JP3732418B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体、断熱材および発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、低密度でありながら、断熱性、外観等に優れたスチレン系樹脂発泡成形体が得られる発泡性スチレン系樹脂粒子、それから得られる予備発泡粒子、発泡成形体、断熱材および食品用保温材ならびに発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関するものである。本発明のスチレン系樹脂発泡成形体は、断熱性が求められる建材用断熱材および食品用保温材等の素材として特に好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来のビーズ法によるスチレン系樹脂発泡成形体は、揮発性発泡剤を1〜15重量%含有させた発泡性スチレン系樹脂粒子を、水蒸気等の加熱媒体により軟化点以上に加熱し、独立気泡を有する粒子状の予備発泡粒子を得た後に、この予備発泡粒子を小さな孔やスリットを有する閉鎖型金型の中に充填し、水蒸気等で内部をさらに加熱し、予備発泡粒子が膨張して粒子間の隙間を埋めながら互いに融着させる、所謂型内成形によって製造されている。
【0003】
このビーズ法によるスチレン系樹脂発泡成形体は、軽量性(低密度)、形状の自由性およびその独立気泡による断熱性、耐水性などの諸特性を有することから、住宅用などの断熱用建材および魚箱等の食品用保温材に多く用いられている。近年、このような断熱材は、より断熱性に優れ、低密度(0.02g/cm3以下)であること等が強く求められるようになってきた。
【0004】
しかしながら、これらの特性、すなわち断熱性と低密度は互いに相反する関係にあり、一般に発泡体密度が低くなると熱伝導率が高くなる、すなわち断熱性が低下することが知られている。例えば、特許庁発行の「発泡の周知、慣用技術集:57(1982)−133[3347]」第89頁には、発泡倍数が33倍であるポリスチレン粒子を用いたフォームは熱伝導率が約0.03kcal/mh℃であるが、50倍のものでは熱伝導率が約0.034〜0.035kcal/mh℃まで上昇することが示されている。
【0005】
また、特開昭56−50935号公報では、ポリスチレン等の合成樹脂発泡体は、発泡倍数が20〜30倍(密度0.033〜0.050g/cm3)であるときに熱伝導率が低くなり、発泡体密度が低くなるに伴って熱伝導率が高くなることが示されている。また、同公報には低密度樹脂発泡体の熱伝導率を低くする目的で、特定の赤外波長の電磁波を吸収する化学構造を有し、さらに300°Kでの黒体放射に対して特定の吸収率を有する添加物を発泡体に含有させることが示されている。しかしながら、この方法では添加物を用いるため、コストアップになるばかりでなく、発泡成形性に悪影響を与えるものと考えられる。
【0006】
発泡成形体を低密度にするためには、低密度の予備発泡粒子を得ることが必要であるが、その目的で予備発泡粒子をもう一度加熱発泡(多段発泡)させる、あるいは高温用予備発泡機を利用する方法等が従来から知られている。しかしながら、通常のスチレン系樹脂粒子をこれらの方法で予備発泡粒子としても発泡余力が小さく、型内で再加熱して成形した場合、成形直後の段階で収縮、変形を起こすという問題がある。したがって、この収縮、変形を回復させる目的で、いわゆる養生と呼ばれる操作、すなわち約50℃で半日程度、乾燥室に保管する操作が行なわれている。しかしながら、収縮があまりに大きくなったものは形状回復に長時間を要するばかりか、中には回復しないものも発生する。
【0007】
そこで、スチレン系発泡性樹脂粒子の発泡性を改良する手段として、特公昭58−48578号公報には、基材樹脂として汎用のポリスチレンに代えて、スチレンにアクリル系樹脂を溶解し、重合して得られた樹脂を用いることが記載されている。しかしながら、この方法による場合、特殊なアクリル系樹脂を用いなければならず、コストアップの原因となる。
また、特公昭58−58374号公報には、基材樹脂として汎用のポリスチレンに代えて、スチレンにアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルを共重合させた樹脂を用いることが記載されている。しかしながら、この方法では樹脂のガラス転移温度が低下するので耐熱性の低下を招き、成形時に成形品が融けてその外観が著しく悪くなったり、成形品の機械的強度が劣ったりする問題があった。
【0008】
また、特開平6−100723号公報には、重量平均分子量(Mw)が15〜25万のポリスチレンに発泡剤としてイソブタンを含有させ、かつステアリン酸トリグリセリド等のグリセリン脂肪酸エステルを含有させることが記載されており、特開平10−1561号公報には、分子量が30万〜40万のポリスチレンにステアリン酸トリグリセリド等の高級脂肪酸多価エステルに、ブタンおよびペンタンを含有させることが記載されている。しかしながら、前者は樹脂を低分子量化することで高発泡を可能としているが、成形品の強度低下を避けることはできず、また、後者は比較的高分子量化(30万以上)にすることよって強度低下を抑制しているが、これによる発泡性の低下や成形品の融着性の低下を補うため、ブタンに対するペンタンの使用割合が高く、その結果として成形品の圧縮強度が低下する問題がある。
