JPH08143991A - 耐摩耗性及び耐焼付性に優れたチタン合金及びその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性及び耐焼付性に優れたチタン合金及びその製造方法

Info

Publication number
JPH08143991A
JPH08143991A JP28333494A JP28333494A JPH08143991A JP H08143991 A JPH08143991 A JP H08143991A JP 28333494 A JP28333494 A JP 28333494A JP 28333494 A JP28333494 A JP 28333494A JP H08143991 A JPH08143991 A JP H08143991A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
titanium alloy
alc
particles
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28333494A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiko Ito
与志彦 伊藤
Akira Manabe
明 真鍋
Mikio Kiriyama
幹男 桐山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Nittan Corp
Original Assignee
Nittan Valve Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nittan Valve Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Nittan Valve Co Ltd
Priority to JP28333494A priority Critical patent/JPH08143991A/ja
Publication of JPH08143991A publication Critical patent/JPH08143991A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】耐摩耗性及び耐焼付性を向上させ、内燃機関の
動弁系に適用するのに有利なチタン合金を提供するこ
と。 【構成】TiC粒子が分散したβ型チタン合金を825
°Cにおいて1時間加熱保持し、Ti3 AlC粒子を析
出させる第1加熱工程と、第1加熱工程を経た該チタン
合金を425℃において2時間加熱保持して、α相を析
出させる第2の加熱工程とを順に実施する。これにより
β相にTi3 AlC粒子及びα相を混在させたβ型チタ
ン合金を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性及び耐焼付性に
優れたチタン合金及びその製造方法に関する。本発明は
例えば内燃機関の動弁系のバルブに適用できる。
【0002】
【従来の技術】近年チタン合金が注目をあびており、種
々の産業界でチタン合金が使用されつつある。例えば、
車両の内燃機関の動弁系に用いられるバルブにおいて
も、軽量化及び強度確保等を目的として、チタン合金を
母材としたものが開発されている。しかしチタン合金は
耐摩耗性及び耐焼付性は必ずしも充分ではなく、そのた
めチタン合金系のバルブのフェース部、ステム部、軸端
部の耐摩耗性及び耐焼付性を向上するため、下記の技術
が従来より提案されている。
【0003】特開昭61−232310号公報には、バ
ルブのフェース部にCo基合金を肉盛りする技術が提案
されている。特開昭61−234210号公報には、バ
ルブの外表面にイオン窒化処理を施す技術が提案されて
いる。特開昭56−146875号公報には、バルブの
外表面に硬化処理を施す技術が提案されている。特開昭
61−261609号公報には、バルブの外表面にクロ
ムメッキを施す技術が開示されている。
【0004】上記した技術は、耐摩耗性、耐焼付性に
優れた別材料を接合させる技術(肉盛、溶射、メッキ
等)と、表面層のみを改質する技術(イオン窒化、陽
極酸化等)の2つに大別される。更に特開平2−129
330号公報および特開平4−17639号公報には、
基地をβ相化し、その基地に硬質のTiC粒子を分散さ
せたチタン合金が提案されている。このチタン合金で
