JP2017132970A - スチレン系樹脂発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】断熱性及び難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡成形体、その成形体を製造するためのスチレン系樹脂発泡性粒子及び発泡粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】スチレン系樹脂、炭素材料、発泡剤及び難燃剤を含み、前記難燃剤が、7質量%以上のリン含有率を有するリン系難燃剤を含み、前記リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、スチレン系樹脂発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体に関する。更に詳しくは、本発明は、断熱性及び難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡成形体、その成形体を製造するためのスチレン系樹脂発泡性粒子及び発泡粒子に関する。
従来、発泡成形体は軽量かつ、断熱性や機械的強度に優れることから住宅や自動車等に用いる断熱材、建築資材等に用いる保温材、魚箱や食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に使用されている。その中でも発泡性粒子を原料として製造される型内発泡成形体は所望の形状を得やすい等の利点から多く使用されている。
発泡成形体として、スチレン系樹脂発泡性粒子に由来するスチレン系樹脂発泡成形体が汎用されている。スチレン系樹脂発泡成形体は、スチレン系樹脂発泡性粒子を加熱して予備発泡させて予備発泡粒子を得、続いて、得られた予備発泡粒子を金型のキャビティ内で二次発泡させつつ熱融着させることにより一体化させて得られている。
スチレン系樹脂発泡成形体は、種々の性質を有しており、例えば、その性質として、優れた断熱性がある。優れた断熱性は、省エネルギー化の観点から、種々の用途で求められている。具体的な用途としては、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品や工業製品等の容器、魚や農産物等の梱包材、盛土材、畳の芯材等が挙げられる。
発泡成形体に求められる断熱性は、省エネルギー化の観点からますます向上することが望まれている。断熱性を向上させる方法として、高倍化、樹脂組成の変更、添加剤の使用等の種々の方法が知られている。例えば特開昭63−183941号公報(特許文献1)では、赤外線の反射率40%以上の微粉末を添加剤として含む発泡成形体が提案されている。特許文献1の実施例では、40%以上の反射率を有するアルミニウム粉、銀粉及びグラファイト粉を使用した発泡成形体は、発泡成形体に黒色化剤として一般的に使用されているカーボンブラック(例えば、特開2013−6966号公報:特許文献2)のような40%未満の反射率を有する添加剤を含む発泡成形体より、断熱性に優れることが説明されている。
また、発泡成形体は、難燃性などの物性を向上させるための種々の提案がなされている。
特開昭63−183941号公報 特開2013−6966号公報
上記公報に記載された技術は、近年要求されている十分な断熱性及び難燃性を有する発泡成形体を得ることが困難であり、より高い断熱性及び難燃性を有する発泡成形体の提供が望まれている。
また、難燃性向上のために汎用されている臭素系などのハロゲン系難燃剤は、環境問題などの観点からその使用の削減が望まれている。
そこで、本発明は、断熱性及び難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡成形体、その成形体を製造するためのスチレン系樹脂発泡性粒子及び発泡粒子を提供することを課題とする。
本発明の発明者等は、発泡成形体の断熱性及び難燃性を向上するために、発泡成形体に加えられる添加剤を検討した。その結果、炭素材料が断熱性の向上に寄与し、かつその効果を阻害することなしに特定種のリン系難燃剤が難燃性の向上に寄与する知見を得、本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、スチレン系樹脂、炭素材料、発泡剤及び難燃剤を含み、前記難燃剤が、7質量%以上のリン含有率とを有するリン系難燃剤を含み、前記リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子が提供される。
また本発明によれば、スチレン系樹脂、炭素材料及び難燃剤を含み、前記難燃剤が、7質量%以上のリン含有率とを有するリン系難燃剤を含み、前記リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とするスチレン系樹脂発泡粒子が提供される。
更に本発明によれば、スチレン系樹脂、炭素材料及び難燃剤を含み、互いに融着した複数のスチレン系樹脂発泡粒子から構成される発泡成形体であり、前記難燃剤が、7質量%以上のリン含有率とを有するリン系難燃剤を含み、前記リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とする発泡成形体が提供される。
本発明によれば、断熱性及び難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡成形体、その成形体を製造するためのスチレン系樹脂発泡性粒子及び発泡粒子を提供できる。
以下のいずれかの場合、より断熱性及び難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡性成形体を製造するためのスチレン系樹脂発泡性粒子を提供できる。
(1)難燃剤が、リン系難燃剤と臭素系難燃剤とを含む;
(2)難燃剤が、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテルである臭素系難燃剤を、スチレン系樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部含む。
(3)炭素材料が、体積抵抗率1.0×104Ω・cm以下の導電性カーボンブラックである。
凝集塊を形成した炭素材料の電子顕微鏡写真である。
(スチレン系樹脂発泡性粒子)
スチレン系樹脂発泡性粒子(以下、発泡性粒子)は、スチレン系樹脂、炭素材料、発泡剤及び難燃剤を含み、前記難燃剤が、7質量%以上のリン含有率とを有するリン系難燃剤を含み、前記リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とする。
(1)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂は、発泡成形体を得ることが可能な樹脂であれば特に限定されない。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体、もしくは、これらの単量体の混合物に由来する樹脂が挙げられる。
スチレン系樹脂には、架橋剤に由来する成分が含まれていてもよい。
架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、ジビニルビフェニル等の多官能のベンゼン環に直接ビニル基が結合した化合物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
スチレン系樹脂は、本発明の特性を阻害しない範囲の量で他の単量体と、上記スチレン系単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸セチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート等のアルキルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート等のアルキルフマレート、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
更に、上記以外の樹脂が含まれていてもよい。上記以外の樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体等のジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。これら他の樹脂が占める割合は、基材樹脂全量に対して、50質量%未満であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
スチレン系樹脂は、10万〜100万の重量平均分子量を有していることが好ましい。重量平均分子量10万未満の場合、発泡成形体の強度が低下することがある。100万より大きい場合、発泡性が低下し、軽量性に劣ることがある。重量平均分子量15万〜80万がより好ましく、20万〜50万が更に好ましい。
発泡性粒子中でのスチレン系樹脂の含有割合は、50質量%以上であることが好ましい。50質量%未満の場合、十分な発泡性が得られないことがある。より好ましい含有割合は60質量%以上であり、更に好ましい含有割合は80質量%以上である。
(2)炭素材料
炭素材料としては、本発明の特性を阻害しない限り特に限定されないが、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、グラフェン、コークス、カーボンナノファイバー、メソポーラスカーボン、ガラス状炭素、ハードカーボン及びソフトカーボンのような炭素物質、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラックのような導電性カーボンブラック等が挙げられる。
