JP6605474B2 - ドライブベルト金属リング構成部品の製造方法および当該製造方法に従って製造された金属リング - Google Patents

ドライブベルト金属リング構成部品の製造方法および当該製造方法に従って製造された金属リング Download PDF

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Description

本開示は、自動車において適用される従来公知の無段変速機もしくはCVTの2つの調節可能なプーリの間の動力伝達用のドライブベルトに通常は組み込まれる、無端の、薄い、フレキシブルな金属バンドの製造方法に関する。少なくともドライブベルトにおける適用に関連して、このようなバンドは金属リングとも称される。このようなドライブベルトおよびドライブベルトに適用される金属リングは、例えば欧州特許出願公開第1403551号明細書から一般的に公知である。通常はブッシュベルトと称されるこの公知のタイプのドライブベルトにおいて、複数のこのような金属リングが、少なくとも1つ、しかしながら典型的には2つの、積層された、すなわち互いに同心状に配置された金属リングのセットに組み込まれている。公知のプッシュベルトは、さらに、このようなリングセットに摺動可能に取り付けられた複数の横断金属エレメントを含む。
少なくとも前記プッシュベルト用途において、金属リングは、通常、並外れた疲労強度および耐摩耗特性を備える金属リングを提供するために、時効または析出硬化および窒化または表面硬化の熱処理を受けたマルエージング鋼から製造されている。特に、金属リングの表面層は、ガス軟窒化によって強化されており、このガス軟窒化においては、(格子間)窒素元素が拡散によってマルエージング鋼の原子マトリックスの外側層に導入される。ガス軟窒化プロセスは、金属リングを、アンモニアガスを含有するオーブンチャンバにおいて摂氏数百度の温度に維持することを必要とする。ガス軟窒化では、アンモニアガスは金属リングの表面において水素ガスと、拡散によって金属リングの原子マトリックスに進入することができる窒素原子とに解離する。
このような金属リングの一般的な製造方法のプロセスステップは、当該技術分野において公知になっており、例えば、国際特許出願公開である国際公開第2013/002633号に記載されている。この出版物では、ガス軟窒化プロセスの効率を、特にオーブンチャンバにおけるアンモニア濃度および/またはオーブンチャンバの温度に関して、ガス軟窒化プロセスの強度を高めることによって高めることができるが、高すぎるプロセス強度ではFe4Nなどの窒化鉄化合物の層が金属リングの表面に形成されることが回避されなければならないことが言及されている。このいわゆる化合物層は、すなわち、金属リングの疲労強度に対する有害な効果を有することが知られている。金属リングの表面における化合物層の存在は、エッチング後のリング表面の変色にリンクさせられる可能性がある。すなわち、ガス軟窒化プロセスのプロセスセッティングは、原理的に、エッチング後の前記変色(の不存在)に基づく比較的単純な試行錯誤アプローチによって決定することができる。
国際公開第2013/002633号の図7は、ガス軟窒化プロセスのプロセスセッティング/強度に依存した、可能な窒化鉄化合物層形成の、経験的に決定されたグラフを提供しており、このグラフは本願では図5として含まれている。このタイプのグラフは、レーラー図として知られている。
レーラー図では、Y軸は、窒化ガス雰囲気中のアンモニア(NH3)、窒素(N2)および水素(H2)の間で生じる化学反応の平衡定数KNを表しており、すなわち:
2NH3⇔N2+3H2 (1)
この平衡定数KNは、これにより、以下のように計算される:
N=(p[NH3])/(p[H2]^1.5) (2)
ここで、p[X]は、Xのプロセス雰囲気における圧力(分圧)を表している。
国際公開第2013/002633号の開示において、金属リング窒化プロセスのプロセスセッティングは、レーラー図における化合物層形成の境界線の近く、ただしその安全側(すなわちそれよりも下)になるように決定される。摂氏500度の温度Tにおける4bar-1/2の平衡定数KNが、これに関して国際公開第2013/002633号において特に言及されている。
