定した。これを、AluI(New England Biolabs, Schwalbach, Germany; catalog no. R0137S)の製造会社より提供された対応する反応緩衝液中でDNA(2.8μg)調製物を37℃でインキュベーションによって行った。該反応を、DNA1μgあたり0.2U Alu Iを添加することによって全容量(21μl)において開始し、その後2分間隔で、各々1.5μl部をバッチから採取し、この採取部の反応を、10 mM Tris/HCl、pH7.0;20%グリセロール;および0.1% SDSを添加し、0℃に冷却して、直ちに停止させた。部分消化のための至適制限時間は、0.7%アガロースゲル上での二次分析によって確認した。実施例1に従って単離されるDNAの単離のための継続時間は、5〜10 kbのサイズ範囲のフラグメントを得るために約6〜7分間である。
従って、分取用の部分消化は、15〜20の平行バッチで実施した。適切な反応停止後、該バッチを分取用0.7%アガロースゲル上で電気的に分離させ、5-10kb サイズ範囲にDNAを有する該ゲル領域を切り出し、4℃での透析チューブにおける電気溶出によりDNAを単離した。次いで、該DNAを、1/10容量の3M酢酸ナトリウムおよび2.5倍のエタノール容量を用いて沈殿させ、適当な容量に縣濁させた。ゲル電気泳動、電気せん孔法および沈殿を、存在しているに違いない全ての小さなDNAフラグメントをさらに分離するために繰り返した。
そうして得られたフラグメント化されたメタゲノムDNA(450 ng)を、1x リガーゼ緩衝液中のT4 DNAリガーゼの400 NEBユニットの添加と共に、pUC18 ベクター(100ng)を含む全容量(15μl)中で、終夜16℃でライゲーションを行った。このベクターは、予めSmaIによって直線化されており、小ウシ胸腺からのアルカリフォスファターゼによって脱リン酸化されている。
コンピータント細胞E.coli DH12S(Gibco Life Technologies, Karlsruhe, catalog no. 18312017)の形質転換を、電気的な形質転換によって確認した。この目的のために、電気せん孔法キュベット中でライゲーション混合物(1μl)および細胞(25μl)を混合し、1分間氷上でインキュベートし、製造指示書に従って電気泳動機器において処理した(BTX(登録商標)ECM630, Genetronics Inc. San Diego, USA)。SOC培地(2% バクトトリプトファン; 0.5% 酵母抽出物;10mM NaCl;2.5 mM KCl;pH7.0、NaOHで調整し;オートクレーブ済;10mM MgSOおよびMgClおよび20mM D(+)グルコースを用いて補充される)(1ml)への迅速な移行の後、1時間37℃で回復相に供し、実施例1に従って、HSP10固体培地を有する寒天プレート上に播種した。
タンパク質分解活性のスクリーニング
E.coli DH12Sでの実施例2に従って作成されたジーンバンクの品質を調べるために、生じた一次形質転換体の全数および挿入物担持クローンの数を、試験的播種による青/白色選択によって決定した。この目的のために、形質転換バッチの1および10μl部を、LB培地(10g トリプトファン、5g 酵母抽出物、5g NaCl、1ml 1N NaOH/l)を有する5%寒天プレートに播種し、これに100μg/mlアンプリコン、0.2 mM(または4μg/ml)IPTGおよび0.2mM (または1μg/ml) X−Galをさらに添加し、終夜37℃でインキュベートした。10個の白色コロニー(即ち、形質転換体)からのプラスミドを、ミニ-プリパレーション(Qiagen, Hilden, Germanyのキット)によって単離し、制限酵素Sac IおよびHind IIIを用いて制限消化を行い、挿入物を切り出して(cf. 図3)、フラグメントを0.7%アガロースゲル上で分離した。実際に、全てのベクターは、約5〜10kbサイズの挿入物を含有した。
実施例2に従って生成したジーンバンクのスクリーニングを、2% スキムミルク粉末(Difco, order no. 232100)を加えたLB培地アンプリコン/IPTG/X−Gal(上記を参照されたい)を用いる14cmの直径の5%寒天プレート上で確認した。これらの選択寒天プレートのうちの10プレート上で、バンクの力価と一致する約10000cfuの形質転換バッチの容量を、ガラス球を用いて均一に播種した(一次播種)。
37℃でのインキュベーション16時間後、プレートを、28℃で2週間までインキュベートした。この間に、不透明な基質中に清澄な孔としてプロテアーゼを形成するクローンが出現した。担持しないプロテアーゼを検出するために、分離細胞溶菌は必要でなかった。プラスミド介在プロテアーゼ形成を、一次クローンをもう一度単離し、次いで適切な挿入物を含有しているpUC18 ベクターを単離し、再度形質転換し、再度スクリーニングする(上記のように;二次播種)ことによって評価した。このように行った形質転換体は、同様にスキムミルク培地上で分解孔形成を示し、こうして、各々クローニングしたDNAフラグメントでのプロテアーゼ遺伝子の局在性を確認した。
