JP2011153261A - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とその製造方法 - Google Patents
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】(1)水系懸濁液中にスチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を分散させ重合を行い、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る該粒子の製造方法、又は(2)水系懸濁液中にポリスチレン系樹脂種粒子を分散させた後に、スチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を該種粒子に吸収させて重合し、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る該粒子の製造方法において、重合性単量体の重合転化率が80%以下である時点でイオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppm添加することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
【選択図】図1
Description
この予備発泡粒子を小さな孔やスリットを有する閉鎖型金型の中に充填して、水蒸気等で内部をさらに加熱する所謂型内発泡成形によって、予備発泡粒子を膨張させて粒子間の隙間を埋めながら互いに融着させて目的の発泡成形体を得る。このような発泡成形体は、形状の自由性及び独立気泡による断熱性、耐水性などの性質に優れることから、従来より魚箱、農産箱等の輸送容器や、精密機器の梱包材、更には住宅などの断熱建材として広く用いられている。
更にはスチレン系単量体と併用して樹脂のガラス転移温度を低くする重合性単量体を併用することも知られている。
このように気泡が粗大化したものは発泡成形体の強度低下を招く結果となり、発泡成形体の使用時に割れなど問題が発生する。
また、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させた直後に予備発泡させると、予備発泡粒子内の気泡の大きさが不均一となる。そこで、予備発泡粒子の気泡形成状態を安定化させ、粗大な気泡の生成を防ぐために、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を長時間(通常は冷暗所に6〜10日程度)放置する「熟成」と称される工程を経て、この熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に予備発泡処理を施している。そのため、ポリスチレン系樹脂発泡成形体を安定供給するためには、大量の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を低温倉庫にストックしておく必要があり、倉庫の維持管理が嵩み、またポリスチレン系樹脂発泡成形体の生産量の変動要求に対応し難いという問題があった。
特許文献1には、基本樹脂粒子が、高シスポリブタジエンとスチレン系単量体とのグラフト重合で得ることができるスチレン系樹脂粒子であり、発泡剤がn−ペンタンを主成分として含有し、発泡後の成形体が0.015〜0.040g/cm3の密度、60〜300μmの平均気泡径、50%以上の独立気泡率を有することを特徴とするスチレン系樹脂発泡成形体が開示され、その実施例1には気泡調整熟成促進剤として12−ヒドロキシステアリン酸アマイドを添加することが記載されている。
特許文献2には、ゴム変性スチレン系樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸させた発泡性スチレン系樹脂粒子であって、前記ゴム変性スチレン系樹脂粒子が、ポリスチレン系樹脂を内包するジエン系ゴム粒子をポリスチレン系樹脂からなる連続相に分散したものであり、かつ前記発泡性スチレン系樹脂粒子の(1) トルエン可溶分の極限粘度数η、(2) 25℃トルエン中におけるトルエン不溶分の膨潤度SI、および(3) ゲル分含有率Gel(質量%)が、式(i) および(ii):8.0≦(SI×η)≦12.0 (i)0.5≦(SI/Gel)≦1.0 (ii)を同時に満たすことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子が開示されており、実施例には熟成促進剤としてヒドロキシステアリン酸アマイドを添加することが記載されている。
重合性単量体の重合転化率が80%以下である時点でイオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppm添加することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
重合性単量体の重合転化率が80%以下である時点でイオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppm添加することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、イオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppmの範囲で添加するので、該イオウ系酸化防止剤の必要量が少なくて済み、該剤の添加によるコスト上昇が僅かであり、また該剤の添加によって得られる発泡成形体の機械強度の低下や外観劣化などの問題を生じることもない。
(1)水系懸濁液中にスチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を分散させ重合を行い、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、いわゆる懸濁重合法、又は、