しかしながら、本開示の基礎をなす実験的調査に従って、公知の開示とは対照的に、レーラー図における前記境界線からますますさらに離れたガス軟窒化プロセスにおけるプロセスセッティングを適用することによって、金属リングの疲労強度が高まり続けるということが予想外に発見された。適用されたプロセスセッティングが前記境界線からかなり外れたときにのみ、疲労強度は最適状態にあるように見える。なぜならば、(さらなる)高まりはもはや観察されないからである。
上記観察により、本出願人は、レーラー図における前記境界線に近いが、それよりも下の様々なプロセスセッティングを用いて窒化された複数の金属リングの詳細な調査を行った。これらの調査の一部として、窒化された金属リングは、X線回折法(XRD)によって分析され、X線回折法は、エッチング法を用いたときにリング表面の変色が観察されなかったにもかかわらず、窒化鉄の存在を証明した。実際には、窒化鉄は、リング表面に層で存在するのではなく、金属リングの原子マトリックスにおいて、小さなサイズ、特にナノメートルからサブマイクロメートルスケールの粒子の形式で存在するように見えた。さらに、窒化鉄粒子の検出された量およびサイズを、金属リングの疲労強度に(逆に)リンクさせることができた。
上記の観察および調査に基づいて、ここで、窒化鉄化合物層(の形成)の前に、前記小さなサイズの窒化鉄粒子が原子マトリックスにおいて形成および成長し、特に、金属リングの表面欠陥と一致すると仮定される。これらの表面欠陥において、これらの格子間窒化鉄粒子は、リング材料の(局所的な)脆さを増大し、これにより、(局所的に)金属リングは、疲労破壊の開始およびその後の成長を生じやすくなり、すなわち、これにより、全体として金属リングの疲労破壊に対する抵抗性を減じる。したがって、本開示によれば、金属リング窒化プロセスのプロセスセッティングを選択するための決定基準は、レーラー図および/または化合物層の形成であるべきではなく、このような化合物層形成に先行する格子間窒化鉄粒子の最大量およびサイズであるべきである。その実用的な適用のために、この後者の判定基準は、図5におけるレーラー図の前記境界線と、任意のプロセス温度におけるガス軟窒化プロセスにおいて実際に適用される窒化反応の平衡定数KNとの間の4bar-1/2の最小差を適用する場合に、経験的に定量化されてきた。例えば、図5によれば、500℃の好適な窒化プロセス温度において、窒化反応の平衡定数KNが(約)6bar-1/2未満に設定されていると窒化鉄は形成されず、本開示によれば、最適なリング疲労強度は、2bar-1/2(すなわち6マイナス4)未満の値においてのみ実現される。これに代えて、6bar-1/2の平衡定数KNのための好適な公称値と組み合わせて、最適なリング疲労強度は、本開示によれば(約)480℃のプロセス温度において実現される。
本開示による金属リング窒化プロセスの好適な実施の形態において、快適に制御可能な組成および温度を有する窒化ガス雰囲気においてリングに最適な疲労強度を提供するという考慮で、窒化反応の平衡定数KNは6±2bar-1/2に制御され、温度Tは470±5℃に制御される。このような金属リング窒化プロセスの(所要の)プロセス継続時間は、リングの窒化された表面層に所要の厚さを提供するためにかかる時間によって決まる。通常、このような所要の厚さは、0.030±0.005mmでしかなく、この厚さは、通常、上記で規定された、制御されるプロセスガス雰囲気において60±12分で達成される。
本開示の上述の基本的な特徴をここで添付の図面を参照しながら例として説明する。
2つのプーリ上を走行するドライブベルトを備える無段変速機の概略的な透視図である。 透視図で示された公知のドライブベルトの一部の概略図であり、この部分は、2つのリングセットを有しており、各リングセットは、同心状に配置された複数の金属リングと、複数の横断部材とを含む。 公知のドライブベルト製造方法の一部の概略を図示しており、この方法は、ドライブベルトの金属リング構成部品のガス軟窒化のプロセスステップを含む。 ガス軟窒化の公知のプロセスステップをより詳細に示す図である。 適用されるプロセスセッティングに応じた、ガス軟窒化のプロセスステップにおける可能な窒化鉄化合物層形成を示すグラフである。 金属リングの疲労特性と、ガス軟窒化のプロセスステップにおいてその表面に形成された窒化鉄の量との関係を示すグラフである。 図5のグラフであるが、付加的に、本開示の基礎をなす技術的洞察を示している。