【0009】
また、発泡性樹脂粒子の発泡性を改良するために、樹脂粒子に、発泡剤以外の溶剤、可塑剤等を含有させる方法も行われている。しかしながら、溶剤、可塑剤等の含有量を多くすると、発泡性は向上するが、樹脂の耐熱性が低下し、成形時の加熱等によって融けが発生し、成形品の外観が悪くなったり、気泡が破れやすくなったりして断熱性が低下するという問題があった。
【0010】
さらに、最近の断熱材に求められる品質としては、シックハウス症候群、化学物質過敏症の原因と考えられている室内空気汚染物質、すなわち、従来の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造に、溶剤、可塑剤として使用されてきたシクロヘキサン、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、DOPなどの添加量が少ないもの、できれば添加されていないものが好まれる傾向にある。しかしながら、これらの物質は発泡性樹脂粒子の低密度化に必要であり、上記の要求と低密度化を同時に満足することは困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発泡成形体の低密度化に伴う断熱性低下の問題を解決するものである。
熱可塑性樹脂発泡成形体の断熱性については、以前から検討され、熱伝導率に与える発泡体の因子として、樹脂量(発泡体密度)、気泡内のガス種、気泡径等が挙げられている。
【0012】
本発明のような低密度領域においては樹脂相における熱伝導の影響は非常に小さい。また、気泡内のガス種としてはフロン系ガスが有効であることが知られているが、スチレン系樹脂のようなガスバリヤー性に乏しい樹脂では、経時によってガスが発泡体から逸散し、空気と置換されて発泡体の断熱性が低くなることが知られている。また、フロン系ガスは、オゾン層を破壊するという点で好ましくない。
発泡体の気泡径は、断熱性と関係が深く、輻射熱を遮断するために気泡径を小さくすること、すなわち気泡膜による輻射熱の遮断回数を増やすことが有効であることが知られている。
【0013】
しかしながら、本発明者が詳細に検討したところ、低密度領域においては気泡径を小さくしても熱伝導率は改善されず、予想に反して熱伝導率は高くなることが分かった。
そこで、本発明者は気泡を形成する気泡膜厚に着目し、研究を進めた結果、予備発泡粒子の嵩密度および発泡成形体の密度が0.02〜0.009g/cm3において、平均気泡膜厚が0.8〜2.5μmであると、最も優れた断熱性が示されることを見出した。
【0014】
また、従来から気泡膜の状態と断熱性の関係について、連続気泡率という指標が用いられ、この連続気泡率が高い、すなわち気泡膜の破れが多い発泡体は輻射熱の遮断回数の減少から断熱性が低く、強度にも劣ることが知られていた。しかしながら、本発明者の研究の結果、連続気泡率は低くても、断熱性が劣る場合があり、これについて考察したところ、連続気泡率が低くても気泡膜に皺の発生が多い発泡体は断熱性能が低下していることが判明した。
【0015】
すなわち、発泡体の気泡膜の状態を観察することによって、低密度の発泡成形体では気泡膜の状態が断熱性能に大きく影響すること、また断熱性に優れた発泡成形体を得るには気泡膜の表面が平滑で張りあるものでなければならないことが分かった。
気泡膜に皺が発生する原因としては、充分な発泡性を有しない発泡性スチレン系樹脂粒子を高温発泡等で低密度化させること、あるいは物理的衝撃によること等が考えられる。したがって、優れた断熱性を有する発泡成形体を得るには、低密度化に適したスチレン系樹脂を用いる必要がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はスチレン系樹脂を低密度化に適したものとするために、基材となるスチレン系樹脂の特性についても研究を行った。その結果、重量平均分子量Mwが30万〜60万であって、かつメルトフローレート測定時、オリフィスの内径をBmm、樹脂ストランドの外径をAmmとしたときの膨張割合SR(A/B)が1.5〜3.0の範囲内に調整されたスチレン系樹脂は、少ない発泡剤、溶剤、可塑剤量で充分な発泡性が得られ、断熱材用発泡成形体を得るのに最適であることを見出した。
【0017】