(2)水系懸濁液中にポリスチレン系樹脂種粒子を分散させた後に、スチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を該種粒子に吸収させて重合し、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、いわゆるシード重合法、
のいずれかの方法によって発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る製造方法において、重合性単量体の重合転化率が80%以下である時点でイオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppm添加することを特徴としている。
更にスチレン系単量体に併用可能な重合性単量体としては、スチレン系単量体と共重合可能なものであれば特に限定されず、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明の好ましい実施形態において、前記重合性単量体は、スチレン系単量体95.0〜99.5質量%、及びアクリル酸エステル0.5〜5.0質量%からなることが好ましい。
また、前記の重合において、ポリスチレン系樹脂粒子の分子量を調整し、単量体の残留量を減少させるという点で、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃の範囲にある重合開始剤を2種以上組合わせて用いるのが好ましい。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。前記のようにして得られるポリスチレン系樹脂粒子に、懸濁重合含浸法あるいは後含浸法によって発泡剤および可塑剤を含浸させることにより、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造することができる。
添加するイオウ系酸化防止剤が5質量ppm未満では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子製造後に行う熟成の時間を短縮し、早期に気泡の大きさを安定化できると言う本発明の効果が十分に得られなくなり、熟成にかなりの日数を要するようになる。添加するイオウ系酸化防止剤が300質量ppmを超えると、その発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡し、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形して発泡成形体を製造する場合に、成形時の成形性が低下して好ましくない。
可塑剤は、ポリスチレン系樹脂粒子の重合段階および/またはポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程等で添加されてもよい。また、押出機等で造粒する際に添加してポリスチレン系樹脂種粒子に含有させてもよい。発泡剤および可塑剤をポリスチレン系樹脂粒子に含有させる温度は、ポリスチレン系樹脂粒子の粒子径により異なるが、通常60〜120℃程度、好ましくは70〜100℃である。含有させるときの温度が60℃を下回ると処理時間が長くなり好ましくない。また、120℃を上回ると樹脂粒子同士の結合粒が多くなり好ましくない。
本発明の発泡成形体の密度は特に限定されないが、通常は0.015〜0.2g/cm3の範囲とし、0.02〜0.10g/cm3の範囲が好ましく、0.02〜0.05g/cm3の範囲がより好ましい。該発泡成形体の密度が0.015g/cm3未満であると、該発泡成形体の強度が低下するため好ましくない。一方、0.2g/cm3を超えると、予備発泡粒子製造時にばらつきが大きくなり好ましくない。
約5gの予備発泡粒子の質量(a)を小数以下2位で秤量する。次に、最小目盛り単位が5cm3である500cm3メスシリンダーに秤量した予備発泡粒子を入れ、これにメスシリンダーの口径よりやや小さい円形の樹脂板であって、その中心に幅約1.5cm、長さ約30cmの棒状の樹脂板が直立して固定された押圧具をあてて、予備発泡粒子の体積(b)を読み取り、次式により予備発泡粒子の嵩密度と嵩発泡倍数を求めた。
嵩密度(g/cm3)=(b)/(a)
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm3)
50cm3以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数(倍)=1/密度(g/cm3)
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、イオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppmの範囲で添加するので、該イオウ系酸化防止剤の必要量が少なくて済み、該剤の添加によるコスト上昇が僅かであり、また該剤の添加によって得られる発泡成形体の機械強度の低下や外観劣化などの問題を生じることもない。
後述する実施例、比較例において、イオウ系酸化防止剤(以下、酸化防止剤と略記する場合がある)添加時の重合転化率、製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の熟成時間、成形性評価及び総合評価は、下記の方法により行う。
なお、本発明における重合転化率は、以下の式で示される。
重合転化率(質量%)=(A−B)×100/A
ただし、Aは、分散媒から分離し水分を除いた未反応の単量体を含んだスチレン系樹脂粒子の質量(g)であり、Bは、上記未反応単量体を含む樹脂粒子中の未反応単量体の質量(g)である。AおよびBは、例えば、ガスクロマトグラフ等で定量される。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を1kg、厚み0.3mmのポリエチレン製の袋に入れ、45±2℃に設定した循環式温風恒温槽に保管し、1時間加熱した。
