JP2007302961A - 含Cr溶銑の脱硫精錬剤および脱硫方法 - Google Patents

含Cr溶銑の脱硫精錬剤および脱硫方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ステンレス鋼等を製造するための含Cr溶銑を脱硫処理する際、(i)生成するスラグ中のF含有量が0.4質量%以下となるようにフラックスのCaF2使用量を低減すること、(ii)脱硫率70%以上の脱硫処理を30min以下の短時間で実現すること、を同時に達成する技術を提供する。
【解決手段】質量%で、CaO:50〜76%、単体C:7〜12%、CaCO3:10〜22%、金属Al:2〜9%、Al23:1.5〜7.5%、CaF2:0.5〜3.5%を配合し、残部が0〜5%の不純物物質で構成される混合物からなる、含Cr溶銑の脱硫精錬剤。この脱硫精錬剤は1400℃以下の含Cr溶銑中に添加し、機械攪拌等によって脱硫精錬剤と溶銑とを混合攪拌することが効果的である。
【選択図】なし

Description

本発明は、Crを含有する溶銑(含Cr溶銑)の脱硫を行うためにフラックスとして当該溶銑に添加する脱硫精錬剤、およびその脱硫精錬剤を用いた含Cr溶銑の脱硫方法に関するものである。
製鋼工程においては、溶銑あるいは溶鋼の脱硫、脱酸、脱燐を行う手段として、フラックスを溶銑あるいは溶鋼に添加して精錬する「フラックス精錬」が行われる。フラックス精錬によって発生したスラグは当該精錬容器から排出され、冷却・固化した後、適当な大きさに調製されて路盤材等に再利用される。フラックスにはスラグの融点を低下させ滓化を促すためにCaF2を配合させる場合が多い。このようなフラックスを使用した場合に生成されるスラグにはCaF2に由来するFが存在しているが、これを路盤材として使用すると、使用環境によってはFが溶出し、そのFが土壌汚染原因となる可能性が指摘されている。そのため、日本工業規格(JIS)では路盤材として使用されるスラグ中のF濃度を0.4質量%以下に規定することが検討されている。
ステンレス鋼等の含Cr鋼を製造するための含Cr溶銑は、Crを多量に含有するためSの活量が低下しており、普通鋼に比べて脱硫反応が進行しにくい。このため、含Cr溶銑の精錬においては滓化剤であるCaF2の配合量を高めたCaO−SiO2−CaF2系やCaO−Al23−CaF2系のフラックスが用いられている。特に、電気炉で得られた溶銑は通常1400℃以下、多くの場合1350℃前後と低温であるため、次工程の転炉吹錬を行う前に脱硫処理する際にはさらに不利な条件となる。したがってこの場合はCaF2濃度をより一層高めたフラックスを使用する必要がある。しかしながら、CaF2を大量に添加すれば上述したスラグ中のF濃度規制を達成することが困難となり、スラグ有効利用の障害となることが懸念される。
特許文献1には溶銑の脱硫効率の向上とフラックス使用量の低減を図るために、C粉末2〜4%、Al滓2.5〜5.5%を含有する脱硫フラックスを溶銑に添加することが記載されている。
特許第3733689号公報
ステンレス鋼等の含Cr鋼を製造するための電気炉操業において、溶銑中のS含有量は、使用原料によっても異なるが、通常0.05〜0.16質量%となることが多く、0.2質量%程度まで上昇することもありうる。一方、ステンレス鋼製品中のSは、耐食性、熱間加工性等を阻害する要因になることから、最終製品におけるS含有量は一般的には0.03質量%以下であることが要求され、用途によっては0.01質量%以下あるいはさらに0.005質量%以下に低減することが望まれる。ステンレス鋼の最終的な脱硫は転炉吹錬以降の成分調整工程で実施されることもあるが、溶銑段階においてできるだけ脱硫しておくことが製鋼工程全体の負荷を考慮したとき有利となる。
具体的には溶銑段階において脱硫率70%以上の脱硫処理を実現することが望まれる。ここで脱硫率は下記(1)式による。
