JPH0920908A - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents
溶銑の予備処理方法Info
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- JPH0920908A JPH0920908A JP19104595A JP19104595A JPH0920908A JP H0920908 A JPH0920908 A JP H0920908A JP 19104595 A JP19104595 A JP 19104595A JP 19104595 A JP19104595 A JP 19104595A JP H0920908 A JPH0920908 A JP H0920908A
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- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、溶銑予備処理時の温度降下を低減
し、転炉吹錬時の熱的余裕度を向上させるための溶銑を
製造する溶銑予備処理方法を提供するものである。 【構成】 溶銑の予備処理として脱硫処理を行うにあた
り、処理条件から事前に推定された酸素使用効率に基づ
いて、溶銑のSi,P,Mnの1元素以上の酸化に消費
されると予想される酸素量と、溶銑中に供給される酸素
量の差から脱炭量を推定し、算出された脱炭量および処
理前の溶銑中炭素濃度から、当該溶銑における溶銑炭素
濃度と飽和炭素濃度との差を算出し、求められた差以上
の炭素量を含む炭素源を溶銑中に供給することにより、
溶銑中の炭素濃度を飽和以上とすることにより、生成ス
ラグ中に炭素を析出させて添加するとともに、スラグ中
に酸素源を吹き込んで、前記スラグ中に析出した炭素を
燃焼させることを特徴とする溶銑の予備処理方法。
し、転炉吹錬時の熱的余裕度を向上させるための溶銑を
製造する溶銑予備処理方法を提供するものである。 【構成】 溶銑の予備処理として脱硫処理を行うにあた
り、処理条件から事前に推定された酸素使用効率に基づ
いて、溶銑のSi,P,Mnの1元素以上の酸化に消費
されると予想される酸素量と、溶銑中に供給される酸素
量の差から脱炭量を推定し、算出された脱炭量および処
理前の溶銑中炭素濃度から、当該溶銑における溶銑炭素
濃度と飽和炭素濃度との差を算出し、求められた差以上
の炭素量を含む炭素源を溶銑中に供給することにより、
溶銑中の炭素濃度を飽和以上とすることにより、生成ス
ラグ中に炭素を析出させて添加するとともに、スラグ中
に酸素源を吹き込んで、前記スラグ中に析出した炭素を
燃焼させることを特徴とする溶銑の予備処理方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶銑予備処理時、特に
脱硫処理時の温度降下を低減し、転炉吹錬時の熱的余裕
度を向上させるための溶銑を製造する溶銑予備処理方法
に関するものである。
脱硫処理時の温度降下を低減し、転炉吹錬時の熱的余裕
度を向上させるための溶銑を製造する溶銑予備処理方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】転炉等で行われる精錬処理に際して、こ
れに先立って高炉溶銑成分や溶製鋼種の成分組成に対応
した溶銑予備処理が一般に実施されている。こうした溶
銑予備処理の主たる目的は、脱珪・脱燐・脱硫の予備処
理精錬処理にあるが、その他予備処理工程でMn鉱石を
添加して銑成分を調整することも行われており、これら
の結果として転炉での精錬負荷並びに成分調整負荷を軽
減することができ、転炉では専ら脱炭反応を進行せしめ
ることができる。
れに先立って高炉溶銑成分や溶製鋼種の成分組成に対応
した溶銑予備処理が一般に実施されている。こうした溶
銑予備処理の主たる目的は、脱珪・脱燐・脱硫の予備処
理精錬処理にあるが、その他予備処理工程でMn鉱石を
添加して銑成分を調整することも行われており、これら
の結果として転炉での精錬負荷並びに成分調整負荷を軽
減することができ、転炉では専ら脱炭反応を進行せしめ
ることができる。
【0003】すなわち、転炉精錬を実施するまでに脱燐
等の処理がほぼ完了しているので、転炉では脱燐フラッ
クス等の精錬剤の添加が殆ど不必要となり、また予備処
理工程でMn鉱石を添加して溶銑中のMn量を高めるこ
とができるので、転炉では高価なMn系合金鉄の添加を
極力少なくすることができ、これらの結果、転炉精錬コ
ストの大幅な低減という経済効果を得ることができる。
こうした要求を解決する技術として、たとえば特開平2
−228412号等に溶銑予備処理時に、脱燐剤と炭材
を混合して溶銑中に吹き込み、処理中に溶銑炭素濃度の
低下を低減する方法が開示されている。
等の処理がほぼ完了しているので、転炉では脱燐フラッ
クス等の精錬剤の添加が殆ど不必要となり、また予備処
理工程でMn鉱石を添加して溶銑中のMn量を高めるこ
とができるので、転炉では高価なMn系合金鉄の添加を
