JP2007315479A - 動力伝達部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度や耐久性に優れ、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減し得る動力伝達部品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】金属製であり、軸中心に回転し、相手部品と転がり接触等して動力を伝達する動力伝達部品。相手部品と転がり接触等する表面を有する表面部位に、体心立方格子から成る相やマルテンサイト相から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を有し、表面部位以外の少なくとも一部に、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を有する。動力伝達部品の製造方法である。略動力伝達部品を用意し、これを加熱し体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持し、これの相手部品と転がり接触等する表面を有する表面部位を徐冷や時効処理して析出物含有組織部を形成し、表面部位以外の少なくとも一部を急冷して双晶組織部を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、動力伝達部品及びその製造方法に係り、更に詳細には、強度や耐久性に優れ、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減し得る動力伝達部品及びその製造方法に関する。
歯車や自動車用のトラクションドライブ転動体に代表される動力伝達部品は、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減することが望まれている。
このような騒音の発生源となる振動を吸収するための手段として、動力伝達部品に振動を吸収させる、具体的には金属製の構造体に樹脂を組み合わせた動力伝達部品に振動を吸収させる方法が提案されている(特許文献1〜3参照。)。
一方、振動吸収性に優れた合金やその製造方法が提案されている(特許文献4及び5参照。)。これらの合金は金属内部の双晶によって振動を吸収するとされ、双晶型の制振材料と呼ばれている。また、Ni−Ti系に代表される形状記憶効果を示す合金もマルテンサイト相が双晶を有するため、振動吸収性を有することが知られている。
特開平8−159010号公報 特許第2575615号明細書 特許第2976438号明細書 特開2004−292845号公報 特開2002−121651号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の動力伝達部品においては、部品数が増えるという問題点だけでなく、構造が複雑になるという問題点があった。
また、部品を小型化することが困難であるという問題点があった。
更に、振動吸収の機能を受け持つ樹脂は、金属に比べて強度や耐熱性が低いため、強度や耐熱性が要求される位置に用いることができず、適用できる部位が限られるという問題点があった。
一方、上記特許文献4及び5に記載の合金から成る動力伝達部品を製造した場合には、強度が不十分であったり、疲労特性が不十分であったりするという問題点があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、強度や耐久性に優れ、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減し得る動力伝達部品及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねたところ、軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達する金属製動力伝達部品において、当該金属製動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部とすると共に、該表面部位以外の少なくとも一部を、マルテンサイト相を含有する双晶組織部とすることなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の動力伝達部品は、金属製であり、軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達する動力伝達部品であって、該相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を有し、該表面部位以外の少なくとも一部に、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を有する、ことを特徴とする。
また、本発明の動力伝達部品の製造方法は、上記本発明の動力伝達部品を製造する方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする。
(1)動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意する工程
(2)上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持する工程
(3)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、徐冷及び時効処理のうち少なくとも一方をして、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を形成する工程
(4)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成する工程
