JPH11279320A - 発泡性スチレン系樹脂粒子およびそれを用いた発泡成形体 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子およびそれを用いた発泡成形体

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JPH11279320A
JPH11279320A JP7973198A JP7973198A JPH11279320A JP H11279320 A JPH11279320 A JP H11279320A JP 7973198 A JP7973198 A JP 7973198A JP 7973198 A JP7973198 A JP 7973198A JP H11279320 A JPH11279320 A JP H11279320A
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JP
Japan
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styrene resin
resin particles
rubber
toluene
molded article
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Application number
JP7973198A
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English (en)
Inventor
Yukio Aramomi
幸雄 新籾
Ikuo Morioka
郁雄 森岡
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性に優れた発泡成形体を得ることがで
きかつ成形性が良好な発泡性スチレン系樹脂粒子と、耐
衝撃性に優れた発泡成形体とを提供する。 【解決手段】 本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、
ゴム変性スチレン系樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸させ
たものであって、前記ゴム変性スチレン系樹脂粒子が、
ポリスチレン系樹脂を内包するジエン系ゴム粒子をポリ
スチレン系樹脂からなる連続相に分散したものであり、
かつ前記発泡性スチレン系樹脂粒子の(1) トルエン可溶
分の極限粘度数η、(2) 25℃トルエン中におけるトル
エン不溶分の膨潤度SI、および(3) ゲル分含有率Ge
l(重量%)が、下記式(i) および(ii)を同時に満たす
ことを特徴とする。また、本発明の発泡成形体は前記樹
脂粒子を発泡成形したものであって、密度が0.014
〜0.05g/cm3 である。 8.0≦(SI×η)≦12.0 (i) 0.5≦(SI/Gel)≦1.0 (ii)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性に優れた
発泡成形体を得ることができる発泡性スチレン系樹脂粒
子と、それを用いて得られる発泡成形体とに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレン系樹脂を用いた発泡成形体
は、従来より梱包材、緩衝材、断熱材等の用途に使用さ
れている。しかし、柔軟性が不十分で衝撃により破壊し
易いことから、使用範囲が限られており、精密機器等の
梱包材のように優れた耐衝撃性が要求される用途には不
向きであった。
【0003】そこで、上記の問題を解決すべく、ポリス
チレン系樹脂にブタジエンゴム等の弾性体を配合したハ
イインパクトポリスチレン(HIPS)を用いた発泡成
形体が提案されている。特公昭47−17465号公報
には、弾性体としてスチレンとブタジエンとのブロック
共重合体を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造
方法が開示されている。特公昭47−18428号公報
には、弾性体としてのブタジエンを含有したスチレン系
樹脂からなる発泡成形体が開示されている。また、特公
昭56−67344号公報には、非配向性のゴム粒子を
弾性体として配合したポリスチレン系樹脂からなる発泡
成形体が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、HIPSはポ
リスチレン系樹脂の耐衝撃性を向上させたものであるに
も係わらず、上記公報に開示の発泡成形体からはHIP
S本来の優れた耐衝撃性がほとんど得られておらず、む
しろその耐衝撃性が実用上不十分であるのが現状であ
る。HIPSからなる発泡成形体の耐衝撃性が不十分で
あるのは、発泡成形体を成形する際に数段階の加熱工程
が必要であり、その加熱工程においてポリスチレン系樹
脂やブタジエン系ゴムが酸化劣化し、その結果、樹脂の
柔軟性が低くなることに起因するものと考えられる。