極力少なくすることができ、これらの結果、転炉精錬コ
ストの大幅な低減という経済効果を得ることができる。
こうした要求を解決する技術として、たとえば特開平2
−228412号等に溶銑予備処理時に、脱燐剤と炭材
を混合して溶銑中に吹き込み、処理中に溶銑炭素濃度の
低下を低減する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように溶銑予備処
理は多くの利益をもたらすものであるが、その一方、溶
銑予備処理過程では、溶銑中珪素(以下Siと記す)や
溶銑中炭素(以下Cと記す)が消費されて、これらの含
有量が低下し過ぎるきらいがあり、転炉における熱源不
足の原因の一つとなっている。そこで熱源不足を補うた
めに、転炉精錬における溶銑配合率を高めたり(溶銑の
顕熱は重量な熱源の一つである)、昇熱用炭素源を添加
する等の対応がとられている。
理は多くの利益をもたらすものであるが、その一方、溶
銑予備処理過程では、溶銑中珪素(以下Siと記す)や
溶銑中炭素(以下Cと記す)が消費されて、これらの含
有量が低下し過ぎるきらいがあり、転炉における熱源不
足の原因の一つとなっている。そこで熱源不足を補うた
めに、転炉精錬における溶銑配合率を高めたり(溶銑の
顕熱は重量な熱源の一つである)、昇熱用炭素源を添加
する等の対応がとられている。
【0005】しかるに転炉操業において、溶銑配合率を
高めるとその分だけフラックス等の投入量が制限される
ことになり、いわゆるリターンスクラップバランスが崩
れて生産能力が低下するという問題が発生する。また転
炉における昇熱用炭素源の添加は、炭素源中に不純物と
して含まれるる硫黄(以下Sと記す)の混入を招き、吹
止め鋼中のS濃度が高くなる等の問題をひきおこす。さ
らに予備処理工程におけるMn鉱石の添加は、溶銑温度
の低下を招いて溶銑配合率を一層高めなければならない
要因となっており、また添加されたMn鉱石を予備処理
工程で還元する際に、SiやCが酸化消費されて熱源成
分残存量を一層低下させていることも事実である。
高めるとその分だけフラックス等の投入量が制限される
ことになり、いわゆるリターンスクラップバランスが崩
れて生産能力が低下するという問題が発生する。また転
炉における昇熱用炭素源の添加は、炭素源中に不純物と
して含まれるる硫黄(以下Sと記す)の混入を招き、吹
止め鋼中のS濃度が高くなる等の問題をひきおこす。さ
らに予備処理工程におけるMn鉱石の添加は、溶銑温度
の低下を招いて溶銑配合率を一層高めなければならない
要因となっており、また添加されたMn鉱石を予備処理
工程で還元する際に、SiやCが酸化消費されて熱源成
分残存量を一層低下させていることも事実である。
【0006】また、溶銑予備処理中に脱燐剤と炭材を混
合して吹き込む方法は、炭材と脱燐剤に含まれる炭素含
有物(酸化鉄あるいはスケールあるいは酸素ガス)が、
同一の羽口から吹き込まれることにより、吐出直後の羽
口近傍での炭材と酸素が反応し、炭材の歩留り低下およ
び炭材燃焼による局所的な発熱による羽口近傍の耐火物
溶損が著しく低下するという課題があった。一方、酸素
との反応により発生した熱の大部分は、COガス気泡に
閉じ込められて、溶銑に着熱することなく系外に捨てら
れてしまうという経済的な無駄を避けられないという課
題があった。
合して吹き込む方法は、炭材と脱燐剤に含まれる炭素含
有物(酸化鉄あるいはスケールあるいは酸素ガス)が、
同一の羽口から吹き込まれることにより、吐出直後の羽
口近傍での炭材と酸素が反応し、炭材の歩留り低下およ
び炭材燃焼による局所的な発熱による羽口近傍の耐火物
溶損が著しく低下するという課題があった。一方、酸素
との反応により発生した熱の大部分は、COガス気泡に
閉じ込められて、溶銑に着熱することなく系外に捨てら
れてしまうという経済的な無駄を避けられないという課
題があった。
【0007】さらに、吹き込みまれた炭材のうち飽和C
を越えた分あるいは未反応のまま浮上してスラグ中に懸
濁した炭材は、スラグ中にキッシュグラファイト、ある
いは炭材粉としてスラグ中に析出・浮遊・懸濁すること
となり、事前に脱燐処理を実施している場合は脱燐反応
生成物(燐酸化物)としてスラグ中に捕捉されていた燐
酸化物を還元してしまう結果、復燐が助長され、脱燐効
率を悪化させていた。さらに、脱燐処理を実施せず、脱
硫処理のみ実施した場合や、脱燐処理と脱硫処理を共に
実施した場合においても、炭素添加なしの従来操業時で
も、処理中の温度降下によりグラファイトが析出し、ス
ラグ中に懸濁したグラファイトは、スラグ処理に際して
環境問題を引き起こすという課題があった。
を越えた分あるいは未反応のまま浮上してスラグ中に懸
濁した炭材は、スラグ中にキッシュグラファイト、ある
いは炭材粉としてスラグ中に析出・浮遊・懸濁すること
となり、事前に脱燐処理を実施している場合は脱燐反応
生成物(燐酸化物)としてスラグ中に捕捉されていた燐
酸化物を還元してしまう結果、復燐が助長され、脱燐効
率を悪化させていた。さらに、脱燐処理を実施せず、脱