炭素材料は、1.0×104Ω・cm以下の体積抵抗率を有することが好ましい。体積抵抗率が1.0×104Ω・cmより高い場合、断熱性を十分向上できないことがある。好ましい体積抵抗率は7.0×103Ω・cm以下であり、より好ましい体積抵抗率は4.0×103Ω・cm以下であり、更に好ましい体積抵抗率は2.0×103Ω・cm以下であり、最も好ましい体積抵抗率は1.0×103Ω・cm以下である。体積抵抗率の下限値は特に設けないが、例えば1.0×10-1Ω・cm程度以上である。具体的な体積抵抗率の値としては、1.0×103、2.0×103、3.0×103、4.0×103、5.0×103、6.0×103、7.0×103、8.0×103、9.0×103、1.0×104Ω・cm等が挙げられる。
ここで、体積抵抗率は、原料の炭素材料を、あるいは原料の炭素材料がマスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中に添加されている場合には、マスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中のスチレン系樹脂を有機溶剤により除去することで取り出した炭素材料を、ポリエチレン系樹脂又はポリスチレン系樹脂と溶融混錬し(炭素材料:ポリエチレン系樹脂又はポリスチレン系樹脂=1:4(質量比))、混錬物の板状成形体の表面を測定した値を意味する。詳細な体積抵抗率の測定法は、実施例に記載する。
なお、ポリエチレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂のいずれを用いても、体積抵抗率は同程度の値となる。
また、原料の炭素材料を用いても、マスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中のスチレン系樹脂を有機溶剤により除去することで取り出した炭素材料を用いても、体積抵抗率は同程度の値となる。
なお、ポリスチレン系樹脂を用いて体積抵抗率を測定する場合、マスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中のスチレン系樹脂を有機溶剤により除去することで炭素材料を取り出す手順については、炭素材料:ポリスチレン系樹脂=1:4(質量比)となるところでスチレン系樹脂の除去を途中で止めるか、又は、炭素材料:ポリスチレン系樹脂=1:4(質量比)となるようにポリスチレン系樹脂を添加(希釈)する方法を採ってもよい。スチレン系樹脂の除去を途中で止める方法を採る場合、炭素材料:ポリスチレン系樹脂=1:4(質量比)に調整するために、マスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中の炭素材料量の測定やスチレン系樹脂量の測定を行ってもよい。炭素材料量の測定方法としては特に限定されないが、例えば示差熱熱重量同時測定装置を用いる方法等が挙げられる。
炭素材料は、炭素材料の一次粒子がスチレン系樹脂中に分散された形態で含有されていてもよいし、スチレン系樹脂中で炭素材料の一次粒子が複数凝集した凝集塊の形態で含有されていてもよい。好ましくは、炭素材料の一次粒子は、スチレン系樹脂中で複数凝集した凝集塊として含有される。
図1に、電子顕微鏡を用いて観察される凝集塊を形成した炭素材料の一例を示す。炭素材料の一次粒子とは、図1において観察されるような略円形の粒子の各々を意味する。凝集塊とは、図1において観察されるような、少なくとも2つの略円形の一次粒子が重なり合って見える一次粒子の塊を意味する。
一次粒子は、好ましくは、18〜125nmの平均一次粒子径を有する。
平均一次粒子径とは、一次粒子の最長径の平均値を意味し、18〜125nmの値をとり得る。しかしながら、このことは、一次粒子が球形及び略球形以外の形状をとることを制限するものではなく、一次粒子は円柱状、角柱状等のその他の形状をもとり得る。一次粒子が球形及び略球形以外の形状をとる場合、平均一次粒子径とは、一次粒子を球形に近似して得られる最長径の平均値を意味するものとする。平均一次粒子径が18nm未満の場合、気泡の微細化により成形性が低下することがあり、125nmより大きい場合、気泡膜が破れることで成形性が低下することがある。平均一次粒子径の具体的な数値範囲としては、18〜120nm、18〜110nm、18〜100nm、18〜90nm、18〜80nm、18〜73nm、18〜66nm、18〜60nm、20〜100nm、25〜80nm、32〜66nm、20〜125nm、25〜125nm、32〜125nm、40〜125nm、50〜125nm、60〜125nm、66〜125nm、73〜125nm、80〜125nm等が挙げられる。具体的な平均一次粒子径の値としては、18、20、25、32、40、50、60、66、73、80、90、100、110、120、125nm等が挙げられる。
凝集塊は、好ましくは、(i)180〜500nmの最長径の平均値を有する。
最長径とは、凝集塊の外縁上の任意の2点間の距離のうち最長となるものを意味し、例えば図1においては、実線で示される径が当該凝集塊の最長径として定義される。最長径の平均値が180nm未満の場合、断熱性が向上しないことがあり、500nmより大きい場合、発泡時に気泡が破れてしまい断熱性が向上せず良好な成形品が得られないことがある。最長径の平均値の具体的な数値範囲としては、180〜450nm、180〜400nm、180〜370nm、180〜300nm、180〜240nm、200〜450nm、220〜400nm、240〜370nm、200〜500nm、220〜500nm、240〜500nm、300〜500nm、370〜500nm、400〜500nm等が挙げられる。具体的な最長径の平均値としては、180、200、220、230、240、250、300、350、370、400、420、450、460、470、480、490、500nm等が挙げられる。
なお、凝集塊の最長径は常に凝集塊と重なるように設定する。すなわち、最長径がバックグラウンド(スチレン系樹脂)を通ることはないものとする。例えば、図1においては、破線で示された線は、バックグラウンドと重なる部分を有するため、最長径としては設定され得ない。
また、凝集塊は、好ましくは、(ii)4.0〜10.0の「平均一次粒子径」に対する「最長径の平均値」の比を有する。上記の比が4.0未満の場合、断熱性が向上しないことがあり、10.0より大きい場合、発泡時に気泡が破れてしまい良好な成形品が得られないことがある。上記の比の具体的な数値範囲としては、4.0〜9.0、5.0〜9.0、5.0〜8.9、5.0〜8.5、5.0〜8.0、5.0〜7.0、5.0〜6.0、5.2〜8.9、5.5〜8.5、6.0〜8.0、4.0〜10.0、5.0〜10.0、5.2〜10.0、5.5〜10.0、6.0〜10.0等が挙げられる。具体的な平均一次粒子径に対する最長径の平均値の比の値としては、4.0、4.5、5.0、5.2、5.5、6.0、7.0、8.0、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0等が挙げられる。詳細な最長径の平均値及び平均一次粒子径の測定方法は、実施例に記載する。
炭素材料としては、本発明の特性を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
炭素材料の含有量は、スチレン系樹脂100質量部に対して0.5〜25質量部である。含有量が0.5質量部未満である場合、断熱性を十分向上できないことがある。一方、含有量が25質量部を超える場合、気泡膜が破れることで成形性が低下して断熱性が劣ることがある。好ましい炭素材料の含有量は0.5〜15質量部であり、より好ましい炭素材料の含有量は0.5〜10質量部である。具体的な含有量としては、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.01、2、2.56、3、3.13、4、5、5.26、6、7、7.52、7.69、8、9、10、11、11.11、12、13、14、15、16、17、18、19、20質量部等が挙げられる。
炭素材料は、10〜3000m2/gの比表面積を有することが好ましい。比表面積が10m2/g未満である場合、所望する断熱性能が得られないことがある。一方、比表面積が3000m2/gを超える場合、作業性が低下することがある。例えば、比表面積の具体的な数値範囲としては、100〜3000m2/g、200〜3000m2/g、210〜3000m2/g、220〜3000m2/g、15〜2500m2/g、100〜2500m2/g、210〜2500m2/g、10〜2000m2/g、60〜2000m2/g、210〜2000m2/g、10〜1500m2/g、70〜1500m2/g、200〜1500m2/g、210〜1500m2/g等が挙げられる。炭素材料がアセチレンブラックである場合、更に好ましい比表面積は20〜300m2/gである。炭素材料がケッチェンブラックである場合、更に好ましい比表面積は500〜2000m2/gである。具体的な比表面積の値としては、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、400、500、700、1000、1500、2000、2500、3000m2/g等が挙げられる。
1つの実施形態においては、炭素材料は、導電性カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)である。このような導電性カーボンブラックの上述した物性以外の好ましい物性値としては、以下が挙げられる。
また、炭素材料とスチレン系樹脂の質量比は、炭素材料:スチレン系樹脂=1:2〜1:1000(質量比)であることが好ましい。スチレン系樹脂の質量比が2未満の場合、気泡膜が破れることで成形性が低下して断熱性が劣ることがある。質量比が1000より多い場合、断熱性を十分向上できないことがある。より好ましい質量比は1:4〜1:200であり、更に好ましい質量比は1:9〜1:99であり、最も好ましい質量比は1:13〜1:39であり、極めて好ましい質量比は1:13〜1:32である。
(3)発泡剤
