JP2021507997A - 無段変速機用の駆動ベルトの金属リング構成要素およびその製造方法 - Google Patents

無段変速機用の駆動ベルトの金属リング構成要素およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、無段変速機用の駆動ベルト(3)で使用するための金属リング(41)であって、マルエージング鋼から作られかつ窒化表面層を備える金属リング(41)に関する。本発明によれば、窒化表面層の5ミクロンの深さで、窒素含有量は少なくとも0.80質量%になる。

Description

本開示は、自動車に適用される周知の無段変速機またはCVTの2つの調節可能なプーリ間で動力を伝達するための駆動ベルトのリング構成要素として使用される無端かつ可撓性の金属バンドに関する。駆動ベルトでは、いくつかのそのような金属リングが積層され、すなわち半径方向で互いに入れ子にされて、少なくとも1つの、しかし大抵は2つの組体に組み込まれている。既知の駆動ベルトはさらに、そのような1つまたは複数のリング組体にスライド可能に取り付けられ、通常は同様に金属から作られるいくつかの横断セグメントを備える。
マルエージング鋼は、通常、金属リングの基本材料として使用される。この材料は、時効と、窒化、特に、いわゆるガス軟窒化による表面硬化とによる析出硬化を含む、該材料の少なくとも適切な熱処理後に、摩耗ならびに曲げおよび/または引張応力疲労に対して優れた耐性を提供するためである。マルエージング鋼の基本的な合金元素は、鉄、ニッケル、コバルト、およびモリブデンであり、少量のチタン、クロム、アルミニウムなどを含むことがあり、残りは鉄である。現在広く用いられるには至っていないが、他の析出硬化鋼合金は、マルエージング鋼の可能性のある代替案として知られている。
金属リングの駆動ベルト用途では、降伏強度だけでなく、表面硬さ値および表面圧縮応力レベルも重要な製品特性であり、これらは、駆動ベルトの耐負荷能力および寿命を決定する。時効および窒化の前記熱処理により、これらの製品特性が最終的に決定される。特に、窒化では、金属リングの表面層に窒素を豊富に含ませることで、1000HV0.1以上の表面硬さと、1000MPa以上の圧縮応力が実現される。このような窒化表面層により、金属リングには、例えば、変速機の駆動ベルトの動作中におけるリング組体と、横断セグメントおよび/または変速機プーリとの衝突および/または滑接触によって引き起こされる摩耗に対する非常に優れた耐性がもたらされる。
駆動ベルトの製造において、窒化表面層の厚さを、駆動ベルトの耐用年数を保証するために必要な金属リングの耐摩耗性のレベルとなる必要な値に設定することは現在の標準的な慣行である。そして、そのような窒化物層厚さを得るために、特にプロセスガス中のアンモニアおよび水素の分圧、プロセスガスの温度、ならびに窒化プロセスの継続時間を制御することにより、ガス軟窒化プロセスは制御される。
ベルト製造プロセス、特にその金属リング窒化プロセス部分の上述した従来の設定は、現在のところ、長年に亘って満足のいくものであることが証明されている。しかしながら、本開示によれば、過去10年ほどに亘って、駆動ベルト用途のために開発され、駆動ベルトの連続生産に最近導入されたばかりの新世代のマルエージング鋼組成により、この従来の設定はもはや最適ではない。このような基本的な組成は、例えば
−17〜19質量%のニッケル(Ni)と、
−15〜17質量%のコバルト(Co)と、
−少なくとも5質量%、好ましくは6.5〜8質量%のモリブデン(Mo)、および場合によって少量のチタン、クロム、アルミニウムなどと、残りの鉄とを含む。
特に、本開示の根底にある洞察は、とりわけ、これらの新しいマルエージング鋼組成によって駆動ベルトのダウンサイジングが可能になったため、金属リングの引張応力負荷が駆動ベルトの動作限界を決定する上でますます重要なパラメータになったことである。本開示の根底にあるさらなる洞察によれば、金属リングのそのような引張強度または降伏強度は、原理的には、比較的脆弱な窒化表面層の窒化物層厚さを減少させることによって増加させることができる。