は、TiC粒子の分散により優れた耐摩耗性及び耐焼付
性が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記した
に係る技術では、耐摩耗性あるいは耐焼付性に優れた
別材料を摺動面に接合するため、必要な性能は確保され
易いが、相手材である母材がチタン合金であるため、別
材料の耐剥離性の確保のために、下地処理などが必要と
なり、コスト高となる。
【0006】一方、前記したの技術は、比較的安価な
方法であるが、表面に形成される処理層は、最大でも数
10μmの厚さのため極めて薄く、耐久性が不充分であ
り、過酷な使用条件で用いられる部材、例えば車両の内
燃機関に用いられる動弁系のバルブに適用するには不向
きである。更に前記した特開平4−17639号公報に
係るチタン合金は、耐摩耗性及び耐焼付性が改善された
チタン合金であるが、過酷な条件下では必ずしも充分で
はない。例えば車両の内燃機関の動弁系に用いられるバ
ルブ等の様に過酷な摺動条件下においては、耐摩耗性、
耐焼付性が不足する。
【0007】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、TiC粒子が分散したβ相型のチタン合金にお
いて、耐摩耗性及び耐焼付性に一層優れたチタン合金お
よびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、TiC粒子
を分散したβ相を基地とするβ型チタン合金について鋭
意開発を進めた。そしてTiC粒子を分散したβ型チタ
ン合金中にTi3 AlC粒子及びα相を積極的に混在さ
せれば、過酷な摺動条件下においても、優れた耐摩耗性
と耐焼付性を兼備することができるとの知見に到達し、
試験で確認し、本発明を完成した。
【0009】即ち、請求項1に係るチタン合金は、Ti
C粒子が分散したβ型チタン合金において、Ti3 Al
C粒子及びα相を混在させ、Ti3 AlC粒子の析出量
は、X線回折法による〔Ti3 AlC強度/TiC強
度〕で0.3〜0.7であり、α相の析出量は、X線回
折法による〔α相強度/β相強度〕で4〜12であるこ
とを特徴とする耐摩耗性及び耐焼付性に優れたものであ
る。
【0010】請求項2に係るチタン合金の製造方法は、
TiC粒子が分散したβ相を基地とするβ型チタン合金
を800°C〜900℃の温度に加熱保持し、Ti3
lC粒子を析出させる第1加熱工程と、第1加熱工程を
経た該チタン合金を400℃〜550℃の温度に加熱保
持して、α相を析出させる第2の加熱工程とを順に実施
し、β相にTi3 AlC粒子及びα相を混在させたβ型
チタン合金を得ることを特徴とするものである。
【0011】
【作用】請求項1に係るチタン合金によれば、β型チタ
ン合金であるため、基地の主体はβ相である。この様に
請求項1に係るチタン合金によれば、β相を基地とする
ため、β相の安定化のために有効な元素例えばCr、
V、W等の少なくとも1種を含有することができる。
【0012】請求項1に係るチタン合金によれば、耐摩
耗性及び耐焼付性が向上する。その理由は、β相の基地
に析出するα相が基地を高強度化することに起因すると
考えらる。即ち、高強度化した基地により硬質のTi3
AlC粒子が安定して保持される様になり、摺動に伴う
Ti3 AlC粒子の脱落等が抑制され、摺動面における
焼付性及び耐摩耗性が向上するものと考えられる。Ti
3 AlCの析出量を前記0.3〜0.7にすることで耐
焼付性が向上し、α相の析出量を前記4〜12にするこ
とでTi3 AlC粒子の脱落を抑制できる。
【0013】請求項1に係るチタン合金によれば、α相
は一般的にはサブミクロンオーダー程度で、微細であ
り、その平均粒径は例えば0.3μm以下程度特に0.
05〜0.1μm程度を採用できる。Ti3 AlC粒子
の平均粒径は例えば0.2〜3μm程度特に0.5〜2
μm程度を採用できる。TiC粒子の平均粒径は例えば
5〜70μm程度特に10〜50μm程度を採用でき
る。
【0014】請求項2に係るチタン合金の製造方法にお
いては、第1の加熱処理は、チタン合金のβ相の基地に
Ti3 AlC粒子を析出させることを主眼とするもので
あり、第2の加熱処理は、β相の基地にα相を析出させ
ることを主眼とするものである。第1の加熱処理は、8
00℃〜900℃で行うものであり、特に820〜88
0℃で行い得る。第2の加熱処理は、400℃以上55
0℃以下で行うものであり、特に420〜520℃で行