脱硫率(%)=([%S]0−[%S]1)/[%S]0×100 ……(1)
ただし、
[%S]0:脱硫処理前の溶銑中S濃度(質量%)
[%S]1:脱硫処理後の溶銑中S濃度(質量%)
また、実操業においては、30min以下の短時間でこの脱硫処理を終了することが生産性低下を防止する上で重要となる。
ところが上述のように、含Cr溶銑を対象としたフラックス精錬において、CaF2の使用量を低減した効率的な脱硫処理を行うことは容易でない。特許文献1の技術では含Cr溶銑を対象としていないが、実施例に開示されるフラックスはCaF2を5%含んでいる。そして、C粉末とAl滓を添加したフラックスを使用することで脱硫効率を上げている。しかし発明者らの調査によると、対象が含Cr溶銑の場合、特許文献1に開示のフラックスでは脱硫率70%以上を実現するには30minを超える長時間の脱硫処理が必要になるか、あるいは脱硫率70%以上を実現すること自体が困難な場合もある。また、CaF2を5%も配合していれば、スラグ中のF濃度を0.4質量%以下に低減することは難しい。
本発明はこのような現状に鑑み、ステンレス鋼等を製造するための含Cr溶銑を脱硫処理する際、(i)生成するスラグ中のF含有量が0.4質量%以下となるようにフラックスのCaF2使用量を低減すること、(ii)脱硫率70%以上の脱硫処理を30min以下の短時間で実現すること、を同時に達成する技術を提供しようというものである。
発明者らは詳細な研究の結果、上記目的を達成するには、フラックスとして機能する脱硫精錬剤において、単体Cを多量に配合させ、かつ所定量の金属AlとAl23を配合させることが極めて有効であることを見出した。
すなわち本発明では、質量%で、CaO:50〜76%、単体C:7〜12%、CaCO3:10〜22%、金属Al:2〜9%、Al23:1.5〜7.5%、CaF2:0.5〜3.5%を配合し、残部が0〜5%の不純物物質で構成される混合物からなる、含Cr溶銑の脱硫精錬剤が提供される。
上記の不純物物質は、例えばSiO2および酸化鉄を主体とするものであり、その他、一般的な溶銑精錬用のフラックスに含まれる種々の物質の含有が許容される。「主体とする」とは不純物物質のうち70質量%以上を占めることをいう。残部の不純物物質が「0%」とは、前記各配合物質以外の物質が検出されない場合である。この混合物は溶銑への添加方法に応じて、粉状、粒状、塊状など種々の形態で利用できるが、例えばランスから吹き込む場合には粉体が望ましい。ここでいう粉体は1mmの篩目を通過する粒子で構成されるものである。
この脱硫精錬剤を適用する含Cr溶銑としては、C:2〜4質量%、Cr:9〜30質量%、S:0.05〜0.2質量%を含有し、あるいはさらにNi:25質量%以下を含有するものが挙げられる。
この脱硫精錬剤は、含Cr溶銑中に添加し、溶銑と攪拌混合することによって脱硫作用を発揮する。攪拌混合の手段として、不活性ガスをキャリアガスとして前記脱硫精錬剤をランスから溶銑中に吹き込む手法が適用できる。この場合、添加と攪拌混合が同時に行われる。この脱硫精錬剤を用いた脱硫方法は、溶銑を転炉に搬送するための容器(例えば取鍋)に収容された含Cr溶銑に対して前記脱硫精錬剤を添加することによって実施することができる。脱硫精錬剤を添加する時点の溶銑温度は1400℃以下、あるいは1380℃以下と低くても良く、特に1340〜1360℃の低い温度においても効果がある。
従来、CaF2を多量に配合したフラックスを使用しなければ含Cr溶銑の脱硫処理は難しかったが、本発明によれば、CaF2の配合量を大幅に低減した含Cr溶銑用の脱硫精錬剤が提供された。この脱硫精錬剤を使用すると、生成したスラグ中のF濃度を0.4質量%以下に抑制することができ、F濃度規制が検討されている路盤材としての再利用が可能となる。また、この脱硫精錬剤は1350℃前後の低温含Cr溶銑に適用して、脱硫率70%以上の脱硫を30min以内で実現できる。このため、電気炉から出銑され、転炉で吹錬されるまでの段階で含Cr溶銑の効率的な脱硫が可能である。したがって本発明は、ステンレス鋼の溶製現場における脱硫処理の効率化と、スラグのリサイクル化に寄与するものである。
