JP2007320970A - 化粧料 - Google Patents

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【課題】本発明の課題は、血管新生効果に優れ、かつ荒れ肌改善効果の高い化粧料を提供する。
【解決手段】血管新生効果に優れるセンナ、トチュウ、当帰、地黄、サンシシ、甘草、ニンジン、紅参、紫根、シンビジュームから選ばれる抽出物の1種又は2種以上を配合する。

Description

本発明は、新規な化粧料、特に優れた血管新生作用と肌荒れ改善効果のある抽出物を配合した化粧料に関するものであって、さらに詳しくはセンナ、トチュウ、当帰、地黄、サンシシ、甘草、ニンジン、紅参、紫根、シンビジュームから選ばれる抽出物中に含まれる血管新生作用に基づく肌荒れ改善効果を有する物質とを有効成分として含有するもので、かつ安全性が高い化粧料に関する。
私達の肌は、常に外的環境から様々なストレスを受け、炎症状態にさらされている。一次的には弱い炎症でも日々積み重なることにより、それが慢性的な肌荒れやシミとなって現れてくる。そこでこの様な状態を抑えるために、従来では炎症を抑制すると共に、生じてしまった炎症の後の修復過程を活発にし、肌が元の状態にすばやく回復出来るようにする方法が考えられた。すはわち、グリチルリチン酸やその誘導体の消炎剤を、炎症の抑制剤として用いている。また、ヒアルロン酸等の保湿効果の高い素材や胎盤エキス類が、炎症後の肌の早期修復に用いられてきた。
しかしながら、グリチルリチン酸等の誘導体は、炎症状態を和らげるものの、それ自体が炎症が生じた皮膚状態を修復する効果は無いため、直接的な肌荒れの改善には充分ではなかった。また、ヒアルロン酸等の保湿剤は皮膚への水分補給により、皮膚バリヤーの働きである程度の刺激を防ぐことが可能であるが、充分な効果は期待できない。さらに、胎盤エキス類は各種アミノ酸やビタミン類を有し、細胞に栄養を補給し、炎症状態の回復促進に期待がもてるが、破壊された皮膚組織を修復するにはその効果が充分ではなく、他の成分との併用などにより荒れ肌を改善する方法が試みられていた。
問題を解決するための手段
したがって、安全性が高く、かつ肌荒れ改善効果の高い素材の開発が望まれていた。生体内では炎症後の修復時には、まず血管新生作用が認められる。すなわち、様々な炎症により組織が傷害された後に、組織の修復が行われるが、その最初の段階が毛細血管の新生により始まる。血管新生により、修復部位に血液中の酸素と栄養物が運び込まれ細胞活動が活発になり、真皮の繊維芽細胞が細胞間マトリックス等を産生することにより修復がはじまる。つまり、日常肌に生じる炎症による肌荒れに対する改善効果が期待できるものである。そこでこれらの観点から、修復の過程の必須段階である血管新生現象を試験管系で再現し、その作用を促進させる効果のある担子菌エキスおよび植物エキスの確認を行った。その結果、イグチ科の茸および漢方生薬の植物抽出物が高い血管新生作用を有していた。そして、これらを配合した化粧料は肌荒れ改善効果に優れるとともに、安全性にも優れたものであることを見いだし、本発明の完成にいたった。
すなわち、本発明はセンナ、トチュウ、当帰、地黄、サンシシ、甘草、ニンジン、紅参、紫根、シンビジュームから選ばれる抽出物の1種または2種以上を含有することを特徴とする化粧料を提供するものである。
本発明化粧料は、肌荒れ改善効果に優れているので紫外線や、外的環境から受ける肌の炎症などにより生じる肌荒れ等に幅広く適用することができる。また、アトピーや敏感肌の人の荒れ肌にも優れた効果を示すと共に、本発明の化粧料は、安全性が高く、安心して使用することができる。