【0005】本発明の目的は、上記課題を解決し、耐衝
撃性に優れた発泡成形体を得ることができ、かつ成形性
が良好である発泡性スチレン系樹脂粒子と、それを成形
して得られる、耐衝撃性に優れた発泡成形体とを提供す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために研究を重ねていく中で、発泡性スチレ
ン系樹脂粒子のトルエン可溶分における極限粘度数、ト
ルエン不溶分の膨潤度およびゲル分含有率の値をそれぞ
れ所定の値に設定することにより、耐衝撃性に優れた発
泡成形体を製造可能な発泡性スチレン系樹脂粒子を得る
ことができるという新たな事実を見出し、本発明を完成
するに至った。
【0007】すなわち、本発明の発泡性スチレン系樹脂
粒子は、ゴム変性スチレン系樹脂粒子に揮発性発泡剤を
含浸させたものであって、前記ゴム変性スチレン系樹脂
粒子が、ポリスチレン系樹脂を内包するジエン系ゴム粒
子をポリスチレン系樹脂からなる連続相に分散したもの
であり、かつ前記発泡性スチレン系樹脂粒子の(1) トル
エン可溶分の極限粘度数η、(2) 25℃トルエン中にお
けるトルエン不溶分の膨潤度SI、および(3) ゲル分含
有率Gel(重量%)が、式(i) および(ii): 8.0≦(SI×η)≦12.0 (i) 0.5≦(SI/Gel)≦1.0 (ii) を同時に満たすことを特徴とする。
【0008】上記発泡性スチレン系樹脂粒子によれば、
発泡時に気泡が微細化することがなく、成形性および耐
衝撃性の優れた発泡成形体を製造することができる。本
発明の発泡成形体は、上記発泡性スチレン系樹脂粒子を
発泡成形したものであって、密度が0.014〜0.0
5g/cm3 であることを特徴とする。上記本発明の発
泡成形体は、耐衝撃性に優れるとともに、成形性が良好
であることに起因して外観が極めて良好である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子におけるゴム
変性スチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂により
構成される連続相と、ポリスチレン系樹脂を内包するジ
エン系ゴム粒子により構成される分散相とからなる粒子
であって、従来公知の種々のHIPSを使用することが
できる。なかでも、ポリスチレン系樹脂成分の含有割合
が87〜92重量%で、ジエン系ゴム成分の含有割合が
8〜13重量%であることが好ましい。ジエン系ゴム成
分の含有割合が8重量%を下回ると耐衝撃性が低下する
おそれがある。逆に、13重量%を超えると樹脂の発泡
剤の保持能力が低下するため、高発泡の発泡成形体が得
られなくなるおそれがある。
【0010】上記分散相におけるジエン系ゴム粒子とし
ては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエン等からなる粒子のほか、ジエン系ゴムとスチレン
とのブロック共重合体からなる粒子等があげられる。こ
のジエン系ゴム粒子は、連続相であるポリスチレン系樹
脂中に粒子状に分散しており、(i) 粒径が0.5〜5.
0μmで、ジエン系ゴム成分を外殻とする粒子の内部に
複数のポリスチレン系樹脂微粒子を内包したいわゆるサ
ラミ構造、(ii)粒径が0.1〜1.0μmで、ジエン系
ゴム成分を外殻とする粒子の内部に単数のポリスチレン
系樹脂微粒子を内包したいわゆるコアシェル構造、また
はこれらの混合構造を有している。
【0011】ジエン系ゴム粒子に用いられるゴムは、発
泡性樹脂粒子の熟成期間を短縮するといった観点から、
上記例示のゴムのうち、特にシス結合の含有量が80%
以上であるいわゆる高シスブタジエンであるのが好まし
い。上記ゴム変性スチレン系樹脂粒子において連続相を
形成するポリスチレン系樹脂としては、スチレン単量体
単独、もしくはスチレン単量体と共重合可能なアクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のビニ
ル化合物の共重合体があげられる。
【0012】本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子に用い
られる発泡剤としては、通常のポリスチレン系樹脂発泡
体の製造に用いられる発泡剤が使用可能であり、例えば
プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イ
ソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロブタ
ン、シクロペンタン等の環状脂肪族炭化水素;メチレン
クロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水
素;モノクロロジフルオロエタン(F−142b)、ジ
クロロフルオロエタン(F−141b)、トリクロロフ
ロロメタン、ジクロロジフロロメタン、ジクロロトリフ
ルオロエタン(F−123)、ジクロロテトラフロロメ
タン等のハロゲン化フッ素系炭化水素;テトラフルオロ