含Cr溶銑をフラックス精錬によって脱硫処理するためには、フラックスとして添加する脱硫精錬剤が充分に滓化する(すなわち溶融して流動性が向上し、メタルとの反応が促進される)ことが必要である。前述のように、含Cr溶銑はCr濃度が高いためにSの活量が低下しており、普通鋼に比べると脱硫反応が進行しにくい。このため、滓化剤であるCaF2を多量に添加して脱硫反応を促進させる必要があった。
本発明では、金属AlとAl23によって滓化作用を発揮させ、CaF2への滓化依存度を軽減した。さらに、脱硫反応を促進させるための手段として、滓化を図ることとは別に、単体Cを多量に添加することにより酸素ポテンシャルを低下させる手法を用いた。
以下、本発明を特定するために事項について説明する。
〔脱硫精錬剤〕
《CaO》
脱硫反応は主として下記(2)式によって進行する。
CaO+S=CaS+O ……(2)
脱硫精錬剤中のCaOの配合量が50質量%より少ないと(2)式の脱硫反応の進行が遅くなり、30min以内で脱硫率70%以上の脱硫を達成することが難しくなる。一方、CaO配合量が過剰になると、その分、後述の物質の配合量が充分確保できず、結果的に脱硫率の低下に繋がる。種々検討の結果、CaOの配合量は76質量%以下とすることが望ましい。したがって本発明の脱硫精錬剤中のCaOの配合量は50〜76質量%とする。
《単体C》
単体Cは溶銑中の酸素ポテンシャルを低下させて脱硫反応を促進させる作用を呈する。本発明では含Cr溶銑を対象とするので、前述のように脱硫反応が起こりにくい。発明者らの研究によれば、CaF2の配合量を抑制した脱硫精錬剤であっても、単体Cを多量に配合することによって含Cr溶銑に対する脱硫反応促進効果が顕著に改善されることが明らかになった。ただし、後述する金属Alによる脱硫反応促進作用およびAl23による滓化作用が充分に得られることが前提となる。
詳細な検討の結果、単体Cの配合量は7質量%以上とする必要がある。それ未満だと30min以下の精錬時間で脱硫率70%以上の脱硫を安定して実現することが難しくなる。しかしながら、単体C配合量が多くなりすぎると却って脱硫反応は起こりにくくなることが確認された。そのメカニズムについては未解明であるが、単体Cが12質量%を超えて多くなると、やはり30min以内の短時間で脱硫率70%以上を安定して実現することが難しくなる。したがって本発明の脱硫精錬剤には単体Cを7〜12質量%の範囲で配合させる。
単体Cは化合物を形成していない炭素であり、特に限定されないが、一般的には黒鉛またはアモルファス状の単体Cを主成分とする原料、例えばピッチコークスや、コークスまたは木炭等を粉砕したものが好適に使用できる。カーボンブラックや活性炭などの工業製品を利用することも可能である。
《CaCO3
CaCO3を含Cr溶銑に添加すると熱分解によってCaOとCO2ガスが生成する。生成したCaOは微細であるため溶銑との反応界面積が大きく、上記(2)式の脱硫反応の促進に大きく寄与する。生成したCO2ガスはCaO粒を分散させるとともに攪拌を強化する役割を担う。このような効果を充分に発揮させるためには10質量%以上のCaCO3配合量を確保することが望ましい。しかし、生成するCO2は酸化性ガスであるため、還元性雰囲気下で進行する脱硫反応において、CO2ガスの過剰な生成は反応促進の障害となる。種々検討の結果、脱硫精錬剤中のCaCO3配合量は22質量%以下に抑えるべきである。それを超えると30min以内の処理で脱硫率70%以上を実現できない場合がある。したがって本発明の脱硫精錬剤にはCaCO3を10〜22質量%の範囲で配合させる。
《金属Al》