発泡剤としては特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭化水素の内、沸点が−45〜40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。
発泡剤の含有量は2〜12質量%の範囲であることが好ましい。2質量%より少ないと、発泡性粒子から所望の密度の発泡成形体を得られないことがある。加えて、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるために、発泡成形体の外観が良好とならないことがある。12質量%より多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下することがある。より好ましい含有量は3〜10質量%であり、更に好ましい含有量は4〜9質量%であり、最も好ましい含有量は5〜8質量%である。
発泡助剤を発泡剤と併用してもよい。発泡助剤としてはアジピン酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
(4)難燃剤
本発明において難燃剤は、7質量%以上のリン含有率とを有するリン系難燃剤を含む。
リン系難燃剤のリン含有率が7質量%未満では、十分な難燃性が得られなことがある。好ましいリン系難燃剤のリン含有量は、8%〜30質量%である。
リン系難燃剤としては、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物等が挙げられる。
リン酸エステル化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル化合物が挙げられる。
ホスファゼン化合物としては、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン、ドデカフェノキシシクロヘキサホスファゼン、テトラデカフェノキシシクロヘプタホスファゼン、ヘキサデカフェノキシシクロオクタホスファゼン等の環状フェノキシホスファゼン化合物、直鎖状ジ(ビスフェノキシ)ホスファゼン、直鎖状トリ(ビスフェノキシ)ホスファーゼン、直鎖状テトラ(ビスフェノキシ)ホスファーゼン、直鎖状ペンタ(ビスフェノキシ)ホスファーゼン、直鎖状ヘキサ(ビスフェノキシ)ホスファーゼン、直鎖状へプタ(ビスフェノキシ)ホスファーゼン等の鎖状フェノキシホスファゼン化合物が挙げられる。
これらのリン系難燃剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
リン系難燃剤は、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれる。
リン系難燃剤がスチレン系樹脂100質量部に対して3質量部未満では、十分な難燃性が得られないことがある。一方、リン系難燃剤がスチレン系樹脂100質量部に対して10質量部を超えると、発泡成形性が低下して、良好な発泡成形体が得られないことがある。
好ましいリン系難燃剤の含有量は、3〜7質量部である。
本発明において、難燃剤は、上記のリン系難燃剤に加えて、臭素系難燃剤を含んでいてもよい。
臭素系難燃剤としては、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
これらの臭素系難燃剤は、1種だけを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
臭素系難燃剤は、スチレン系樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部含まれることが好ましい。
臭素系難燃剤がスチレン系樹脂100質量部に対して0.5質量部未満では、難燃性が不足することがある。一方、臭素系難燃剤がスチレン系樹脂100質量部に対して10質量部を超えると、発泡成形性が低下し、良好な発泡成形体が得られないことがある。
好ましい臭素系難燃剤の含有量は、1.0〜7.0質量部である。
本発明において難燃剤は、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテルである臭素系難燃剤を、スチレン系樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部含むことが好ましい。
(5)他の添加剤
発泡性粒子には必要に応じて、他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
可塑剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素等、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、流動パラフィン、ホワイトオイル等の高沸点化合物が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、グリセリン、シリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド等の脂肪酸グリセリド等が挙げられる。
滑剤としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド等の脂肪酸グリセリド、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、ホワイトオイル等が挙げられる。
その他の添加剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン類等の安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
(6)発泡性粒子の製造方法
本発明の範囲には、上記の発泡性粒子の製造方法も含まれる。
本発明の1つの実施態様では、
炭素材料とスチレン系樹脂とを含む種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中で、スチレン系単量体を前記種粒子に含浸させる工程と、
含浸と同時に又は含浸後、前記スチレン系単量体を重合させる工程と、
重合と同時に又は重合後に、発泡剤を含浸させる工程と
を含むスチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法が提供される。難燃剤は、種粒子に含ませてもよく、スチレン系単量体と同時に種粒子に含浸させてもよく、発泡剤と同時に含浸させてもよい。
水性媒体は、常温で水溶性の物質を溶解できる液体であれば特に限定されず、水、炭素数1〜4の低級アルコール及びそれらの混合物等が挙げられるが、水が特に好ましい。水性媒体の使用量は、当業者が適宜設定できる。
重合によって得られた樹脂には、スチレン系樹脂以外の樹脂が含まれていてもよい。このような樹脂の種類、物性及び含有量は、上述のとおりである。
この実施態様は、当該技術分野において代表的な発泡性粒子の製造方法の1つである懸濁重合法を用いて、発泡性粒子を製造する態様である。以下、懸濁重合法についてより詳細に説明するが、本実施態様は、以下に記載される条件等に限定されるものではない。
1.懸濁重合法
懸濁重合法は、スチレンモノマーに重合開始剤を溶解して、懸濁剤を分散した水とともに、反応槽中で昇温し重合した後冷却して、スチレン系樹脂発泡性粒子を得る方法である。重合の途中及び/又は重合終了後に発泡剤を添加する方法は1段法と呼ばれる。発泡剤を添加せずに重合して得られた粒子をふるい分けして必要な粒径範囲の粒子のみを、反応槽の懸濁剤を分散した水中で昇温して、ここで発泡剤を添加して粒子に含浸させる方法は2段法(後含浸法)と呼ばれる。また、小粒子のポリスチレン粒子(種粒子)を、懸濁剤が分散した水の入っている反応槽に投入し、昇温した後、重合開始剤を溶解したスチレンモノマーを連続的に反応槽に供給して重合し、目的とする粒子径まで成長させる方法はシード重合法と呼ばれる。シード重合法において、発泡剤は重合の途中及び/又は重合終了後に添加される。1段法、2段法(後含浸法)、シード重合法のいずれの方法によっても、本発明のスチレン系樹脂発泡性粒子を製造することができる。また、いずれの方法によっても、真球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。好ましい製造方法としてはシード重合法が挙げられる。シード重合法によれば、炭素材料を高濃度(例えば20質量%)に含むポリスチレン粒子(マスターバッチ)を種粒子として用いることでき、重合阻害が生じにくいという利点がある。
以下、懸濁重合法のシード重合法についてより詳細に説明するが、本実施態様は、以下に記載される条件等に限定されるものではない。
この方法としては、炭素材料とスチレン系樹脂とを含む種粒子に、スチレン系単量体を吸収させ、重合させることでスチレン系樹脂粒子を得、重合の途中及び/又は重合終了後に発泡剤を注入することで発泡性粒子を得る方法が挙げられる。この方法では、中心に炭素材料を多く含む発泡性粒子が得られやすい。
(i)種粒子
種粒子は公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、炭素材料とスチレン系樹脂とを押出機で溶融混練した後にストランド状に押出し、ストランドをカットすることにより種粒子を得る押出方法が挙げられる。また、種粒子は一部、又は全部に樹脂回収品を用いることができる。回収品を使用する場合は、押出方法による種粒子の製造が向いている。
種粒子の平均粒子径は、樹脂粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。更に種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが10万〜50万が好ましく、更に好ましくは15万〜40万である。