エタン(F−134a) 、ペンタフルオロエタン(F−
125)、ペンタフルオロプロパン(F−245fa、
F−245ca)等の2以上のフッ素原子で置換された
炭素数2〜6のフッ素系炭化水素;またはこれらの混合
物が使用できる。
【0013】上記例示の中でも、樹脂粒子の熟成期間、
発泡性、成形性、発泡成形体の耐衝撃性等を考慮する
と、n−ペンタンを主成分とする発泡剤を用いるのが好
適である。前記発泡剤の含有量は、ゴム変性スチレン系
樹脂100重量部に対して4〜12重量部、好ましくは
5〜10重量部である。発泡剤の配合量が4重量部を下
回ると、高発泡の発泡成形体を得るのが困難になるおそ
れがあり、所望の倍率が得られにくい。逆に12重量部
を超えると、樹脂粒子の熟成期間が長くなったり、成形
サイクルが遅延したり、予備発泡時の倍数調整が難しく
なったりするおそれがある。
【0014】本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子におい
ては、当該樹脂粒子のトルエン可溶分における極限粘度
数ηと、25℃トルエン中におけるトルエン不溶分の膨
潤度SIとが、式(i) : 8.0≦(SI×η)≦12.0 (i) を満たし、かつ上記膨潤度SIと、本発明の発泡性スチ
レン系樹脂粒子におけるゲル分含有率Gel(重量%)
とが、式(ii): 0.5≦(SI/Gel)≦1.0 (ii) を満たすように設定される。
【0015】発泡性スチレン系樹脂粒子のトルエン可溶
分における極限粘度数ηとは、前記樹脂粒子の連続相を
構成するポリスチレン系樹脂分についての極限粘度数η
を示すものである。この極限粘度数ηは、ポリスチレン
系樹脂分のスチレン部分の分子量を調節することにより
適宜設定することができる。前記極限粘度数ηの値は、
後述するトルエン不溶分の膨潤度SIの値に応じて設定
されるものであって、極限粘度数η単独での範囲は特に
限定されないが、0.5〜0.7、好ましくは0.55
〜0.7の範囲で設定するのが適当である。極限粘度数
ηが0.5を下回ると高発泡成形体を得ることが可能に
なるものの、予備発泡や成形時の加熱により破泡し、そ
の結果耐衝撃性が低下するおそれがある。逆に、極限粘
度数ηが0.7を超えると高発泡成形体の製造が困難に
なるおそれがある。
【0016】発泡性スチレン系樹脂粒子の、25℃トル
エン中におけるトルエン不溶分の膨潤度SIとは、発泡
性スチレン系樹脂粒子を25℃のトルエンに溶解し、そ
の際に生じた不溶分を乾燥したときの重量(膨潤前の重
量)Aと、このトルエン不溶分を再びトルエンに浸漬し
て膨潤させたときの重量(膨潤後の重量)Bとの比B/
Aを示すものである。この膨潤度SIは、ジエン系ゴム
の架橋度を調節することによって適宜設定することがで
きる。
【0017】前記膨潤度SIの値は、前述したトルエン
可溶分の極限粘度数ηの値と、後述するゲル分含有率G
elの値とに応じて設定されるものであって、膨潤度S
I単独での範囲は特に限定されないが、14〜20、好
ましくは15〜20、より好ましくは16〜20の範囲
で設定するのが適当である。膨潤度SIが14を下回る
と、発泡性スチレン系樹脂粒子や発泡成形体の柔軟性が
低下し、その耐衝撃性も低下するおそれがある。逆に、
膨潤度SIが20を超えると、発泡性スチレン系樹脂粒
子の生産性が低くなるおそれがある。
【0018】発泡性スチレン系樹脂粒子におけるゲル分
含有率Gelとは、ゴム変性スチレン系樹脂粒子におけ
るトルエン不溶分の割合(重量%)を示すものである。
本発明において、前記ゲル分含有率の値は、前述した膨
潤度SIの値に応じて設定されるものであって、ゲル分
含有率Gel単独での範囲は特に限定されないが、15
〜27重量%、好ましくは16〜27重量%、より好ま
しくは17〜26重量%の範囲で設定するのが適当であ
る。ゲル分含有率が15重量%を下回ると、発泡性樹脂
粒子や発泡成形体の耐衝撃性が低くなり、緩衝材等とし
て十分な耐衝撃性が得られなくなるおそれがある。逆
に、ゲル分含有率が27重量%を超えると、発泡性、成
形性が低下し、高発泡の成形体や外観の良好な成形体が
得られなくなるおそれがある。
【0019】上記極限粘度数ηと膨潤度SIとの積が式
(i) の範囲を下回ると(8.0を下回ると)、成形時の
耐熱性や成形品の耐衝撃性が低下するという問題が生じ
る。逆に、極限粘度数ηと膨潤度SIとの積が式(i) の
範囲を超えると(12.0を超えると)、発泡性スチレ
ン系樹脂粒子の製造が困難になったり、高発泡化できな
くなるという問題が生じる。極限粘度数ηと膨潤度SI
との積は、式(i) の範囲の中でも特に8.5〜12の範
囲にあるのが好ましく、9〜12の範囲にあるのがより
好ましい。
【0020】一方、上記膨潤度SIと、発泡性スチレン
系樹脂粒子におけるゲル分含有率Gelとの比SI/G
elとが式(ii)の範囲を下回ると(0.5を下回る
と)、高発泡化が困難になるという問題が生じる。逆
に、比SI/Gelとが式(ii)の範囲を超えると(1.