上記の洞察に基づいて、本開示は、窒化物層厚さに関してだけではなく、すなわち窒素拡散浸透の深さに関してだけはなく、深さに亘る、すなわちリング表面から内側への垂直距離に亘る窒素濃度に関しても、製造における窒化プロセスを定量化かつ制御することを提案する。本開示によれば、現在の慣行と比較して、リング表面近くでの比較的高い濃度の窒素が、リングの降伏強度を改善しながら、リングの通常の耐摩耗性を少なくとも維持するのに好都合である。同時に、金属リングのより深いところ、すなわち金属リングの表面からより離れたところの窒素濃度を、現在の慣行に比べて低くすることが好ましい。上述の、マルエージング鋼の比較的高いモリブデン含有量は、リング表面近くの窒素原子との結合に対して高い親和性を有するモリブデン原子によって、そのような高い窒素含有量を実現することができる。
特に本開示によれば、5〜20ミクロンの深さ範囲が考慮される。少なくともマルエージング鋼の組成とは関係なく、とにかく、リング表面に近いほど、またリング表面から離れるほど、窒素濃度はあまり変化しないようである。この点に関して、本開示によれば、窒化表面層は、
−5ミクロンの深さで、重量比で0.80質量%以上、好ましくは1.0質量%超の窒素含有量;および/または
−20ミクロンの深さで、重量比で0.15質量%以下、好ましくは0.10質量%未満の窒素含有量によって定量化される。
さらに本開示によれば、窒化表面層は、追加的または代替的に、10〜15ミクロンの深さでの0.050質量%/ミクロン超の、好ましくは0.075質量%/ミクロン超の窒素含有量対深さプロファイルの局所勾配の絶対値によって、定量化される。
本開示の別の態様によれば、上記と同じ洞察に基づいて、窒化表面層、すなわちその厚さも、金属リングの断面周囲に沿って最適化することができる。特に、そのような周囲に沿った窒化物層厚さは、金属リングに、または個々の金属リングにさえも局所的に必要とされる表面硬さおよび/または圧縮応力に適合される。例えば、金属リングの軸線方向側面が、該金属リングの半径方向内側および外側の主面よりも、横断セグメントまたはプーリとの前記接触により、より深刻な影響を受けることを考慮に入れることは有利であり得る。一方、半径方向を向く主面の材料特性は、延性が高く、脆性が少ないミクロ構造の恩恵を受ける、金属リングの曲げ疲労強度の大部分を決定づける。さらに、副次的な影響として、リング組体の最も内側の金属リングの半径方向内側の主面と、リング組体の最も外側の金属リングの半径方向外側の主面のみが、横断セグメントとの接触に至るということを考慮することができる。
これらの後者の洞察に基づいて、本開示は、リング組体の中間のリングに対して、金属リングの窒化物層厚さが該金属リングの軸線方向側面で最大でありかつ金属リングの半径方向を向く両主面の軸線方向中央に向かって減少するように、製造における窒化プロセスを定量化かつ制御することを提案する。おそらく、このような窒化物層厚さの減少は、リング組体の最も内側の金属リングの半径方向外側を向く主面と、リング組体の最も外側の金属リングの半径方向内側を向く主面とにのみ適用し、動作中に横断セグメントとの接触に至る該金属リングの半径方向を向く他方の主面は、本質的に一定の厚さの窒化物表面層を備えることもできる。
本開示によれば、窒化表面層は、この点で、金属リングの軸線方向側面における厚さの最大50%の、金属リングの軸線方向中央における厚さによって定量化される。特に、窒化物層厚さは、金属リングの軸線方向側面で20ミクロン以上であり、金属リングの、半径方向を向く主面の軸線方向中央で10ミクロン以下である。この点で好ましくは、窒化物表面層は、金属リングの軸線方向中央には存在しない。
金属リングのこの特定の実施形態は、リング組体を1つだけ備えた駆動ベルトに特に有利であり、この場合、該リング組体に適用される金属リングは比較的幅が広く、特に15mm以上の幅を有する。
製造において、すなわちガス軟窒化において、上で規定した、本開示による窒化物層厚さを異ならせることは、プロセスガス雰囲気からの金属リングの遮蔽をその側面から該金属リングの軸線方向中央に向けて徐々に増大させることによって実現できることに留意されたい。例えば、金属リングの半径方向を向く主面の前記中央部分は、窒化中に、不透過性または半透過性の被覆層によって被覆されてもよい。そのような被覆層は、一時的にのみ適用し、窒化後に除去することができる。