図1は、エンジンと、エンジンの駆動輪との間の自動車の動力伝達経路において一般的に適用される無段変速機またはCVTの中央部分を概略的に示している。トランスミッションは、2つのプーリ1,2を有する。各プーリ1,2には、2つの円錐形のプーリディスク4,5が設けられており、それらの間に、大部分がV字形のプーリ溝が形成されており、そのうちの一方のディスク4は、ディスクが配置されているそれぞれのプーリ軸6,7に沿って軸方向に可動である。ドライブベルト3は、一方のプーリ1,2から他方のプーリ2,1へトルクTおよびそれに伴う回転運動ωを伝達するために、摩擦によって保持されながら、すなわちプーリディスク4,5の間に締め付けられながら、プーリ1,2の周囲に巻き付けられている。それと同時に、それぞれのプーリ1,2のディスク4,5の間におけるドライブベルト3の走行半径Rは、CVTの(速度)比、すなわちそれぞれのプーリ1,2の回転速度の比を決定する。
公知のドライブベルト3の一例が、より詳細な図2においてその断面図で示されている。このベルト3は、それぞれ、複数の同心状に配置された、すなわち互いに重ね合わされた個々の金属リング32から成る2つの無端キャリヤ31もしくはリングセット31を有するように示されている。ドライブベルト3は、さらに、リングセット31と接触しておりかつリングセット31によって一緒に保持された複数の板状の横断部材30を含む。横断部材30は、プーリのそれぞれの側面に提供されたプーリ接触面33を介して各プーリ1,2のディスク4,5の間に加えられる締付力を受け取る。これらのプーリ接触面33は、円錐形のプーリディスク4,5の間に形成されたV字形角度、すなわちプーリ1,2のV字形プーリ溝にほぼ合致するように、半径方向外方へ向かって互いに拡開している。各横断部材30のいわゆる揺動エッジ34は、一定の厚さの半径方向外側部分と、テーパした半径方向内側部分との間の移行部である。この揺動エッジ34と、横断部材30のテーパした形状とにより、ドライブベルト3は滑らかに湾曲した軌道をたどることができる。
CVTにおける作動中、ドライブベルト3、特にドライブベルト3の金属リング32は、周期的に変化する引張応力と曲げ応力、すなわち疲労荷重を受ける。通常、金属リング32の疲労に対する抵抗性または疲労強度は、これにより、ドライブベルト3によって伝達される任意のトルクTにおけるドライブベルト3の機能寿命スパンを決定する。したがって、最小限の組み合わされた材料および処理コストで所要のリング疲労強度を実現するためのドライブベルト製造方法の開発が、長期にわたる一般的な目的であった。
図3は、特に自動車用途のためのドライブベルト製造の早期以来実施されているような、ドライブベルト3のリングセット31の公知の製造方法の関連する部分を示している。図3には、別個のプロセスステップがローマ数字で示されている。
第1のプロセスステップIでは、約0.4mmの厚さを有するマルエージング鋼ベース材料の薄いシートまたはプレート11が円筒状に曲げられ、突き合わされたプレート端部12が第2のプロセスステップIIにおいて互いに溶接され、中空の円筒もしくは管13を形成する。プロセスの第3のステップIIIにおいて、管13は焼きなましされる。その後、第4のプロセスステップIVにおいて、管13は複数の環状のフープ14に切断され、これらのフープ14は、その後、第5のプロセスステップVにおいて、延伸させられながら、通常は0.2mmまでその厚さを減じるように、ローリングされる。ローリングの後、フープ14は、通常、金属リング32と称される。
金属リング32は、摂氏600度よりも大幅に高い温度、例えば約摂氏800度におけるリング材料の回復および再結晶によって、前のローリングプロセスステップの加工硬化効果を除去するために、別の、すなわちリング焼きなましプロセスステップVIを受ける。その後、第7のプロセスステップVIIにおいて、金属リング32は、金属リング32を2つの回転するローラの周囲に取り付け、前記ローラを離反させて金属リング32を所定の周長まで伸張させることによって、調整される。この第7のプロセスステップVIIにおいて、内部応力もまた金属リング32に課される。