粉粒状の微細な金属Alは単体Cと同様に含Cr溶銑の酸素ポテンシャルを低下させ、脱硫反応の促進に寄与する。また、テルミット反応による発熱が生じることにより溶銑の温度降下を抑制し、滓化に寄与する。これらの効果を充分に引き出すためには2質量%以上の金属Alを配合させることが望ましい。ただし、過剰の金属Alを配合させても上記作用は飽和し不経済となる。このため、本発明の脱硫精錬剤において金属Alの配合量は2〜9質量%とする。金属Al源としては、工業製品のAl粉末を使用することもできるが、以下のAl23を同時に含むAl灰を利用することが効果的である。
《Al23
Al23はフラックスの滓化作用を促す物質であり、CaF2の含有量を抑制する本発明の脱硫精錬剤においては重要である。その作用を充分に発揮させるには1.5質量%以上のAl23配合量を確保する必要がある。ただし、過剰にAl23を配合させても前記作用は飽和し不経済となる。したがってAl23配合量は1.5〜7.5質量%に規定する。
上記の金属AlやAl23の原料としてAl灰が挙げられる。Al灰は、種類にもよるが、例えば金属Al:40〜60質量%、Al23:30〜50質量%を含み、残部がSiO2および酸化鉄ならびにその他の不純物で構成されるものが挙げられる。金属AlとAl23の配合量が上記の範囲となるようなAl灰を選択するか、種類の異なるAl灰をブレンドすることで金属AlとAl23の配合組成を調製することができる。必要に応じて別途用意した金属Al粉やAl23粉を混合しても構わない。
《CaF2
CaF2は滓化剤として重要である。ただし、本発明では上述のとおりスラグ中のF濃度を0.4質量%以下に制限する必要性から、脱硫精錬剤中のCaF2配合量をできるだけ低く抑える。種々検討の結果、脱硫精錬後のスラグ中F濃度を0.4質量%以下にするには、脱硫精錬剤中のCaF2配合量を3.5質量%以下にする必要がある。3.0質量%未満とすることがより好ましい。一方、CaF2が少なすぎると滓化不足となる。本発明では上記のAl23による滓化作用を利用するが、CaF2は重要であり、少なくとも0.5質量%の配合量を確保すべきである。1.0質量%以上とすることがより好ましい。したがって脱硫精錬剤中のCaF2配合量は0.5〜3.5質量%に規定され、1.0〜3.0%未満とすることがより好ましい。
《その他の物質》
本発明の脱硫精錬剤中には上記以外の物質として、従来の溶銑用あるいは溶鋼用フラックスに含まれている物質や、原料から混入する不可避的不純物を5質量%以下の範囲で含むことができる。例えば、Al灰には通常SiO2や酸化鉄が含まれており、Al源としてAl灰を使用する場合はSiO2および酸化鉄の混入は避けられない。これらの物質や、その他原料から混入する不純物が5質量%以下の範囲で含まれていても本発明の効果を阻害しないことが確認されている。
《脱硫精錬剤の調製》
本発明の脱硫精錬剤は、成分のわかっている各種原料の粉体あるいは粒状物を所定の割合で混合することによって調製することができる。塊状の原料は予め粉砕しておくことが望ましい。混合物は必要に応じて粒度調整したりペレット化したりすることができる。キャリアガスによってランスから溶銑中に注入する場合は、1mmの篩目を通過する粒度の粉体とすることが好ましい。
〔脱硫方法〕
本発明の脱硫精錬剤は、溶銑中に添加され、溶銑と攪拌混合されることによってフラックスとして作用する。溶銑中の硫黄分は前記(2)式の脱硫反応によってCaSとなり、浮上してスラグの構成成分となる。脱硫精錬剤の添加量は、ステンレス鋼を製造するための含Cr溶銑の場合、電気炉から出銑された溶銑段階で概ね0.05〜0.2質量%のSを含んでおり、これを対象として脱硫率70%以上の脱硫処理を行う場合だと、溶銑1トンあたり脱硫精錬剤2〜20kg、好ましくは3〜10kgを添加すればよい。
添加および攪拌混合の方法としては、本発明の脱硫精錬剤を溶銑中に没入させるように添加し、耐火物や黒鉛等で構成されたインペラーにより溶銑とともに機械的に攪拌する方法を採用することができる。