かくして、本発明によれば、重量平均分子量Mwが30万〜60万であり、かつメルトフロー測定時、オリフィスの内径をBmm、樹脂ストランドの外径をAmmとしたときの膨張割合SR(A/B)が1.5〜3.0であるスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させてなり、嵩密度0.02〜0.009g/cm3に発泡させたときの平均気泡膜厚が0.8〜2.5μmであることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、上記の発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させてなり、嵩密度が0.02〜0.009g/cm3 、平均気泡膜厚が0.8〜2.5μmである予備発泡粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記の予備発泡粒子を加熱し、発泡成形してなるスチレン系樹脂発泡成形体が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、上記のスチレン系樹脂発泡成形体からなる建築用断熱材および食品用保温材が提供される。
【0020】
また、本発明によれば、水性媒体中にスチレン系樹脂粒子が分散した懸濁液にスチレン系単量体を添加してシード重合する際において、重合過程において推移する重合転化率の最低値が85〜94重量%となるように制御しながらシード重合してスチレン系樹脂粒子を製造し、該スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
【0021】
【本発明の実施の形態】
本発明で用いられるスチレン系樹脂粒子は、スチレン系単量体を水中に懸濁させて重合させる、いわゆる懸濁重合法、または水性媒体中にスチレン系樹脂粒子(種粒子)を分散させ、これにスチレン系単量体を連続的または断続的に供給して懸濁重合させる、いわゆるシード重合法により製造できる。発泡成形体に所望の平均気泡膜厚をもたせるためには、シード重合法により製造するのが好ましい。
【0022】
上記のようにして得られたスチレン系樹脂粒子は、押出機にてペレット化することで所望の粒度に調整することができる。
シード重合法で使用する種粒子としては、ポリスチレンを主成分とし、具体的にはスチレン単独重合体を50重量%以上、好ましくは80重量%以上含み、スチレンと他の共重合可能な少量のコモノマーとの共重合体を含むものが挙げられる。
【0023】
種粒子の使用割合は、重合終了時の重合体全量に対して、通常、10〜60重量%程度、好ましくは15〜50重量%である。種粒子の使用量が10重量%を下回ると、スチレン系単量体を供給する際に、重合体粒子の重合転化率を適正範囲に制御することが難しく、得られた重合体粒子が高分子化したり、微粉末状重合体を発生させて製造効率を低下させたりする等、工業的に好ましくない。また、種粒子の使用量が60重量%を上回ると、発泡性、断熱性に優れた発泡成形体が得られ難くなり好ましくない。
【0024】
スチレンと他の共重合可能な少量のコモノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等や、多官能性モノマーが挙げられる。なかでも、発泡成形体の気泡に破れや皺の生成を抑制し、より低い熱伝導率を得るためには、多官能性モノマーの使用が好ましい。
多官能性モノマーとしては、特に限定されず、一般に使用されるジビニルベンゼンや、アルキレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。特に、ジビニルベンゼンは低コストであるため好ましい。なお、ジビニルベンゼンは、o−、m−またはp−ジビニルベンゼンのいずれでもよく、またそれらの混合物でもよい。
【0025】
多官能性モノマーの使用量は、スチレン系単量体に対して、通常、0.01〜0.025mol%程度であり、0.015〜0.025mol%が好ましい。シード重合では、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、スチレンの懸濁重合で通常用いられているラジカル発生型重合開始剤、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。
【0026】
これらの重合開始剤は、単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。樹脂粒子の分子量を調整し、残留単量体の量を減少させるためには、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃の範囲にある重合開始剤、例えばt−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタンなどを2種以上組み合わせて用いるのが好ましい。
【0027】
シード重合を行う際に、スチレン系単量体の小滴および種粒子を水性媒体中に分散させるために、懸濁剤を用いてもよい。
懸濁剤としては、従来から懸濁重合で一般に用いられるポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機化合物等が挙げられる。なお、難水溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましい。