その後、金属リング32は、2つの別個のプロセスステップ、すなわち、時効またはバルク析出硬化の第8のプロセスステップVIIIと、窒化または表面硬化の第9のプロセスステップIXとにおいて熱処理される。特に、このような両熱処理は、制御されたプロセスガス雰囲気を含有するオーブンチャンバ50において金属リング32を加熱することを含む。時効(プロセスステップVIII)の場合、このようなプロセスガス雰囲気は、通常、窒素ガスと、僅かな、例えば5体積%までの水素ガスとから成る。窒化(プロセスステップIX)の場合、このようなプロセスガス雰囲気は、窒素、水素およびアンモニアガスを含み、アンモニアガスは(部分的に)金属リング32の表面において水素ガスと窒素原子とに解離する。これらの窒素原子は、金属リング32の原子マトリックス内へ進入、すなわち拡散し、耐摩耗性の、硬化窒化された表面層を提供する。
時効および窒化のこれらの両熱処理は、通常、摂氏400度〜摂氏500度の温度範囲において生じ、それぞれ、金属リング32のベース材料(マルエージング鋼合金配合物)と、そのために望まれる機械的特徴とに依存して、約45分から120分を超える間継続することができる。この後者に関して、典型的には、520HV1.0以上のリングコア硬さ値、875HV0.1のリング表面硬さ値、および、25〜35ミクロンの範囲の、択一的に窒素拡散ゾーンと称される、窒化された表面層の厚さが狙われることに注目される。
最後に、最後に示された、すなわち、第11のプロセスステップXIにおいて図3にさらに示されているように、このように形成および処理された複数の金属リング32を半径方向に積層、すなわち、同心状に重ね合わせることによって、リングセット31が形成される。明らかに、リングセット31の金属リング32は、そのために適切に寸法決めされなければならず、例えば、一方の金属リング32が他方の周囲にはめ合わされるように周長が僅かに異ならなければならない。このために、リングセット31の後続の金属リング31は、典型的には、前の、すなわち第10のプロセスステップXにおいて、異なるが、既知の周長の金属リング32のストックから、目的にかなうように選択される。
一般的な注意として、以上に説明した全体的なドライブベルト3の製造方法は、単に一例として機能することが留意される。製造方法の複数の小さな、さらには大きな変更は、既知である。例えば、1つの組み合わされたプロセスステップにおいて/として時効および窒化の熱処理を行うこと、すなわち、上記の第8および第9のプロセスステップVIII,IXを同時に行うことが公知である。
図4に、窒化の第9のプロセスステップIXがより詳細に示されている。オーブンチャンバ50は、このようなチャンバ50へのおよびチャンバ50からの金属リング32の挿入および排出のためにドア54を通じてアクセスすることができる。さらに、オーブンチャンバ50におけるプロセスガス雰囲気は、このようなチャンバ50への水素、窒素およびアンモニアのガス流をそれぞれ制御するレギュレータ弁51,52および56によって制御される。オーブンチャンバ50内の温度、すなわち、プロセスガス雰囲気の温度は、この実施の形態では、電気加熱コイル55によって制御される。排出ライン53が設けられており、あらゆる過剰なプロセスガスをオーブンチャンバ50から逃がすことができる。
金属リング32の窒化(プロセスステップIX)の間、窒化鉄のいわゆる化合物層を、プロセス温度Tと、プロセスガス雰囲気組成とに依存して、金属リング32の外面に形成することができる。図5は、ガス軟窒化プロセスのこのようなプロセスセッティングに依存した、マルエージング鋼における可能性のある窒化鉄化合物層形成の、経験的に決定されたグラフを提供しており、そのうちプロセスガス雰囲気組成は、可逆的アンモニア分解反応の平衡定数KNによって表されている:
2NH3⇔N2+3H2 (1)