硫処理のみ実施した場合や、脱燐処理と脱硫処理を共に
実施した場合においても、炭素添加なしの従来操業時で
も、処理中の温度降下によりグラファイトが析出し、ス
ラグ中に懸濁したグラファイトは、スラグ処理に際して
環境問題を引き起こすという課題があった。
【0008】本発明は、こうした事情に着目してなされ
たものであって、熱源を十分に含有する予備処理溶銑の
生産方法を開発することによって転炉精錬における上記
問題点を解決するものである。
たものであって、熱源を十分に含有する予備処理溶銑の
生産方法を開発することによって転炉精錬における上記
問題点を解決するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、溶銑の予備
処理として脱硫処理を行うにあたり、処理条件から事前
に推定された酸素使用効率に基づいて、溶銑のSi,
P,Mnの1元素以上の酸化に消費されると予想される
酸素量と、溶銑中に供給される酸素量の差から脱炭量を
推定し、算出された脱炭量および処理前の溶銑中炭素濃
度から、当該溶銑における溶銑炭素濃度と飽和炭素濃度
との差を算出し、求められた差以上の炭素量を含む炭素
源を溶銑中に供給することにより、溶銑中の炭素濃度を
飽和以上とすることにより、生成スラグ中に炭素を析出
させて添加するとともに、スラグ中に酸素源を吹き込ん
で、前記スラグ中に析出した炭素を燃焼させることを特
徴とする溶銑の予備処理方法によって達成される。
処理として脱硫処理を行うにあたり、処理条件から事前
に推定された酸素使用効率に基づいて、溶銑のSi,
P,Mnの1元素以上の酸化に消費されると予想される
酸素量と、溶銑中に供給される酸素量の差から脱炭量を
推定し、算出された脱炭量および処理前の溶銑中炭素濃
度から、当該溶銑における溶銑炭素濃度と飽和炭素濃度
との差を算出し、求められた差以上の炭素量を含む炭素
源を溶銑中に供給することにより、溶銑中の炭素濃度を
飽和以上とすることにより、生成スラグ中に炭素を析出
させて添加するとともに、スラグ中に酸素源を吹き込ん
で、前記スラグ中に析出した炭素を燃焼させることを特
徴とする溶銑の予備処理方法によって達成される。
【0010】
【作用】溶銑中のC濃度は飽和点に近く、そのため従来
は溶銑中への炭素源の添加は困難であると考えられてい
た。また精錬に対する従来の常識では、炭素源は還元性
材料であり、これを溶銑予備処理時、特に脱燐処理時あ
るいは脱燐処理後に添加すれば酸化反応である脱燐反応
が阻害され、あるいは復燐反応が起こって脱燐性能が低
下すると考えられていた。このような現状で、たとえば
特開平2−228412号等において、溶銑中に炭材を
脱燐剤と混合して吹き込む溶銑予備処理方法が開示され
ているが、上記課題で記述した理由により実操業への適
用には大きな技術的課題があった。
は溶銑中への炭素源の添加は困難であると考えられてい
た。また精錬に対する従来の常識では、炭素源は還元性
材料であり、これを溶銑予備処理時、特に脱燐処理時あ
るいは脱燐処理後に添加すれば酸化反応である脱燐反応
が阻害され、あるいは復燐反応が起こって脱燐性能が低
下すると考えられていた。このような現状で、たとえば
特開平2−228412号等において、溶銑中に炭材を
脱燐剤と混合して吹き込む溶銑予備処理方法が開示され
ているが、上記課題で記述した理由により実操業への適
用には大きな技術的課題があった。
【0011】こうした状況の中で、本発明者らは、前記
課題について、種々の改善検討を実施した結果、予備処
理時に溶銑中に炭材を吹き込むだけの前記方法では、課
題解決方法がなく、操業への適用は困難であるとの結論
を得るに至った。そこで、本発明者らは、予備処理時の
熱源確保という観点から、溶銑中にCを供給するという
従来の考え方に対して、発想の転換をはかり、処理中の
温度低下を防止するという観点で鋭意検討を重ねた結
果、スラグ中の酸素ポテンシャルを制御して、冶金反応
に影響を及ぼさずにスラグ中で炭素源を燃焼させ、その
燃焼熱を溶銑に着熱させることにより、予備処理時の熱
源を向上させる技術を発明した。スラグ中に炭素源を添
加すると、炭素源は還元剤として作用し、スラグ中の酸
素ポテンシャル(代表としてFeO量)を低下させる。
すなわち、 FeO+C=Fe+CO ・・・(1) の反応が起こる。
課題について、種々の改善検討を実施した結果、予備処
理時に溶銑中に炭材を吹き込むだけの前記方法では、課
題解決方法がなく、操業への適用は困難であるとの結論
を得るに至った。そこで、本発明者らは、予備処理時の
熱源確保という観点から、溶銑中にCを供給するという
従来の考え方に対して、発想の転換をはかり、処理中の
温度低下を防止するという観点で鋭意検討を重ねた結
果、スラグ中の酸素ポテンシャルを制御して、冶金反応
に影響を及ぼさずにスラグ中で炭素源を燃焼させ、その
燃焼熱を溶銑に着熱させることにより、予備処理時の熱
源を向上させる技術を発明した。スラグ中に炭素源を添
加すると、炭素源は還元剤として作用し、スラグ中の酸