本開示の上記の態様は、理想的には組み合わせて適用される。特に、金属リング(の半径方向を向く主面)の軸線方向中央で窒化表面層が比較的薄い場合でも、リング表面近くの高濃度の窒素により、十分な表面硬さがこの場合でも提供される。
上記の駆動ベルト、そのリング構成要素およびその製造方法について、図面を参照してさらに説明する。
2つの可変プーリと駆動ベルトとを組み込んだ既知の変速機の概略図である。 それぞれが、金属リングの組体と、このようなリング組体にその円周に沿ってスライド可能に取り付けられた多数の横断セグメントとを備える、2つの既知の駆動ベルトのタイプを示す断面図である。 駆動ベルトの金属リング構成要素の既知の製造方法の目下関連する部分を表す図である。 金属リング構成要素の窒化表面層における窒素含有量のグラフである。 窒化表面層の厚さを示す金属リング構成要素の概略断面図である。
図1は、自動車の駆動系においてエンジンと駆動輪との間に一般的に適用される既知の無段変速機またはCVTの中心的な部分を示している。この変速機は、プーリシャフト6または7に取り付けられた一対の円錐プーリディスク4,5がそれぞれ設けられた2つのプーリ1,2を備え、プーリディスク4,5の間には、主としてV字形の円周プーリ溝が画定されている。各対のプーリディスク4,5の、すなわち各プーリ1,2の少なくとも一方のプーリディスク4は、それぞれのプーリ1,2のプーリシャフト6,7に沿って軸線方向に移動可能である。プーリシャフト6,7間で回転運動および付随するトルクを伝達するために、駆動ベルト3が、プーリ1,2の周りに巻き付けられ、プーリ1,2のプーリ溝内に位置している。
変速機は、通常、作動手段(図示せず)をも備え、作動手段は、駆動ベルト3がそのような各ディスク対4,5の間にクランプされるように、少なくとも動作中に、各プーリ1,2の軸線方向に移動可能な前記プーリディスク4に、該プーリ1,2のそれぞれ他方のプーリディスク5に方向付けられた、軸線方向に向けられたクランプ力を加える。これらのクランプ力は、前記トルクを伝達するために駆動ベルト3とそれぞれのプーリ1,2との間で最大限に発揮され得る摩擦力を決定するだけでなく、プーリ溝内での駆動ベルト3の半径方向位置Rも決定する。これらの半径方向位置Rは、変速機の速度比を決定する。この種の変速機およびその動作は、それ自体よく知られている。
図2には、駆動ベルト3の2つの既知の例が、その円周方向に面するその断面において概略的に示されている。両方の例において、駆動ベルト3は、金属リング41の1つまたは2つの組体31の形態の環状キャリアの円周に沿って一列に配置された横断セグメント32を備える。駆動ベルト3のどちらの例においても、リング組体31は積層されており、すなわち、いくつかの相互に入れ子にされた、平坦で薄い、すなわちリボン状の個々の金属リング41から構成される。実際には、大抵、185マイクロメートルの厚さの6、9、10または12個の金属リング41がリング組体31に用いられる。
図2の左側には、そのような2つのリング組体31を含む駆動ベルト3の実施形態が示されており、各リング組体31は、それぞれが横断セグメント32の軸線方向側面に向かって開いている、横断セグメント32のそれぞれのスロットに収容されている。これらのスロットは、横断セグメント32のベース部分33とヘッド部分35との間で、ベース部分33をヘッド部分35に相互接続する比較的狭いウェブ部分34の両側に画定されている。
図2の右側には、単一のリング組体31のみを組み込んだ駆動ベルト3の実施形態が示されている。この場合、リング組体31は、駆動ベルト3の半径方向外側に向かって開いている、横断セグメント32の中央凹部に収容されている。この中央凹部は、横断セグメント32のベース部分33と該ベース部分33の各軸線方向側面から半径方向外向き方向にそれぞれ延びる2つのピラー部分36との間に画定されている。そのような半径方向外向き方向において、中央凹部は、ピラー部分36の、それぞれ軸線方向に延びるフック部分37によって部分的に閉鎖されている。