別の方法として、容器に収容されている銑鉄の溶湯中にランスからキャリアガスによって本発明の脱硫精錬剤を注入する方法(インジェクション法)を採用することもできる。キャリアガスとしてはArやN2等の不活性ガスを使用し、従来一般的な手法が採用できる。溶銑は激しく吹き込まれたキャリアガスによって攪拌され、脱硫精錬剤はキャリアガスに随伴して溶銑と混合される。すなわち、インジェクション法によると溶銑中への添加と攪拌混合が同時に行われる。
脱硫精錬剤と溶銑とが充分に攪拌混合される限り、いずれの方法によっても良好な脱硫効果が得られる。
本発明の脱硫精錬剤を用いた脱硫処理は、電気炉等で得られた溶銑が次工程の転炉で吹錬されるまでの間に行うことが効果的である。例えば、溶銑を転炉に移した後、吹錬前に脱硫精錬剤を添加して脱硫処理することができる。しかし、生産効率を考慮すると、電気炉から転炉へ溶銑を搬送する過程において脱硫処理を済ませておくことが有効である。溶銑を転炉に搬送するための容器としては「取鍋」や「トーピードカー」等が挙げられる。これらの容器に収容された含Cr溶銑に対して、前述のインペラーによる機械攪拌やインジェクション法などにより脱硫処理を施せばよい。
脱硫反応を効率よく進行させるには、反応生成物であるスラグの流動性が良好である必要がある。したがって溶銑温度は高い方が有利となる。しかし、電気炉から出銑される含Cr溶銑の温度は一般に1400℃以下、あるいは1380℃以下と低く、溶銑を転炉に搬送するための容器中においては多くの場合1340〜1360℃程度となる。脱硫精錬剤の添加を開始する時点の溶銑温度がこのように低い場合でも本発明の脱硫精錬剤を用いると充分に滓化が可能であり、脱硫率70%以上の脱硫が実現できる。ただし、あまり溶銑温度が低下すると所望の効果が得られない場合がある。本発明の脱硫精錬剤を添加するときの含Cr溶銑の温度は1330℃以上であることが望まれ、1340℃以上であることがより好ましい。
〔適用対象となる溶銑〕
本発明の脱硫精錬剤を用いた脱硫処理は、Cr含有量が概ね30質量%以下の範囲の幅広い組成の溶銑に適用できるが、9〜30質量%の高Cr溶銑に適用することが一層効果的である。このような高Cr溶銑はステンレス鋼等の高耐食性鋼の製造に必要となる。具体的には、フェライト系やマルテンサイト系の鋼種ではC:2〜4質量%、Cr:9〜30質量%、S:0.05〜0.2質量%を含有する含Cr溶銑が挙げられ、オーステナイト相の出現が必要な鋼種ではC:2〜4質量%、Cr:9〜30質量%、Ni:25質量%以下、S:0.05〜0.2質量%を含有する含Cr溶銑が挙げられる。コスト等を考慮するとCr含有量の上限を25質量%程度、Ni含有量の上限を12質量%程度に規制しても構わない。その他の元素としては、目的とする鋼種や使用原料によって変動があるが、通常、Si:2質量%以下、Mn:2質量%以下、P:0.04質量%以下を含有し、残部はFeおよびスクラップ等から混入する不可避的不純物である。
電気炉にて12チャージの含Cr溶銑(80トン/チャージ)を溶製した。各チャージの脱硫精錬前の化学組成を表1に示す。表1に表示した元素以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
Figure 2007302961
一方、脱硫精錬剤として表2に示す配合のものを調製した。原料として、CaOは工業製品の生石灰粉、単体Cはコークス粉、CaCO3は工業製品である炭酸カルシウム粉、金属AlおよびAl23は産業廃棄物であるAl灰、CaF2は工業製品のフッ化カルシウム粉を使用した。Al灰は組成のわかっている種々のものを使用し、これらの1種を選択するか、あるいは2種以上をブレンドすることによって金属AlとAl23の配合量を調整した。表2における「残部」はAl灰に含まれるSiO2と酸化鉄を主体とするものであり、その他、不可避的不純物が含まれる。ただし、No.EについてはAl灰を使用せず、金属Alとして工業製品のAl粉、Al23として工業製品のアルミナ粉を使用した。各原料粉を混合し、1mmの篩目を通過する粒度の脱硫精錬剤粉体を調製した。
