JP6788969B2 - 駆動ベルト用リングセットの製造方法における熱処理プロセス - Google Patents

駆動ベルト用リングセットの製造方法における熱処理プロセス Download PDF

Info

Publication number
JP6788969B2
JP6788969B2 JP2015550056A JP2015550056A JP6788969B2 JP 6788969 B2 JP6788969 B2 JP 6788969B2 JP 2015550056 A JP2015550056 A JP 2015550056A JP 2015550056 A JP2015550056 A JP 2015550056A JP 6788969 B2 JP6788969 B2 JP 6788969B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
heat treatment
ammonia
belt
treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015550056A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016505092A (ja
Inventor
ラウレ サテト ラファエレ
ラウレ サテト ラファエレ
ペーター ヴィレム ハイスマンス ルドヴィク
ペーター ヴィレム ハイスマンス ルドヴィク
マリニュス マリア マレンス ルール
マリニュス マリア マレンス ルール
ブランツマ アリエン
ブランツマ アリエン
ヘリト イサーク ファン デル フェルデ アリー
ヘリト イサーク ファン デル フェルデ アリー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Robert Bosch GmbH
Original Assignee
Robert Bosch GmbH
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Robert Bosch GmbH filed Critical Robert Bosch GmbH
Publication of JP2016505092A publication Critical patent/JP2016505092A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6788969B2 publication Critical patent/JP6788969B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G5/00V-belts, i.e. belts of tapered cross-section
    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C8/00Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C8/06Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using gases
    • C23C8/08Solid state diffusion of only non-metal elements into metallic material surfaces; Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive gas, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using gases only one element being applied
    • C23C8/24Nitriding
    • C23C8/26Nitriding of ferrous surfaces