両方の駆動ベルト3の横断セグメント32の両側には、プーリディスク4,5との摩擦接触に至るための接触面38が設けられている。各横断セグメント32の接触面38は、V字形のプーリ溝の角度と本質的に一致する角度φで相互に配向される。横断セグメント32も、通常、金属から作られる。
変速機での動作中、駆動ベルト3の個々の金属リング41は、とりわけ、前記クランプ力に対する半径方向に向けられた反力によって張力をかけられることがよく知られている。しかしながら、結果として生じるリング張力は一定ではなく、変速機によって伝達すべきトルクに依存するだけでなく、変速機における駆動ベルト3の回転にも依存して変動する。したがって、金属リング41の降伏強度および耐摩耗性に加えて、疲労強度も金属リング41の重要な特性および設計パラメータである。そこで、金属リング41の基本材料としてマルエージング鋼を用い、該マルエージング鋼を析出形成(時効)により硬化させて金属リング全体の強度を向上させることができるのに加えて、窒化(ガス軟窒化)により表面硬化させて特に耐摩耗性および疲労強度を向上させることができる。
図3は、自動車用途の金属駆動ベルト3の生産のために当該技術分野で通常用いられる、金属リングの既知の製造方法の関連部分を示している。既知の製造方法の個別のプロセスステップは、ローマ数字によって示されている。
第1のプロセスステップIでは、約0.4mmの厚さを有するマルエージング鋼基本材料の薄いシートまたはプレート11が円筒形状に曲げられ、第2のプロセスステップIIでプレートの出会い端部12が互いに溶接されて、中空の円筒体または管13が形成される。プロセスの第3のステップIIIでは、管13は、オーブンチャンバ50内でアニールされる。その後、第4のプロセスステップIVにおいて、管13は、いくつかの金属リング41に切断され、該金属リング41は引き続いて、プロセスステップVで圧延されて、細長くされながらその厚さが通常、約0.2mmまで減少させられる。このようにして細長くされた金属リング41は、さらなるプロセスステップ、すなわち、オーブンチャンバ50内で、摂氏600度を大幅に超える温度、例えば約800℃の温度でのリング材料の回復および再結晶化による、前の圧延プロセスステップの加工硬化の影響を取り除くためのリングアニーリングプロセスステップVIにかけられる。このような高温では、リング材料の微細構造は完全にオーステナイト型の結晶で構成される。しかしながら、金属リング41の温度が再び室温に下がると、そのような微細構造は、所望通りにマルテンサイトに変態して戻る。
アニーリングVIの後、金属リング41は、第7のプロセスステップVIIで、2つの回転するローラの周りに取り付けられ、該ローラを強制的に離すことにより所定の円周長まで伸ばされることにより較正される。リング較正を行うこの第7のプロセスステップVIIでは、内部応力も金属リング41に加えられる。その後、金属リング41は、時効、すなわちバルク析出硬化と、窒化、すなわち肌焼きとの組合せを行う第8のプロセスステップVIIIで熱処理される。より具体的には、そのような組み合わされた熱処理は、金属リング41を、アンモニア、窒素および水素で構成されたプロセス雰囲気を収容するオーブンチャンバ50内に保持することを含む。オーブンチャンバ内で、アンモニア分子は、金属リング41の表面で分解して水素ガスと窒素原子とになり、該窒素原子は金属リング41の微細構造に入ることができる。これらの窒素原子は、微細構造内に格子間原子として部分的に残り、また、マルエージング鋼の一部の合金元素、特にモリブデンなどと部分的に結合して金属間析出物(例えば、MoN)を形成する。これらの格子間物および析出物は、摩耗および疲労破壊に対する金属リング41の耐性を大幅に増大させることが知られている。特に、代替的にはそのような組み合わされた熱処理の後にまたは前に、(窒化を同時に伴わない)時効処理、すなわち、アンモニアを含まないプロセスガス中での時効処理があってもよいことに留意されたい。このような別個の時効処理は、窒化処理の時間が短すぎて析出硬化プロセスを同時に完了させることができないときに用いられる。