実施例4
タンパク質分解活性クローンの配列分析
実施例3に従って得たプロテアーゼ陽性クローンからのプラスミドDNAを、標準的方法を用いて単離し、該挿入物をSacI/Hind III消化(上記参照)によって調製し、標準的方法を用いて配列決定した。挿入物を挟んでいる配列番号N1および2のこのプライマーを、まずこの目的のために用い、先行技術[R.J. Kaiser et al. (1989):"Specific primer-directed DNA sequencing using automated fluorescence detection,"Nucl. Acids Res., 17 (15), pp. 6087-6102)]から知られるいわゆるプライマーウォーキングに供する。
このクローンの配列決定によって、オープンリーディングフレームを持つ領域を得、このDNA配列を配列番号:3に示す。それらから得たこのアミノ酸配列を、配列番号:4に開示した。後者は、おそらく完全なプレタンパク質を包含するが、シグナルペプチドが終わる場合(場合により、位置31または34の一つで)明白には確立されなかった。
これを利用して、ホモロジー比較を、"non-redundant gene bank" (Altschul, Stephan F., Thomas L. Madden, Alejandro A. Schaffer, Jinghui Zhang, Hheng Zhang, Webb Miller, and David J. Lipman (1997):"Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs," Nucleic acids Res., 25, pp. 3389-3402)において従来から知られているプロテアーゼを用いて実施した。この分析から、最も類似した酵素として、Bacillus licheniformis由来のS2Bファミリーのグルタメート-特異的エンドペプチダーゼを得た。それは、GenBank アクセス番号P80057(National Center for Biotechnology Information NCBI, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA)を担持する。アミノ酸レベルの同一性を、予め決定したデフォルトパラメーター用いて、InforMax, Inc., Bethesda, USAから得られるコンピュータープログラムベクター NTI(登録商標)Suite 7.0によって確認した(全ての下記ホモロジー値も同様)。アミノ酸レベルでこの同一性は21.9%(cf. 図1)であった。この探索において見出され、アミノ酸レベルで最も類似性が高いことが明らかになったさらなるタンパク質を、下記表1にまとめた。しかし、最後の2つを除いて、これらは、単に推定上の酵素配列データベース登録物であり、活性な酵素として検出されていなかった。
Figure 2007515179
DNAレベルでは、図3に示した位置254〜1311において、B.licheniformis (GenBank アクセス番号D10060)由来のグルタメート特異的エンドペプチダーゼ遺伝子と、45.9%の同一性が明らかとなった。
すなわち、発見されたプロテアーゼは新規酵素であり、この最も関連のある酵素は、非常に小さな程度のホモロジーを示すにすぎない。確立されたB.lentus アルカリプロテアーゼ (WO 97/21760 A1)と、このアルカリプロテアーゼの完全長にわたるアミノ酸レベルで14.4% 同一性のホモロジー、および核酸レベルでは46.2%の同一性が明らかとなった(後者は図3に示したような位置254〜1311で)。
V8プロテアーゼ(またはS8スブチラーゼ)が最も類似した酵素であることが見出された事実から、これがスブチラーゼであり、スブチリシンではないことの指標と考えられる;後者は、特に洗浄製品において特に多くふくまれるスブチラーゼの下位群である。加えて、V8プロテアーゼとの関係性から、それはメタロプロテアーゼのファミリーに割り当てられ得る。
表記名23-pUC(LP10/03)を有する関連のあるベクターを、German Microorganism and Cell Culture Collection [Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, DSMZ], Mascheroder Weg 1b, 38124, Braunschweig (http://www.dsmz.de)で、2003年11月10日に寄託し、受託番号 DSM 16017を受領した。それによりコードされるプロテアーゼをHP23とよぶ。
本発明のプロテアーゼの定量的回収