加熱後、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を嵩密度0.0125g/cm3に予備発泡し、下記の方法にて予備発泡粒子の平均気泡径を測定した。
(平均気泡径)
平均気泡径は、ASTM D−2842−69に準拠し、以下の条件で測定した。
走査型電子顕微鏡として日立製作所社製 S−3000Nを用い、予備発泡粒子断面の写真撮影(撮影倍数:100倍)を行い、写真上にて切断面の一直線(60mm)上にかかる気泡数から平均弦長(t)を測定し、気泡の直径(d)は次式により算出した。
平均弦長(t)=60/(気泡数×撮影倍数)、平均気泡径(d)=t/0.616
一方、加熱前の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子においても同様の評価を行い、加熱前後で平均気泡径を比較した。
所定の加熱条件下で加熱前後の平均気泡径の差が±20μmである場合を熟成完了、加熱前後の平均気泡径の差が20μmを超える場合、熟成は未完了とした。この方法で、熟成完了時間を日単位で測定し、次の判断基準で熟成完了までの日数を評価した。
熟成完了日数:3日以内 :良好(◎)
熟成完了日数:3日〜5日 :やや良好(○)
熟成完了日数:5日以上 :不良(×)
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を水蒸気にて加熱し、嵩密度が0.0125g/cm3(発泡倍数80倍)の予備発泡粒子を得た。
この予備発泡粒子温度23℃、湿度50℃で24時間保管した後、型内発泡成形を行った。型内発泡成形は、下記の条件にて行い、得られた発泡成形体に収縮が発生するかを目視にて確認した。
(型内成形条件)
・発泡ポリスチレン用成形機:積水工機社製 ACE−3SP
・発泡成形体外寸 : 300×400×25mm
・発泡成形体密度 : 0.0125g/cm3(発泡倍数80倍)
・成形蒸気圧力 : 0.08MPa
・加熱・冷却条件 : 成形型加熱(3秒)、一方加熱(5秒)、逆一方加熱(3秒)、両面加熱(10秒)、水冷(3秒)、冷却時間150秒
ここで、発泡成形体に収縮が見られない場合を良好(○)とし、収縮が見られた場合を不良(×)として評価した。
前記<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の熟成完了評価>及び<成形性評価>において、不良(×)が無い場合に総合評価良好(○)とし、一つでも不良(×)がある場合に総合評価不良(×)として評価した。
内容量100Lの攪拌機付き重合容器に、水40.0L、第三リン酸カルシウム(懸濁剤)100gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)2.0gを入れ、続いて攪拌しながらジステアリルチオジプロピオネート(イオウ系酸化防止剤)2.0g、ベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)96.0g、t−ブチルパーオキシベンゾエート(重合開始剤)28.0gを溶解したスチレン40.0kgを添加し、90℃に昇温して重合温度とした。この温度で6時間保持し、さらに125℃に昇温してから2時間後、90℃まで冷却した。
次いで、90℃に保持したままで、ジイソブチルアジペート(可塑剤)320.0g、シクロヘキサン400.0gを重合容器内に入れ、更にブタン(発泡剤)3200gを圧入して6時間保持した。次いで、30℃以下まで冷却し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を13℃にて保管し、1日ごとに熟成状態を確認したところ、2日目で熟成が完了していた。
更に、嵩密度0.0125g/cm3に予備発泡を行い、成形性評価した結果、収縮もなく良好な発泡成形体が得られた。
内容量100Lの攪拌機付き重合容器に、水40.0L、第三リン酸カルシウム(懸濁剤)100gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)2.0gを入れ、続いて攪拌しながらベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)96.0g、t−ブチルパーオキシベンゾエート(重合開始剤)28.0g、スチレン40.0kgを添加し、90℃に昇温して重合温度とした。この温度で6時間保持し、さらに125℃に昇温してから2時間後、90℃まで冷却し、スチレン系樹脂粒子(A)を得た。
スチレン樹脂粒子(A)を篩分けして粒子径0.6〜0.9mmのスチレン樹脂粒子(B)とした。
内容量100Lの攪拌機付き重合容器に、水40.0L、スチレン樹脂粒子(B)10.0kg、ピロリン酸マグネシウム(懸濁剤)100.0gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)30.0gを入れ、攪拌しながら75℃に昇温した。次いで、ベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)144.0g、t−ブチルパーオキシベンゾエート(重合開始剤)24.0g、ジステアリルチオジプロピオネート(イオウ系酸化防止剤)2.0gをスチレン4300gに溶解し重合容器に入れた。30分後108℃まで150分で昇温しながらを溶解したスチレン25700gを150分間かけてポンプで一定量づつ重合容器に供給した。次いで、125℃に昇温してから2時間後に90℃まで冷却した。次いで、ジイソブチルアジペート(可塑剤)320.0g、シクロヘキサン400.0gを重合容器内に入れ、ブタン(炭化水素系発泡剤)3200gを圧入して6時間保持した。次いで、30℃以下まで冷却し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を13℃にて保管し、1日ごとに熟成状態を確認したところ、2日目で熟成が完了していた。更に、嵩密度0.0125g/cm3に予備発泡を行い、成形性評価した結果、収縮もなく良好な発泡成形体が得られた。