炭素材料の添加量は、種粒子中のスチレン系樹脂及びスチレン系単量体の添加量の合計100質量部に対して、0.5〜25質量部である。すなわち、炭素材料の添加量が0.5〜25質量部となるように種粒子が添加される。添加量が0.5質量部未満である場合、断熱性を十分向上できないことがある。一方、添加量が25質量部を超える場合、気泡膜が破れることで成形性が低下して断熱性が劣ることがある。好ましい炭素材料の添加量は0.5〜15質量部であり、より好ましい炭素材料の添加量は0.5〜10質量部である。具体的な添加量としては、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.01、2、2.56、3、3.13、4、5、5.26、6、7、7.52、7.69、8、9、10、11、11.11、12、13、14、15、16、17、18、19、20質量部等が挙げられる。なお、添加量は、発泡性粒子について記載した含有量とほぼ同程度の値となるように調整され得る。
(ii)重合工程
種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中に、単量体混合物を供給することで各単量体を種粒子に吸収させ、次いで各単量体を重合させることでスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
スチレン系単量体の添加量は、種粒子及びスチレン系単量体の添加量の合計100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましい。50質量部未満の場合、十分な発泡性が得られないことがある。より好ましい含有割合は60質量部以上であり、更に好ましい含有割合は80質量部以上である。なお、添加量は、発泡性粒子について記載した含有量とほぼ同程度の値となるように調整され得る。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
使用する各単量体には、重合開始剤を含ませてもよい。重合開始剤としては、従来から単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これら開始剤の内、残存単量体を低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用してもよい。なお、重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
水性媒体中には単量体の小滴及び種粒子の分散を安定させるために懸濁安定剤が含まれていてもよい。懸濁安定剤としては、従来から単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
重合工程は使用する単量体種、重合開始剤種、重合雰囲気等により異なるが、通常70〜130℃の加熱を3〜10時間維持することにより行われる。重合工程は、単量体を含浸させつつ行ってもよい。重合工程は、使用する単量体全量を1段階で重合させてもよく、2段階以上に分けて重合させてもよい(種粒子の製造時の重合を含む)。
(iii)発泡剤含浸工程
発泡性粒子は、上記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることで得ることができる。
含浸は、重合と同時に湿式で行ってもよく、重合後に湿式又は乾式で行ってもよい。湿式で行う場合は、上記重合工程で例示した、懸濁安定剤及び界面活性剤の存在下で行ってもよい。発泡剤の含浸温度は、60〜120℃が好ましい。60℃より低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、120℃より高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。より好ましい含浸温度は70〜110℃である。
含浸させる発泡剤の量は、重合によって得られるスチレン系樹脂100質量部に対して、2〜12質量部の範囲であることが好ましい。2質量部より少ないと、発泡性粒子から所望の密度の発泡成形体を得られないことがある。加えて、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるために、発泡成形体の外観が良好とならないことがある。12質量部より多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下することがある。より好ましい含有量は3〜10質量部であり、更に好ましい含有量は4〜9質量部であり、最も好ましい含有量は5〜8質量部である。なお、含浸させる発泡剤の量は、発泡性粒子について記載した含有量とほぼ同程度の値となるように調整され得る。また、上述したように、発泡助剤を発泡剤と併用してもよい。発泡助剤の種類等については上述のとおりであり、添加量は当業者が適宜設定できる。
本発明の別の実施態様では、
炭素材料とスチレン系樹脂とを溶融混練する工程と、
前記溶融混練工程で得られた溶融樹脂に発泡剤を注入する工程と、
前記発泡剤注入工程で得られた溶融樹脂を液体中に押し出し、切断し、次いで固化させる工程と
を含むスチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法が提供される。難燃剤は、溶融混合時にスチレン系樹脂に添加することができる。
この実施態様は、当該技術分野において代表的な発泡性粒子の製造方法の1つである溶融押出法を用いて、発泡性粒子を製造する態様である。以下、溶融押出法についてより詳細に説明するが、本実施態様は、以下に記載される条件等に限定されるものではない。
2.溶融押出法
溶融押出法は、ポリスチレンペレットを樹脂供給装置に供給し、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤を含有した溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から押し出し、その後冷却して、スチレン系樹脂発泡性粒子を得る方法である。ダイの小孔から冷却用液体中に直接押し出し、押し出した直後に押出物を回転刃で切断し、切断された粒子を冷却用液体中で冷却する方法はホットカット法と呼ばれる。ダイの小孔から一旦空気中にストランド状に押し出し、ストランドが発泡する前に冷却用水槽中に導き、ストランドを冷却用水槽中で冷却した後、切断し円柱状の粒子とする方法はストランドカット法(コールドカット法)と呼ばれる。ホットカット法、ストランドカット法(コールドカット法)のいずれの方法によっても、本発明のスチレン系樹脂発泡性粒子を製造することができる。また、いずれの方法によっても、任意の量の炭素材料を容易に粒子中に含有させることができるという利点がある。また、発泡性粒子中に炭素材料を均一に含有させることができる。好ましい製造方法としてはホットカット法が挙げられる。ホットカット法によれば、ほぼ球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。
以下、溶融押出法のホットカット法についてより詳細に説明するが、本実施態様は、以下に記載される条件等に限定されるものではない。
この方法としては、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤を含有した溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から冷却用液体中に直接押し出し、冷却用液体中に押し出した押出物を冷却用液体中にて回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性粒子を得る方法である。
この方法では、例えば、次のような製造装置を使用し得る。即ち、樹脂供給装置としての押出機と、押出機の先端に取り付けられた多数の小孔を有するダイと、押出機内に原料を投入する原料供給ホッパーと、押出機内の溶融樹脂に発泡剤供給口を通して発泡剤を圧入する高圧ポンプと、ダイの小孔が穿設された樹脂吐出面に冷却水を接触させるように設けられ、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室と、ダイの小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッティング室内に回転可能に設けられたカッター(高速回転刃)と、カッティング室から冷却水の流れに同伴して運ばれる発泡性粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥して発泡性粒子を得る固液分離機能付き脱水乾燥機と、固液分離機能付き脱水乾燥機にて分離された冷却水を溜める水槽と、この水槽内の冷却水をカッティング室に送る高圧ポンプと、固液分離機能付き脱水乾燥機にて脱水乾燥された発泡性粒子を貯留する貯留容器とを備えた製造装置が挙げられる。
上記製造装置を使用した発泡性粒子の製造手順の一例を説明する。まず、原料のポリスチレン系樹脂及び炭素材料を原料供給ホッパーから押出機内に投入する。原料のポリスチレン系樹脂は、ペレット状や顆粒状にして事前に良く混合してから1つの原料供給ホッパーから投入してもよいし、あるいは例えば複数のロットを用いる場合は各ロット毎に供給量を調整した複数の原料供給ホッパーから投入し、押出機内でそれらを混合してもよい。また、複数のロットのリサイクル原料を組み合わせて使用する場合には、複数のロットの原料を事前に良く混合し、磁気選別や篩分け、比重選別、送風選別等の適当な選別手段により異物を除去しておくことが好ましい。炭素材料は、ポリスチレン系樹脂と予め溶融混合して作製されたマスターバッチとして押出機に投入してもよい。
炭素材料の添加量は、スチレン系樹脂の添加量100質量部に対して、0.5〜25質量部である。添加量が0.5質量部未満である場合、断熱性を十分向上できないことがある。一方、添加量が25質量部を超える場合、気泡膜が破れることで成形性が低下して断熱性が劣ることがある。好ましい炭素材料の添加量は0.5〜15質量部であり、より好ましい炭素材料の添加量は0.5〜10質量部である。具体的な添加量としては、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.01、2、2.56、3、3.13、4、5、5.26、6、7、7.52、7.69、8、9、10、11、11.11、12、13、14、15、16、17、18、19、20質量部等が挙げられる。なお、添加量は、発泡性粒子について記載した含有量とほぼ同程度の値となるように調整され得る。
