JP2007291512A - パーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料粉末としてCr:50〜70原子%を含有し、残部がCoからなるCr−Co合金粉末、Pt粉末、非磁性酸化物粉末(二酸化珪素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化トリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよび酸化イットリウムなどの粉末)およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を非磁性酸化物:2〜15モル%、Cr:3〜20モル%、Pt:5〜30モル%を含有し、残部:Coからなる成分組成となるように配合し混合したのち、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスなどの加圧焼結することにより製造する。
【選択図】なし
Description
このCo基焼結合金スパッタリングターゲットは、通常、二酸化珪素粉末、Cr粉末、Pt粉末およびCo粉末を、二酸化珪素:2〜15モル%、Cr:3〜20モル%、Pt:5〜30モル%を含有し、残部:Coからなる組成となるように配合し混合したのち、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスなどの方法で加圧焼結することにより作製されることが知られており、前記二酸化珪素粉末として高温火炎加水分解法で製造された二酸化珪素粉末を使用し、ターゲットの素地中に分散する二酸化珪素相を10μm以下の極めて細かい組織とすることによってパーティクルの発生を少なくしている(特許文献1、特許文献2などを参照)。
さらに、前記SiO2のほかにTiO、Cr2O3、TiO2、Ta2O5、Al2O3、BeO2、MgO、ThO2、ZrO2、CeO2、Y2O3などの非磁性酸化物が使用できることが知られている(特許文献3、4参照)。
「富士時報」Vol.75No.3 2002(169〜172ページ)
(イ)ターゲットの素地中に絶対最大長(粒子の輪郭線上の任意の2点間距離の最大値)が10μmを越える粗大なCrとOを主成分とする凝集体または析出物(以下、クロム酸化物凝集体という)が分散していることがパーティクル発生の一因となっていること、
(ロ)この粗大なクロム酸化物凝集体が素地中に存在しないようにするには、原料粉末として、Cr粉末の代わりに、Cr:50〜70原子%を含有し、残部がCoからなる成分組成を有するCrとCoの金属間化合物を主体とする合金粉末(以下、Cr−Co合金粉末という)を使用することが好ましいこと、などの知見を得たのである。
(1)原料粉末として、Cr:50〜70原子%を含有し、残部がCoからなる成分組成のCr−Co合金粉末、Pt粉末、非磁性酸化物粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を非磁性酸化物:2〜15モル%、Cr:3〜20モル%、Pt:5〜30モル%を含有し、残部:Coからなる成分組成となるように配合し混合したのち、加圧焼結するパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法、
(2)前記非磁性酸化物は、二酸化珪素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化トリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよび酸化イットリウムのうちのいずれかである前記(1)記載のパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法、
(3)前記加圧焼結は、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスである前記(1)記載のパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法、に特徴を有するものである。
前記原料粉末の混合は不活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。これは混合中にCrが酸素と結合してクロム酸化物凝集体が形成されるのをより一層防止するからである。
これら原料粉末を表2に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。
得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1200℃、圧力:15MPa、3時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより表2に示される成分組成を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して直径:152.4mm、厚さ:3mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法1〜8、比較法1〜2および従来法1を実施した。
EPMAによるクロム酸化物凝集体の絶対最大長の測定は、次のようにして行なった。前記本発明法1〜8、比較法1〜2および従来法1で作製したホットプレス体から試料を切り出して断面を樹脂に埋め、鏡面研磨した。この断面組織についてフィールドエミッションEPMA(日本電子社製JXA−8500F)により、加速電圧:15kV、照射電流:5×10−8Aの条件で1000倍の倍率にて面分析を実施し、Crの元素マッピング像を得た。このCrの元素マッピング像は出来るだけCrが富化した領域(すなわちクロム酸化物凝集体)を明確に判別できるよう、コントラストおよび色調をつけた画像とした。得られたCrの元素マッピング像を画質を落とさずにビットマップ形式の画像ファイルとして保存し、この画像を別途パソコンの画像処理ソフト(三谷商事社製、Win Roof)に読み込ませて二値化し、マトリックスよりCrが富化している領域の絶対最大長を画像処理により計測した。二値化の際にはCr富化領域の大きさが元の画像と変化しないようにしきい値を選んだ。計測時の長さのキャリブレーションについては元のEPMAによるCrの元素マッピング像に表示されたスケールバーを用いた。