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

本明細書は、請求項1の上位概念に記載した、駆動ベルト用リングセットの製造方法における熱処理プロセスに関する。駆動ベルトは、主に自動車に適用される公知の無段変速トランスミッションの2つの調節可能なプーリ間の動力伝達手段として主に用いられる。
このような形式の駆動ベルトは、一般に公知であり且つ多数の横断エレメント又はセグメントから成っている。これらの横断エレメント又はセグメントは、それぞれ多数の重ねられたフレキシブルなベルトリングから成る1つ又は2つ以上のリングセットに、摺動可能に組み込まれている。このような形式の駆動ベルトにおいて、横断エレメントはリングセットに結合されているのではなく、むしろCVTの作動中は、リングセットの周面に沿って摺動するようになっている。また、リングセットの個々のベルトリングも、作動中は互いに相対的に摺動する。
駆動ベルトのベルトリングは、択一的に帯材、ループ又はエンドレスベルトと呼ばれ、とりわけ大きな引張り強さ及び(曲げ)疲労強度の機械的な特徴と、鋼をシート形状の基本材料から所望の形状に処理する比較的良好な処理性と、最終製品であるベルトリングの材料特性とが組み合わされた、鋼、特にマルエージング鋼から製造される。前記所望の材料特性には、大きな引っ張り強度と、十分な弾性及び延性の特徴とを組み合わせてベルトリングの長手方向に曲げられるようにするための、リングコア材料の適正な硬度と、ベルトリングに耐摩耗性を与えるための、はるかに硬い外側又は表面層とが含まれる。更に、金属疲労に対する高い耐性を供与するために、かなりの圧縮残留応力が、ベルトリングの表面層に加えられる。この後者の特徴は、特に重要である。それというのも、ベルトリングはトランスミッション内の駆動ベルトの耐用年数の間に、多数の負荷及び曲げサイクルを被るからである。
このような駆動ベルトの製造方法は全体的に、当該技術分野において公知である。このような全体的な製造方法の1つの重要な部分が、ベルトリングの熱処理であり、この熱処理には、析出硬化の処理ステップと、窒化処理の処理ステップとが含まれる。
析出硬化は、時効としても知られており、摂氏400度(℃)を上回る温度にベルトリングを加熱することによって実現される。この温度で微細な金属析出物が培養されて、リング材料の複数の任意の箇所で成長する。析出物が成長するにつれて、リング材料の硬度は、一般に最大硬度値に到達するまで増大し、その後、リング材料の硬度は一般に再び減少し始める(いわゆる「過時効」)。ベルトリングの表面の(深刻な)酸化を防ぐために、析出硬化は通常、窒素ガス、又は若干の水素ガスが混入された窒素ガスといった、不活性の、又は減少された処理雰囲気内で実施される。
窒化処理は、付加的に硬化され、しかも圧縮(予)荷重の加えられた表面層を、ベルトリングに施与する。窒化処理、少なくとも一般的に適用される、窒化処理の変化態様であるガス軟窒化処理では、ベルトリングは、アンモニアガス(NH3)を含む処理雰囲気中で、やはり400℃を上回る温度に保持される。このような温度では、アンモニア分子がベルトリングの表面で解離して、水素ガスと窒素原子を形成し、窒素原子がリング材料の結晶格子に侵入する。窒化処理が続くにつれて、窒素原子は処理温度により決定される速度で拡散されることにより、表面から離脱してリング材料内へ侵入するので、ベルトリングには、増大された厚さの窒化表面層が施与されることになる。窒化物層の厚さも同様に、窒化処理において/より得られる、リング表面における硬度や圧縮残留応力といった材料特性に密接に関係していることから、窒化処理雰囲気の組成、特に窒化処理雰囲気中のアンモニアと水素の濃度、並びに窒化処理の温度と継続時間とに左右される。よって、これらの処理雰囲気の組成、処理温度、及び処理時間/継続時間の3つのパラメータは共に、窒化処理の主要な処理設定を代表するものである。
所与のトランスミッションに駆動ベルトを適用して実際に使用するためには、ベルトリングの窒化物層の厚さが、ベルトの長寿命の決定において主に重要となる。特に、窒化物層が極端に薄いと、ベルトリングの摩耗特性及び疲労特性が不十分となり、或いは窒化物層が極端に厚いと、リング材料が過度に脆くなって、リング応力レベルが作動中の弾性限界を超過することになる。いずれの場合も、ベルトリング、延いては駆動ベルト全体が早期に破損することになる。よって、窒化物層厚さに関して、一旦所望の又は目標とする値が指定されたならば、このような目標値を、駆動ベルトの(大量)生産において正確に且つ一貫して実現することが重要である。
駆動ベルトの大量生産では、多くの外部要因が窒化処理に影響を及ぼし、窒化処理を妨害することさえある。例えば、大規模な大量生産において、工業炉の処理温度は、大幅に変動することがある。更に、この炉には常に均一にベルトリングが装入されるわけではない。したがって装入量が、アンモニアガスが消費される、即ちリング表面において解離する速度を決定し、延いては処理ガスの所要供給量を決定する。これに応じて、窒化処理の処理設定を能動的に制御することが、窒化処理の所要の精度と一貫性にとって重要である。