【0028】
アニオン界面活性剤としては、例えば脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などの硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0029】
シード重合を行うにあたって、重合温度プログラム、重合開始剤の配分、スチレン系単量体の供給速度、重合時の重合転化率等を適宜調整することにより、スチレン系樹脂粒子の重合過程において推移するスチレン系樹脂粒子の重合転化率の最低値(最低重合転化率)を85〜94%、より好ましくは88〜93%に制御することができる。
なお、本発明における重合転化率は、以下の式で示される。
重合転化率(重量%)=(A−B)×100/A
ただし、Aは、分散媒から分離し水分を除いた未反応の単量体を含んだスチレン系樹脂粒子の重量(g)であり、Bは、上記未反応単量体を含む樹脂粒子中の未反応単量体の重量(g)である。AおよびBは、例えば、ガスクロマトグラフ等で定量される。
【0030】
最低重合転化率が85%を下回ると、スチレン系樹脂粒子に分散剤等が混入し、気泡膜厚を調整する上で好ましくないばかりか、微細粉末が多くなり生産性が低下するので好ましくない。また、最低重合転化率が94%を上回ると、得られる発泡成形体の気泡が粗大なものとなり、断熱性および機械的強度などの物性が低下するので好ましくない。
【0031】
シード重合法では、後に得られる発泡成形体の平均気泡膜厚を所望の範囲に調整するために、重合終了5〜10分前、または重合終了直後に、気泡調整剤を添加するのが好ましい。
気泡調整剤としては、例えばエチレンビスステアリン酸アマイド等のステアリン酸塩や、トリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
気泡調整剤の添加割合は、スチレン系樹脂粒子に対して、通常0.01〜0.8重量%程度である。
【0032】
シード重合法で得られたスチレン系樹脂粒子は、所望の粒子径に適宜調整することができる。スチレン系樹脂粒子の粒子径は、特に限定されないが、成形時の金型への充填性等の点で、通常、0.3〜2.0mm程度であり、好ましくは0.3〜1.4mm程度である。
スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量は、GPC法によるスチレン換算重量平均分子量(Mw)で、30万〜60万である。重量平均分子量が30万を下回ると成形体の強度が低下し、60万を上回ると充分な発泡性を得ることができず、低密度化が難しい。
【0033】
スチレン系樹脂粒子は、メルトフローレート測定時、オリフィスの内径をBmm、樹脂ストランドの外径をAmmとしたときの膨張割合SR(A/B)が1.5〜3.0である。膨張割合SRが1.5を下回ると、発泡性が不十分であり、低密度化によって発泡成形体に収縮が起こり易く、外観が劣ったものとなる。この場合、発泡成形体を養成しても、収縮の回復性は低い。また、膨張割合が3.0を上回ると、逆に発泡性が低くなり、低密度の発泡成形体が得られない。
【0034】
なお、膨張割合(SR)は次の条件で測定した。
測定装置:東洋精機製作所製 商品名 メルトインデクサー
測定温度:200℃
荷重重量:5kgf
オリフィス径:2.09mm(B)
押出後のストランド径 :A mm(ストランド先端から5mmの間で任意の5箇所で測定)
膨張割合(SR )= A/B
測定方法:スチレン系樹脂粒子1〜3gをあらかじめ200℃に加熱したメルトインデクサー内に入れ、3分間放置する。次に5kgfの荷重を加え、オリフィス(径2.09mm)からスチレン系樹脂を押し出す。次に、押し出されたストランドを取り、先端から5mmの間でストランド径を1mm間隔で5個所測定し、その平均値をAとする。AをBで除することにより、膨張割合(SR)が算出される。
【0035】
上記のようにして得られるスチレン系樹脂粒子に、通常行われる懸濁重合含浸法または後含浸法によって発泡剤を含浸させることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を製造できる。
【0036】
本発明で用いられる発泡剤としては、一般の熱可塑性樹脂発泡体の製造に用いられている脂肪族炭化水素、すなわちプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン等や、HCFC−141b、HCFC−142b、HCFC−124、HFC−134a、HFC−152a等のフロン系発泡剤が挙げられる。なかでも、ブタン、イソブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素が好ましい。これらの発泡剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