素ポテンシャル(代表としてFeO量)を低下させる。
すなわち、 FeO+C=Fe+CO ・・・(1) の反応が起こる。
【0012】一般に脱硫反応は、反応雰囲気が還元性で
あるほど反応が進行しやすくなる。逆に雰囲気の酸化性
が高いと脱硫効率は低下し、同様の理由から、スラグ酸
素ポテンシャルが上昇すると復硫が発生する。したがっ
て、従来から脱硫処理時は酸素を使用せず、また脱硫ス
ラグ等のスラグ酸化度の高いスラグが存在しないタイミ
ングで脱硫を実施することが必要であると一般に考えら
れてきた。しかして、本発明法によるスラグ中への炭素
源添加は、上記(1)式の反応によりスラグ酸化度を低
減することから、炭素源添加のみであれば脱硫反応効率
が向上することになる。しかし、本発明の目的である炭
素源のスラグ中での燃焼による溶銑顕熱向上を実現する
ためにスラグ中に酸素源を供給し、炭素源を燃焼させる
にあたっては、必要量以上の酸素源を供給すると結果的
にスラグ酸化度上昇を引き起こすこととなる。
あるほど反応が進行しやすくなる。逆に雰囲気の酸化性
が高いと脱硫効率は低下し、同様の理由から、スラグ酸
素ポテンシャルが上昇すると復硫が発生する。したがっ
て、従来から脱硫処理時は酸素を使用せず、また脱硫ス
ラグ等のスラグ酸化度の高いスラグが存在しないタイミ
ングで脱硫を実施することが必要であると一般に考えら
れてきた。しかして、本発明法によるスラグ中への炭素
源添加は、上記(1)式の反応によりスラグ酸化度を低
減することから、炭素源添加のみであれば脱硫反応効率
が向上することになる。しかし、本発明の目的である炭
素源のスラグ中での燃焼による溶銑顕熱向上を実現する
ためにスラグ中に酸素源を供給し、炭素源を燃焼させる
にあたっては、必要量以上の酸素源を供給すると結果的
にスラグ酸化度上昇を引き起こすこととなる。
【0013】本発明法においては、上記炭素源による還
元と燃焼用酸素源供給による酸化のバランスを制御すれ
ば、冶金反応に悪影響を及ぼすことなく溶銑の熱源向上
を実現することを目的としたスラグ中への炭素源供給方
法およびスラグ中での炭素源燃焼による熱源確保の処理
方法を提示するものである。
元と燃焼用酸素源供給による酸化のバランスを制御すれ
ば、冶金反応に悪影響を及ぼすことなく溶銑の熱源向上
を実現することを目的としたスラグ中への炭素源供給方
法およびスラグ中での炭素源燃焼による熱源確保の処理
方法を提示するものである。
【0014】以下、本発明方法をさらに詳細に説明す
る。第1の方法は、スラグ中への炭素源供給する方法と
して、スラグ中に直接に粉状の炭素源を吹き込むまたは
塊状の炭素源を添加する方法が考えられる。しかし、ス
ラグ中に直接粉状の炭素源を吹き込むと、反応界面積が
大きく反応性に優れる反面、吹き込んだ粉状の炭素源が
スラグを貫通して排気系に飛散することがあり、安全上
の設備対策が必要となる。また塊状の炭素源を投入する
と、前記粉状炭素源使用時の安全設備対策は不要となる
が、反応速度が遅いという欠点があった。
る。第1の方法は、スラグ中への炭素源供給する方法と
して、スラグ中に直接に粉状の炭素源を吹き込むまたは
塊状の炭素源を添加する方法が考えられる。しかし、ス
ラグ中に直接粉状の炭素源を吹き込むと、反応界面積が
大きく反応性に優れる反面、吹き込んだ粉状の炭素源が
スラグを貫通して排気系に飛散することがあり、安全上
の設備対策が必要となる。また塊状の炭素源を投入する
と、前記粉状炭素源使用時の安全設備対策は不要となる
が、反応速度が遅いという欠点があった。
【0015】本発明では、上記の課題を解決し、スラグ
中に安全・確実に炭素源を供給し、かつ反応速度の早い
微粒の炭素を供給する方法を提供する。すなわち、本発
明者らは、溶銑中に炭素濃度が飽和以上となる炭素源を
供給した際に、グラファイトがスラグ中に析出すること
に着目し、スラグへの炭素供給方法として、処理中の溶
銑中炭素濃度および飽和炭素濃度から溶銑着炭可能炭素
量を推定し、前記溶銑着炭可能炭素量以上の炭素量を溶
銑中に吹き込むことにより、飽和を越えた炭素分をスラ
グ中に析出させることが可能となった。前記着炭可能炭
素量を算出するにあたり、処理中溶銑炭素濃度について
は、処理前炭素濃度および処理中の脱炭量により推定す
る。
中に安全・確実に炭素源を供給し、かつ反応速度の早い
微粒の炭素を供給する方法を提供する。すなわち、本発
明者らは、溶銑中に炭素濃度が飽和以上となる炭素源を
供給した際に、グラファイトがスラグ中に析出すること
に着目し、スラグへの炭素供給方法として、処理中の溶
銑中炭素濃度および飽和炭素濃度から溶銑着炭可能炭素
量を推定し、前記溶銑着炭可能炭素量以上の炭素量を溶
銑中に吹き込むことにより、飽和を越えた炭素分をスラ
グ中に析出させることが可能となった。前記着炭可能炭
素量を算出するにあたり、処理中溶銑炭素濃度について
は、処理前炭素濃度および処理中の脱炭量により推定す
る。
【0016】さらに処理中の脱炭量としては、本発明者
らの試験結果によると、脱珪、脱燐、脱Mnを考えるこ