実地においてこのことは、ベルトリングを一定の間隔で、通常の処理フローから取り出すことを意味している。この選ばれたベルトリングの窒化物層の厚さを測定する。このためには、例えば欧州特許出願公開第1869434号明細書に記載されているような、いくつかの測定方法が有効である。測定された実際の窒化物層厚さと、窒化物層厚さの目標値との間の差の大きさ及び符号に応じて、窒化処理雰囲気中のアンモニア濃度が調整され得る。特に、実際の窒化物層が前記目標値に到達していない場合には、通常アンモニアガスの供給量が増大され、或いは実際の窒化物層が前記目標値を超過した場合には、通常前記供給量が減少されることになる。
この公知の窒化処理の処理制御は、今まで長年にわたり上手く適用されてきたが、リングセットの製造方法の最近の進化を考慮したものではない。特に最近の進化は、熱処理後に個々のベルトリングからリングセットを組み立てる代わりに、熱処理前にリングセットを組み立てることに関する。この、リングセットの製造方法の設定に関する最近の進化は、欧州特許出願公開第1815160号明細書に記載されており、熱処理炉の利用率を大幅に向上させている。なぜならば、典型的には6〜12のベルトリングを備えるリングセットは、炉内で1つの個別のベルトリングと大体同じスペースを占有するからである。明らかに、リングセット内では、ベルトリングの大部分の表面は互いに近接しており、そこの処理雰囲気は、外部、即ちリングセット全体の外側表面を形成するリング表面におけるよりも容易に、アンモニアガスから減少する。よって、例え前掲の欧州特許出願公開第1815160号明細書に基づき、リングセット窒化処理の最適な処理設定が、とりわけ大量生産において発生する恐れのある窒化処理の連続的な障害及び/又はずれを考慮するために必要とされる、上述した窒化処理の能動的な制御によって、リングセットのベルトリングの各個別のリング表面に指定された窒化物層厚さを提供するために有効であるとしても、実際の処理設定は、実地において窒化処理の前記最適な設定から、多少なりとも逸脱する若しくはずれることになる。換言すると、前記指定された窒化物層厚さからのずれは、少なくともリングセットのベルトリングのいくつかのリング表面に関して、大量生産の既存の設定では、ほとんど避けられない。
本明細書は、駆動ベルトリングセットの既存の製造方法を、特にリングセットの窒化処理の処理ステップの点で改良することを目的とする。本明細書によれば、このような改良は、請求項1に記載の製造方法に見出される。特にこの新規な製造方法により、リングセットの内側において互いに面したリング表面と、リングセットの外側に面したリング表面の両方に広く対応して窒化物層の厚さに影響を及ぼす、リングセット窒化処理の処理ステップの能動的な制御が提供される。換言すると、目標値に満たない実際の窒化物層厚さを補償して、ベルトリングに実際に供与される窒化物層厚さを増大させるために処理設定が変更された場合、結果としてこの窒化物層厚さの増大は、リングセットにおける全てのベルトリングのリング表面全体について、好適には類似したものとなる。特に本発明による新規な製造方法では、実際の(即ち測定された)窒化物層厚さが、窒化物層厚さの目標値よりも小さいと、リングセット窒化処理の処理ステップが延長され、且つ実際の(即ち測定された)窒化物層厚さが目標値よりも大きいと、リングセット窒化処理の処理ステップが短縮される。同時に、処理ガス、特にアンモニアガスの供給量と、処理温度とは、好適には少なくとも前記のような厚さのずれに応じては変更されないままとなる。
駆動ベルトが設けられた、公知の無段変速トランスミッションの一例を概略的に示した図である。 駆動ベルトの断面を示す斜視図である。 駆動ベルトのリングセットコンポーネントの公知の製造方法の、本発明に関連する部分を概略的に示した図である。 図3に示した製造方法におけるガス軟窒化プロセスのステップを表す図である。
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
図1には、一般に自動車のエンジンと駆動輪との間の、自動車のドライブラインに適用される、公知の無段変速トランスミッション又はCVTの中心部分が示されている。このトランスミッションは2つのプーリ1,2を有しており、各プーリ1,2にはそれぞれ、2つの円錐形のプーリディスク4,5が設けられており、これらのプーリディスク4,5間には所定のV字溝が画定されており、一方のディスク4は、それぞれプーリ軸6,7上に配置されていて、これらのプーリ軸6,7に沿って軸方向に可動である。一方のプーリ1,2から他方のプーリ2,1へ、回転運動ωと付随するトルクTとを伝達するために、プーリ1,2には駆動ベルト3が巻き掛けられている。トランスミッションは一般に、作動手段も有しており、この作動手段は、少なくとも前記一方のディスク4に、軸方向に向けられた締付け力Faxを、それぞれ他方のプーリディスク5に向かって加え、これによりプーリディスク4,5間でベルト3が締め付けられることになる。またこれにより、被駆動プーリ2の回転速度と、駆動プーリ1の回転速度との間の(速度)伝達比も決定される。