発泡剤の含有割合は、スチレン系樹脂粒子に対して、通常、2〜9重量%程度、好ましくは3〜7重量%である。発泡剤の含有割合が2重量%を下回ると、発泡成形体の低密度化が難しく、成形時の二次発泡力を高める効果が得られ難いために、発泡成形体の外観が劣るので好ましくない。また、発泡剤の含有割合が9重量%を上回ると、予備発泡粒子の残存ガス調整時間や、成形サイクルが長くなり易く、その上発泡成形後の収縮が起こり易くなり好ましくない。
【0038】
スチレン系樹脂粒子には、発泡剤の他に、一般の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造に用いられている溶剤または可塑剤を必要に応じて適宜添加することができる。そのような溶剤としては、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素や、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
【0039】
また、可塑剤としては、例えばフタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート等のグリセリン脂肪酸エステルや、ジアセチル化モノステアリン酸グリセリド、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル等が挙げられる。
これらの溶剤および可塑剤の使用割合は、シックハウス症候群等の問題からできるだけ少ない方が好ましいが、それぞれ、スチレン系樹脂粒子に対して、通常、0.1〜1.5重量%程度、好ましくは0.2〜1.0重量%である。溶剤または可塑剤の使用割合が0.1重量%を下回ると充分な可塑効果が得られず、可塑剤を使用するメリットが少ないので好ましくない。また、溶剤または可塑剤の使用割合が1.5重量%を上回ると発泡成形時に収縮および溶けが発生しやすく、気泡膜の破れ、成形体の外観不良、製造コストのアップ等、好ましくない状況が発生しやすい。
【0040】
溶剤および可塑剤は、通常、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させるときに添加されるが、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に均一に含有させるために、スチレン系樹脂粒子の重合段階で添加してもよく、スチレン系樹脂粒子を押出機等で造粒する際の溶融段階で添加してもよい。
発泡剤、溶剤および可塑剤をスチレン系樹脂粒子に含有させるときの温度は、スチレン系樹脂粒子の粒子径により適宜選択されるが、通常、60〜120℃程度、好ましくは70〜100℃である。60℃を下回ると処理時間が長くなり好ましくない。また、120℃を上回ると、樹脂粒子同士の結合粒が多くなり好ましくない。
【0041】
スチレン系樹脂粒子には、従来から発泡性スチレン系樹脂粒子の製造に使用されているその他の添加剤を加えてもよい。
そのような添加剤としては、例えば、発泡セル造核剤、充填剤、滑剤、着色剤等が挙げられる。なお、これらの添加剤の使用量は、発泡成形体の気泡膜厚を薄くさせず、かつ気泡膜が破れやすくならない程度に調整される。
また、得られる発泡成形体を建材用断熱材として使用する場合は、成形体表面に難燃剤および難燃助剤を付着させる方法もあるが、発泡成形体に均一に難燃性を付与するためには、スチレン系単量体の重合時または発泡剤の含浸時に難燃剤および難燃助剤を添加するのが好ましい。
【0042】
難燃剤としては、一般に難燃性スチレン系樹脂発泡体の製造に用いられているものを使用することができ、具体的にはテトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA等の有機水素または塩素系難燃剤が挙げられる。
難燃剤の使用割合は、スチレン系樹脂粒子に対して0.5〜1.5重量%が好ましい。難燃剤の使用割合が0.5重量%を下回ると充分な難燃効果が期待できず、また1.5重量%を上回ると成形性を低下させ易いので好ましくない。
【0043】
また、難燃助剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
難燃助剤の添加割合は、スチレン系樹脂粒子に対して0.05〜0.5重量%が好ましい。難燃助剤の添加割合が0.05重量%を下回ると充分な難燃効果が期待できず、また0.5重量%を上回ると成形性を低下させる要因となるので好ましくない。
【0044】
発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡性の評価は、次の条件で行った。
発泡性スチレン系樹脂粒子を、発泡槽中でゲージ圧0.7kgf/cm2の蒸気にて加熱発泡させた。このとき、加熱時間を1、3、4、5分と変化させ、発泡粒子に収縮が発生する直前の発泡粒子の嵩密度を測定し、最低発泡嵩密度とした。なお、最低発泡嵩密度は、発泡粒子10gをメスシリンダーに入れて体積を測定し、重量10gを体積で除して嵩密度(g/cm3)とすることにより算出される。得られる最低発泡嵩密度から、発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡性を、表1に示す基準で評価した。