このように処理されたいくつかの金属リング41は、第9のプロセスステップIXで組み立てられ、半径方向に積み重ねることによりリング組体31を形成する、すなわち選択された金属リング41を同心状に入れ子にして、隣接する金属リング41の各対間の最小の半径方向遊びまたは隙間を実現する。代わりに、リング較正を行う第7のプロセスステップVIIの直後に、すなわち、リングの時効およびリングの窒化を行う第8のプロセスステップVIIIの前に、リング組体31を組み立てることも当該技術分野で知られていることを付言しておく。
当該技術分野では、多くの異なる範囲および値が、前記第8のプロセスステップVIIIまたはリングの時効およびリングの窒化を行うプロセスステップに用いられるプロセス設定に特に適切であると、金属リング41用のマルエージング鋼基本材料の特定の組成とも関連して、言われている。実際には、窒化プロセス設定は、金属リング41に窒素拡散ゾーン、すなわち、25マイクロメートル〜35マイクロメートルの厚さの窒化物表面層を提供するように定められる。図4において、破線は、現在大量生産されている駆動ベルト3に通常見られる金属リング41の外面からの測定深さDの関数として、測定された窒素含有量を質量%で表す。約30ミクロンの深さで、前記測定された窒素含有量はゼロまで低下し、窒化表面層の程度、すなわち窒化表面層の厚さが定められる。
本開示は、窒化表面層の厚さが実際には副次的にしか関連せず、代わりに金属リング41の機械的特性は窒化物表面層中の窒素濃度によって主として決定されると考察する。したがって、本開示によれば、深さに亘る窒素濃度に関連して、第8のプロセスステップVIIIにおける窒化プロセスを制御することが好ましい。特に、本開示によれば、図4に実線によって示すように、金属リング41の表面近くで、比較的高い濃度の窒素が耐摩耗性を提供するために設定され、一方、金属リング41のより深くで窒素濃度は、金属リング41の延性および/または降伏強度を改善するために比較的低く設定される。結果として、本開示による窒化表面層の窒素含有量対深さのプロファイルはまた、その全厚の中間で比較的高い局所勾配を示し、すなわち図4では約13ミクロンの深さで約(マイナス)0.075質量%/ミクロンの局所勾配を示し、これは、先行技術による約15ミクロンの深さでの約(マイナス)0.035質量%/ミクロンと比較される。
本開示はまた、少なくとも二次的な最適化として、窒化表面層の厚さが、金属リング41の断面周囲に沿って最適化され得ると考察する。特に、本開示によれば、図5の金属リング41の概略断面図に示すように、窒化表面層の厚さTNSLは、金属リング41の軸線方向側面TNSL−afで最大であり、金属リング41の、半径方向を向く主面TNSL−rfの軸線方向中央に向かって減少する。本開示によれば、このような手段によって、金属リング41の延性および疲労強度が、特に、リング組体31の隣接する金属リング41間の滑り接触において、その耐摩耗性を損なうことなく、改善される。
本開示は、前述の説明の全体および添付の図のすべての詳細に加えて、添付の一連の請求項のすべての特徴にも関係し、これらを含む。特許請求の範囲において、括弧で囲まれた参照符号は、特許請求の範囲を限定するものではなく、それぞれの特徴の非拘束的な例としてのみ設けられている。特許請求された特徴は、特定の製品または特定のプロセスに個別に適用することができるが、場合によっては特許請求の範囲におけるそのような特徴の2つまたはそれ以上のいかなる組合せを適用することもできる。
本開示によって表される発明は、本明細書で明示的に言及される実施形態および/または例に限定されず、その改善、修正、および実際の応用、特に、関連分野の当業者が想到する範囲内にあるものをも包含する。
これらの後者の洞察に基づいて、本開示は、リング組体の中間のリングに対して、金属リングの窒化物層厚さが該金属リングの軸線方向側面で最大でありかつ金属リングの半径方向を向く両主面の軸線方向中央に向かって減少するように、製造における窒化プロセスを定量化かつ制御することを提案する。おそらく、このような窒化物層厚さの減少は、リング組体の最も側の金属リングの半径方向外側を向く主面と、リング組体の最も側の金属リングの半径方向内側を向く主面とにのみ適用し、動作中に横断セグメントとの接触に至る該金属リングの半径方向を向く他方の主面は、本質的に一定の厚さの窒化物表面層を備えることもできる。

Claims (10)