0を超えると)、成形品の耐衝撃性が低下するという問
題が生じる。膨潤度SIとゲル分含有率Gelとの比S
I/Gelは、式(ii)の範囲の中でも特に0.55〜
1.0の範囲にあるのが好ましく、0.6〜1.0の範
囲にあるのがより好ましい。
【0021】本発明においては、樹脂の酸化劣化を防止
するために、ゴム変性スチレン系樹脂粒子に酸化防止剤
を配合することができる。本発明に使用可能な酸化防止
剤は特に限定されないが、例えば一般式(1) :
【0022】
【化1】
【0023】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同
一または異なって、炭素数1〜5のアルキル基を示し、
5 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示
す。)で表される酸化防止剤が好適に使用される。一般
式(1) の具体的な酸化防止剤としては、例えば ・一般式(1) のR1 およびR3 がメチル基、R2 および
4 がt−ブチル基、R 5 がHである2−t−ブチル−
6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロ
キシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート:住
友化学(株)製の商品名「スミライザーGM」、 ・一般式(1) のR1 〜R4 がt−アミル基でR5 がメチ
ル基である2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’
−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベン
ジル)フェニルアクリレート:住友化学(株)製の商品
名「スミライザーGS」 等があげられる。
【0024】上記酸化防止剤の配合量は、ゴム変性スチ
レン系樹脂粒子100重量部に対して0.01〜0.5
重量部の範囲で設定するのが適当である。酸化防止剤の
配合量が0.01重量部を下回ると、外観が良好な発泡
成形体を得ることはできるものの、酸化防止剤の効果が
不充分になるおそれがある。逆に、0.5重量部を超え
ると、気泡が微細化して耐衝撃性が低下したり、成形性
が低下するおそれがある。
【0025】酸化防止剤をゴム変性スチレン系樹脂粒子
に含有させる方法としては、(a) ゴム変性スチレン系樹
脂を押出機等で混練してペレット状に成形する工程、
(b) ペレット状に成形したゴム変性スチレン系樹脂を、
発泡性スチレン系樹脂粒子の形状に応じて押出機等で造
粒する工程、および(c) ゴム変性スチレン系樹脂の粒子
に水性媒体中で発泡剤を含浸させる工程のいずれか一つ
以上の工程で添加することができる。
【0026】酸化防止剤の含有割合を調整する方法とし
ては、上記(a) および(b) のように押出機で添加する場
合には、例えば、樹脂粒子に規定量の酸化防止剤をリボ
ンブレンダースーパーミキサー等であらかじめ混合して
おく方法、押出機のホッパーから樹脂粒子と酸化防止剤
とを別々に規定の量となるように投入する方法、ベント
口から規定量の酸化防止剤を投入する方法等があげられ
る。一方、上記(c) の場合には、例えば、分散剤を含む
水性媒体とゴム変性スチレン系樹脂粒子とを含浸用耐圧
容器に投入した後、規定量の酸化防止剤を添加する方法
や、必要に応じて使用されるエチルベンゼン、トルエ
ン、シクロヘキサン等の有機物中に酸化防止剤を規定量
溶解させて、含浸用耐圧容器に投入する方法等があげら
れる。
【0027】上記(a) および(b) の場合において、押出
機としては1軸または2軸の押出機をどちらも使用でき
る。押出温度は150〜270℃の温度範囲で適宜選択
されるが、できる限り低い温度であるのが好ましく、押
出機内での滞留時間が短いのが好ましい。前記酸化防止
剤は直接押出機に投入してもよく、あらかじめ樹脂とブ
レンドしてから押出機内に投入してもよい。あらかじめ
樹脂とブレンドする際、流動パラフィン等の展着剤を少
量併用してもよい。
【0028】上記(c) の場合は、酸化防止剤はゴム変性
スチレン系樹脂粒子に含浸される。この際、酸化防止剤
はオートクレーブに直接投入してもよく、トルエン、キ
シレン等の発泡助剤に溶解、分散させてから投入しても