い得る。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。ま
ず、重量%で6%のAlと4%のVとを含有するチタン
インゴット材(Ti−6Al−4V)を溶解炉で溶解し
た。そして、その溶湯に炭化クロム(Cr32 )を添
加し、所定時間経過後に鋳型に注入して凝固させ、テス
トピースを作製した。このテストピースに係る組織は、
TiC粒子が分散したβ相の基地で構成されている。こ
こで、溶湯に添加した炭化クロムに含まれるCrはβ相
安定元素として機能し、炭化クロムに含まれるCはTi
C粒子、Ti3 AlC粒子を生成する役割を果たすと考
えられる。チタン合金中のAlはα相安定化元素と考え
られており、またTi3 AlC粒子の生成にも寄与する
と考えられている。
【0016】なお、溶湯に添加した炭化クロムの添加量
は、チタンインゴット材を重量%で100%としたとき
10%程度である。従って上記テストピースの組成は、
重量%で5.4%Al−3.6%V−8.7%Cr−
1.3%C−不可避の不純物−残部実質的にTiであ
る。その後に、そのテストピースを800℃以上に大気
中で加熱保持(825℃×1時間)して第1の加熱処理
を行った後に水冷した。次に400℃以上に大気中で加
熱保持(425℃×2時間)して第2の加熱処理を行な
い、その後空冷した。
【0017】本実施例において、第1の加熱処理は、チ
タン合金のβ相の基地にTi3 AlC粒子を析出させる
ことを主眼とするものである。第1の加熱処理の際に水
冷したのは、Ti3 AlC粒子が分散したβ相の基地を
維持するためである。また第2の加熱処理は、β相の基
地に微細なα相を析出させることを主眼とするものであ
る。
【0018】さて図1は実施例に係るチタン合金で形成
されているバルブ1の断面を示す。図1に示す様にバル
ブ1は、バルブフェース10を備えたヘッド部11と、
ヘッド部11と一体的に形成されたステム部12とを備
えている。12aはステム部の軸端部を示す。ところで
図2は、テストピース(6mm×10mm×16mmの
ブロック形状)の表面近傍における断面組織の光学顕微
鏡写真(腐食液:フッ酸系)を示したものである。この
テストピースでは、第1の加熱処理は875℃×1時間
であり、第2の加熱処理は500℃×2時間である。図
2において、TiC粒子を分散したβ相(体心立方格
子:bcc構造)の基地の粒界及び粒内に、α相(六方
最密格子:hcp構造)がサブミクロンオーダーで微細
に(0.05〜0.1μm程度と考えられる)析出して
いることが把握される。これによりTi3 AlC粒子を
保持する基地の強度が向上し、Ti3 AlC粒子の脱落
が軽減され、これによりチタン合金の摺動面における耐
摩耗性が向上すると考えられる。勿論、TiC粒子の脱
落軽減も期待される。
【0019】更に、上記の様にサブミクロンオーダーで
微細のα相をβ相の基地に混在化させると、後述する試
験から明らかな様に、チタン合金の摺動面における耐焼
付性が向上する。この理由は次の様に考えられる。即
ち、摺動方向に異なる相がランダムに存在することによ
り、微視的な凝着が発生した際、その凝着部が摺動によ
り拡大しようとしても、相が変わる部分で凝着の進行が
抑制され易いためであると考えられる。
【0020】更に図2から理解できる様に、実施例に係
るチタン合金では、Ti3 AlC粒子はβ相の基地の粒
内中あるいは粒界に、およそ2〜3μm以下の粒径で微
細に析出している。そしてその粒子による微小凹凸の形
成により、チタン合金の摺動面における油膜保持能力が
向上し、耐焼付性および耐摩耗性を一層向上させる作用
を期待できる。また図2において示されているTiC粒
子の平均粒径は、10〜50μm程度と考えられる。
【0021】ところで、上記のα相とTi3 AlC粒子
は、それぞれ一方のみが析出していても、耐焼付性や耐
摩耗性向上効果は一応見られる。しかし、過酷な条件で
使用される内燃機関の動弁系のバルブの実用領域では不
充分なレベルである。この点本実施例の様にα相とTi
3 AlC粒子との双方がβ相の基地に混在すれば、複合
作用により、チタン合金の摺動面における耐焼付性およ
び耐摩耗性を著しく向上させ得、動弁系のバルブとして
実用可能なレベルが達成される。
【0022】上記した実施例に係るチタン合金のテスト
ピースについて耐焼付性及び耐摩耗性を試験した。耐焼
付性試験は機械試験所型焼付試験を採用し、図3から理