【0045】
上記発泡性スチレン系樹脂粒子を、加熱して予備発泡することにより、予備発泡粒子が製造できる。
予備発泡には、例えば、水蒸気等で発泡する汎用のポリスチレン用予備発泡機を用いることができる。
予備発泡粒子は、通常、嵩密度が0.02〜0.009g/cm3程度であり、好ましくは0.016〜0.009g/cm3である。嵩密度が0.02g/cm3を上回ると、発泡成形体の重量が重くなり、コストアップとなって好ましくない。また、嵩密度が0.009g/cm3を下回ると、コストメリットはあるが、発泡成形体に収縮等が発生しやすく、断熱性が低下するので好ましくない。
【0046】
予備発泡粒子は、通常、平均気泡膜厚が0.8〜2.5μm程度であり、好ましくは1.0〜2.5μmである。本発明で得られる予備発泡粒子の気泡膜は皺がなく、滑らかな表面を有する。
予備発泡粒子の平均気泡膜厚は、予備発泡粒子の断面を走査型電子顕微鏡[S−3000N:(株)日立製作所製]で観察し、10個所以上の気泡膜厚を測定し、その平均値を算出することにより求めた。
また、予備発泡粒子の気泡膜状態は、上記の走査型電子顕微鏡を用いて目視観察し、表1に示す基準で評価した。
【0047】
上記のようにして得られる予備発泡粒子を、加熱して発泡成形することにより、スチレン系樹脂発泡成形体を製造することができる。具体的には、予備発泡粒子を成形型内に充填し、水蒸気等で再加熱して、予備発泡粒子どうしを融着させて、所望の形の発泡成形体を製造する。
発泡成形には、従来から使用されている発泡スチレン系樹脂用成形機が用いられる。
【0048】
予備発泡粒子を発泡成形する前は、予備発泡粒子を常圧にて保管する熟成を行ってもよい。熟成に好適な温度は、通常、20〜60℃程度である。熟成温度が20℃を下回ると熟成時間が長くなり、60℃を上回ると予備発泡粒子中の発泡剤が逸散し、成形性が低下するので好ましくない。また、熟成時間は、特に限定されず、予備発泡粒子の大きさ等により適宜選択されるが、例えば、熟成温度20℃では24時間程度である。
【0049】
上記のようにして得られる発泡成形体の外観および断熱性は表1に示す基準で評価した。
なお、外観は発泡成形体を直接目視して評価し、断熱性は発泡成形体の熱伝導率を測定して評価した。熱伝導率は次の条件で求めた。
準拠基準:JIS Aー1412
装置:AUTO−Λ HCー072[英弘精機(株)製]
試験片:(w)200×(L)200×(t)30(mm)
測定方法:平板熱流計法(測定温度20℃)
【0050】
本発明の発泡成形体は、形状を自由に選択でき、かつ優れた断熱性を有するから、建築用断熱材、食品用保温剤、魚箱、保冷コンテナー、贈答用保温容器等に好適に使用される。
【0051】
【表1】
Figure 0003732418
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0053】
製造例
(懸濁重合によるスチレン樹脂粒子の製造)
内容量100Lの攪拌機付き重合容器に、水40.0L、第三リン酸カルシウム(懸濁剤)100gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)2.0gを入れ、続いて攪拌しながらスチレン40.0kg、ベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)96.0g、t−ブチルパーオキシベンゾエート(重合開始剤)28.0gを添加し、90℃に昇温して重合温度とした。そしてこの温度で6時間保持し、さらに125℃に昇温してから2時間後冷却し、スチレン樹脂粒子(A)を得た。このスチレン樹脂粒子(A)は、重量平均分子量Mwが17万、膨張割合SRが1.2であった。
【0054】
実施例1
スチレン樹脂粒子(A)を篩分けして粒子径0.6〜0.9mmのスチレン樹脂粒子(B)を得た。内容量5Lの攪拌機付き重合容器に、水2.0L、スチレン樹脂粒子(B)500g、ピロリン酸マグネシウム(懸濁剤)6.0gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)0.3gを入れ、攪拌しながら70℃に昇温した。次にベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)4.5g、t−ブチルパーオキシベンゾエート(重合開始剤)1.1gをスチレン200gに溶解し、重合容器に入れた。30分後90℃に昇温し、あらかじめジビニルベンゼン(多官能性モノマー)0.35g(0.014mol%)を溶解したスチレン1300gを2時間かけてポンプで一定量づつ重合容器に供給した。この際、10分ごとに重合中のスチレン系樹脂粒子の重合転化率を測定したところ、最低重合転化率は87%であった。スチレンの供給が終了した後、125℃に昇温してから2時間保持した後、冷却してスチレン系樹脂粒子(C)を得た。このスチレン系樹脂粒子(C)は、Mwが40万、SRが2.3であった。
