JP6934934B2 - マルエージング鋼から形成されかつ窒化された表面層が設けられたフレキシブルな鋼リング - Google Patents

マルエージング鋼から形成されかつ窒化された表面層が設けられたフレキシブルな鋼リング Download PDF

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Description

本発明は、以下の請求項1の前段によるフレキシブルな鋼リングに関する。このタイプのリングは、特に乗用車などの自動車使用のための無段変速機用の駆動ベルトの構成部品として使用される。駆動ベルトは、通常、駆動ベルトの横断部材の凹所に挿入された、互いに同心状に配置されたリングの2つのセットから成る。駆動ベルトは、このようなリングセットの周囲に沿って互いに連続して配置された複数のこれらの横断部材を有する。そのこのような駆動ベルト適用において、個々のリングは、通常、僅か0.2mm以下、典型的には約0.18mmの厚さを有する。
トランスミッションにおいて、駆動ベルトは2つの軸の間で駆動力を伝達するために使用され、そのために、駆動ベルトは2つの回転可能なプーリの周囲を通過させられており、もしくは、1つのこのようなトランスミッション軸に関連しており、各プーリには、駆動ベルトが収容されるプーリの周方向V字形溝を形成する、2つの円錐形ディスクが設けられている。2つのプーリのそれぞれのディスクの間の軸方向分離量を調整された形式で変化させることによって、各プーリにおける駆動ベルトの半径、ひいてはトランスミッション軸の間の回転速度比を、駆動ベルトを緊張状態に維持しながら変化させることができる。このトランスミッションおよび駆動ベルトは、概して当該技術分野において公知であり、例えば、欧州特許出願公開第1243812号明細書に記載されている。
さらに、駆動ベルトの性能は、リングセットの組み合わされた引張強度のみならず、リングセットの個々のリングの疲労強度にも大きく直接的に関連していることは当該技術分野において一般的に公知である。これは、トランスミッションにおける駆動ベルトの回転中、リングにおける引張および曲げ応力が変動するからである。実際には、駆動ベルトの所望の性能を実現するためのリングの基礎材料として、特別な鋼組成、特にいわゆるマルエージング鋼が広く利用される。加えて、このために、リングは、リング製造プロセスの一部である1つの組み合わされたまたは2つの前後する熱処理において析出硬化、すなわち時効および窒化される。
駆動ベルトリング構成部材のさらなる開発および/または改良における共通の長年の望みおよび一般的な目標は、駆動ベルトリング構成部材の疲労強度を向上させることであった。このような向上を目標とした1つのアプローチは、欧州特許出願公開第2832870号明細書によって提供されている。この文献は、駆動ベルトリング構成部材、特に、環状部材またはこれらのリングがそこから切断されかつ(後)加工される管の表面層を溶融および固化させる加工ステップを有することを開示している。欧州特許出願公開第2832870号明細書によれば、溶融/固化した表面層におけるモリブデンの分離の結果、これらの層においてモリブデンの豊富な領域とモリブデンの乏しい領域とが生じる。さらに、欧州特許出願公開第2832870号明細書によれば、モリブデンは、オーステナイト安定化元素であり、これにより、溶融/固化した表面層における分離されたモリブデンの豊富な領域において、オーステナイト相部分が、マルテンサイト相マトリックス内に保持される。特に、欧州特許出願公開第2832870号明細書によれば、18質量%のニッケル、9質量%のコバルト、5質量%のモリブデン、0.45質量%のチタン、0.1質量%のアルミニウム、0.03質量%未満の炭素から成るマルエージング鋼基礎材料の場合、このような割合は、約2〜3体積%になり、疲労強度の著しい改善を提供する。
別のアプローチは、特開2002−3956号および特開2004−315875号によって提供され、これらの文献は、オーステナイト相が、熱処理によって、すなわち、実際にリングを溶融させることなく、逆形成されることもできることを開示している。特に、これらの後者の2つの文献によれば、リングは、基礎材料のオーステナイト化開始温度(約750℃)より低い特定の温度範囲(すなわち、550〜670℃)の温度に加熱されかつ保持される。これにより、このように逆変換されたオーステナイトの15〜35体積%が、形成される。