実施例3の発現クローンを、LB培地(10g/l トリプトファン、5g/l 酵母抽出物、10 g/l NaCl)(100ml)に播種し、37℃で200rpmの回転を伴いエーレンマイヤーフラスコ(500 ml)中で培養した。
目的とするこのプロテアーゼを、細胞分解により培養物から回収した。この目的のために、細胞を遠心分離(20分間、5000g)によってあつめ、30%の細胞懸濁液として50mMリン酸緩衝液(pH7.8)に再懸濁した。この懸濁液(600 μl)にガラス球体(1 g)を添加し、この懸濁液を、細胞破砕が為されるようにボルテックスによって1分間激しく攪拌した。得られた破砕懸濁液は、プロテアーゼを含有しており、回収され、さらに使用される。
実施例3の発現クローンの生物化学的特性
実施例5に従って定量的に得た該プロテアーゼを、生物化学的に特徴付けた。ここでは、タンパク質分解活性を、フルオロフォア(エミッター)およびクエンチャーが結合している蛍光結合カゼイン基質(BODIPY(登録商標)FL Conjugate, Molecular Probes, Goettingen, Germany; order no. #6638)を基にした、いわゆるMTPアッセイによって確認した。無傷の基質において、エミッターのあらゆる蛍光はクエンチャーによって抑制される。しかし、カゼインの加水分解によって、オリゴペプチドと共に結合した基が、互いから分離して、適切な励起によって蛍光放出が生じる、すなわちこの強度がタンパク質の分解尺度を表す。
活性決定のために、実施例5に従ってプロテアーゼサンプルの一部分(5μl)を、所望とするpHの100mM Tris/HCl、4.5 μg/ml BODIPY(登録商標) FL Conjugate中全容量(100μl)で、1時間、目的とする温度で各々インキュベートした。これ以降に示す全ての測定は、FLUOstar(登録商標)蛍光計測器(BMG Lab Technologies, Offenburg, Germany)を用いて、96ウェルマイクロタイタープレート(Opaque(登録商標) Plates, black; Corning BV Life Sciences, Schiphol-Rijk, Netherlands; order no. #3915)で実施した。
温度プロファイル
pH8.6および50℃での測定値を、100%に設定した。あるいは37℃での同インキュベーションにより、この値が64%であることを確認した。これは、配列番号:4に関する本発明のプロテアーゼは、低温よりも中温で活性が高いプロテアーゼであることを示す。
pH変動に関する安定性
pH変動に関する安定性を決定するために、新規プロテアーゼのサンプルを、pH7.6、pH8.6、pH9.0で、各ケースにおいて37℃および50℃でインキュベートした。得られた結果を表2にまとめた;ここでは、50℃でpH9.0での該活性を、100%に設定し、他の値を次に示した。
Figure 2007515179
このプロテアーゼは両温度で至適アルカリpHを示すことが明らかとなり、すなわちアルカリプロテアーゼとみなし得る。
錯化剤の影響
錯化剤の影響を、上記アッセイにおいて、特に37℃、50℃で、1mM EDTA(pH8.6)を添加することによって調べた。EDTAを添加せずに測定した値を100%と設定した。一方、50℃での相対タンパク質分解活性は、103%であり、37℃では実際には124%であった。従って、この酵素は、洗浄および清浄製品において十分に適切であることが推測的に明白である。
安定性測定
安定性を測定するために、用いられるプロテアーゼサンプルを、まず、50mM NaHCO 緩衝液(pH10.9)で、15分間プレインキュベートし、残存活性を、上記アッセイにおいて各ケースpH8.6、37℃および50℃で測定した。プレインキュベーションはしないが、その他は同じ処理を用いて同抽出物の活性を、各ケース100%に設定した。37℃で46%の残存活性および50℃で45%の残存活性を、この様式で確認した。
従って、この分子は、高pH値に対して比較的安定であり、特に温度には実質的に関係のない分子である。
低温での本発明のプロテアーゼ HP23の洗浄性能への関与
Federal Materials Testing and Research Agency [Eidgenoessische Material-Pruefungs- und Versuchsanstalt, EMPA](St. Gallen, スイス国)標準化された方法で汚した織物を、この実施例に使用した。以下の汚れおよび織物を使用した:A(血液/ミルク/インク;綿上で)、B(血液/ミルク/インク;ポリエステル-綿混合物上で)、C(卵、すす;綿上で)。
この試験材料を用い、洗濯計(launderometer)を用いて、種々の洗浄製品調製物の洗浄性能について試験した。この目的のために、液比をそれぞれ1:12に設定し、洗浄を40℃の温度で30分間行った。各製品を、1Lの洗浄液あたり、5.9gの容量で与えた。水硬度は、16゜ドイツ硬度であった。