  1. 2つのプーリ(1,2)および駆動ベルト(3)を備える無段変速機用の該駆動ベルト(3)で使用するための、マルエージング鋼などの析出硬化鋼合金から作られた金属リング(41)であって、
    前記金属リング(41)に窒化表面層が設けられ、該金属リング(41)の外面から5マイクロメートル内部にて、少なくとも0.80重量%、好ましくは少なくとも1.0重量%の窒素が存在することを特徴とする、金属リング(41)。
  2. 前記金属リング(41)の前記外面から20マイクロメートル内部にて、最大で0.15重量%、好ましくは最大で0.10重量%存在することを特徴とする、請求項1記載の金属リング(41)。
  3. 前記金属リング(41)の前記外面から10〜15ミクロン内部にて、前記窒化表面層において、窒素濃度の局所的な勾配がマイクロメートルあたり少なくともマイナス0.050重量%、好ましくはマイクロメートルあたり少なくともマイナス0.075重量%になることを特徴とする、請求項1または2記載の金属リング(41)。
  4. 前記金属リング(41)の前記窒化表面層(42)の厚さ(TNSL)は、該金属リング(41)の軸線方向側面から該金属リング(41)の半径方向内面および/または半径方向外面の軸線方向中央の方向に減少し、好ましくはその方向に連続的にかつ/または徐々に減少することを特徴とする、請求項1、2または3記載の金属リング(41)。
  5. 前記金属リング(41)の半径方向内面および/または半径方向外面の中央における前記窒化表面層(42)の厚さ(TNSL−rf)は、前記金属リング(41)の軸線方向側面の位置における該金属リング(41)の前記窒化表面層(42)の厚さ(TNSL−af)の最大50%になることを特徴とする、請求項1、2または3記載の金属リング(41)。
  6. 前記金属リング(41)の半径方向内面および/または半径方向外面の中央における前記窒化表面層(42)の厚さ(TNSL−rf)は、最大で10マイクロメートルになり、かつ前記金属リング(41)の軸線方向側面の位置における該金属リング(41)の前記窒化表面層(42)の厚さ(TNSL−af)は、少なくとも20マイクロメートルになることを特徴とする、請求項1、2または3記載の金属リング(41)。
  7. 前記金属リング(41)は、その表面で、1000MPaを超える圧縮残留応力と、1000HV0.1を超える硬さ値とを備えることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の金属リング(41)。
  8. 前記金属リング(41)は、
    −17〜19重量%のニッケル、
    −15〜17重量%のコバルト、および
    −5重量%を超える、好ましくは6.5〜8重量%のモリブデンを含む鋼合金から作られることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の金属リング(41)。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項記載の金属リング(41)の製造方法であって、前記金属リング(41)が窒化プロセスにかけられる、すなわち、アンモニアガスを含有するプロセス雰囲気中で熱処理を受ける、金属リング(41)の製造方法において、
    前記窒化プロセスのプロセス設定は、該窒化プロセスで前記金属リング(41)の表面より内部に導入される窒素の量に依存して制御されることを特徴とする、金属リング(41)の製造方法。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項記載の金属リング(41)の製造方法であって、前記金属リング(41)が窒化プロセスにかけられる、すなわち、アンモニアガスを含有するプロセス雰囲気中で熱処理を受ける、金属リング(41)の製造方法において、
    前記窒化プロセスにおいて、前記金属リング(41)の半径方向内面および半径方向外面が少なくとも部分的に被覆される、すなわち、前記プロセス雰囲気から遮蔽されること特徴とする、金属リング(41)の製造方法。
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