本発明によれば、軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達する金属製動力伝達部品において、当該金属製動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部とすると共に、該表面部位以外の少なくとも一部を、マルテンサイト相を含有する双晶組織部とすることなどとしたため、強度や耐久性に優れ、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減し得る動力伝達部品及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の動力伝達部品について詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、濃度や含有量などについての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、本発明の動力伝達部品は、軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達する金属製動力伝達部品である。
そして、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を有すると共に、その表面部位以外の少なくとも一部に、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を有する。
このような構成とすることにより、具体的には動力を伝達する際に応力が集中し易い部位、即ち軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達する動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部とし、その表面部位以外の全部又は一部をマルテンサイト相から成る又はこれを含有する双晶組織部とすることなどにより、強度や耐久性に優れ、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減し得るものとなる。
換言すれば、応力集中部を析出強化して、高強度部位とすれば、一部に析出物を含有しない部位があっても、十分な耐久性を具備させることができ、また、他の部位に振動吸収能を示す双晶型の組織を含ませることにより、騒音吸収領域とすれば、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減させることができる。
また、例えば詳しくは後述する一種類の合金のみで動力伝達部品を形成することができるため、樹脂と金属を組み合わせて制振性を確保する手法と比較して、部品数を減らすことができ、更に小型化することができるという利点もある。
更に、高トルクや高回転数が要求される歯車等の動力伝達部品においては、作動時に温度が上がるため耐熱性が必要となる。例えば樹脂を組み合わせた従来の制振歯車では、樹脂の耐熱性が劣るため上述した高トルクや高回転数が要求される制振歯車として使用できなかったが、本発明の一例である制振歯車では、樹脂を必須の構成とせず、金属製であるため十分な耐熱性が確保され、優れた耐久性を有するものとなる。
ここで、体心立方格子から成る相としては、例えば不規則構造としてA2を挙げることができ、規則構造としてB2やD0が挙げられる。一方、マルテンサイト相は、例えば単斜晶や斜方晶、正方晶などの結晶構造を有し、プレート状や針状のマルテンサイト組織を呈する。
なお、本発明の動力伝達部品は、相手部品と転がり又はすべり接触するときに、潤滑油を介して接触していても直接接触していてもよく、いずれの場合も本発明の範囲に含まれる。
また、本発明においては、双晶組織部がマルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成るものであることが望ましい。
少なくともマルテンサイト相を含むことにより、伝動装置の作動時に発生する振動が、その双晶界面の移動によって効果的に吸収されるが、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減し得れば、上述したように体心立方格子から成る相が含まれていてもよい。
なお、双晶組織部が、マルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成る場合、双晶界面の移動を妨げない程度の析出物であれば含まれていてもよい。
更に、本発明において、これを構成する金属としては、上述した金属組織を形成し得れば特に限定されるものではないが、例えばチタン(Ti)合金、具体的にはTi−X−Y(Xはニオブ(Nb)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)又はジルコニウム(Zr)の少なくとも1種の元素、Yはスズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、クロム(Cr)又は鉄(Fe)の少なくとも1種の元素を示す。)合金又はTi−Ni基合金を挙げることができる。
このようなTi−X−Y合金やTi−Ni基合金は、従来の鋼製の動力伝達部品に対して、遜色ない強度を確保しつつ伝動装置の作動時に発生する騒音を低減することができ、更に軽量化が可能となるため、例えば自動車の動力伝達部品に適用した場合に騒音を低減しつつ燃費を向上させることができる。
そして、上記Ti−X−Y合金において、Nb、V、Mo又はZrは、β安定化元素であり、Ti合金においてマルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成するに当たり、含有することが望ましい元素である。
また、Sn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr又はFe元素は、Ti合金において脆化の原因となるω相の形成を抑制し、加工性を向上させたり、合金中に固溶し、固溶強化させたりすることが可能となる元素である。
