JP2007315479A - 動力伝達部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属製であり、軸中心に回転し、相手部品と転がり接触等して動力を伝達する動力伝達部品。相手部品と転がり接触等する表面を有する表面部位に、体心立方格子から成る相やマルテンサイト相から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を有し、表面部位以外の少なくとも一部に、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を有する。動力伝達部品の製造方法である。略動力伝達部品を用意し、これを加熱し体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持し、これの相手部品と転がり接触等する表面を有する表面部位を徐冷や時効処理して析出物含有組織部を形成し、表面部位以外の少なくとも一部を急冷して双晶組織部を形成する。
【選択図】なし
Description
このような騒音の発生源となる振動を吸収するための手段として、動力伝達部品に振動を吸収させる、具体的には金属製の構造体に樹脂を組み合わせた動力伝達部品に振動を吸収させる方法が提案されている(特許文献1〜3参照。)。
また、部品を小型化することが困難であるという問題点があった。
更に、振動吸収の機能を受け持つ樹脂は、金属に比べて強度や耐熱性が低いため、強度や耐熱性が要求される位置に用いることができず、適用できる部位が限られるという問題点があった。
(1)動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意する工程
(2)上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持する工程
(3)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、徐冷及び時効処理のうち少なくとも一方をして、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を形成する工程
(4)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成する工程
上述の如く、本発明の動力伝達部品は、軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達する金属製動力伝達部品である。
そして、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を有すると共に、その表面部位以外の少なくとも一部に、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を有する。
換言すれば、応力集中部を析出強化して、高強度部位とすれば、一部に析出物を含有しない部位があっても、十分な耐久性を具備させることができ、また、他の部位に振動吸収能を示す双晶型の組織を含ませることにより、騒音吸収領域とすれば、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減させることができる。
更に、高トルクや高回転数が要求される歯車等の動力伝達部品においては、作動時に温度が上がるため耐熱性が必要となる。例えば樹脂を組み合わせた従来の制振歯車では、樹脂の耐熱性が劣るため上述した高トルクや高回転数が要求される制振歯車として使用できなかったが、本発明の一例である制振歯車では、樹脂を必須の構成とせず、金属製であるため十分な耐熱性が確保され、優れた耐久性を有するものとなる。
なお、本発明の動力伝達部品は、相手部品と転がり又はすべり接触するときに、潤滑油を介して接触していても直接接触していてもよく、いずれの場合も本発明の範囲に含まれる。
少なくともマルテンサイト相を含むことにより、伝動装置の作動時に発生する振動が、その双晶界面の移動によって効果的に吸収されるが、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減し得れば、上述したように体心立方格子から成る相が含まれていてもよい。
なお、双晶組織部が、マルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成る場合、双晶界面の移動を妨げない程度の析出物であれば含まれていてもよい。
このようなTi−X−Y合金やTi−Ni基合金は、従来の鋼製の動力伝達部品に対して、遜色ない強度を確保しつつ伝動装置の作動時に発生する騒音を低減することができ、更に軽量化が可能となるため、例えば自動車の動力伝達部品に適用した場合に騒音を低減しつつ燃費を向上させることができる。
このような合金では、β相マトリックス中に例えば低温時効処理によってα相を析出させる、例えば体心立方格子から成る相やマルテンサイト相から構成されるマトリックス中に六方最密(HCP)構造のα相を析出させると、強度が優に1GPaを超えるものとなり望ましい。
自動車用の変速ギアや自動車のベルト式CVT用プーリーに適用すると、作動時の振動が効果的に吸収されるため、車室内へ伝播する騒音を低減し、静粛性を向上させることができる。
上述の如く、本発明の動力伝達部品の製造方法は、上記本発明の動力伝達部品を製造する方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含む。
(1)動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意する工程
(2)上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持する工程
(3)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、徐冷及び時効処理のいずれか一方又は双方をして、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を形成する工程
(4)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成する工程
工程(1)は、所望の略動力伝達部品を用意できれば特に限定されるものではないが、例えばTi−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金製の略動力伝達部品aやTi−Ni基合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品bを用意すればよい。