本発明の化粧料に用いる前記植物抽出物の調製法は特に限定されないが、例えば種々の適当な有機溶媒を用いて低温下から加温下で抽出される。抽出溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチルなどのアルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル類;ジクロルメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカン等の1種または2種以上を用いることが出来る。就中、水、エチルアルコール、1,3−ブチレングリコールの1種または2種以上の混合溶媒が特に好適であ
る。
植物エキスの抽出は、生のままあるいは乾燥した植物体を重量比で1〜1000倍量、特に10〜100倍量の溶媒を用い、0℃以上、特に20℃〜40℃で1時間以上、特に3〜7日間行うのが好ましい。
以上のような条件で得られる植物抽出液は、抽出された溶液のまま用いても良いが、さらに必要により濾過等の処理をして、濃縮、粉末化したものを適宜使い分けて用いることが出来る。
本発明における植物抽出液は、生体内で血管内皮細胞に作用し、血管新生作用を有するものである。したがって、紫外線などにより生じる炎症による肌荒れに対する改善効果だけでなく、乾燥により荒れた肌やアトピー状態の肌に対しても改善効果が期待できるものである。
本発明の化粧料における植物抽出液の配合量は、蒸発乾燥分に換算して一般的に0.001〜20.0重量%が好ましく、特に0.01〜5.0重量%の範囲が最適である。含有量が0.001重量%未満であると充分な効果が発揮されず、20.0重量%以上加えても効果はほぼ一定である。
本発明の化粧料は、上記必須成分のほか、化粧品、医薬部外品、医薬品に用いられる水性成分、油性成分、植物抽出物、動物抽出物、粉末、界面活性剤、油剤、アルコール、PH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等を必要に応じて混合して適宜配合することにより調製される。本発明の化粧料の剤形は特に限定されず、化粧水、乳液、クリーム、パック、パウダー、スプレー、軟膏、分散液、洗浄料等種々の剤形とすることができる。
以下、本発明による植物抽出液の血管新生作用にかかわる試験実施例を示す。さらに、その素材を用いた化粧料への応用処方例等について述べるが、ここに記載された実施例に限定されないのは言うまでもない。
〔実施例1〕
植物抽出液の調製前記各種植物体それぞれの5gに抽出溶剤100mlを加え、室温でときどき撹拌しながら7日間抽出し、濾過して各抽出液を得た。これら各抽出液を減圧濃縮し、下記測定方法による血管新生作用を測定する試料とした。
〔実施例2〕血管新生作用の測定
(1)血管内皮細胞の分化
コラーゲン(type1)コートをしたシャーレに血管内皮細胞を培養し、シャーレ面積の50%くらいまで増殖させる。その後培地を捨て、用事調節したコラーゲンゲル1mlを添加する。これを37℃ CO2インキュベーター内で60分間保温し、ゲルを固める。そのうえから通常の培養培地を添加し、2〜4日間培養する。その後、細胞の形態変化の観察を行う。なお、コラーゲン溶液はCELLGEN(高研)濃度0.3%
PH3.0type1のものを使用した。また、コラーゲンゲル溶液は、コラーゲン溶液、10培濃度培地溶液、0.1N−NaOH溶液を、8:1:0.675に混合し、PH7.4になるように用事調整した。
(2)染色および測定
培養終了後、培地に中性ホルマリン溶液を添加し、30分間放置する。その後、ゲルが動かないように注意しながら液を捨て、再度中性ホルマリン溶液で1時間固定する。液を捨て、0.5%ブリリアントグリーン、1%ゲンチアナバイオレット溶液で10分間染色する。染色後の細胞を顕微鏡撮影し、形成された管の長さをCURVIMETERにて測定し、血管新生作用を測定した。
表2に人さい帯内皮細胞血管新生試験の測定結果を示す。各植物抽出液は、対照区に比べて高い増殖促進活性が認められた。
Figure 2007320970
〔実施例3〕