使用した対照の洗浄製品は、以下の組成からなる基本の洗浄製品配合物であった(全ての値は重量%である):4%直鎖アルキルベンゼンスルホネート(ナトリウム塩)、4%C12-C18脂肪アルコールスルフェート(ナトリウム塩)、7EOを有する5.5%C12-C18脂肪アルコール、1%ナトリウム塩、11%炭酸ナトリウム、2.5%無定形二ケイ酸ナトリウム、20%過ホウ酸ナトリウム・4水和物、5.5%TAED、25%ゼオライトA、4.5%ポリカルボキシレート、0.5%ホスホネート、2.5%発泡抑制剤顆粒、5%硫酸ナトリウム、残り:水、光学増白剤、塩。
本発明のプロテアーゼと対照のプロテアーゼを、各活性均等化法で平行バッチに加えた。B.lentus アルカリプロテアーゼ F49(WO 95/23221 A1;製造元:Biozym, Kundl, Austria)を、対照として使用した。それは、約200000PU/gの特異的活性(明細書中に示した方法に従って決定し得る)を持ち、0.2重量%、約40000PU/100g製品のF49濃度および約2400PU/l洗浄液の活性を示す。調製物を、各0.5%プロテアーゼ、即ち2.5倍のプロテアーゼ量を含有した対応するナトリウム塩を割愛して、さらに製造した。本発明のプロテアーゼを、同活性濃度で、同基本調製物に添加した。こうして下記の表に示した該重量%値は、F49に対して正確であり、HP23についても近似的に使用し得る。
洗浄後、洗浄した織物の白さの程度を、硫酸バリウムの白さ(これを100%に標準化化した)と比較して測定した。測定を、Datacolor SF500-2分光計において、460nm(UVブロッキングフィルター3)、30mm開口度、光沢なし、D65光源、10°、d/8°で行った。得られた結果を、以下の表3に反射率(%)として、即ち、それぞれの出発値とともに、硫酸バリウムと比較したときの割合(%)としてまとめた。それぞれ3回の測定の平均を示す。これらは、使用した製品の洗浄性能に対する酵素成分の寄与について、直接的な結論を導くことを可能にする。
Figure 2007515179
3つの全測定系は、プロテアーゼを含まない洗浄製品と比較して、本発明のプロテアーゼがタンパク質含有汚れに対する洗浄性能における改善をもたらすことを確認した。いいかえると、それは、例えば界面活性剤などのような変性剤存在下であってもタンパク質分解活性を示す。B.lentus アルカリプロテアーゼ F49について確認された値は、この実験が正確に実施されたことを裏付けるものである。出願(cf. WO 95/23221 A1)のこの範囲のために、点突然変異を介して至適化した分子であるので、その測定値は予測したとおり最も高い。
実施例8
高温での洗浄性能に対する本発明のプロテアーゼ HP23の寄与
この実施例について、前記実施例の該バッチを、60℃の温度であるいは同一条件下で反復した。下記表に得られた結果を要約した:
Figure 2007515179
この結果は、前記実験の結果を確認するものである。幸運にも、本発明のプロテアーゼ HP23が、60℃で認識し得る程には変性されず、そのため、その酵素は、特に洗浄製品としてのプロテアーゼとして適当である。
図1:標準的パラメーターの下でプログラムベクター NTI Suite ver. 7 (InforMax, Inc. Bethesda, USA)を用いて計算された、先行技術のアルカリプロテアーゼと本発明のアルカリプロテアーゼ (配列番号:4)のアラインメント。
凡例:
HP23:配列番号:4による本発明のアルカリプロテアーゼ;
BLAP:Bacillus lentus DSM 5483 (WO 92/21760 A1)からのアルカリプロテアーゼ;
SB2:B.licheniformis (GenBank access no. P80057)からのS2Bファミリーのグルタメート特異的エンドペプチダーゼ
図2:先行技術のアルカリプロテアーゼと本発明のアルカリプロテアーゼ (配列番号:4)のアラインメント。
凡例:
HP23:配列番号:4による本発明のアルカリプロテアーゼ;
Nest.: Nesterenkonia sp. nov. (WO 2004/085639 A1)からのアルカリプロテアーゼ;
SB2:B.licheniformis (GenBank access no. P80057)からのS2Bファミリーのグルタメート特異的エンドペプチダーゼ;
BLAP:Bacillus lentus DSM 5483 (WO 92/21760 A1)からのアルカリプロテアーゼ;
このアラインメントを、同じ標準パラメーターのもので図1と同じプログラムを用いて計算した。追加配列(Nest.)の包含によって、相同位置の配置において特定の不一致を生じる。この2つの解釈を同等とみなすべきである。
図3:標準パラメーターのもので計算された、本発明のアルカリプロテアーゼ(配列番号:3)の遺伝子のアラインメントと、先行技術のアルカリプロテアーゼの遺伝子のアラインメント。