よい。この場合の含浸条件は、後述する発泡剤の含浸条
件と同じてよい。上記(a) および(b) の工程でゴム変性
スチレン系樹脂粒子に酸化防止剤を添加した場合におい
て、さらにゴム変性スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有
させて発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法としては、
例えばゴム変性スチレン系樹脂粒子を耐圧密閉式容器内
で水性媒体中に懸濁させて、当該粒子に発泡剤を含浸さ
せる方法が用いられる。
【0029】この際、発泡剤の含浸温度としては100
℃〜150℃、好ましくは110℃〜130℃とするの
が適当である。含浸温度が100℃を下回ると、発泡性
樹脂粒子の形状が球状にならないおそれがある。その結
果、複雑な金型への充填性が悪くなり、良好な成形体が
得られにくくなる。逆に、含浸温度が150℃を超える
と懸濁系の安定性が悪くなり、発泡性樹脂粒子同士の結
合が増加するおそれがある。
【0030】発泡剤の含浸時間はゴム変性スチレン系樹
脂粒子の体積により決定されるものであって特に規定さ
れないが、通常使用される粒径が1mm程度の樹脂粒子
では4〜10時間に設定するのが適当である。なお、発
泡剤を含浸させる他の方法としては、ゴム変性スチレン
系樹脂を押出機内で溶融して、発泡剤を圧入する方法が
あげられる。
【0031】さらに、本発明における発泡性樹脂粒子に
は、一般に使用される各種添加剤を本発明の効果を阻害
しない範囲で、例えば気泡を微細化しない範囲で、添加
することができる。かかる添加剤としては、例えば、流
動パラフィン等の滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止
剤、ヒドロキシステアリン酸アマイド等の熟成促進剤、
その他ステアリン酸亜鉛等の種々の添加剤があげられ
る。
【0032】上記難燃剤の具体例としては、例えばヘキ
サクロロベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタクロ
ロトルエン、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモフェ
ノール、ペンタクロロフェノール、テトラブロモブタ
ン、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモジフェニ
ルエーテル、テトラブロモビスフェノールA等の有機ハ
ロゲン系難燃剤、リン酸アンモニウム、トリエチルホス
フェート、トリクレジルホスフェート、酸性リン酸エス
テル、トリフェニルホスフィンオキサイド等のリン酸系
難燃剤があげられる。
【0033】ここで得られた発泡性樹脂粒子は、通常の
発泡性スチレン系樹脂粒子と同様に、予備発泡工程、成
形工程を経て、あるいは加工機を使用して発泡成形する
ことにより発泡成形体を得ることができる。成形工程で
は、加熱蒸気圧は0.5〜0.7kgf/cm2 に設定
される。本発明における発泡成形体の密度は、0.01
4〜0.05g/cm3 、好ましくは0.017〜0.
03g/cm3 である。嵩密度が0.014g/cm3
を下回ると気泡膜が薄くなるため破泡による独立気泡率
が低下し、耐衝撃性も悪くなる。嵩密度が0.05g/
cm3 を超えると発泡成形体の重量が増加し輸送コスト
が高くなる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1〜3および比較例1 (発泡性スチレン系樹脂粒子の製造)ゴム変性スチレン
系樹脂粒子には、極限粘度数ηが0.6、膨潤度SIが
17、およびゲル分含有率Gelが23重量%であるポ
リスチレン系樹脂中に、シス結合含有率が90%である
高シスブタジエンゴム成分が分散したものであって、ジ
エン系ゴム成分の含有量が10重量%であるものを用い
た。揮発性発泡剤にはn−ペンタン(昭和シェル石油
(株)製)を用いた。酸化防止剤には前出のフェノール
系酸化防止剤「スミライザーGM」を用いた。
【0035】上記ゴム変性スチレン系樹脂粒子100重
量部に対して「スミライザーGM」を表1に示す割合で
配合し、押出機で混練して、直径約1.0mm、長さ約
1.5mmのペレット状に成形した。次に、内容積5.