各種抽出液を配合した化粧料の処方例
(1)化粧用クリーム
(重量%)
a)ミツロウ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2.0
b)ステアリルアルコール‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5.0
c)ステアリン酸‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8.0
d)スクワラン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10.0
e)自己乳化型グリセリルモノステアレート‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3.0
f)ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)‥‥‥‥‥‥1.0
g)シンビジュームエキス‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3.0
h)紅参エキス‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2.0
i)1,3−ブチレングリコール‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5.0
j)水酸化カリウム‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.3
k)防腐剤・酸化防止剤‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥適量
l)精製水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥残部
製法 a)〜f)までを加熱溶解し、80℃に保つ。g)〜l)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜f)に加えて乳化し、40℃まで撹拌しながら冷却する。
(3)化粧水
(重量%)
a)当帰抽出液‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2.0
b)地黄抽出液‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2.0
c)グリセリン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5.0
d)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.)‥1.0
e)エタノール‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6.0
f)香料‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥適量
g)防腐剤・酸化防止剤‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥適量
h)精製水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥残部
製法 a)〜h)までを混合し、均一に溶解する。
(4)パック剤
(重量%)
a)紫根抽出液‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3.0
b)酢酸ビニル樹脂エマルジョン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15.0
c)ポリビニルアルコール‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10.0
d)オリーブ油‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3.0
e)グリセリン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5.0
f)酸化チタン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8.0
g)カオリン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7.0
h)エタノール‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8.0
i)香料‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥適量
j)防腐剤・酸化防止剤‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥適量
k)精製水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥残部
製法a)〜k)までを混合し、よく撹拌、分散させ均一にする。
〔実施例4〕 人での荒れ肌改善効果
<試験方法>5% ドデシル硫酸ナトリウム(S.D.S)の70%エタノール水溶液0.1mlを、標準サイズ鳥居パッチ伴に塗布し、4時間上腕にクローズドパッチを行った。その後、水で被験部位を洗浄して実験的な肌荒れ皮膚を作成した。肌荒れ部位に下記の試料を1日1回塗布した。 試料の塗布は、直径25mmのガラス繊維濾紙(アドバンテックGA55)に試料をしみこませ、試験部位に静置した。20分静置後、濾紙を除去した。水分量は、試料塗布後4時間後にI.B.S社製のSKICON−200を用いて測定した。
塗布試料
(a)地黄1.0%+当帰1.0%水溶液(1,3−BG 7.0%含有)
(b)胎盤エキス2.0%水溶液(対照)(1,3−BG 7.0%含有)
(c)コントロール
(1,3−BG7.0%含有)
表3より、各種試料を塗布したものの水分量を比較したところ、地黄エキス、当帰エキスを塗布したものが高い水分量を示した。地黄エキス、当帰エキスでは6日間で元の水分量に回復したが、胎盤エキスでは9日間、コントロールでは10日間を要した。このように地黄エキス、当帰エキスを塗布したものは肌荒れ改善効果が高いことがわかる。
Figure 2007320970
〔実施例6〕 人での使用効果試験
本発明の化粧料の肌荒れ改善効果につき、使用テストにより効果試験を行った。使用テストは、それぞれ30〜50才の20名の女性をパネラーとし、毎日朝と夜の2回、1ケ月にわたり洗顔後に試験化粧料を顔面に塗布することにより行った。試験化粧料は、実施例3の化粧水を用いた。対照品としては、実施例3の化粧水から、地黄、当帰抽出液を精製水に置き換えたものを使用した。結果を表4に示す。なお、評価基準は下記の基準により評価した。
<保湿効果評価基準>
・有効‥‥‥‥肌のかさつきやあれが改善された。
・やや有効‥‥肌のかさつきやあれがやや改善された。
・無効‥‥‥‥かわらない。
Figure 2007320970
表3の結果から明らかなように、実施例3の化粧料は皮膚の肌荒れ改善効果に対し有効であった。
以上詳述したごとく、本発明の化粧料は、肌荒れ改善効果に優れているので紫外線や、外的環境から受ける肌の炎症などにより生じる肌荒れ等に幅広く適用することができる。また、アトピーや敏感肌の人の荒れ肌にも優れた効果を示すと共に、本発明の化粧料は、安全性が高く、安心して使用することができる。

Claims (1)

  1. センナ(Cassia acutifolia)、トチュウ(Eucommia ulmoidesOliv.)、シンビジューム(CymbidiumOrchidaceae)、当帰(Angelicae Radix)、地黄(Rehmanniae Radix)、サンシシ(Gardeniae Fruct us)、甘草(Glycyrrhizae Radix)、ニンジン(Ginseng Radix)、紅参(Ginseng Ra
    dix rubra)、紫根(Lithospermi Radix)から選ばれる植物抽出物の1種又は2種以上を配合することを特徴とする人血管内皮細胞の血管新生作用剤。
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