押出機内に原料を供給後、ポリスチレン系樹脂を加熱溶融し、その溶融樹脂をダイ側に移送しながら、発泡剤供給口から高圧ポンプによって発泡剤を圧入して溶融樹脂に発泡剤を混合し、押出機内に必要に応じて設けられる異物除去用のスクリーンを通して、溶融物を更に混練しながら先端側に移動させ、発泡剤を添加した溶融物を押出機の先端に付設したダイの小孔から押し出す。
溶融混練によって得られた溶融樹脂への発泡剤の注入の条件は、当業者が適宜設定できる。発泡剤の添加量は、溶融樹脂100質量部に対して、2〜12質量部の範囲であることが好ましい。2質量部より少ないと、発泡性粒子から所望の密度の発泡成形体を得られないことがある。加えて、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるために、発泡成形体の外観が良好とならないことがある。12質量部より多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下することがある。より好ましい含有量は3〜10質量部であり、更に好ましい含有量は4〜9質量部であり、最も好ましい含有量は5〜8質量部である。なお、注入する発泡剤の量は、発泡性粒子について記載した含有量とほぼ同程度の値となるように調整され得る。また、上述したように、発泡助剤を発泡剤と併用してもよい。発泡助剤の種類については上述のとおりであり、添加する発泡助剤の量は当業者が適宜設定できる。
ダイの小孔が穿設された樹脂吐出面は、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室内に配置され、かつカッティング室内には、ダイの小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッターが回転可能に設けられている。発泡剤添加済みの溶融物を押出機の先端に付設したダイの小孔から押し出すと、溶融物は粒状に切断され、同時に冷却水と接触して急冷され、発泡が抑えられたまま固化して発泡性粒子となる。
形成された発泡性粒子は、カッティング室から冷却水の流れに同伴して固液分離機能付き脱水乾燥機に運ばれ、ここで発泡性粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥する。乾燥された発泡性粒子は、貯留容器に貯留される。
なお、難燃剤を添加する場合、添加時期は特に限定されないが、好ましくは原料と共に押出機に添加される。
3.その他の方法
その他の方法の例としては、溶融押出法において、発泡剤を圧入せずにスチレン系樹脂粒子を得た後、この粒子を懸濁重合法の2段法(後含浸法)により発泡剤を含浸してスチレン系樹脂発泡性粒子を製造する方法、あるいはこの粒子を種粒子として懸濁重合法のシード重合法によりスチレン系樹脂発泡性粒子を製造する方法を挙げることができる。これらの方法によっても、本発明のスチレン系樹脂発泡性粒子を製造することができる。また、いずれの方法によっても、溶融押出法により、任意の量の炭素材料を容易に粒子中に含有させることができるという利点がある。好ましい製造法としては、溶融押出法により発泡剤を含有しない粒子を得た後、この粒子を種粒子としてシード重合法によりスチレン系樹脂発泡性粒子を製造する方法が挙げられる。この方法によれば、炭素材料を高濃度(例えば20質量%)に含むポリスチレン粒子(マスターバッチ)を種粒子として用いることでき、重合阻害が生じにくいという利点があり、更に、真球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。
(スチレン系樹脂発泡粒子)
スチレン系樹脂発泡粒子(以下、発泡粒子)は、スチレン系樹脂、炭素材料及び難燃剤を含み、難燃剤が、7質量%以上のリン含有率とを有するリン系難燃剤を含み、リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とする。この発泡粒子は、上記発泡性粒子を発泡(予備発泡)させることにより得ることができ、下記発泡成形体を製造するための予備発泡粒子に相当する。
発泡粒子を構成するスチレン系樹脂、炭素材料及び難燃剤は、上記発泡性粒子と同じである。
発泡粒子は、0.009〜0.400g/cm3の嵩密度を有することが好ましい。嵩密度が0.400g/cm3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。嵩密度が0.009g/cm3より小さい場合、発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。より好ましい嵩密度は0.010〜0.100g/cm3であり、より一層好ましい嵩密度は0.01〜0.04g/cm3であり、更に好ましい嵩密度は0.011〜0.032g/cm3であり、最も好ましい嵩密度は0.014〜0.029g/cm3である。具体的な嵩密度の値としては、0.009、0.010、0.011、0.012、0.0125、0.013、0.014、0.015、0.02、0.03、0.033、0.035、0.04、0.1、0.2、0.3、0.4g/cm3等であり得る。
発泡粒子を構成する気泡の平均径(平均気泡径)は、50〜1000μmであることが好ましい。平均気泡径が50μm未満の場合、断熱性が低下することがある。平均気泡径が1000μmより大きい場合、機械的強度が低下することがある。平均気泡径は100〜600μmがより好ましく、200〜300μmが更に好ましい。具体的な平均気泡径の値としては、50、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900、1000μm等であり得る。
発泡粒子は、水蒸気等を用いて所望の嵩密度に発泡性粒子を発泡させることで得られる。
発泡粒子は、続く発泡成形工程前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。発泡粒子の熟成温度は、20〜60℃が好ましい。熟成温度が低いと、発泡粒子の熟成時間が長くなることがある。一方、高いと、発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下することがある。
(スチレン系樹脂発泡成形体)
スチレン系樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体)は、スチレン系樹脂、炭素材料及び難燃剤を含み、互いに融着した複数のスチレン系樹脂発泡粒子から構成される発泡成形体であり、難燃剤が7質量%以上のリン含有率とを有するリン系難燃剤を含み、リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とする。この発泡成形体は、上記発泡粒子を発泡成形させることにより得ることができる。
発泡成形体を構成するスチレン系樹脂、炭素材料及び難燃剤は、上記発泡性粒子と同じである。
好ましくは、発泡成形体は、JIS Z8729−2004「色の表示方法−L***表色系」に基づく表面の色差測定において、次式:
31≦ΔE'=L*+|a*|+|b*|≦50
(式中、ΔE'は黒色度、L*は明度、a*及びb*は色座標を表す)
で示される関係式を満足する。より好ましいΔE'は、32≦ΔE' ≦45であり、更に好ましいΔE'は、32≦ΔE' ≦35である。ΔE'<31の場合、断熱性が低下することがある。一方、ΔE'>50の場合、断熱性が低下することがある。(1)ΔE'を小さな値にするには、より黒色に近い炭素材料を選択するか、発泡成形体中の炭素材料の含有量を多くするか、発泡成形体の密度を高くするか等によって達成できる。(2)ΔE'を大きな値にするには、より灰色に近い炭素材料を選択するか、発泡成形体中の炭素材料の含有量を少なくするか、発泡成形体の密度を低くするか等によって達成できる。具体的な黒色度の値としては、31、32、33、34、35、38、40、43、44、45、46、47、48、49、50等が挙げられる。詳細な黒色度の測定方法は、実施例に記載する。
発泡成形体は、更に難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤としては、上記の発泡性粒子について記載したものと同じものを用いることができるが、テトラブロモシクロオクタン又はテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)が特に好ましい。難燃剤の含有量は、発泡成形体100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは2〜8質量部である。具体的な難燃剤の含有量の値としては、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10質量部等が挙げられる。