5Lの撹拌機付オートクレーブに水2.8L、無水ピロ
リン酸ナトリウム(太平化学工業(株)製の懸濁安定
剤)20g、塩化マグネシウム(赤穂化成(株)製)4
0g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工
業製薬(株)製の界面活性剤)1.5g、ヒドロキシス
テアリン酸アマイド(熟成促進剤)1.12gを加えて
水性媒体とし、この水性媒体に上記ペレット1500g
を懸濁させ、撹拌速度300rpmで攪拌した。
【0036】その後125℃まで一定昇温し、n−ペン
タン120gを圧入した。圧入後125℃のままで6時
間保持し、30℃以下まで冷却したものを取り出して、
発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。この樹脂粒子の発泡
剤含有量は7.0重量%であった。こうして得られた発
泡性スチレン系樹脂粒子を12℃〜16℃の恒温室に保
管し、気泡の経日変化を観察したところ、取出し後3日
目で気泡が均一化し熟成が完了した。
【0037】(発泡成形体の製造)上記発泡性スチレン
系樹脂粒子をさらに2日間保管し、予備発泡を行った。
予備発泡は、内容積33L(有効容積25L)のバッチ
発泡機に発泡性樹脂粒子500gを投入し、吹き込み蒸
気圧0.05kgf/cm2 の条件下で嵩密度0.02
g/cm3 の予備発泡粒子を得た。この条件下での蒸気
温度は97〜99℃であった。
【0038】得られた予備発泡粒子を室温で24時間放
置した後、ACE−3SP成形機(積水工機(株)製)
を使用して当該予備発泡粒子を金型(金型寸法:300
×400×100mm)内に充填し、以下の成形条件で
発泡成形を行った。 成形蒸気圧力 0.6kgf/cm2 金型加熱時間 8秒 一方加熱時間 15秒 両面加熱時間 30秒 水冷時間 20秒 得られた発泡成形体の密度は0.02g/cm3 であっ
た。この発泡成形体は粒子間の融着が良好で、外観も良
好であった。
【0039】こうして得られた発泡成形体について、気
泡状態および成形性の評価を行い、さらに耐衝撃性を確
認するために落球値の測定を行った。測定および評価方
法は次のとおりである。 〔発泡成形体の気泡状態〕得られた発泡成形体を切断し
て一定距離間の気泡数を測定し、その平均直径を算出し
て、発泡成形体の気泡状態を以下の基準で評価した。 良好:気泡の平均直径が50〜250μmで、気泡の形
状が良好であった。 不良:気泡の平均直径が50μm未満と微細であって、
気泡の形状が不良であった。
【0040】〔成形性の判定基準〕得られた発泡成形体
の外観を肉眼で観察し、次の基準で成形性を評価した。 良好:成形体表面の融けや発泡成形体の収縮が認められ
ない状態であって、成形性が良好であった。 不良:融けまたは収縮が認められる状態であって、成形
性が不良であった。
【0041】〔耐衝撃性〕上記実施例および比較例で得
られた発泡成形体を50℃で12時間乾燥させた後、2
0×40×215mmの試験片を切り出し、150mm
の間隔を置いた2つの支点間に固定して、その上方から
198gの鋼球を落下させる試験を行った。試験は、鋼
球を落下させる高さを5cm間隔で変えて行い、5つの
試験片がすべて破壊されたときの最低の高さHL (c
m)と、1つも破壊されなかったときの最高の高さH0
(cm)とから、式(1) より落球値を測定した。
【0042】 (式中、H50は50%破壊高さを示し、△HはHL とH
0 との差(HL −H0 )を示し、SはH0 からHL まで
の各測定位置で破壊された試験片の割合(%)の合計を
示す。) 上記落球値が大きいほど発泡成形体の耐衝撃性が大きい
ことを示す。耐衝撃性の評価基準は次のとおりである。 ○:落球値が25cm以上、耐衝撃性が良好である。 △:落球値が20cm以上、25cm未満、耐衝撃性が
実用上不十分である。 ×:落球値が20cm未満、耐衝撃性が極めて低い。
【0043】実施例4および5 酸化防止剤として、前出のフェノール系酸化防止剤「ス
ミライザーGS」を使用し、これを表1に示す割合で配
合したほかは、実施例1と同様にして発泡成形体を得
た。 実施例6 実施例1〜3および比較例1で使用したのと同じゴム変
性スチレン系樹脂を用い、これを押出機で混練し、酸化
防止剤を含有させていない状態でペレット状に成形し
た。
【0044】次いで、実施例1〜3および比較例1と同
様にして水性媒体を調製し、この水性媒体に酸化防止剤
としての「スミライザーGS」を配合した。こうして得
られた水性媒体と、上記ペレット状のゴム変性スチレン
系樹脂とを用いたほかは、実施例1〜3および比較例1
と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子の作製を行っ
た。この際、ペレット内に発泡剤が含浸されるととも
に、上記酸化防止剤も含浸された。
【0045】ゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対
する酸化防止剤の含有量(含浸量)は表1に示すとおり
