JP2007291224A - スチレン系樹脂押出発泡シートおよび容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ビニルモノマーからなる樹脂であって、200℃、49Nで測定したメルトマスフローレイト(MFR)が2.0〜5.0g/10minであって、かつ240℃、角速度0.1ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置による貯蔵弾性率G’(0.1)が5〜20Paであることを特徴とするスチレン系樹脂を押出発泡成形してなる押出発泡シート。
【選択図】なし
Description
このような発泡シートを熱成形し複数個の成形体が連接したシート成形体(例えば、容器)を、熱線(例えば、ニクロム線)により連続して切断する場合、切断回数および/または切断枚数が多くなるに伴って、熱線に微細な茶褐色乃至黒色の異物(以下、単に異物と称する)の付着が頻繁に発生してくる。このため熱線による切断作業を中断して熱線を掃除しなければならず、作業効率が悪くなる問題がある。また、熱線に付着した異物がシート成形体の切断面に付着して該成形体を汚染することがあり、商品価値を低下させる要因ともなっている。さらに熱線に付着した異物が焼けることによって煙や臭いが発生し、作業環境が良くない問題がある。したがって、このような熱線への異物の付着が発生しない発泡シートの提供が望まれている。
この問題を解決するために、特許文献1には該発泡シート中の灰分が0.35重量%以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートが提案されている。
本発明はキメ細かな優れた外観を有し、かつニクロム線カット時の異物の付着や煙、臭いを発生しにくいスチレン系樹脂を用いた押出発泡シートおよび該発泡シートを真空成型して得られる容器を提供するものである。
即ち、本発明は、200℃、49Nで測定したメルトマスフローレイト(MFR)が2.0〜5.0グラム/10分であって、かつ240℃、角速度0.1ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置による貯蔵弾性率G’(0.1)が5〜20Paであることを特徴とするスチレン系樹脂を押出発泡成形してなる押出発泡シートを提供するものである。
さらに上記スチレン系樹脂の240℃、角速度100ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置における貯蔵弾性率G’(100)と上記貯蔵弾性率G’(0.1)との比G’(100)/G’(0.1)が2000〜4000であることを特徴とするスチレン系樹脂を押出発泡成形してなる押出発泡シートを提供するものである。
またこれらの発泡シートを真空成形して得られる容器を提供するものである。
本発明のスチレン系樹脂に使用される単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等を用いることができる。中でもスチレンが好ましい。また、本発明に使用されるスチレン系樹脂に目的を損なわない範囲においてスチレンと共重合可能なコモノマーを共重合してもかまわない。スチレンと共重合可能なコモノマーとしては例えば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のメタアクリル酸エステル類、αーメチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル類、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジ脂肪酸無水物類,N−フェニルマレイミドの不飽和ジ脂肪酸イミド類等が挙げられる。これらのモノマー類は1種類または2種類以上併用してもかまわない。
また、スチレン系樹脂に慣用されている添加剤、例えば酸化防止剤、滑剤、着色剤等を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。具体的には流動パラフィン、白色鉱油、等の可塑剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の滑剤等があげられる。またペレットの外部潤滑剤として、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等をペレットにまぶしても良い。
また本発明のスチレン系樹脂は240℃、角速度0.1ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置による貯蔵弾性率G’(0.1)が5〜20Paである。貯蔵弾性率は高分子の緩和時間分布に関係づけられている。G’(0.1)が大きいことはこの領域、すなわち比較的緩和時間の長い成分が多いことを意味し、20Paより大きいと発泡体のキメが荒くなる問題がある。一方、5Pa未満の場合には真空成型性が良くない。好ましくは5〜15Pa、さらに好ましくは7〜13Paである。なおコーン&プレート型溶融粘弾性測定装置とは例えばレオメトリックス社のRMS−800等として広く知られている。