とにより十分な精度をもつ推定が可能であることが判明
しており、脱珪に使用される酸素の効率およびまたは、
脱燐に使用される酸素の効率およびまたは、脱Mnに使
用される酸素の効率以外は脱炭に使用され、処理中の溶
銑中炭素濃度低下を引き起こしていることが判明した。
したがって、脱珪、脱燐、脱Mnの1元素以上を考慮す
ればよい。2元素、3元素と考慮する元素数が増加する
につれて推定精度は向上するが、推定モデルが複雑とな
ることから、要求される精度レベルと推定にかかる費用
により使用する際には適当な元素数を選択してよい。
らの試験結果によると、脱珪、脱燐、脱Mnを考えるこ
とにより十分な精度をもつ推定が可能であることが判明
しており、脱珪に使用される酸素の効率およびまたは、
脱燐に使用される酸素の効率およびまたは、脱Mnに使
用される酸素の効率以外は脱炭に使用され、処理中の溶
銑中炭素濃度低下を引き起こしていることが判明した。
したがって、脱珪、脱燐、脱Mnの1元素以上を考慮す
ればよい。2元素、3元素と考慮する元素数が増加する
につれて推定精度は向上するが、推定モデルが複雑とな
ることから、要求される精度レベルと推定にかかる費用
により使用する際には適当な元素数を選択してよい。
【0017】一方、飽和炭素濃度については、処理中の
溶銑温度から推定することが可能であるが、一定値(例
えば4.3%)を使用してもかまわない。上記方法によ
り、既知となった処理前炭素濃度および処理中脱炭から
求める炭素濃度と飽和炭素濃度から着炭可能炭素量を算
出する。本発明では、着炭可能炭素量以上の炭素を含有
する炭素源を溶銑中に吹き込むことにより、スラグ中に
析出する炭素量を把握することが可能となった。
溶銑温度から推定することが可能であるが、一定値(例
えば4.3%)を使用してもかまわない。上記方法によ
り、既知となった処理前炭素濃度および処理中脱炭から
求める炭素濃度と飽和炭素濃度から着炭可能炭素量を算
出する。本発明では、着炭可能炭素量以上の炭素を含有
する炭素源を溶銑中に吹き込むことにより、スラグ中に
析出する炭素量を把握することが可能となった。
【0018】スラグ中に析出されていた炭素源は、同時
にスラグ中に供給される酸素源およびスラグ中のFeO
をはじめとする酸化物と反応を起こし、発熱する。本発
明者らの実機での調査によれば、スラグ以外の酸素源
(本発明請求項に記述する酸素源)によって供給される
酸素量が、化学量論的に溶銑から析出することにより供
給される炭素量(以下、析出炭素量と記す)と反応する
量より少なくすることにより、スラグの酸素ポテンシャ
ルの上昇による復硫反応を防止できることが判明した。
にスラグ中に供給される酸素源およびスラグ中のFeO
をはじめとする酸化物と反応を起こし、発熱する。本発
明者らの実機での調査によれば、スラグ以外の酸素源
(本発明請求項に記述する酸素源)によって供給される
酸素量が、化学量論的に溶銑から析出することにより供
給される炭素量(以下、析出炭素量と記す)と反応する
量より少なくすることにより、スラグの酸素ポテンシャ
ルの上昇による復硫反応を防止できることが判明した。
【0019】すなわち、脱燐処理スラグの存在しない条
件下では、スラグ酸素ポテンシャル低下による復燐を考
慮する必要がないため、溶銑から析出させることにより
スラグに供給される炭素は、外部からスラグ中に供給さ
れた酸素およびスラグ中のFeOをはじめとする酸化物
の還元により供給される酸素の合計量が、化学量論的に
炭素燃焼に必要な酸素量であればよい。その際に、本発
明者らの調査によれば、スラグ中に析出する純炭素換算
1kgあたり外部から供給される酸素源量は、純酸素換
算で0.5〜1.9Nm3 が適当である。純酸素換算量
が0.5Nm3 未満であると、スラグ中に析出したグラ
ファイトが残留してスラグの処理が困難となり、また
1.9Nm3 より大きくなるとスラグの酸素ポテンシャ
ルが上昇して脱硫効率の悪化を引き起こす。
件下では、スラグ酸素ポテンシャル低下による復燐を考
慮する必要がないため、溶銑から析出させることにより
スラグに供給される炭素は、外部からスラグ中に供給さ
れた酸素およびスラグ中のFeOをはじめとする酸化物
の還元により供給される酸素の合計量が、化学量論的に
炭素燃焼に必要な酸素量であればよい。その際に、本発
明者らの調査によれば、スラグ中に析出する純炭素換算
1kgあたり外部から供給される酸素源量は、純酸素換
算で0.5〜1.9Nm3 が適当である。純酸素換算量
が0.5Nm3 未満であると、スラグ中に析出したグラ
ファイトが残留してスラグの処理が困難となり、また
1.9Nm3 より大きくなるとスラグの酸素ポテンシャ
ルが上昇して脱硫効率の悪化を引き起こす。
【0020】また、脱硫時に脱燐処理スラグが存在する
場合は、析出炭素がスラグ中の酸化物と反応してスラグ
の酸素ポテンシャルが低下することにより復燐が発生す
る。したがって、スラグの酸素ポテンシャルが上昇しな
い範囲で、外部から炭素燃焼に必要な酸素量を全量供給
する必要がある。よって、必要な酸素量は本発明者らの