このような合金では、β相マトリックス中に例えば低温時効処理によってα相を析出させる、例えば体心立方格子から成る相やマルテンサイト相から構成されるマトリックス中に六方最密(HCP)構造のα相を析出させると、強度が優に1GPaを超えるものとなり望ましい。
また、本発明においては、有する双晶組織部が、当該動力伝達部品の周方向の全てにわたって存在すること、換言すれば回転軸に対し円周方向全周にわたって存在することが、振動吸収効果が発揮され易く望ましいが、これに限定されるものではない。
更にまた、本発明の動力伝達部品としては、軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば外歯又は内歯を有する歯車、波動減速機用フレックススプラインなどの各種スプライン、更には自動車用ベルト式CVT用プーリー、オルタネーター用プーリー、トロイダル式CVT用ディスク、トロイダル式CVT用パワーローラーなどのトラクションドライブ転動体などを挙げることができる。
自動車用の変速ギアや自動車のベルト式CVT用プーリーに適用すると、作動時の振動が効果的に吸収されるため、車室内へ伝播する騒音を低減し、静粛性を向上させることができる。
次に、本発明の動力伝達部品の製造方法について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の動力伝達部品の製造方法は、上記本発明の動力伝達部品を製造する方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含む。
(1)動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意する工程
(2)上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持する工程
(3)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、徐冷及び時効処理のいずれか一方又は双方をして、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を形成する工程
(4)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成する工程
このような構成とすることにより、強度や耐久性に優れ、伝動装置の作動時に発生する騒音を低減し得る動力伝達部品を得ることができる。以下に各工程(1)〜(4)について詳細に説明する。
まず、動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意する工程(1)について説明する。
工程(1)は、所望の略動力伝達部品を用意できれば特に限定されるものではないが、例えばTi−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金製の略動力伝達部品aやTi−Ni基合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品bを用意すればよい。
更に、具体的な例を挙げて説明すると、例えばTi−V−Al合金製の動力伝達部品を製造する場合に、まずTi−V−Al合金を溶製し、次いで、熱間圧延と冷間圧延と焼鈍しとを適宜繰り返し板材とするか又は熱間押出しと線引きと焼鈍しとを適宜組み合わせて棒材とし、更に、得られた素材を適宜切断して動力伝達部品の略形状を有する略部品とし、しかる後、得られた略部品を冷間鍛造又は熱間鍛造することによって、Ti−V−Al合金製の略動力伝達部品を用意できる。
また、必要に応じて表面の酸化スケール等を従来公知の方法で除去してもよい。
次に、略動力伝達部品を加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持する工程(2)について説明する。
工程(2)は、所望の相状態を有する略動力伝達部品が得られれば特に限定されるものではないが、例えばTi−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金製の略動力伝達部品aを用いた場合には、この略動力伝達部品aを、加熱し、ベータトランザス変態温度以上となる温度域で保持すればよい。
更に、具体的な例を挙げて説明すると、例えば上述したTi−V−Al合金製の略動力伝達部品を炉内に入れて、β相単相となる800℃で約2時間保持すればよい。
一方、例えばTi−Ni基合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品bを用いた場合には、この略動力伝達部品bを、加熱し、600〜1100℃で保持すればよい。
次に、工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、徐冷及び時効処理のいずれか一方又は双方をして、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を形成する工程(3)について説明する。
工程(3)は、表面部位に所望の析出物含有組織部を形成することができれば特に限定されるものではないが、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持した略動力伝達部品の応力集中部位となる表面部位を徐冷するか又は冷却途中の温度帯で保持して時効処理して、析出強化させればよい。
更に、具体的な例を挙げて説明すると、例えば上述したTi−V−Al合金製などのTiにβ安定化元素を添加した合金製の略動力伝達部品は、300〜600℃程度の中温域ではHCP構造のα相やω相が析出し、析出強化できる。
一方、例えばTi−Ni基合金製の動力伝達部品は、300〜600℃程度の中温域ではTiNi等が析出し、析出強化できる。