これらの公知のアプローチは、これにより、逆変換されたオーステナイト部分を形成するためにリング製造プロセス全体において特定の、すなわち、付加的なプロセスステップに依存し、これは、不利なことに、このような全体的なプロセスのコストおよび複雑さを増大させる。さらに、第1のアプローチを使用する場合、前記保持されたオーステナイト相は、管および/またはリングの溶融/固化させられた層の前記モリブデン豊富領域においてのみ得られる。窒化された表面層のこのような不均一な微細構造は、その表面層の同等の、ただし均一な微細構造よりも、小さな疲労強度を備えたリングを提供する。他方で、第2のアプローチを使用する場合、逆変換されたオーステナイト相は、前記窒化された表面層においてのみならず、リング(の断面)全体にわたって得られる。しかしながら、リング全体にわたるこのような均一な微細構造は、窒化された表面層におけるよりもコアにおいてより少ない逆変換されたオーステナイト相を有するまたは逆変換されたオーステナイト相を含有しないリングよりも、より小さい疲労強度をリングに提供する。加えて、これらの公知のアプローチは、逆変換されたオーステナイト相の、推測された最適な体積割合に関して、分かれている。
本開示は、所定の逆変換されたオーステナイト相割合を含むことによってリングの疲労強度を高めるためのこれらの公知のアプローチを改良することを目的とする。特に、本開示は、所定の逆変換されたオーステナイト相部分を形成することによって駆動ベルトリング構成部材の疲労強度を高めるための別のアプローチを提供することを目的とし、この別のアプローチは、
i)前記逆変換されたオーステナイト相を形成することを特におよび/または排他的に目標とする特定のプロセスステップを必要とせず、
ii)主にリングの窒化された表面装置においてかつリングの窒化された表面層全体にわたってほぼ均一に分配された前記逆変換されたオーステナイト相部分を形成する。本開示によれば、2〜10体積%、好適には4〜8体積%の所望のオーステナイト相部分が、以下の条件が満たされるとき、有利には窒化熱処理の間にリングの窒化された表面層に形成される:
−マルエージング鋼基礎材料は、7質量%未満のコバルトを有し、好適には5質量%以下のコバルトを有する
−窒化熱処理は、490〜525℃、好適には500〜515℃で行われる。
窒化プロセス雰囲気に供給されるプロセスガスのアンモニア含有量および窒化処理時間などの、窒化熱処理のその他のプロセスパラメータは、国際公開第2013/002633号および国際公開第2015/097292号に論じられているように、リングに、所望の、すなわち15〜30μmの厚さの窒化された表面層が、実質的にいわゆる化合物層がリングの外面に形成されることなく提供されるように、選択される。
本開示によれば、基礎材料の、慣用的に適用される、比較的高いコバルト含有量が、逆変換されたオーステナイト相の形成を阻止することが、実験的に決定されてきた。これは、特開2002−3946号および特開2004−315875号によれば、窒化熱処理において達成することができないこのような高温が、これらの慣用的に適用される基礎材料における逆変換されたオーステナイト相の形成のためになぜ必要とされるか、を説明することができる。
さらに、本開示によれば、窒化熱処理の間にリングの表面層に導入された窒素が、逆変換されたオーステナイト相の前記形成に対して触媒効果を有することが分かった。これは、特開2002−3946号および特開2004−315875号によれば、公知の、特定の逆変換されたオーステナイト相形成熱処理における逆変換されたオーステナイト相の形成のためにこのような長い処理時間がなぜ必要とされるか、を説明することができる。また、窒素の前記触媒効果により、逆変換されたオーステナイト相がリングのコアに形成されないまたはリングのコアを包囲する窒化された表面層におけるよりもより少ない逆変換されたオーステナイト相が、リングのコアに形成される。これにより、リングの靱性の減少が好ましくは最小化される。