更に、具体的な例を挙げて説明すると、例えばTi−V−Al合金製の動力伝達部品を製造する場合に、まずTi−V−Al合金を溶製し、次いで、熱間圧延と冷間圧延と焼鈍しとを適宜繰り返し板材とするか又は熱間押出しと線引きと焼鈍しとを適宜組み合わせて棒材とし、更に、得られた素材を適宜切断して動力伝達部品の略形状を有する略部品とし、しかる後、得られた略部品を冷間鍛造又は熱間鍛造することによって、Ti−V−Al合金製の略動力伝達部品を用意できる。
また、必要に応じて表面の酸化スケール等を従来公知の方法で除去してもよい。
工程(2)は、所望の相状態を有する略動力伝達部品が得られれば特に限定されるものではないが、例えばTi−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金製の略動力伝達部品aを用いた場合には、この略動力伝達部品aを、加熱し、ベータトランザス変態温度以上となる温度域で保持すればよい。
更に、具体的な例を挙げて説明すると、例えば上述したTi−V−Al合金製の略動力伝達部品を炉内に入れて、β相単相となる800℃で約2時間保持すればよい。
一方、例えばTi−Ni基合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品bを用いた場合には、この略動力伝達部品bを、加熱し、600〜1100℃で保持すればよい。
工程(3)は、表面部位に所望の析出物含有組織部を形成することができれば特に限定されるものではないが、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持した略動力伝達部品の応力集中部位となる表面部位を徐冷するか又は冷却途中の温度帯で保持して時効処理して、析出強化させればよい。
更に、具体的な例を挙げて説明すると、例えば上述したTi−V−Al合金製などのTiにβ安定化元素を添加した合金製の略動力伝達部品は、300〜600℃程度の中温域ではHCP構造のα相やω相が析出し、析出強化できる。
一方、例えばTi−Ni基合金製の動力伝達部品は、300〜600℃程度の中温域ではTi3Ni4等が析出し、析出強化できる。
工程(4)は、表面部位以外の全部又は一部に所望の双晶組織部を形成することができれば特に限定されるものではないが、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持した略動力伝達部品の応力集中部位とならない表面部位以外の部位を比較的速く冷却して、マルテンサイト相の双晶を含む組織とすればよい。
更に、具体的な例を挙げて説明すると、例えば水冷などによって冷却すればよい。
なお、例えばTi−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金製の略動力伝達部品aやTi−Ni基合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品bを用いた場合には、マルテンサイト相から成る双晶組織部及びマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成る双晶組織部のいずれも製造することができる。
図1(a)及び(b)は、実施例1に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図(a)及び(b)である。
同図(a)に示すように、外歯歯車10Aは、軸中心に中心穴10aを有し、歯10bが切られており、図示しない相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に相当する部分(具体的には歯10bを含む部分であり、同図(b)を参照。)は、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部12となっており、表面部位以外の少なくとも一部に相当する部分(具体的には中心穴10aの近傍部分である。)は、少なくともマルテンサイト相を含有する双晶組織部14となっている。
また、双晶組織部は、動力伝達のために相手部品と接触する際に発生する振動を、マルテンサイト相の双晶界面が移動することによって効果的に吸収し、騒音を低減することができる。
なお、この析出物含有組織部は、少なくとも相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に配置されること、即ち少なくとも表面の組織が析出物を含有する組織であればよいが、より信頼性を高める観点からは表面から1μm以上の深さにわたって析出物含有組織部が配置されていることが望ましい。
まず、Ti−V−Al系合金を溶製し、熱間圧延と冷間圧延と焼鈍とを適宜繰り返し、板材とするか、熱間押出しと線引きと焼鈍とを適宜組み合わせ、棒状に加工する。
これらの素材を、外歯歯車の原型となる円板状に切断した後、冷間鍛造又は熱間鍛造によって外歯歯車の形状まで加工し、必要に応じて表面の酸化スケール等を取り除いて、略外歯歯車が得られる。
次に、この略外歯歯車を部分熱処理して、析出物含有組織部と双晶組織部とを形成して、本例の外歯歯車が得られる。
図2(a)及び(b)は、上記部分熱処理に用いる熱処理装置の一部である部分熱処理機構の一例を示す側面図(a)及び部分断面図(b)である。同図(b)に示すように、部分熱処理機構110は、固定用プレート111と、ボルト112と、ナット113と、中間材114と、断熱材115と、を備える。
なお、固定用プレート111及び中間材114は中心に略外歯歯車10と同様の中心穴を有しており、部分熱処理機構110は、空洞110aを有するものとなっている。
また、固定用プレート111、ボルト112、ナット113及び中間材114には、例えばタングステンなどの耐熱性の高い素材のものが用いられる。
次いで、図示しない熱処理装置の炉内からこれを取り出し、図3に示すように、部分熱処理機構110の空洞110a内に冷却用ノズル127を矢印Aで示すように速やかに挿入する。
図4に示すように、冷却用ノズル127は、細かい穴127aが多数設けられた管である。そして、図示しない供給源から冷却水が送り込まれ、冷却用ノズルの穴からシャワー状に空洞全体に水を供給して、部分熱処理機構の空洞全体を水冷にて急令する。