次に、工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成する工程(4)について説明する。
工程(4)は、表面部位以外の全部又は一部に所望の双晶組織部を形成することができれば特に限定されるものではないが、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持した略動力伝達部品の応力集中部位とならない表面部位以外の部位を比較的速く冷却して、マルテンサイト相の双晶を含む組織とすればよい。
更に、具体的な例を挙げて説明すると、例えば水冷などによって冷却すればよい。
なお、例えばTi−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金製の略動力伝達部品aやTi−Ni基合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品bを用いた場合には、マルテンサイト相から成る双晶組織部及びマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成る双晶組織部のいずれも製造することができる。
以下、本発明の動力伝達部品及びその製造方法について、若干の実施例を図面に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1(a)及び(b)は、実施例1に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図(a)及び(b)である。
同図(a)に示すように、外歯歯車10Aは、軸中心に中心穴10aを有し、歯10bが切られており、図示しない相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に相当する部分(具体的には歯10bを含む部分であり、同図(b)を参照。)は、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部12となっており、表面部位以外の少なくとも一部に相当する部分(具体的には中心穴10aの近傍部分である。)は、少なくともマルテンサイト相を含有する双晶組織部14となっている。
このような構成を有する外歯歯車を例えば自動車用の減速機に適用すると、動力伝達のために相手部品と接触する部分が析出強化によって十分な強度が確保されているため、長期間の使用や高いトルクの伝達に対しても優れた耐久性を示すものとなる。
また、双晶組織部は、動力伝達のために相手部品と接触する際に発生する振動を、マルテンサイト相の双晶界面が移動することによって効果的に吸収し、騒音を低減することができる。
なお、この析出物含有組織部は、少なくとも相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に配置されること、即ち少なくとも表面の組織が析出物を含有する組織であればよいが、より信頼性を高める観点からは表面から1μm以上の深さにわたって析出物含有組織部が配置されていることが望ましい。
ここで、実施例1に係る外歯歯車の製造方法の一例について説明する。
まず、Ti−V−Al系合金を溶製し、熱間圧延と冷間圧延と焼鈍とを適宜繰り返し、板材とするか、熱間押出しと線引きと焼鈍とを適宜組み合わせ、棒状に加工する。
これらの素材を、外歯歯車の原型となる円板状に切断した後、冷間鍛造又は熱間鍛造によって外歯歯車の形状まで加工し、必要に応じて表面の酸化スケール等を取り除いて、略外歯歯車が得られる。
次に、この略外歯歯車を部分熱処理して、析出物含有組織部と双晶組織部とを形成して、本例の外歯歯車が得られる。
ここで、部分熱処理の具体的な手順について説明する。
図2(a)及び(b)は、上記部分熱処理に用いる熱処理装置の一部である部分熱処理機構の一例を示す側面図(a)及び部分断面図(b)である。同図(b)に示すように、部分熱処理機構110は、固定用プレート111と、ボルト112と、ナット113と、中間材114と、断熱材115と、を備える。
部分熱処理に供する複数の略外歯歯車10は、中間材114を介して重ねられ、これらの両端から固定用プレート111が押し当てられ、ボルト112とナット113とで固定される。また、略外歯歯車10の外側は断熱材115で完全に覆われて、略外歯歯車10は、部分熱処理機構110内に組み込まれる。
なお、固定用プレート111及び中間材114は中心に略外歯歯車10と同様の中心穴を有しており、部分熱処理機構110は、空洞110aを有するものとなっている。
また、固定用プレート111、ボルト112、ナット113及び中間材114には、例えばタングステンなどの耐熱性の高い素材のものが用いられる。
このように略外歯歯車を組み込んだ部分熱処理機構を図示しない熱処理装置の炉内に投入し、β相単相領域となる800℃で約2時間保持する。このような熱処理の間に、部分熱処理機構全体が800℃となり、その結果、略外歯歯車全体がβ単相組織となる。
次いで、図示しない熱処理装置の炉内からこれを取り出し、図3に示すように、部分熱処理機構110の空洞110a内に冷却用ノズル127を矢印Aで示すように速やかに挿入する。
図4に示すように、冷却用ノズル127は、細かい穴127aが多数設けられた管である。そして、図示しない供給源から冷却水が送り込まれ、冷却用ノズルの穴からシャワー状に空洞全体に水を供給して、部分熱処理機構の空洞全体を水冷にて急令する。
これにより、外歯歯車の軸中心に近い領域は冷却速度が速いため、β相が凍結され、凍結されたβ相はマルテンサイト変態し、マルテンサイト相から成る双晶組織部となる。この時、V量やAl量の調整次第では、マルテンサイト変態温度が室温近傍となり、この場合は部分的にマルテンサイト変態し、マルテンサイト相とβ相との2相組織から成る双晶組織部となる。
上記双晶組織部は、振動吸収能を備えるため、伝動装置の作動時に発生する騒音を効果的に低減することができる。