【0055】
内容量5Lの攪拌機付き重合容器に、水2.2L、スチレン系樹脂粒子(C)1800g、ピロリン酸マグネシウム(懸濁剤)6.0gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)0.4gを入れ、攪拌しながら70℃に昇温した。次いで、テトラブロモシクロオクタン(難燃剤)23.4g、ジクミルパーオキサイド(難燃助剤)5.4g、ジイソブチルアジペート(可塑剤)14.4gを重合容器内に入れ密閉し90℃に昇温した。昇温後、ブタン(発泡剤)162gを圧入し6時間保持した。その後30℃以下まで冷却し、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。取出した発泡性スチレン系樹脂粒子を乾燥した後、あらかじめポリエチレングリコール(帯電防止剤)、ステアリン脂亜鉛(結合防止剤)、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド(結合防止剤)を、発泡性スチレン系樹脂粒子に対して各0.05重量%塗布して13℃の恒温室で5日間管理した後、発泡剤含有量をガスクロマトグラフィーにて測定したところ、5.1%であった。次いで、発泡性スチレン系樹脂粒子を、ポリスチレン用予備発泡機で嵩密度0.0125g/cm3に予備発泡した。予備発泡後、20℃で24時間熟成した。得られた予備発泡粒子を電子顕微鏡にて観察し、気泡膜厚および気泡膜の状態を確認したところ、平均気泡膜厚は1.54μmであり、気泡膜の皺は非常に少ないものであった。なお、この予備発泡粒子の電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0056】
次に、予備発泡粒子を、発泡スチレン系樹脂用成形機(積水工機社製 ACE−11QS)で成形し、成形品寸法400×300×30(mm)の板状の発泡成形体を製造した。
この発泡成形体を50℃の乾燥室で6時間養成した後発泡体密度を測定したところ、0.0125g/cm3であった。この発泡成形体は、収縮もなく、外観も非常に優れたものであった。
また、発泡成形体は、熱伝導率が0.034(w/mk)と低く、断熱性に非常に優れるものであることが分かった。
【0057】
実施例2
シード重合によりスチレン系樹脂粒子(C)を製造する際に添加するジビニルベンゼン量を0.28g(0.011mol%)とした以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。なお、シード重合によって得られたスチレン系樹脂粒子は、Mwが35万、SRが1.6であった。得られた発泡成形体は、密度が0.0127g/cm3であり、発泡性、外観ともに非常に良好であった。
また、平均気泡膜厚は1.41μmであり、熱伝導率は0.033W/mkであった。
【0058】
実施例3
シード重合によりスチレン系樹脂粒子(C)を製造する際に添加するジビニルベンゼン量を0.6g(0.024mol%)とした以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。なお、シード重合によって得られたスチレン系樹脂粒子は、Mwが52万、SRが2.4であった。得られた発泡成形体は、密度が0.0128g/cm3であり、発泡性、外観等も良好であった。
また、平均気泡膜厚は1.55μmであり、熱伝導率は0.031W/mkであった。
【0059】
比較例1
シード重合によりスチレン系樹脂粒子(C)を製造する際に添加するジビニルベンゼン量を0.147g(0.0059mol%)として、得られるスチレン系樹脂粒子のMwを28万、SRを1.3とした以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、密度が0.016g/cm3であったが、気泡膜に皺が数多く見られた。
また、平均気泡膜厚は1.21μmであり、熱伝導率は0.045W/mkであった。ここで得られた予備発泡粒子の電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0060】
比較例2
シード重合によりスチレン系樹脂粒子(C)を製造する際に添加するジビニルベンゼン量を0.75g(0.03mol%)として、得られるスチレン系樹脂粒子のMwを63万、SRを3.7とした以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、密度が0.033g/cm3と発泡性に劣り、0.02g/cm3を上回る所望の密度の発泡成形体を得ることができなかった。
【0061】
比較例3
シード重合によりスチレン系樹脂粒子(C)を製造する際に気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドを0.2重量%添加して、嵩密度0.0125g/cm3に予備発泡したときの気泡膜厚を0.65μmとした以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた予備発泡粒子は、電子顕微鏡により皺の少ないものであることが観察された。しかしながら、この予備発泡粒子を加熱成形して得られた発泡成形体は、熱伝導率が高く、断熱性の劣るものであった。