到達真空度:5×10−5Pa、
電力:直流800W、
Arガス圧:6.0Pa、
ターゲット基板間距離:60mm、
基板加熱:なし、
の条件でプレスパッタを行い、ターゲット表面加工層を除去したのち、一旦チャンバーを大気開放して、防着板などのチャンバー部材の清掃を行った。その後、再び上記真空度に達するまで真空引きを行い、真空引き後、30分のプレスパッタを行ってターゲット表面の大気吸着成分や金属酸化層の除去を行ったのち、4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜した。同じ条件で合計25枚の4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜し、成膜後のウエハについて市販の異物検査装置によりウエハ表面に付着した1.0μm以上のパーティクル数を計測し、25枚の平均値を算出し、その結果を表2に示した。
先に用意した原料粉末を表3に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。
得られた混合粉末をSUS製の容器に充填し、550度、12時間保持の真空脱ガス処理を行なったのち、SUS容器を密封して混合粉末を真空封入した。この混合粉末を充填したSUS容器について、温度:1200℃、圧力:100MPa、3時間保持の条件で熱間静水圧プレスを施し、その後、SUS容器を開封して表3に示される成分組成を有する熱間静水圧プレス体を作製し、この熱間静水圧プレス体を切削加工して直径:152.4mm、厚さ:3mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法9〜16、比較法3〜4および従来法2を実施した。
EPMAによるクロム酸化物凝集体の絶対最大長の測定は、次のようにして行なった。前記本発明法9〜16、比較法3〜4および従来法2で作製したターゲットから試料を切り出して断面を樹脂に埋め、鏡面研磨した。この断面組織についてフィールドエミッションEPMA(日本電子社製JXA−8500F)により、加速電圧:15kV、照射電流:5×10−8Aの条件で1000倍の倍率にて面分析を実施し、Crの元素マッピング像を得た。このCrの元素マッピング像は出来るだけCrが富化した領域(すなわちクロム酸化物凝集体)を明確に判別できるよう、コントラストおよび色調をつけた画像とした。得られたCrの元素マッピング像を画質を落とさずにビットマップ形式の画像ファイルとして保存し、この画像を別途パソコンの画像処理ソフト(三谷商事社製、Win Roof)に読み込ませて二値化し、マトリックスよりCrが富化している領域の絶対最大長を画像処理により計測した。二値化の際にはCr富化領域の大きさが元の画像と変化しないようにしきい値を選んだ。計測時の長さのキャリブレーションについては元のEPMAによるCrの元素マッピング像に表示されたスケールバーを用いた。
到達真空度:5×10−5Pa、
電力:直流800W、
Arガス圧:6.0Pa、
ターゲット基板間距離:60mm、
基板加熱:なし、
の条件でプレスパッタを行い、ターゲット表面加工層を除去したのち、一旦チャンバーを大気開放して、防着板などのチャンバー部材の清掃を行った。その後、再び上記真空度に達するまで真空引きを行い、真空引き後、30分のプレスパッタを行ってターゲット表面の大気吸着成分や金属酸化層の除去を行ったのち、4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜した。同じ条件で合計25枚の4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜し、成膜後のウエハについて市販の異物検査装置によりウエハ表面に付着した1.0μm以上のパーティクル数を計測し、25枚の平均値を算出し、その結果を表3に示した。
先に用意した原料粉末を表4に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。
得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1200℃、圧力:15MPa、3時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより表4に示される成分組成を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して直径:152.4mm、厚さ:3mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法17〜24、比較法5〜6および従来法3を実施した。
EPMAによるクロム酸化物凝集体の絶対最大長の測定は、次のようにして行なった。前記本発明法17〜24、比較法5〜6および従来法3で作製したターゲットから試料を切り出して断面を樹脂に埋め、鏡面研磨した。この断面組織についてフィールドエミッションEPMA(日本電子社製JXA−8500F)により、加速電圧:15kV、照射電流:5×10−8Aの条件で1000倍の倍率にて面分析を実施し、Crの元素マッピング像を得た。このCrの元素マッピング像は出来るだけCrが富化した領域(すなわちクロム酸化物凝集体)を明確に判別できるよう、コントラストおよび色調をつけた画像とした。得られたCrの元素マッピング像を画質を落とさずにビットマップ形式の画像ファイルとして保存し、この画像を別途パソコンの画像処理ソフト(三谷商事社製、Win Roof)に読み込ませて二値化し、マトリックスよりCrが富化している領域の絶対最大長を画像処理により計測した。二値化の際にはCr富化領域の大きさが元の画像と変化しないようにしきい値を選んだ。計測時の長さのキャリブレーションについては元のEPMAによるCrの元素マッピング像に表示されたスケールバーを用いた。