上記双晶組織部は、振動吸収能を備えるため、伝動装置の作動時に発生する騒音を効果的に低減することができる。
なお、このうちβ相は冷却中に成分量によってはマルテンサイト変態する場合がある。いずれにしても、α相の析出により、析出強化された析出物含有組織部が形成され、高強度となる。
図5は、実施例2に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図である。
同図に示すように、外歯歯車10Bは、軸中心に中心穴10aを有し、更に穴10cを有し、歯10bが切られており、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に相当する部分(具体的には歯10bを含み、後述する穴10cの近傍部分を除く部分である。)は、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部12となっており、表面部位以外の全部又は一部に相当する部分(具体的には穴10cの近傍部分である。)は、少なくともマルテンサイト相を含有する双晶組織部14となっている。
なお、この析出物含有組織部は、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に配置されること、即ち少なくとも表面の組織が析出物含有組織部であればよいが、実施例1に係る外歯歯車と比較して、中心穴の表面付近も析出強化されており、回転軸と接する部分に強度が要求される外歯歯車においても、好適に用いることができる。
また、実施例1に係る外歯歯車と比較して、回転軸に対し、当該外歯歯車の周方向の全てにわたって双晶組織部が存在しているわけではないが、十分騒音低減効果は発揮される。
略外歯歯車を実施例1と同様に用意し、更に実施例1と同様に略外歯歯車を部分熱処理して、本例の外歯歯車が得られる。
実施例1とほぼ同様の部分熱処理機構を用いるが、本例においては、中心穴及び双晶組織部を近傍部分に形成しない穴については、穴を塞ぐような固定用プレートを用い、冷却ノズルを双晶組織部を近傍部分に形成する穴に速やかに挿入して、冷却水を供給して、水冷にて急冷する。
なお、このうちβ相は冷却中に成分量によってはマルテンサイト変態する場合がある。いずれにしても、α相の析出により、析出強化された析出物含有組織部が形成され、高強度となる。
図6は、実施例3に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図である。
同図に示すように、外歯歯車10Cは、軸中心に中心穴10aを有し、歯10bが切られており、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に相当する部分(具体的には歯10bを含む部分であり、実施例1に係る外歯歯車10Aより広い(図1(a)を参照。)。)は、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部12となっており、表面部位以外の少なくとも一部に相当する部分(具体的には中心穴10aの近傍部分である。)は、少なくともマルテンサイト相を含有する双晶組織部14となっている。
また、双晶組織部は、動力伝達のために相手部品と接触する際に発生する振動を、マルテンサイト相の双晶界面が移動することによって効果的に吸収し、騒音を低減することができる。
まず、Ti−V−Al系合金を溶製し、熱間圧延と冷間圧延と焼鈍とを適宜繰り返し、板材とするか、熱間押出しと線引きと焼鈍とを適宜組み合わせ、棒状に加工する。
これらの素材を、外歯歯車の原型となる円板状に切断した後、冷間鍛造又は熱間鍛造によって外歯歯車の形状まで加工し、必要に応じて表面の酸化スケール等を取り除いて、略外歯歯車が得られる。
しかる後、部分熱処理によって、析出物含有組織部と双晶組織部とを形成して、本例の外歯歯車が得られる。
図7は、上記部分熱処理に用いる熱処理装置の一部を示す断面図である。同図に示すように、熱処理装置100は、部分熱処理機構110と、加熱冷却部材120と、を備える。
部分熱処理機構110は、固定用プレート111と、ボルト112と、ナット113と、中間材114と、を備える。また、加熱冷却部材120は、締結部材121と、配管122と、管状炉123と、発熱抵抗体124と、を備える。
なお、固定用プレート111及び中間材114は中心に略外歯歯車10と同様の中心穴を有しており、部分熱処理機構110は、空洞110aを有するものとなっている。
なお、固定用プレート111、ボルト112、ナット113及び中間材114には、例えばタングステンなどの耐熱性の高い素材のものを用いる必要はない。
一方、外歯歯車の軸中心に近い領域は冷却水により温度が低く保たれているため、マルテンサイト相の双晶組織部となる。
上記方法の場合、部分熱処理機構は500℃までしか上がらないので、部分熱処理機構に用いる素材として耐熱性があまり要求されないという利点がある。また、析出強化するための十分な時間が確保できるため、析出物含有組織部の強度を十分に高めることができる。
図8(a)及び(b)は、実施例4に係る内歯歯車における組織配置を示す説明図(a)及び(b)である。
同図(a)に示すように、内歯歯車20Aは、軸中心に中心穴20aを有し、歯20bが切られた円筒状をしており、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に相当する部分(具体的には歯20bを含む部分である。)は、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部12となっており、表面部位以外の少なくとも一部に相当する部分(具体的には周面の近傍部分であり、同図(b)参照。)は、少なくともマルテンサイト相を含有する双晶組織部14となっている。
まず、粉末冶金法により、Ti−Nb−Sn系合金から成る略内歯歯車が得られる。
次に、この略内歯歯車を、700℃の炉内で1時間保持した後、水槽にて焼入れ処理(溶体化処理)する。これにより、一旦、部品全体がマルテンサイト相の双晶組織部となる。
しかる後、部分熱処理によって、析出物含有組織部と双晶組織部とを形成して、本例の内歯歯車が得られる。
図9は、上記部分熱処理に用いる熱処理装置の一部を示す断面図である。同図に示すように、熱処理装置100は、部分熱処理機構110と、加熱冷却部材120と、を備える。
部分熱処理機構110は、固定用プレート111と、ボルト112と、ナット113と、中間材114と、を備える。また、加熱冷却部材120は、締結部材121と、配管122と、発熱抵抗体124と、配線125と、水槽126と、を備える。