凡例:
HP23:配列番号:3の本発明のアルカリプロテアーゼの遺伝子;
BLAP:Bacillus lentus DSM 5483 (WO 92/21760 A1)からのアルカリプロテアーゼの遺伝子;
SB2:B.licheniformis (GenBank access no. P80057)からのS2Bファミリーのグルタメート特異的エンドペプチダーゼの遺伝子;
図4:本発明のアルカリプロテアーゼ(配列番号:3)の遺伝子のアラインメントと、先行技術のアルカリプロテアーゼの遺伝子のアラインメント。
凡例:
HP23:配列番号:3の本発明のアルカリプロテアーゼの遺伝子;
Nest.: Nesterenkonia sp. nov. (WO 2004/085639 A1)からのアルカリプロテアーゼの遺伝子;
SB2:B.licheniformis (GenBank access no. D10060)からのS2Bファミリーのグルタメート特異的エンドペプチダーゼの遺伝子;
BLAP:Bacillus lentus DSM 5483 (WO 92/21760 A1)からのアルカリプロテアーゼの遺伝子;
このアラインメントを、同じ標準パラメーターのもので図3と同じプログラムを用いて計算した。追加配列(Nest.)の包含によって、相同位置の配置において特定の不一致を生じる。この2つの解釈を同等とみなすべきである。
図5:実施例2の発現遺伝子バンクを設定するのに使用したプラスミドベクターpUC18の概略図
ベクターを、示されたクローニング位置において、AluIで消化されたメタゲノムDNAの受容のために直線状SmaIを用いて直線化した。
凡例:
ORI:複製起源;
Plac: E. coliからのラクトースオペロンのプロモーター;
lacZ−α:E.coli (β-ガラクトシダーゼのαペプチドをコードする) からのラクトースオペロンのlacZ遺伝子;および
ampR:アンプリコン耐性を伝達するβ-ラクタマーゼ
図1は、標準的パラメーターの下でプログラムベクター NTI Suite ver. 7 (InforMax, Inc. Bethesda, USA)を用いて計算された、先行技術のアルカリプロテアーゼと、本発明のアルカリプロテアーゼ(配列番号:4)のアラインメントを示す。 図2は、先行技術のアルカリプロテアーゼと本発明のアルカリプロテアーゼ (配列番号:4)のアラインメントを示す。 図3は、標準パラメーターのもので計算された、本発明のアルカリプロテアーゼ(配列番号:3)の遺伝子のアラインメントと、先行技術のアルカリプロテアーゼの遺伝子のアラインメントを示す。 図4は、本発明のアルカリプロテアーゼ(配列番号:3)の遺伝子のアラインメントと、先行技術のアルカリプロテアーゼの遺伝子のアラインメントを示す。 図5は、実施例2の発現遺伝子バンクを設定するのに使用したプラスミドベクターpUC18の概略図を示す。

Claims (56)

  1. 配列番号:4に示したアミノ酸配列と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を有するアルカリプロテアーゼ。
  2. 該アミノ酸配列と、さらに好ましくは、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、特に好ましくは、100%同一である、請求項1記載のアルカリプロテアーゼ。
  3. ホモロジーを、各ケースにおいて配列番号:4に示したアミノ酸位置32〜327に対応する領域に用いて評価する、請求項1または2記載のアルカリプロテアーゼ。
  4. 配列番号:3に示したヌクレオチド配列と少なくとも50%同一、より好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、特に100%同一であるヌクレオチド配列、特に配列番号:3のヌクレオチド位置94〜984に対応する領域によってコードされる、請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼ。
  5. アミノ酸位置108〜325の領域において、配列番号:4に示したアミノ酸配列と少なくとも60%同一である、アミノ酸配列を有するアルカリプロテアーゼ。
  6. 該アミノ酸配列領域と、より好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、特に好ましくは100%同一である請求項5記載のアルカリプロテアーゼ。
  7. ヌクレオチド位置322〜975の領域において、配列番号:3に示したヌクレオチド配列と、少なくとも70%、より好ましくは75%、80%、85%、90%、95%、特に好ましくは100%同一であるヌクレオチド配列によってコードされる、請求項5または6記載のアルカリプロテアーゼ。
  8. 天然環境から得られるか、または天然環境から単離し得る核酸から得られる、請求項1〜7のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼ。