調査結果によれば、スラグ中に析出する純炭素換算1k
gあたり外部から供給される酸素量は、純酸素換算で
0.7〜1.9Nm3 が適当である。0.7Nm3 未満
であるとスラグ中の酸素ポテンシャルが低下して復燐あ
るいはスラグ中へのグラファイト残留によるスラグ処理
が問題となる。また、1.9Nm3 より多量の酸素を供
給すると復硫が発生し、脱硫効率が悪化する。本発明法
に示す処理前炭素濃度としては、分析値または推定値を
用いることとなるが、脱燐処理に引き続いて連続で脱硫
処理を実施する場合には、脱燐処理時の脱炭量を推定し
て脱硫処理前炭素濃度とすれば良い。
場合は、析出炭素がスラグ中の酸化物と反応してスラグ
の酸素ポテンシャルが低下することにより復燐が発生す
る。したがって、スラグの酸素ポテンシャルが上昇しな
い範囲で、外部から炭素燃焼に必要な酸素量を全量供給
する必要がある。よって、必要な酸素量は本発明者らの
調査結果によれば、スラグ中に析出する純炭素換算1k
gあたり外部から供給される酸素量は、純酸素換算で
0.7〜1.9Nm3 が適当である。0.7Nm3 未満
であるとスラグ中の酸素ポテンシャルが低下して復燐あ
るいはスラグ中へのグラファイト残留によるスラグ処理
が問題となる。また、1.9Nm3 より多量の酸素を供
給すると復硫が発生し、脱硫効率が悪化する。本発明法
に示す処理前炭素濃度としては、分析値または推定値を
用いることとなるが、脱燐処理に引き続いて連続で脱硫
処理を実施する場合には、脱燐処理時の脱炭量を推定し
て脱硫処理前炭素濃度とすれば良い。
【0021】上記方法は、スラグ中での炭素燃焼により
多量のCOガスが発生することから、スラグ中をCOガ
スが通過する際にスラグのフォーミングを引き起こす。
その防止策として、フォーミングしたスラグを収容可能
な反応槽を使用することが必要であり、本発明にかかる
予備処理方法実施の際は、溶銑鍋に払いだされた溶銑中
にフリーボードを浸漬した反応容器あるいは、転炉ある
いは混銑車を使用する必要がある。
多量のCOガスが発生することから、スラグ中をCOガ
スが通過する際にスラグのフォーミングを引き起こす。
その防止策として、フォーミングしたスラグを収容可能
な反応槽を使用することが必要であり、本発明にかかる
予備処理方法実施の際は、溶銑鍋に払いだされた溶銑中
にフリーボードを浸漬した反応容器あるいは、転炉ある
いは混銑車を使用する必要がある。
【0022】
【実施例】図1は脱硫処理中に、溶銑中に吹き込んだ炭
素源によるスラグ中への析出炭素量と溶銑温度の上昇と
の関係を示したものである。また表1、表2に実施例と
比較例を記載したが、これらの脱硫処理前溶銑成分とし
ては、C:3.5〜4.9%、Si:0.05〜1.0
8%、Mn:0.15〜0.52%、P:0.010〜
0.121%、S:0.015〜0.053%を含有
し、処理前温度1250〜1450℃の溶銑中に脱硫剤
1〜12kg/tと、炭素源として最大粒径5mmの粉
コークス(炭素含有率88〜95%)を、混合あるいは
別系統からキャリアガスとして窒素ガスあるいは二酸化
炭素ガスあるいはアルゴンガスを使用して、溶銑1tあ
たり1〜28kg吹き込み、また溶銑中に酸化鉄中の酸
素分と酸素ガスの合計で1〜18Nm3 /t吹き込ん
だ。
素源によるスラグ中への析出炭素量と溶銑温度の上昇と
の関係を示したものである。また表1、表2に実施例と
比較例を記載したが、これらの脱硫処理前溶銑成分とし
ては、C:3.5〜4.9%、Si:0.05〜1.0
8%、Mn:0.15〜0.52%、P:0.010〜
0.121%、S:0.015〜0.053%を含有
し、処理前温度1250〜1450℃の溶銑中に脱硫剤
1〜12kg/tと、炭素源として最大粒径5mmの粉
コークス(炭素含有率88〜95%)を、混合あるいは
別系統からキャリアガスとして窒素ガスあるいは二酸化
炭素ガスあるいはアルゴンガスを使用して、溶銑1tあ
たり1〜28kg吹き込み、また溶銑中に酸化鉄中の酸
素分と酸素ガスの合計で1〜18Nm3 /t吹き込ん
だ。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】その際には、脱燐に使用される酸素の効率
は理論的に必要な脱燐酸素量の6〜12%、脱珪に使用
される酸素の効率は、理論的に必要な酸素量の80〜1
00%、脱Mnに使用される酸素の効率は、理論的に必
要な酸素量の80〜100%であった。したがって、脱
炭に使用される酸素は、溶銑中に供給された酸素合計量
の66〜94%であった。よって、吹き込まれた酸化鉄
および酸素ガスの合計量1Nm3 /tあたり0.07〜
0.1%の脱炭が発生しており、スラグ中に析出した純
炭素量は、溶銑1tあたり1〜20kgを得た。同時に
脱硫処理時に溶銑上に生成しているスラグ中に純酸素ま
たは21%酸素+79%窒素の混合ガスを酸素源として
純酸素換算で、脱燐スラグが存在する場合は、純炭素換
算1kgあたり0.7〜1.9Nm3 、脱燐スラグが存
在しない場合は、純炭素換算1kgあたり0.5〜1.