一方、外歯歯車の歯に近い領域は断熱材の存在により冷却速度が遅いため、冷却中にβ相中にα相が析出し(α+β)2相組織となる。
なお、このうちβ相は冷却中に成分量によってはマルテンサイト変態する場合がある。いずれにしても、α相の析出により、析出強化された析出物含有組織部が形成され、高強度となる。
このような部分熱処理機構を用いた製造方法は、複数個の動力伝達部品を同時に製造できるためコストがあまりかからないという利点がある。また、冷却ノズルから供給する冷却媒体は水の他、窒素(N)ガス等の気体を用いてもよい。
(実施例2)
図5は、実施例2に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図である。
同図に示すように、外歯歯車10Bは、軸中心に中心穴10aを有し、更に穴10cを有し、歯10bが切られており、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に相当する部分(具体的には歯10bを含み、後述する穴10cの近傍部分を除く部分である。)は、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部12となっており、表面部位以外の全部又は一部に相当する部分(具体的には穴10cの近傍部分である。)は、少なくともマルテンサイト相を含有する双晶組織部14となっている。
このような構成を有する外歯歯車を例えば自動車用の減速機に適用すると、動力伝達のために相手部品と接触する部分が析出強化によって十分な強度が確保されているため、長期間の使用や高いトルクの伝達に対しても優れた耐久性を示すものとなる。
なお、この析出物含有組織部は、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に配置されること、即ち少なくとも表面の組織が析出物含有組織部であればよいが、実施例1に係る外歯歯車と比較して、中心穴の表面付近も析出強化されており、回転軸と接する部分に強度が要求される外歯歯車においても、好適に用いることができる。
また、実施例1に係る外歯歯車と比較して、回転軸に対し、当該外歯歯車の周方向の全てにわたって双晶組織部が存在しているわけではないが、十分騒音低減効果は発揮される。
ここで、実施例2に係る外歯歯車の製造方法の一例について説明する。
略外歯歯車を実施例1と同様に用意し、更に実施例1と同様に略外歯歯車を部分熱処理して、本例の外歯歯車が得られる。
ここで、部分熱処理の具体的な手順について説明する。
実施例1とほぼ同様の部分熱処理機構を用いるが、本例においては、中心穴及び双晶組織部を近傍部分に形成しない穴については、穴を塞ぐような固定用プレートを用い、冷却ノズルを双晶組織部を近傍部分に形成する穴に速やかに挿入して、冷却水を供給して、水冷にて急冷する。
これにより、外歯歯車の軸中心に近い領域も冷却速度が遅いため、冷却中にβ相中にα相が析出し(α+β)2相組織となる。
なお、このうちβ相は冷却中に成分量によってはマルテンサイト変態する場合がある。いずれにしても、α相の析出により、析出強化された析出物含有組織部が形成され、高強度となる。
(実施例3)
図6は、実施例3に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図である。
同図に示すように、外歯歯車10Cは、軸中心に中心穴10aを有し、歯10bが切られており、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に相当する部分(具体的には歯10bを含む部分であり、実施例1に係る外歯歯車10Aより広い(図1(a)を参照。)。)は、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部12となっており、表面部位以外の少なくとも一部に相当する部分(具体的には中心穴10aの近傍部分である。)は、少なくともマルテンサイト相を含有する双晶組織部14となっている。
このような構成を有する外歯歯車を例えば自動車用の減速機に適用すると、動力伝達のために相手部品と接触する部分が析出強化によって十分な強度が確保されているため、長期間の使用や高いトルクの伝達に対しても優れた耐久性を示すものとなり、特に実施例1の外歯歯車より析出強化されている部分が広いため、より優れた耐久性を示す。
また、双晶組織部は、動力伝達のために相手部品と接触する際に発生する振動を、マルテンサイト相の双晶界面が移動することによって効果的に吸収し、騒音を低減することができる。
ここで、実施例3に係る外歯歯車の製造方法の一例について説明する。
まず、Ti−V−Al系合金を溶製し、熱間圧延と冷間圧延と焼鈍とを適宜繰り返し、板材とするか、熱間押出しと線引きと焼鈍とを適宜組み合わせ、棒状に加工する。
これらの素材を、外歯歯車の原型となる円板状に切断した後、冷間鍛造又は熱間鍛造によって外歯歯車の形状まで加工し、必要に応じて表面の酸化スケール等を取り除いて、略外歯歯車が得られる。
次に、略外歯歯車を、800℃の炉内で保持した後、水槽にて焼入れ処理(溶体化処理)する。これにより、一旦、部品全体がマルテンサイト相の双晶組織部となる。
しかる後、部分熱処理によって、析出物含有組織部と双晶組織部とを形成して、本例の外歯歯車が得られる。
ここで、部分熱処理の具体的な手順について説明する。
図7は、上記部分熱処理に用いる熱処理装置の一部を示す断面図である。同図に示すように、熱処理装置100は、部分熱処理機構110と、加熱冷却部材120と、を備える。
部分熱処理機構110は、固定用プレート111と、ボルト112と、ナット113と、中間材114と、を備える。また、加熱冷却部材120は、締結部材121と、配管122と、管状炉123と、発熱抵抗体124と、を備える。
部分熱処理に供する複数の溶体化処理した略外歯歯車10は、中間材114を介して重ねられ、これらの両端から固定用プレート111が押し当てられ、ボルト112とナット113とで固定され、部分熱処理機構110内に組み込まれる。