本発明の樹脂組成物の平均分子量は、重量平均分子量(Mw)で15万〜35万、より好ましくは20万〜30万とする。Mwが35万を越える場合は、溶融体の粘度が高くなり、成形、加工性等が極端に低下し、生産性が悪化する。また15万未満の場合は、成形
体の強度が低下する。ここでいうMwとは、40℃、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される。
また、押出発泡シートにフィルムをラミネートしても良い。使用するフィルムの種類として、一般のポリスチレンに使用されるもので差し支えない。
この押出発泡シートを真空成型し、ニクロム線によって切断することによって容器を作る。
次に、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
・ メルトマスフローレイト
JIS K 7210にしたがって200℃、49Nで測定。
・ 貯蔵弾性率
レオメトリックス社製溶融粘弾性測定装置RMS−800を用いた。測定温度は2400℃、窒素気流中で行う。コーン&プレート治具は直径25mm、コーンの角度0.1ラジアンのものを用いた。歪みは20%、角速度100ラジアン/秒から0.01ラジアン/秒まで測定を行った。
切断試験は、発泡シートから15cm×15cmの大きさの試験片を作製し、ニクロム線径を0.5mm、表面温度を360℃とし、上記試験片を10枚重ねて該ニクロム線で切断し、7000枚を切断したときのシート切断面における異物付着個数を目視により計測した。尚、異物付着個数が40個以下を合格とするが、35個以下が好ましく、20個以下がより好ましく、15個以下が更に好ましく、0〜10個が最も好ましい。またニクロム線切断時の煙と臭いの発生状況を評価した。尚、煙の評価において、○は煙の少ないもの、×は煙の多いものであり、臭いの評価において、○は臭いの少ないもの、×は臭いの多いものを意味する。
メルトマスフローレイト2.6グラム/10分、240℃、角速度0.1ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置による貯蔵弾性率G’(0.1)が10Paであるポリスチレン樹脂を用いた。重量平均分子量は24万である。
「ポリスチレン樹脂組成物の発泡押出し」直径300mmのサーキュラーダイを備えた押出発泡機を用いて、上記のポリスチレン樹脂組成物100重量部に対して、発泡核剤として、発泡シート製造時のタルク(平均粒径1.3μm)添加量がポリスチレン樹脂100重量部当たり0.15重量部、発泡剤として、液化ブタンを樹脂に対して4重量部添加して発泡体を製造した。樹脂溶融ゾーンの温度は200〜230℃、ロータリークーラー温度は130〜170℃、Tダイ温度を150℃に調整する。押出発泡された発泡体を冷却マンドレルで冷却し、円周上の2点でカッターにより切断後、幅1000mm、シート厚み:1.1mm、見かけ密度:100g/L(発泡倍率:10.5倍)、坪量:110g/m2のポリスチレン樹脂発泡シートを得た。
「ポリスチレン樹脂組成物発泡シートの熱成形」上記発泡シートを真空成形して納豆容器を得た。この容器を加熱したニクロム線で切断して、付着量およびニクロム線切断時の
臭いと煙の発生状況を評価した。結果を表−1に示す。
メルトマスフローレイトおよび240℃、角速度0.1ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置による貯蔵弾性率G’(0.1)が異なるポリスチレン樹脂を用い、キメが同等になるようにタルク量を変えた以外は実施例1と同様に行った。ポリスチレン樹脂の他の物性と評価結果を表−1に示す。
メルトマスフローレイトおよび角速度0.1ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置による貯蔵弾性率G’(0.1)が異なるポリスチレン樹脂を用い、キメが同等になるようにタルク量を変えた以外は実施例1と同様に行った。ポリスチレン樹脂の他の物性と評価結果を表−1に示す。実施例1−5と比べ、ニクロム線への異物付着、煙、臭いの点で劣っていた。
[比較例5]
比較例1と同じポリスチレン樹脂を用い、タルク量を実施例1と同様にして行った。ポリスチレン樹脂の他の物性と評価結果を表−1に示す。ニクロム線への異物付着、煙、臭いは良好であったが、キメが荒く商品価値の低いものであった。
Claims (4)
- 200℃、49Nで測定したメルトマスフローレイト(MFR)が2.0〜5.0グラム/10分であって、かつ240℃、角速度0.1ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置による貯蔵弾性率G’(0.1)が5〜20Paであることを特徴とするスチレン系樹脂を押出発泡成形してなる押出発泡シート。
- 上記スチレン系樹脂の240℃、角速度100ラジアン/秒で測定した、コーン&プレート型溶融粘弾性測定装置における貯蔵弾性率G’(100)と上記貯蔵弾性率G’(0.1)との比G’(100)/G’(0.1)が2000〜4000であることを特徴とする請求項1記載の押出発泡シート。
- 請求項1又は2記載の押出発泡シートを真空成型して得られる容器。
- 上記容器が納豆容器であることを特徴とする請求項3記載の容器。
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