9Nm3 、吹き込んだ際の溶銑温度上昇効果を示す。酸
素源は、上方からスラグに吹き付けるかまたは、スラグ
中に浸漬したノズルから供給した。
は理論的に必要な脱燐酸素量の6〜12%、脱珪に使用
される酸素の効率は、理論的に必要な酸素量の80〜1
00%、脱Mnに使用される酸素の効率は、理論的に必
要な酸素量の80〜100%であった。したがって、脱
炭に使用される酸素は、溶銑中に供給された酸素合計量
の66〜94%であった。よって、吹き込まれた酸化鉄
および酸素ガスの合計量1Nm3 /tあたり0.07〜
0.1%の脱炭が発生しており、スラグ中に析出した純
炭素量は、溶銑1tあたり1〜20kgを得た。同時に
脱硫処理時に溶銑上に生成しているスラグ中に純酸素ま
たは21%酸素+79%窒素の混合ガスを酸素源として
純酸素換算で、脱燐スラグが存在する場合は、純炭素換
算1kgあたり0.7〜1.9Nm3 、脱燐スラグが存
在しない場合は、純炭素換算1kgあたり0.5〜1.
9Nm3 、吹き込んだ際の溶銑温度上昇効果を示す。酸
素源は、上方からスラグに吹き付けるかまたは、スラグ
中に浸漬したノズルから供給した。
【0026】炭素源は、脱硫剤と同時に吹き込んでもま
た脱硫処理後に単独で吹き込んでも同等の効果が得られ
た。溶銑1tあたりスラグ中で純炭素1kg燃焼させる
ことにより溶銑温度は5〜13℃向上し、着熱効率は4
0〜100%であった。また、従来の溶銑中に炭素源を
添加した際に課題となっていたスラグへのキッシュグラ
ファイト残留は全くなく、従来脱硫スラグ処理時のグラ
ファイト対策の必要が皆無となった。また、フリーボー
ドを使用することにより、スラグ中での炭素源燃焼の際
発生するCOガスによるスラグフォーミングによる操業
への影響は全くなかった。反応容器として混銑車あるい
は転炉を使用した場合についても同様にフォーミングに
よる操業への悪影響は発生しなかった。
た脱硫処理後に単独で吹き込んでも同等の効果が得られ
た。溶銑1tあたりスラグ中で純炭素1kg燃焼させる
ことにより溶銑温度は5〜13℃向上し、着熱効率は4
0〜100%であった。また、従来の溶銑中に炭素源を
添加した際に課題となっていたスラグへのキッシュグラ
ファイト残留は全くなく、従来脱硫スラグ処理時のグラ
ファイト対策の必要が皆無となった。また、フリーボー
ドを使用することにより、スラグ中での炭素源燃焼の際
発生するCOガスによるスラグフォーミングによる操業
への影響は全くなかった。反応容器として混銑車あるい
は転炉を使用した場合についても同様にフォーミングに
よる操業への悪影響は発生しなかった。
【0027】炭素源としては、コークス、石炭、土壌黒
鉛等、炭素を主成分とするものであれば炭素純分あたり
の効果は同様に得られた。また、溶銑中に吹き込む炭素
源の粒度としては、溶解性の観点から細粒であるほど反
応効率が向上あるいは反応速度向上の効果が得られた。
すなわち、溶銑中に炭素源を吹き込む際には、最小粒径
が0.1mm以上8mm以下が使用可能である。また、
上方から溶銑中に添加する場合は、粉状の炭素濃を吹き
込むのに比較して反応速度が遅いという欠点があるもの
の、処理時間に余裕がある条件のもとでは、5mm以上
50mm以下の炭素源が使用可能である。さらに、スラ
グ中の析出炭素燃焼に使用するガスとしては、酸素ガス
あるいは酸素ガスと窒素ガスの混合ガス(空気を含む)
が望ましいが、その中の窒素ガスは酸素ガスの希釈ガス
としての役割を果しており、炭素と反応せずに火点近傍
の冷却を実現するためであるならば、窒素ガスに代替し
て例えばAr,CO2 ,COガスやそれらの混合ガスを
使用することも同等の効果が得られる。ただし、ガスコ
スト上昇を引き起こすため、工業生産的には窒素ガスが
最も望ましい。
鉛等、炭素を主成分とするものであれば炭素純分あたり
の効果は同様に得られた。また、溶銑中に吹き込む炭素
源の粒度としては、溶解性の観点から細粒であるほど反
応効率が向上あるいは反応速度向上の効果が得られた。
すなわち、溶銑中に炭素源を吹き込む際には、最小粒径
が0.1mm以上8mm以下が使用可能である。また、
上方から溶銑中に添加する場合は、粉状の炭素濃を吹き
込むのに比較して反応速度が遅いという欠点があるもの
の、処理時間に余裕がある条件のもとでは、5mm以上
50mm以下の炭素源が使用可能である。さらに、スラ
グ中の析出炭素燃焼に使用するガスとしては、酸素ガス
あるいは酸素ガスと窒素ガスの混合ガス(空気を含む)
が望ましいが、その中の窒素ガスは酸素ガスの希釈ガス
としての役割を果しており、炭素と反応せずに火点近傍
の冷却を実現するためであるならば、窒素ガスに代替し
て例えばAr,CO2 ,COガスやそれらの混合ガスを
使用することも同等の効果が得られる。ただし、ガスコ
スト上昇を引き起こすため、工業生産的には窒素ガスが
最も望ましい。
【0028】
【発明の効果】本発明は、以上のような手段をとるもの
であり、製鋼工程における熱源(溶銑予備処理後、特に
脱硫処理後の温度)向上を実現し、さらにスラグに炭素
を供給するための方法として溶銑からの炭素析出を利用
している点から、本発明法にかかる脱硫処理を実施した
際は、常に溶銑中の炭素濃度は飽和濃度を維持すること
が可能となった結果、転炉における熱源が向上しMn鉱