  9. 天然環境から単離し得る生物から得られるか、またはその関連のある核酸が天然環境から単離し得る生物から得られる、請求項1〜8のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼ。
  10. 微生物、好ましくは真菌類、グラム陰性またはグラム陽性細菌であり、その中で特に好ましいものバシラス属の一つがである、請求項9記載のアルカリプロテアーゼ。
  11. 挿入突然変異誘発による、置換突然変異誘発による、および/または少なくとも一つの別のタンパク質との融合による、請求項1〜10のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼから得られる、請求項1〜10のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼ。
  12. 図1または2におけるアラインメントのうちの一つと関連のある、バチルス・レンタス由来のアルカリプロテアーゼの番号付与において、位置3、4、36、42、47、56、61、69、87、96、99、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、199、205、211、224、229、236、237、242、243、255、および268において、1以上のアミノ酸交換を有する、請求項11記載のアルカリプロテアーゼ。
  13. 特にポリマーとの共有結合によってさらに安定化されている、請求項1〜12のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼ。
  14. さらに誘導される、請求項1〜13のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼ。
  15. 図1または2におけるアラインメントのうちの一つと関連のある、バシラス・レンティス由来のアルカリプロテアーゼの番号付与において、位置3、4、36、42、47、56、61、69、87、96、99、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、199、205、211、224、229、236、237、242、243、255、および268に位置づけられ、請求項1〜14に特徴づけられるアルカリプロテアーゼの一つ、特にエピトープ領域の少なくとも一つと同じように、少なくとも1つの抗原決定基決定基を有する、アルカリプロテアーゼ。
  16. 配列番号:3に記載のヌクレオチド配列と少なくとも50%同一である、ヌクレオチド配列を有する核酸。
  17. 該ヌクレオチド配列と、より好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、および特に好ましくは100%同一である、請求項16記載の核酸。
  18. ホモロジーを、配列番号:3のヌクレオチド位置94〜984に対応する領域を各々用いて評価する、請求項16または17に記載の核酸。
  19. 配列番号:3のヌクレオチド位置322〜975に対応する領域において、配列番号:3に示したヌクレオチド配列と少なくとも70%同一である、ヌクレオチド配列を有する核酸。
  20. 該ヌクレオチド配列領域と、好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、および特に好ましくは100%同一である、請求項19に記載の核酸。
  21. 請求項1〜15いずれかのアルカリプロテアーゼをコードする、請求項16〜20いずれかに記載の核酸。
  22. 1または好ましくは複数コドンが同義コドンによって置換されている、請求項16〜21のいずれかに記載の核酸。
  23. 請求項16〜22いずれかに記載の核酸を天然に含有する生物の細胞。
  24. 請求項1〜15のいずれかに記載のプロテアーゼを、天然に発現する、好ましくは分泌する、請求項23記載の細胞。
  25. 微生物、好ましくは真菌類、グラム陰性またはグラム陽性細菌であり、その中で特に好ましいものは、バシラス属の微生物である、請求項23または24記載の細胞。
  26. 天然の生息環境からの核酸の単離を基にしている、請求項1〜15のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼの同定方法。
  27. オリゴヌクレオチドが用いられる、特にポリメラーゼ鎖反応の方法の過程を介する、請求項26記載の方法。
  28. 配列番号:3から得られる、特に好ましくは配列番号:3の位置1または94または322(5’末端として)から、984または981または975(3’末端として)までの領域を包含するDNA領域と同一である、1つのオリゴヌクレオチド、好ましくは互いが反対方向の2つのオリゴヌクレオチドが使用されるような、請求項27に記載の方法。