なお、固定用プレート111及び中間材114は中心に略外歯歯車10と同様の中心穴を有しており、部分熱処理機構110は、空洞110aを有するものとなっている。
このような部分熱処理機構110を、加熱冷却部材120に組み込む。即ち、配管122を部分熱処理機構110の空洞110aに連結し、これらを締結部材121で固定し、これを発熱抵抗体124を備える管状炉123内に図示しない固定手段により固定し、配置する。
なお、固定用プレート111、ボルト112、ナット113及び中間材114には、例えばタングステンなどの耐熱性の高い素材のものを用いる必要はない。
次に、図示しない供給源から配管内に冷却水が送り込まれ、部分熱処理機構の空洞を循環冷却水で満たす。このとき、空洞は中間材により気密が確保されており、水が漏れることはない。一方、発熱抵抗体を発熱させ、管状炉内の温度を上昇させ、500℃で8時間保持する。
これにより、外歯歯車の歯に近い領域は、α相が析出し、析出強化された析出物含有組織部が形成され、高強度となる。
一方、外歯歯車の軸中心に近い領域は冷却水により温度が低く保たれているため、マルテンサイト相の双晶組織部となる。
上記方法の場合、部分熱処理機構は500℃までしか上がらないので、部分熱処理機構に用いる素材として耐熱性があまり要求されないという利点がある。また、析出強化するための十分な時間が確保できるため、析出物含有組織部の強度を十分に高めることができる。
(実施例4)
図8(a)及び(b)は、実施例4に係る内歯歯車における組織配置を示す説明図(a)及び(b)である。
同図(a)に示すように、内歯歯車20Aは、軸中心に中心穴20aを有し、歯20bが切られた円筒状をしており、相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に相当する部分(具体的には歯20bを含む部分である。)は、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のいずれか一方又は双方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部12となっており、表面部位以外の少なくとも一部に相当する部分(具体的には周面の近傍部分であり、同図(b)参照。)は、少なくともマルテンサイト相を含有する双晶組織部14となっている。
ここで、実施例4に係る内歯歯車の製造方法の一例について説明する。
まず、粉末冶金法により、Ti−Nb−Sn系合金から成る略内歯歯車が得られる。
次に、この略内歯歯車を、700℃の炉内で1時間保持した後、水槽にて焼入れ処理(溶体化処理)する。これにより、一旦、部品全体がマルテンサイト相の双晶組織部となる。
しかる後、部分熱処理によって、析出物含有組織部と双晶組織部とを形成して、本例の内歯歯車が得られる。
ここで、部分熱処理の具体的な手順について説明する。
図9は、上記部分熱処理に用いる熱処理装置の一部を示す断面図である。同図に示すように、熱処理装置100は、部分熱処理機構110と、加熱冷却部材120と、を備える。
部分熱処理機構110は、固定用プレート111と、ボルト112と、ナット113と、中間材114と、を備える。また、加熱冷却部材120は、締結部材121と、配管122と、発熱抵抗体124と、配線125と、水槽126と、を備える。
部分熱処理に供する複数の溶体化処理した略内歯歯車20は、中間材114を介して重ねられ、これらの両端から固定用プレート111が押し当てられ、ボルト112とナット113とで固定され、部分熱処理機構110内に組み込まれる。
なお、固定用プレート111及び中間材114は中心に略内歯歯車20と同様の中心穴を有しており、部分熱処理機構110は、空洞110aを有するものとなっている。
このような部分熱処理機構110を、加熱冷却部材120に組み込む。即ち、配管122を部分熱処理機構110の空洞110aに連結し、これらを締結部材121で固定し、これを水を満たした水槽126内に図示しない固定手段により固定して、配置する。
更に、空洞110a及び配管122内には配線125に接続された発熱抵抗体124を配置する。
次に、図示しない撹拌器によって水槽内の水を撹拌しながら、図示しない電源によって配管内の発熱抵抗体を発熱させ、空洞内の温度を上昇させ、400℃で24時間保持する。
この時効処理により、内歯歯車の歯に近い領域は、マトリックス中に析出物としてα相が析出し、析出強化された析出物含有組織部が形成され、高強度となる。
一方、内歯歯車の周面に近い領域は水槽内の水により温度上昇が制限されているため、析出はあまり起こらず、マルテンサイト相を含む双晶組織部となる。
上記双晶組織部は、振動吸収能を備えるため、伝動装置の作動時に発生する騒音を効果的に低減することができる。
実施例1に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図(a)及び(b)である。 部分熱処理機構の一例を示す側面図(a)及び部分断面図(b)である。 冷却水にて急冷する際の要領を示す断面説明図である。 冷却用ノズルの一例を示す斜視説明図である。 実施例2に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図である。 実施例3に係る外歯歯車における組織配置を示す説明図である。 熱処理装置の一例の一部を示す断面図である。 実施例4に係る内歯歯車における組織配置を示す説明図(a)及び(b)である。 熱処理装置の一例の一部を示す断面図である。
符号の説明
10 略外歯歯車
10A,10B,10C 外歯歯車
10a 中心穴
10b 歯
10c 穴
12 析出物含有組織部
14 双晶組織部
20 略内歯歯車
20A 内歯歯車
20a 中心穴
20b 歯
100 熱処理装置
110 部分熱処理機構
110a 空洞
111 固定用プレート