解できる様に、盤状のテストピース30を用い、テスト
ピース30にリング状の相手材31(実際の内燃機関で
使用されているステムガイド相当材;FCA9)を押圧
し、2cc/分でオイルを滴下しつつ2000rpmで
相手材31を回転させて行い、押圧力を245Nから焼
付発生まで順に増加させ焼付発生荷重を測定した。試験
結果はテストピース2個の平均値とした。
【0023】耐摩耗性試験はLFW摩耗試験験を採用
し、図4から理解できる様に、角盤状のテストピース4
0を用い、油浴中でテストピース40にリング状の相手
材41(実際の内燃機関で使用されているリフタ相当
材;米国規格SAE4620、Ni−Mo系鋼)を押圧
し、5rpmで相手材41を5分間回転させて行い、テ
ストピース40の摺動部分の摩耗体積を測定した。試験
結果はテストピース2個の平均値とした。
【0024】(比較例)比較例1〜比較例4に係るチタ
ン合金を作製した。比較例1は、前記した実施例1で用
いたチタンインゴット材(Ti−6Al−4V)を溶解
炉で溶解し、その溶湯に炭化クロム(Cr3 2 )を実
施例1と同程度添加し、β相化した基地にTiC粒子を
分散させたものである。比較例2は、比較例1の合金を
400℃以上に加熱保持(425℃×2時間)してβ相
中に微細なα相を析出させたものである。比較例3は、
比較例1の合金を800℃以上に加熱保持(825℃×
1時間)してβ相の基地にTi3 AlC粒子を析出させ
たものである。比較例4は、前記したTi−6Al−4
Vの組成をもつチタン合金であり、従来から使用されて
いる代表的なチタン合金である。比較例4の組織は(α
相+β相の混合組織のみ)であり、Ti3 AlC粒子や
TiCは分散していない。
【0025】比較例に係るチタン合金についても、同様
に耐焼付性及び耐摩耗性を試験した。 (試験結果)実施例及び各比較例における試験結果を、
表1に示す。表1から理解できる様に、実施例は、焼付
発生荷重は1.5kNであり、摩耗量は0.4×10-3
mm3 であり、極めて少なかった。
【0026】従来よりの代表的なチタン合金である比較
例4は、表1に示す様に、焼付発生荷重は0.25kN
であり、摩耗量は6015×10-3mm3 であり、耐焼
付性、耐摩耗性とも大きく劣る。また比較例1では焼付
発生荷重は0.50kNであり、摩耗量は1317×1
-3mm3 であり、耐焼付性、耐摩耗性ともに充分では
なかった。比較例2では焼付発生荷重は0.63kNで
あり、摩耗量は36.5×10-3mm3 であり、耐焼付
性、耐摩耗性ともに充分ではなかった。比較例3では焼
付発生荷重は0.75kNであり、摩耗量は45.2×
10-3mm3 であり、耐焼付性、耐摩耗性ともに充分で
はなかった。
【0027】ここで表1から理解できる様に、TiC粒
子を分散したβ相を基地とした比較例1は、比較例4に
比較して焼付発生荷重が大きく、摩耗量も少なく、耐焼
付性及び耐摩耗性にともに向上している。しかし比較例
1のチタン合金を母材として作成したバルブを実際の内
燃機関の動弁系の吸気側に組み込み、耐久試験を行った
ところ、バルブのステム部の焼付きおよび軸端部の過大
摩耗が耐久試験の初期に発生し、実用性が発揮されない
ことが明らかとなった。
【0028】比較例2及び比較例3は比較例4に比較し
ていずれも耐摩耗性および耐焼付性が向上している。特
に比較例2及び比較例3は比較例4に比較して摩耗量は
小さくて耐摩耗性は大きく向上している。しかし使用条
件が過酷な内燃機関の動弁系のバルブに使用するチタン
合金としてみると、焼付発生荷重及び摩耗量ともにまだ
不充分なレベルである。
【0029】これに対し実施例は、表1から理解できる
様に比較例1〜4に比べて、焼付発生荷重が大きく、摩
耗量が少なく、従って耐摩耗性、耐焼付性ともに大きく
向上している。 (第1の加熱処理、第2の加熱処理における温度の相
違)第1の加熱処理、第2の加熱処理における温度の相
違を調べる試験を行った。この試験では、テストピート
として、TiC粒子を分散したβ型のチタン合金を母材
としたバルブを用いた。そしてこのバルブに対して、表
2に示す様に、温度を3条件に変えた第1の加熱処理
と、3条件に変えた第2の加熱処理との双方を順に実施
した。そして各バルブを実際の内燃機関の動弁系の吸気
側に組み込み、高速回転にて耐久試験し、バルブのステ
ム部の耐焼付性および軸端部の耐摩耗性を測定した。
【0030】ここで、Ti3 AlC粒子析出ねらいの第
1の加熱処理の温度は、表2に示す様に700℃、82