  29. 単離核酸がクローニングされる、請求項26〜28いずれかに記載の方法。
  30. 単離核酸が発現され、好ましくは発現産物のプロテアーゼ活性によりプロテアーゼと同定される、請求項26〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 請求項16〜22において設計された核酸領域を含有するベクター。
  32. 請求項31記載のクローニングベクター。
  33. 請求項31記載の発現ベクター。
  34. 遺伝子工学的修飾後の、請求項16〜22のいずれかにおいて設計された核酸領域を含有する細胞。
  35. 核酸領域がベクター上に、特に請求項31〜33のいずれかに記載のベクター上に位置づけられる、請求項34に記載の細胞。
  36. 請求項1〜15いずれかに設計されたアルカリプロテアーゼの一つを発現する、好ましくは分泌する、請求項34または35に記載の細胞。
  37. 細菌である、請求項34から36のいずれかに記載の細胞。
  38. 細菌が、グラム陰性細菌であり、特に種 大腸菌またはクレブシエラ、特に株大腸菌 K12、大腸菌B、またはクレブシエラ・プランチコラ、より具体的には株大腸菌BL21(DE3)、大腸菌RV308、大腸菌DH5α、大腸菌JM109、大腸菌XL−1またはクレブシエラ・プランチコラ(Rf)の誘導体である、請求項37記載の細胞。
  39. 細菌が、グラム陽性細菌、特にバシラス、スタフィロコッカスまたはコリネバクテリウム属、より具体的にはバシラス・レンティス種、バシラス・リシェニフォルミス種、バチルス・アミロリクエファシエンス種、バシラス・サブチリス種、バシラス・グロビギイ種またはバシラス・アルカロフィラス種、スタフィロコッカス・カルノサス種またはコリネバクテリウム・グルテミカム種である、請求項37記載の細胞。
  40. 細胞が、真核細胞、好ましくはサッカロマイセス属の一つである、請求項34〜36のいずれかに記載の細胞。
  41. 請求項1〜15のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼを産生するための方法。
  42. 請求項16〜22のいずれかに記載の核酸、好ましくは請求項31〜33のいずれかに記載のベクター、特に好ましくは請求項34〜40のいずれかに記載の細胞を用いる、請求項41記載の方法。
  43. ヌクレオチド配列が、宿主株のコドン頻度に対して1つ、好ましくは複数コドンに適用されている、請求項41または42のいずれかに記載の方法。
  44. 請求項1〜15のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼ含有製品。
  45. 製品が洗浄または清浄製品であるような、請求項44に記載の製品。
  46. 製品のgあたり、2μg〜20mg、好ましくは5μg〜17.5mg、特に好ましくは20μg〜15mg、特に好ましくは50μg〜10mgの量で、アルカリプロテアーゼを含有する、請求項45記載の製品。
  47. 別の酵素、特に他のプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、オキシドレダクターゼおよび/またはリパーゼをさらに含有する、請求項45または46に記載の製品。
  48. 織物素材を処理するための、または織物を手入するための製品であるような、請求項44に記載の製品。
  49. 天然成分、特にウールまたはシルクを有する繊維または織物を処理するための、請求項44記載の製品。
  50. 化粧品であるような、請求項44に記載の製品。
  51. 織物または硬表面の機械清浄のための方法であって、請求項1〜15のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼが本方法の少なくとも一つの過程において活性となる方法。
  52. アルカリプロテアーゼが、適用あたり40μgから4g、好ましくは50μgから3g、特に好ましくは100μgから2g、特に好ましくは200μgから1gの量で使用される、請求項51の方法。
  53. 請求項1〜15のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼが、本方法の少なくとも1つの過程において活性となる、織物素材を処理するための、または織物の手入れのための方法。
  54. 天然成分有する、非常に具体的にはウールまたはシルクを有する織物素材、繊維または織物のための、請求項53に記載の方法。
  55. 織物または硬表面の清浄のための請求項1〜15のいずれかに記載のアルカリプロテアーゼの使用。
  56. アルカリプロテアーゼが、適用あたり40μgから4g、好ましくは50μgから3g、特に好ましくは100μgから2g、特に好ましくは200μgから1gの量で使用される、請求項55記載の使用。
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