公知の駆動ベルト3の一例が、図2に断面図で詳細に示されている。このベルト3には、2つのリングセット31が組み込まれており、各リングセット31は、それぞれ(本実施形態では)6つの薄く平らな、即ち帯状のフレキシブルなベルトリング32から成っている。ベルト3は更に、多数の板状の金属横断エレメント33を有しており、これらの金属横断エレメント33は、それぞれ横断エレメント33の各凹所内に配置されたリングセット31によって一緒に保持されている。横断エレメント33は、入力トルクTinがいわゆる駆動プーリ1に働くと前記締付け力Faxを受け取り、これによりディスク4,5とベルト3との間に生ぜしめられた摩擦が駆動プーリ1を回転させ、この回転は、同様に回転する駆動ベルト3を介して、いわゆる被駆動プーリ2に伝達される。
運転中、CVTでは駆動ベルト3と、特にそのベルトリング32とに、周期的に変化する引張応力及び曲げ応力、即ち疲労荷重が加えられる。よって典型的には、リング32の金属疲労に対する耐性、即ち疲労強度が、与えられた、駆動ベルト3によって伝達されるべきトルクTにおける、駆動ベルト3の機能的な耐用年数を決定する。そのため、リングセット製造方法の開発においては、最小限の複合材料と処理コストで、要求されるリング疲労強度を実現することが、長年の課題であった。
図3には、公知の駆動ベルト3を製造する方法、即ち駆動ベルト3のリングセット31を製造する方法全体の、本発明に関連する部分が図示されており、この場合、個々の処理ステップは、ローマ数字で表されている。
第1の処理ステップIでは、典型的には0.4mm〜0.5mmの範囲の厚さを有する基本材料の薄いシート又は薄板11を円筒形状に曲げ、第2の処理ステップIIにおいて、突き合わされた薄板端部12を互いに溶接して、開放した中空の円筒又は管13を形成する。第3の処理ステップIIIでは、管13を焼なましする。次いで、第4の処理ステップIVにおいて、管13を複数の環状帯材14に切断する。次いで第5の処理ステップVではこれらの環状帯材14を圧延して、その厚さを0.150〜0.200mmの値にまで、典型的には約185ミクロンにまで減少させる一方で、長さを引き延ばす。圧延後の帯材14は通常、ベルトリング32と呼ばれる。次いでベルトリング32を更に第6の処理ステップVIにおいて焼きなまし、摂氏600度(“℃”)を大幅に上回る、例えば約800℃の温度でのリング材料の回復及び再結晶により、前の圧延処理(即ち第5のステップV)の加工硬化作用を取り除く。次いで第7の処理ステップVIIにおいて、ベルトリング32を較正する、即ち、ベルトリング32を2つの回転ローラの周りに取り付けて、これらのローラを離間させることにより、所定の周長まで延伸させる。この第7の処理ステップVIIでは、ベルトリング32における内部応力の分散も行われる。
次いで、第8の処理ステップVIIIにおいて、適宜に互いに適合された周長の複数のベルトリング32から、これらのベルトリング32を互いの周面に重ね合わせることにより、各リングセット31を組み立てる。最後に、第9の処理ステップIXの析出硬化又は時効IX−A及びガス軟窒化処理IX−Nにおいて、リングセット31を熱処理する。特に、時効及び窒化処理には、典型的には窒素、水素及びアンモニアガス、一般に約10体積%のアンモニアガスから成る管理されたガス雰囲気を有する炉内で、リングセット31を400〜500℃、典型的には485℃の温度にまで加熱することが含まれる。
熱処理の正確な処理設定は、ベルトリング32の基本材料(即ちマルエージング鋼の合金組成)に応じて選択されると共に、ベルトリング32にとって望ましい機械的特性に応じて選択される。後者に関して注目されるのは、一般に、少なくとも500HV1.0のコア硬度値、少なくとも800HV0.1の表面硬度値、及び25〜35ミクロンの窒化された表面層若しくは窒素拡散領域の厚さが目標とされることである。前記熱処理の継続時間は、前記機械的特性、処理温度、及び処理雰囲気組成に基づき得られるものであり、実際には通常、30〜90分の範囲内の値を有することになる。
上述した処理ステップは、各処理ステップ、即ち駆動ベルト3の製造方法全体の、本発明に関連する部分を、極めて有効に実現するものであると考えられるが、ベルトリング32を熱処理した後にしか、これらのベルトリング32からリングセット31を組み立てないこと、即ち、前記第8の処理ステップVIIIと第9の処理ステップIXの順序を入れ替えることも、珍しくはない。
図4には、第9の処理ステップIXの窒化処理部分、即ち、リングセット31を窒化させる熱処理が概略的に示されている。簡略化するために、リングセット31の2つのベルトリング32のみを(断面で)図示してある。更に、これら2つのリング32間のギャップ34は、極めて誇張してある(即ち、実際にはこのようなギャップ34の幅は、ベルトリング32の厚さよりもはるかに小さく、数ミクロン程度にしか達しなくてよい)。ベルトリング32に窒化された表面層を提供するためには、リングセット31が、図4において各4つの円により概略的に表されたガス状のアンモニア分子を含有する処理雰囲気に浸漬される。大きな円は、アンモニア分子の窒素原子を表しており、より小さな3つの円は、アンモニア分子の水素原子を表している。アンモニア分子の少なくともいくつかは、ベルトリング32の表面において解離しており、この場合、3つの水素原子が放出されて、1つの窒素原子がベルトリング32の結晶格子内へ侵入可能になる。このアンモニア解離反応は、図4において破線で囲んだ楕円内に概略的に示されている。アンモニア解離反応の一部として、放出された水素原子は互いに結合して、水素ガスを形成する。つまりアンモニア解離反応は、以下の式で表される:
2NH→2(N)+3H (1)