ジステアリルチオジプロピオネートを0.28gとしたこと以外は、実施例2と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は3日目で熟成が完了し、成形性評価した結果、収縮もなく良好な発泡成形体が得られた。
ジステアリルチオジプロピオネートを10.0gとしたこと以外は、実施例2と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は1日目で熟成が完了し、成形性評価した結果、収縮もなく良好な発泡成形体が得られた。
イオウ系酸化防止剤としてジトリデシルチオジプロピオネートを使用したこと以外は、実施例2と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は2日目で熟成が完了し、成形性評価した結果、収縮もなく良好な成形体が得られた。
イオウ系酸化防止剤として、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−O−クレゾールを2.0g使用したこと以外は、実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は2日目で熟成が完了し、成形評価でも収縮もなく良好な発泡成形体が得られた。
ジステアリルチオジプロピオネートを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
ジステアリルチオジプロピオネートを添加しない他は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
ジステアリルチオジプロピオネートを0.12gとしたこと以外は、実施例2と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
ジステアリルチオジプロピオネートを14.0gとしたこと以外は、実施例2と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
内容量100Lの攪拌機付き重合容器に、水40.0L、第三リン酸カルシウム(懸濁剤)100gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)2.0gを入れ、続いて攪拌しながらベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)96.0g、t−ブチルパーオキシベンゾエート(重合開始剤)28.0gを溶解したスチレン40.0kgを添加し、90℃に昇温して重合温度とした。この温度で6時間保持し、さらに125℃に昇温してから2時間後、90℃まで冷却し、スチレン系樹脂粒子(A)を得た。
スチレン樹脂粒子(A)を篩分けして粒子径0.6〜0.9mmのスチレン樹脂粒子(B)とした。
内容量100Lの攪拌機付き重合容器に、水40.0L、スチレン樹脂粒子(B)10.0kg、ピロリン酸マグネシウム(懸濁剤)100.0gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)30.0gを入れ、攪拌しながら75℃に昇温した。次いで、ベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)144.0g、t−ブチルパーオキシベンゾエート(重合開始剤)24.0gをスチレン4300gに溶解し重合容器に入れた。30分後108℃まで150分で昇温しながらスチレン25700gを150分間かけてポンプで一定量づつ重合容器に供給した。
このスチレン25700gを供給する工程中において、100分目(重合転化率89%)にてジステアリルチオジプロピオネート2.0gを重合容器に供給したこと以外は、実施例2と同様にした。
また、前述した実施例1〜6、比較例1〜5について行った<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の熟成完了評価>、<成形性評価>及び<総合評価>の結果を表2にまとめて記す。
本発明に係る実施例1〜6において、(1)懸濁重合により発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た実施例1と、(2)シード重合により発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た実施例2とは、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の熟成完了時間及び成形性評価の点で差は見られなかった。
また、実施例6では、実施例1〜5において用いたジアルキルチオプロピオネートに属するイオウ系酸化防止剤に代えて、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−O−クレゾールを用いたが、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の熟成完了時間及び成形性評価の点で実施例1〜5との間に差は見られなかった。
また、イオウ系酸化防止剤の添加量が3質量ppmと、本発明のイオウ系酸化防止剤の添加量下限(5質量ppm)未満の微量添加した比較例3は、熟成完了が6日と長くなった。
また、イオウ系酸化防止剤の添加量が350質量ppmと、本発明のイオウ系酸化防止剤の添加量上限(300質量ppm)を超える量で添加した比較例4は、熟成完了が1日と短縮できたものの、型内発泡成形して得られた発泡成形体の表面に収縮が認められ、外観が悪くなり、成形性評価不良(×)となった。
また、イオウ系酸化防止剤を実施例2と同等に点かするものの、その添加時の重合転化率が本発明の範囲(重合転化率80%以下)を超える89%で添加した比較例5は、熟成完了が6日と長くなり、熟成時間短縮の効果が得られなかった。