好ましくは、発泡成形体は、スチレン系単量体、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ノルマルプロピルベンゼン、キシレン、トルエン、ベンゼンからなる芳香族有機化合物の含有総量が2000ppm未満である居住空間用断熱材である。前記芳香族有機化合物の含有総量が2000ppm未満であれば、近年要望されているシックハウス症候群への対応が可能となり、より快適な居住空間を提供することができる。より好ましくは1750ppm以下であり、更に好ましくは1500ppm以下であり、最も好ましくは500ppm以下であり、極めて好ましくは300ppm以下である。原料であるポリスチレン系樹脂として、スチレン系単量体、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ノルマルプロピルベンゼン、キシレン、トルエン、ベンゼンからなる芳香族有機化合物の含有量が低い樹脂原料を選択することで、製造工程中で前記芳香族有機化合物を混入させることなくスチレン系樹脂発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体及び居住空間用断熱材を得ることができる。同じスチレン系樹脂発泡性粒子から得られた発泡粒子、発泡成形体及び居住空間用断熱材であれば、前記芳香族有機化合物の含有総量は同程度の値となる。前記芳香族有機化合物の含有総量が2000ppm未満のスチレン系樹脂発泡性粒子は、居住空間用断熱材製造用に好適である。また、前記芳香族有機化合物の含有総量が少ないスチレン系樹脂発泡性粒子を得る製造方法としては、溶融押出法が好ましい。詳細な芳香族有機化合物の含有総量の測定方法は、実施例に記載する。
発泡成形体は、0.010〜0.400g/cm3の密度を有することが好ましい。密度が0.400g/cm3より大きい場合、軽量性が低下することがある。密度が0.010g/cm3より小さい場合、断熱性能及び機械的強度が低下することがある。より好ましい密度は0.011〜0.100g/cm3であり、より一層好ましい密度は0.012〜0.04g/cm3であり、更に好ましい密度は0.0125〜0.033g/cm3であり、最も好ましい密度は0.015〜0.030g/cm3である。具体的な嵩密度の値としては、0.009、0.010、0.011、0.012、0.0125、0.013、0.014、0.015、0.02、0.03、0.033、0.035、0.04、0.1、0.2、0.3、0.4g/cm3等であり得る。
発泡成形体を構成する気泡の平均径(平均気泡径)は、50〜1000μmであることが好ましい。平均気泡径が50μm未満の場合、断熱性が低下することがある。平均気泡径が1000μmより大きい場合、機械的強度が低下することがある。平均気泡径は100〜600μmがより好ましく、200〜300μmが更に好ましい。具体的な平均気泡径の値としては、50、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900、1000μm等であり得る。
発泡成形体は、0.034W/mk以下の熱伝導率を示すことが好ましい。熱伝導率が0.034W/mkを超える場合、十分な断熱性を有する発泡成形体を提供できないことがある。より好ましい熱伝導率は0.033W/mk以下であり、更に好ましい熱伝導率は0.32W/mk以下である。具体的な熱伝導率の値としては、0.0340、0.0339、0.0338、0.0337、0.0336、0.0335、0.0334、0.0333、0.0332、0.0331、0.0330、0.0329、0.0328、0.0327、0.0326、0.0325、0.0324、0.0323、0.0322、0.0321、0.0320、0.0319、0.0318、0.0317、0.0316、0.0315、0.0314、0.0313、0.0312、0.0311、0.0310、0.0309、0.0308、0.0307、0.0306、0.0305、0.0304、0.0303、0.0302、0.0301、0.0300等が挙げられる。
発泡成形体は、0.5g/100cm2未満の吸水量を示すことが好ましい。吸水量が0.5g/100cm2を超える場合、断熱性が低下することがある。より好ましい吸水量は0.4g/100cm2未満であり、更に好ましい吸水量は0.3g/100cm2未満であり、より一層好ましい吸水量は0.2g/100cm2未満である。具体的な吸水量の値としては、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.1、0.05等が挙げられる。
好ましくは、発泡成形体は、透過法赤外線分析で得られる波数1000cm-1での吸光度Aと波数500cm-1での吸光度Bにおいて、0.8〜2.0の比A/Bを示す。吸光度比A/B<0.8の場合又は吸光度比A/B>2.0の場合、十分な断熱性が得られないことがある。(1)吸光度比A/Bを小さな値にするには、炭素材料の添加量を増やすこと等によって達成できる。(2)吸光度比A/Bを大きな値にするには、炭素材料の添加量を増やすことや、気泡径を小さくすること等によって達成できる。より好ましい吸光度比A/Bは、0.81〜1.80であり、更に好ましい吸光度比A/Bは0.82〜1.75である。具体的な吸光度比A/Bの値としては、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.85、1.9、1.95、2.0等が挙げられる。
吸光度Aとは、透過法赤外線分析で得られる波数1000cm-1での吸光度を意味する。好ましい吸光度Aは、0.8以上である。吸光度Aが0.8未満である場合、断熱性が劣る。より好ましい吸光度Aは0.95以上である。具体的な吸光度Aの値としては、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99等が挙げられる。
また、吸光度Bとは、透過法赤外線分析で得られる波数500cm-1での吸光度を意味する。好ましい吸光度Bは、0.5以上である。吸光度Bが0.5未満である場合、断熱性が低下する。より好ましい吸光度Bは0.55以上である。具体的な吸光度Bの値としては、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.65、0.7等が挙げられる。
詳細な吸光度A及びBの測定方法は、実施例に記載する。
発泡成形体は、例えば、発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させることで、製造できる。その際、発泡成形体の密度は、例えば、金型内への予備発泡粒子の充填量を調整する等して調製できる。
加熱発泡は、例えば、110〜150℃の熱媒体で5〜50秒加熱することにより行うことができる。この条件であれば、発泡粒子相互の良好な融着性を確保できる。より好ましくは、加熱発泡成形は、成形蒸気圧(ゲージ圧)0.06〜0.08MPa、90〜120℃の熱媒体(例えば、水蒸気)で、10〜50秒加熱することにより行うことができる。
発泡成形体は、断熱性の要求される各種用途に使用できる。例えば、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品や工業製品等の容器、魚や農産物等の梱包材、盛土材、畳の芯材等に使用できる。発泡成形体は、これら使用用途に応じた形状をとり得る。特に、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材等の居住空間用断熱材として好適に使用できる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ポリエチレン系樹脂を用いて測定した炭素材料の体積抵抗率>
ここでの体積抵抗率は、原料の炭素材料を、あるいは原料の炭素材料がマスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中に添加されている場合には、マスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中のスチレン系樹脂を有機溶剤としてのトルエンにより除去することで取り出した炭素材料を、ポリエチレン系樹脂と溶融混錬し(炭素材料:ポリエチレン系樹脂=1:4(質量比))、混錬物の板状成形体の表面を測定した値を意味する。
具体的には、ポリエチレン系樹脂と炭素材料を押出機を用いて十分に溶融混錬し、フィルム状に成形したものを、JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法により測定する。即ち、試験装置(アドバンテスト社製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試料サンプルに、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500Vで1分間充電後の抵抗値を測定し、次式により算出する。試料サンプルは、幅100×長さ100×原厚み(10以下)mmとする。温度20±2℃、湿度65±5%で24時間以上状態調節後、試験環境として温度20±2℃、湿度65±5%で測定を行う。試験片の数は5個とし、その平均値を炭素材料の体積抵抗率(Ω・cm)とする。
ρv=(πd2/4t)×Rv
ρv:体積抵抗率(Ω・cm)
d:表面電極の内円の外径(cm)
t:試験片の厚さ(cm)
Rv:体積抵抗(Ω)
<ポリスチレン系樹脂を用いて測定した炭素材料の体積抵抗率>
ここでの体積抵抗率は、原料の炭素材料を、あるいは原料の炭素材料がマスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中に添加されている場合には、マスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中のスチレン系樹脂を有機溶剤としてのトルエンにより除去することで取り出した炭素材料を、ポリスチレン系樹脂と溶融混錬し(炭素材料:ポリスチレン系樹脂=1:4(質量比))、混錬物の板状成形体の表面を測定した値を意味する。
具体的には、炭素材料とポリスチレン系樹脂の混錬物(炭素材料:ポリスチレン系樹脂=1:4(質量比))の板状成形体を、導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法(JIS K7194)に準拠して測定を行う。試験装置は三菱化学社製低抵抗率計ロレスターGP MCP−T600を使用し、試料サンプルは、幅80×長さ50×原厚み(20以下)mmとする。試料サンプルは、温度20±2℃、湿度65±5%で24時間以上状態調節後、試験環境として温度20±2℃、湿度65±5%で測定を行う。体積抵抗率は試料サンプル表面のJIS K 7194に準ずる測定位置5点の抵抗値を測定し、次式により算出する。その平均値を炭素材料の体積抵抗率(Ω・cm)とする。