コバルトは、リングを時効硬化させるための析出形成を触媒する元素であるので、マルエージング鋼のコバルト含有量は慣用的に7質量%以上に設定されることに留意されたい。したがって、すなわち、本開示による比較的低いコバルト含有量を補償するために、少量の0.5〜1.5質量%のアルミニウムおよび/またはクロムが、好ましくは、基礎材料に加えられ、基礎材料は、さもなければ、18質量%のニッケル、7質量%未満、好適には、5質量%以下のコバルト、5〜7質量%のモリブデンと、僅か0.1質量%未満の極微量におけるバランス鉄およびその他の元素とから成る。
本開示の上述の基本的な特徴をここで添付の図面を参照しながら例として説明する。
公知の駆動ベルトおよびこのような公知のベルトを組み込んだ変速機の概略図である。 複数のフレキシブルな鋼リングの2つのセットと、複数の横断部材とを有する公知の駆動ベルトの一部の概略図である。 析出硬化および窒化の熱処理を含む、駆動ベルトリング構成部材の公知の製造方法を象徴的に示している。 駆動ベルトリング構成部材の微細構造を表示する、駆動ベルトリング構成部材の断面の写真表示である。
図1は、エンジンと、エンジンの被駆動輪との間において自動車の動力伝達経路において一般的に適用される公知の無段変速機またはCVTの中央部分を示している。トランスミッションは2つのプーリ1,2を有する。各プーリには、プーリ軸6または7に取り付けられた一対の円錐形のプーリディスク4,5が設けられている。プーリディスク4,5の間には、ほぼV字形の周方向のプーリ溝が形成されている。プーリディスク4,5の各対、すなわち、各プーリ1,2の少なくとも1つのプーリディスク4は、それぞれのプーリ1,2のプーリ軸6,7に沿って軸方向に可動である。駆動ベルト3はプーリ1,2の周囲に巻き付けられており、プーリ軸6,7の間で回転運動および付随するトルクを伝達するために、プーリ1,2のプーリ溝に配置されている。
トランスミッションは、概して、作動手段も有する。作動手段は、作動中、各プーリ1,2の前記軸方向に可動なプーリディスク4に、当該プーリ1,2のそれぞれの他方のプーリディスク5に方向付けられた軸方向に向けられた締付力を課し、これにより、駆動ベルト3がプーリ1,2のこれらのディスク4,5の間に締め付けられる。これらの締付力は、駆動ベルト3とそれぞれのプーリ1,2との間に加えることができる摩擦力のみならず、それぞれのプーリディスク4,5の間でのプーリ1,2における駆動ベルト3の半径方向位置Rも決定する。これらの半径方向位置Rはトランスミッションの速度比を決定する。このCVTはそれ自体よく知られている。
公知の駆動ベルトの一例が、周方向に面したその断面で、図2にいくぶんより詳細に示されている。この例では、駆動ベルト3は、2つのリングセット31を有する。各リングセット31は、複数の、互いにはめ合わされた、平坦でかつ薄い、すなわちリボン状の、フレキシブルな金属リング44の形式である。駆動ベルト3は、さらに、一列の横断エレメント32を有し、そのうちの1つが図2に正面図で示されている。リングセット31は、横断エレメント32によって形成された2つの軸方向に延びる凹所のそれぞれ1つに収容されている。それぞれの側において、横断エレメント32には、プーリディスク4,5と摩擦接触するための接触面34が設けられている。各横断エレメント32の接触面34は、V字形のプーリ溝の角度にほぼ一致する角度φで互いに向けられている。
CVTにおける作動中、駆動ベルト3のリング44は、前記締付力に対して半径方向に向けられた反応力によって緊張させられることがよく知られている。しかしながら、結果として生じるリング張力は、一定ではなく、トランスミッションによって伝達されるトルクのみならず、トランスミッションにおける駆動ベルト3の回転にも応じて変化する。したがって、リング44の引張強さおよび耐摩耗性に加え、疲労強度も、リング44の重要な特性および設計パラメータである。したがって、マルエージング鋼が、リング44のための基礎材料として使用される。この鋼は、鋼の全体的強度を高めるために析出形成(時効)によって硬化させることができ、加えて、耐摩耗性、特に疲労強度を高めるために、窒化によって表面硬化させることができる。
図3は、駆動ベルトリング構成部材44の公知の製造方法の関連する部分を示している。この公知の製造方法は、通常、自動車用途のための金属駆動ベルト3の製造のために当該技術分野において適用される。公知の製造方法の別個のプロセスステップは、ローマ数字によって示されている。