【0062】
比較例4
シード重合によりスチレン系樹脂粒子(C)を製造する際に重合温度およびスチレン系単量体の供給速度を変えて最低重合転化率を95%とした以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。嵩密度0.0125g/cm3に予備発泡した予備発泡粒子は、電子顕微鏡により気泡膜厚が3.05μmであり、気泡膜の状態は皺の少ないものであることが観察された。しかしながら、この予備発泡粒子を加熱成形して得られた発泡成形体は、熱伝導率が高く、断熱性の劣るものであった。
以上、各実施例および比較例におけるスチレン系樹脂粒子のMwとSR、および予備発泡粒子の発泡性と平均気泡膜厚、気泡膜状態、ならびに発泡成形体の外観と熱伝導率の結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
Figure 0003732418
【0064】
表2より、比較例1および比較例2では、MwおよびSRの値が本発明の範囲外にあるスチレン系樹脂粒子を用いたので、比較例1の予備発泡粒子では気泡膜に皺が多く見られて状態が劣り、比較例2の予備発泡粒子では発泡性に劣ることが分かる。
また、比較例3では予備発泡粒子の平均気泡膜厚が0.65μmと本発明の範囲を下回り、比較例4では最低重合転化率が95重量%と本発明の範囲を超え、予備発泡粒子の平均気泡膜厚が3.05μmと本発明の範囲を超えるので、両比較例ともに熱伝導率が大きくなり断熱性が低下することが分かる。
【0065】
一方、Mwが30万〜60万、SRが1.5〜3.0の範囲にあるスチレン系樹脂粒子を用いた、発泡性がよく、平均気泡膜厚が0.8〜2.5μmで、かつ気泡膜に皺の発生がより少ない実施例1〜3の予備発泡粒子を加熱成形して得られた発泡成形体は熱伝導率の小さい断熱性に優れたものである。
【0066】
【発明の効果】
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子によれば、気泡膜の破れ、皺の発生が非常に少なく、低密度化しても断熱性に優れ、外観に優れるスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
この発泡成形体は、形状が自由に選択できることから、魚箱、保冷コンテナー、贈答用保温容器等に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気泡膜状態が良好なスチレン系樹脂予備発泡粒子(実施例1)の拡大断面写真である。
【図2】気泡膜状態が不良なスチレン系樹脂予備発泡粒子(比較例1)の拡大断面写真である。

Claims (8)

  1. 重量平均分子量Mwが30万〜60万であり、かつメルトフロー測定時、オリフィスの内径をBmm、樹脂ストランドの外径をAmmとしたときの膨張割合SR(A/B)が1.5〜3.0であるスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させてなり、嵩密度0.02〜0.009g/cm3に発泡させたときの平均気泡膜厚が0.8〜2.5μmであることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
  2. スチレン系樹脂粒子が、多官能性モノマーを0.01〜0.025mol%共重合してなる請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  3. 請求項1または2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させてなり、嵩密度が0.02〜0.009g/cm3 、平均気泡膜厚が0.8〜2.5μmである予備発泡粒子。
  4. 請求項3に記載の予備発泡粒子を加熱し、発泡成形してなるスチレン系樹脂発泡成形体。
  5. スチレン系樹脂発泡成形体が難燃剤を含む請求項4に記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  6. 請求項5に記載のスチレン系樹脂発泡成形体からなる建築用断熱材。
  7. 請求項4に記載のスチレン系樹脂発泡成形体からなる食品用保温材。
  8. 水性媒体中にスチレン系樹脂粒子が分散した懸濁液にスチレン系単量体を添加してシード重合する際において、重合過程において推移する重合転化率の最低値が85〜94重量%となるように制御しながらシード重合してスチレン系樹脂粒子を製造し、該スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
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