5℃および875℃とした。そしてα相析出ねらいの第
2の加熱処理の温度は、表2に示す様に375℃、42
5℃および500℃とした。その試験結果を表2に示
す。表2においてa欄はバルブのステム部の焼付発生程
度を示し、b欄はステム部の軸端部の摩耗深さ(μm)
を示す。表2において◎は『優』を示し、×は『劣』を
示し、○及び△はその間の状態を示す。ここで、バルブ
のステム部の耐焼付性は、耐久試験後のステム部におい
て相手バルブガイドと摺動する部分のスカッフ発生の程
度により優劣を比較した。また、軸端部の耐摩耗性は、
軸端部の摩耗深さにより優劣を比較した。
【0031】表2から理解できる様に、第1の加熱処理
の温度が700℃で第2の加熱処理の温度が375℃の
場合は、a欄及びb欄共に×であり、耐焼付性および耐
摩耗性がいずれも劣る。第1の加熱処理の温度が825
℃で第2の加熱処理の温度が425℃の場合には、a欄
及びb欄共に○であり、耐焼付性および耐摩耗性が良好
である。第1の加熱処理の温度が875℃で第2の加熱
処理の温度が425℃の場合には、a欄及びb欄共に◎
であり、耐焼付性および耐摩耗性が共に優れている。第
1の加熱処理の温度が875℃で第2の加熱処理の温度
が500℃の場合には、a欄及びb欄共に◎であり、耐
焼付性および耐摩耗性が共に優れている。
【0032】なお表2から理解できる様に、第1の加熱
処理の温度が875℃であっても、第2の加熱処理の温
度が375℃の場合には、a欄は△でありb欄は×であ
った。第1の加熱処理の温度が825℃で第2の加熱処
理の温度が375℃の場合には、a欄は×でありb欄は
△であった。第1の加熱処理の温度が700℃で第2の
加熱処理の温度が375℃の場合には、a欄及びb欄共
に×であった。
【0033】(Ti3 AlC粒子およびα相の析出量)
Ti3 AlC粒子およびα相の析出量を調べる試験を行
った。この試験では、表2に示す加熱処理の条件と同様
の条件で製造したテストピースを用い、Ti3AlC粒
子およびα相の析出量を測定した。その結果を表3に示
す。ここで、各相の析出量はX線回折法による強度ピー
クにて測定した。即ちTi3 AlC粒子の析出量は、T
iC粒子に対する強度比で相対的に把握し、これは表3
のa欄に示されている。つまり表3のa欄は、X線回折
における(Ti3 AlC強度/TiC強度)の値を示
す。なお、X線回折法によるX線強度の測定条件は表4
に記載した。
【0034】またα相の析出量は、β相に対する強度比
で相対的に把握し、これは表3のb欄に示されている。
つまり表3のb欄はX線回折における(α相強度/β相
強度)の値を示す。表2と表3との比較から理解できる
様に、表2において耐焼付性および耐摩耗性が優れるも
の程、表3において強度比が大きいことがわかる。すな
わちX線回折における(Ti3 AlC強度/TiC強
度)の値、及び、(α相強度/β相強度)の値が多いも
の程、耐摩耗性及び耐焼付性において優れた性能を示す
という結果が得られた。
【0035】換言すれば、Ti3 AlC粒子の析出量及
びα相の析出量が多いもの程、耐摩耗性及び耐焼付性に
おいて優れた性能を示すという結果が得られた。故に、
耐摩耗性及び耐焼付性の一層の向上には、Ti3 AlC
粒子及びα相をβ相の基地に混在させることが重要であ
ることが把握される。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】 (付記)上記した実施例から次の技術的思想も把握でき
る。 請求項1、2に係るチタン合金を母材とし、かつ、車
両の内燃機関の動弁系に用いられるバルブ又はバルブ
材。このバルブによれば、バルブフェースを構成する、
β相にα相が混在した基地に、Ti3 AlC粒子、Ti
C粒子が表出し、相手材であるバルブシ−ト(一般に鉄
基の焼結合金)に適合する。なおバルブは、例えば上記
チタン合金からなる鍛造材や鋳造材を切削加工して形成
できる。
【0040】
【発明の効果】請求項1によれば、耐摩耗性及び耐焼付
性が一層優れたチタン合金が得られる。このチタン合金
は摺動条件が過酷な部材、例えば車両の内燃機関の動弁
系に用いられるバルブに適する。請求項2によれば、上
記した請求項1に係る耐摩耗性及び耐焼付性が一層優れ
たチタン合金が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バルブの断面図である。
【図2】光学顕微鏡による表層付近の金属組織を示す写