石投入量増大による吹止Mn向上と、高価なFe−Mn
合金鉄使用量削減という点で、多大な経済的効果を得る
ことが可能となった。さらに従来、脱硫処理時の課題で
あったスラグへのグラファイト析出が皆無となった結
果、スラグ処理が簡易な設備で可能となるとともに、発
生した脱硫スラグについてもグラファイトがないという
点から、従来埋め立て処理されていたスラグについても
セメント原料等への再資源化を図ることができる。
であり、製鋼工程における熱源(溶銑予備処理後、特に
脱硫処理後の温度)向上を実現し、さらにスラグに炭素
を供給するための方法として溶銑からの炭素析出を利用
している点から、本発明法にかかる脱硫処理を実施した
際は、常に溶銑中の炭素濃度は飽和濃度を維持すること
が可能となった結果、転炉における熱源が向上しMn鉱
石投入量増大による吹止Mn向上と、高価なFe−Mn
合金鉄使用量削減という点で、多大な経済的効果を得る
ことが可能となった。さらに従来、脱硫処理時の課題で
あったスラグへのグラファイト析出が皆無となった結
果、スラグ処理が簡易な設備で可能となるとともに、発
生した脱硫スラグについてもグラファイトがないという
点から、従来埋め立て処理されていたスラグについても
セメント原料等への再資源化を図ることができる。
【図1】スラグ中への析出炭素量と溶銑温度上昇の関係
を示す図
を示す図
フロントページの続き (72)発明者 森口 誠 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内
Claims (1)
- 【請求項1】 溶銑の予備処理として脱硫処理を行うに
あたり、処理条件から事前に推定された酸素使用効率に
基づいて、溶銑のSi,P,Mnの1元素以上の酸化に
消費されると予想される酸素量と、溶銑中に供給される
酸素量の差から脱炭量を推定し、算出された脱炭量およ
び処理前の溶銑中炭素濃度から、当該溶銑における溶銑
炭素濃度と飽和炭素濃度との差を算出し、求められた差
以上の炭素量を含む炭素源を溶銑中に供給することによ
り、溶銑中の炭素濃度を飽和以上とすることにより、生
成スラグ中に炭素を析出させて添加するとともに、スラ
グ中に酸素源を吹き込んで、前記スラグ中に析出した炭
素を燃焼させることを特徴とする溶銑の予備処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19104595A JPH0920908A (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | 溶銑の予備処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19104595A JPH0920908A (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | 溶銑の予備処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0920908A true JPH0920908A (ja) | 1997-01-21 |
Family
ID=16267982
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19104595A Pending JPH0920908A (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | 溶銑の予備処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0920908A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6733561B2 (en) * | 1993-07-22 | 2004-05-11 | Anglo Operations Limited | Production of high titania slag from ilmenite |
JP2007302961A (ja) * | 2006-05-12 | 2007-11-22 | Nisshin Steel Co Ltd | 含Cr溶銑の脱硫精錬剤および脱硫方法 |
-
1995
- 1995-07-05 JP JP19104595A patent/JPH0920908A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6733561B2 (en) * | 1993-07-22 | 2004-05-11 | Anglo Operations Limited | Production of high titania slag from ilmenite |
JP2007302961A (ja) * | 2006-05-12 | 2007-11-22 | Nisshin Steel Co Ltd | 含Cr溶銑の脱硫精錬剤および脱硫方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20050111 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050517 |