Figure 2007302961
電気炉内の溶銑を取鍋に移した後、取鍋に収容された溶銑中に前記いずれかの脱硫精錬剤を投入添加し、耐火物製インペラーにより脱硫精錬剤と溶銑を混合攪拌した。脱硫精錬剤の添加量は溶銑1トンにつき脱硫精錬剤5kgとした。脱硫精錬剤の添加を開始する時点の溶銑温度は1340〜1360℃の範囲にあった。精錬時間(インペラーを回転させて機械攪拌する時間)は20〜30min(表3に記載)とした。各チャージにつき、脱硫精錬後の溶銑をサンプリングしてS含有量を調べ、前記(1)式に従って脱硫率を求めた。また、脱硫処理後のスラグをサンプリングし、スラグ中のF濃度を調べた。結果を表3に示す。
Figure 2007302961
表3からわかるように、本発明例の各チャージでは含Cr溶銑に対して30min以内の精錬時間で脱硫率70%以上の脱硫処理が実現でき、かつ、精錬後のスラグ中F濃度を0.4質量%以下に抑制することができた。このスラグは路盤材としてのF規制をクリアするものである。
一方、チャージNo.DS−7、DS−8、DS−13は単体CおよびCaF2のいずれかの配合量が不足する脱硫精錬剤を使用したことにより、30min以内で脱硫率70%以上を実現することができなかった。No.DS−9はCaF2配合量が多い脱硫精錬剤を使用したことにより脱硫率は良好であったものの、生成したスラグはF濃度が高くなり路盤材としてのF規制に適合しないものであった。No.DS−10はCaCO3の配合量が少なすぎ、またNo.DS−12はCaCO3の配合量が逆に多すぎたため、いずれも脱硫率に劣った。No.DS−11は金属AlおよびAl23の配合量が少なすぎたことにより、脱硫率が悪かった。

Claims (9)

  1. 質量%で、CaO:50〜76%、単体C:7〜12%、CaCO3:10〜22%、金属Al:2〜9%、Al23:1.5〜7.5%、CaF2:0.5〜3.5%を配合し、残部が0〜5%の不純物物質で構成される混合物からなる、含Cr溶銑の脱硫精錬剤。
  2. 残部の不純物物質は、SiO2および酸化鉄を主体とするものである請求項1に記載の脱硫精錬剤。
  3. 前記混合物が粉体である請求項1または2に記載の脱硫精錬剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の脱硫精錬剤を、C:2〜4質量%、Cr:9〜30質量%、S:0.05〜0.2質量%を含有する含Cr溶銑中に添加して溶銑と攪拌混合する含Cr溶銑の脱硫方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の脱硫精錬剤を、C:2〜4質量%、Cr:9〜30質量%、Ni:25質量%以下、S:0.05〜0.2質量%を含有する含Cr溶銑中に添加して溶銑と攪拌混合する含Cr溶銑の脱硫方法。
  6. 前記脱硫精錬剤を1400℃以下の含Cr溶銑中に添加する請求項4または5に記載の含Cr溶銑の脱硫方法。
  7. 溶銑を転炉に搬送するための容器に収容された含Cr溶銑に対して前記脱硫精錬剤を添加する請求項4〜6のいずれかに記載の含Cr溶銑の脱硫方法。
  8. 前記脱硫精錬剤と溶銑との混合攪拌をインペラーによる機械攪拌によって行う請求項4〜7のいずれかに記載の含Cr溶銑の脱硫方法。
  9. 不活性ガスをキャリアガスとして前記脱硫精錬剤をランスから溶銑中に吹き込むことにより、溶銑中への添加および攪拌混合を行う請求項4〜7のいずれかに記載の含Cr溶銑の脱硫方法。
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