一般に、このアンモニア解離反応(1)が発生する速度は、処理温度及び処理雰囲気中のアンモニア濃度に比例しており、且つ処理雰囲気中の水素濃度に反比例していることが分かっている。
図4に基づき、ベルトリング32の表面に対するアンモニアの供給は、リングセットにおいて隣接したベルトリング32の各対間のギャップ34の内側において(最も)不安定である。つまり、このギャップ34の内側にアンモニアは大抵(ガス)拡散によって供給されるのに対して、ギャップ34の外側には処理雰囲気の対流が循環及び/又は強制循環することにより、アンモニアが供給される(且つ水素が除去される)ようになっており、このようにして、ベルトリング32の表面において解離したアンモニア分子が置換される。このことは、処理雰囲気中のアンモニア濃度が変化した場合、アンモニア解離反応(1)が発生する速度に及ぼされる影響は、ギャップ34の内側に比べて、ギャップ34の外側ではかなり少ない、ということを意味している。これは単純に、ギャップ34の内側ではアンモニアの供給が不安定であることから、ギャップ34の外側のアンモニア濃度によって決まる(ガス)拡散速度により決定されるような供給では、アンモニアの供給量が大きく変動することになるという事実に基づいている。よって、アンモニア濃度の変化は、ギャップ34の内側に面したベルトリング32の表面における窒化物層の厚さに大きな影響を与えることになる。
一方、処理雰囲気中のアンモニア濃度が十分に高いと、ギャップ34の外側におけるアンモニア解離反応(1)は、アンモニア濃度の(小さな)変化に関係なく、(前記反応式(1)の)右側に、より一層向かうことになる。その結果、アンモニア濃度の変化は、ギャップ34の内側に面していない、即ち全体としてリングセット31の外側表面を形成するベルトリング32の表面における窒化物層の厚さに、比較的小さな影響を及ぼすことになる。
更に、処理温度が変化した場合も、ベルトリング32の表面においてアンモニア解離反応(1)が発生する速度には、ギャップ34の内側と外側とで異なる影響が及ぼされる。上述したように、ギャップ34の内側においてアンモニア分子の供給は不安定であり、アンモニア解離反応の速度は処理温度に関連して、ギャップ34の外側におけるよりも変動が少ない。ギャップ34の外側では、アンモニア分子は比較的豊富なので、特に処理雰囲気中のアンモニア濃度が十分に高く且つ処理温度が十分に低いと、アンモニア解離は、主に処理温度によって決定される。
それゆえ、時効と窒化処理とが組み合わされた第9の処理ステップIXの処理雰囲気中のアンモニア濃度と、処理温度の、各パラメータのいずれか一方における変化は、ギャップ34に面したベルトリング32の表面と、全体としてリングセット31の外側表面を形成するリング表面との間で、窒化物層の厚さに異なる影響を及ぼすことが分かっている。このことは、リングセット31におけるベルトリング32の全表面における窒化物層の厚さが、少なくとも互いに等しくない量の前記2つのパラメータのうちのいずれか一方によっては制御不能である、ということを意味している。
そのため本明細書では、時効と窒化処理とが組み合わされた第9の処理ステップIXの能動的な制御、特に第9の処理ステップIXで処理されるベルトリング32に供給される窒化物層の厚さの能動的な制御を、第9の処理ステップIXの継続時間パラメータに基づき実現することが選択されている。つまり、第9の処理ステップIXに適用される処理雰囲気に供給される処理ガスの組成と、処理温度とを、ベルトリング32に所望の窒化物層厚さといった所望の材料特性を提供するために予め決めておき、且つ処理結果にずれが生じた場合、即ち実際の窒化物層厚さが、所望の窒化物層厚さから逸脱していた場合には、特にこのようなずれに比例してプロセス継続時間を適合させることにより、ずれを相殺する。
付加的に、第9の処理ステップIXの継続時間により、この第9の処理ステップIXの制御性を支援するために、そこで適用される処理温度を、(少なくとも現在実際に一般的に適用されている処理温度と比較して)475℃未満、好適には約470℃の、比較的低い値に設定する。更に、同様に第9の処理ステップIXの継続時間により、この第9の処理ステップIXの制御性を支援するために、そこで適用される処理雰囲気に供給される処理ガス中のアンモニア濃度を、12体積%を上回る、好適には約15体積%の、(少なくとも現在実際に一般的に適用されている濃度と比較して)比較的高い値に設定する。更に、これらの独特の処理設定は、極めて好適であることが分かった。なぜならば、これらの処理設定は個々のベルトリングの窒化処理に適用されると共に、上述したリングセットの窒化処理にも適用されるからである。
上述の説明全体と、添付した詳細な図面とに加え、本明細書は、請求の範囲に記載した特徴全てに関するものであり、これを包含する。請求の範囲における括弧内の符号は、請求の範囲を限定するものではなく、単にそれぞれの特徴の非拘束的な例として記載されたに過ぎない。請求の範囲に記載の特徴は、場合によっては所与の製品又は処理に個別に適用され得るが、これらの特徴のうちの2つ又は3つ以上を組み合わせて適用することも可能である。
本明細書に記載された発明は、明細書に詳細に記載した実施形態及び/又は実施例に限定されるものではなく、特に関連技術分野の当業者が想到する範囲内での修正、変更、及び実際の適用をも包含している。