図1に示すように、イオウ系酸化防止剤を添加した実施例1は、該剤を添加しない比較例1に比べ、より短い熟成時間で予備発泡粒子中の気泡径の大きさが安定し、2日間という短時間で熟成完了できることが分かる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、重合性単量体の重合転化率が80%以下である時点でイオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppm添加することによって、該イオウ系酸化防止剤が熟成促進剤として機能して、気泡の大きさが安定した高品質な発泡成形体を得るために必要な熟成の日数を大幅に短縮することができる。特に、夏場の気温上昇の際でも、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の熟成時間を短縮化でき、気泡の大きさが安定した高品質な発泡成形体を得ることが可能となる。このように本発明によれば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子製造後に行う熟成の時間を短縮し、早期に気泡の大きさを安定化できる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供できるので、ポリスチレン系樹脂発泡成形体を安定供給するための発泡性ポリスチレン系樹脂粒子のストック量を減らすことができ、倉庫の維持管理コストを低減でき、またポリスチレン系樹脂発泡成形体の生産量の変動要求にも迅速に対応することができる。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、イオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppmの範囲で添加するので、該イオウ系酸化防止剤の必要量が少なくて済み、該剤の添加によるコスト上昇が僅かであり、また該剤の添加によって得られる発泡成形体の機械強度の低下や外観劣化などの問題を生じることもない。
Claims (12)
- 発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂からなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppmの範囲でイオウ系酸化防止剤を含有していることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 前記イオウ系酸化防止剤が、ジアルキルチオジプロピオネートからなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 請求項1又は2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
- 請求項3に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体。
- 水系懸濁液中にスチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を分散させ重合を行い、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る該粒子の製造方法において、
重合性単量体の重合転化率が80%以下である時点でイオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppm添加することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 水系懸濁液中にポリスチレン系樹脂種粒子を分散させた後に、スチレン系単量体を主成分とする重合性単量体を該種粒子に吸収させて重合し、重合途中又は、重合終了後に発泡剤を含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る該粒子の製造方法において、
重合性単量体の重合転化率が80%以下である時点でイオウ系酸化防止剤を最終生成ポリスチレン系樹脂に対して5〜300質量ppm添加することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 前記イオウ系酸化防止剤が、ジアルキルチオジプロピオネートからなる群から選択される1種又は2種以上である請求項5又は6に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 前記重合性単量体は、スチレン系単量体95.0〜99.5質量%、及びアクリル酸エステル0.5〜5.0質量%からなる請求項5〜7のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱してポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得るポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
- 請求項9に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法により得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
- 請求項9に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法により得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得るポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
- 請求項11に記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法により得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体。
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