である。 比較例2〜5 酸化防止剤として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール(BHT、比較例2)、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト(同社製のリン系酸化防止剤「スミラ
イザーTNP」、比較例3)、n−オクタデシル−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート(住友化学(株)製の酸化防止剤
「BP−76」、比較例4)またはジラウリル−3,
3’−チオジプロピオネート(同社製の硫黄系酸化防止
剤「スミライザーTPL」、比較例5)を使用したほか
は、実施例1〜3および比較例1と同様にして、発泡成
形体を得た。
【0046】発泡成形体の気泡状態、成形性および耐衝
撃性の結果を、極限粘度数η、膨潤度SIおよびゲル分
含有率Gelの値とともに表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1より明らかなように、発泡性スチレン
系樹脂粒子についての、トルエン可溶分の極限粘度数
η、25℃トルエン中におけるトルエン不溶分の膨潤度
SIおよびゲル分含有率Gel(重量%)が前記式(i)
および(ii)を同時に満たす実施例1〜6においては、発
泡状態や成形性が良好で、かつ耐衝撃性に優れた発泡成
形体が得られることがわかった。
【0049】実施例7および比較例6 予備発泡粒子の嵩倍率を0.05g/cm3 (実施例
7)および0.013g/cm3 (比較例6)とした以
外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡成形
体の気泡状態、成形性および耐衝撃性の結果を、極限粘
度数η、膨潤度SIおよびゲル分含有率Gelの値とと
もに表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2より明らかなように、発泡成形体の耐
衝撃性の観点から、発泡成形体の密度は0.014〜
0.05g/cm3 であるのが好ましいことがわかっ
た。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
耐衝撃性に優れ、かつ成形性、外観等にも優れた発泡成
形体を製造可能な発泡性スチレン系樹脂粒子を得ること
ができる。従って、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子
および発泡成形体は、優れた耐衝撃性を必要とする緩衝
材、包装部材等に好適に使用される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム変性スチレン系樹脂粒子に揮発性発泡
    剤を含浸させた発泡性スチレン系樹脂粒子であって、 前記ゴム変性スチレン系樹脂粒子が、ポリスチレン系樹
    脂を内包するジエン系ゴム粒子をポリスチレン系樹脂か
    らなる連続相に分散したものであり、かつ前記発泡性ス
    チレン系樹脂粒子の(1) トルエン可溶分の極限粘度数
    η、(2) 25℃トルエン中におけるトルエン不溶分の膨
    潤度SI、および(3) ゲル分含有率Gel(重量%)
    が、式(i) および(ii): 8.0≦(SI×η)≦12.0 (i) 0.5≦(SI/Gel)≦1.0 (ii) を同時に満たすことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂
    粒子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の発泡性スチレン系樹脂粒子
    を発泡成形した、密度が0.014〜0.05g/cm
    3 であることを特徴とする発泡成形体。
JP7973198A 1998-03-26 1998-03-26 発泡性スチレン系樹脂粒子およびそれを用いた発泡成形体 Pending JPH11279320A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011153261A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Sekisui Plastics Co Ltd 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とその製造方法

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JP2011153261A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Sekisui Plastics Co Ltd 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とその製造方法

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