ρv=V/I×RCF×t
ρv:体積抵抗率(Ω・cm)
V/I:抵抗(Ω)
RCF:測定位置および試料厚みによる補正係数
t:試験片の厚さ(cm)
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン(PS)換算平均分子量を意味する。具体的には、試料3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLにて72時間静置して溶解させ(完全溶解)、得られた溶液を倉敷紡績社製の非水系0.45μmのクロマトディスク(13N)で濾過して測定する。予め測定し作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の平均分子量を求める。またクロマトグラフの条件は下記の通りとする。
(測定条件)
使用装置:高速GPC装置:東ソー社製 HLC−8320GPC EcoSECシステム(RI検出器内蔵)
ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn SuperHZ−H(4.6mmID×2cmL)×1本
カラム:東ソー社製 TSKgel SuperHZM−H(4.6mmI.D×15cmL)×2本
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
移動相流量:試料側 0.175mL/分、リファレンス側 0.175mL/分
検出器:RI検出器
試料濃度:0.3g/L
注入量:50μL
測定時間:0−25分
ランタイム:25分
サンプリングピッチ:200msec
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製 商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、5,480,000、3,840,000、355,000、102,000、37,900、9,100、2,630、500のものと、昭和電工社製商品名「Shodex STANDARD」の重量平均分子量が1,030,000である標準ポリスチレン試料を用いる。
検量線の作成方法は以下の通りである。上記検量線用標準ポリスチレン試料をグループA(重量平均分子量が1,030,000のもの)、グループB(重量平均分子量が3,840,000、102,000、9,100、500)及びグループC(重量平均分子量が5,480,000、355,000、37,900、2,630)にグループ分けする。グループAを5mg秤量した後にテトラヒドロフラン20mLに溶解し、グループBも各々5mg〜10mg秤量した後にテトラヒドロフラン50mLに溶解し、グループCも各々1mg〜5mg秤量した後にテトラヒドロフラン40mLに溶解する。標準ポリスチレン検量線は作成したA、B及びC溶液を50μLを注入して測定後に得られた保持時間から較正曲線(三次式)をHLC−8320GPC専用データ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成することにより得られ、その検量線を用いて測定する。
<平均一次粒子径(平均粒径)の測定方法>
カッターナイフを用いて発泡性粒子の粒子中央を、発泡粒子、発泡成形体については表皮部分を切り出し測定用試料とする。切り出した試料を、クライオ用試料台に接着剤で固定後、ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製、LEICA ULTRACUT UCT)及び凍結切片作製システム(ライカマイクロシステムズ社製、LEICA EM FCS)を用いて超薄切片(厚み90nm)を作製する。次いで、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7600)を用いて、超薄切片の写真撮影(撮影倍数:5万倍)を行う。1試料につき少なくとも200個の炭素材料を撮影し、各粒子の直径を測定し、それらの平均値を算出する。なお、測定場所は一次粒子として外縁が欠けることなくはっきりと認識可能な部分を測定することが望ましい。
<樹脂中の炭素材料量の測定方法>
樹脂中の炭素材料量は、示差熱熱重量同時測定装置 TG/DTA6200型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いて測定する。例えば、樹脂中に発泡剤や有機溶剤が含有されている発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体等の場合は、120℃の恒温槽中で2時間静置することで、樹脂中の発泡剤や有機溶剤を除去したものを測定サンプルとする。サンプルは白金製測定容器の底に隙間のないよう試料を約15mg充填して、アルミナを基準物質として測定する。温度条件としては、速度10℃/min、窒素ガス流量230mL/minで30℃から520℃まで昇温後、速度10℃/min、Air流量160mL/minで520℃から800℃まで昇温させる。TG曲線(縦軸:TG(%),横軸:温度(℃))を得、それに基づいて520℃から800℃昇温時の試料重量の減量分を算出し、炭素材料量w(質量%)とする。
このときの炭素材料とスチレン系樹脂の質量比は、以下の関係となる。
炭素材料:スチレン系樹脂=1:(100/w−1)
w:測定結果より得られる炭素材料の質量%の値
また、同じスチレン系樹脂発泡性粒子から得られた発泡粒子、発泡成形体及び居住空間用断熱材であれば、炭素材料とスチレン系樹脂の質量比は同程度の値となる。
<発泡粒子の嵩密度>
発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的は、まず、発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。Wg及びVcm3を下記式に代入することで、発泡粒子の嵩密度を算出する。
発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
<発泡成形体の密度>
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×30mm)の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求める。
<平均気泡径>
平均気泡径についてはASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定する。発泡粒子、及び発泡成形体の任意の部分を、剃刀刃を用いて成形体断面を得る。この切断面を走査型電子顕微鏡(日本電気社製JSM−6360LV)を用いて、100倍に拡大した画像を作成する。
次に、切断面の画像上にある発泡粒子界面から発泡粒子半径方向の20%の範囲における任意の位置で60mmの直線を描く。直線上にある気泡の個数を数え、次式によりこの気泡の平均弦長(t)を算出する。
平均弦長t(μm)=60/(気泡数×画像の拡大倍数)
次の式により、この気泡の平均気泡径(D)を算出する。
平均気泡径D(μm)=t/0.616
以上の作業をN数10で行い、平均値を平均気泡径とする。
<発泡成形体の熱伝導率>
発泡成形体から、縦200mm×横200mm×厚み30mmの直方体形状の試験片を切り出す。次に、切り出した試験片を60℃の恒温槽中にて72時間静置して発泡成形体中に含有されている発泡剤を除去する。その後、温度23℃±1℃、湿度50±10%で24時間以上養生を行い熱伝導率測定用試験片とする。測定用試験片の熱伝導率(W/m・K)をJIS A1412−2(1999「発泡プラスチック保温材」に準拠し、平板熱流計法にて測定温度23℃で測定する。なお、熱伝導率は断熱性の指標である。
得られた熱伝導率(W/m・K)の値から、次の基準により断熱性を評価する。
0.0310(W/m・K)以下 :断熱性が更に優れる(A)
0.0310を越え、0.0320以下 :断熱性がより優れる(B)
0.0320を越え、0.0340以下 :断熱性が優れる(C)
0.0340(W/m・K)を越える :断熱性に劣る(D)
本発明において、発泡成形体の熱伝導率の値は、発泡成形体中に含有されている発泡剤を除去した後の値である。なお、発泡成形体中の発泡剤を除去せずに測定した場合、ブタンやペンタン等の発泡剤の熱伝導率は空気の熱伝導率よりも低いため、発泡成形体の熱伝導率の値は、約0.002(W/m・K)程度さらに低い値となる。
<比表面積>
炭素材料の比表面積(m2/g)は、ASTM D−6556に従って測定する。
<発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体中の炭素材料の凝集塊の最長径>
カッターナイフを用いて発泡性粒子は粒子中央を、発泡粒子、発泡成形体については表皮部分を切り出し測定用試料とする。切り出した試料を、クライオ用試料台に接着剤で固定後、ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製、LEICA ULTRACUT UCT)及び凍結切片作製システム(ライカマイクロシステムズ社製、LEICA EM FCS)を用いて超薄切片(厚み90nm)を作製する。次いで、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7600)を用いて、超薄切片の写真撮影(撮影倍数:1万倍)を行う。1試料につき少なくとも200個の独立した別個の凝集塊を撮影する。撮影された画像において、炭素材料の一次粒子が重なり合って見える凝集塊の外縁上の任意の2点間の距離のうち最長となるものを凝集塊の最長径とし、それらの平均値を算出した。なお、上記の2点間を結ぶ最長径は、写真上において常に一次粒子と重なるように設定する。すなわち、最長径が写真のバックグラウンドを通ることはないものとする。
<発泡成形体の黒色度>
