JP2013194287A - マルエージング鋼のガス窒化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マルエージング鋼を、アンモニアガスを含む雰囲気中において加熱する工程を有している、マルエージング鋼のガス窒化処理方法であって、前記アンモニアガスを含む雰囲気は、窒化ポテンシャルを0.2以上2.0以下とし、かつ前記加熱の温度は、480℃以上500℃以下とする。
【選択図】図1
Description
ルを低くして窒化処理を行なうので、マルエージング鋼の表層部に白層が形成されることは抑制される。このことにより、窒化処理によるマルエージング鋼の脆化を抑制することができる。また、耐久性が向上するために、マルエージング鋼製の部品を製造する場合に、断面積を小さくするなどして、材料費の低減を図ることもできる。
図1において、横軸はガス窒化処理温度、縦軸は窒化ポテンシャルKNを示している。ガス窒化処理炉内の窒化ポテンシャルKNは、0.2以上2.0以下、好ましくは0.2以上1.4以下、より好ましくは0.2以上1.0以下、特に好ましくは0.2以上0,5以下である。
ここで、窒化ポテンシャルKNは、以下の式(1)で表される。なお、φR(NH3)およびφR(H2)は、それぞれ、前記ガス窒化処理炉内におけるアンモニアガス分圧、および水素ガス分圧である。
KN=φR(NH3)/φR(H2)3/2・・・(1)
炉内の温度が下げられる。
なお、窒化により圧縮残留応力が発生するのは、マルエージング鋼に含まれているたとえばMo、Ti、Alなどが窒化されることにより、元の金属よりも体積が大きくなる作用に基づく。
すなわち、図1において、窒化ポテンシャルKNが、2.0を超える場合には、マルエージング鋼の表層部に白層が生成し易い。表層部付近におけるアンモニアガス濃度が高すぎるため、窒化鉄(Fe2N、Fe4N)が多く生成するからである。また、窒化ポテンシャルKNが0.2未満の場合には、窒化不足気味となる。この場合には、マルエージング鋼の表層部付近の窒素濃度が不足気味となるため、窒化層が薄くなる。ガス窒化処理温度が500℃を超える場合には、過時効となり、強度が低下する。また、ガス窒化処理温度が480℃未満の場合には、時効不足または窒化不足となり易い。
処理対象となるマルエージング鋼としては、成分(重量%)として、17〜19%のニッケル(Ni)、7.0〜8.5%のコバルト(Co)、4.6〜5.2%のモリブデン(Mo)、0.3〜0.5%のチタン(Ti)、0.05〜0.15%のアルミニウム(Al)を含む、いわゆる18%Ni鋼を用いた。
次の表1の実施例1〜9、および比較例1〜8の条件に従ってガス窒化処理を行なった場合に、窒素が溶体処理後のマルエージング鋼に対して、どの程度浸入するかを考察した。また、窒素浸入深さの違いが、マルエージング鋼の厚み方向の残留応力分布に対してどのような影響を及ぼすかをも考察した。この考察に際しては、上記成分組成を有するマルエージング鋼製の薄板を被処理物として実測したデータに基づいて作成したシミュレーシ
ョンソフトを使用した。本実施例において、シミュレーションを行なうに際し、窒化処理時間を1.08時間とした。
上記は、後述の図3〜図6についても同様である。
適切なものになっている。また、薄板の表面に白層が形成される場合には、窒素濃度が表層部で急激に増加するが、図2においては、そのような現象は認められない。よって、実施例1,2では、白層は殆ど形成されていない。
一方、窒化ポテンシャルKNが2.2である比較例6〜8の窒素浸入深さは、表1に示すように63〜77μmである。比較例6〜8のいずれにおいても、窒素浸入深さは、比較例1よりも深くなっている。窒素浸入深さが深くなることにより、残留応力のピークが、比較例1と比較して、より内部にまでシフトし、かつ大きくなっている。しかし、比較例6〜8のいずれにおいても、薄板の表層付近で、窒素濃度が急激に増加し、白層が形成される。従って、比較例6〜8の条件で窒化処理を実施した場合には、マルエージング鋼は、脆化し易い。
ガス窒化処理方法の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において変更可能である。
Claims (1)
- マルエージング鋼を、アンモニアガスを含む雰囲気中において加熱する工程を有している、マルエージング鋼のガス窒化処理方法であって、
前記アンモニアガスを含む雰囲気は、窒化ポテンシャルを0.2以上2.0以下とし、かつ前記加熱の温度は、480℃以上500℃以下とすることを特徴とする、マルエージング鋼のガス窒化処理方法。
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