到達真空度:5×10−5Pa、
電力:直流800W、
Arガス圧:6.0Pa、
ターゲット基板間距離:60mm、
基板加熱:なし、
の条件でプレスパッタを行い、ターゲット表面加工層を除去したのち、一旦チャンバーを大気開放して、防着板などのチャンバー部材の清掃を行った。その後、再び上記真空度に達するまで真空引きを行い、真空引き後、30分のプレスパッタを行ってターゲット表面の大気吸着成分や金属酸化層の除去を行ったのち、4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜した。同じ条件で合計25枚の4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜し、成膜後のウエハについて市販の異物検査装置によりウエハ表面に付着した1.0μm以上のパーティクル数を計測し、25枚の平均値を算出し、その結果を表4に示した。
先に用意した原料粉末を表5に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。
得られた混合粉末をSUS製の容器に充填し、550度、12時間保持の真空脱ガス処理を行なったのち、SUS容器を密封して混合粉末を真空封入した。この混合粉末を充填したSUS容器について、温度:1200℃、圧力:100MPa、3時間保持の条件で熱間静水圧プレスを施し、その後、SUS容器を開封して表5に示される成分組成を有する熱間静水圧プレス体を作製し、この熱間静水圧プレス体を切削加工して直径:152.4mm、厚さ:3mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法25〜32、比較法7〜8および従来法4を実施した。
EPMAによるクロム酸化物凝集体の絶対最大長の測定は、次のようにして行なった。前記本発明法25〜32、比較法7〜8および従来法4で作製したターゲットから試料を切り出して断面を樹脂に埋め、鏡面研磨した。この断面組織についてフィールドエミッションEPMA(日本電子社製JXA−8500F)により、加速電圧:15kV、照射電流:5×10−8Aの条件で1000倍の倍率にて面分析を実施し、Crの元素マッピング像を得た。このCrの元素マッピング像は出来るだけCrが富化した領域(すなわちクロム酸化物凝集体)を明確に判別できるよう、コントラストおよび色調をつけた画像とした。得られたCrの元素マッピング像を画質を落とさずにビットマップ形式の画像ファイルとして保存し、この画像を別途パソコンの画像処理ソフト(三谷商事社製、Win Roof)に読み込ませて二値化し、マトリックスよりCrが富化している領域の絶対最大長を画像処理により計測した。二値化の際にはCr富化領域の大きさが元の画像と変化しないようにしきい値を選んだ。計測時の長さのキャリブレーションについては元のEPMAによるCrの元素マッピング像に表示されたスケールバーを用いた。
到達真空度:5×10−5Pa、
電力:直流800W、
Arガス圧:6.0Pa、
ターゲット基板間距離:60mm、
基板加熱:なし、
の条件でプレスパッタを行い、ターゲット表面加工層を除去したのち、一旦チャンバーを大気開放して、防着板などのチャンバー部材の清掃を行った。その後、再び上記真空度に達するまで真空引きを行い、真空引き後、30分のプレスパッタを行ってターゲット表面の大気吸着成分や金属酸化層の除去を行ったのち、4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜した。同じ条件で合計25枚の4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜し、成膜後のウエハについて市販の異物検査装置によりウエハ表面に付着した1.0μm以上のパーティクル数を計測し、25枚の平均値を算出し、その結果を表5に示した。
Claims (4)
- 原料粉末としてCr:50〜70原子%を含有し、残部がCoからなるCr−Co合金粉末、Pt粉末、非磁性酸化物粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を非磁性酸化物:2〜15モル%、Cr:3〜20モル%、Pt:5〜30モル%を含有し、残部:Coからなる成分組成となるように配合し混合したのち、加圧焼結することを特徴とするパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記非磁性酸化物は、二酸化珪素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化トリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよび酸化イットリウムのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記加圧焼結は、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスであることを特徴とする請求項1記載のパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- 請求項1、2または3記載の方法で製造したことを特徴とするパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲット。
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