第1のプロセスステップIでは、約0.4mmの厚さを有するマルエージング鋼ベース材料の薄いシートまたはプレート11が円筒状に曲げられ、突き合わされたプレート端部12が第2のプロセスステップIIにおいて互いに溶接され、中空の円筒もしくは管13を形成する。プロセスの第3のステップIIIにおいて、管13はオーブンチャンバ50において焼きなましされる。その後、第4のプロセスステップIVにおいて、管13は複数の環状のリング44に切断され、これらのリング44は、その後、第5のプロセスステップVにおいて、延伸させられながら、通常は約0.2mmまでその厚さを減じるように、圧延される。このように延長させられたリング44は、オーブンチャンバ50における、摂氏600℃よりもかなり高い温度、例えば約摂氏800度におけるリング材料の回復および再結晶によって、前のローリングプロセスステップの加工硬化効果を除去するために別の、すなわちリング焼きなましプロセスステップVIを受ける。このような高温では、リング材料の微細構造は、完全にオーステナイトタイプ結晶から成る。しかしながら、リング44の温度が再び室温に低下すると、このような微細構造は、所望のように、再びマルテンサイトに変換する。
焼きなましVIの後、リング44は、2つの回転するローラの周囲に取り付けられかつ前記ローラを引き離すことによって所定の周長に延伸させられることによって、第7のプロセスステップVIIにおいて較正される。リング較正のこの第7のプロセスステップVIIにおいて、内部応力もまたリング44に課される。その後、リング44は、組み合わされた時効、すなわち、バルク析出硬化およびいわゆるガス軟窒化、すなわち表面硬化の第8のプロセスステップVIIIにおいて熱処理される。特に、このような組み合わされた熱処理は、アンモニア、窒素および水素ガスを含む制御されたガス雰囲気を含有するオーブンチャンバ50にリング44を保持することを必要とする。炉チャンバ、すなわちプロセス雰囲気において、アンモニア分子はリング44の表面において水素ガスと窒素原子とに分解し、窒素原子はリング44の結晶構造に進入することができる。これらの介在する窒素原子により、摩耗および疲労破壊に対する抵抗性が著しく高められることが知られている。特に、このような組み合わされた熱処理は、代替的に、時効および窒化の別個の前後する段階において行うことができ、この代替的なプロセスセットアップは、当該技術分野において公知である。通常、組み合わされたリング時効および窒化の第8のプロセスステップVIIIは、リング44の外面に形成された窒化層または窒素拡散ゾーンが25〜35ミクロンの厚さになるまで行われる。
複数のこのように加工されたリング44は、第9のプロセスステップIXにおいて、隣接するリング44の各対の間に最小限の半径方向の遊びまたは間隙を実現するように、選択されたリング44を積層、すなわち、同心状にはめ合わせることによってリングセット31を形成するように組み立てられる。特に、代わりに、リング較正の第7のプロセスステップVIIの直後、すなわち、リング時効およびリング窒化の第8のプロセスステップVIIIの前に、リングセット31を組み立てることも当該技術分野において公知であることに留意されたい。
上記の公知の製造方法において、時効および窒化の熱処理(プロセスステップVIII)は、第6のプロセスステップVIにおいて適用された焼きなまし温度から冷却された後に得られたリング44の完全にマルテンサイトの微細構造がリング44に保持されるように、配置される。特に、リング44の製造において適用されたマルエージング鋼の特定の組成に関して、前記熱処理の温度および継続時間を制限することによって、公知の製造方法において、オーステナイト相部分の形成が確実に回避される。
これまでの従来のアプローチは、マルエージング鋼最終製品の優勢なマルテンサイト微細構造内のあらゆる残留または復帰オーステナイト結晶が、マルエージング鋼最終製品の靱性および/または強度を低下させ、これは、実際、現時点で考えられる駆動ベルトリング構成部材44のために望ましくないという有力な技術的洞察に基づく。しかしながら、本開示によれば、窒化された表面層における少量のオーステナイト相は、代わりに、リング44の疲労強度の改善と実験的に相関させられることができる。特に、圧縮残留応力が優勢なリング44の窒化された外側表面層において、リング材料の靱性に対するオーステナイト相部分の公知の有害な効果は、そのより高い延性の有利な効果による相殺よりも明らかに大きい。