真である。
【図3】耐焼付性試験方法を示す構成図である。
【図4】耐摩耗性試験方法を示す構成図である。
【符号の説明】
図中、1はバルブ、11はヘッド部、12はステム部、
12aは軸端部を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年7月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桐山 幹男 神奈川県秦野市曾屋518番地 日鍛バルブ 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】TiC粒子が分散したβ型チタン合金にお
    いて、Ti3 AlC粒子及びα相を混在させ、Ti3
    lC粒子の析出量は、X線回折法による〔Ti3 AlC
    強度/TiC強度〕で0.3〜0.7であり、α相の析
    出量は、X線回折法による〔α相強度/β相強度〕で4
    〜12であることを特徴とする耐摩耗性及び耐焼付性に
    優れたチタン合金。
  2. 【請求項2】TiC粒子が分散したβ相を基地としたβ
    型チタン合金を800°C〜900℃の温度に加熱保持
    し、Ti3 AlC粒子を析出させる第1加熱工程と、 該第1加熱工程を経た該チタン合金を400℃〜550
    ℃の温度に加熱保持して、α相を析出させる第2の加熱
    工程とを順に実施し、 該β相にTi3 AlC粒子及びα相を混在させたβ型チ
    タン合金を得ることを特徴とするチタン合金の製造方
    法。
JP28333494A 1994-11-17 1994-11-17 耐摩耗性及び耐焼付性に優れたチタン合金及びその製造方法 Pending JPH08143991A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28333494A JPH08143991A (ja) 1994-11-17 1994-11-17 耐摩耗性及び耐焼付性に優れたチタン合金及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28333494A JPH08143991A (ja) 1994-11-17 1994-11-17 耐摩耗性及び耐焼付性に優れたチタン合金及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08143991A true JPH08143991A (ja) 1996-06-04

Family

ID=17664134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28333494A Pending JPH08143991A (ja) 1994-11-17 1994-11-17 耐摩耗性及び耐焼付性に優れたチタン合金及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08143991A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007084865A (ja) * 2005-09-21 2007-04-05 Kobe Steel Ltd 被削性及び熱間加工性に優れたα−β型チタン合金
JP2007315479A (ja) * 2006-05-25 2007-12-06 Nissan Motor Co Ltd 動力伝達部品及びその製造方法
CN106396683A (zh) * 2016-08-29 2017-02-15 华北电力大学(保定) 一种钛铝碳与碳化钛复合储氢材料及其制备方法
CN106544610A (zh) * 2015-09-22 2017-03-29 中国矿业大学 一种TiC/Ti复合材料铸件中TiC形貌的控制方法
CN112247156A (zh) * 2020-10-21 2021-01-22 吉林大学 内生纳米TiC颗粒的钛合金粉体及其制备方法和应用
CN112342436A (zh) * 2020-10-21 2021-02-09 吉林大学 一种纳米颗粒增强ztc4钛合金及其制备方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007084865A (ja) * 2005-09-21 2007-04-05 Kobe Steel Ltd 被削性及び熱間加工性に優れたα−β型チタン合金