なお、固定用プレート111及び中間材114は中心に略内歯歯車20と同様の中心穴を有しており、部分熱処理機構110は、空洞110aを有するものとなっている。
このような部分熱処理機構110を、加熱冷却部材120に組み込む。即ち、配管122を部分熱処理機構110の空洞110aに連結し、これらを締結部材121で固定し、これを水を満たした水槽126内に図示しない固定手段により固定して、配置する。
更に、空洞110a及び配管122内には配線125に接続された発熱抵抗体124を配置する。
一方、内歯歯車の周面に近い領域は水槽内の水により温度上昇が制限されているため、析出はあまり起こらず、マルテンサイト相を含む双晶組織部となる。
上記双晶組織部は、振動吸収能を備えるため、伝動装置の作動時に発生する騒音を効果的に低減することができる。
10A,10B,10C 外歯歯車
10a 中心穴
10b 歯
10c 穴
12 析出物含有組織部
14 双晶組織部
20 略内歯歯車
20A 内歯歯車
20a 中心穴
20b 歯
100 熱処理装置
110 部分熱処理機構
110a 空洞
111 固定用プレート
112 ボルト
113 ナット
114 中間材
115 断熱材
120 加熱冷却部材
121 締結部材
122 配管
123 管状炉
124 発熱抵抗体
125 配線
126 水槽
127 冷却用ノズル
127a 穴
Claims (9)
- 金属製であり、軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達する動力伝達部品であって、
上記相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を有し、
上記表面部位以外の少なくとも一部に、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を有する、
ことを特徴とする動力伝達部品。 - 上記双晶組織部がマルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成ることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達部品。
- 上記金属がTi−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金又はTi−Ni基合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力伝達部品。
- 上記双晶組織部が、当該動力伝達部品の周方向の全てにわたって存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の動力伝達部品。
- 当該動力伝達部品が、歯車又はスプラインであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の動力伝達部品。
- 当該動力伝達部品が、トラクションドライブ転動体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の動力伝達部品。
- 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の動力伝達部品を製造する方法であって、下記の工程(1)〜(4)
(1)動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意する工程、
(2)上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持する工程、
(3)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、徐冷及び時効処理のうち少なくとも一方をして、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を形成する工程、
(4)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成する工程、
を含むことを特徴とする動力伝達部品の製造方法。 - 上記工程(1)の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意するに当たり、Ti−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品aを用意し、且つ上記工程(2)の上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持するに当たり、上記略動力伝達部品aを、加熱し、ベータトランザス変態温度以上となる温度域で保持し、且つ上記工程(4)の工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成するに当たり、上記略動力伝達部品aの表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成る双晶組織部を形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の動力伝達部品の製造方法。
- 上記工程(1)の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意するに当たり、Ti−Ni基合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品bを用意し、且つ上記工程(2)の上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持するに当たり、上記略動力伝達部品bを加熱し、600〜1100℃で保持し、且つ上記工程(4)の工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成するに当たり、上記略動力伝達部品bの表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成る双晶組織部を形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の動力伝達部品の製造方法。
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