図4は、実際のリング44の窒化された表面層における実際のリング44の微細構造を示している。図4において、オーステナイト相APが、化学的エッチングおよび光検鏡(LM)によってその断面において見えるようにされており、オーステナイトの結晶/粒子は、図4において著しくより暗いマルテンサイト相結晶の間における白っぽい点として現れている。この図4において、オーステナイト相APは、リング44の断面の全表面積の約6%を表している。オーステナイト相APの体積割合は、オーステナイト相APのこのような表面積にほぼ相当する。なぜならば、オーステナイト結晶は、図4の断面の平面に対してランダムに配置されかつ向けられており、これにより、そのための現時点で請求された範囲内、すなわち、2〜10体積%に十分にあるからである。上述のように、窒化された表面層におけるオーステナイト相APの割合は、第8のプロセスステップVIIIにおける時効および窒化熱処理において適用される温度によって、または、少なくとも所定の臨界的なプロセス温度よりも高く、その継続時間を増大させることによって、制御することができる。より特に、より高い温度およびより長い継続時間は、前記熱処理において回復させられるオーステナイトの量を増大させかつその逆でもある。
本開示は、前記説明の全て及び添付図面の全ての詳細に加えて、添付の特許請求の範囲の全ての特徴にも関しかつこれらの特徴を含む。請求項1における括弧書きの符号は、請求項の範囲を限定するのではなく、単に、それぞれの特徴の制限しない例として提供されている。別々に請求項に記載された特徴は、場合によっては、任意の製品または任意の方法において別々に適用することができるが、これらの特徴の2つ以上のあらゆる組合せにおいて同時に適用することもできる。
本開示によって表された発明は、明細書に明示的に言及された実施の形態および/または実施例に限定されるのではなく、その補正、変更および実用的な適用、特に当業者の到達範囲にあるものをも包含する。

Claims (7)

  1. 2つのプーリ(1,2)および駆動ベルト(3)を備える無段変速機用の駆動ベルト(3)としてまたは駆動ベルト(3)において使用するためのフレキシブルなリング(44)であって、前記リング(44)は、7質量%未満のコバルトを含有するマルエージング鋼から形成されており、前記リング(44)には、マルテンサイト相マトリックスにおいて少なくとも2体積%、最大でも10体積%のオーステナイト相を含有する微細構造を有する窒化された表面層が設けられている、フレキシブルなリング(44)において、
    前記オーステナイト相は、前記リング(44)の前記窒化された表面層にわたって均一に分布させられており、前記窒化された表面層の内側の前記リング(44)のコアは、前記窒化された表面層よりも少ないオーステナイト相を含有することを特徴とする、フレキシブルなリング(44)。
  2. 前記リング(44)は、5質量%以下のコバルトを含有するマルエージング鋼から形成されている、請求項1記載のフレキシブルなリング(44)。
  3. 前記フレキシブルなリング(44)の前記窒化された表面層は、少なくとも4体積%、最大でも8体積%のオーステナイト相を含有することを特徴とする、請求項1または2記載のフレキシブルなリング(44)。
  4. 前記リング(44)の前記コアは、最大でも6体積%のオーステナイト相を含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載のフレキシブルなリング(44)。
  5. 前記リング(44)の前記コアは、最大でも4体積%のオーステナイト相を含有する、請求項4記載のフレキシブルなリング(44)。
  6. 前記リング(44)の前記コアは、オーステナイト相を含有しないことを特徴とする、請求項4記載のフレキシブルなリング(44)。
  7. 前記マルエージング鋼は、0.5〜1.5質量%のアルミニウムおよび/またはクロムを含有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のフレキシブルなリング(44)。
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