Claims (4)

  1. 互いに重ねられた複数のフレキシブルな鋼リング(32)から成る駆動ベルト(3)用のリングセット(31)を大量生産する方法であって、複数のフレキシブルな鋼リング(32)を互いに重ねて、前記リングセット(31)を形成する処理ステップ(VIII)と、該処理ステップ(VIII)に続く処理ステップ(IX)であって、前記リングセット(31)の前記リング(32)に、前記リングセット(31)の全体として熱処理によって窒化表面層を施与する処理ステップ(IX)と、を含む方法において、
    当該方法は、前記熱処理の継続時間を変化させるように設定されており、
    前記熱処理において、アンモニアガスを含有する加熱されたガス雰囲気中に前記リング(32)を入れ、前記ガス雰囲気中のアンモニアの温度及び量を一定に保ち、
    前記熱処理の後に、実地において一定の間隔で、複数の熱処理されたリング及びリングセット(31)から前記リング(32)を取り出し、選択された1つのリング(32)の窒化表面層の実際の厚さを測定し、測定した窒化物層厚さを、窒化物層厚さの所望の値と比較し、所望の値が、測定した窒化表面層の実際の厚さよりも小さい場合には、両者のずれに比例して、前記熱処理の継続時間を短縮し、或いは所望の値が、測定した窒化表面層の実際の厚さよりも大きい場合には、両者のずれに比例して、前記熱処理の継続時間を延長することを特徴とする、駆動ベルト(3)用のリングセット(31)を大量生産する方法。
  2. 前記熱処理において、前記ガス雰囲気中のアンモニアの量は、12体積%を上回る、請求項1記載の方法。
  3. 前記熱処理において、前記ガス雰囲気は、アンモニアに加えて更に窒素ガスと水素ガスとから成っており、前記ガス雰囲気中のアンモニア、窒素及び水素の量を一定に保つ、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記熱処理において、前記ガス雰囲気の温度は、400〜475℃の範囲内の値を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
JP2015550056A 2012-12-24 2013-12-20 駆動ベルト用リングセットの製造方法における熱処理プロセス Active JP6788969B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
NL1039971A NL1039971C2 (en) 2012-12-24 2012-12-24 Heat treatment process in a manufacturing method of a ring set for a drive belt.
NL1039971 2012-12-24
PCT/EP2013/077802 WO2014102214A1 (en) 2012-12-24 2013-12-20 Heat treatment process in a manufacturing method of a ring set for a drive belt