発泡成形体の黒色度ΔE'を、JIS Z8729−2004「色の表示方法−L***表色系」に基づく色差測定により評価する。
測定には、色彩色差計(コニカミノルタ社製、型式:CR−400)及び標準合わせに標準白板校正板(Y:94.3、x:0.3144、y:0.3208)を用いる。
具体的には、発泡成形体の縦横面の任意の10点について、測定面積をφ8mmとして測定し平均値を算出した明度L*値、色座標a*値及びb*値から、次式により黒色度としてΔE'を算出する。
ΔE'=L*+|a*|+|b*
得られたΔE'から次の基準により黒色度を評価する。
31≦ΔE'≦50:良好(○)
ΔE'<31及び50<ΔE':不良(×)
<吸光度の測定方法>
得られた発泡成形体の任意の部分から、厚み1.0mm±0.1mmのサンプルを得る。次いで下記の方法で、サンプルの透過赤外の吸光度を測定する。
・フーリエ変換赤外分光分析装置NICOLET iS5(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック社製)
・測定法:透過法
・測定波数領域:4000cm-1〜400cm-1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:DTGSKBr
・分解能:4cm-1
・積算回数:16回(バックグランド測定時も同様)
<吸水量の測定方法>
発泡成形体の吸水量はJIS A9511:2006R 発泡プラスチック保温材 測定方法Bに準拠して測定した。100×100×25mmの全面切断面の試験片3個を、清水に10秒間浸漬した後エタノールに10秒間浸漬し、さらに常温(23℃)で60分間放置した後の質量を基準質量(m0)とする。次に、再び清水に浸積し、24 時間吸水させた後、基準質量測定のときと同じ方法で質量(m1)を測定する。
試験片3個について、それぞれWを以下の式で算出し、その平均値を吸水量(g/100cm2)とする。
W=(m1−m0)/A×100
m1(g):24時間吸水後質量
m0(g):基準質量
A(cm2):全表面積
<発泡成形体の難燃性の測定方法と評価>
得られた発泡成形体から縦200mm×横25mm×高さ10mmの直方体形状の試験片5個をバーチカルカッターにて切り出す。切出物を60℃オーブンで1日間養生後、JIS A9511−2006の測定方法Aに準じて個別消炎時間の測定を行う。試験片5個の個別消炎時間の平均値を消炎時間とする。なお、消炎時間から難燃性を以下の基準で評価した。
良好(○) :消炎時間が1.5秒以上3.0秒未満
非常に良好(◎):消炎時間が1.5秒未満
未測定(−) :測定を行っていない
<芳香族有機化合物の含有総量>
前記芳香族有機化合物の含有総量は、次の<<揮発性有機化合物(VOC)含有量の測定方法>>により測定した値である。
<<揮発性有機化合物(VOC)含有量の測定方法>>
発泡成形体1gを精秤し、0.1体積%のシクロペンタノールを含有するジメチルホルムアミド溶液1mLを内部標準液として加えた後、更にジメチルホルムアミド溶液にジメチルホルムアミドを加えて25mLとして測定溶液を作製し、この測定溶液1.8μLを230℃の試料気化室に供給して下記測定条件にてガスクロマトグラフ(島津製作所社製、商品名「GC−14A」で検出された各揮発性有機化合物のチャートを得る。そして予め測定しておいた、各揮発性有機化合物の検量線に基づいて、各チャートから揮発性有機化合物量をそれぞれ算出し、発泡成形体中の揮発性有機化合物量を算出する。発泡性粒子中の揮発性有機化合物量を算出する場合は、発泡性粒子1gを精秤して同様に測定する。
検出器 :FID
カラム :ジーエルサイエンス製 (3mmφ×2.5m)
液相;PEG−20M PT 25%
担体;Chromosorb W AW−DMCS
メッシュ:60/80
カラム温度:100℃
検出器温度:230℃
DET温度:230℃
キャリアーガス(窒素)
キャリヤーガス流量(40mL/min)
なお、前述した揮発性有機化合物(VOC)含有量のうち、前記芳香族有機化合物に該当する各揮発性有機化合物量の合計量を「芳香族有機化合物の含有総量」としている。
(実施例1)
重量平均分子量20万のバージンポリスチレン(東洋スチレン社製、商品名「HRM−10N」:以下、樹脂)95質量部に対し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック粒状グレード、平均一次粒子径35nm、比表面積69m2/g)を5質量部、無機発泡核剤として微粉末タルク0.5質量部、リン系難燃剤としてトリフェニルホスフェート(リン成分9.5質量%)5質量部を、口径90mmの単軸押出機に、時間当たり150kgで連続供給した。押出機内温度を最高温度220℃に設定し、樹脂を溶融させた後、樹脂100質量部に対して6質量部のイソペンタンを発泡剤として押出機の途中から圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混錬するとともに冷却し、押出機先端部での樹脂温度を170℃、ダイの樹脂導入部の圧力を15MPaに保持して、直径0.6mmでランド長さが3.0mmの小孔が200個配置されたダイより、このダイの吐出側に連結され30℃の水が循環するカッティング室内に、発泡剤含有溶融樹脂を押出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する高速回転カッターにて押出物を切断して粒子を得た。切断した粒子を循環水で冷却しながら、粒子分離器に搬送し、粒子を循環水と分離した。更に、捕集した粒子を脱水・乾燥することでスチレン系樹脂発泡性粒子を得た。得られたスチレン系樹脂発泡性粒子は、アセチレンブラック:スチレン系樹脂=1:19(質量比)であった。得られたスチレン系樹脂発泡性粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、略球状であり、平均粒径は約1.1mmであった。
得られたスチレン系樹脂発泡性粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.05質量部、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部をスチレン系樹脂発泡性粒子の表面全面に均一に被覆した。得られたスチレン系樹脂発泡性粒子を加熱することで、嵩密度0.019g/cm3に予備発泡させて予備発泡粒子を得た。この予備発泡粒子を20℃で24時間熟成させた。次に、予備発泡粒子を金型内に充填して加熱発泡させて、縦400mm×横300mm×厚さ30mmの発泡成形体を得た。この発泡成形体を50℃の乾燥室で6時間乾燥した後、発泡成形体の密度を測定したところ、0.020g/cm3であった。この発泡成形体は収縮もなく外観性にも優れており、この発泡成形体の熱伝導率は0.032w/mkであった。
また、発泡成形体の難燃性は、消炎時間が0.9秒で、評価が「○」あった。
(実施例2)
難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)3質量部及びトリフェニルホスフェート3質量部を用いること以外は、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂発泡性粒子を得た。得られたスチレン系樹脂発泡性粒子は、アセチレンブラック:スチレン系樹脂=1:19(質量比)であった。得られたスチレン系樹脂発泡性粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、略球状であり、平均粒径は約1.1mmであった。
更に実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm3であった。この発泡成形体は収縮もなく外観性にも優れており、この発泡成形体の熱伝導率は0.032w/mkであった。
また、発泡成形体の難燃性は、消炎時間が1.0秒で、評価が「○」あった。
実施例1及び2の発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体の評価結果を表2及び3に示す。

Claims (6)

  1. スチレン系樹脂、炭素材料、発泡剤及び難燃剤を含み、
    前記難燃剤が、7質量%以上のリン含有率を有するリン系難燃剤を含み、
    前記リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子。
  2. 前記難燃剤が、前記リン系難燃剤と臭素系難燃剤とを含む請求項1に記載のスチレン系樹脂発泡性粒子。
  3. 前記難燃剤が、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテルである臭素系難燃剤を、スチレン系樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部含む請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂発泡性粒子。
  4. 前記炭素材料が、体積抵抗率1.0×104Ω・cm以下の導電性カーボンブラックである請求項1〜3のいずれか1つに記載のスチレン系樹脂発泡性粒子。
  5. スチレン系樹脂、炭素材料及び難燃剤を含み、
    前記難燃剤が、7質量%以上のリン含有率を有するリン系難燃剤を含み、
    前記リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とするスチレン系樹脂発泡粒子。
  6. スチレン系樹脂、炭素材料及び難燃剤を含み、互いに融着した複数のスチレン系樹脂発泡粒子から構成される発泡成形体であり、
    前記難燃剤が、7質量%以上のリン含有率を有するリン系難燃剤を含み、
    前記リン系難燃剤が、スチレン系樹脂100質量部に対して、3〜10質量部含まれることを特徴とする発泡成形体。
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