図5において、比較的明確に規定された境界線は、化合物層の形成を生じるときまたは生じないときの前記窒化プロセスセッティングT,KNの間の移行をマークしている。化合物層は、金属リング32の疲労強度にとって極めて有害であることが知られているので、窒化プロセスセッティングT,KNは、実際には、常に、前記境界線のすぐ下側から選択される。例えば、4bar-1/2の平衡定数KNおよび摂氏500度の温度Tがこれに関して特に国際公開第2013/002633号に言及されており、プロセスセッティングのこの組み合わせは図5のグラフに“x”でマークされている。
図6は、XRD技術を用いて金属リング32の表面の近くで測定された窒化鉄(Fe4N)の相対的な量Cに関する、金属リング32の疲労強度を表す特性SRをリンクする、すなわち、特定の疲労試験を生き延びた金属リング32の標本のパーセンテージとして定量化された、本開示の基礎をなす実験的なデータのグラフを提供している。図6において、窒化鉄(Fe4N)の前記相対的な量Cは、化合物層形成の境界線におけるプロセスセッティングT,KNで窒化された(プロセスステップIX)金属リング32において測定された窒化鉄(Fe4N)の絶対的な量のパーセンテージとして表さされており、後者の絶対的な量は、ひいては、前記相対的な量Cの100%値を表す。
図6は、金属リング32の表面に化合物層が形成されないように窒化プロセスセッティングT,KNが設定されたとしても窒化鉄分子を依然としてXRDによってどうにか検出することができるというここでの観察を反映している。明らかに、これらの状況において、窒化鉄は、完全にまたは部分的に形成された表面層として存在するのではなく、その代わりに、金属リング32の原子マトリックスにおける小さなサイズの粒子として存在する。さらに、これらの窒化鉄粒子でさえ、図6のグラフから明らかなように、金属リング32の疲労強度に有害な効果を有する。図6からも明らかなように、前記相対的な量Cが10%未満に減少すると、前記疲労強度に対するいかなる効果ももはやほとんど計測されない。
すなわち、本開示によれば、金属リング32の疲労強度は、図5における化合物層形成の前記境界線よりもある距離だけ下方において窒化熱処理(プロセスステップIX)におけるプロセスセッティングT,KNを選択することによって、高めることができる。特に、この後者に関して、窒化プロセスステップIXの任意のプロセス温度Tにおいて、そのプロセスガス雰囲気の平衡定数KNは、図5のグラフにおける前記境界線を規定したKN値よりも少なくとも4bar-1/2だけ低く設定されるべきである。窒化熱処理(プロセスステップIX)におけるプロセスセッティングT,KNのためのこの新規の要求は、図7のグラフに線Lによって示されている。比較のために、図5の化合物層形成のための前記境界線および従来の好適なプロセスセッティングを表すマーク“x”もまた図7に示されている。
最後に、図7における斜線の領域Aは、実現されたリング疲労強度改善と、窒化プロセスステップIXの継続時間との間の最適条件に関する、窒化プロセスセッティングT,KNの好適な範囲を示している。結局、プロセス温度Tが低いほどおよび/またはプロセスガス雰囲気の平衡定数KNが低いほど、所要の厚さの窒化表面層を金属リング32に提供するためにかかる時間が長くなる。本開示によれば、窒化プロセスセッティングT,KNのこのような好適な範囲は、6±2bar-1/2のプロセスガス雰囲気の平衡定数KNと、470±5℃のプロセス温度とによって規定される。

Claims (1)

  1. 無段変速機用のドライブベルト(3)用の金属リング(32)を窒化する方法であって、該金属リング(32)をオーブンチャンバ(50)に配置し、該オーブンチャンバ(50)に少なくともアンモニアガスを供給し、
    前記オーブンチャンバ(50)におけるアンモニアから水素および窒素へのおよびその逆の可逆的化学反応の平衡定数KNであって、該平衡定数KNは、等式
    N=(p[NH3])/(p[H2]^1.5) (2)
    によって提供され、p[NH3]は前記アンモニアガスの分圧を表し、p[H2]は水素ガスの分圧を表し、
    平衡定数KN の値を、4〜8bar -1/2 の値に制御するとともに前記オーブンチャンバ(50)における温度を、465〜475℃の値に制御することを特徴とする、無段変速機用のドライブベルト(3)用の金属リング(32)を窒化する方法。
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