112 ボルト
113 ナット
114 中間材
115 断熱材
120 加熱冷却部材
121 締結部材
122 配管
123 管状炉
124 発熱抵抗体
125 配線
126 水槽
127 冷却用ノズル
127a 穴

Claims (9)

  1. 金属製であり、軸中心に回転し、相手部品と転がり又はすべり接触して動力を伝達する動力伝達部品であって、
    上記相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位に、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を有し、
    上記表面部位以外の少なくとも一部に、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を有する、
    ことを特徴とする動力伝達部品。
  2. 上記双晶組織部がマルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成ることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達部品。
  3. 上記金属がTi−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金又はTi−Ni基合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力伝達部品。
  4. 上記双晶組織部が、当該動力伝達部品の周方向の全てにわたって存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の動力伝達部品。
  5. 当該動力伝達部品が、歯車又はスプラインであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の動力伝達部品。
  6. 当該動力伝達部品が、トラクションドライブ転動体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の動力伝達部品。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の動力伝達部品を製造する方法であって、下記の工程(1)〜(4)
    (1)動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意する工程、
    (2)上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持する工程、
    (3)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の相手部品と転がり又はすべり接触する表面を有する表面部位を、徐冷及び時効処理のうち少なくとも一方をして、体心立方格子から成る相及びマルテンサイト相のうち少なくとも一方から成るマトリックス中に析出物を含有する析出物含有組織部を形成する工程、
    (4)工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成する工程、
    を含むことを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
  8. 上記工程(1)の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意するに当たり、Ti−X−Y(XはNb、V、Mo及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、YはSn、Al、Si、Ga、Ge、In、Cr及びFeから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。)合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品aを用意し、且つ上記工程(2)の上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持するに当たり、上記略動力伝達部品aを、加熱し、ベータトランザス変態温度以上となる温度域で保持し、且つ上記工程(4)の工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成するに当たり、上記略動力伝達部品aの表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成る双晶組織部を形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の動力伝達部品の製造方法。
  9. 上記工程(1)の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品を用意するに当たり、Ti−Ni基合金製の動力伝達部品の形状を有する略動力伝達部品bを用意し、且つ上記工程(2)の上記略動力伝達部品を、加熱し、体心立方格子から成る相単相となる温度域で保持するに当たり、上記略動力伝達部品bを加熱し、600〜1100℃で保持し、且つ上記工程(4)の工程(2)より後に実施される、上記略動力伝達部品の表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相を含有する双晶組織部を形成するに当たり、上記略動力伝達部品bの表面部位以外の少なくとも一部を、急冷して、マルテンサイト相単相、又はマルテンサイト相と体心立方格子から成る相との2相から成る双晶組織部を形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の動力伝達部品の製造方法。
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