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016505092A JP2016505092A (ja) 2016-02-18
JP6788969B2 true JP6788969B2 (ja) 2020-11-25

Family

ID=47748725

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015550056A Active JP6788969B2 (ja) 2012-12-24 2013-12-20 駆動ベルト用リングセットの製造方法における熱処理プロセス

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6788969B2 (ja)
NL (1) NL1039971C2 (ja)
WO (1) WO2014102214A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021127477A (ja) * 2020-02-12 2021-09-02 トヨタ自動車株式会社 金属リング積層体の製造方法

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1213190A (en) * 1968-01-15 1970-11-18 Gen Electric Process and apparatus for internally nitriding tubes
CA991963A (en) * 1972-04-13 1976-06-29 Midland-Ross Corporation Method of nitriding
JPS609857A (ja) * 1983-06-27 1985-01-18 Plus Eng Co Ltd 精密プラスチツク金型用鋼
JPS6036646A (ja) * 1983-08-06 1985-02-25 Kunio Kusaka 精密プラスチツク金型用鋼
JPS61177358A (ja) * 1985-02-01 1986-08-09 Plus Eng Co Ltd 押出ピン用鋼
JPH02154834A (ja) * 1988-12-06 1990-06-14 Sumitomo Metal Ind Ltd 動力伝達用金属ベルトの製造方法
JPH0463231A (ja) * 1990-07-02 1992-02-28 Honda Motor Co Ltd 熱処理ワークの管理システム
JPH09257041A (ja) * 1996-03-22 1997-09-30 Ntn Corp 表面起点型損傷に強い転がり軸受
JP3630299B2 (ja) * 2000-07-24 2005-03-16 同和鉱業株式会社 無段変速機の金属ベルト用無端リングの製造方法
JP3685322B2 (ja) * 2000-12-06 2005-08-17 同和鉱業株式会社 マルエージング鋼の窒化処理方法
EP1176224B1 (en) * 2000-07-24 2014-04-16 Dowa Thermotech Co., Ltd. Nitrided maraging steel and method of manufacturing thereof
JP2005272884A (ja) * 2004-03-23 2005-10-06 Toyota Motor Corp ガス窒化方法
JP4981679B2 (ja) * 2004-11-17 2012-07-25 ロベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング プッシュベルト並びにその製作方法
WO2006104375A1 (en) * 2005-04-01 2006-10-05 Robert Bosch Gmbh Quality monitoring method in a push belt manufacturing process
JP5233131B2 (ja) * 2007-02-23 2013-07-10 株式会社Ihi 浸炭装置及び浸炭方法
WO2009132689A1 (en) * 2008-04-28 2009-11-05 Robert Bosch Gmbh Manufacturing method for a drive belt ring component
NL1037583C2 (en) * 2009-12-23 2011-06-27 Bosch Gmbh Robert Drive belt provided with a steel ring.

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014102214A1 (en) 2014-07-03
NL1039971C2 (en) 2014-06-25
JP2016505092A (ja) 2016-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013002633A1 (en) Manufacturing method for a drive belt ring component
KR20110020948A (ko) 구동 벨트용 금속 링 구성요소에 대한 열처리 방법
WO2018122397A1 (en) Metal ring component of a drive belt for a continuously variable transmission and its manufacutring method
JP6788969B2 (ja) 駆動ベルト用リングセットの製造方法における熱処理プロセス
JP5528347B2 (ja) 伝動ベルトのリング部品及びそのための製造方法
EP3234211B1 (en) Method for producing a flexible steel ring for a drive belt for a continuously variable transmission
EP3374662B1 (en) Metal ring component of a drive belt for a continuously variable transmission
EP3394475B1 (en) Transverse element for a drive belt, drive belt and method for manufacturing such a transverse element
JP5784144B2 (ja) 駆動ベルト金属リング構成部材の製造プロセスのための熱処理プロセス
JP2011518672A (ja) 駆動ベルトのリングコンポーネントの製造方法
JP6605474B2 (ja) ドライブベルト金属リング構成部品の製造方法および当該製造方法に従って製造された金属リング
JP6934934B2 (ja) マルエージング鋼から形成されかつ窒化された表面層が設けられたフレキシブルな鋼リング
JP5882357B2 (ja) 駆動ベルト金属リング構成部材の製造方法のための熱処理プロセス
NL1043882B1 (en) Ring circumference length calibration process in a manufacturing method of a ring set for a drive belt
JP6478919B2 (ja) 無段変速トランスミッションの駆動ベルト用のリングセット
JP6008976B2 (ja) ドライブベルト金属リング要素の製造方法における熱処理プロセス
EP3397877B1 (en) Method for manufacturing steel transverse elements for a drive belt for a continuously variable transmission
WO2015039933A1 (en) Flexible steel ring for a drive belt for a continuously variable transmission and method for producing such
WO2019120627A1 (en) Metal ring component of a drive belt for a continuously variable transmission and its manufacturing method
JP2014176900A (ja) 駆動ベルトのリングコンポーネントの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150825

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180409

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180730

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181128

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20181128

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20181205

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20181210

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20190201

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20190212

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20190917

C13 Notice of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C13

Effective date: 20200212

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200512

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200611

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20200915

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20201019

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20201019

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6788969

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150