JP4493029B2 (ja) * 2005-09-21 2010-06-30 株式会社神戸製鋼所 被削性及び熱間加工性に優れたα−β型チタン合金
JP2007315479A (ja) * 2006-05-25 2007-12-06 Nissan Motor Co Ltd 動力伝達部品及びその製造方法
CN106544610A (zh) * 2015-09-22 2017-03-29 中国矿业大学 一种TiC/Ti复合材料铸件中TiC形貌的控制方法
CN106544610B (zh) * 2015-09-22 2019-08-09 中国矿业大学 一种TiC/Ti复合材料铸件中TiC形貌的控制方法
CN106396683A (zh) * 2016-08-29 2017-02-15 华北电力大学(保定) 一种钛铝碳与碳化钛复合储氢材料及其制备方法
CN112247156A (zh) * 2020-10-21 2021-01-22 吉林大学 内生纳米TiC颗粒的钛合金粉体及其制备方法和应用
CN112342436A (zh) * 2020-10-21 2021-02-09 吉林大学 一种纳米颗粒增强ztc4钛合金及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5451142A (en) Turbine engine blade having a zone of fine grains of a high strength composition at the blade root surface
CN1840719A (zh) 超耐热合金组成、制品、及制造方法
JP2002030394A (ja) 耐スカッフィング性、耐クラッキング性及び耐疲労性に優れたピストンリング及びその製造方法、並びにピストンリングとシリンダーブロックの組合わせ
EP1396620A1 (en) Exhaust guide assembly for vgs type turbo charger improved in heat resistance and method of producing heat-resisting members applicable thereto, and method of producing raw material for variable vanes applicable thereto
EP1903121A1 (en) Nickel-based alloys and articles made therefrom
KR960004831B1 (ko) 철 알루미늄 합금의 내연 기관용 흡입 밸브
JPS62211355A (ja) 耐摩耗性鉄基焼結合金
JPH08143991A (ja) 耐摩耗性及び耐焼付性に優れたチタン合金及びその製造方法
JP3304021B2 (ja) 高温耐摩耗性に優れた銅合金
JPS61243143A (ja) Co基超塑性合金およびその製造方法
JPS62243905A (ja) 内燃機関用ロツカア−ム
EP2924134B1 (en) Ti-al-based heat-resistant member
CN105817836A (zh) 大型船舶用发动机排气阀及其制造方法
JPH0472027A (ja) 船外機用バルブシート材およびその製造方法
JP2732512B2 (ja) アルミニウム合金製バルブリフタ
JP2006275034A (ja) チタン合金製バルブリフタ及びその製造方法
Maki et al. Development of a high-performance TiA1 exhaust valve
Maki et al. Development of a high-performance TiAl exhaust valve
JPS59193254A (ja) アルミニウム系合金軸受の製造方法
JP2002309333A (ja) アルミニウム合金、すべり軸受用アルミニウム合金およびすべり軸受
JPH05293671A (ja) チタンまたはチタン合金の表面硬化方法
FR2748493A1 (fr) Superalliages a base de nickel ayant une usinabilite amelioree
JP2019505662A (ja) 新規な合金を含むウエィストゲート部品
JPS61166982A (ja) 耐摩耗性Al合金部材
JPH07269316A (ja) 低強度チタン合金製吸気エンジンバルブ